激変する世界 ― この夏もいつものように旅に行こう

 耳を澄ませば蝉の鳴き声が聞こえる。もう本格的な夏がやってきた。

 仏・ニースで大型トラックによるテロ事件が発生した。その直後にトルコでクーデター未遂が起こった。国民投票でEUを離脱した英国に、テリーザ・メイ首相が誕生した。仲裁裁判所は南シナ海をめぐる中国の領有権主張を否定した判決が下された。日本では参議院選挙が行われ、国民の多くが改憲を望んでいる結果が出た。そして天皇陛下が生前退位を望まれた。

 世界中で、これまでの枠組みを揺るがすような事件や出来事が毎日のように発生している。にも関わらず、日本のテレビニュースはリアルタイムで世界情勢を報じないし、相変わらずドメスティックな思考のまま、ワイドショー的な切り口でしか、ニュースを伝えない。私はテレビを消して、外に出た。

 外に出ると蝉が鳴いていた。変わらぬ夏が到来した、とその瞬間思った。最近は毎週土曜日、家の近くのブリティッシュバーで、ジントニックを飲む。昼の3時から開いているので、重宝している。世界がどんなに激動しようと、蝉は鳴くし、いつもの酒場で、いつもの酒を飲む。一見、世界と切り離されているように見えても、やはり世界とはつながっているのだ、と酒を飲みながら世界のことや、身近なことに考えをめぐらす。

 最近、ブリティッシュバーの近くに、安い焼き鳥屋を見つけた。この焼き鳥屋は夕方5時から開くので、ブリティッシュバーで軽く、2、3杯飲んでから、河岸を変える。この焼き鳥屋は、焼き鳥1本60円、ポテトサラダなどのつまみは一皿200円。そして280円の焼酎も濃い。これだけ安いと、オヤジばかりが集ってくる。それも、みな1人客だ。散髪帰りに寄るオヤジもいる。店の中央に長テーブルがあり、オヤジたちは空いた席に座り、店にあるテレビで、相撲やサッカー中継を眺めながら、焼き鳥を食べ、酒を飲む。十年一日のごとくだ。

 このような風景は、世界中どこでも見られる。たとえ、自国の政権が変わろうと、あるいはクーデターが起ころうと、テロによる惨劇が発生しようと、近くの安い酒場に寄り、安い焼き鳥や、フィッシュ&チップスをつまみ、住み慣れた自分の住処に帰っていく。あまり騒ぎ立てない。静かに酒場の空気を感じながら、自分の長年のスタイルは、変えない。

 何が起こっても不思議ではない世界である。大規模テロもこの日本だって明日にも起こり得る。もちろん自然災害もだ。 

 しかし、何が起ころうと、生活の一つひとつを大事に生きていくことが大切である。世界で、あるいは、身近に起こるあらゆる動きを、どこかの国のテレビのように遮断せずに、つながりながら、なおかつ、日々の小さな楽しみを犠牲にしない姿勢が、結果社会を強くする。

 事務所に近い東京・上野の国立西洋美術館が世界遺産登録され、大きなニュースとなったのは喜ばしいけれど、登録翌日に国立西洋美術館を訪れ、炎天下の中で長蛇の列を作る人々が映し出されていた。メディアなどで話題になり、注目されるとすぐに集まる人々だ。一方、テロや災害があると、逆の反応になりがちでもある。外の世界を意識しながら、自分のスタイルを大事にしたい。この夏もいつもの酒場で酒を飲み、旅に行こうと思う。

(編集長・増田 剛)

今できる再発防止策を、情報流失検討会開く(観光庁)

検討会のようす
検討会のようす

 観光庁は7月8日、第1回「旅行業界情報流失事案検討会」を開いた。同会の委員メンバーには、淺野正一郎委員長(交通政策審議会会長)をはじめ、旅行業やサイバー犯罪対策などの専門家が名を連ねた。

 今回の検討会は、JTBと札幌通運2社の事案の問題点を確認し、両社が講じた対応策とその評価、観光庁の対応、旅行業界の状況についての報告が行われた。

 そのなかでJTBに対しては、「当面講じられるべき措置は取られている」と評価された。7月中に開かれる予定の第2回検討会では、「中小旅行会社の対策についても議論するべき」との意見から、その対策と旅行業界全体の再発防止策が検討される。   

 観光庁では、「重要インフラ以外での情報共有、報告の体制が整備されていなかった」として、テロや自然災害と同様の連絡網を整備し、不測の事態などが発生したときには迅速に情報共有をできるようにした。

 また観光庁としては中堅、中小旅行会社は自前で対策するのは難しく、外部に委託しているケースが多いのではないかと考えており、チェック体制や、業者選定基準といったサポートなどの方向性も示したい考え。

黒川×由布院が連携、特別企画で入浴無料に

割引プランのパンフレット
割引プランのパンフレット

 熊本県・黒川温泉と大分県・由布院温泉はこのほど、熊本地震をきっかけに展開する共同事業「黒川×由布院 夢つなぐ200日」を始めた。相互の温泉地を利用しやすいよう連携し、連泊割引プランや入浴無料チケットなどを提供する。

 黒川温泉観光旅館協同組合の北里有紀代表理事、由布院温泉観光協会の生野敬嗣事務局長ら4人が7月6日に本紙を訪れ、同事業をPR。熊本地震直後に両温泉関係者が集まり、なにかできないか、との想いで考え出されたという。その日から残りの1年頑張ろうとの意味を込め、「夢つなぐ200日」と題した。両温泉地での共同事業は初めて。

 企画第1弾として「連泊特別割引プラン」を8月末まで実施。両温泉地の対象施設に連泊すると、前泊の宿泊明細書を提示することで2泊目の宿泊料金が10%引きになる(宿泊前に連絡が必要)。さらに期間中の特別企画として、黒川温泉の「入湯手形」、由布院温泉の観光乗合タクシー「スカーボロ」と「辻馬車」のいずれかを利用すると、もう一方の温泉地の対象施設での入浴が無料になる「湯巡りチケット」をプレゼントする。

 生野氏は「200日だけでなく、それ以降も交流を密にしていきたい。またこの企画で、『地震から立ち直ったのか。観光しても大丈夫なんだ』と思ってもらえれば」と話した。一方、北里氏は「近しい関係の温泉地から民民連携で取り組みを始め、地域を活性化させ、復興にもつなげたい。また、この企画がきっかけで50年、100年と続く温泉地を作っていきたい」と語った。

 このほか、黒川温泉は入湯手形30周年を記念し、くじ引き付き記念入湯手形を販売。大当たりが出れば1万円分の宿泊補助券、当たりは対象施設で利用できる金券1千円分がもらえる。一方、由布院温泉は、組合加盟旅館91軒の宿泊客を対象に、「旅の扉と旅の鍵」を実施。滞在中、対象施設でドリンクサービスや駐車場やトイレの利用提供などのおもてなしサービスを受けられる。

来社した黒川温泉と由布院温泉の皆さん
来社した黒川温泉と由布院温泉の皆さん

案内士リストの一元化、品質担保誰が、いかに(通訳案内士制度のあり方検討会)

第15回検討会(7月8日)
第15回検討会(7月8日)

 観光庁は7月8日、東京都内で第15回「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」を開いた。業務独占廃止後、名称独占のみとなる同制度のあり方とランドオペレーターについて、旅行業関係者らが意見を出し合った。共通の認識として、業務独占廃止後の「品質の担保を誰が、どのようにして」を軸に、通訳案内士については、「リストなどによる一元化」などが、ランドオペレーターについては、「登録義務の必要性」と「品質保証の確保」などが主な議論の的となった。

 現状の通訳案内士は、どの資格者がどの程度の語学レベルや専門知識などを有するか、顧客も業界も一元的に把握できていないため、需要と供給に齟齬が生じている。そこで、日本旅行業協会(JATA)の国内・訪日旅行推進部長の興津泰則氏は、「今後に向けて、語学別有資格者のリストの一元化をし、JATAのホームページで掲載する」などの意見を出した。これに対し、観光庁も「リストについては、今年度の予算措置をしてあるが、まだ完全な着手はできていない。各県で登録しているデータを一元化して、リスト化するなど、具体的にどうしていくのかは検討していきたい」と述べた。

 また、悪質なランドオペレーターなどが多く、手配代行が旅行業法に適用されない状況などを踏まえ、登録義務やルールの明確化、取り締まりの強化などの意見が出された。さらに踏み込んで興津氏は「ツアーオペレーター品質認証制度」について言及した。

 同制度は、業界内の自主規制として、企業の法令順守、品質管理やサービス水準、CSRの面から品質を評価。一定基準を満たした事業者のみを認証し、顧客に対して、品質保証や安心・安全を可視化する。「JATAで事務局を持っているが、直接は関与せず、第三委員会を設けている。いつでも国に譲る準備はできていて、手続きも進んでいる」と具体的な方向性を述べた。

小説、マンガの舞台へ

 谷村志穂さんの小説「いそぶえ」は昭和30年代の志摩半島を舞台に、海女の生きざまを描いた物語だ。たとえ変えられない運命でも、縁があったと受け入れ前に進む。主人公の心の持ちようは深く残った。女将サミット「ロス」の皆さん、ぜひ手に取って、再び鳥羽を訪れてください。

 もう1つ。「月影ベイベ」(小玉ユキさん)は、富山市八尾町の郷土芸能・風の盆を題材にしたマンガ。祭りに向けて稽古に励む高校生の日常が興味深く、踊りの一瞬を表現した画力も高い。今、一押しです。

 都道府県ごとに好きな作品を選ぶと、何割埋まるだろう。誰かと競ってみたいかも。そういえば、男女2人が出かけた都道府県を塗りつぶしていく、「ぬり絵の旅」(阿刀田高さん)という作品もありました。

【鈴木克範】

新たな50年の歴史へ、会員と団結し前進続ける(ANTA)

二階俊博会長
二階俊博会長

 全国旅行業協会(ANTA、二階俊博会長、5500会員)は6月26日、東京都内で2016年度通常総会を開いた。2月に創立50周年を迎え、総会後の記念式典では、功労表彰や記念宣言が行われた。二階会長は同総会で、会員や関係者らにこれまでの努力や団結、協力に対し感謝を述べ、そのうえで「観光産業は前途洋々と言われているが、我われの前途は必ずしも平坦であるとは言い切れない。本日を1つの基点とし、5500の会員みなで力を合わせて、ANTAの新たな50年の歴史の幕を開き、共に頑張ると誓い合って、前進を続けようではありませんか」と語った。

 16年度の事業計画では、来年の3月に石川県金沢市で開催される「第12回国内観光活性化フォーラム」において、着地型国内観光の振興に努める。国際旅行については、昨年度に引き続き近隣諸国とアセアン諸国を中心に、双方向の人的交流促進に取り組む。さらに20年の東京オリンピック、パラリンピックにおける国内外の旅行需要増大に対応し、会員の事業環境づくりを計画的に進めていく。

 総会後は創立50周年記念式典に移り、旅行新聞新社の石井貞徳社長は、「ANTA事業功労表彰」を受賞し、感謝状と記念品を授与された。同協会の事業運営に多大な功労があった国内外の関係機関、個人に対し感謝を表するもので、(株)全旅の前会長の池田孝昭氏らも表彰された。

感謝状を受けとる本紙の石井社長
感謝状を受けとる本紙の石井社長

 その後、「全旅協創立50周年記念宣言」(全国旅行業協会企業行動理念)(1)安全・安心の旅の提供(2)お客さまの信頼と信用の向上(3)心に残る最高な旅の提供(4)観光資源を磨き守る旅の提供(5)お客さまと一緒になった感動の旅の創造――が発表された。また、同協会の50周年事業として「全旅協50年史」を編纂し、発刊したことを報告。同会員や観光庁、観光関係団体らに7月下旬を目途に配布していく。

 式典終了後の祝賀会では、観光庁の田村明比古長官や日本旅行業協会の田川博己会長らが来賓として出席。そのほか、数多くの関係者たちが祝賀会を盛り上げ、盛会裡に終了した。

91%がガイドブック参照、海外旅行の旅行先選定に(地球の歩き方 海外意識調査)

 91%がガイドブック参照――。スカイスキャナージャパンとダイヤモンド・ビッグ社はこのほど、男女合わせて2457人を対象に海外旅行の情報収集などに関する意識調査を行った。旅行先の選定時、ガイドブックを参照する人の割合が91%と高いことや、インターネットに起因する情報過多が、選択肢の増加をもたらすため、「真に購入したい旅行商品を見つけづらい」という回答が目立った。

 ダイヤモンド・ビッグ社が運営する地球の歩き方公式サイトを訪れたユーザーを対象に、2016年6月7―20日の間に実施された同調査。自由旅行の人気が顕著な一方、添乗員付きパッケージツアーの減少傾向は緩やかで、復活の兆候が明らかとなった。

 情報収集面では、日本から持ってきたガイドブックを参照する人の割合が83%と高く、46%のオンライン検索や11%のSNS利用を大きく引き離した。なお、旅行を決める際に影響力がある媒体の割合は、旅行ガイドブックの91%が最も高く、オンラインメディアの86%とテレビの70%が示すように、書籍に対する信頼は高い。

 自分にもっとも相応しい商品を予約した自信はあるのかという質問に、毎回自信があると答えた人の割合は全体の25%。年齢別に見ると、60歳以上で約40%、35―59歳と34歳以下では約20%と、年齢が若いほど、予約結果に自信が持てないことがわかった。

 「地球の歩き方」デジタルコンテンツ部の大石彰彦氏は、「情報収集の裾野が広がるなかで、安心材料として旅行ガイドブックを購入するユーザーが多いことが判明した。旅行マインドも『誰にも共感してもらえるところに行った楽しみ』に変わっている」と、旅行者意識の変化に言及した。

修旅を鹿児島に、関西で教育旅行セミナー

正確な情報と県の魅力PR
正確な情報と県の魅力PR

 鹿児島県内の自治体や宿泊・観光施設などで組織する「鹿児島県教育旅行受入対策協議会」は6月27日、大阪市内のホテルで関西圏の各旅行会社の教育旅行担当者らを招き、教育旅行セミナーを開いた。4月の熊本地震以降、修学旅行のキャンセルが相次いでいることから、正確な情報と県内の魅力をあらためて発信した。

 鹿児島県観光交流局観光課の米盛幸一課長は「熊本地震の影響により県内で延べ10万泊のキャンセルが出た。修学旅行は6月22日現在で84校、約1万3500人のキャンセル・方面変更が発生。なかでも関西の学校が45校と最も多い」と現状を報告。そのうえで「地元の交通と宿泊、観光は通常通りであり、受け入れに問題はない。1、2月には従来通り貸切バスの支援制度を行うほか、県内の一部観光施設では県外からの修旅生を対象に、入館料などを全額免除するキャンペーンも年度末まで実施する。ほかにも、できることは何でもやるので、ぜひお力添えを」と送客を呼びかけた。

 また、奈良迫英光観光プロデューサーは「鹿児島県での教育旅行は、(1)多彩な自然体験(2)ほかにはない平和学習(3)県内各地で農家民泊が可能(4)班別行動が便利――と4つの魅力がある。2018年には明治維新150周年を迎えるほか、奄美・琉球の世界自然遺産登録も控えている」と県内の話題を紹介した。

 県では今後、実施予定校に向けた情報発信を行っていくほか、鹿児島中央駅で歓迎セレモニーを行うなど、県を挙げておもてなしを実施。

 さらに7月からは、かごしま水族館や維新ふるさと館など、県内5つの観光施設において、鹿児島市内に宿泊する修学旅行生を対象に、入館料や各種体験料を全額免除するキャンペーンを展開する。期間は今年度末まで。

立体的な光の演出へ、西の河原公園灯路計画など(草津温泉観光協会)

西の河原 全体照明計画(イメージ図)
西の河原 全体照明計画(イメージ図)

 群馬県の草津温泉観光協会(中澤敬会長)は7月5日、トラストシティカンファレンス(東京都千代田区)で「2016草津温泉観光プロモーション」を行った。草津町の2016年のイベントや、「Town-Scape project KUSATSU」の現在の状況、草津町商工会の「商工会流『うま!とく!』湯路広場活用術」の紹介などが行われた。中澤会長は「昨年1年間を振り返ると、バブル時期が戻ってきたという状況でよかった」とあいさつした。

 「Town-Scape project KUSATSU」では、今年は2カ所の灯路計画を進めている。「湯畑灯路計画」では統一感の無い現在の湯畑の照明を、照明デザイナーの面出薫氏によるライティングで、湯気をさらに立体的に演出していく。「西の河原公園灯路計画」では趣のある照明デザインに変える。ここでも立体的な演出を意識し、湯の川の湯気を主体としたライティングを行い、感動的な照明にしていく。

 黒岩信忠草津町長は「元気な温泉地と元気があまりない温泉地の差は町づくりをしてきたかどうかにかなりのウェイトがあると思う。草津町はあらゆる業界が一丸となって街づくりをとことんしてきた。さらにお客様が外に出て楽しめる町づくりを提供していきたい」と語った。

 草津町では、今年8月17―30日まで「草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル」が開かれ、9月4日には「草津温泉熱湯マラソン」が行われる。詳しくは草津温泉観光協会ホームページ=(http://www.kusatsu-onsen.ne.jp/)まで。

「元気です! 人吉温泉」、女将とくまモン銀座でアピール

「熊本・人吉にお出かけ下さい」と女将たち
「熊本・人吉にお出かけ下さい」と女将たち

 熊本県・人吉温泉女将の会・さくら会(有村政代会長)のメンバー6人が7月7日、銀座熊本館でパンフレットなどを配布し、笑顔で来県を呼びかけた。くまモンも応援に駆け付け、「人吉・熊本の元気」を来館者に届けた。

 人吉市内は熊本地震の被害はほとんどなかった。ただ被災地の心情を汲むなか、震災直後は「元気をアピールすることへの戸惑いもあった」(有村会長)という。転機は県内で復興に向けて頑張る女将たちからの後押しだ。「熊本の代表として全国に元気を伝えて」という言葉を聞き、福岡や鹿児島で誘客活動を始めた。若女将たちもSNS(交流サイト)を使い、積極的に情報を発信。

 震災後、都内でPRするのは初めて。1千人分のパンフレットを用意し、「日本でもっとも豊かな隠れ里」として、文化庁から日本遺産に認定された「人吉球磨」の魅力も伝えた。

 7月からは旅行会社各社の「九州ふっこう割」商品や、九州の高速道路が乗り放題になる「九州観光周遊ドライブパス」の発売も始まった。「元気にあたたかくおもてなしします」と女将ならではの言葉で来県を呼びかけた。