旅行新聞新社は10月1日付で、福岡県福岡市に九州支局を開設した。支局長には有島誠が就任。
住所、電話番号は〒819―0025 福岡県福岡市西区石丸4―4―14 電話:090(4606)1460。
旅行新聞新社は10月1日付で、福岡県福岡市に九州支局を開設した。支局長には有島誠が就任。
住所、電話番号は〒819―0025 福岡県福岡市西区石丸4―4―14 電話:090(4606)1460。

旅行新聞新社 10月1日発刊
旅行新聞新社は10月1日に、「サービス産業労働生産性の革新 理論と実務」(内藤 耕氏)を発刊した。新書判のサイズで220ページ。定価は、本体1200円(税別)。
少子高齢化による需要の収縮や若年労働力の不足から、人手によって商品が提供されるサービス産業では、労働生産性の革新への関心が高まっている。しかし、サービス産業には、その方法論や、それを支えるツールがないことが大きな課題となっている。
本書では、工学博士で、一般社団法人サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、旅館やホテルを中心に、サービス産業の労働生産性の革新に向けた方法論を、できるだけ具体的に説明している。本紙で6回にわたって掲載してきた「旅館経営教室シリーズ」や、内藤氏へのインタビューなどをもとに加筆・修正し、序章と1―7章までに分け、わかりやすく構成している。
章立てを見ると、【序章】作業プロセスの改革―旅館経営の近代化【第1章】集合モデルを現場に導入―「サービス・キネティクス原則」を提案【第2章】作業の流れをつくる現場―「リアルタイム・サービス法」を提案【第3章】生産性を上げる集客―「集客器理論」を提案【第4章】お客様と多様な情報交換―「おもてなしピラミッド」を提案【第5章】働き方のルールブック―「戦略的就業規則」の提案【第6章】現場の実態に合った労働管理―「稼働対応労働時間制」を提案【第7章】現場を会計的に“見える化”―サービス産業の「管理会計」を提案――となっている。
どの章から読んでも理解できる内容にまとめてあり、旅館・ホテルのみならず、あらゆるサービス産業に携わる人に必読の書である。
問い合わせ=旅行新聞編集部まで。電話:03(3834)2718。
なお、本社のホームページ(http://www.ryoko-net.co.jp/?page_id=97)から予約を受け付けている。
秋になると、品良く薄いデニールのタイツにロングブーツを履いた女性が街を歩く姿を見かける。路上に銀杏の枯れ葉が舞うなか、コートに両手を突っ込んでマフラーに顎を埋め、髪が風に流れていく姿に、秋という季節を感じることができる。
タイやフィリピンなど東南アジアでは、「東京の銀座や表参道、原宿、代官山の街を秋のお洒落をして歩きたい」と夢見る女性が多いらしい。
この感覚は、日本人がパリやミラノ、ロンドン、ニューヨークで格好良く闊歩したいと思い描く感覚に似ている。
東京もそのような都市の一つに挙げられるのだと思うと、なんだか誇らしくなる。
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ヴォーグ米国版元編集長のアナ・ウインターが2011年に東京を訪れたとき、「日本のファッションについてどう思うか?」の質問に、「ニューヨーク以上に独創的で、個性的」と評し、「どんな格好が目についたか?」には、「髪型やカラーリングした髪」と答え、「実際、女性よりも若い男性の方が、ややリスクを厭わない傾向があり、素晴らしい」と絶賛している記事を読んだことがある。
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海外を旅するとき、一体我われは、何を目にするだろう。世界遺産に登録されるような歴史的な建造物に目を奪われることはしばしばある。しかし、それだけではない。表通りのピカピカに輝くガラスに覆われた超高層ビルディングなどの建築物や、煌びやかなショーウインドゥなどの街並み、メインストリートを駆け抜けるメルセデスやBMW、レクサス、アウディなどの高級車がどのくらい走っているのか、どこの国のメーカーが売れているのかなどにも目が行く。また、カフェや酒場、レストラン、定食屋などにも注意が向けられ、やがて少し裏通りに入り、その街にしかない、独特の匂いなどに心を奪われたりする。人によって関心の度合いが違うが、建築物であれ、クルマであれ、料理屋であれ、そこで生活している人々の文化に興味が魅かれていく。そのうち否応なく、この都市で生活している人たちはどのようなファッションや髪型をしているのかという核心部分に向い、着地する。
道行く人とすれ違うたびに大きな驚きがあり、発見がある。カフェでコーヒーを飲む時も、店内の客の姿を観察する。地下鉄に乗れば乗客を、バスに乗っても、街を歩く人ばかりを目にすることになる。
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東京は世界から「街並みが綺麗な都市」として認知されている。また、「グルメ都市」としての別の顔も持つ。都市観光は多面性が重要である。そして「ファッションシティ」としての顔は、実は最重要なアピールポイントなのである。
ファッションシティの主役は、自然でもなく、歴史的な建造物でもなく、人である。現在、生きている生活者が中心である。現在性の最先端を走り、世界の最新の思想、哲学、文化を生み出し、牽引していく力を持つ都市のことを指す。
アナ・ウインターが答えたように、都市の「独創性」はさまざまな分野のクリエーターたちにもインスピレーションを与える。だが、これは何も東京に限ったことではない。日本中の地域で資源探しをしているが、どこかの先端都市の「マネ」は尊敬を得られず、嘲笑の的となる。そこに生活する人々の「独創性」の価値に早く気づくべきである。
(編集長・増田 剛)
第14回訪日フォーラム開く
FIT化が進む4市場に注目
2015年1―7月の時点で累計訪日外客数が1000万人を突破し、目標に掲げている2000万人に手の届くところまで来ている。日本政府観光局(JNTO)は9月22、23日に第14回「インバウンド旅行振興フォーラム」を開き、海外17市場15事務所の所長らが東京に集まった。FIT市場へと発展したタイと、日本への訪日客数が最も多い中国、今後注目される市場インドネシア、LCC市場が急速に拡大している台湾を紹介する。
【松本 彩】
◇
【タイ】
タイ訪日市場は、2013年の7月から短期滞在を目的として訪日する人を対象に査証が免除されたことにより、14年の訪日客数は、前年比45%増の65万7600人と好調に推移した。15年についても1―6月の時点で累計42万人を突破している。訪日客数増加の要因には、LCCの就航や定期便の増便などが挙げられ、順調に数字を伸ばしている。タイでは今年8月17日に爆弾テロが発生し、今後航空路線の間引き運航などにより、インバウンドへの影響が懸念されているが、今のところ大きな変化は出ていない。
タイからの訪日外客数は4月のソンクラン(旧正月)時期と、10月からの秋季休暇時期に加え、近年、年末年始にも増加が見込まれるようになったことから、バンコク事務所の伊東和宏所長は「FITを中心に取り組み、冬のプロモーションを強化する」と発表した。タイ市場でのFIT化は14年6月のジェットスターの就航により潮目の変化を迎え、同年8月に行われたタイ最大の旅行博「TITF」で個人旅行商品の売り上げが増加。9月にはエアアジアが就航し、急激に個人化が進んだ。伊東所長は、タイは国内線のほとんどがLCCのため、今までタイ国内で利用していた航空会社が日本への直行便の運航を始めたことで気軽に日本に行けるようになり、日本のことをあまり知らないまま「いきなりFIT(初来日)」の市場に発展したと語った。…
※ 詳細は本紙1602号または10月7日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

「ピンクリボンのお宿ネットワーク」(会長=畠ひで子「匠のこころ吉川屋」女将、事務局=旅行新聞新社)は、10月1日、参画する宿泊施設の情報をまとめた「2016年版ピンクリボンのお宿」冊子を発行した。
旅先で気兼ねなく入浴を楽しんでもらうことを目的に、誌面では「入浴着をレンタルできる」「大浴場の洗い場に間仕切りがある」「貸切風呂がある」「タオルを多めに用意している」など、全国100の宿泊施設のお風呂情報を紹介。プランや送迎、食事への配慮、禁煙ルームの有無などの情報も記載する。活動に賛同する女将会などの団体や企業の紹介、HOPEプロジェクト理事長の桜井なおみさんによるコラム、巻末には宿泊者に向けた特典クーポンも掲載する。
冊子は毎年ピンクリボン月間である10月に発行し、今回が4冊目となる。全国の乳腺科のある病院などを通じ、乳がん経験者やその家族などに旅のガイドブックとして手に取ってもらえるよう、フリーペーパーとして配布する。仕様はA5版フルカラー80㌻で、発行部数は10万部。「ピンクリボンのお宿ネットワーク」ホームページ上から1部取り寄せもできる。
問い合わせ=ピンクリボンのお宿ネットワーク事務局(旅行新聞新社内) 電話:03(3834)2718。
http://www.ryoko-net.co.jp/?page_id=52
(ピンクリボン冊子のお申込みページへリンクしています)

民泊問題は「適切な解決策を」
9月11日付で観光庁長官に就任した田村明比古長官は、15日の定例会見で、観光の現状はインバウンド対応が不十分な部分を指摘し、「真の観光立国の水準まで達していない。一流の観光国に向けて何をすべきか、観光行政としてはこれからが本当の勝負」と語った。
田村長官は、「2000―02年まで観光部旅行振興課長をやらせていただいたが、3つの課で40人ほどの規模で家内制手工業のような感じだった。現在は観光庁ができ、9つの課に約140人の組織にそれなりの予算もつき、数字的にも実績も上がってきている」と述べた。また、9月10日時点で昨年の訪日外客数1342万4千人を突破し、過去最高を記録することが確実になったことを報告する一方で「急激なインバウンド拡大で受入が充分について行っていない課題もある。広い意味での観光インフラの整備、観光産業の改革と育成に加え、データをしっかりと収集、分析し、それに基づいて長い視点での戦略立案に力を入れていきたい」と語った。
16年度予算の概算要求で新規に「2千万人時代に備えた受入環境整備緊急対策事業」が盛り込まれたことに関しては、「宿泊施設が足りない地域もあるが、稼働率をみると、東京近郊などのビジネスホテルの稼働率は高いが、旅館は40%のところもある。外国人が利用しにくい部分もあるのではないか。情報発信を積極的に行うことなどは観光庁がやるべき部分」と語った。
民泊などの規制緩和に対して宿泊業界が反対していることについては、「東京地区の昨年の延べ宿泊者数は5400万人泊で、365日で割ると1日当たり約15万人泊。1泊当たり約1・4人が宿泊するなかで何室必要かといえば、11万室。しかし、東京地区には12万室しかないので現在フル稼働という状況。宿泊施設といっても超高級なホテルからリーズナブルな施設まである。このなかでAirbnb(エアビーアンドビー)のようなカテゴリーが必要なのかということが問われているが、規制の問題も含めて他のカテゴリーとどのようにバランスを取るのかが重要な点。他省庁とも連携して適切な解決策を見つけていきたい」との見解を示した。
アウトバウンドが伸び悩む状況には、「観光は双方向のバランスの取れた交流が重要。LCCの運航拡大を活用することや、日本の航空会社はビジネス客を重視している傾向にあるが、観光客への選択肢を増やすことも必要」と話した。


日本観光振興協会(山口範雄会長)と日本旅行業協会(JATA、田川博己会長)は9月24―27日、東京都江東区の東京ビッグサイトで「動く。感じる。旅になる。」をテーマに「ツーリズムEXPOジャパン2015」を開いた。国内外から1161企業・団体が参加し、来場者数は17万3602人となり、目標としていた17万人を上回った。
開会式の前日(24日)に行われた主催者会見では、日観振の山口会長から、今年のツーリズムEXPOジャパンの概要が紹介された。山口会長は今年のツーリズムEXPOジャパンは「展示会」「国際観光フォーラム」「商談会」「懸賞事業(ジャパン・ツーリズム・アワード)」「ジャパンナイト」の5つを柱にしたと報告。なかでも、今年初開催となったジャパン・ツーリズム・アワードは短期間での募集であったにも関わらず、133件の応募があり、国内のみならず海外からも高い評判を得たことを伝えた。

25日朝に行われた開会式では冒頭、主催者を代表しJATAの田川会長があいさつした。田川会長は「今年はホップ・ステップ・ジャンプの2年目として、来年へと飛躍できるよう『地域性の強化』と『新しい連携による産業の広がり』、『さらなるグローバル化』などに重点を置いた」と述べ、今後は交流大国実現に向け、量ではなく質を高めた国際観光を目指すとアピールした。続いて国土交通省の西村明宏副大臣から祝辞が述べられ、「ツーリズムEXPOジャパンが世界の人々との交流拡大促進の契機となってほしい」と期待の声が寄せられた。
その後、山口会長の掛け声のもと代表者らによる、開会を宣言するテープカットが行われ、世界最大級となる旅フェアが幕を開けた。開会式終了後、「旅と文化」をテーマに世界観光倫理委員会議長のパスカル・ラミー氏による基調講演が行われ、会場に集まった人たちが持続可能な観光について改めて考える場となった。



旅行新聞新社 10月1日発刊
旅行新聞新社は10月1日に、「サービス産業労働生産性の革新 理論と実務」(内藤 耕氏)を発刊した。新書判のサイズで220ページ。定価は、本体1200円(税別)。
少子高齢化による需要の収縮や若年労働力の不足から、人手によって商品が提供されるサービス産業では、労働生産性の革新への関心が高まっている。しかし、サービス産業には、その方法論や、それを支えるツールがないことが大きな課題となっている。
本書では、工学博士で、一般社団法人サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、旅館やホテルを中心に、サービス産業の労働生産性の革新に向けた方法論を、できるだけ具体的に説明している。本紙で6回にわたって掲載してきた「旅館経営教室シリーズ」や、内藤氏へのインタビューなどをもとに加筆・修正し、序章と1―7章までに分け、わかりやすく構成している。
章立てを見ると、【序章】作業プロセスの改革―旅館経営の近代化【第1章】集合モデルを現場に導入―「サービス・キネティクス原則」を提案【第2章】作業の流れをつくる現場―「リアルタイム・サービス法」を提案【第3章】生産性を上げる集客―「集客器理論」を提案【第4章】お客様と多様な情報交換―「おもてなしピラミッド」を提案【第5章】働き方のルールブック―「戦略的就業規則」の提案【第6章】現場の実態に合った労働管理―「稼働対応労働時間制」を提案【第7章】現場を会計的に“見える化”―サービス産業の「管理会計」を提案――となっている。
どの章から読んでも理解できる内容にまとめてあり、旅館・ホテルのみならず、あらゆるサービス産業に携わる人に必読の書である。
問い合わせ=旅行新聞編集部まで。電話:03(3834)2718。
なお、本社のホームページ(http://www.ryoko-net.co.jp/?page_id=97)から予約を受け付けている。
「ピンクリボンのお宿ネットワーク」(事務局=旅行新聞新社)は10月1日、加盟する宿泊施設のお風呂情報等をまとめたフリーペーパー「ピンクリボンのお宿2016年版」を発行した。毎年10月に発行し、今回で4冊目となる。
乳がんを患い回復の道を歩みながらも、術後の痕などを気にして旅先での入浴をあきらめてしまうという人は多い。乳がんに限らず、自分が、また家族など身近な人が病気になったとき、そもそも旅行どころではない。今日を生きることで精いっぱいで、旅行は夢の話である。しかしその夢が、明日を生きていく活力になることもまた確かだ。
家族でまた旅行に行き、ゆっくりと温泉に浸かりたい。その夢が叶ったときに、そっと寄り添えるお宿が一軒でも増えることを願っている。
【森山 聡子】

訪日客に「日本の自然を楽しんで」
訪日観光を通して日本の地域活性化をはかることを目指し、2015年2月に合同会社観光創造ラボが設立された。代表の赤穂雄磨氏は同社を「日本のアンテナショップ」と位置づける。5月には浅草にインバウンド観光体験推進施設として日本茶のカフェやアウトドア用品販売などを提供する店舗「ジャポニカロッジ」をオープン。赤穂氏に同社の設立経緯や事業内容、今後の展望などを聞いた。
【飯塚 小牧】
◇
――起業の経緯は。
大学卒業後、サラリーマンをしていましたが、元来旅が好きだったこともあり、骨を埋めるなら観光業だと思い、30歳で脱サラしました。
大学はオーストラリアに留学しており、そのときにバックパッカーとして各国を旅しました。会社に勤めてからも長期出張などで海外にいる機会が多く、東南アジアなどは非常にインバウンドの受け入れ体制が整っていると感じていました。対して日本の外国人旅行者の受け入れ体制の未熟さに憤りを覚え、文化や自然資源が豊富な日本ならもっと外国人観光客を呼び込めると思い、起業を決めました。
しかし、まったく畑が違うところにいたので、一から観光を勉強するため、北海道大学の大学院に進みました。もともと登山が好きだったので、大学院では国立公園の研究をしていました。
――理念や事業内容を教えて下さい。
目指すのは都市から国立公園や登山地域など地方へ人を送客することです。国内客の登山ではなかなか地域にお金が落ちないので、時間とお金に余裕のある外国人観光客を対象にしています。

当初は、私が目指す地方への送客がスムーズにできると思い、人が集まり、コミュニケーションも取りやすい旅館業での起業を考えていたのですが、法律の壁が厚く、断念しました。ではどうしたら地方へ人を送客できるかを考えた結果、「ジャポニカロッジ」をオープンすることにしたのです。
具体的には、登山道具を通して登山地域への送客に貢献しようと、高品質な日本ブランドに限定したアウトドア用品の販売事業を考えました。ただそれだけでは人がすぐ流れてしまうので、店舗内に人が滞留する時間を長くするためにカフェ事業を付帯させました。文化的観光体験を提供するため、伝統工芸品の茶器でお茶を淹れることができる茶房を設けた日本茶カフェにしました。提供する茶葉は京都宇治の高級茶葉「和束茶」を使用し、店内では茶器や茶葉の販売も行っています。こうしたものは広い意味で動かせる観光資源で、外国人が茶器や茶葉を購入するということは日本の文化と習慣を自国に持ち帰り、海外で日本文化のファンや伝道者を創ることにつながります。そこを入口に地域に興味を持ってもらい、生産地を訪れてもらうことが大きな狙いです。カフェやアウトドアショップがやりたいという意思が先にあったわけではなく、地方送客を逆説的に考えてこの事業形態になりました。
――日本の山の魅力や特徴を教えて下さい。
日本は宗教登山からはじまっているので頂上まで登山道があるのが特徴で、山までのアクセスも良いです。海外の山は景色が美しく見えるところに登山道がひかれていて「○○トラック」と道の名前が有名ですが、日本は山の名前が有名です。また、日本の山小屋は国立公園にあっても私営のため、規格化されていない分、バラエティーに富んでいてそれだけでも目的地になり得ます。さらに日本の山は緑が豊かで水も綺麗なので、外から眺めて綺麗なだけではなく、実際に山に登っていても美しく、清廉さがあるのが大きな特徴です。
しかし、日本の山は海外には著しく発信ができていません。今は日本人の登山客だけで十分で自治体も危機感がないのかもしれませんが、周辺地域は危機感があるはずです。日本人客はレジャー活動はしていますが、消費活動にはならず、周辺地域にお金が落ちないからです。そういう意味でも海外客の取り込みは必須だと思います。
――今後の展開は。
10月中にオープン予定ですが、お店を閉めた夜の時間、店内にテントを張って宿泊できる取り組みを進めています。業態は簡易宿泊業ですが、ゲストハウスではなく、“屋内キャンプ場”というイメージです。
当然ですが、ターゲットは自然が好きなお客様です。部屋の代わりがテントでベッドの代わりがエアマットになり、布団の代わりが寝袋になります。道具は日本のアウトドアメーカーのものを用意し、宿泊料はそのレンタル代とします。日本のメーカーは中小企業が多く、海外展開はできていないところが多いので、ショールームを兼ねることが狙いの1つです。海外のお客様にも使ってもらえば良さが伝わり、口コミで広がります。逆に日本でしか手に入らないという稀少性もあると思います。日本のお客様ももちろん歓迎ですし、同じ趣向を持った人たちとの“出会い”も魅力になるかもしれません。料金の想定としては2500―3千円で、使った道具を気に入っていただき、ご購入される場合はそれを割引きます。
他方、旅行業のライセンスを取ることも目指しています。旅行業を取得すると、各地域の観光協会の方々とお話できるようになり、地域との連携ができます。現状はホームページをご覧になって連絡をいただいた地域の方から独自のプログラムなど情報をいただき、それを店内で紹介しています。以前、富士山を訪れようとしていた海外のお客様から天候不順で行けなくなったので、どこかいいところはないかと聞かれたので他の地域をおすすめし、喜んでいただきました。ジャパンレールパスを持っているので、日本人の行動感覚よりも幅広い地域に行っていただけると思います。
今後の事業展開は旅館業の部分が核になると思います。だからといって、将来的に一般的なゲストハウスを展開しようとは思いません。オリジナリティがないですし、安宿を求めるお客様がターゲットではないからです。あくまで当社の目標としては地方への送客や日本の自然、村々を楽しんでもらうことなので、旅行業を取得したうえで、宿泊していただいたお客様を地方へ送客することが理想です。
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