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【JR九州 唐池恒二会長×水戸岡鋭治氏】手間暇が生み出す魅力、感動の車両デザイン

唐池会長の軽快なトークが笑いを誘う
唐池会長の軽快なトークが笑いを誘う

 九州旅客鉄道(JR九州)は15年11月6日、東京都内で「鉄道が地域の元気をつくる会議」を開いた。同社の唐池恒二会長と鉄道や駅舎などのデザインを手掛けるドーンデザイン研究所の水戸岡鋭治代表が対談し、車両デザインの手間暇が生み出す感動について語った。
【丁田 徹也】

唐池恒二会長
唐池恒二会長

 唐池:私が初めて水戸岡先生にお会いしたときにおっしゃっていたことで、今でも強烈に印象に残っている言葉は「無駄な線、不必要な線やデザインや模様はいらない。デザインは我慢であり、引き算である」ということです。

 水戸岡:当時はそういう時代で、モダンなデザインを追求し、「いかにシンプルにするか」と言っていました。今では手間暇の世界に入ってしまい、デザイン職人になり、「いかに足すか」を考えています。
 
 
 ななつ星について

 唐池:引き算から足し算になったきっかけは「ななつ星」ですか。

 水戸岡 そうですね。ななつ星のプレゼンテーション当時に社長だった唐池会長にモダンなデザインを提案したところ、「みんながよくわかる、豪華で贅沢でクラシックなデザインにしてほしい」と言われ、「ようやく手間暇かけるクラシックなデザインができる」と嬉しくなりました。

 唐池:ななつ星の予約は運行1年前の12年10月1日から受け付けていました。当時は新聞で少し出たくらいで、車両もできていないのに、倍率7倍というたくさんのご応募をいただきました。
 お客様は何を見て応募したのか――。それは水戸岡先生が書いたななつ星のパースです。車両もできていないので当時はパースしかお見せできるものはありませんでしたし、実際に車両ができあがったのは運行直前の1日前でした。水戸岡先生の仕事としてはちょっと早かったですが(笑)。
 

水戸岡鋭治氏
水戸岡鋭治氏

 水戸岡氏の整理整頓

 唐池:ほかにも水戸岡先生の言葉でよく覚えているのが「デザインの前に整理・整頓・清掃」とおっしゃっていたことです。10年ほど前に鹿児島から熊本の山の中にあるローカル線「肥薩線」の各駅をリニューアルしようと、水戸岡先生と私と、建築の担当者など数人でチームを組んで各駅を見て回りました。
 駅ごとに先生にアドバイスをいただこうとしたのですが、先生はデザインについては語らず、「掃除しましょう」「ゴミ箱を片付けましょう」「整理・整頓・清掃で大丈夫です」とおっしゃるばかりでした。その辺りはいかがでしょうか。

 水戸岡:一番大事なのは、整理・整頓・清掃・清潔・しつけの「5S」、日本で昔から工場や企業の再生をするときのやり方です。そこから始めないといくら手をかけてもだめで、まずは自分の手で掃除し、色を塗り替え、直す。自分でリニューアルする楽しさを理解してもらうのです。いきなり作ってプレゼントしても、結局同じようなことが起きるので、自分たちの手でやってほしかったのです。実際に見事に沿線が生き返りました。

 唐池:30年ほど前に初めて水戸岡先生にJR九州がお願いしたお仕事は「アクアエクスプレス」という博多駅から海ノ中道公園まで走るリゾート列車でした。出てきたデザインは真っ白な車両で、車両の専門家や我われは「真っ白だと汚れが大変なんですよ」と反対しました。そのとき水戸岡先生に「汚れたら掃除すればよい」と怒られました。

 水戸岡:「白い車が真っ白である」というのがお客様に対する最大のプレゼントで、一番心地よいことだと思うのです。

 唐池:水戸岡先生の作品のほとんどが白か黒、ちょっと押さえて濃いグレー。とくに白と黒は良くお使いになられます。

 水戸岡:そうですね。一番美しく、大変な色です。その大変な美しさを追求することに付加価値が生まれるのです。

 唐池:大変といえば、ななつ星の車両に組子(くみこ)と呼ばれる、福岡県大川市の家具職人が丹念に小さな木片を組み合わせた大きな建具があります。釘一本使っていません。この組子は掃除が大変です。お客様が寝静まったあとや車両基地でのメンテナンスのときなどに掃除をするのですが、綿棒を使って掃除をします。この大変な作業も我われの想いとして、お客様に伝わっているようです。

 水戸岡:ついつい手間暇かけたものを、「こんな物作れない」「こんなもの観たことない」というものを作りたくなるのです。
 
 
 ななつ星への想い

 唐池:ななつ星の7両の車両には特注の星形の木ねじが2万3千本使われており、細部ギリギリに至るまで手間をかけています。ですので、何千人という職人の想いや気、エネルギーがななつ星には投入されているのです。このエネルギーがお客様の感動に変換されるということを私はななつ星から学びました。

 水戸岡:3泊4日乗るということは、お客様は「生活する」ということです。そうすると細部まで気になってしまいます。取手から光の入り方まで手が抜けないのです。エネルギーがある限り、時間がある限り、お金のことも忘れるほどに集中します。職人たちもわかってくれて、手間暇関係なく自分のノウハウを全部注ぎ込みます。
 人間の手から何でも作れるということを多くの人が感じてくれて、そこから感動が生まれます。

 唐池:ななつ星が走る沿線では手を振ってくださる方がいらっしゃいます。手を振ってくださる方も見るだけで涙することがあるといわれるほどの魔力をもっている列車で、この想いが伝わっているのだと思います。

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