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「提言!これからの日本観光」 “ヘッドマーク”がとりもつ「観光」

2022年2月17日(木) 配信

 昨年暮、展開中の「四国デスティネーションキャンペーン」の企画の1つとして開かれた千葉県の第3セクター「いすみ鉄道」のイベントに参加する機会を得た。

 「いすみ鉄道」(旧国鉄木原線大原~上総中野間約27㌔)は、公募による社長がアイデアを生かした誘客をすることで知られている。今回の企画も古竹孝一社長(四国のタクシー会社の社長から公募で就任)がその地縁を生かして、数100㌔離れた四国と房総で観光客を相互に送客する珍しい組み合わせの交歓観光を展開して話題となっていた。

 同社の気動車は(旧国鉄の気動車急行用、勾配線用、通勤列車用を交代使用)を整備のうえ、そのままの塗色で運行。昔懐かしい車両なので多くの鉄道好きが訪れている。

 また、急行形車両の座席間に簡単な食卓を挟み、グルメ列車に仕立てたり、車内でイベントを展開したり、多目的にコストを掛けずに活用しているところも同社の注目点だ。

 今回は旧国鉄急行形気動車キハ28形を臨時急行「四国」号に仕立てた。そして、10数年前まで使っていた四国各線の急行気動車前面に付いていたヘッドマークを四国旅客鉄道(JR四国)から借用して、掲出、車内でも観光ポスターを貼るなど四国の観光キャンペーンを展開する。そしてこれに因んで、気動車内で「いすみも四国もつながっている――ローカル鉄道の未来……」と題するトークショーを動画サイトユーチューブライブで、発信する企画であった。

 いすみ鉄道古竹孝一社長はじめ、鉄道写真家で全国の鉄道を訪れている広田尚敬さんとキャンペーンに協力したJR四国の長戸正二常務、それに筆者が加わったローカル鉄道の今後を考える車内座談会となった。「駅に人が集まる施設を併設“駅をおもしろくしては”」や「ほかの交通機関と幅広く連携して、使いやすい鉄道に」「駅を中心にしたまちづくりができればローカル鉄道の将来は明るい」などの活発な発言があり、有意義な約30分の車内座談会であった。

 ところで今回の広域連携をとりもったのはJR四国が保存していた約半世紀前の1965年ごろ四国各線の急行増発の際、デザインされていたヘッドマークであった。円板に「急行」の赤文字を上半分にラインカラー(予讃線―青、土讃線―赤、高徳線―緑)の地色に白文字で下半分に「新車名」を表示したデザインとなっている。1960年当時、列車の増発で急きょ作った簡単なものである。

 このマークのデザインに四国での勤務経験があり、当時本社の営業担当だった筆者が関わっていたので、招かれたのだと思う。このデザイン以前と思われる応急のマークは急行廃止までJR化後も長く使われたあと、大切に保管されていた。

 そして、両地連携観光の象徴としての役割を果たし得たことには、当時の関係者の1人として感慨深いものがあった。 

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

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