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「提言!これからの日本観光」 “セパレートツーリズム”を

2021年12月16日
編集部

2021年12月16日(木) 配信

 事態宣言解除を受けて少しずつではあるが国内観光客も戻り始め、観光地や観光業界にも安堵感が広がりつつある。今後も求められる対コロナ警戒態勢のもとで、またコロナ禍以前の観光ブーム時の反省から、これからの「観光」は単なる復活ではなく、今後の観光ニーズに応える「新しい観光」でなければならないと思う。

 まず、いわゆるウィズコロナ下での「観光」となるため蔓延防止のカギともいうべき「密」を避けた観光であることが求められる。

 そこにはコロナ禍直前の外国人観光客急増によるブームでの反省がある。季節、曜日、時間、さらには特定地域への観光客の集中(混雑)による観光公害とさえ言われた異常事態の再来を防ぐことなどが「新しい観光」展開の着眼点となろう。

 「新しい観光」の「目標」を一言で示すならば「分散型観光(セパレートツーリズム)の展開」である。

 例えば季節、曜日による観光の集中を防ぐことである。観光地によっては混雑期(季節曜日)の観光客で市民の日常生活に支障するような交通機関など観光施設の異常混雑が生じていた。このため季節、曜日の観光の波動を平準化する「分散」観光が急務だ。

 そして、観光の時間が昼間時に集中することから生ずる観光地の混雑を防ぐため「観光」の有効時間帯を拡げ、時間別に観光客の「分散」を期すことである。

 さらに特定地域への集中から国内各地に満遍なく観光客を迎える目的地の「分散」である。

 また、第4に観光行動の内容(観光手法)の多様化も必要だ。見物と温泉、観光中心から学習や体験など幅広い「観光」としたいものと思う。

 今後のウィズコロナ下における「観光」は「密」の回避が求められるが前記各項の「分散」に加えて交通や宿泊、供食などの観光インフラの利用に際して、いわゆるソーシャルディスタンスをとった「密回避」の徹底が求められる。

 諸目標実現のためには次のような対応が必要となる。

 季節と曜日、波動の「分散」には、有給休暇の活用のほか、観光施設などの利用料金の季節曜日別の弾力的設定が求められる。

 観光時間の「分散」については既に早朝の寺院(座禅体験など)訪問、夜景観光、深夜漁の体験観光などが試みられているが24時間常時観光可能な資源開発と工夫が必要だ。

 また、地域「分散」については交通宿泊など観光インフラ整備(とくに地方)が前提となる。観光手法の多様化のためには、集中度の少ない産業観光(農漁業観光を含む)や街道観光、農漁業観光などの普及をはかることが考えられる。

 これらの目標が実現すれば国内観光は一段と質的に充実する。またコロナ禍への対抗も可能な持続的観光として定着発展できるものと確信する。そのためには、観光情報の充実と情報システムの整備・拡充からスタートすべきと考える。

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

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