第1種も傾斜掘削認める、自然環境局長が各知事に通知(環境省)

 第1種特別地域も地下部への傾斜掘削を認める――。環境省は2012年3月27日付の自然環境局長通知「国立・国定公園内における地熱開発の取扱いについて」の内容を見直し、10月2日付で新たに地方自治法に基づく技術的助言として、自然環境局長名で各都道府県知事宛てに通知した。

 今回の改正の大きなポイントは、第1種特別地域については、これまでの通知では「地下部への傾斜掘削も認めない」としていたが、地表に影響がないことなどを条件に、「地下部への傾斜掘削を認める」としたところだ。ただし、特別保護地区は地下部も認めないことは変わらない。

 建築物の高さ規制についても、「風致景観への著しい支障が回避され、風地景観との調和がはかられている場合に限り」という条件付きで、「13㍍にとらわれずに運用できることを明示する」とした。つまり、地熱発電の建物の規模に歯止めがなくなったことになる。

 同省は今回の改正について、「自然環境と調和した地熱開発のより一層の促進をはかるための考え方などを整理し、優良事例形成の円滑化をはかることが目的」とし、今年3月から「国立・国定公園内の地熱開発に係る優良事例形成に関する検討会」を7月まで計4回開催。同検討会の最終回で得られた結論を踏まえ、各地方環境事務所長と、各都道府県知事宛てに新たな通知を行った。

 12年3月27日付の通知では、(1)普通地域は個別に判断して認める(2)第2種、第3種特別地域は優良事例の形成について検証を行い、真に優良事例としてふさわしいものは認める。公園などからの傾斜掘削については個別に判断して認める(3)特別保護地区および第1種特別地域は認めない(傾斜掘削による地下利用も認めない)――などの内容に規制緩和されていた。

 環境省によると、同検討会では優良事例の円滑な形成のためには、(1)開発の早期段階から、自然環境に配慮した立地選定の検討を実施(2)「立地選定段階」「建設段階」「操業段階」の各段階に応じた手法や、精度による環境配慮の取り組みが重要との結論も得られており、15年度末までに取りまとめる「通知の解説」で具体的に解説する予定という。これを受けて日本温泉協会は地熱対策特別委員会などと協議し、協会としての考え方を近く発表する予定だ。

1位は北海道と函館市、地域ブランドランキング

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 地域ブランドに関する調査とコンサルティングを行う「ブランド総合研究所」(田中章雄社長)はこのほど、国内1千市町村と47都道府県を対象とした認知度やイメージの調査、第10回「地域ブランド調査2015」の結果を発表した。都道府県の魅力度ランキング1位は北海道、市町村の魅力度1位は函館市。

 都道府県部門で、北海道は7年連続1位。オリンピック開催で注目される東京都は順位を1つ上げ、3位となった。市町村部門で1位の函館市は、14年に続き2年連続1位。続く2位札幌市、3位京都市も順位をキープした。

 同調査によると、3月の北陸新幹線開業効果について石川県と富山県に差が出ていると強調。北陸新幹線沿線地域は総じて、1年以内に同地域を見聞きしたことがあるかを示す「情報接触度」は上昇した。訪れてみたいかどうかの「観光意欲度」は富山県が47都道府県中28位(33・5点)から16位(35・7点)に、黒部市は1千市町村中62位(32・0点)から31位(34・5点)に、富山市は134位(26・0点)から76位(29・4点)にそれぞれ上昇した。一方で石川県は8位を維持したが点数が42・2点から40・9点に、金沢市は12位から7位に順位を上げたが、46・0点から45・8点に落ちるなど、点数の低下が若干見られた。

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 同研究所はこの結果から、石川県・金沢市については今回の情報接触度の上昇が観光意欲にはとくに結びついていないとし、その理由は新幹線開業以前から高い観光意欲・イメージが形成されていた可能性もあるとした。

 来年6月にサミットの開催が決定した三重県と志摩市の「情報接触度」をはじめとする各指標が点数、順位とも上昇した。三重県の情報接触度は前年の33位(31・1点)から23位(35・4点)に、志摩市は132位(26・1点)から49位(33・6点)に大幅増。

 「観光意欲度」については三重県が26位(33・9点)から20位(34・5点)に、志摩市は44位(34・5点)から18位(39・4点)に上昇した。このほかの「認知度」「魅力度」などの指標も点数・順位ともに上がった。伊勢市は13年の式年遷宮の影響で「情報接触度」をはじめとする各指標が微減した。「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が世界遺産登録され、軍艦島で人気の長崎県の各指標も上昇した。その他該当地域においては調査結果からは大きな変化は確認できなかったとした。

 同調査は20―60代の消費者を男女別、年代別、地域別に同数回収し、年齢や地域人口の分布に合わせて再集計している。有効回収数は2万9046人、調査時期は6月24日―7月17日。調査項目は認知、訪問率、産品想起率など77項目。

金賞は知多半島観光圏、産業観光まちづくり大賞

 表彰式のようす
表彰式のようす

 日本観光振興協会と全国産業推進協議会は10月1日、新潟県三条市で開かれた「全国産業観光フォーラムin燕三条」で第9回「産業観光まちづくり大賞」の受賞者を発表し、表彰式を行った。金賞は愛知県の「知多半島観光圏協議会」。

 同賞は、産業遺産や工場などを活用した観光まちづくりの優れた事例を表彰するもので、2007年に創設。昨年度から経済産業大臣賞と観光庁長官賞が設けられた。審査は受入側と訪問側、双方にメリットがあるビジネスモデルか、継続性があるかなどが主眼。

 審査員を代表して登壇した多摩大学大学院客員教授の望月照彦氏は、今回の特徴について「裾野の広い分野からユニークな取り組みが寄せられた」と述べ、「今後、産業観光の役割はますます重要になるだろうと認識を改めた」と総評した。

 各賞は次のとおり。

【金賞】知多半島観光圏協議会(愛知県)
 知多半島は古代の塩づくりから現代まで続く窯業、江戸時代からの酒や酢、みそなどの醸造業、紡績業とこれらを運んだ尾州廻船、火力発電所、エネルギー産業、重工業などさまざまな分野の産業が集積するものづくり半島。これら多様に広がる産業観光コンテンツを日本福祉大学が事務局を務める知多ソフィアネットワークが中心となり、編集する作業を続け、広域連携における産業観光の理想的モデルができた。

【経済産業大臣賞】新居浜市(愛媛県)
 1691(元禄4)年、住友家による別子開坑後、別子銅山稼行を母体とした住友金属鉱山が生まれた。以降、鉱山事業に付随した住友化学や住友重機械工業、住友林業、住友共同電力など住友グループ企業が次々に生まれ、現在も瀬戸内を代表する工業都市として地域経済を牽引している。300年以上にわたり、一企業が経営してきた世界にも例のない地域で、鉱石業の変遷がよく分かる日本を代表する鉱工業のミュージアム都市。

【観光庁賞】三条市(新潟県)
 インフラツーリズムとして、完成後では体感できない土木技術の迫力などを「見せて・伝える」取り組みを積極的に行っている。工事現場を「産業観光資源」と捉えたユニークなもので、同市が主催するバスツアー「秘境八十里越体感バス」は斬新な試み。

【銀賞】北海道鉄道観光資源研究会(北海道)
 多くのローカル線や駅の廃止が発表される道内で、民間の立場から貴重な鉄道遺産の保存活動などをしている。資金はクラウドファンディングで募っているほか、ファームレストランとの連携をはじめ道内の自治体や団体と協働して幅広い取り組みを実施。

【奨励賞】生野まちづくり工房井筒屋運営委員会(兵庫県)
 05年に合併した朝来市の合併以前、生野町口銀谷地域が街並み環境整備事業を取り組むなかで、住民参加による基本計画の策定や建物の保存活用を検討。江戸時代の「郷宿」保存のため、住民で「生野まちづくり工房井筒屋運営委員会」を組織した。

モノづくりを体感、新エリアが16年3月誕生(よみうりランド)

日本のモノづくりを発信する
日本のモノづくりを発信する

 よみうりランド(上村武志社長)は10月7日、東京都内でよみうりランド遊園地新エリア「グッジョバ!!」記者発表会を開き、2016年3月にオープンする日本最大となる〝モノづくり〟が体感できる新エリア「グッジョバ(GOOD JOB ATTRACTIONS)」の参加企業と主要アトラクションを報告し、同社は総工費100億円をかけ、遊園地エリアの大幅拡張を行い、「参加感」「学べる」「競える」の3つをキーワードに3世代が一緒に楽しめる遊園地を作り出す。

 同エリアは生活に密着した、子供たちが親しみやすい自動車・食品・ファッション・文具の4つの業種からなるファクトリーで構成され、パートナー企業としてコクヨ(黒田英邦社長)、日清食品(安藤徳隆社長)、ワールド(上山健二社長)、島精機製作所(島正博社長)が、サポート企業として日産自動車(カルロス・ゴーン社長)が参加した。各ファクトリーでは、製品の製造工程を巡る屋内型のアトラクションを導入する。日本初となる、スパイラルリフト型ジェットコースターや映像ゲーム機能付きボートライドなどアトラクションは全15機種。各ファクトリーでは実際のモノづくりに触れられるワークショップも開催される。

 各ファクトリーの概要は、日産自動車監修の「CAR factory」では、デザインから組立、出荷にいたるまで車の製造工程の一連の流れを体感できる「カスタムガレージ」や、各自がデザインした車で、画面上でカーレースが楽しめる「マイレーシング」など屋内外に2種ずつ、計4種のアトラクションを設置する。 

 日清食品監修の「FOOD factory」では、同社のロングセラー商品「日清焼そばU.F.O.」をテーマにした工場内で、その製造工程や調理工程を体感することができる「スプラッシュU.F.O.」など、屋内に2種のアトラクションを設備。

 ワールドと島精機製作所監修の「FASHION factory」は、ファンタジーに演出された工場で、服飾の製造工程を日本初のらせん状コースターで楽しむ「スピンランウェイ」やオリジナルの編み物を作ることができる「マイニット」など、屋内に2種のアトラクションが登場する。

 コクヨ監修の「BUNGU factory」では、同社のロングセラー商品「キャンパスノート」をテーマにしたパステルカラーの工場内で、アスレチックを通してノート作りを知ることができる「キャンパスチャレンジ」や、幼児向けのアトラクション「ひらめキッズ」などを含め、屋内に2種、屋外に4種のアトラクションが誕生する。

 上村社長は、「雨の日でも楽しむことができる屋内施設の誕生は、同社にとって長年の願いであった」とし、「長年遊園地を運営してきたからこそできる、よみうりランド流のエンターテインメントで、モノづくりの楽しさを提供したい」と語った。

 同社は現在のアトラクション数28機種から1・5倍の43機種へとアトラクション数を増やし、年間来場者数30万人増を目指す。

【10月24日・25日】「真岡もめん着物DEまちあるき」(栃木県真岡市)

真岡木綿の着物を着て、歴史散歩を楽しみたい
真岡木綿の着物を着て、門前地域の散策を楽しみたい

 栃木県の真岡市観光協会は、真岡木綿の着物を着て、門前地域の散策を楽しむイベント「真岡もめん着物DEまちあるき」(協力=真岡木綿会館・真岡商工会議所)を、10月24日と25日に開く。

 「真岡木綿」は、素朴な風合いと絹のような肌ざわりが特長で、江戸時代の文化・文政・天保の頃には年間38万反を生産し、隆盛を極めた。しかし開国による輸入錦糸の流入などで衰退し、戦後その生産はほとんど途絶えていたが、現在、真岡商工会議所が中心となり技術の復興をはかり、その魅力と機織り技術の伝統を現代に伝えている。

 イベントは、昨年オープンした同市の観光拠点施設「久保記念観光文化交流館」(真岡市荒町)の開館1周年記念式典と連動したもので、9月21日にはモニターツアーも開催された。同施設は、整備前の所有者である久保家出身の美術評論家・久保貞次郎氏の貴重な資料を展示する「久保記念館」や、同氏の絵画のコレクションなどを企画展示する「美術品展示館」など、歴史的建造物を活かした5つの建物から構成される。周辺には、大正・昭和期には花街としてにぎわい、現在はカフェや雑貨屋などが並ぶ門前地域が広がる。真岡木綿の着物に身を包み、情緒ある歴史散歩を楽しみたい。

 料金は、着物レンタルと着付けの3千円コース、イタリアンコースランチが付く5千円コース、お土産2千円券が付く4500円コースの3種類(各税込)。前日17時までに申し込みのこと(最大定員8名)。今後も市内イベント開催時の12月、2月、4月、6月の第2日曜日などに定期的に実施を予定している。

 問い合わせ=真岡市観光協会 電話:0285(82)2012。

【10月18日】「ピンクリボンの日」開催(愛知県湯谷温泉)

湯谷温泉ピンクリボンの日

 ピンクリボンのお宿ネットワーク(事務局・旅行新聞新社)に加盟する、愛知県新城市の湯谷温泉は10月18日、「ピンクリボンの日」を開く。開催時間は午前11時から午後4時まで。

 人にやさしい温泉地を目指す湯谷温泉(湯谷温泉発展会・湯谷温泉女将会)と、人工乳房の製作・販売を行う池山メディカルジャパン(本社=愛知県名古屋市)が乳がん経験者とその家族、友人などに向け、湯谷温泉での入浴を気兼ねなく楽しんでもらおうと企画するイベントで、今年が3回目の開催となる。

 当日は参加する9施設(「離れのお宿松風苑」「はづ別館」「はづ木」「旅荘みつい」「旅館ひさご」「湯谷観光ホテル泉山閣」「旅館翠明」「湯の風HAZU」「お食事処ゆかわ」)で大浴場を無料開放するほか、体に優しい特別ランチや食べ歩きができる軽食なども販売する。また昨年好評だった、まつげエクステやハンドマッサージなどの体験コーナーのほか、今年は乳がん患者会とのコラボレーションをテーマに、産婦人科医や乳腺外科医によるセミナー、乳がんとともに生きる歌手「KEIKO and KOJI」コンサート、乳がん患者および家族に向けたおしゃべり会なども予定する。

 湯谷温泉は気兼ねなく入浴を楽しめるよう、各館が大浴場の洗い場にまずは1カ所、間仕切りを設けるなど、「人にやさしい温泉地」を目指した取り組みを行っている。

8軒をモデルに選定、生産性向上の“ノウハウ”波及へ

日本旅館協会の針谷了会長があいさつ
日本旅館協会の針谷了会長があいさつ

旅館ホテル生産性向上協議会が発足

 第1回旅館ホテル生産性向上協議会が10月1日、東京・霞が関で開かれた。今年6月18日には安倍晋三首相、甘利明内閣府特命担当相、榊原定征日本経済団体連合会会長ら出席のもと、宿泊、飲食、介護、道路貨物運送、小売業など5分野共同の同協議会が開かれたが、宿泊業が5分野のなかでさきがけとなって協議会を発足させた。

 日本旅館協会の針谷了会長は「旅館業は人手不足が深刻ななか、安倍首相から『もっと生産性を高めなさい』と的を射た直接のご指示をいただいた」とあいさつ。「実態的には旅館ホテルには長時間労働があるが、生産性を上げて待遇を改善し、優秀な人材を宿泊業に迎え、利益を上げて設備投資を続けることで地位向上とあわせて、インバウンドを含めた観光施策、国策に貢献できるよう、生産性向上に取り組んでいきたい」と語った。さらに「生産性本部のお力を借りて、8軒のモデル旅館ホテルに学んでもらい、そのノウハウを全国に波及していきたい」と述べた。

海稲良光氏
海稲良光氏

 国土交通省の上野賢一郎政務官は「我が国のGDPの7割はサービス業が生み出しており、サービス業生産性の向上は今後の日本には不可欠」とし、「諸外国と比べてもサービス業の生産性は改善する余地があるし、皆さんが生産性向上に取り組んでいただくことは、地域経済にとっても大変意味があり、重要なこと」と述べた。その後、オージェイティー・ソリューションズ顧問の海稲良光氏が「旅館ホテルにおける生産性向上」について講演を行った。

 日本旅館協会は全国の会員のなかから、モデル旅館ホテル8軒を選定しており、今後個別コンサルティングを行い、課題の抽出や改善策の作成などを通じ、生産性向上に向けての取り組みを行っていく。

 8軒のモデル旅館ホテルは、大・中・小規模旅館、ビジネスホテルの4カテゴリーに2軒ずつ。小規模旅館は綿善旅館(京都府)と山口旅館(熊本県)、中規模旅館は長栄旅館(岩手県)とあぶらや燈千(長野県)、大規模旅館は観月苑(北海道)と小豆島国際ホテル(兵庫県)、ビジネスホテルは芝大門ホテル(東京都)、ホテル松風(愛知県)。

 今後のスケジュールは、来年1―2月にかけて大規模旅館、2―3月にかけて中規模旅館のコンサルティングを日本生産性本部などから専門家を派遣して実施する。5月には第2回旅館ホテル生産性向上協議会で中間報告、6月には日本旅館協会総会で経過報告を行う。7月には小規模旅館とビジネスホテルのコンサルティングを実施し、10月には第3回同協議会で最終報告を行う。

No.414 注目集まるLGBT市場、国内の該当層は7.6%

注目集まるLGBT市場
国内の該当層は7.6%

 電通ダイバーシティ・ラボは4月、国内のLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)など性的少数者(セクシュアルマイノリティ)層に該当する人は7.6%、市場規模は5兆9400億円と発表した。東京・渋谷区は同月、日本で初めて「同性パートナーシップ条例」を施行。世界では6月、全米で同性婚が合法化されるなど世界的に多様性を受け入れる動きが加速している。今後、ますます訪日外国人観光客が増えるなか、LGBT市場にも注目が集まる。
【飯塚 小牧】
 

 
 電通のダイバーシティ(多様性)課題対応専門組織「電通ダイバーシティ・ラボ」は4月、全国の6万9989人を対象に「LGBT調査2015」を実施。前回の12年に行った同調査ではLGBT層が5・2%だったのに対し、今回は7・6%と増加した。人口比率では964万人となり、これはAB型の血液型の人と近い割合という。

 また、総務省の家計調査と家計消費状況調査データを踏まえ、LGBT層の商品・サービス消費市場規模は22カテゴリーで5兆9400億円と試算。このなかで、国内旅行費は762億円、海外旅行費は290億円。

 さらに今回はLGBT該当者の消費だけではなく、周辺の一般層でLGBTを支援、支持することにより生じる消費に注目。セクシュアルマイノリティ活動のシンボルとして世界的にレインボーが使われることから、同社はこれを「レインボー消費」と名付けた。今後は、多様性が社会に受け入れられることで生まれるレインボー消費の調査を進めるという。…

 

※ 詳細は本紙1604号または10月15日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

スポーツの秋 ― “泥くささ”に心動かされる

 “スポーツの秋”である。観光もスポーツと密接なつながりがあり、交流人口の拡大などにおいても、大きな影響力を持っている。また、2020年の東京オリンピックに向けて、スポーツの重要性はもっと増すだろうし、地域活性化にとっても、自分たちの誇りとなるスポーツチームが地元にあることも、とても大事になってくる。

 面白いのは、人それぞれに好きなスポーツがあるし、実際に自分がやっていた競技には思い入れが強い。それがマイナースポーツであれば、自己紹介で目立つことができるし、飲み屋での会話も盛り上がる。そして、スポーツは人を熱狂させる。地球の裏側まで弾丸ツアーで駆けつけるファンも多い。また、テレビ観戦でも、それがたとえ深夜であろうと「明日の仕事に差し支えてもいい」と開き直り、朝まで声をからして応援する。

 スポーツに魅了されるのは、すべての人の「人生と同じ」でなかなか上手くいかないところ。一瞬、一瞬が真剣勝負。もどかしくもあるし、敗北すれば苦い思いをし、悔し涙も流れる。それゆえに勝利したときには、歓喜の雄叫びを上げるほどに心を動かされる。

 チームプレーでは、脚光を浴びるポジションがある。サッカーなら常に得点を狙うフォワードだろう。一方、90分間全力で削り合うなかで、何度も何度もピンチを救い、チャンスにつなげる役どころがある。ボランチやディフェンダーだ。相手が強敵ならば、身体はボロボロだ。それでも相手に食い下がっていく。ワールドカップブラジル大会を制したドイツなどの強豪国は、精緻なパスで華麗にゴールを奪うイメージがある。だが、どんな強豪国であろうと、それほどものごとが上手くいくはずはない。アルゼンチンは、マラドーナやメッシなど才能豊かな選手が脚光を浴びるが、実に“泥くさい”サッカーをしている。日本が世界的にまだまだ強くなれない理由は、パスの精度や戦術なども言われているが、強豪国のサッカーと比べて“泥くささ”が足りないせいなのだと、いつも思う。

 かつてサッカー日本代表の香川真司がイングランドの名門クラブ、マンチェスター・ユナイテッドでプレイをしていたとき、同僚の世界的なフォワード、ウェイン・ルーニーが自陣のゴール前まで全力で転がり込みながら守ったかと思うと、すぐに立ち上り、今度はエースとして全速力でゴールを果敢に奪いに行く。笛が鳴るまで繰り返す姿に、泣きそうになった。

 ラグビーワールドカップで日本代表の活躍もあり、ラグビーがメディアに登場するシーンが多くなった。旅館業界でも全旅連青年部の桑田雅之部長が元ラガーマンだけあって、ひと際ラグビー熱が伝わってくる。ラグビーは、“泥くさい”イメージがある。実際、全身泥まみれになるからかもしれないが、なりふり構わないひたむきさが胸を打つ。泥くさいには「洗練されていない、野暮ったい、田舎くさい」などの意味があるが、私は泥まみれになった姿の比喩としての“泥くさい”という語感が好きだ。

 仕事が良くできる人は、大抵“泥くささ”を表面上には見せない。しかし、ルーニーのように、誰よりも走り回っている。その泥くさい部分がちらりと見えるときがある。その瞬間が、妙に人間くさく、そして美しい。

(編集長・増田 剛)

旅行予算減少が54%、旅行3社の卒業旅行調査

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 卒業旅行予算減少が54%――。学生の内定・卒業シーズンが近づき、旅行会社各社は、卒業旅行に関する旅行調査を発表し、分析にもとづく商品も売り出している。エイチ・アイ・エス(HIS)、JTB、楽天トラベルの旅行動向調査をまとめた。

 HISは、就職活動の環境変化に注目。同社の就職内定者アンケートによると、「企業の選考解禁月が前年に比べ4カ月繰り下がり、卒業旅行の資金源であるアルバイトの時間が減少した」と結果が出ており、これにともない旅行予算も低下。HISは9月25日から価格重視の「学生さん限定プラン」や「出世払い」などを販売している。

 JTBのeコマース事業を担当するi.JTBは、SNSのLINE上で卒業旅行に関するアンケートを実施。卒業旅行の有無に関しては、「行く予定」(もしくは行ったことがある)の回答が68%。性別で見ると女性の旅行意欲が高い。旅行回数の回答の平均は1・7回。回答者の約半数は1回、3割が2回、残りの2割が3回以上となった。

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 卒業旅行の計画開始時期は国内外ともに3カ月前が最も多く、卒業シーズンが2―3月にあたるため、11―12月に計画を練ることが多くなるとJTBは予想している。

 思い出になった行き先(国内)のトップは「テーマパーク」、続いて「関東」「近畿」「北海道」「九州」「沖縄」「中部」「中国・四国」の順。とくに男女別では「テーマパーク」が女性に人気で1位だったが、男性のトップ5にはランクインしていない。

 卒業旅行(国内)の予算は1万円以上3万円未満が38%。半数以上は3万円以上の予算。

 JTBでも9月25日から学生専用の「ガクタビ」を中心に卒業旅行の特集ページの公開や各種キャンペーンを展開している。

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 楽天トラベルが18―24歳を対象にしたアンケート調査では、男性の旅行目的のトップは「観光地巡り」、続いて「癒し」「料理」「文化・歴史」が続いた。女性の旅行目的では「癒し」がトップとなり、「観光地巡り」「料理」「同行者と過ごす時間」「遊園地・テーマパーク」の順。

 楽天トラベルによると、男性は自身の経験値や知識の向上に結び付ける旅行目的が上位にあり、とくに1人旅の形態が多くなっていると分析した。女性は1人旅の回答が0人で、旅行形態は圧倒的にカップルが多い結果となっている。