春バラが開花の最盛期、18日見ごろに バラ苗販売やワークショップも 

2019年5月13日(月) 配信

小田原フラワーガーデンのバラ園と温室

 神奈川県小田原市にある小田原フラワーガーデンでは2019年5月18日(土)ごろに、春バラが開花の最盛期を迎えそうだ。同園では約150品種350本のバラ園があり、毎年春と秋の年2回のバラを楽しめる。今回は春バラの見ごろに合わせ、「春のローズフェスタ」を2019年6月2日(日)まで開いている。バラ苗販売や、ROSEクリーム、ミスト作りなどのワークショップも行う。

 バラ園は駐車場・入園料ともに無料。園内では「バラの香りを嗅ぎ分ける」コーナーなど、五感を使って楽しめるような工夫を凝らしている。このほか、バラ園を散策しながら食べることができるオリジナルフレーバーのジェラートなど、味覚でも春バラを楽しめるようにしている。

小田原フラワーガーデンのバラ 2019年5月12日撮影

 2019年5月12日(日)現在で、バラ園全体の開花状況は3分咲きほど。18日ごろに、「色鮮やかなバラが一斉に咲き誇り、当園の1年間を通して“最も美しい”花の景観を楽しめる、春バラの最盛期を迎えると予想される」(同園)という。なお、見ごろは26日まで続く見通し。開花情報については、webサイトやSNS(Facebook)で案内している。

 同園のバラ園には、巨大ネギ坊主「アリウム・グローブマスター」も約300球が植栽されており、春バラと合わせて楽しめる。花径20㌢もの大きな花を咲かせるのが特徴の1つで、「ユニークなその姿はお子様にも人気」だという。

巨大ネギ坊主「アリウム・グローブマスター」

 このほか、バラに詳しくない人や、小さな子供でも楽しめるよう、オリジナル作成の「バラの香り・花のかたち解説シート」を無料で配布している。植物公園ならではの豆知識など、バラの魅力をわかりやく解説している。「鑑賞の質を深めてもらえれば」(同園)。

 イベント情報については、当園Webサイト(下記リンク)から。

小田原フラワーガーデン概要

所在地:神奈川県小田原市久野3798-5

入園料:無料(トロピカルドーム温室は有料)

駐車場:普通車140台(障害者用6台)※無料

開園時間:午前9:00~午後5:00※トロピカルドーム温室入館は午後4:30まで

※春のローズフェスタ期間中は、無休で営業

アクセス:

「小田原」駅東口から2番のりば伊豆箱根バス「フラワーガーデン・県立諏訪の原公園」行き。「フラワーガーデン」下車すぐ。

・伊豆箱根鉄道大雄山線「飯田岡駅」から徒歩約20分

「観光白書」を議論 観光と経済の分析を 6月下旬に公表

2019年5月13日(月) 配信

分科会のようす

 観光庁は5月13日(月)に、2019年度版の観光白書(案)を議論する交通政策審議会観光分科会(第35回)を開いた。観光白書は観光動向や観光施策、施策の方針のほか、毎年「テーマ章」を設けている。今年は昨年に引き続き、観光と経済に関する分析を盛り込む。公表は6月下旬を見通す。

 田端浩観光庁長官は冒頭、テーマ章について「とくに地方を訪れる外国人旅行者と旅行消費額の増加が地域にもたらす影響や、観光による日本経済全体への貢献について分析を行う」と説明した。

 矢ケ崎紀子分科会長(=東京女子大学現代教育学部国際社会学科教授)は、「(観光白書は)閣議を経て国会で報告され、そののち、国民に公表される。非常に重要な白書だ」と委員らに呼び掛けた。

京都の魅力を発信する映像の貸し出し専用サイト5月9日開設

2019年5月13日(月) 配信

KYOTO STOCK FOOTAGE LIBRARY

 京都府京都市と京都市観光協会、京都文化交流コンベンションビューローは、5月9日(木)に主に海外メディアが活用できる京都の映像素材やPR映像を貸し出すための専用サイト「KYOTO STOCK FOOTAGE LIBRARY」を開設した。同映像は、観光地の分散化をはかる取り組みの一環として、伏見や大原などの隠れた名所(「とっておきの京都プロジェクト」対象エリア)も含めて制作している。

KYOTO STOCK FOOTAGE LIBRARY概要

開設日:2019年5月9日(木)午後4:00

サイト名:「KYOTO STOCK FOOTAGE LIBRARY」

映像素材及び京都PR映像の概要:

(1)映像素材(フッテージ)

さまざまな京都の魅力をテーマごとに1分程度の動画にまとめたもの。主に海外のメディアなどがニュースや旅番組で京都を取り上げる際などに必要な部分だけを編集できる。

本数:26本(30秒~1分程度)

(2)京都PR映像

上記の映像素材を活用し、伝統文化や食文化、主な市内の名所や隠れた名所など京都の魅力を季節に合わせて3分程度の動画にまとめたもの。

京都をPRする旅行商談会や旅行博、MICE誘致などで活用できる。

対象:京都への誘客や京都で開催されるMICE誘致などを目的とした映像制作を予定している海外メディアや事業者、大学など(営利目的を除く)

利用方法:サイト内の申請フォームから必要事項を記載のうえ、利用日の10営業日前までに申請すれば、審査のうえ利用の可否を通知される(無償で利用できる)。

問い合わせ先:

(公社)京都市観光協会 京都PR映像プロモーション担当者

メールアドレス imagebank@hellokcb.or.jp

知多半島を味わうBBQビアガーデン実施 名鉄グランドホテル

2019年5月13日(月) 配信

知多半島の新鮮な食材をBBQでたっぷり堪能できる

 パートナーズダイニング(中村英樹社長、東京・西新宿)は2019年4月25日(木)、愛知県・知多の海鮮や食材をバーベキューで味わう「ウィー知多!プレミアムBBQガーデン」を、愛知県名古屋市の名鉄グランドホテルにオープンした。

 「ウィー知多!プレミアムBBQガーデン」は、名鉄グランドホテル12階屋上にオープンした、夏季限定「食べ飲み放題」のバーベキュービアガーデン。知多半島の自然が育んだ産地直送の新鮮な魚介類をはじめとした食材を、バーベキューやビュッフェ、アラカルトメニューで堪能できる。名古屋駅から徒歩約3分なので、仕事帰りでも気軽に立ち寄りができる。オープンは9月28日(土)までの期間限定。

知多半島の直送食材を堪能!プレミアムなビアガーデン

知多プレミアムBBQコース 1人4,490円(税込)※2時間制

※子供(6~12歳)2,990円(税込)

BBQセット

 (南知多産大あさり・南知多産タコのアヒージョ・海老のBBQ串など)

食べ放題

 (お肉・焼き野菜・若鶏の唐揚・その他知多半島の食材を中心とした料理など)

飲み放題(セルフスタイル)

 チケット1枚(アラカルトメニューが注文できる)

※チケット1枚でアラカルトメニュー(料理・ドリンク)が注文できる

※追加チケットは1枚(税込300円)から売り出している

※コースはグループ全員での注文を

知多の食材を使ったおすすめメニュー

南知多産の大アサリ

南知多産 大アサリ(チケット1枚)

 バーベキューコンロで焼き上げ豪快に頬張ると、閉じ込められた海の旨みが口いっぱいに広がる。

南知多産 サザエ(チケット1枚)

 コリコリの歯ごたえと、汁まで逃さず最後までサザエの旨味を堪能できるつぼ焼きがおすすめ。

南知多産 しらすのピザ(チケット3枚)

 漁獲量日本一を誇る知多の新鮮なしらすを贅沢に使ったしらすピザ。

知多ハイボール(チケット1枚)

 お肉はもちろん、南知多産の新鮮な海鮮たちのお供にぴったり。

毎日開催の特別イベント「競り」で新鮮食材をゲット!

「競り」に出る食材は当日までのお楽しみ

 誰でもその場ですぐに参加できる特別イベント「競り」が毎日行われている。

 どんな食材が競りに出てくるかは、その日のお楽しみ。山盛りサザエや牛肉食べ比べ、ロブスターなど、アラカルトメニューにない知多の食材をはじめ、その日のイチオシ食材が購入できる。購入した食材はその場で好みの食べ方で味わえる。

「ウィー知多!プレミアムBBQガーデン」店舗概要

2019営業期間:4月25日(木)~9月28日(土)

営業時間:

 平日 午後5:00~11:00

 土・日・祝 午後4:00~11:00(L.O.10:30)

住所:愛知県名古屋市中村区名駅1-2-4 名鉄グランドホテル12F

アクセス:JR名古屋駅 徒歩3分/近鉄名古屋線 近鉄名古屋駅 徒歩3分

 名鉄名古屋本線 名鉄名古屋駅 徒歩3分

TEL:052-533-9781

オフィシャルホームページ:

【公式】ウィー知多!プレミアムBBQガーデン名駅 知多の新鮮な食材をBBQで楽しむビ...
https://chita-bbqgarden.jp
名駅徒歩3分! 知多半島の新鮮な魚介やお肉、お野菜のセットに、カレーや焼きそばなどのサイドメニュー食べ放題と、プレミアム・モルツや知多ハイボールの飲み放題つきのコースを販売しております。ななちゃん人形前の名鉄グランドホテル12階にございます。

【鳥取市因幡万葉歴史館】万葉集むすびの地・鳥取へ 令和で脚光の歴史館から周遊を

2019年5月13日(月) 配信

館内に設けた令和コーナー

 日本に現存する最古の歌集「万葉集」を典拠とした新しい元号「令和」の時代が幕を開けた。

 万葉集には4500首以上の歌が収められているが、その最後を飾る歌を詠んだのが、天平宝字2(758)年、現在の鳥取県東部にあたる因幡国に国守として赴任した大伴家持(おおとものやかもち)だ。

 新(あらた)しき
 年の始(はじめ)の
 初春(はつはる)の
 今日(けふ)降る雪の
 いや重(し)け吉事(よごと)

 「新しい年の初め、新春の今日降る雪のように、良いことが重なれ」という意味の歌を赴任した翌年の元旦に詠んでいることから、鳥取県では「万葉集むすびの地」としてのPRを強化。鳥取市国府町には家持の生涯や古代因幡・万葉文化にふれることができる「鳥取市因幡万葉歴史館」があり、令和の初めに、同館を起点にした周遊観光を呼び掛けている。

 鳥取市因幡万葉歴史館には、家持の生涯にスポットをあて、因幡での生活の再現映像などを放映する「大伴家持ホール」のほか、古墳などを原寸大の模型で再現し、古代因幡の歴史を掘り下げる常設展示室などがそろう。

歴史館近くの因幡国庁跡

 女性客らに人気が万葉衣装の試着体験。女性・男性用はもちろん、子供用まで多数の衣装が用意され、小道具などの装飾品や古代のアクセサリーも充実。自由に選んだあと、スタッフが丁寧に着せてくれるので安心だ。

 衣装を着用しての館内めぐりのほか、屋外には回遊式庭園が広がる。万葉集に詠まれた約40種類の植物や国府町ゆかりの彫刻を見学しながらの散策も楽しめる。

 なお、「令和」決定を受け、館内のエントランスホール(無料エリア)に、特設コーナーを設置。令和の引用部分やそれについての解説パネルのほか、来館者が付箋に新元号への思いを書いて貼るコーナーなどの展示を行っている。4月23日からは館内の民俗展示室で、「令和」特別展を開催。「令和」の引用となった梅の歌32首などを展示・解説する。

 同館の入館料は300円。高校生以下・65歳以上は無料。20人以上の団体は240円。開館時間は午前9時から午後5時。休館日は月曜日(祝日の場合は翌日の平日)、祝日の翌日(平日の場合)、年末年始(12月29日―1月3日)。

〈出番です〉 石垣市観光交流協会 事務局長 西仲野 正巳さん

2019年5月13日(月) 配信

西仲野正巳さん

おもてなしで質の向上 島のコンテンツ売り込む

 昨年12月から石垣市観光交流協会で働き始め、今年4月1日に事務局長に就任した。以前は地元バス会社に25年在籍。営業からツアー企画、さらには貸切バスの運転手までさまざまな業務を経験。修学旅行生の「また来るよ」の声が一番嬉しかったという。バス会社で取締役まで務めるなかで培った業界内での人脈や八重山の知識が武器だ。

 八重山の入域観光客数は昨年137万9715人を記録。過去最高を記録した2017年をわずかに下回ったが、活況ぶりが続くなか、「質(観光客満足度)の向上」が求められている。協会では今年2月に、航空会社のキャビンアテンダントを招き、ホテルの従業員らを対象にしたおもてなし講座を実施。「お客様の名前を呼ぶことで喜ばれることや、アイコンタクト、目線の高さなどの重要性を学んだ。講座を継続しおもてなし向上をはかりたい」と話す。

 昨年3月には西表石垣国立公園(石垣島北部と竹富町全域)が、日本初の「星空保護区」に認定され、それ以前から実施している「美ら星マイスター人材育成」も継続・強化していく考え。

 「個人・グループ客が増加するなか、島のコンテンツを盛り込んだモデルコースなどを策定し売り込みたい。八重山ビジターズビューローなどとも連携しながら、イベントなどで情報発信を強化していく」と抱負を語る。

「味のある街」「ドラ息子」――香嘉園 matcha cafe(愛知県西尾市)

2019年5月12日(日) 配信

ドラ息子 550円(税抜き)▽香嘉園 matcha cafe▽愛知県西尾市高畠町3丁目23-9▽tel0563(56)8122。

 

 先日、愛知県西尾市を訪れた。所用を済ませたあと、まちを少し歩いてみた。西尾は戦国時代に徳川家康の家臣、酒井正親(政家)が入城し、家康の西三河南部の拠点となった土地だ。「三河の小京都」とも呼ばれる、歴史情緒あるまちだ。

 

 この日はちょうど桜が見ごろになっていた。みどり川沿いの桜並木の下に設けられている桟敷席では、親子連れや若いグループなどが食べたり飲んだりしながら桜を見上げていた。ミニSLの乗車体験や、ポン菓子機の実演なども行われていた。桟敷席は有料のようだったが、ほとんどが埋まっており、地域の方々が以前から花見を楽しみにしていたことがうかがえた。

 
 道すがら、緑色の丸型ポストを見つけた。これは特産品である抹茶の色だ。西尾市は国内生産量の約30%を占める、全国一の抹茶生産地である。市内の高台にある稲荷山茶園公園からは、茶畑が一望できる。シーズンになると茶摘み体験のできる場所があり、工場見学も可能だ。またあちこちに、抹茶の飲める店、抹茶を使ったスイーツが味わえる店がある。  

 

 西尾駅まで戻り、電車までの時間に入ったのが、駅近くのヴェルサウォークの中にある香嘉園 matcha cafeだ。香嘉園は市内に本社工場のある抹茶専門メーカーで、この店ではそのお茶を楽しめる。抹茶や抹茶のスイーツ、お茶に関連するグッズなどの販売も行っている。

 
 一番人気のスイーツ「ドラ息子」を注文した。抹茶入りのどら焼きの上に、抹茶とバニラのミックスソフトクリームと餡が乗っているものだ。まずどら焼きを一口食べると、抹茶の少し苦いけれど奥深い独特の味が口に広がる。ただ、どら焼きの生地の甘さも同時に感じられるため、苦さは和らぐ。抹茶味のスイーツは最近、外国人にも人気でチョコレートなどさまざまなものが販売されているが、やはり生産地のものは抹茶の味がしっかりと感じられるようだ。ソフトクリームも、抹茶の味と甘さがどちらも濃く味わえる。歩き疲れた体に染みる甘さだ。どら焼きとソフトクリームでボリューム満点。満足できる一品だった。

 (トラベルキャスター)

 

コラムニスト紹介

トラベルキャスター 津田令子氏

社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

〈観光最前線〉一番美しい「円筒分水」

2019年5月11日(土) 配信

雪解け水が流れ、もっとも水量の多のは5月頃

 最初に日本で一番美しいといわれるものを見てしまった。場所は富山県魚津市。名前は東山円筒分水槽。

 円筒分水槽は、農業用水を分配する水利施設だが、いくつかある分水方法のなかでも、「公平性が誰の目にも明らか」なのが特徴だ。サイフォンの原理で円筒状の中心部から水を湧き出させ、外周部から越流させて分水している。

 東山円筒分水槽は1950年、この工法として初めて富山県下で造られた。70年近く経った今も支障なく用水を供給している。ここに立つと、水を奪い合っていた日常を、知恵と技術で乗り越えた歴史を垣間見ることができる。

 円筒からあふれる水の落差が大きいのが、美しいと言われるゆえんだ。「日本一」の冠はWebサイト「円筒分水.COM」によるもの。同感です。

【鈴木 克範】

「旅館コンサルタント大坪敬史の繁盛旅館への道(50)」外国人観光客に対するマナー啓発

2019年5月11日(土) 配信

マナーの事前周知を

 日本全国で、外国人観光客が多く訪れている地域では、多かれ少なかれ旅館の館内でもトラブルが起こっていると思います。

 当社クライアント旅館で、日本人の宿泊客のアンケートをみると①外国人が使い捨てのパンツを、洗面所内のごみ箱にそのままポイ捨てしている。 
 ②朝の混雑時間帯に、4―5人のアジア系観光客が大胆にシャワーを使っていて、入るすき間がなかった。間で利用していると、シャワーが強く当たってきた。シャワーはすべて出したまま大きな声で入り、ゆっくりできず残念だった。
 ③不満があるとしたら、外国人観光客のマナーの悪さです。それ以外は大満足で、次回も利用したい。
 ④全館禁煙だから予約したが、チェックイン時、玄関の外でアジア系の人たちが煙草を吸っていて気分が悪くなったし、一瞬恐怖感を覚えた。

 アンケート内容を改めてみると、これは本当に旅館の責任だろうか、と思うようなことで、お客様からお叱りを受けています。

 さらに、そういう場面に遭遇したお客様の多くが、外国人観光客に直接注意せず、多くが「おたくの旅館はどう指導しているんだ」と、旅館に直接お叱りを言われるそうです。

 ただ、「お叱り」の言葉と行動で発散しているお客様は良いのですが、大半は不満を出さずに、「もうこの旅館には行かない」と決めておられるお客様が多いと思います。

 この旅館も、こうした問題にならないよう対策はしています。例えば、大浴場に多言語表記の「お風呂の入り方」ポスターの掲示や、スマホ撮影ダメなどのピクトグラム、部屋には注意事項をまとめた「日本の旅館の楽しみ方」などのツールは置いています。

 そういったツールやネットなどで日本の旅館について事前学習する外国人観光客もいます。そんな方は説明しなくとも、マナーを守って滞在を楽しんでいます。
 一方で、マナーを一切気にしない外国人観光客に、掲示物や部屋の案内を見てもらうよう話しても難しい。

 ある旅館では、外国人観光客「全員」のチェックイン時に、それぞれの国の言語で書いた「注意事項」を配るようにしました。

 今までは「言ったでしょ」と話しても「聞いていない」と逃げられていたので、チェックイン時に渡して読んでもらえば、説得力があります。

 さらに、日本人のお客様にも、「対策としてこのようなツールをチェックイン時にお渡ししています」と旅館側が説明して、ご理解いただくのも目的のひとつです。

 外国人観光客すべてのマナーが悪いわけではありません。ただ、文化の違う人たちの行動は少しの「違い」が大きく見え、不満につながり、旅館の現場で、こういう問題が起こってしまう。

 急増する外国人観光客と「旅館」で一時的にでも時間を共有するなら、互いに気持ち良く過ごすような仕掛けを旅館側で用意しなければなりません。

コラムニスト紹介

大坪敬史氏

旅館コンサルタント 大坪 敬史 氏

大手旅行会社での実務業務を経て船井総合研究所入社。インターネットを駆使したWeb販促&直販売上倍増&即時業績向上ノウハウには定評があり、数多くの宿泊産業の業績向上に貢献。観光文化研究所を設立し代表取締役。

「観光革命」地球規模の構造的変化(210) 統一地方選と地域の未来

2019年5月11日(土) 配信

※画像はイメージ

 4年ごとの全国統一地方選が終わった。今回の統一地方選では、市町村長選や市町村議選における無投票当選の増加が指摘されている。人口減少と高齢化に伴って首長や地方議員のなり手不足がさらに深刻化している。

  今回の統一地方選では北海道の赤平市で市長選挙が実施されたが、現職市長が市役所前企画課長に大差で敗れる事態が生じている。現職市長が推進した炭鉱遺産ガイダンス施設の建設の進め方が不適切という批判を浴び、1期のみで退陣になった。

 赤平では1918年に炭鉱が開坑し、60年の最盛期には人口が6万人近くになったが、94年に最後の炭鉱が閉山し、現在は人口が約1万人に減少。赤平市は、全国唯一の財政再生団体である夕張市と同様の旧産炭地であり、市の財政は厳しい状態が続いている。

 花卉栽培などに力を入れているが、人口減少に歯止めがかからないために炭鉱産業遺産を活用した観光振興にも注力している。しかし、市民の行政サービスへの期待は多様化しており、「炭鉱遺産活用阻止」を公約に掲げる市議候補者も立候補していた。そういう状況の中で現職市長の落選が生じている。

 道内の三笠市は赤平市と同様の旧産炭地であるが、今回の市長選は無投票で、現職の西城賢策市長が再選された。三笠では1879年に北海道で最初の本格的坑内掘炭鉱が開業。最盛期には人口が6万人を超えたが、1989年に最後の炭鉱が閉山したあと、急激に人口が減少し、地域の衰退が生じた。現在の人口は8432人。幸い、西城市長のリーダーシップの下で4大プロジェクトが進展している。①三笠ジオパーク「さあ行こう! 一億年時間旅行へ:石炭が紡ぐ大地と人々の物語」事業②三笠市立高校食物調理科と高校生レストラン事業③イオンアグリ創造と連携した農業振興(三笠メロンを香港に輸出など)④石炭地下ガス化(室蘭工大との連携)事業――などが順調に進展している。三笠ジオパークをベースにした観光振興、高校生レストランを起点にした「食街道づくり」も手掛けている。

 三笠市のように「民産官学の協働」によって地域資源の持続可能な活用をはかりながら、人育てや地域づくりを着実に行っていくことの大切さを改めて認識し直している。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。