優秀な人材確保を 「企画」「斡旋」「添乗」力求む(JATA)

2017年11月1日(水) 配信

JATA広報室長の矢嶋敏朗氏がコーディネーターを務めた

 既存旅行会社のトラディショナル・トラベル・エージェント(TTA)が、人材確保に力を入れている。日本旅行業協会(JATA)はツーリズムEXPOジャパン2017で「第6回旅行業界研究セミナー」を実施した。JATAに所属する若手社員5人が登壇しTTAで働く魅力を紹介した。オンライン販売全盛の昨今、実店舗を持つTTAで旅を手配するメリットを再確認。大学生ら250人に伝えることで、優秀な人材確保を目指す。キーワードは「企画力」と「斡旋力」、「添乗力」。

【謝 谷楓】

 ■TTAのメリットを伝えることが必要

 「日本のオンライン旅行市場調査第3版」によると、15年度のOTA(オンライン旅行会社)の販売額は約1兆7千億円。13年度と比較して約1・6倍の増加となっている。TTAのオンライン販売額を含む、オンライン販売総額は2兆3611億円であるため、OTAの販売額は約70%を占める。OTAが販売総額に占める割合は13年度から6・5ポイント増加しているのに対し、TTAは0・9ポイントのみの上昇。一方、TTAのオフライン販売額はOTAの3倍以上で、5兆5500億円。TTAの規模は揺るぎないが、13年度と比べ全体に占める割合は7・4ポイント以上と大幅に減少した。

 JTB総合研究所の「海外旅行実態調査」によると海外旅行の申込方法のうち60%以上がオンラインによるもので、店舗利用は16%しかない。オンライン販売の需要が伸びるなか、店舗を持ち、直接ユーザーに働きかけるTTAは、自身のメリットを伝えきれていない。

旅行会社のオンライン販売比率

 ■「斡旋力」と「添乗力」通じ安心感を

 東武トップツアーズ東京国際事業部でクルーズ事業を担当する兼田純氏は「手配を行うには語学力が必要。しかしそれ以上に、タフな体力が、お客様の要望に応えるためには求められる」と強調する。日本旅行の新宿法人営業部に所属する米山幸輝氏は、営業職ながらクライアントに指名され添乗員として旅に同行することも多いと語った。

 店頭カウンターや旅先など、ユーザー・クライアントと直に接し、親身なコミュニケーションを通じたサービス提供こそ、TTAで働く魅力であり、利用者にとってのメリット。兼田と米山両氏の語った経験は、「斡旋力」と「添乗力」の具体例であり、2つの力を通じた安心感を、TTAは提供し続けて行かなくてはならない。

 ■「企画力」でユニークな商品造成を

 「誰もが簡単に航空券を取ることのできる時代だからこそ、旅行会社の果たすべき役割は大きい」と語るのは、JTBワールドバケーションズ東日本販売本部の市川翔子氏。ユーザーの心をくすぐるユニークなツアー造成を実現する「企画力」も欠かすことはできない。

 2016年の旅行会社数は約1万社。近年は増加傾向にあるが、就活生に人気な第1種は横ばいだ。インバウンド需要を狙う3種の増加が多く、オプショナルツアーを造成するベンチャー旅行会社の台頭も著しい。

 地域密着型で工夫を施したツアー商品など、ユーザーを惹きつける魅力あるコンテンツづくりを得意とするベンチャー企業。この姿勢こそ「企画力」の原点であり、「体験」を商品として扱う旅行会社のあるべき姿といえる。

 オンライン販売全盛のなか、高い「企画力」を生かしたユニークな商品造成を実現する人材が求められている。

就職セミナー参加企業を募集 来年3月20日に開催(JATA)

2017年11月1日(水) 配信

就職活動の活性化を目指す

 日本旅行業協会(JATA)と㈱ジャタは2018年3月20日、東京都墨田区のすみだ産業会館で就職セミナーを開く。1月19日まで30社限定で出展企業を募集している。旅行・観光関連企業であれば会員以外の参加も可能。参加費は10万円(税別)。

 旅行・観光業界を目指す熱意のある学生に対し、業界に特化したセミナーの場を提供することで就職活動の活性化を目指す。また、自社で就職説明会を開催することが難しい中小企業にとっては採用活動の大きな機会となる。

 学生の対象は19年3月卒業予定者。学生は12月22日までの参加登録で特典が付く。

“本物の日本を守って” リピーター対策が必要 『ズームジャポン』ルブラン編集長

2017年11月1日(水) 配信

クロード・ルブラン編集長

 本紙は6月21日号から、フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)」の特集記事の翻訳やフランスの最新情報などを紹介している。同誌創刊者で編集長のクロード・ルブラン氏は、日本を熟知する社会派ジャーナリストとして広く知られ、英国やイタリア、スペインでも日本の情報誌を展開している。ルブラン氏がこのほど来日し、日本の観光施策に対し「本物の日本を守り、インバウンドのリピーター対策をすることが必要」と意見した。

【飯塚 小牧】

日本は「大きな国」

 日本はヨーロッパ人にとってとても「大きな国」です。長い時間で培った歴史・文化、景観があり、それは北海道から沖縄までとても異なります。ヨーロッパ人にとっては面白いデスティネーションです。

 ヨーロッパから日本を訪れる人たちは初めての人が多く、一般的に東京と京都、広島などを周ります。しかし、今、京都は私から見ると「ダメ」になっています。ビジネスに走りすぎて、本物の日本文化が感じられなくなっている。例えば京都にはさまざまな国の人が大勢訪れていて、彼らは着物を着て清水寺の前で写真を撮っていますが、その着物が浴衣のようなペラペラのもので美しくないのです。京都は最も日本文化を感じられる街のはずですが「日本はどこ?」と思いました。とても危惧しています。

 その点、今回私が訪れた大津市(滋賀県)は、パーフェクトです。京都から電車で10分という距離ですが本物の日本がありました。

 私にとって大切なのは「本物の日本を守ること」です。北海道や東北、九州など各地の小さな田舎に残っている日本のルーツを忘れないでほしいのです。

長期的な施策を

 観光庁や日本政府観光局(JNTO)のインバウンド対策は、リピーターに対する施策がみえてきません。これが大きな問題です。観光は日本にとって宝です。守ることが大切で、これにはマスツーリズムではダメです。数字目標だけを追いかけて初めての旅行者にばかり注力するのではなく、長期的に考えていかなければなりません。

 今、ポップカルチャーなどで日本に行きたい人が増え、ブームになっていますが、流行は明日になればなくなります。初めての人は着物を着て写真を撮って、SNS(交流サイト)にアップするだけ。日本文化は関係なく10分で終わりです。

 しかし、リピーターは日本への興味が強い人で、日本の将来のために最も必要な人です。フランスは世界で最も観光客が多く、リピーターを取り込んでいますが、これは本物の生活を紹介しているからです。日本も同じです。我われは「おもてなし」ではない、本物の文化や生活が見たい。寿司や天ぷらだけではなく、家庭料理もB級グルメも体験したいのです。日本人観光客と同じ体験を求めています。ヨーロッパからくる人たちは主にショッピングを目的にはしていません。遠い国から「知らない国を発見したい」という気持ちでやってくるのです。そこで日本の本物の“ソウル”を感じればリピーターとして戻ってきます。

日本文化に触れ合う

 旅館に泊まることは食べ物や地域の精神、景観など日本文化を知るために重要な経験だと思います。料金の面などから毎日泊まることはないですが、ヨーロッパの観光客はホテルや旅館、ゲストハウスなど滞在中に宿を組み合わせて旅をすることが多いです。

 また、日本の精神に触れるにはローカル線に乗ることが最適です。私は青森の五能線が好きですが、地域の人と自然に交流することができます。

日本のすべてを紹介

 国は人や社会、政治、経済、スポーツといろいろな面から成り立っています。2010年にズームジャポンを創刊したとき、日本のすべての問題を紹介していくことを理念としました。読者が日本を理解することで、国の間の交流はしやすくなります。ヨーロッパ人がその国に行きたいと思うには、国を理解することが必要です。観光の情報は付属に過ぎません。

 前回、日本の貧困問題を特集しました。私が初めて日本に来たのは34年前ですが、そのときと日本の現状はまったく違います。今は貧困や高齢化などの問題がありますが、それをありのまま紹介することが重要だと思います。私は日本が大好きだからこそ、負の部分も発信していきたいです。今後はドイツやロシアなどヨーロッパの他の国にも媒体を広げていきたいと考えています。

No.476 べっぷの宿ホテル白菊 オペレーションも個人化に対応

2017年11月1日(水) 配信

 

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その人気を探っていくシリーズ「いい旅館にしよう!Ⅱ」。第16回は、大分県・別府温泉の「べっぷの宿ホテル白菊」の西田陽一社長と、取締役の緑・若女将が登場。早い時期から個人化の流れを意識して、料理の1品出しなどのオペレーションが定着していた同館。さらなる生産性向上の取り組みを探った。

【増田 剛】

西田社長:祖父が1920(大正9)年に別府で陶器の店を始めました。当時別府港から多くの観光客が訪れていたので、最も栄えていた流川通りにカフェー「サロン・ツルミ」を開業しました。1階がカフェーやバー、2階にダンスホールを備え、同じ敷地に小さな旅館も経営していました。

 流川通りから別府駅前に移って、5階建てのキャバレー「ボンツルミ」を始めました。50人規模のバンドが地下からステージに上がってくるなど盛大にショーアップし、ホステスも100人ほどいました。宴会場や会員制クラブなどもあって人が集まり、のちに大分市にも同じような店舗を開業しました。

 57(昭和32)年に中島造船所の保養所の土地を買って4階建ての白菊荘を建てました。

 その後、祖父と父が73(昭和48)年に12階建てのホテル白菊を開業しました。

内藤:ずっと別府の社交場という役割を担っていたのですね。

西田社長:キャバレーは80(昭和55)年まで経営していましたが、時代も変わり、旅館業の方に軸足を移していきました。大型旅館全盛期の時代でした。

 私は1984年に旅行会社に就職し4年間、大阪で営業をしていました。87年11月に父が亡くなり、そのまま宿に戻ってきました。45歳だった06年に4代目社長に就任するまでの20年間は叔父が社長を務めました。

 ――旅行形態の個人化やインバウンドの拡大など、別府にも大きな変化がありました。

西田社長:2012年くらいから別府への観光客は少しずつ増加しています。海外からの個人旅行客が急激に拡大しているなかで、当館では外国人旅行者は1%もいませんでした。今はようやく5%弱というくらいです。

内藤:外国人ではなく、日本人客が大きく増えたのはどうしてですか。

西田社長:開業当時から旅行会社の団体客を主に受け入れていました。しかし、団体旅行が減り、個人旅行化していく時代に、当館は別府湾が一望できる最上階には直営フランスレストラン「ガーランド」、1階には別府割鮮料理「浜菊」という食事処を備えていました。これがほかの旅館にはない特徴として、個人のお客様にも対応できたのだと思います。

内藤:初代はどうして旅館にフランスレストランを造られたのでしょうか。

西田社長:61年に4階建ての白菊荘を建てて開業した当時は、大阪からフェリーで富裕層が多く来ました。1部屋に1人が担当して波止場までお見送りをする典型的な和の旅館でした。観光ブームが来るなかで、旅館のマーケットが大きく伸びると確信して白菊荘を壊し、73年に12階建ての現在の旅館を建てました。建物は新進気鋭のデザイナーが設計し、今でも「斬新なデザイン」と言われることがあります。

 祖父と一緒に経営をしていた父も、根っからの商売人でした。「他の宿ではやっていない、新しいこと」を常に考えていたようです。

 最上階展望レストランはビュッフェスタイルで、地元客向けに和・洋・中華など世界中の料理が楽しめる「ワールドディナーピック」というイベントを、夏季と冬季のそれぞれ1カ月間展開していました。前売券を販売するほどの人気で、つい最近まで続けていました。

 ――客室数はどのくらいですか。

西田社長:73年に81室の本館を建てたあと、80年に15室の東館、84年に24室の西館を建て増しして、現在は全体で120室あります。バブルが弾けたあとも90年代後半まで売上は伸びていきました。

内藤:個室料亭も造られましたね。

西田社長:個室料亭「菊彩香」は先代社長の叔父が計画し、私が社長に就任した後の13年にオープンしました。個人のお客様をターゲットにしたもので、専用の厨房を料亭内に配置しました。当時、別府では個人向けの料亭はほとんどなかったので、先駆けてやりたいという思いは、3代目の叔父と同様に私にも強くありました。

内藤:部屋食から、個室料亭での食事という流れは、多くの旅館でも見られます。しかし、実態は料理の内容を変えているのではなく、単に提供する場所を変えて団体料理を小分けにしているだけのところも多い。一方、オープンキッチンを導入している旅館も増えていますが、しっかりと使いこなせている施設は少ない。

 白菊では10年前にはすでに料理の内容や提供方法まで切り替えられたことに、とても興味があります。…

※ 詳細は本紙1690号または11月7日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

徳江氏講演会など 愛隣館の館内視察も 全旅連JKK

2017年11月1日(水) 配信

講師の徳江順一郎氏
稲熊真佐子氏

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の女性経営者の会(JKK、松﨑久美子会長)は10月16日、岩手県・新鉛温泉の「結びの宿愛隣館」で第2回定例会議を開いた。講演会では東洋大学准教授の徳江順一郎氏が「宿泊産業の生産性向上とホスピタリティの両立」に向けて、自動化・機械化やマルチタスク、サービスの選別など必要性を語った。事例発表では、労働改善委員会の稲熊真佐子委員(豊田プレステージホテル)が予約業務のペーパーレス化などによって省力化と時短が実現した取り組みを紹介した。翌17日は、愛隣館の厨房や自動チェックアウトシステムなど館内視察を行った。

ジャルパック訪日DP事業部 付加価値あるDP強み 質重視のタイ客へ販売拡大を

2017年11月1日(水) 配信

松原保典グループ長

 ジャルパック(藤田克己社長、東京都品川区)は2017年1月11日から、タイ国内で「JAL訪日ダイナミックパッケージ」を売り出した。タイ・バンコクに就航している日本航空(JAL)の4路線(成田と羽田、中部、関空)を対象に展開。4月には「訪日ダイナミックパッケージ事業部」を設置し、タイ人のスタッフも配置するなど体制を整えている。付加価値があるDPが強みと語る松原保典グループ長に話を聞いた。

【飯塚 小牧】

 ――訪日事業の取り組みを開始した経緯は。

 インバウンド4千万人時代を迎えるに際し、当社としても外国人のお客様を迎え入れる方法を検討してきた。

 日本ではダイナミックパッケージ(DP)の認知度が高まっており、当社もFIT(個人旅行)のお客様に国内旅行と海外旅行でDPの販売を行ってきた。海外では航空券とホテルを別々に購入する傾向にあるが、これまでの経験から一定の感触とノウハウを得られたため、今年から新たなチャレンジとしてタイのお客様にアプローチを開始した。

 ――タイ市場で展開している理由は。

 JALの販売戦略で強化しているのがタイだ。親日で知られているタイからの訪日客が年々伸びているなか、昨年はJALのバンコク線が就航60周年を迎えた。また昨年のリサーチで、団体旅行でゴールデンルートを訪れた人たちがリピーターとなり、今後はFITが増える傾向にあることが分かった。これらのことから、インターネット販売に適しており、伸びていく市場だと判断した。

 ――なぜDPなのか。

 ほかの国と同様、タイでも飛行機とホテルは別々に予約するのが主流で、インターネット上でもセット販売はあまりない。そのなかでセット販売にすることで利便性やお得感を創出できる。

 また、傷害保険が付いており、日本で医療機関を受診する際も多額の支払いになることはない。日本とバンコクに問い合わせ窓口があり、安心感もある。

 このように単なる「飛行機+宿」だけではなく付加価値があるのが強みだ。これまでの当社の経験を盛り込んでおり、これが訪日客への「おもてなし」だと考える。

 ――送客で力を入れる国内の地域は。

 最優先はJALの国内就航都市だ。JALが展開する外国人向けの「ジャパンエクスプローラーパス(JEP)」を利用し、日本の地域の魅力を感じてほしい。また、空港からの移動をスムーズにするため、ほかの輸送機関や地域との連携も必要だと考えている。

 現在、東日本旅客鉄道(JR東日本)グループと連携し、DPの販売サイトで訪日向け鉄道パス「JR EAST PASS」と着地型旅行商品「TOHOKU BUFFET(東北ブッフェ)」を紹介している。さらに、JALグループと北海道観光振興機構との連携に参画し、DP販売サイト内にひがし北海道の特集ページを開設した。おすすめの宿泊施設や現地の観光バスなどを紹介しているが、こうしたパーツを増やしていくことが、お客様の利便性につながると考えている。地域の方々にとっても、我われのDPは実際に人を呼び込むためのツールとして有効だと思う。

 ――これまでの手応えや今後の展開は。

 送客数はまだ十分とは言えないが、Web販促やタイ現地の旅行フェアで直接販売などを行い、反応は出てきている。現在、約5千軒の宿を掲載しているが、施設数も拡大していきたい。今タイでは温泉に入りたいというニーズもあるので、シティホテルに加え日本の旅館、温泉宿も需要がある。

 航空券はビジネスクラスの需要が予想以上にあり、単価が高い良質なお客様が多い。必然的にLCC(格安航空会社)との差別化がはかれている。今後もタイで質を重視するお客様に対し、販売を拡大していく。

 

DMO課題の打開へ、産学官合同研究会を設置(日観振)

2017年11月1日(水) 配信

清水哲夫氏

 日本観光振興協会が今年3月に全国の日本版DMO候補登録法人に行った調査で、安定的な運営を行うための財源確保や専門人材の不足などの課題が浮き彫りになった。この現状を打開するため地域と企業の相互交流を促進し、産学官がそれぞれの立場から意見交換を行う場として「観光経営研究会~世界水準の観光経営を目指す産学官合同研究会~」を設置。10月16日に東京都内で1回目の研究会を開いた。

 冒頭、あいさつに立った日観振の久保成人理事長は「観光を取り巻く環境は非常に大きく変動し、課題も次から次へ現れている。こうした状況を打開するため、観光地経営をより効率的に実現しなければいけない」と会の趣旨を説明。初回の議題「ビッグデータを活用した観光マーケティング」について「そのなかでも切実なテーマを据えた」と語った。

 ビッグデータは全知全能ではない

 研究会では、日観振総合調査研究所長で首都大学東京都市環境学部教授の清水哲夫氏が登壇。「観光の現象と行動を分析するための統計・ビッグデータ~できることとできないことを考える~」と題し、講演した。清水氏は政府が公開している地域経済分析のデータプラットフォーム「RESAS(リーサス)」の専門委員として、自治体の地方創生事業へ協力。大学では多摩信用金庫とともに、自治体の職員にデータとの付き合い方を教育する「地域創生スクール」を開講している。

 こうした経験から清水氏は「ビッグデータは全知全能の神ではない。そもそも何を知りたいのかを理解することが大切。何をやりたいか分からない状況で利用しても意味がない」と指摘。統計やビッグデータの種類別に、できることとできないことを行政担当者やDMO幹部は理解すべきだと主張した。例えば「観光客の周遊行動把握」は位置情報データや目的地検索データで分かるが、この2つはこれ以外に利用できず「観光客の消費行動把握」や「観光客の評価把握」には統計調査やアンケートなどが必要になる。こうしたことを見極める能力を「4つのデータ力」として(1)データを収集する力(2)データを分析する力(3)データを理解する力(4)データを活用する力――を挙げた。

 一方、現状のビッグデータのデータ量では不十分で、観光地の一定の現象をつかむまではいかないという。「観光地のマーケティングに利用するにはさらに技術開発が必要で、まだ先に進めないのが正直なところ」と今後の進展に期待した。

 研究会ではこのほか、実際にビッグデータを扱う企業からのプレゼンテーションや参加者同士での意見交換が行われた。

 2回目以降は参加者からのアンケートを基に、その時期に沿ったテーマを設定する予定。

新千歳空港への新搭乗スタイル誕生!「ANA FAST TRAVEL」導入

2017年10月31日(金) 配信

スムーズな搭乗が可能に

ANAは2017年11月8日(水)に、新搭乗スタイル「ANA FAST TRAVEL」を新千歳空港に導入する。新搭乗スタイルの誕生で、空港に到着してから搭乗するまでの流れが、よりシンプルで分かりやすく、スムーズに行えるようになる。

  出発カウンターのレイアウト変更とデザインリニューアルや、プレミアムチェックインカウンターのリニューアルを行うことによって、空港における手続きの極小化、待ち時間の抑制、分かりやすい導線の提供を行っていく。 

出発カウンターのレイアウト変更とデザインリニューアル

 出発カウンターのレイアウトを変更し、自動手荷物預け機「ANA Baggage Drop」や自動チェックイン機を集約して配置することにより、特定のカウンターの混雑を防ぎ、待ち時間の削減を実現する。

 また、搭乗手続きや手荷物の預かりなどの表示を、出発するすべての旅行者に一目でわかるよう、大きな文字やピクトグラムを活用したデザインに変更する。

 加えて、空席待ちカウンターを出発カウンターから搭乗ゲートエリアへ変更。有人カウンターで手荷物を量る重量計を床と同じ高さにすることで手荷物を置きやすくするなど利便性の向上をはかっていく。

自動手荷物預け機「ANA Baggage Drop」サービス、インライン・スクリーニング・システムの導入

  よりスムーズに出発前の手荷物を預けることができる「ANA Baggage Drop」を、羽田空港に続き新千歳空港にも10台導入する。

 同サービスは旅行者自身が手荷物を自動手荷物預け機のなかに入れ、表示される操作案内に従い、預けを完了させることができる手荷物自動受託サービスだ。

 海外の旅行者にも利用してもらえるよう、日本語、英語、中国語(繁体・簡体)、韓国語の4カ国語の案内を用意した。

 また、これまでは手荷物を預ける前にX線検査機による安全性検査を実施していたが、有人カウンターや「ANA Baggage Drop」で手荷物を預けたあと、飛行機に搭載されるまでに自動的に検査される「インライン・スクリーニング・システム」を導入し、待ち時間の短縮を実現する。

「Special Assistanceカウンター」

 身体の不自由な旅行者、子供連れなど、搭乗時に手伝いが必要な旅行者が利用できる「Special Assistanceカウンター」を中央保安検査場付近に設置。利便性を高め、車イスやベビーカーで利用する際の快適性を考慮した素材にし、ユニバーサルデザインに配慮したサービスを提供していく。

1年に2回のみ!11月2日は東京タワーでダイヤモンド富士を見よう

2017年10月31日(火) 配信

2013年2月のダイヤモンド富士

1年に2回、2月と11月の2回しか見られない景色、ダイヤモンド富士。東京タワーは11月の観賞推奨期間を11 月 2 日(木)午後4:34 ごろと発表した。

 「ダイヤモンド富士」は、富士山の山頂と太陽がぴったり重なった時に起こる現象。山頂から朝日が昇る瞬間と夕日が沈む瞬間に、太陽がダイヤモンドのように光り輝いて見えることから呼ばれるようになった。しかしこの現象は、1 年の間に 2 回、空気が澄んで晴れているなどの気象条件が整わないと鑑賞できない。

 東京タワー展望台からは11 月 2 日(木)に午後4:34 ごろに鑑賞ができる予定で、その前後にあたる1日(水)と3日(金)も富士山山頂付近に美しい夕日が沈むため、お薦めとしている。なお、展望台は、通常料金のみで利用可能。(気象条件によって鑑賞できない場合もある)

〈観光最前線〉人間ドック付き雪国ツアー

2017年10月31日(火) 配信

パンフレット表紙

 新潟県の南魚沼市観光協会は来年1―3月まで、人間ドックと冬の南魚沼の自然・食・観光を組み合わせた、心身ともに健康体験を満喫する2泊3日のツアーを実施する。

 本場の南魚沼産コシヒカリはもちろんのこと、人間ドック後に越後ワイナリーの見学や、地元魚沼の酒蔵である八海山、鶴齢、高千代の日本酒飲み比べ付き夕食などを提供する。さらに、南魚沼の酒蔵を見学する「地酒めぐりと郷土料理」か、名匠の芸術作品を巡る「文化と歴史」コースの2パターンを用意。宿泊先は六日町温泉の龍言と、冬の南魚沼の魅力を存分に堪能できる内容となっている。

 人間ドックは、共同企画の市立ゆきぐに大和病院健友館で、2日目の朝から夕方にかけて実施。退職後も元気で過ごしてほしい家族に送ってみたい。

【長谷川 貴人】