60代以上が余暇の主役、余暇市場は64兆7272億円(レジャー白書2013)

 日本生産性本部がこのほどまとめた2013年の「レジャー白書」によると、60代以上が余暇の主役となっている現状が浮き彫りとなった。

 10年前の2002年に1人当たりの平均余暇活動参加種目数が最も多かったのは、男性の場合、10代の15・7種目、最も少なかったのは60代以上の10・2種目と、年代が上がるにつれて種目数が減少する右肩下がりの傾向だった。女性も10代が平均17・7種目で一番多く、60代以上は平均8・4種目と最少だった。しかし、12年は、とくに傾向が顕著に表れた男性は、60代以上が平均12・2種目でトップとなった。女性も60代以上が平均11・6種目と10代(13・7種目)、20代(12・1種目)に肉薄しており、過去10年で60代以上が余暇市場の主役へと移り変わっていることが分かった。

 12年の余暇市場規模は前年比0・3%減の64兆7272億円と、東日本大震災と原発事故の影響で、ほとんどの分野で売上を減らした11年と比べ、ほぼ横ばいで推移した。

 なかでも観光・行楽部門は同4・5%増の9兆6330億円と1991年以来の4%台の伸びとなり、好調さが際立った。さらに内訳を見ると、旅館は同1・8%減の1兆3990億円、ホテルは同3・2%増の9790億円、ペンション・民宿は同1・4%増の740億円、遊園地・レジャーランドは同12・0%増の6550億円、旅行業(手数料収入)は同8・7%増の6770億円、貸切バスが同5・2%増の4640億円と、軒並み堅調に推移するなか、旅館の落ち込みが目立つ。

 12年の余暇活動を具体的に見ると、「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」が前年から90万人増加して5670万人と2年連続の首位となった。2位は「ドライブ」(5200万人)、3位は「外食(日常的なものは除く)」(5170万人)。次いで(4)映画(5)音楽鑑賞(6)カラオケ(7)動物園、植物園、水族館、博物館(8)宝くじ(9)ビデオの鑑賞(10)園芸、庭いじり――の順となった。そのほか、「遊園地」が前年から110万人増え、2100万人となり19位にランクされた。

 また、最近5年間で余暇活動をやめた種目と、開始・再開した種目に着目すると、やめた種目では、スキーやボウリング、水泳、パチンコなどが多かった。

 一方、開始・再開した種目では、国内観光旅行や映画などの数値が高かった。

学生13人が参加、初の合同インターンシップ(JATA)

参加した13人の学生

 日本旅行業協会(JATA)は、8月19―29日に初の「合同インターンシップ」を実施した。観光庁主導のインターンシップ事業に協力したもので、JATA会員15社が留学生を含む学生13人を受け入れた。研修を終えた学生たちからは「自分に足りないことが分かった」などの声があり、有意義な経験だったことがうかがえた。

 合同インターンシップは初日、オリエンテーションとして、JATAの越智良典事務局長と日本旅行の矢嶋敏朗広報室長が観光産業、旅行産業について講演した。また、2日目は企業での実習を前にビジネスマナー研修を行った。

 現場体験は6日間の日程で、大手や中小など業態が異なる企業を1人2社ずつ体験。学生はカウンター業務から営業同行、旅行者の案内などを行い、旅行業のさまざまな実務を学んだ。

 8月29日の最終日はインターンシップの総括を実施。「若者を旅行に行かせるには?」を議題にしたグループ討論や旅行会社の若手社員が業界の魅力を語る講演などを行った。

若手社員・中村さんが学生にアドバイス

 そのなかで、2010年入社の近畿日本ツーリストグローバルビジネス支店の中村潤さんが「私が思う旅行業界について」と題し講演した。中村さんは自分の経験を踏まえながら、「学生のうちにやっておくべきこと」として(1)勉強(2)情報に触れる(3)色々な人と話す――をあげ、「旅行を売るというのは高い教養が必要」と強調した。また、「本音」としては「たくさん遊ぶ」「イベントの仕切りをやる(幹事)」「ノーと言わない人になる(選択肢をたくさん持つ)」などもあげ、さまざまな経験が社会に出てから役立つことをアドバイスした。

 すべてのプログラムを終えた学生は「旅行会社は均一なイメージがあったが、会社によってまったく違うと学んだ」と業界のイメージが変わったことや「知らないことが多いことを知った」「幅広い知識が必要だと実感した」など自分自身に対し、改めて気付いたことなどを感想として語った。なかには「この経験を生かし、ぜひ旅行業に進みたい」という力強い声もあがった。

 最後に、JATAの越智事務局長は「これまでの旅行会社に対するイメージと違う部分も同じ部分もあったと思うが、研修を1つのきっかけにしてほしい。さまざまな会社があるので、さらに業界の勉強をしてもらい、全員が旅行会社に入って仲間になってくれたらうれしい」とエールを送った。

 JATAは今回の研修を踏まえ、今後も合同インターンシップを実施していく意向だ。

現状と課題を議論、教育旅行×ニューツーリズム(教育旅行シンポ)

有識者6氏が教育旅行とニューツーリズムを議論

 日本修学旅行協会(河上一雄理事長)は8月23日、江戸東京博物館で第9回教育旅行シンポジウムを開き、「教育旅行をめぐるニューツーリズムの現状と課題」をテーマにパネルディスカッションを行った。

 河上理事長は主催者あいさつで「当協会は4月に公益財団法人となった。今後はより公益性を高め、地域・学校・関係団体の役に立っていきたい」と決意を新たに語った。

 パネルディスカッションでは、河上理事長をコーディネーターに、東海旅客鉄道相談役で日本商工会議所観光委員会共同委員長の須田寬氏、日本観光振興協会常務理事・総合研究所長で多摩大学大学院客員教授の丁野朗氏、東京都立石神井高等学校長の竹内秀一氏、大阪青凌中・高等学校入試広報部相談役で元大阪府公立中学校長会会長の前田勉氏、全国農協観光協会子ども交流プロジェクト事務局長の出口高靖氏、糸魚川市長でNPO日本ジオパークネットワーク理事長の米田徹氏が登壇。ニューツーリズムの定義から、教育旅行の在り方、教育旅行においてのニューツーリズムの現状と課題などまで、それぞれの視点から幅広く語った。

 丁野氏は、「ニューツーリズムは地域資源の編集視点」とし、さまざまな視点から地域資源を編集し、プロモーションしていくことの大切さを強調。また、「地域の総合力が試される」とし、「地域側がマーケットの需要を見えていないことが多い」と課題点を指摘した。グリーンツーリズムが教育旅行では成功しているが、一般旅行者にまで浸透していない理由については、「窓口と商品がない」ことを指摘。「個人では規模が小さすぎて旅行会社が扱えない」との問題点を提起した。

 須田氏は、(1)学習・体験を含む観光(2)地域の人と人的交流があること――の2つをニューツーリズムの特徴に挙げた。また、教育旅行との関わりでは、「ニューツーリズムと教育旅行が結びついてない」ことを指摘。「先生が企画から1歩引いてしまっているので、教育旅行の企画を先生の手に戻すべき。ニューツーリズムではなく、教育ニューツーリズムを教育関係者が作らなくてはいけない」と説いた。

観光庁19%増の114億円、東南アに集中プロモーション、14年度予算の概算要求

 観光庁は8月27日、2014年度予算の概算要求を発表した。観光庁の概算要求は、13年度予算(96億5500万円)に対し、19%増の114億4100万円を計上。国土交通省全体の前年度予算比の平均が16%増、同省内の公共事業以外の前年度予算比の平均が13%増となったことと比較すると、「観光立国を強力に推進する」という同庁の姿勢がうかがえる。政府が推進する成長戦略などの重点施策の特別枠「新しい日本のための優先課題推進枠」には、ビジット・ジャパン(VJ)事業とは別枠で東南アジアに集中プロモーションをかける「戦略的訪日拡大プランの推進」と、「観光地ビジネス創出の総合支援」で合計26億600万円を計上した。また、復興庁計上分の「復興枠」には、前年度予算比55%増の8億9500万円を盛り込み、観光関連の合計では同21%増の123億3600万円の計上となった。
【伊集院 悟】

 概算要求の中身は、(1)訪日外国人旅行者数拡大に向けたインバウンド政策の推進(2)観光地域づくり支援(3)旅行振興――の3本柱となった。

 「訪日外国人旅行者数拡大に向けたインバウンド政策の推進」は、前年度予算比17%増の95億9800万円を計上した。中核となる訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)は同9%減の51億5300万円となったが、VJ事業とは別枠で、政府が推進する成長戦略などの重点施策の特別枠「新しい日本のための優先課題推進枠」に盛り込んだ「戦略的訪日拡大プランの推進」20億600万円を足すと同26%増となる。これまでの5大市場(韓国・中国・台湾・米国・香港)にシンガポール、タイ、マレーシアを追加した8市場に対し現地消費者向けのPR事業を行い、この8市場に英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、カナダ、インドネシアを追加した重点14市場には現地旅行会社向けのPR事業を展開していく。

 「戦略的訪日拡大プランの推進」は、経済成長にともない海外旅行需要が大幅に伸び、ビザ緩和などが追い風となる東南アジアを、5大市場の東アジア各国に並ぶ訪日市場へと育てるために、集中プロモーションをかける。また、1千万人達成後の2千万人目標を見据え、現在年間1万人以上の訪日外国人旅行者がいる市場で、今後大幅な増加が期待できるイタリア、スペイン、オランダ、スイス、フィンランド、ブラジル、トルコに、旅行先としての日本の認知度向上に向けたプロモーションを展開する。

 新規事業として盛り込んだ「宿泊施設の情報提供促進事業」は1200万円を計上。外国人旅行者に事前に、ホテル・旅館などの施設・設備の状況や各種サービスの有無などについて効果的に情報提供できるよう、情報提供項目の精査や関係者などへのアンケート調査、既存サイトの問題点の整理・分析、ガイドラインの策定・活用方法の検討を行う。また、「通訳ガイド制度の充実・強化」に同19%減の2千万円、「国際会議等(MICE)の誘致・開催の促進」に同22%増の4億9500万円、「JNTO運営費交付金」に同4%増の19億1100万円を要求した。

 「観光地域づくり支援」分野では、同93%増の10億5100万円を求めた。「新しい日本のための優先課題推進枠」の新規事業「観光地ビジネス創出の総合支援」は6億円。旅行メディアや地域活性化プランナーなどの「観光地づくりの目利き」と、旅行商品のバイヤーなどの「商品化の目利き」が地域の観光事業者や行政と手を組み、観光地づくりをビジネスにつなげ、自立的・継続的な取り組みを目指す。

 そのほか、継続事業の「観光地域ブランド確立支援事業」は同19%減の2億7900万円、「地域観光環境改善事業」は同14%減の8500万円、「観光地域動向調査事業」は同1%減の3800万円、「観光地域評価事業」は同1%減の4900万円を計上した。

 「旅行振興」の分野では「旅行の安全の確保・向上方策検討調査」に同1%増の2500万円、「ユニバーサルツーリズム促進事業」に同3%増の4千万円を要求。

 そのほか、観光統計の整備に同16%減の4億3300万円、「経常事務費などのその他」に同3%増の2億9400万円を計上した。

 また、復興庁に計上される復興枠では、継続事業の「東北地域観光復興対策事業」に同1%増の2億円、「福島県における観光関連復興支援事業」に同84%増の6億9500万円を要求した。

No.350 楽天トラベル・山本考伸社長に聞く - サイト開発に“スピード感”を

楽天トラベル・山本考伸社長に聞く
サイト開発に“スピード感”を

 今年6月、転身わずか4カ月で楽天トラベル代表取締役社長に就任した山本考伸氏。自社サイトの開発スピードをさらに加速させ、旅行業界で日本一のメンタルシェアを目指すという。訪日旅行を取り扱う海外向けサイトは、デザインやシステムを新たに構築し、国内向けサイト同様にスピード感を持ったホームページへと改新していくと述べた。楽天トラベルはどのようにして他社との差別化をはかるのか、山本社長に聞いた。

【聞き手=増田 剛、構成=内川 久季】

メンタルシェア日本一へ、“楽天モデル”海外へ拡大 

 ――社長に就任されて2カ月が経過しましたが、楽天トラベルに対する印象に変化はありましたか。

■ 私が以前、勤めていたトリップアドバイザーは、アメリカベースのテクノロジーIT企業で、フェイスブックやグーグルにカルチャーが近い会社でした。外から見た、楽天は「稟議があり、しっかり物事を決めてから動く日本的な会社」という印象がありましたが、楽天トラベルがウェブサイト・ウェブマーケティングのスピード感を変えれば「何かが起こる」と思っていました。

 

※ 詳細は本紙1515号または9月17日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

好調なインバウンド ― 東京一極集中でいいのか?

 たまたま歩いた夜の東京・上野のアメ横の最深部は、「ここはどこの国か?」と惑うほど、多国籍化していた。外国人観光客が多いというようなレベルではなく、さまざまな外国人が風景・文化として根付いている印象だ。今、首都・東京の足元では、「日本の中の世界」が形成されており、草の根の部分から国際都市・TOKYOへ変貌しようとしている。「観光立国」を掲げる日本だが、一方で多くの観光地は、観光客が来ない現状を憂いている。日本の観光政策はどこか誤りがあるのだろうか。国内観光も、インバウンドも、東京は好調だが、地方は元気がない。観光においてさえも「東京一極集中」のかたちは、どう考えてもいびつである。

 日本政府観光局(JNTO)がまとめた7月の訪日外客数を見ると、ビザ緩和や、円安による訪日外客数の顕著な増加ぶりは、実績として現れている。7月1日から短期滞在ビザが免除されたマレーシアは前年同月比25・2%増、タイにいたっては同84・7%増と飛躍的に伸びている。ビザ緩和とは関係ない国も好調である。韓国は同28・6%増、台湾は48・7%増、香港は同65・7%増とすこぶる調子がいい。台湾は13年1―7月までの海外旅行者数は前年同期比5・5%増なのに対して、7月の日本への海外旅行者は50%近く伸びている。

 8月1日、4代目の観光庁長官に就任した久保成人長官は、今年の訪日外客数1千万人達成、さらには将来的な目標として2千万人を見据え、早くもビザ緩和が追い風となっている東南アジアに、集中プロモーションを仕掛けていく方針を示した。最大の訪日市場として捉えていた中国との関係悪化が続いている以上、対象地域を多面化していく方針だが、この方向性は決して間違ってはいない。

 今号(7面)から本紙提携紙である台湾「TRAVEL RICH(旅奇週刊)」の最新ニュースを毎月11日号で掲載する。旅奇週刊の国際市場部部長の劉厚志氏は、日本政府のビザ緩和政策を評価する一方で、外客誘致には、地方の航空便路線の普及や、クルーズの誘致などの必要性を強調している。現状のままでは、首都圏や関西圏の宿泊施設は潤ったとしても、それ以外の地方はどうだろうかと疑問を投げかける。劉氏は「山陰、山陽、四国、北陸、東北などに航空路線がつながっている台湾や韓国へのプロモーションをもっと仕掛けるべきではないか」と日本の観光庁にも提言している。

 インバウンド対象国の多面化を推進する反面、受入れ地域の多面化が遅れているのが今の日本の姿である。東京を訪れた外国人観光客を自分たちの市町村や、温泉地に引き寄せることも一つの方法論だが、それぞれの地域が、近隣地域と広域的な連携を築き、外国人観光客をダイレクトに誘致していく手法を、もっと真剣に、磨きをかける必要があると思う。

 国際的な旅行博で都道府県や市町村が単独でブース出展し、PRしても「アクセス方法がよく分からない」という海外の声をよく耳にする。つまり、「アクセスと一体化した観光PRでなければ、あまり意味を持たないのだ」という現実を直視しなければならない。だとしたら、劉氏の言う「海外との路線を持つ地域は、その利点を最大限に活用し、積極的にプロモーションすべき」との主張は傾聴に値する。

(編集長・増田 剛)

大人の遊び、33の富山旅。 秋版17企画実施中

 2015年春の北陸新幹線開業を前に、富山県では「大人の遊び、33の富山旅。」と題した特別体験プログラムを企画。ハンドブックやマップガイドを作成し、県下の楽しみ方を紹介しています。

 
今楽しめるのは秋の17プラン
●高低差4000メートルの世界を感じるトレッキング
●美建築な植物園カフェと100年ガーデンカフェ
●神秘の海へ自然の宝石を探しに行く
●時代に屹立(きつりつ)する前田家の迫真の歴史物語を紐(ひも)解く
●おわらの粋と艶を湛(たた)える美町をチャリさんぽ
・・・などなど。
 
編集者が何度も現地に足を運び、地元が伝えたい思いを旅行者の目線でまとめました。
「来県をお待ちしています!」(高岡万葉大使の川合夏美さん(左)と富山県観光課の古田香織さん
 
ハンドブックは
【富山県】観光案内所、道の駅、空港
【東京】いきいき富山館(有楽町)、トラベルカフェ(亀戸、有楽町、青山)
【大阪】富山県大阪事務所
【名古屋】富山県名古屋事務所 
などで入手できます。
 
プログラムのホームページもお見逃しなく。
 
★春版の16プログラムは来年3月1日から5月6日に実施予定です。
 

「旅行新聞」東京本社 移転

このたび業務拡張の為、本社を9月2日(月曜日)より下記に移転いたしました。
何卒倍旧のご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

【新住所】
〒101-0021
東京都千代田区外神田6丁目5番11号 MOAビル6F
TEL : 03-3834-2718 FAX : 03-3834-3748
(電話・FAX番号は変更ありません)

お近くへお越しの節はぜひお立ち寄りくださるようお待ち申し上げます。 

12年のキャンプ人口720万人、スタイルや価値観広がる(オートキャンプ白書2013)

吉田章会長

 日本オートキャンプ協会(吉田章会長)は7月10日、「オートキャンプ白書2013」を発表した。これによると、2012年のオートキャンプ参加人口は前年並みの720万人だった。今年の白書のテーマは「キャンプスタイルや価値観の広がり」。

 吉田会長は「オートキャンプ白書は、28年間の実績を積み重ねてきた。今回は2012年のデータになるが、単なる過去の状況の報告資料として蓄積するよりも、将来展望の素材として、応用、発展させることに本来の意味があると思う。積極的にご利用いただきたい」と語った。

 近年、オートキャンプブームといわれた1990年代から20年以上が経過し、子供のころにキャンプを経験した人たちが、自分の家族とキャンプに出掛けるようになるなど新しい世代が加わったことで、スタイルや価値観に新たな変化が起こっている。加えて、野外フェスティバルなど音楽イベントとキャンプとの融合や、東日本大震災の影響でアウトドア用品を防災用品として活用するといった意識の変化、女性のアウトドア・アクティビティーへの積極的な参加など、さまざまな事象がオートキャンプに結びついてその普及を後押ししているという。

 12年の1年間のキャンプ回数は平均で前年比0・3回増の3・8回、平均泊数は同0・3泊増の5・5泊と増加。東日本大震災後に続いた自粛ムードの反動や災害時にも役立つアウトドア用品の見直し、気象条件に恵まれたことなどがプラス要因となり、キャンプにとって好調な年だった。

 キャンプ場の収支状況は「黒字」と「収支トントン」と答えたキャンプ場の比率が全体の65・5%と近年で最高値となり、東北を除く地域では、7―8割にのぼった。稼働率は0・6ポイント増の10・8%と震災前まで回復した。

 キャンパーの実態については、キャンパーの年齢は20代から70代と幅広い年齢層にわたるが、30代(42・2%)と40代(41・0%)で83・2%を占めた。子育て世代に相当する人々の間でオートキャンプが広く志向されており、このうち、12年にキャンプを始めた人口は約120万人で約30万世帯にのぼる。

 高速代やガソリン代、キャンプ場使用料、食材などを含むキャンプ費用は1回(1泊2日)当たり、平均1万9583円と前年から1072円減少し、初めて2万円台を割り込んだ。

 一方、キャンプ用品市場は前年比1・2%増の471億円となり好調だった。前年の11年は震災による防災関連用品としてキャンプ用品が活用されたこともあり、2000年以降で最高値となったが、12年はこれを上回った。12年のキャンプ用品はイスやテーブルなどが日常のものよりも地面に近い「ロースタイル」が普及し、そうしたスタイルの家具類が人気を集めた。また、テントなどは低価格帯の入門モデルだけではなく、高価格帯の製品が好まれるようになるなど両極端化していることも特徴だという。

震災前の水準に届かず、延べ宿泊旅行者泊数2・3%減(じゃらん宿泊旅行調査2013)

 じゃらんリサーチセンターはこのほど、全国1万5487人の宿泊旅行者を対象に行った「じゃらん宿泊旅行調査2013」の結果を発表した。2012年度の宿泊旅行実施率は前年度比1・8ポイント減少の55・8%。1年間の旅行実施回数は前年度比0・07回増の2・71回と微増したが、全国の延べ宿泊旅行者泊数は前年度比2・3%減の2億3445万人泊となり、震災前の水準には届かなかった。

 12年度の宿泊実施率は55・8%で、震災直後の前年度57・6%、震災前の10年度56・7%よりも低かった。震災直後の前年度は4―10月ごろまで旅行控えがあったこともあり、減少していた旅行実施回数は微増したが、宿泊旅行実施率の減少が影響して延べ宿泊旅行者数は同1・2%減の1億4505万人回となった。また、1回あたりの宿泊数は1・61泊と微減した。

 宿泊旅行にかけた費用についてみると、全国の宿泊旅行にかけられた費用総額は6兆9299億円で、同1・1%増の回復がみられた。1回の宿泊旅行にかかった費用は4万7600円で前年度より1千円上昇。このうち宿泊・交通で800円の増加だった。旅行手配は、個人手配旅行率が88・9%で震災前の10年度より微増した。

 月別の延べ宿泊旅行者数と費用の変化を見ると、延べ宿泊旅行者数は3月単月が過去5年で最高の旅行件数。月別の1回あたり旅行費用は前年度より7、8月が2800円増、12月が3300円増と繁忙期の旅行費用が大きく増加した。

 都道府県別の延べ宿泊旅行者数はトップが東京都。次いで、北海道、長野県、神奈川県、静岡県、大阪府、京都府、千葉県と続き、そのあとに福岡県と兵庫県が並ぶ。前年度比較の増加数でみると、東京都がトップで206万人増。次いで、北海道、三重県、宮城県、大阪府、新潟県、福岡県、秋田県、栃木県、群馬県と続き、選ばれる宿泊旅行先として、震災直後の西高東低から東へのシフトがみられる。東京スカイツリー開業や東京駅丸の内駅舎復原などの影響で東京が大きな伸びをみせたほか、東北をはじめとする東日本各県、国内LCC就航の影響か北海道、大阪府、福岡県でも延べ宿泊旅行者数の伸びがみられた。

 1次交通手段の変化をみると、国内線LCC就航の影響で飛行機利用旅行が延べ90万人回増。東北新幹線の健闘で関東―東北間を中心に延べ68万人回の増加となった。一方、自家用車利用は延べ473万人回の減少。

 宿泊旅行の同行形態は、「夫婦2人での旅行」がトップで24・1%。続く「1人旅」は調査開始以来8年連続で増加し14・5%。とくに20―34歳男性が23・2%と多く、35―49歳男性は20・9%と調査開始時から8・6ポイント上昇し、ついに2割を超えた。「職場やサークルなどの団体旅行」は5年連続で微減し4・4%、「友人との旅行」も2年連続で減少し13・8%となった。