中国旅行復活へ、緊急フォーラム(JATA)

 日本旅行業協会(JATA)は3月22日の午後1時から、JATA研修室で中国旅行復活緊急フォーラムを開く。海外旅行者数をみると、2012年の1850万人をピークに、15年は1620万人と約230万人減少している。中国が12年比で約100万人、韓国が約170万人減少したことが大きく影響しており、JATAは中国旅行の需要喚起に取り組む。

 フォーラムでは、5つ星ホテルを中心に11軒、航空5社が参加するワークショップのあと、「中国旅行新時代に向けて~中国商品100万人リカバリー」をテーマに、ワールド航空サービス社長の菊間潤吾氏がモデレーターを務め、航空会社や中国旅行 事情に詳しい専門家などを交えて、新たなインフラが整備されつつある中国の新たな観光スポットや素材を探る。

 今後、現地視察ツアーも予定している。

全九州バス乗り放題、SUNQパス発売10周年

「SUNQパス」
「SUNQパス」

 九州島内と山口県下関市周辺を結ぶ高速・路線バスのほぼ全線と、一部船舶が乗り放題となるフリーパスチケット「SUNQパス」の全九州版が4月に発売10周年を迎える。九州運輸局は「九州観光発展に大きく貢献した」として、同パス運営委員会(委員長=庄山和利・西鉄高速バス社長)に感謝状を贈呈。2月24日に福岡市内のホテルで授与式が行われた。

 同パスは2004年に北部九州の高速バスと一部路線バスで限定的に試行発売。同年に韓国での発売を開始し、05年に九州内のほぼ全線をカバーした「SUNQパス全九州」を発売。07年には海上船舶まで利用拡大し、14年には台湾での販売も行っている。同委員会への加盟は49社局で、バス路線数は2400路線となっている。

 パス券種は「北部九州+3日間」(8千円)、「全九州+下関3日間」(1万円)、「全九州+4日間」(1万4千円)の3種類で、発売実績は昨年(12月まで)が5万685枚で、この10年の累計では37万7914枚に達する。

 同委員会によると、販売の7割が韓国、台湾などの海外客で、このうち9割が韓国という。韓国では20―30代の個人やカップル、女性グループなどの利用が多い。

 同委員会では、4月にLCC機内での発売や下関エリアでの利用バス路線の拡大を予定。海外発売の利用期間未指定パスの対応窓口の拡大も取り組む。

感謝状授与式
感謝状授与式

豊岡版DMOを設立、ウィラーは地域商社立ち上げ

(左から)加藤部長、中貝市長、村瀬社長、桐山社長
(左から)加藤部長、中貝市長、村瀬社長、桐山社長

 兵庫県豊岡市(中貝宗治市長)と全但バス(桐山徹郎社長)、WILLER ALLIANCE(村瀬茂高社長)は2月19日、東京都内で会見を開き、地方創生に向けた取り組みとして「豊岡版DMO」を設立することを発表した。また、ウィラーグループは今回の事業を進めるにあたり、地域商社として新会社「WILLER CORPORATION」(ウィラーコーポレーション)を3月に設立する。

 豊岡版DMOは人口減少下の地域経済活性化、魅力的な雇用創出策の柱の1つとして、とくにインバウンドの需要取り込みを官民協働で戦略的に進めることが狙い。目的には「地域の稼ぐ力を引き出し、高める(地域事業者の売上・利益アップ)」を掲げる。目標数値は2020年に外国人宿泊客数10万人を設定した(15年は3万4318人)。

 事業内容は地域マーケティング戦略の推進として、ビッグデータの活用による情報の分析や戦略の策定、着地型観光の創出などに取り組む。収益事業は宿泊予約サイトの運営と着地型ツアーの企画・販売、豊岡ブランド商品の販売を展開する。

 組織形態は一般社団法人で代表者は中貝市長、実務を担う専務理事は大手商社からの人材を登用予定。スタッフはウィラーや全但バス、JTBなどから人材を派遣し、9人で運営する。今後、5―6月に設立総会を開催予定という。

 また、豊岡版DMOと全但バスが城崎駅前で運営するツーリストインフォメーションセンター「SOZORO」、ウィラーコーポレーションの3者を「豊岡版DMO機構」とし、お互いに連携し、補完しながらDMOの役割を果たしていく。

 中貝市長は今後について「着地型などは周辺の他地域も扱っていきたい。DMO会員も募集するので、豊岡だけではない広がりに期待している」と語った。

 また、村瀬社長はウィラーグループの考える地方創生は地方都市が人口減少、少子高齢化を抱えるなかで「世界とつながり、継続的にまちを元気にすること」と定義。新会社で(1)観光資産の商品化と販売(2)地域産品の海外輸出の仕組み作りと販売支援(3)販売データに基づくマーケティング&コンサルティング(4)人の移動に基づくマーケティング――に取り組み、地方創生を目指す。「新会社は3人からスタートし、豊岡に全力を傾ける。そのなかでノウハウを吸収し、将来的には全国に広げていきたい」と意気込みを語った。

 来賓の観光庁・加藤庸之観光地域振興部長は「昨年来、DMOの周知や啓発を続けている。そのなかで、豊岡のDMOは民間との連携で先進的なモデルケースになる。自立的に持続的に、取り組みを続けていける組織になっていただきたい」と期待を込めた。

第1位は長湯(大分県)に、外国人が選ぶ九州ベスト温泉

長湯温泉を代表して首藤文彦竹田市 観光ツーリズム協会会長が受賞
長湯温泉を代表して首藤文彦竹田市
観光ツーリズム協会会長が受賞

九州観光推進機構が表彰

 外国人が選ぶベスト温泉で、長湯温泉が第1位に――。九州観光推進機構(石原進会長)は、外国人が九州の魅力を発信するブログコンテストと投票で「九州のベスト温泉地」を選ぶコンテストを実施。優れた記事を投稿した18件と、ベスト温泉地を発表し、3月2日に福岡市内のホテルで表彰式を行った。

 2回目となるブログコンテストには、14の国と地域から184件が応募。英語、韓国語、簡体字、繁体字の4言語で金賞4人、銀賞4人、銅賞10人が選ばれた。

 また、今年初めて開催したベスト温泉地には2669件の投票があり、投票数で上位20位までを発表。第1位に長湯温泉(大分県)、2位が由布院温泉(同)、3位に黒川温泉(熊本県)が選ばれ表彰された。

 4―10位は人吉温泉(熊本県)、別府温泉(大分県)、原鶴温泉(福岡県)、指宿温泉(鹿児島県)、雲仙温泉(長崎県)、阿蘇内牧温泉(熊本県)、小浜温泉(長崎県)の順になった。

 投票者からは「長湯は疲れた体を癒す温泉」、「別府はどの温泉も素晴らしい体験ができる」「指宿の砂蒸し温泉入浴が忘れられない」などコメントが寄せられた。

 石原会長は「九州のブランドイメージの確立が最も重要で、全国3分の1の源泉数と4分の1の湧出量を誇る温泉に、豊かな自然と食、歴史が加わり九州の魅力ができる」と強調した。

お客同士のトラブル ― 不利な客への配慮がなおざりに

 毎日通勤電車に乗っていると、「今朝方、お客様同士のトラブルが発生したため、この電車は現在○○分遅れています」などといった車内アナウンスをよく聞く。

 ああ、また背中を押したとか肘が当たったとかの言い争いかしらん? イヤフォンから漏れる音を注意したら逆切れしたのかな? それとも痴漢騒動か!?……などと思いを巡らす。しかし、原因は何であれ、車掌さんの声のトーンに微かではあるが、「客同士のイザコザなので、私たちに全面的な非はない」という言い訳じみたニュアンスが、少しだけ気になる。

 電車には数百人の乗客が乗っている。車内アナウンスで「携帯電話の通話はご遠慮ください」などの注意喚起を行っているが、基本的に車内マナーは客側のモラルに任されている。乗客にとってもA地点からB地点に安く、遅れることなく到着することが電車を利用する主な目的なので、車内の環境が多少悪くても我慢するしかないし、我慢できなければ客同士が注意し合うしかない。また、新幹線の自由席に行くと、混み合って座れない人がいるのに、あえて隣の席に荷物を置いて座らせないようにする人を見かけるが、こちらも基本的に車内アナウンスのみの注意喚起で乗客のモラルに任されており、不利な客への配慮は、ほとんどなおざりである。一方、タクシーを利用すれば、マンツーマンのサービスであるから、乗客同士のトラブルは発生しない。

 お客同士のトラブルは、あらゆる場所で生じる。たとえば、寿司屋のカウンターや、レストランなどでは、喫煙者と、煙草を吸わない客は相容れない。旅館やホテルでは、隣の部屋の客が夜遅くまで騒いで眠れないなどのクレームが多い。

 あるとき、国際線で最大限シートを後方に倒している乗客がいた。機内食の時間になり、キャビンアテンダントが食事の提供を始めたが、リクライニングシートを倒した前の客は機内食を拒否して寝続けたかったのだろうが、キャビンアテンダントは「後ろの席のお客様は食事をされますので、シートを元の位置にお願いします」と前方の客に声を掛けていた。これと同じような状況を別の航空会社に乗っているときに遭遇したが、キャビンアテンダントはシートを傾けた前方の乗客に気づきながら、声を掛けることもなく素通りした。後ろの客は仕方なく前の乗客のシートを叩いて「少し前に戻してください」と、申し訳なさそうにお願いしていた。航空会社はこのようなケースの対応は、個々のスタッフの判断に委ねているのだろうか。

 

 ホテルなどサービス業の場合、客に対するスタッフの比率が高いほど格付けが上っていくという。スタッフはより少人数のお客の素振りに集中できるし、お客にとっては自分の要望がダイレクトに伝えやすいため、不要な客同士のトラブルも回避しやすい。しかし、私がよく利用する場末の安食堂では、ホールにおばちゃんが2人ほど手持無沙汰に立っているが、コップの水がなくなっても何もしてくれない。「水を下さい」と言うと、ようやくピッチャーを探し出し、別のテーブルで見つけたピッチャーも空だと気づき、奥に取りに行くといった塩梅だ。多くの接客の現場は少し意識を変えるだけで、大きく改善するのになぁと、感じる日々である。

(編集長・増田 剛)

No.424 ホテルナトゥールヴァルト富良野、“お客様満足”をひたすら追求

ホテルナトゥールヴァルト富良野
“お客様満足”をひたすら追求

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が対談のなかで、その理由を探っていく人気シリーズ「いい旅館にしよう!」プロジェクトが「第2弾」として帰って来た。シリーズ第1回は、「満足度経営」に切り替えてからお客様満足度評価が上昇し、単価や稼働率も大幅にアップしたホテルナトゥールヴァルト富良野の小林英樹社長が登場する。

【増田 剛】

 
 

〈「いい旅館にしよう!」プロジェクト2シリーズ(1)〉
ホテルナトゥールヴァルト富良野

小林:創業は1972(昭和47)年です。郵便局に勤務していた父に縁があって、スキー場の前で7部屋の「北誠荘」という民宿としてここでスタートしました。母が主に切り盛りしていましたが、77年にアルペンワールドカップ富良野の誘致などでスキーブームが始まったのです。

内藤:当時の富良野は観光地ではなかったわけですね。

小林:夏はもちろん何もなく、冬はやっとスキーがブームになってきたところで父も郵便局を辞め、本格的に民宿旅館の経営を始めました。当時の富良野には宿自体もなく、スキー場の前の駐車場で仮眠するスキー客もいました。国体が開かれ、旅行会社からも部屋がほしいという需要もあり、当社もこのときから増築を繰り返していきました。
 81年からテレビドラマ『北の国から』がスタートし、その後JRのポスターにラベンダー畑が掲載され、ラベンダー畑に多くの観光客が訪れるようになりました。もともと富良野の宿は冬場の4カ月のみで、夏場は休業していましたが、これを機に夏にもお客が来るようになりました。

内藤:現在のホテルはいつ建てたのですか。

小林:旅館は木造として3棟まで増築しており、最大500人宿泊可能なまでに増築していきました。現在のホテルは91年に新築しました。
 私は99年にホテルに戻りました。それまで大学、ホテル専門学校に通いましたが、母の背中を見て育ったこともあり、学校を辞めて調理の世界に踏み込んでいきました。札幌、旭川で修業を積み、ホテルに戻ったのは25歳の時でした。

内藤:ホテルに戻ってきた時はどんな感じでしたか。

小林:バブルがはじけてからホテルを建てていますから大変な状態でした。売上は3億2千万円程度でしたが、借金は約11億円ありました。当時は金利だけでも5―6千万円。減価償却費を決算書に入れると、真っ赤になる状態でした。
 私は調理の仕事をやっていたので、師のように色々教わっていた人を調理長として当社に呼び、調理場の改革をお願いしました。私は最初にフロントに配属され、そこから改革をスタートしました。例えば、コンビニで1200円で売っているワインボトルを5千円で売っていたので当然売れず、まずは売れるところから始めようと、料金の改革などにも着手しました。…

 

※ 詳細は本紙1620号または3月7日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

「国内観光に数値目標を」、日商が観光振興策で意見書

須田寛氏
須田寛氏

 日本商工会議所(三村明夫会頭)はこのほど、今後の観光振興策に関する意見書「『新たな観光ビジョン』策定への期待」をとりまとめた。2月18日には日商観光委員会共同委員長の須田寛氏が田村明比古観光庁長官と、杉田和博官房副長官を訪れ、政府には「観光が地方創生、日本再生の“切り札”であり、地域や民間が観光により積極的に取り組めるように、とくに国内旅行の観光に関する具体的な数値目標を設定することが必要」とし、「観光立国への強い意思を明確にしてほしい」と訴えた。須田氏は同日、国土交通省交通運輸記者会で、同意見書の趣旨を説明した=写真

 国内観光を見ると、インバウンドは15年に過去最高の1973万7千人を記録する一方、国内観光消費額の約9割を占める日本人の国内観光市場は2006年の27兆2千億円から、14年には18兆9千億円へと大きく縮小している。

 これら状況により、今後増加が見込まれるインバウンドについては、「首都圏や関西圏など、特定都市・地域に集中する外国人旅行者を全国各地に分散・拡大が不可欠」とし、日商が昨年5月に提言した「交流拠点都市」(地域への旅行者の分散の核となる都市)を、政府が進める広域観光周遊ルートや、観光立国ショーケースで選定した都市のなかから指定すべきとの考えを示した。

 さらに、15年の訪日外国人数を見ると、中国499万人、韓国400万人、台湾368万人、香港152万人など東アジア地域からの訪日客が71・9%と大部分を占めるが、安定的な訪日外国人旅行者数と旅行消費額を確保するために、「欧米など多様な国からの誘客を進めることが重要」と指摘する。

 一方、長期的に減少傾向にある日本人の国内旅行を拡大するためには、季節的・時期的な需要格差への対応や、体験型観光の促進も含め、官民が一体となった「休暇取得キャンペーン」の実施などの取り組みの必要性を強調した。国内観光の課題としては、泊食分離や電子決算など、旅行者ニーズに対応した観光産業の経営革新を求めている。

 そのほか、安全安心の確保を前提とした新たな観光ニーズへの対応のための法制度の整備も今後の課題とし、具体的には(1)優良ランドオペレーターの登録制度の導入(2)地域限定旅行業の参入を促す旅行業法の登録制度の弾力化(3)多様な観光ニーズに対応した宿泊施設の整備促進に向けた旅館業法、建築基準法における構造・設備基準の見直し、民泊に関する法制度の整備(4)安全性を前提としたバス、タクシー事業者の再生と新規参入に対するルールづくり――などをあげた。

復興は次のステップへ、マーケティングの段階に、田村観光庁長官

 田村明比古観光庁長官は2月16日に開いた会見で、マーケティングを駆使した復興観光のステップアップや、ツアーオペレーターの規制の可能性など、これからの国内観光の展望や仕組みのあり方について語った。

 3月11日で5年目を迎える東日本大震災からの復興観光について、田村長官は「東北の観光復興は、観光庁と復興庁が二人三脚の連携で進めている。今回、増額された予算についても執行は観光庁なので、観光と復興を一体的に進めることができる」と今年の復興観光への期待を述べた。また、これまでの「復興」という心情にスポットを当てた支援から、「地域ごとの特性を活かし、データに基づいてターゲットを絞り、マーケティングする段階に来ているのではないか」と復興観光の次なるステップの方向性も示唆した。

 2月2日に日本旅行業協会(JATA)が観光庁に提出した訪日旅行に関する提言書についても言及した。提言のなかの1項目、ツアーオペレーター業の「品質認証制度」の活用促進については「ツアーオペレーターは訪日旅行の質の問題や、長野県・軽井沢スキーバス事故にも関係している」と述べ、今後のツアーオペレーターの規制の可能性を語った。旅行業法は消費者保護の観点からBtoCの取引を監督するもので、BtoBの取引を行うツアーオペレーターは業法外となる。「結果としてツアーの質や安全に問題が生じ、旅行者に影響を与えるのであれば、消費者保護の観点から議論があっても良い」と意向を示した。

 議論が進む「民泊サービス」問題については、「当面の対策に合わせて抜本的な制度の見直しを検討する方向で進めている。大きな方向性はビジョン会議でも出していきたい」と現況を述べた。

 訪日外国人観光客が注目されるなかで伸び悩む日本人の旅行需要についても触れ、「例年並みに戻ったがそれ以上のものではない」と評価したうえで、伸び悩みの要因は「旅行者個人の懐具合と旅行コストの兼ね合い」と推察、「とくに交通手段は国内旅行に関すればまだ高い」と述べた。合わせて宿泊施設の稼働率の好調から、宿泊料金の上昇傾向も関係しているとした。国内旅行の展望については「個人の所得や将来に向けた期待値が良くならなければならない。そうならないのであればLCCの普及など割安感のあるものがもっと出てきてほしい」と語った。旅館サービスの改善についても述べ、「一部の高級層のサービスは別として、旅館の宿泊体験がマンネリ化している感じがする。改善の余地は大いにあるので取り組んでいきたい」と述べた。

成長領域に先行投資、「ヒト・モノ・カネを集中」(KNT―CT中期経営計画)

戸川和良社長
戸川和良社長

 KNT―CTホールディングス(戸川和良社長)は2月12日、2016―18年度の中期経営計画を発表した。今後3年間は、成長領域と位置づけた「訪日旅行事業」「地域誘客交流事業」「スポーツ事業」への積極的な先行投資などを加速し、安定的な営業利益の確保を目指す。戸川社長は同日に東京都内で開いた会見で「成長領域に『ヒト・モノ・カネ』を集中させたい」と意気込んだ。

 中期計画の基本方針は(1)自立経営とシナジー効果の最大化(2)成長領域へのシフトおよび先行投資(3)新規事業・新たな収益源開発への挑戦――。

 成長領域の訪日事業は、各社の役割の明確化や全体の利益の最大化をはかるための組織づくり、FIT事業の拡大、訪日ランドオペレーター事業の強化などに取り組む。地域誘客交流事業は、着地ビジネス機能を持つ地域誘客と交流ビジネス拠点の設置や、自治体との人事交流を含めた連携強化など。スポーツ事業は、2020年に向けた五輪需要取扱いの最大化やバリアフリー、障がい者関連事業の拡大などに努める。

 戸川社長は「今年は年始から株安があり、為替変動があり読みにくい。海外の回復は難しいので訪日旅行の取り込みにかかってくるが、売上高の増収は見込める」と中期計画初年度の見通しを語った。

 経営目標は16年度の売上高が4318億円、営業利益が40億円、17年度が同4410億円、同45億円、18年度が同4510億円、同50億円。

ユニーク三輪車で市内散策

 能登半島の付け根、石川県羽咋市にある「ちりはまホテルゆ華」では、昨年春に導入した「ウォーキングバイシクル」が人気を集めている。立った姿勢のまま、足を乗せたステップを左右交互に踏むことで前進するユニークな電動アシスト付き三輪自転車で、浴衣やロングスカートなど服装にとらわれずに利用できることも女性には好評だとか。

 すぐ近くには日本で唯一、車で走れる海岸「千里浜なぎさドライブウェイ」があり、三輪車で海岸を走る観光客も少なくない。同館では市内散策も楽しんでもらおうと、市内の観光施設や飲食店と連携し、各所をお得に利用できる観光手形も販売する。

 派手さはなくとも、ちょっとした居心地の良さが感じられるコトやモノ。それが本当のファンを生み出していく。

【塩野 俊誉】