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「街のデッサン(247)」岡本太郎の日本文化論が未来的、パリで学んだ民族学の専門性が凄まじい

2021年11月7日(日) 配信

太郎の直感と思弁を埋蔵する著作

 狂気をいつでもはらんでいるような岡本太郎とは、NHKの若者番組で何度か対談した。HNKの第2チャンネルが教育テレビと呼ばれている時代で、確か「若い広場」という番組だった。岡本太郎と若者ら数人が、激動する時代の青年の生き方について議論した。のちの「芸術は爆発だ!」と太郎が叫んでいた印象そのままで、当然私らは彼の迫力に圧倒された。何しろ太郎の見開かれた眼がギラギラと私らを睨み付け、本人だけが爆発して会話にはならなかった。私には常軌を逸したオジサンとしか映らなかったが、あるときにその印象が180度転換した経験をした。

 1990年代、私は沖縄の古い中心都市だったコザが沖縄市となり、その中心商店街のまちづくりを何年間にも渡ってお手伝いすることになった。そのときに琉球の歴史や文化の研究を先行させたが、伊東忠太の「琉球―建築文化―」などをむさぼり読んだ。

 沖縄の本土復帰を記念した海洋博(75~76年)をプロデュースした泉真也先生は、早くから沖縄の島の文化の特異性に目を付けていたから、色々と話を伺った。泉先生は大の沖縄ファン。この小さな島は中国を始めとしたアジア諸国と日本本土の交流拠点のみならず、世界覇権争い時代のイギリス、オランダ、スペインなどの日本へのアプローチの要ともなった島であるから、世界中の文化が交差した。その根底には琉球独自の文化もあるから、世界で最も多様な伝統の織物から陶芸など手工芸品の文化創造風土を生み出した、が泉先生の持論だった。島を歩いて観て、確かに地場産品の豊饒さには感動した。

 その影響を多大に受けて、「世界文化と地場文化のアジマー(十字路)都市」などというまちづくりコンセプトを提出したが、たまたま手にした岡本太郎の著作「沖縄文化論」の本質性と先行性に仰天した。

 沖縄の本土復帰は72年。太郎はまだ軍政下にある59年の年末1月間、沖縄を周遊した。その前年の58年に「日本再発見」という著作を物にしているが、太郎を歓喜させた縄文時代の精華である「縄文土器論」(52年みずゑ)が起爆し、この本は日本の芸術風土の再発見を意図した旅の記録となった。旅の締めくくりは沖縄探訪であったが、太郎には「日本文化の原型としての琉球」が直観としてあった。この沖縄文化論の視点と文章と写真が素晴らしい。バタイユらとパリ大学でオセアニア民族を学んだ学識が噴出している。日本の観光は「文化観光」に向かうのは必至だ。太郎の思弁が未来を先取っている。

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

 

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