「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(188)」 観光はマネージメント力(広島県呉市)

2020年9月27日(日) 配信

平清盛ゆかりの遣唐使船(復元船・長門造船資料館)

 観光の成功は必ずしも「資源」の優劣ではない。事実、優れた資源があるのに、観光的にはほとんど無名の地域も少なくない。逆に、いわゆるA級の資源はなくても多くの観光客を惹きつけ、成功している地域もある。この違いは何なのか。

 結論は、地域における「マネージメント力」の差であろう。顧客価値の変化を捉え、観光としての資源性を見抜き、新たな価値創出のために編集加工する。同時に、これらを持続的な事業として組み立て「稼ぐ力」を生む。これが広義のマネージメント力である。

 言うまでもなくマネージメント力の源泉は「ヒト」。つまり、優れた人材を発掘し、育てることができなければ事業は成功しない。観光の究極の資源は「ヒト」と言われるが、それはこういうことなのである。

 そんな観光人材育成のため、各地で「人材塾」に関わっている。その1つが広島県呉市「くれ観光未来塾」。2016年に始めた第1期では、観光にとどまらず、産業、都市計画、農漁業、土木など17課30人の若手行政職員が集まった。その狙いは、第2期から始める民間塾のための行政側のサポート人材、体制の構築であった。

第3期くれ観光未来塾の期末発表風景

 民間事業者が新たに観光事業に乗り出そうとすると多くの「壁」がある。事業が道路・河川・港湾などに係る場合は、その使用許可が必要だ。古い建物をリノベーションしてホテルや商業施設に転換する場合は、用途変更や建築基準法などの手続きが不可欠。こうした制度条件を比較的短時間でクリアするには、行政側からの支援や誘導が大きな力となる。

 呉市には旧海軍鎮守府時代からの誠に貴重な近代化遺産が数多くある。戦艦大和を建造したドック跡、旧鎮守府庁舎、司令長官官舎跡などもそのまま残っている。呉最大の観光資源である「大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)」は、こうした鎮守府(海軍工廠)時代をテーマとする稀有な博物館である。これらの資源は、他の鎮守府都市(横須賀、佐世保、舞鶴)とともに、日本遺産に認定された。その固有資源と物語をどのように新たに価値付けをしていくのか。新たな関連資源の発掘も進み、かつての戦艦大和の試射場(亀が首)などの整備も進んでいる。

 他方、音戸の瀬戸の外側に広がる島嶼部には、平清盛の時代から造船業にゆかりの倉橋島がある。北前船で栄えた重伝建地区・御手洗や朝鮮通信使の蒲刈などがある「とびしま海道」は近年、海外客にも徐々に人気になりつつある。

 呉市は今年から観光振興計画づくりに着手する。都市インフラや2次交通などの骨太施策は行政主導だが、多くの観光事業は、これらを担う民間事業者の存在が前提である。新たな「官民協働」の成功には、官のリードとともに、民間人材の存在が不可欠であり、これが地域の観光地域づくりの鍵を担っているものと言える。

(東洋大学大学院国際観光学部 客員教授 丁野 朗)

「トラベルスクエア」HTBの神近さんご逝去

2020年9月26日(土) 配信

 

 2001年4月から04年3月まで、窓を開けると眼下に広がるのはオランダの町と海のパノラマというところに住んでいた。

 なんのことはない、01年長崎国際大学という大学に教授として着任した僕に社宅として与えられたのが、ハウステンボス(以下HTB)を見下ろせる丘の上に立てられた新品のマンションだった。大学はそこから歩いても15分くらいのところにあった。

 本当に贅沢な待遇で、HTBの景観は見飽きなかったし、教職員、学生には無料パスが支給されているので、朝から晩まで自由に出入りできた。

 やはり、HTBは朝ぼらけが一番。パーク内のホテル居住者と僕らのような関係者だけが正式開門時刻前に入ることを許された。午前7時前くらいにパークに入ると、爽やかな風が通り抜け、お店は1つも開いていないが(本当はよい香りのするパン屋さんくらい開いていてほしかったけど)、レンガの道を踏む自分の足音がきれいにリズミカルに聞こえる。

 これがHTB創業者の神近義邦さんが作りたかった静謐で、心豊かで、清々しく、エコロジカルな都市というものだろうな、と感じてたものだ。神近さんはそれを千年王国と呼んでいた。

 当時、東京ディスニーランドをしのぐスケールで開業したHTB創業者、神近さんが9月5日、長崎県・西彼町で静かに息を引き取られた。

 今振り返ると、この2200億円の巨費を調達した時の神近さんは、50歳になる前だった。その若さで興銀から融資を引き出し、自分の夢を実現した体力、気力は大変なものだ。僕は雑誌の編集者としても、大学関係者としても神近さんにお会いする機会が多々あった。とくに、エコロジーに関する弁舌は熱意があふれていたなあ。

 護岸をコンクリートにせず、石積みで行った結果、白鳥なども容易に上陸できて一つの景色になったし、排水を真水に戻す水質管理システムは今でも日本のトップクラスではないか。排出するCO2を森に還元することなどもやっていた。

 神近さんは、それなりのあくの強さを感じないこともなかったが、帰り際にさりげなくプレゼントをしてくれた。高価なものではなく、売店で売っているようなものを、但し、神近さん自ら相手の履歴、好みを事前に推測して選んでいたそうだ。やはり、人心収攬術は一流だった。

 その後、さまざまな経緯を経て現在はHISの経営のもと、次々と娯楽施設を導入し、大規模アミューズメントパーク化しているのは、ご案内の通り。

 神近さんは潔く一切のコメントを発しなかったようだ。神近さん、千年王国の夢を、こころいくまでみてください。

 

コラムニスト紹介

松坂健氏

オフィス アト・ランダム 代表 松坂 健 氏=1949年東京・浅草生まれ。1971年、74年にそれぞれ慶應義塾大学の法学部・文学部を卒業。柴田書店入社、月刊食堂副編集長を経て、84年から93年まで月刊ホテル旅館編集長。01年~03年長崎国際大学、03年~15年西武文理大学教授。16年~19年3月まで跡見学園女子大学教授。著書に『ホスピタリティ進化論』など。ミステリ評論も継続中。

 

 

2021年度は33%減の460億円要求へ 観光再生と新たな展開目指す 観光庁予算概算要求

2020年9月25日(金) 配信 

観光庁

 観光庁は2021年度予算の概算要求で、前年度予算比33%減となる460億570万円を求めた。このうち、一般会計は167億5700万円、東北復興枠は3億円と前年度予算並みを要求。税収が減少した国際観光旅客税(出国税)を活用した観光施策の展開には、290億円(同43%減)を計上した。観光の再生と新たな展開として、主な事項要求に「働き方改革とも合致した『新たな旅のスタイル』の普及・定着」など3点を求めた。【馬場 遥】

 

 

 21年度予算はなるべく簡略化する目的で、要求額は基本的に対前年度同額とし、そのうえで、新型コロナウイルス感染症への対応や緊要な経費については、上限額なしの「事項要求」として、別途所要の要望を行うことができる。今後の感染状況や観光需要の動向なども踏まえ、国際観光旅客税の歳入見通しも考慮し、年末に向けて予算編成過程で検討する。

 観光庁はこの枠組みのなかで、感染症・自然災害などで大きな打撃を受けた観光産業の事業継続や雇用維持に「引き続き全力を尽くす」と、支援を続ける意向を示した。そのうえで、金額を示さない「事項要求」で、地域経済を支える観光の再生に係る取り組み・支援や、インバウンド再開を見据えた取り組み、その他必要な施策について増額を求めた。

 このほど示した3点以外の追加事項要求について、観光庁総務課の野口透良企画官は、「Go Toキャンペーンに充てられた予算は1・35兆円となる。始まってまだ2カ月ということもあり、まずはこれを使い切っていくのが至上命題」との考えを示した。

 出国税は例年では前年度4~3月の出国者実績で算出している。例年の算出方法を踏襲しながらも、新型コロナ感染拡大による渡航制限でインバウンドが99・9%減という現状を鑑み、昨年8月~今年7月までの出国者数(約2900万人)で算出した。

 21年度の出国税を充当する予算に関しては、既存政策の財源の単なる穴埋めをするのではなく、①受益と負担の関係から負担者の納得が得られる②先進性が高く費用対効果が高い取り組み③地方創生を始めとする日本が直面する重要な政策課題に合致する――の3点を基本的な考え方とした。

 具体的な施策・事業については、硬直的な予算配分とならず、毎年度洗い替えが行えるように、観光戦略実行推進会議において、民間の有識者の意見を踏まえつつ検討を行い、予算を編成する。

 

税制特別支援措置 運輸局と求める

 今回観光庁独自の税制改正要求はなく、運輸局ともに、新型コロナ感染拡大によって需要減となった観光業・交通運輸関係業界に対して、税制特別支援措置を求める。

 施策の背景として、貸切バスは運送収入が前年同月で7割減となった事業者が84%、航空業界は国際線輸送人員が97%減となった。宿泊業界においては、売上が前年同月5割減となった事業者が61%にのぼり、80%を超える事業者・施設が資金繰り支援を活用した。

 このことから、今後とも税制支援措置などを活用した資金繰り対策が必要不可欠として、資金繰り対策に資する所要の措置を要望した。

 

 

事項要求の3本柱


観光再生・新展開へ 新しい旅のスタイル 

 新たな施策イメージとして、「働き方改革とも合致した『新たな旅のスタイル』の普及・促進」を挙げた。

 民間企業において長期休暇が取得しづらい、特定の時期に一斉に休暇を取得する、宿泊日数が短い――などの問題点を挙げ、特定の時期や場所に集中して混雑や密が生じやすかった旅行需要の平準化を目指す。

 テレワークの普及も踏まえて、リゾート地や温泉地などで余暇を楽しみつつ仕事を行うワーケーションや、出張などの機械を活用し出張先で滞在を延長するなどして余暇を楽しむブレジャー、企業や団体の本拠から離れたところに設置されたオフィスで仕事を行うサテライトオフィスなどの普及も促進させ、より多くの旅行機会を創出する。

 

DXでサービス変革観光需要の創出目指す

 デジタル技術と観光資源の融合で、従来の形に捉われない新しい観光コンテンツ・価値を生み出し、「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による観光サービスの変革と観光需要の創出」を実現する。

 オンライン空間上でのツアーを通じて観光地の情報収集や消費の機会を提供する。

 高精度測位技術(位置情報などに使用される)や5Gなどのデジタル技術を複合的に活用し、文化芸術や自然などの既存の観光資源を磨き上げ、新しい観光コンテンツや価値の創出を目指す。

 観光エリアの経営・マネジメントの変革も行う。ホテルの部屋の施錠やショッピングに顔認証を活用し、鍵や財布を持たない「手ぶら観光」を提案する。また、予約・購買・行動などに関するビッグデータの利活用拡大などの可能性を調査する。

 

宿・地域・事業者が連携し新たなビジネス

 宿泊施設を核とした、地域における新たな観光ビジネス展開を支援する。

 宿泊施設の取り組みとして、ゆったりと過ごせる客室や3密を避けた露天風呂付き客室の改修プランを作成し、高付加価値化を促す。

 非接触型チェックインシステムや、飲食スペース・大浴場などの混雑状況を見える化し、先進的な感染症対策を行う。

ワーケーション体制整備の改修などを支援する。

これらの取り組みで宿泊施設の魅力を向上させ、誘客増を目指す。

 宿泊施設、地域施設、旅行会社、交通事業者などがそれぞれ連携した、宿泊客がワンストップで多様な選択肢の中からさまざまな地域の魅力を選べる観光体験の提供を支援する。

 地域においての長期滞在を実現するための新たな観光ビジネス展開を促す考えだ。

 


 

 

前年度に続き訪日プロモにも注力する

 観光庁は、戦略的な訪日プロモーション施策では、8300万円の内数(JNTO運営費交付金)を計上した。

 新型コロナの収束を見極めつつ、2030年訪日外国人旅行者数6千万人などの達成に向けて、感染収束後の旅行動態の変化を見据えた取り組みを支援する。また、訪日客回復に向けた既存のプロモーションを強化する。

 なお、予定していた訪日プロモーションについて、入出国を伴う事業は来年度以降に延期(交付金は繰り越し)する。オンラインで実施できる事業などは、感染状況を確認しながら開催か延期の判断をしていく予定。

 教育旅行を通じた青少年の国際交流も、世界的な感染拡大の影響を受けているが、再開・回復に向けた取り組みを支援する必要があるとして、予算に300万円を要求した。

 訪日外国人旅行者受入環境整備に対し、多言語翻訳システム機器や無料Wi-Fiサービスの提供拡大、キャッシュレス決済の普及、バリアフリー化の推進などを進めていくとして、5620万円を計上した。

 サーモグラフィーや非接触体温計の導入などで、感染症対策において地方自治体、DMO、宿泊施設が行った先進的な取り組みはモデル事業として支援する。

 観光統計の整備は、「観光施策の企画・立案のために極めて重要」(同庁)として、前年と同額の653万円を求めた。都道府県や、さらに詳細な地域レベルの旅行者数などを把握することで、地方への誘客や消費の拡大など、地方創生に資する観光施策への展開を行う。

 日本人の旅行に関する意識調査も行い、旅行需要が減少するなかで、需要回復期にその勢いをより一層加速させる施策を行うため、定点観測により旅行に関する意向の変化を明らかにする。

 

 観光振興推進と災害に定員要求

 

▽「新たな旅のスタイル」の普及・促進事務
 本庁2人
▽「新たな旅のスタイル」に合わせた魅力的な滞在型コンテンツ造成のための事務体制
本庁1人、各地方運輸局10人

▽災害・感染症対策事務
 本庁2人、運輸局9人
▽訪日外国人旅行者の安全対策事務
 本庁1人、運輸局1人

▽改正バリアフリー法の成立に伴う事務体制構築
 本庁3人

▽宿泊施設の再生・再建及び投資促進に向けた事務
 本庁1人

全旅連、山口県で全国大会開く 情報発信の拡大へ強い意志示す

2020年9月25日(金) 配信

全国大会には一部の役員らのみが出席した

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(多田計介会長、1万5402会員)は9月24日(木)、山口県下関市の生涯学習センターで第98回全旅連全国大会を開いた。今年は新型コロナウイルス感染防止のため、一部の役員など約40人が出席した。会員にはユーチューブを使ったライブ配信で会場のようすを伝えた。新型コロナウイルスの感染拡大で宿泊業界は深刻な状況が続くなか、多田会長は「これまで各都道府県の理事長までだった情報発信の対象拡大を強い意志で実行する」と決意を表明した。

多田計介会長

 多田会長で冒頭のあいさつではコロナ禍での同会の役割として、厚生労働省や観光庁、自由民主党の観光産業振興議員連盟などに事業継続の支援を要望したことを報告した。

 結果として「厚労省の貸付制度の創設などの金融施策をはじめ、固定資産税とNHK受信料の減免が行われた」と実績を強調した。

 一方で一部会員からは「全旅連は働いているのか」という厳しい声も挙がったという。これを受け、多田会長は「これまで本部から各県の理事長まで情報を発信していたが、より広く伝えたい」と説明した。

 第23回「人に優しい地域の宿づくり賞」では、厚生労働大臣賞に、月岡温泉旅館協同組合・月岡温泉観光協会・合同会社ミライズ(新潟県)の「月岡温泉まちづくり事業『歩いて楽しい温泉街へ』」が受賞した。

 表彰式では組織名と活動テーマを読み上げ、授与式などは見送った。賞状と記念品は各県の事務局に送付する。

 次回の開催地は福島県に決定した。東日本大震災から10年の節目を迎え、復興状況をアピールする。

来年は福島県で開催する

貸付制度など紹介 コールで結束も強める

 全旅連全国大会の前日には全旅連常務理事(各県理事長)・理事合同研修会を開いた。同会には各県の理事長ら約60人が参加した。

研修会には約60人が参加した

 登壇者は厚生労働省の医薬・生活衛生局生活衛生課課長の成松英範氏と観光庁観光産業課課長の多田浩人氏、全旅連ウィズコロナ調査研究会の大木正治座長。

 成松氏は新型コロナウイルスの影響を受けた宿泊施設に向けた貸付制度や、ガイドラインに沿った宿泊施設に感染防止対策取組店証のステッカーを配布することを紹介した。

 多田氏は、政府系金融機関の資金繰り支援策と雇用調整助成金の特例延長のほか、Go Toトラベル事業の制度などを説明した。

 8月24日(月)に発足したコロナ禍における組合員の資金調達や予約状況を調査する全旅連ウィズコロナ調査研究会(大木正治座長)は、8月31日(月)~9月17日(木)までに実施したアンケートの回答結果を発表した。

 これによると、20年8月の売上金額の調査が前年に比べて50%に満たない会員は54・6%に上ることが分かった。さらに、現在の予約状況が続いた際に許容できる期間については「年内いっぱい」が30・2%を占め、厳しい状況が浮き彫りになった。

 今後の活動として、「9月のシルバーウィーク多くの宿泊施設で予約数が増加している」(大木座長)として、具体的な状況を集計する。回答結果を踏まえて、厚労省や観光庁、自由民主党の観光産業振興議員連盟に要望書を提出する考えだ。

 最後には、参加者全員で「頑張ろうコール」を行い、結束を強めた。

頑張ろうコールのようす

潜在的旅行者に情報発信 えひめデジタル旅行博 愛媛DMO

2020年9月25日(金) 配信

えひめデジタル旅行博 配信内容例

 愛媛県観光物産協会(愛媛DMO)は10月11日(日)、「えひめデジタル旅行博」をオンライン上で開く。新型コロナウイルス感染拡大の影響で伝統行事や例年のイベントが中止となるなか、「完全オンライン」という新しい手法で愛媛の「旅マエ」情報を潜在的旅行者に発信する目的。

 愛媛への旅に関心を持つ、国内外の個人や全国の事業者を対象とする。

 配信内容は、サイクリングで巡る四国1周、オープンエアーのカフェ紹介、県内自治体・地域DMOによる観光地からの現地中継――など、ウィズコロナ時代の新しい旅の情報を発信する。

 出演者は愛媛DMO、同県内自治体・観光協会、DMO、県内メディア、インフルエンサーなど。出演者と参加者のコミュニケーションを促進する場を提供することで、愛媛の観光の周知を目指す。

 同イベントは、事前登録制で参加費は無料。一般・事業者の事前登録は「えひめデジタル旅行博2020 愛媛県観光物産協会」の特設HPから受け付ける。

 10月11日(日)の午後12時45分~午後5時45分に、公式EventHub上で開催する。

 また、イベント開催に先立ち、10月1日(木)からオンライン会場内で商談を含めた交流が可能。

 同協会は、「感染症対策と経済活動の両立に向けた機会を提供し、地域活性化を目指す」とした。

NAA、8月の発着61%減 国内は旅客も改善傾向に

2020年9月25日(金)配信

田村明比古社長が空港運用状況を説明した

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)が9月24日(木)に発表した8月の発着回数は、前年同月比61%減の9415回、旅客数は同91%減の38万284人と大幅に減少した。国際線は新型コロナウイルス感染拡大の影響で発着回数、旅客数が大幅減となった一方、国内線はどちらも2カ月連続で改善傾向がみられた。

 発着回数の内訳は、国際線が同67%減の6098回と引き続き落ち込む一方、国内線は38%減の3317回と前年同月比は先月よりも改善した。

 旅客数でも、国際線が同97%減の11万2959人。このうち、外国人旅客数は同97%減の3万8139人だった。国内線は同66%減の26万7325人と大幅減だが、発着回数と同様に前年同月比は先月よりも改善した。

 田村社長は国内線の改善傾向について、LCC(格安航空会社)のピーチ・アビエーションが釧路線、宮崎線の新規就航や、夏季休暇などに伴うLCC各社の復便が改善を後押ししたとの考えを示唆。8月は「前月比で発着回数は1.6倍、旅客数は1.4倍に増加している」と好調に推移していることを報告した。

 同日には、9月1~19日までの発着回数と旅客数も発表した。発着回数は国際線が前年同期比84%減の1547回、国内線は同61.5%減の1101回。旅客数は、国際線が同97%減の2万5900人、国内線は月次集計のため未算出とした。

 さらに、田村社長は9月19~22日までの4連休を集計した速報値を報告した。「第3ターミナル(LCC専用)の国内線の出発旅客数は4日間の合計で2万1千人、1日平均は5250人。前年同月は2回の3連休があり、それぞれ1日平均が7290人と、6700人だった。比較すると一定の回復がみられる」と振り返った。

第1ターミナル施設、10月25日から一部再開

 同社はあわせて、10月25日(日)から第1ターミナルの国内線エリアの供用を再開すると発表した。4月20日(月)から閉鎖していたターミナル施設のうち、ピーチ・アビエーションが第3ターミナルから第1ターミナルに移転することに伴うもの。

 田村社長はこのほかの閉鎖施設の供用再開日については、再開の目途が立ち次第改めて伝えるとした。

支援措置の延長決定、来年4月まで

 同社は、9月まで実施していたテナントや着陸料、搭乗橋使用料などの支払猶予措置を、来年4月までの6カ月間延長すると決めた。

 田村社長は「国内線は少し回復基調がみられるが、依然として本格的な回復はない状況。引き続き関係者に対する支援が必要だ」と措置延長の趣旨を説明した。

10月1日、ホテル椿山荘東京で「東京雲海」の一般公開始まる

2020年9月25日(金)配信

庭園の4分の3を雲海で覆う

 ホテル椿山荘東京(東京都文京区)は10 月 1 日(木)、「東京雲海」を一般公開する。

 ノズルを用い雲や霧と同じ10~20㍈の細かい水の粒を均一に発生させることで作られる、日本最大級の霧の庭園演出。庭園全体の4分の3が雲海に包まれ、建物から庭園を見下ろすと幻想的な景色を望むことができる。

庭園内散策時には、霧に包まれ、幻想的な光景が楽しめる

 雲海の演出は朝、昼、夜の一日に数回(数分程度)行われる。天気や季節、湿度、風に影響され、見るタイミングによって異なった景色を生み出すという。

 庭園を散策している人が少ない早朝と深夜には、雲海の量を増やした大雲海を発生させる。

 両時間帯の大雲海が楽しめるのは宿泊者のみとなることから、部屋から大雲海を楽しめる宿泊プランも造成。このほか、ホテル内各レストランでの雲海をイメージしたディナーコースの提供や、期間限定スイーツの販売、野外ディナーイベントなども実施する。

 東京雲海は、ホテル椿山荘東京が同日からスタートする「庭園プロジェクト」の一環として行われる。

 同プロジェクトは開業70周年を迎える2022年に向けて進められるもので、現代技術を活用した演出と、受け継がれてきた想いを掛け合わせたさまざまな企画を実施。メインプロジェクトに、「椿山」復活プロジェクトを掲げている。

 ホテルが位置する場所周辺(東京都西北部目白台)は、江戸時代の地誌などによると、南北朝のころには既に椿が自生する景勝の地で、「つばきやま」と呼ばれていたという。ホテルではこの当時の「つばきやま」の景観の再現に挑戦するべく、1万本の藪椿を植樹。今年は1千本を植樹する。

 ホテル椿山荘東京はこのほか、同プロジェクトとして「千の光のライトアップ」や「聴蟲(むしきき)&時の鐘」やオーディオガイドの提供開始など、併せて6つの取り組みを展開

 。「千の光のライトアップ」は、2008年に開始した庭園のライトアップの12年ぶりのリニューアルで、木々を一本一本丁寧に1千灯の LED投光器でライトアップすることで、都会のイルミネーションとは一線を画したやさしい光で、庭園の魅力を映し出すという。

KNT首都圏、「Remote(リモート)修学旅行」売り出す オンライン拝観も

2020年9月25日(金) 配信

薬師寺の法話(イメージ)

 近畿日本ツーリスト首都圏(KNT首都圏、大原浩社長)は9月23日(水)から、首都圏エリアの中学校を対象に「Remote(リモート)修学旅行」を売り出した。オンラインとリアルを駆使し、ウィズコロナ時代の新たな旅行スタイルとして提案していく。

 主な特徴は①吉本興業所属の芸人が総合司会②オンライン薬師寺拝観③「らくたび」がプロデュースするクイズ大会④文化体験プログラム――のメニューを柱に、すべてまたは一部を学校の希望に応じて提供する。

 リアルの修学旅行の主な訪問地である京都や奈良を、各学校の教室や体育館に再現。吉本興業所属の芸人がオンラインで登場し、修学旅行がスタートする。オンライン薬師寺拝観は、クラウドサービス「Zoom」を活用し、薬師寺の僧侶が法話や境内の案内を行う。文化体験プログラムは、オンラインで講師の解説を聞きながら、伝統文化を体験。漆器や舞子鑑賞、狂言など、15のコンテンツを用意している。

 拝観やクイズ大会など、1メニューの所要時間は50分~1時間で、学校の標準的な授業時間に合わせて構成している。すべてのメニューを実施した場合、午前中の1~4時間目の授業時間に相当の約3時間40分を要する。料金は、1人5000円と文化体験プログラム代(1100~4800円)となる。

 同社団体旅行部の担当者は「今春、新型コロナウイルス感染拡大の影響で修学旅行が中止になった3年生を中心に、既に6校から申し込みをいただいている。今後の状況をみながら全国に展開していく」と期待を寄せた。

コロナ禍の出張をサポート 「#これからの出張」キャンペーン スタート

2020年9月25日(金) 配信

どうしても出張に出なければならないビジネスパーソンをサポート

 オンデマンド型シャトルサービス「スマートシャトル™」を展開するNearMe (髙原幸一郎社長、東京都中央区)はこのほど、「#これからの出張」キャンペーンをスタートした。

 どうしても出張に出なければならないビジネスパーソンが対象で、羽田空港―都内15 区間の送迎料金が、期間限定で約半額になる。

 既存の公共交通機関を補完する新たな移動サービスとして、独自のAI(人工知能)を活用し、最適なルーティングを行い、同乗者が事前にわかる特定少数での移動と換気や消毒などのコロナ対策をしながら、コロナ禍の出張をサポートする。

#これからの出張概要

発着点:

羽田空港第1、第2、第3ターミナル。東京都千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、豊島区、江戸川区内の指定場所

料金:羽田空港―東京15区、1,490円(通常は、2980円、税込)

※2人以上同時に予約した場合、1人分が割引の対象となる。

予約日時:9月24日(木)〜10月23日(金)、午後11:59

利用可能回数:

1人1回まで(キャンペーンサイトに記載されているクーポンコードを入力)

※日程により混み合う場合がある。申し込み後に配車を確定するため、必ずしも希望日程の配車が確定できるとは限らない。

JNTO、地域との連携強化へ 金子理事「我われのノウハウを地域の人々と共有」

2020年9月25日(金) 配信

金子正志理事

 日本政府観光局(JNTO)は9月24日(木)、東京都内の本部で会見を開き、今年度後半の取り組みについて説明を行った。金子正志理事は「JNTOが持っているノウハウを地域の人々と共有していく」と語り、ウィズコロナ時代に向けて地域との連携を強化していく考えを示した。

 インバウンド再開に向けて、①国際観光交流再開に関する情報の収集・発信②地方自治体・DMOへの訪問、コンサルティング及び関係強化③オンラインセミナーを通じて海外の最新市場動向などの提供④将来の富裕層などの誘客に資する海外の組織・法人との連携強化⑤将来の訪日需要喚起に向けたプロモーション基盤の整備⑥JNTOのガバナンス・マーケティング機能の強化――を軸に進めていく。

 地域との連携は、オンラインセミナーやコンサルティングを通じて、海外市場の最新動向情報やノウハウを共有し関係を強化していく。具体的には、海外事務所から生配信する講演、質疑応答を設けるテーマ特化型セミナー開催や、海外事務所長の講演動画配信、海外事務所とのオンライン個別相談会などを実施する。

 情報発信の分野は、これまでJNTOと共有されていなかったDMOや自治体保有の高画質動画を収集。海外事務所から発信する。金子理事は徳島県の作成動画を例に挙げ、「数年間の累積再生数が約100回ほどだったが、北京事務所からウェイボーで発信したところ、1週間で約7万回再生された」と報告した。

 さらに、これまで会員向けに公開していたJNTOの「動画作成ガイドライン」を10月から、一般向けにも公開する。外国人が受け入れやすい作成方法が詳細に記され、広く共有していく。

 金子理事は、外国人の日本に対する旅行意欲は「引き続き高い状態にある」と説明。各国の観光需要回復に合わせて、個別に判断してくことが重要だとした。

 海外で注目されているアドベンチャーツーリズムや、ゴルフツーリズムなどテーマ性のあるツーリズムへの対応は、「可能な範囲で、戦略的に日本の存在感を示していく」と語った。

 また、一部報道で、政府が観光客を除く中長期滞在者などを対象に、来月にも全世界からの新規入国の受け入れを再開する動きがあることについて、金子理事は「仮に報道が事実だとすれば」と前置きしたうえで、「受け入れが広がっていくことはありがたいことであり、(観光客受け入れに)ステップが上がっていく過程の1つだと思う。受入対象国の幅が広く、新しいアプローチとして期待している」と述べた。