鳥取県倉吉市、地域おこし協力隊募集

関金温泉の情報発信を

 鳥取県倉吉市は、関金温泉街の地域おこしのため「倉吉市地域おこし協力隊」を募集している。

 業務内容は、ホームページやフェイスブック、ブログなどを活用した関金温泉と旅館4施設の情報発信や地域イベント、関金温泉旅館組合、各旅館(若女将業務)事業への参加など。募集人員は1人、対象は20歳以上。採用決定後、倉吉市内に生活拠点と住民票を異動でき、普通自動車運転免許がある人。

 勤務は、4週を平均して1週につき29時間を超えない時間の範囲内(土・日曜日、祝日、夜間勤務あり)。雇用期間は、13年6月中から14年3月31日までだが、最長3年まで延長の場合もある。報酬は月額14万5千円で、雇用形態は倉吉市非常勤嘱託職員。制服は貸与(着物など)。受付は5月27日午後5時まで。6月2日に集団面接審査、6月上旬に選考結果通知。採用者は6月中に活動開始の予定。

 関金温泉の開湯は約1250年前。1970(昭和45)年に国民保養温泉地の指定を受け、2011年には、日本の名湯百選に認定された。良質な泉質を持ちながらも、宿泊客の減少が進み、最盛期に10軒あった旅館も現在は4軒のみ。関金温泉では、泉質や地域資源を活用し、観光・健康・介護の分野を連携させ、保養目的の宿泊者を増やす「関金温泉プラチナプロジェクト」を開始している。

 問い合わせ=電話:0858(22)8158。

草津温泉の「御座之湯」、4月25日にグランドオープン

4月18日に行われた竣工式
4月18日に行われた竣工式

 群馬県の草津温泉に、明治時代まであった共同浴場「御座之湯」が湯畑前に再建され、4月18日に竣工式が開かれた。再建を記念してプレオープン期間の4月24日まで無料開放し、4月25日にグランドオープンした。

 御座之湯は源頼朝が入浴したとの伝説もあり、江戸時代から明治時代にかけて湯治場として人気が高かったという。明治期をイメージした木造2階建てで再建され、延べ床面積は約730平方メートル。浴槽は石とヒノキの2種類で湯畑源泉と万代源泉の2種類の掛け流し源泉が楽しめる。入浴後に浴衣に着替え、畳敷きの広間で休憩する「湯治体験」もできる。

 入館料は入浴のみで大人500円、子供(3歳以上12歳未満)300円。湯治体験が大人1千円、子供500円から。プラス2千円で外出用浴衣もレンタル可能だ。営業時間は午前7時から午後9時まで。年中無休。

 特別企画「ちょいな(温泉マーク)三湯めぐり」は1300円で、外出用浴衣に着替えて、大滝乃湯と西の河原露天風呂の三湯めぐりが体験できる。

 草津温泉では、御座之湯を中心とした湯畑周辺の再開発が進んでおり、そぞろ歩きができる「湯治広場」や名物の湯もみショーが行われる「熱の湯」もリニューアルオープンを予定している。

 問い合わせ=草津町役場企画創造課 電話:0279(88)9000。

細田博之氏が会長に、参院選後に法案提出へ(IR議連)

細田博之IR議連会長
細田博之IR議連会長

 超党派で組織する国際観光産業振興議員連盟(IR議連)は4月24日、衆議院議員総選挙後初となる総会を開き、会長に自民党の細田博之衆議院議員が就任した。

 細田会長は「複合観光施設は、景気振興、国際・国内観光の活性化、地方財政におおいに貢献する。同議連は超党派で行う強い意志を持った人の集まり。参議院議員選挙明けに具体的に実現・実行していくよう全力で取り組みたい」とあいさつした。

 

 

 

 

下村博文顧問(現文科相)
下村博文顧問(現文科相)

 顧問の下村博文文部科学大臣(自民党)は、「正しい情報が伝わっていなかったため、PTA関係の人に誤解を持たれていた。これから全国津々浦々をまわって、先頭に立ちIRについて説明していきたい」と語った。

 当議連は超党派で組織され、現在は自民党85人、民主党23人、日本維新の会16人、公明党8人、みんなの党5人、生活の党2人、みどりの風1人の合計140人。今後は、参議院議員選挙後の国会で基本法案を提出し、立法化を目指す。

 

 

 

平沼赳夫顧問
平沼赳夫顧問

 IR議連の役員は次の各氏。

 【最高顧問】安倍晋三(自民党)▽麻生太郎(自民党)▽石原慎太郎(日本維新の会)▽小沢一郎(生活の党)【顧問】石井一(民主党)▽下村博文(自民党)▽平沼赳夫(日本維新の会)▽茂木敏充(自民党)【会長】細田博之(自民党)【副会長】小沢鋭仁(日本維新の会)▽柿沢未途(みんなの党)▽金田勝年(自民党)▽河村建夫(自民党)▽櫻井充(民主党)▽佐藤茂樹(公明党)▽鈴木克昌(生活の党)▽谷岡郁子(みどりの風)▽中山恭子(日本維新の会)▽野田聖子(自民党)▽羽田雄一郎(民主党)▽前原誠司(民主党)▽松野頼久(日本維新の会)▽柳澤光美(民主党)▽山口壯(民主党)▽山本幸三(自民党)【幹事長】岩屋毅(自民党)

 

前原誠司副会長
前原誠司副会長

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ジャルパック・増澤部長に聞く、各サイトの顧客ニーズに対応

国内仕入部 増澤 紀之 部長
国内仕入部 増澤 紀之 部長

 ジャルパックと日本航空(JAL)は、リクルートホールディングスと提携し、JALホームページやじゃらんnetでJAL国内線航空券とリクルートが提供する国内宿泊施設を組み合わせたダイナミックパッケージ商品「JALダイナミックパッケージ」を展開しているが、7月22日からじゃらんで販売する商品を「JALじゃらんパック」として刷新する。一方、今秋から、JALホームページで販売中の「JALダイナミックパッケージ」の宿泊仕入れは、ジャルパックが開発するオンラインシステムに切り替える。販売チャネルに合った商品にすることで、それぞれの顧客のニーズに合わせることが狙い。ジャルパックが4月1日に新設した「国内仕入部」の増澤紀之部長に話を聞いた。

【飯塚 小牧】

 ――4月1日から「国内仕入部」を新設した理由は。

 お客様の購買動向がよりリアルからウェブへ、商品ではパンフレットからダイナミックパッケージへとシフトしている。マーケットも安い商品と高額商品の二極化が著しく、予約の間際化も近年鮮明だ。このような変化に対応していくには、これまで、ダイナミックパッケージとパンフレット商品の仕入れを別々に行っていたものを国内仕入部で一元化し、全体を俯瞰してみる必要がある。

 オペレーションも別組織だったものが、国内仕入部のなかの組織になり、提携施設との窓口が1つになったことで、分かりやすさやスピード感などシナジー効果も生まれる。施設との関係は施設全体の送客を増やすうえで、パンフレットでもダイナミックパッケージでも総合的な対応ができる体制をつくることが重要だ。

 ――これまでのダイナミックパッケージがどのように変わるのか。また、その理由は。

 リクルートホールディングスとは2007年から提携し、1つのダイナミックパッケージをさまざまな販売チャネルで展開している。これを、段階を経て、最終的には当社が宿泊仕入れをしてJALホームページなどで販売する「JALダイナミックパッケージ」と、リクルートが宿泊仕入れをして、じゃらんnetで販売する「JALじゃらんパック」の2つのダイナミックパッケージ商品に分ける。

 なぜ分けるかというと、現行じゃらんnetから予約した「JALダイナミックパッケージ」は、途中からJALのホームページに飛んでしまい、ユーザーの利便性に合ったものではなかった。じゃらんユーザーにとっては、リクルートのさまざまなポイントプログラムと連携し、またそのサイトで完結するものが最適だ。

 一方、JALのホームページ利用者は、こちらもポイントプログラムだが、JALマイレージバンク(JMB)の会員が非常に多い。会員のニーズに合った商品を提供していくためには、我われが自社でシステムを作り、例えばマイルを基軸にしたプランを多く作るなど、よりJALホームページのお客様に沿ったものを提供できる環境にしなければならない。

 消費者のニーズに1つのもので対応するのは難しいタイミングにきている。それぞれのサイトに特化したもので、そのサイトのお客様へのサービスや商品価値を高めていきたい。

 ――自社の新しい宿泊仕入れシステムはどのようなものか。

 新オンラインシステム「ジャルパックeエントリーシステム」は6月中に入力サービスを開始する予定だが、このシステムはダイナミックパッケージに留まらない。現在、JALのホームページには宿泊のみを販売するサイト「JALイージーホテル」がある。こちらもリクルートと提携しているが、これを新システムに切り替えて展開する。航空券と個別に宿泊予約をされるお客様もいるが、JMB会員は飛行機を利用しない場合でもこのサイトで宿泊予約をしている実態がある。規模としては非常に大きいものがあるので、施設にとってはメリットが大きいと考えている。

 JALイージーホテルについては、これまで、当社は施設と直接契約をしていなかったので、新システムの導入で新たに契約を結ぶことになる。また、JALダイナミックパッケージも現在の契約から、新しいシステムをご利用いただくための契約へ切り替えが必要だ。今後は、全国のより多くの施設とお付き合いをさせていただきたいと考えている。我われからお願いすることなので、5月20日から全国で説明会を開いて理解を求めていく。

 新しいシステムには不安もあると思うが、例えば画面は使い勝手のよいものにし、在庫や料金入力などの作業は、サイトコントローラーにも対応していく予定だ。全国に契約窓口やシステムヘルプを行う体制も整え、5月20日からは専用のヘルプデスクとして電話窓口も設置する。

 また、我われは最後発ということもあるので、他社に比べ、システム手数料を非常にリーズナブルに設定したいと考えている。コストメリットでは最も魅力的なものを提案し、しっかり期待に応えていきたい。

 ――自社ダイナミックパッケージ導入後の展開は。

 北海道や沖縄のリゾートなどは、まだダイナミックパッケージが伸びる余地があると考えているので、注力していく。また、東京ディズニーランドが30周年ということもあるので、関東に来るお客様もダイナミックパッケージに取り込んでいきたい。

 ジャルパックは5月20日から、宿泊施設を対象にした新システムの説明会を全国37カ所で44回開く。

 問い合わせ=東日本G(北海道・東北・北陸・関東・中部) 電話:03(5715)8162、西日本G(関西・中国・四国・九州・沖縄) 電話:03(5715)8164。

 主な開催地・日程は次の通り。(時間は全国共通で午前が10時から、午後が2時から)。

 【関西(大阪)】5月20日(日航大阪)【中部(名古屋)】5月23日(名古屋東急ホテル)【関東(東京)】5月31日(ホテル日航東京)▽6月5日(品川プリンスホテル)

岩手DCが国交大臣賞、日本観光ポスターコンクール(日観振)

岩手DCのポスター
岩手DCのポスター

 日本観光振興協会はこのほど、「第61回日本観光ポスターコンクール」の結果を発表した。応募総数234作品のうち、1次審査を通過した52作品のなかから、国土交通大臣賞は、岩手デスティネーションキャンペーンポスター「東北で会おう。岩手で会おう。」に決定した。「受賞は当然といえる作品」など、審査員全員から高い評価を受けた。

 2年ぶりの開催となった今回は、選考過程にオンライン投票を導入するなど、消費者にコンクールの周知をはかった。専門審査会で選定される従来の各賞に加えて、特別賞を設置。併せてオンライン投票結果も発表した。オンライン投票数は投票人数が1万7804人、有効投票数が3万9352票。

 受賞作品は次の通り。

【国土交通大臣賞】
岩手デスティネーションキャンペーンポスター「東北で会おう。岩手で会おう。」(JRグループ/ジェイアール東日本企画)

【総務大臣賞】
千年ロマンポスター「再会NIPPON」(大分県・豊後高田市観光協会/JTBコミュニケーションズ九州)

【観光庁長官賞】
久留米観光ポスター「久留米物語」(久留米観光コンベンション国際交流協会/LOCAL&DESIGN)

【日本観光振興協会会長賞】
新幹線YEAR2012「MOVE YOUR HEART」(東日本旅客鉄道/ジェイアール東日本企画)

【東北応援賞(オンライン投票部門1位)】
世界自然遺産 白神山地(ブナの学校運営協議会〈青森県・秋田県・JR東日本秋田支社〉/ジェイアール東日本企画秋田支店

【審査員特別賞】
家族の絆つなぐ夏の大冒険!ADVENTURE山口(おいでませ山口観光キャンペーン推進協議会〈山口県観光連盟内〉/中国博報堂▽「海街憧憬」夏・冬(函館市観光コンベンション部ブランド推進課/JTBコミュニケーションズ&サポート北海道)

【審査員特別賞(オンライン投票部門3位)】
ヤバイほど、好きよ。(奈良市観光協会/ジェイアール西日本コミュニケーションズ)

【入賞(オンライン投票部門4位)】
満天の金と銀。十勝鹿追町(北海道・鹿追町観光協会/クリエイティブ・ジネン)

【入賞】
Happy!福岡味。FUKUOKAAJI(福岡市経済観光文化局観光コンベンション部観光戦略課/エフエム福岡メディアント)▽大人の休日倶楽部〈岩手DCバージョン〉(東日本旅客鉄道/ジェイアール東日本企画)▽世界遺産自然遺産 小笠原諸島(東京都小笠原村/ディンクス)▽歴史に学べば、未来がときめくNIPPON SPIRIT山口(おいでませ山口観光キャンペーン推進協議会〈山口県観光連盟内〉/中国博報堂▽北本市観光ポスター秋(埼玉県北本市/ジェイアール東日本企画)

創刊1500号記念 提携紙からのメッセージ(韓国 旅行新聞、台湾 旅奇週刊)

東アジアの観光交流拡大へ

 本紙は4月21日号で創刊1500号を迎えた。今号は記念企画として、提携紙である韓国「旅行新聞」発行人の韓政勳氏、台湾「旅奇週刊TRAVEL RICH」總栽の何昭璋氏にメッセージをいただいた。東アジアの観光交流が拡大するなか、韓国、台湾それぞれの観光業をリードする専門紙のトップによる提言を紹介する。

【編集部】

韓国旅行新聞 発行人 韓 政勳(Hahn Jung-Hun)氏
韓国旅行新聞
発行人 韓 政勳
(Hahn Jung-Hun)氏

文化交流と相互理解を促進、韓国 旅行新聞

 「旬刊旅行新聞」の1500号発行を心よりお祝い申し上げます。  

 1500号を迎えるまでに旅行新聞が注いだ格別の努力と使命感にも敬意を表します。1975年創刊以来、これまでに発行された旅行新聞1500号は、日本の観光産業の歩みと歴史そのものです。旅行新聞の読者にも大きな名誉であり誇りだと思います。

 韓国と日本は、歴史的、経済的、社会的に密接な関係に置かれており、観光産業の面でも同様です。何よりも両国はお互いに最大のインバウンド市場です。 2012年に韓国を訪問した全体外国人観光客1114万人のうち日本人観光客は351万人で32%を占め、最も高いシェアを示しました。

 11年に日本を訪れた外来客621万人の中で最も多かった国も韓国人観光客(166万人)でありました。最近の円安に支えられ、日本を訪問する韓国人観光客が大幅に増えており、今年の訪日韓国人観光客の数は大幅な成長率を記録する見込みです。

 両国間の観光交流は経済的な波及効果の面ではもちろん、文化交流と相互理解を促進するという点で非常に重要です。多くの韓国人観光客が日本旅行を通じ、日本の歴史や自然、文化や伝統、料理や芸術を体験して学んでいます。草津、別府、登別など、日本の豊かな温泉資源は韓国人なら誰もが一度は経験してみたいほど魅力的です。日本人観光客も同じ理由で韓流に熱狂し、韓国を旅行すると思います。政治や外交などの外部的な要因に影響を受けずに、観光交流それ自体が意味を持たなければならない理由です。

 しかし、現実はそうではないのが事実です。外交紛争などで観光交流まで萎縮している事例が多く発生したためです。むしろそんなときこそ、観光交流はさらに活発になるべきだと思います。昨年10月末、日本の函館で開かれた第27回韓日観光振興協議会で韓日双方が合意したように、観光交流は両国を取り巻く諸状況の影響を受けず、原則的に推進されることをお勧めします。これにより、2013年の相互観光交流人数700万人という目標も達成することができます。

 両国間の観光交流だけでなく、東アジアの域内交流の拡大も重要な課題です。昨年、訪韓外来客1114万人のうち62%が東アジアの上位3カ国である日本と中国(283万人)、台湾(54万人)の観光客だった点を見ても、東アジアの観光交流の活性化の価値を推測することができます。これは、日本の観光産業にとっても同様です。

 東アジア域内の観光交流を拡大するためには、まず、地方の観光が活性化される必要があります。既存の首都圏および大都市中心の観光交流には限界があります。東アジア各国の地方観光活性化のために、ホテルなどインフラ構築に乗り出して、外国語対応態勢などを備えながら積極的に対応する場合は、各地方の観光インフラの改善効果も収め、地域観光を活性化させることができます。

 このすべてのことを達成するには、旅行専門紙の役割は重大です。1500号を迎えるまでそうしてきたように、今後も平和産業である観光産業の発展を主導する旅行新聞になることを願っています。ありがとうございます。

双方の“報道と発信”が不足、台湾 旅奇週刊

旅奇週刊 總栽 何 昭璋(James Ho)氏
旅奇週刊 總栽 何 昭璋
(James Ho)氏

 「旬刊旅行新聞」1500号の発刊、誠におめでとうございます。

 1975年に創刊されて以来、日本の旅行会社や、旅館・ホテルなど観光業界の総合専門紙として38年間にわたり、業界新聞を掲載、発信に努められ続け、同じく台湾の業界紙「旅奇週刊TRAVEL RICH」としては大先輩の存在であり、学ぶことがたくさんあります。このたび、海外の提携紙として選んでいただき、光栄に存じます。今後も日本国内のみならず、台湾観光業界との交流のオピニオンとしてもますます躍進されることを祈念いたします。

 近年、台湾観光業界のインバウンド市場の状況は、中国観光客の解禁および直行便の就航とともに、中国観光客の数は飛躍的に伸びています。最初は対応しきれない問題点もしばしば発生し、クレームが多発していましたが、行政や民間施設の努力によって、改善しつつあります。交通部観光局も年間800万人の海外観光客の目標も掲げています。

 アウトバンド市場も航空路線の増設、欧米のビザ緩和政策などの原因により、海外旅行目的地の選択肢が増えています。そのなかで、もちろん3・11、円高などの影響もありましたが、訪日旅行は依然不動の地位にあります。とくにこの2、3年は宮崎、鹿児島、岡山、小松、高松、静岡、新潟、函館、旭川など地方空港の定期便就航によって、さらに旅行路線の面が広がり、内容の多様化も感じられ、昔の広域周遊型から「ブロックエリアの滞在型」に変わってきています。広域のウィンドウ見物から、ブロックエリアの自然体験、大都会の繁華街のネオンから田舎の農家生活、量から質へと、訪日旅行の形態が変わりつつあります。

 台湾は亜熱帯にある小さい島国であり、日本に求めるものは、台湾では味わえないものです。シーズン別に春の桜、秋の紅葉、冬の雪など伝統的なテーマに加え、この時期になると立山黒部のアルペンルートは大人気です。そして北海道が、台湾でリピーター率ナンバーワンと言われる理由としては、春、夏、秋、冬の自然景観、そして四季の食事内容、観光ポイントが多大な人気を持っているからです。

 台湾における訪日旅行商品の主流は4泊5日です。就航路線の発着空港をベースに商品を組み合わせ、九州北部の阿蘇火山、ハウステンボスをメインとするツアー商品に対して、南九州の桜島、指宿砂風呂、宮崎の高千穂を構成した商品も人気を呼んでいます。とくに最近の九州の観光列車もJR九州の販促で、台湾での人気も高まっています。山陰山陽、四国なども似たような商品がたくさん造成されており、代表的なテーマを確立するのが絶対な条件だと思います。

 そして、「旬刊旅行新聞」の影響力も台湾に広げています。この近年「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」に選ばれた旅館もツアー商品販売するときの宣伝用語となっています。

 日本の観光立国宣言は小泉首相が掲げて10年、そして観光庁の設立も4年が経って、政府主導の動きを見せましたが、大きな問題点としては各所管の官と県庁の協調性および民間組織、施設との連係プレーが見えていないように思われます。そして人事制度も問題点があり、3年から4年で担当者が替わり、また一から出直す現象もしばしばあります。観光事業の成功は一気呵成ではなく、一貫性にあり、時間とともに実績、経歴の累積で発展していく事業であり、本当のプロを育てなければならないのです。

 また、民間ホテル、旅館施設など対インバウンドの受け入れ態勢はもっと開放的な考えや態度を示していただきたいと思います。東京、大阪、福岡、名古屋など都市圏、北海道を除く、九州、中国、四国、北陸、中部、東北などの地域において、台湾観光客が宿泊しているホテル、旅館はごく一部に集中しており、まだ多くの宿泊施設は受け入れていません。シーズンになると、宿泊施設の予約は台湾旅行社の最大の悩みであります。安定的な宿泊施設の提供が観光事業発展に不可欠な条件です。インバウンドの受け入れを幅広く対応していくことと期待しています。

 情報社会の現在とはいえ、台湾において、日本観光業界に対する報道、発信が依然不足しています。そして、同じく日本でも台湾に対する報道が全然足りないと思っています。日本、台湾とも国内の人口減少、高齢化などの問題があり、観光事業の振興は経済活性化に必要な項目であります。我われ観光業界専門紙の使命としては、業界の良いパートナーとして、お互いにさまざまな情報を提供し、日台観光交流の架け橋としてがんばって参ります。

学観連とサポーター契約、若旦那若女将体験を継続(全旅連青年部)

山口青年部長(左)と林さん
山口青年部長(左)と林さん

 全国旅館ホテル生活生成同業組合連合会青年部(山口敦史部長)と日本学生観光連盟(代表=林日奈子さん/桜美林大学)は4月26日、東京都内で「宿未来プロジェクト委員会」のサポーター契約継続の調印式を行った。2013年度は、第3回若旦那若女将密着体験プロジェクトの開催を目標とした。

 山口青年部長は、「第21代全旅連青年部長として初の公務がこの調印式になった。学観連とは、6年前から一緒に活動を行い、若旦那若女将密着体験プロジェクトは11、12年度と2年続けて行った。日本の文化である宿文化を継承するために若い人にも頑張ってもらい、次の世代に伝えていくことが重要だ。伝える役割を学観連の皆様にも担っていただきたい」と述べた。林さんは、「学観連は観光の発展に貢献しようと、21大学477人の会員で成り立っている組織。設立5年目の若い団体ですが、今後もいろいろなことに挑戦していきたい」と意気込みを語った。

 第3回若旦那若女将密着体験プロジェクトでは、前回の課題にあがった危機管理について(食中毒)の対応やスケジュール管理を徹底し、参加できない学生に対しても情報共有ができる場を作ることを目指していく。また、全旅連青年部のホームページで「旅館・ホテル若旦那直通ダイヤル(仮称)」として、新卒求人希望者の施設概要や勤務待遇、給料などを一覧にした求人サイトの作成を協同で行う。さらに、全旅連青年部員の施設を集めた集団企業説明会をリクルート(リクナビ)などとの共同開催を検討。各10ブロックからの参加を目標としている。

 全旅連青年部は、(1)学観連の活動に対し企業見学や講演会を通し支援を行う(2)学観連と共同事業を企画・開催し、旅館ホテル業界発展の為に相互に努力、連携する(3)学観連との間で将来継続可能な協力体制を構築する――の3点を主な協定目的としている。

山口体制がスタート、変革へ風通しの良い組織へ(全旅連青年部)

山口敦史第21代青年部長
山口敦史第21代青年部長

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の青年部(横山公大部長、1460会員)は4月25日、東京都内で2013年度総会を開き、第21代青年部長の山口敦史体制がスタートした。13・14年度の活動スローガンを「~維新伝心~青年部の協創力で未来を拓こう」とし、策的課題の解決や観光連携の強化、災害支援ネットワークの構築などを重点的に取り組む。

 山口青年部長は「私たちが信念を持って行う青年部活動によって、業界全体が発展していくには、産官学と協力しながら多くの魅力ある事業を実施し、部員同士の切磋琢磨が必要。変革を推進する風通しの良い青年部組織を構築していきたい」と語った。

 山口体制の委員会は(1)総務広報(田辺大輔委員長)(2)財務(佐藤太一委員長)(3)組織Japan(丸山貴義委員長)(4)観光連携(野澤隆義委員長)(5)政策検討(小野真委員長)(6)異業種コラボ(柴田良馬委員長)(7)旅館アカデミー(渡邉玲緒委員長)(8)流通対策(吉村龍一朗委員長)(9)インバウンド戦略(大野昌亭委員長)(10)宿未来プロジェクト(塚島英太委員長)――の10委員会を展開する。これらを統括する副部長は総務広報担当の永田祐介氏(熊本県)、財務・組織担当の永井隆幸氏(石川県)、政策担当の井口智裕氏(新潟県)、研修担当の坂口宗徳氏(和歌山県)、流通事業担当の桑田雅之氏(長野県)、未来事業担当の宮澤知晴氏(愛知県)の6氏。

 各ブロック長は【北海道】金南賢氏(北海道)【東北】齊藤靖子氏(秋田県)【北関東信越】田村佳之(群馬県)【首都圏】窪澤圭(神奈川県)【東海】鈴木安博(愛知県)【北陸】中島勝喜(富山県)【近畿】奥村昌信(京都府)【中国】鈴木治彦(岡山県)【四国】川田昌義(高知県)【九州・沖縄】友杉隆志(福岡県)

 2年間青年部を牽引してきた横山前部長(第20代)は「東日本大震災直後の船出となったが、南相馬市で開いたうまいもん博覧会、沖縄での全国大会、旅館甲子園の開催など2年間最高の経験ができたことに感謝したい」とあいさつした。

 総会修了後には県部長サミットが開かれ、第18代青年部長の永山久徳氏の講演「全旅連青年部と政治のかかわりについて学ぶ会」が開かれた。

ビザ緩和を働きかけ、「夏までに韓国並みに」(井手長官)

 観光庁の井手憲文長官は4月25日の会見で、政府主導で動きを見せ始めた訪日ビザ要件の緩和について、今夏を目途に、韓国並みに要件緩和できるよう、観光庁として関係省庁に働きかけていることを明かした。

 4月23日に開かれた産業競争力会議で安倍晋三首相が東南アジアの訪日ビザ要件緩和の検討を明言し、自民党観光立国調査会が韓国と同レベルのビザ要件緩和などを求める提言をまとめるなど、政府主導、政治を巻き込んでの動きが出始めている。

 井手長官は、訪日ビザ要件緩和について「直接のプレイヤーではないが、関係省庁に働きかけている」と報告。「現在、外務省が治安当局の警察庁と協議を始めたところ」と明かすが、治安を管轄する警察庁の反対は根強く、協議は難航しそうだという。

 観光庁の考え方としては、自民党観光立国調査会が提言した(1)タイ、マレーシア、インドネシアに対しビザ免除(2)ベトナム、フィリピン、インドなどのアジア諸国、ロシアに対し数次ビザ(3)中国の数次ビザの訪問地要件(沖縄、東北被災3県)の撤廃――と同じであることを説明。時期については「夏ぐらいまでを目指したい」とした。

 また、安倍首相をトップに全閣僚で構成される「観光立国推進閣僚会議」が3月に発足したことについて触れ、「観光は観光庁と国土交通省だけでやれることは少ない。閣僚会議ができたことで、政府をあげて観光に取り組み、各省庁が縦割りにならず連携してやっていく体制が強化された」と語った。

No.340 “城崎温泉は一つの旅館” - デジタル外湯券で可能性広がる

“城崎温泉は一つの旅館”
デジタル外湯券で可能性広がる

〈「いい旅館にしよう!」プロジェクトシリーズ(12)〉
 城崎温泉  山本屋

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している旅館や温泉地がある。なぜ支持されるのかを探る「いい旅館にしよう!」プロジェクトのシリーズ第12弾は、2010年にデジタル外湯券「ゆめぱ」を導入した兵庫県・城崎温泉の現状と今後の可能性について、産業技術総合研究所時代に同システム導入のきっかけとなった内藤耕氏(現・サービス産業革新推進機構代表理事)と、城崎温泉・山本屋代表取締役の高宮浩之氏の両氏の対談を行った。

【増田 剛】

≪常に革新的な取り組み ― 内藤氏≫

≪城崎の良い部分を補完 ― 高宮氏≫

■高宮:山本屋は、約1300年の歴史を有する城崎温泉でも老舗宿の一つです。客室数は15室で、立地は温泉街の真ん中に位置しています。私は京都出身で大学時代は大阪で過ごし、その後、8年間リクルートで働いていました。女将の実家の城崎山本屋に来て18年くらいになります。城崎温泉には古文書がたくさん残っていたのですが、1925(大正14)年に発生した北但大震災で温泉街のほとんどが焼けてしまいました。

 震災のあと、「これからどのような町にしていくか」と議論されたときに城崎温泉が選んだのは、「昔に戻そう」という原点回帰でした。「コンクリートの建物など、当時の最先端の建物を作っていたら今の城崎温泉はなかっただろう」と現・中貝宗治豊岡市長も話しています。木造建築でまちをそぞろ歩きできるような、もともとの城崎に戻そうとしたのです。全国どこにでもあるような都市を目指すのではなく、自分たちの固有の土地に根差した、昔からの文化や歴史を大切にしながらまちづくりに取り組んできたのです。

■内藤:城崎温泉の歴史を見ていくと、北但大震災、内湯紛争、暴力団追放などいくつかのターニングポイントがありました。

 

※ 詳細は本紙1502号または5月22日以降日経テレコン21でお読みいただけます。