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〈旬刊旅行新聞8月1日号コラム〉猛暑の夏  国内「避暑地」のステージアップへ

2018年8月1日
編集部:増田 剛

2018年8月1日(水) 

猛暑の夏、国内の避暑地にも注目が集まる

2年後に控えた東京オリンピック・パラリンピックは7月24日―9月6日までと、最も暑い時期に開催される。同時期の今年7月23日午後2時16分には、埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の41・1度を観測した。

 この猛暑のなかで、マラソンや野球などの屋外競技は、あまりに危険と心配の声も高まり、一部種目は朝の早い時間帯へ前倒しする動きが出てきた。選手だけでなく、応援する観客も熱中症の恐れがあり、暑さ対策も大きな課題となっている。

 スポーツだけではない。真夏の旅行も、年々難しいものになりつつあることを感じる。

 今夏、米国・カリフォルニアのデスバレーでは、気温が52度に達したという。ノルウェーとフィンランドの北極圏でも33度を記録するなど、世界的に異常な猛暑が襲っている。世界各地で真夏の昼間は観光に適さない環境になりつつある。

 このような状況も踏まえて、観光庁は「朝観光」の促進に取り組んでいる。京都市の世界遺産「二条城」では、夏の開城時間を朝8時(従来は8時45分)に早めるなどの対策を講じている。とりわけ訪日外国人のニーズが高い。一方で、早朝の人員配置や、金銭的なコストなどへの対応が今後の課題として上がっている。

 日本人の旅のスタイルは日帰り旅行や、1泊2日が今も主流である。プログラムを詰め込み過ぎ、無理して日中に観光をしてしまう傾向が強い。欧米などは、夏期休暇は避暑地に長期滞在して過ごすというスタイルが浸透しているため、日差しの強い日中は涼しい室内で静かに読書や、昼寝をして過ごすことが板についている。

 日本の夏旅のスタイルも、猛暑など気候の変化や、欧米などの外国人旅行者の増加を受けて、温泉地などでものんびりと滞在しながら「昼はゆっくり過ごすスタイル」にも対応できるようになればいいと考える。

 また、日本の涼しい地域では、「避暑地」の整備が本格化することを願う。学生の夏期スポーツ合宿についても、高原で滞在できる施設の充実が必要である。グランドの周囲に木陰を各所に配置するといった「暑さ対策」への配慮が、大きな強みとなり、避暑地のステージアップにもつながる。キャンプ場なども同様に、大きな可能性を秘めている。

 この夏休みにも多くの家族連れが全国の観光地や、温泉旅館にも訪れる。子供たちは日中、旅の楽しさのために暑さを忘れて遊び回り、体は相当にダメージを受けているかもしれない。熱中症気味の体を和らげるような料理の工夫や、冷たいおしぼりを手渡すなどの配慮も、旅行者にはうれしい。

 大きな流れとしては、真夏の旅先では、昼間の時間帯はあまり外出せず、早朝と夕方以降に積極的に観光をするスタイルに変わるだろう。とくに海外旅行では、異国の言葉や料理なども慣れない環境で、猛暑のなかで旅を続けるのは避けたいところだ。朝の早い時間に起き、見知らぬ街の新鮮な空気を吸い込み、街歩きを楽しむ。昼間はホテルの部屋で「Don’t disturb.」カードを掛けたままゆっくりと過ごす。そして夕方少し涼しくなってから、夕食やナイトタイムのエンターテインメントを思う存分楽しむ。このようなスタイルが、日本を含め世界的な旅の主流になっていくのだろう。

(編集長・増田 剛)

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