福井県観光連盟 「稼ぐ」地域づくりへ 雪板滑走や製作体験支援

2022年1月18日(火)配信

滑走風景

 福井県観光連盟はこのほど、大野市の「奥越前まんまるサイト」が取り組む「雪板(スノートイ)滑走・製作体験による六呂師高原ホットスポット形成事業」について、初めて「観光地域づくり推進事業補助金」で支援すると発表した。

 北陸新幹線福井・敦賀開業や、中部縦貫自動車道全線開通に向け、観光で「稼ぐ」地域づくりの推進に取り組んでいる。

 同補助金制度は福井県内の事業者を対象に、商品や観光コンテンツの開発、情報発信などのソフト事業において、新規性があり、地域の稼ぐ力の向上につながるモデル的事業となるものに対し、事業費の半分以内を補助するもの(最大1千万円まで)。昨年11月に着任した観光スーパーバイザーの指導・助言のもと実施する。

 今回は、先駆的な体験・アクティビティのプログラムモデルを構築できる事業として、73万5千円を交付する。

 奥越前まんまるサイトは、大野市でグリーンツーリズムやエコツーリズムに基づく各種体験・アクティビティ事業を展開している。今回採択された事業は、シンプルな板で雪上をサーフィンのように滑る滑走体験や、荒天時にも影響を受けない雪板製作体験を実施することで、六呂師高原を北陸初の雪板ホットスポットにしようというもの。事業期間は3月15日まで。滑走体験は2月中旬から本格的に開始する予定。

「観光人文学への遡航(19)」 安心保障関係とは(1)

2022年1月18日(火) 配信

 経済学の用語に「レモン市場」という言葉がある。レモンとはまさに柑橘類のレモンであるが、別義で役に立たないものや人、欠陥品、ポンコツ車といった意味がある。なぜレモンというか。それは、レモンが厚い皮に覆われているので、中身が腐っていることが外見を見ただけではわからなくて、持ち帰って切ってみて初めて粗悪品だということがわかることに由来する(逆に、中身の品質もちゃんといいことが購入時からわかるものをピーチと呼ぶらしい)。

 
 買い手にばれないことをいいことに、故障が内在する中古車(それ自体をレモンと称する)を、故障があることを黙って販売しようとするセールスマンばかりだと、市場には質の悪い中古車ばかりになってしまう。買い手はそれから逃れるすべを知る由もなく、買い手は中古車そのものを敬遠することになり、中古車市場が成り立たなくなってしまうことのように、財やサービスの品質が買い手にとって未知であるために、不良品ばかりが出回ってしまう市場のことをレモン市場という。

 
 世の中はまさにレモン市場にあふれていて、欠陥品をつかませられないか、騙されないか、裏切られないか、不安に思うことが多い。かつて世間を騒がせた中国製の食品偽装の問題はまさにそのレモン市場の様相だったといえよう。

 
 パッケージツアーを嫌う学生が多いことに驚くが、これもまさにレモン市場の様相である。

 
 そこで、買い手の不安を解消するために、ちゃんとした商売をしているように伝えることが必要となる。それが、マナーを徹底したり、敬語を使ったり、マニュアルを通して品質の均質化をはかったり、人によってクオリティが変化するといけないので、サービスのパッケージ化をはかったりする行為に結びつく。

 
 そのような仕掛けを加えることで、買い手が抱く心配事を除去し、安心を保障する。そこで得られる関係のことを「安心保障関係」と言う。安心保障関係では、サービスは固定化され、誰がサービスを行っても均質的となり、不確実性が低減されていく。

 
 就職活動で、学歴を見たり、資格の有無を問うたりするのは、まさにこの安心を保障するためのプロセスだと思うと納得がいく。人事部の採用担当者は、自分の上司(採用担当責任者)から、目前に並んだ同じような就活生の中で、なぜこの人に内定を出すか問われたときに、学歴や資格を語ると説得力が増すことからも、この安心保障関係が初対面とか初期段階での関係性構築では有効に機能する。

 
 相手のことが分からないときに、相手を安心させるツールこそが、学歴だったり資格だったり丁寧な言葉遣いだったり身だしなみだったりといった、パッケージ化されたマニュアル的なものだといえる。

 

コラムニスト紹介 

島川 崇 氏

神奈川大学国際日本学部・教授 島川 崇 氏

1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授を経て、神奈川大学国際日本学部教授。日本国際観光学会会長。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。

全国に先駆け「九州割」 7県と機構一体で実現を

2022年1月18日(火)配信

(左から)唐池会長、広瀬知事、服部知事

 九州地方知事会会長の広瀬勝貞大分県知事と福岡県の服部誠太郎知事、九州観光推進機構の唐池恒二会長は昨年12月22日、福岡市内で記者会見し、国の地域ブロック割開始のタイミングで九州7県が連携して全国に先駆け「九州割」を開始すると発表した。

 新型コロナウイルスの感染拡大で大きな打撃を受けた観光業界を支援するため、九州域内の交流を活発にして、観光事業者の救済と消費マインドの回復を目指す。

 九州観光は2021年1―9月実績で、観光消費額がコロナ禍前の19年比で31%、延べ宿泊者数は同46%と依然厳しい状況が続いている。

 九州各県では現在、12月16日以降、1人1泊当たり代金の最大50%(上限5千円)の割引と、地域クーポン1人当たり最大2千円を提供する県民割を拡大した「隣県割」をスタートさせている。

 「九州割」も同程度を予定し、国が拡大を決定すれば1月中旬には開始したい考えだ。

 広瀬知事は「県内割だけでは旅行需要に限界がある。域内移動が盛んな九州割が必要だ」と強調した。

 唐池会長は「九州の19年の宿泊者数5千万人泊のうち、半分の2500万人泊が九州在住。他の地域の30―40%と比べても、九州だけがダントツに高い」と話し、「ロケットスタートできる準備ができている。九州が最初にブロック割り、九州割りをスタートさせる」と意気込みを示した。

いぶすき秀水園 和洋室で商品力アップ バリアフリーにも対応

2022年1月18日(火)配信

テーブル席で部屋食提供

 鹿児島県・指宿温泉の「いぶすき秀水園」(湯通堂温社長)は、旅館5階の10畳和室2部屋を1部屋にし、高齢化に対応したバリアフリー和洋室として改装し、1月から稼働を開始した。同階は特別室クラスの広い部屋が集中し、商品として付加価値を加える。

 新客室は間仕切壁を挟んで、和室6畳+リビングとツインルームの2部屋で構成。入口の踏み込みは、ゆるい傾斜にして車イスのまま入室でき、室内の床材も硬く高級感ある赤系統の「かりん」の木を使用した。

 入口の左右2カ所にトイレを配置。洗面室は上品なタイル張りで、正面に大きな一面鏡を設置した。洗面台の高さも通常より約5㌢低くし、障害のある人や高齢者にも配慮し、浴室はタイル張りで清潔感を出した。

 6畳和室は障子で囲めば、独立した部屋にもなる。浴衣を飾り棚に並べ、クローゼットもコートが収納できる高さを確保。リビングのイス・テーブル席では、朝夕の食事も提供する。

ワーケーション対応のツイン

 ツインルームは、シモンズ製のベッドを配置。壁クロスに金の波模様をあしらい高級感を演出している。窓際に設置した鏡台にもなるデスクは、ワーケーション利用も想定する。

【有島 誠】

近畿日本ツーリスト、「スグ旅」で選べる宿泊施設約4千軒に

2022年1月17日(月) 配信

宿泊施設の数が倍増し、より多彩な旅を提案

 近畿日本ツーリスト(髙浦雅彦社長、東京都新宿区)は1月12日(水)、公式Webサイトで展開するダイナミックパッケージ「スグ旅」で選べる宿泊施設を、従来の約2倍の約4000軒に倍増した。

 宿泊施設予約システム「e宿」の対象施設を、JRや航空機とセットで販売するシステムの改修により実現した。とくに、東京や大阪などの大都市圏のビジネスホテルをはじめとした宿泊施設や、長野県や新潟県、北海道などの温泉旅館を中心としたレジャー向け施設などの選択肢が増えた。

 同時に、昨年10月に始めた「KNTハイクラス Blue Planet」として展開するハイクラス宿泊施設も、ダイナミックパッケージとして販売する。

近畿日本ツーリスト、台東区と協定結ぶ 災害対応力の強化はかる

2022年1月17日(月) 配信

台東区の服部征夫区長(左)、近畿日本ツーリストコーポレートビジネスの髙川雄二社長

 近畿日本ツーリストコーポレートビジネス(髙川雄二社長、東京都千代田区)は1月7日(金)、東京都台東区(服部征夫区長)と大規模水害時・災害時に関する2つの協定を結んだ。台東区の災害対応力の強化をはかるため、連携・協力を行う。

 協定は、「大規模水害時における住民の自主的広域避難場所確保支援及び移送手段の確保に関する協定」、「大規模災害時における台東区及び他自治体からの応援職員にかかる宿泊施設等の確保に関する協定」の2つ。

 前者は、大規模水害が発生した場合に、住民が自主的広域避難場所を円滑に確保することを支援するとともに、移動手段を早急に確保するもの。後者は、震災時も含めた大規模災害時に災害対応に従事する区の職員や他自治体からの応援職員の宿泊施設と移動手段を、迅速かつ円滑に確保する協定とした。

 同日に行われた締結式で、近畿日本ツーリストコーポレートビジネスの髙川社長は「当社の強みであるホテル・旅館やバス会社とのネットワークを最大限に生かし、区と連携して準備を整え、防災危機管理に貢献していく」と述べた。

札幌の冬アトラクションを無料周遊バスで巡る 東武トップとホテル、バス会社が連携

2022年1月17日(月) 配信

札幌全体がテーマパークに

 東武トップツアーズ(百木田康二社長、東京都墨田区)は1月28日(金)~2月27日(日)まで、北海道札幌市内にある7つのホテルと観光バス会社と連携し、冬の札幌ならではのアトラクションを無料周遊バスで巡る企画を実施する。

 同企画「Sapporo MACHINAKA Resort」は、札幌市による観光需要回復支援事業の1つ。市中心部の「まちなか」をテーマパークに見立て、各シティホテルが提供する合計13のアトラクションを楽しんでもらうことで、観光客の誘致促進や満足度を向上させ、観光の振興をはかるのが狙い。

 実施するアトラクションは、ボブスレーなどの貸出を含む雪遊び体験や、雪上でのファットバイク体験、北海道産地酒のテイスティングなど、寒い冬でも暖かく、楽しめるものを用意した。このほかアトラクションを実施するホテルでは、オリジナルカクテルの提供やレストランの割引などの特典がある。

 また、ホテル間の移動に便利な「まちなか無料巡回バス」は、期間中毎日午後1時から9時までの間、30分毎に運行。観光客だけでなく地元住民も参加可能なイベントとして、冬の札幌市街ににぎわいを創出する。

 同イベントは、LINEアプリで「Sapporo MACHINAKA Resort」を友だち登録すると参加できる。参加特典を受けるには、LINEの参加証画面を提示する。

国際観光施設「ビレッジプラザ・ウッドリターン・アイデアコンペティション2021」の表彰式開く 

2022年1月17日(月) 配信

(左から)吉岡氏’と佐々木氏

 国際観光施設は1月11日(火)、同協会の賀詞交歓会のなかで「ビレッジプラザ・ウッドリターン・アイデアコンペティション2021」の表彰式を開いた。

 最優秀賞には日本設計の吉岡紘介氏と佐々木賢太氏の「Colorful pallet」が選ばれた。普段使っているイスを非常時にはテントやパーテーションに、イベント時には観覧席のカタチに組み替える、フェイズフリーなパレット(荷役台)型モジュールシステムを提案する。オリンピックで使用した木材を必要なものへと組み換え使い続けるというコンセプトが「2020オリンピックレガシーとして相応しいもの」と評価された。

 吉岡氏と佐々木氏は「普段建築、設計するのとは逆で、最初に素材が指定されていて、それを使うという面白い発想のコンペで最優秀賞をいただけてうれしい。実際に使えるように考えているので、どこかで実現できたら」と語った。

 同アイデアコンペティションは、協会が推進する観光施設にもっと国内産の木材を活用しようという「木づかい運動」の一環として、昨夏開催された東京オリンピック・パラリンピック大会開催時に建てられた「選手村ビレッジプラザ」のプロジェクトに着目して実施。

 「選⼿村ビレッジプラザ」は全国63の自治体より構成木材の提供を受け施工された建物。大会終了後には建物を解体し、使用した⽊材を各⾃治体に返却、自治体ごとに公共施設などに使用することで大会のレガシーとして継承される仕組みになっている。今回は、この木材の利用アイデアを会員企業から募るカタチで企画し、41作品が集まった。集まったアイデアは協会ホームページでの公開に加え、冊子を作成し、地方自治体にも配布する。

国際観光施設協会が賀詞交歓会 鈴木会長「ホスピタリティを背骨として活動していく」

2022年1月17日 (月) 配信

鈴木会長

 国際観光施設協会(鈴木裕会長)は1月11日(火)、ホテルメトロポリタンエドモンド(東京都千代田区)で賀詞交歓会を開いた。

 鈴木会長は、人だけではなく、モノ、社会、自然それぞれに対しても「ホスピタリティ」が有効だと説明。「観光と技術は、すべて3ジャンルに入る素晴らしい宝物。今後は、観光の本質、ホスピタリティを背骨として活動していく」と力を込めた。

 来賓の観光庁観光産業課柿沼宏明課長は、国が進める「既存観光拠点再生・高付加価値化推進事業」と、宿や地域のデジタル化について触れ、「アフターコロナを見据え、宿を通じた町全体の再生と、地域、宿のデジタル化を進め、きたるべき反転攻勢に向け準備進める」と語り、会員企業へ協力を要請した。

「京の食路プロジェクト」 “食”コンテンツ開発 産官学連携し観光誘客

2022年1月17日(月)配信

会見には参画企業担当者のほか門川大作京都市長(左から4人目)も参加した

 調理師専門学校などを運営する大和(たいわ)学園や京都信用金庫など、京都市内に拠点を構える企業が昨年12月8日、京都の食文化を未来に継承しながら観光誘客につなげる「京の食路プロジェクト」をスタートさせた。産官学が連携し、生産者や飲食店、学生などを巻き込んだ京都ならではの食をテーマにした体験型コンテンツを開発し、観光誘客をはかるとともに、未来を見据えた担い手の育成などに取り組む。

 同プロジェクトは、観光庁の「既存観光拠点再生・高付加価値化推進事業:事業者連携型」の採択事業。代表幹事を務める大和学園のほか、京都信用金庫と松井旅館本館、タクシー・ハイヤー事業を手掛けるマツシマモビリティサービス、三菱地所(膝栗毛)、宇治茶の製造・販売を行う祇園辻利、JTB、JTBコミュニケーションデザインの8社が参画する。

 大和学園では京の食材を使った調理・製菓講習会を開講。マツシマモビリティサービスとJTBは連携して地元野菜の収穫体験ツアーを実施するなど、参画企業が業種を横断して京都の食文化を満喫できる、さまざまなコンテンツを開発することで、観光誘客にとどまらず、地元生産者や飲食店を支え、地域経済の発展につなげることも目指す。

 同日に開かれた記者会見で、大和学園の田中幹人副理事長は「京都の食をフル活用したコンテンツを中・長期的に開発していくことで、京都市の観光消費額増加と満足度向上をはかっていきたい」と抱負を述べた。

 昨年12月に開設した同プロジェクト公式サイトでは、各コンテンツやイベントを紹介。京の食文化の魅力を伝える記事なども掲載する。

 また、1月29日には、大和学園太秦キャンパスなどで「プレ京の食路」と題した記念イベントを実施。各社のコンテンツが一堂に集まるほか、京野菜のマルシェ、料理教室など、さまざまな催しを行う。