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「街のデッサン(210)」天然の無常 観光政策にも「応災」の思想を

2018年10月2日(火) 配信

3・11の崩壊した防潮堤が「応災」を直感させた

今年のこれまでの日本を見ると、「自然災害列島」の想いがリアルに実感される。この半年間で、これでもか、これでもかと痛みつけられる日本列島が気の毒になるくらいだ。6月には、大阪北部を震源にした地震が人々を震撼させた。どこに行ったらよいのか、逃げ惑う外国人観光客の姿が、新聞をにぎわし嘆息をさそった。

 7月になると想定外の大雨が四国、中国地方の各県を襲い溢れた河川が多くの地域を水浸しにした。8月は記録的な「猛暑」が、私の表現で言えば「超暑(ちょうしょ)」が列島をくまなく囲い各都市を焦がしまくった。8月末から9月になると今度は台風が連続的にやってきて歴史にも記録されなかったコースを通り、21号は25年ぶりの非常に巨大な勢力で猛威を振るった。そしてそのダメージも癒えぬ間に、北海道全体を機能不全に陥らせた地震が発生した。こんなことが続けば、人間であれば自暴自棄になってもおかしくない事態であろう。心配なのは、観光立国宣言以来順調に伸びてきたインバウンドである。輻輳する災害体験のない外国人観光客がネガティブ情報を聞いて、日本に足を向けなくなることである。

 しかし、よく見ると災害を受けた各地域がそれぞれ驚異的ともいえる「コミュニティレジリエンス(地域的復元力)」を発揮していることに気付かされる。無論、水害で家を流され、土砂崩れで田畑を埋め尽くされた人々がそう簡単には恢復する見込みは難しい。それらの困難な災害体験が、実は私たち日本人の遺伝子にしみ込み、へたれこむよりも再起への気力にエネルギーを注ぎ込む構造になっている、といったのは物理学者で随筆家の寺田寅彦だった。

 2011年の東日本大震災以来、その日本人の一人ひとりの遺伝情報が覚醒し、西に台風被害があれば多くのボランティアが駆けつけ、東に地震があれば近在の人々が濃密に助け合う、という社会叡智(ソーシャルウイズダム)が実働しているのだ。インバウンドで日本にやってきた外国人が、地元企業の無償の炊き出しに出会い、若者たちが経営するコミュンティイン(街の宿泊施設)に無料で滞在できたとしたら、彼らは再び日本の美風のファンになるだろう。

 寺田寅彦は「天災の無常」を説く。無常だからこそ人々は助け合わなければならないという天災は「防災」でも「減災」でもなく、「応災」の思想が心底にある。どんな災害にもめげずに柔軟に対応する日本人こそが、観光の宝であることを、災害列島日本は教えてくれる。(エッセイスト 望月 照彦)

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

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