JTB 12年旅行動向

JTB 12年旅行動向

 JTBがこのほど発表した2012年の旅行動向見通しによると、2011年の震災に伴う旅行減少分の回復で、1泊以上の国内旅行人数は前年比1・5%増の2億8700万人、海外旅行人数は同3・0%増の1740万人。また、訪日外国人数は同25・0%増の780万人と、国内、海外、訪日ともに旅行者数は前年を上回る見込み。

<国内は震災の反動で微増>

 2012年は国内の復興需要の追い風と、震災後の節約・節電ムードへの反動から個人の消費が多少緩む傾向にある。ゴールデンウイーク(GW)と正月を除く週末の3連休が5回と、11年より3回少なくなるが、GWは5月1、2日を含め9連休、お盆は8月11―15日まで5連休と、長期休暇を取りやすい日並びとなる。

<海外は円高恩恵で3.0%増>

 国内旅行は、東京スカイツリー、東京駅丸の内駅舎、渋谷ヒカリエ、ダイバーシティー東京などの開業が相次ぎ首都圏への観光客が増加。大河ドラマ平清盛効果で京都、神戸、広島などゆかりの地への旅行客増加が見込まれる。また、航空事情では、国内のLCC3社が運航を開始する。ピーチアビエーションが3月1日に関西―札幌、福岡線を、エアアジアジャパンが8月に成田―札幌、福岡、那覇線を就航。ジェットスタージャパンも年内の就航を予定し、話題性や格安運賃により新たな旅行需要につながるとみている。

<訪日は25%増の780万人>

 一方海外旅行は、円高基調の継続や、航空便数の増加でアジアなど近隣方面の比重が増加する見込み。近隣方面の増加により、平均消費額は同1・6%減の25万2千円とやや減少。羽田空港再国際化による利便性の認知が進み、深夜発便を利用した旅行が定着。首都圏発の海外旅行の増加が期待される。方面別では、震災後も伸びているシンガポールや、好調をキープする台湾、韓国をはじめ、中国、香港、マカオ、ハワイへの旅行客増加が見込まれる。

 訪日外国人数は、原発事故の影響から現在回復傾向にある台湾、中国、香港に加え、韓国などその他の近隣アジアも回復に向かうと予測。一方、欧米からのビジネス客は回復中だが、観光客の戻りは遅く、放射能への不安が一掃されるまではなお時間がかかる見通し。 

山陽・九州新幹線、直通1周年CP実施

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 昨年3月に全線開通した九州新幹線と山陽新幹線が直通運転を開始して今年3月に1周年を迎えることから熊本、鹿児島、宮崎3県とJR西日本、JR九州は1月15日から3月31日まで「山陽・九州新幹線直通1周年キャンペーン」を実施する。近畿、中国、九州の運輸局が協力する。

 旅行会社が企画した南九州への往復JR利用商品の利用客に、次回旅行で使用できる「旅行プラン購入割引券」(大人1500円、子供750円)をプレゼント。

 1月15日から9月30日までに、対象のJR利用旅行商品を利用し、南九州を訪問すると、絵葉書や飴など3県からプレゼントも用意される。

 JTBでは山陽・九州新幹線と大阪―札幌間運転で人気の「トワイライトエクスプレス」型車両を組合わせた旅行プランを企画。日本旅行はTV旅番組とタイアップした旅行プランを設定する。

 JR西日本のHP「JRおでかけネット」内では1周年スペシャルサイト内で神戸松蔭女子学院大学の学生が熊本県人吉を取材し、提案した旅プランを公開する。

ハウステンボス第22期決算、開業以来初の黒字

ワンピースの「サウザンド・サニー号」が人気に
ワンピースの「サウザンド・サニー号」が人気に

 長崎県佐世保市のリゾート・ハウステンボス(澤田秀雄社長)は昨年12月1日、第22期(2011年9月期、10年10月―11年9月)の決算を発表し、入場者数が前年同期比17%増の179万9千人、売上高が29%増の132億円となったことを明らかにした。

 これで通期の営業利益は10・5億円となり、来場客数と消費単価の増加(前年同期比113%)により、1992年の開業以来初の営業黒字を達成した。

  同社では3月11日の東日本大震災以降、海外客が前年同期比35%の大幅減となったが、関西以西の国内客誘致と消費単価向上に経営戦略を転換。バラ祭りなどの新規シーズン展開や人気アニメ・ワンピースの「サウザンド・サニー号」の就航開始などで、国内客が21%増加した。

 消費単価は前年同期比27%増加し、これにより下期売上高は同33%、18億円増加し、営業利益は7・8億円、経常利益は12・9億円と上期利益額を上回る黒字を確保した。

 23期(11年10月―12年9月)の収支見込みでは、入場者数が前年同期比10万人増の190万人(105・5%)、宿泊者数は1万人増の27万人(103・8%)で売上高が20億円増の152億円(115%)、営業利益13億円、経常利益22億円を見込む。

14施設から3つ選べる、加賀温泉郷観光クーポン

 石川県の加賀市観光交流機構は3月まで、湯巡りも観光もできるお得なチケット「加賀温泉郷観光クーポン」(700円)を販売している。

 利用できる施設は、北前船の里資料館や、魯山人寓居跡いろは草庵、石川県九谷焼美術館など、片山津温泉や山代温泉、山中温泉、橋立、片野、大聖寺エリアの14の施設。各温泉地の共同浴場、総湯も含む。チケット1枚でこのうち3つを自由に組み合わせて観光、湯巡りができる。

 加賀全体を巡るには巡回バス「キャンバス」が便利。JR加賀温泉駅前のアビオシティ加賀アートギャラリーを起点に、海回り(片山津温泉方面)、山周り(山代温泉方面)の2ルートで、1日乗車券は大人が1千円、2日券は1200円。

初の高速路線バス、梅田、京都と南港結ぶ

フェリーとの乗り継ぎも合わせた運行に
フェリーとの乗り継ぎも合わせた運行に

 高速ツアーバスの企画・運行事業などを手掛けるウィラー・エクスプレス(村瀬茂高社長)は、11年12月22日から同社初となる乗合許可を受けた高速路線バスの運行を開始した。路線は梅田(大阪)・京都駅と大阪南港の3つのフェリーターミナルを結ぶ。

 運行ルートは、京都駅八条口―WILLERバスターミナル大阪梅田―大阪南港(系統1・かもめフェリーターミナル、系統2・南港フェリーターミナル、系統3・コスモフェリーターミナル)。5つの航路の出航・到着する時刻に合わせて、各フェリーとの乗り継ぎが簡単にできる運行ダイヤに設定した。

 同社によると、事前予約の状況は約9割がインターネットからで予約者の特徴は約8割が30代以下、半数は女性だという。また、フェリーとのセット商品の予約は半数以上。

 各所要時間と運賃は、京都駅八条口―大阪南港が約1時間50分で1千円。WILLERバスターミナル大阪梅田―大阪南港が約30分で500円。

 3月31日の乗車分まで、インターネットからの予約限定ですべて100円引きになるキャンペーンも実施中だ。

【発表】37回プロが選ぶ100選

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加賀屋17年ぶり「もてなし」部門1位に返り咲き
旅行新聞新社「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」決定
1月20日(金)京王プラザホテル(新宿)で表彰式開催
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 旅行新聞新社(石井貞徳社長、本社・東京都千代田区)は1月11日発行の「旬刊旅行新聞」と自社ホームページで、第37回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の入選施設を発表しました。今年は「もてなし」部門で加賀屋(石川県 和倉温泉)が第20回(1995年1月発表)以来17年ぶりに1位へ返り咲きを果たしたほか、白玉の湯泉慶・華鳳(新潟県 月岡温泉)が「施設」部門で初の1位を獲得しました。

 加賀屋は総合100選でも32年連続で首位を獲得。その記録をさらに伸ばしました。総合上位入選では、昨年4位の白玉の湯泉慶・華鳳が3位に、同7位の水明館が5位とそれぞれランクアップ。10位のホテル鐘山苑(山梨県 富士山温泉)が新たにトップ10入りを果たしました。

 旅館100選は全国の旅行会社による投票を集計し100選施設を選出するもので、観光業界新春のイベントとして37年の歴史を誇るものです。投票は昨年10月に全国の旅行会社(旅行業登録1種、2種、3種)の本社、支店、営業所など1万7050カ所に、投票案内を掲載した「旬刊旅行新聞」と投票用紙(専用はがき)を直接送り、実施しました。返信いただいた投票はがきを集計し、「もてなし」「料理」「施設」「企画」の部門ごとの100選および、4部門の合計点からなる「総合100選」が決まりました。

 同時に「第32回プロが選ぶ観光・食事、土産物施設100選」、「第21回優良バス30選」も発表し、観光・食事、土産物の両部門で群馬県・長野原の浅間酒造観光センターが、バス30選では東京都・大田区のはとバスがそれぞれ1位の座を獲得しました。

 ■第37回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選(総合トップ10入選施設)

順位        館名                                    県・地区名                           コメント

1            加賀屋                                石川県 和倉温泉                 (32年連続1位)
2            日本の宿古窯                       山形県 かみのやま温泉
3            白玉の湯泉慶・華鳳              新潟県 月岡温泉                 (昨年の4位からランクアップ)
4            稲取銀水荘                          静岡県 稲取温泉
5            水明館    岐阜県                  下呂温泉                             (昨年の7位からランクアップ)
6            草津白根観光ホテル櫻井       群馬県 草津温泉
7            萬国屋    山形県                 あつみ温泉
8            ホテル秀水園                       鹿児島県 指宿温泉
9            指宿白水館                          鹿児島県 指宿温泉
10           ホテル鐘山苑                       山梨県 富士山温泉              (昨年の12位からトップ10入り)

 総合(11位~100位)、部門(もてなし、料理、施設、企画)、観光・食事施設、土産物施設、優良観光バスの各入選施設につきましてはこのホームページのホテル・旅館100選のページに掲載しています。

 なお、表彰式ならびに新春祝賀パーティーは1月20日(金)に新宿の京王プラザホテルで開催いたします。

ザ・フィッシュ(千葉県・浜金谷)にご当地キャラ集合 1月7-9日

 一足早い春が訪れ、絶好の観光シーズンを迎える千葉県は、1月から3月まで、早春の観光キャンペーン「きらきら房総 誰と行く?」を実施します。

さらに、「がんばろう!千葉」キャンペーンでは、1月から、一人ひとりのアイデアと取り組みで千葉を盛り上げる「ちば盛り上げ隊」が新たに発足します。

両キャンペーンのキックオフイベントとして、「~きらきら房総 誰と行く?~」 を1月7日から9日までの3日間、ザ・フィッシュ(千葉県・浜金谷)で開催します。

県内の観光スポットやご当地グルメ、元気いっぱいのマスコットキャラクターなど千葉の魅力が盛りだくさん。参加した皆さんの笑顔がきらきら輝き、元気が湧いてくるイベントです。

■イベントの内容は次の通りです。

名 称 がんばろう!千葉×早春の観光キャンペーン キックオフイベント~きらきら房総 誰と行く?~

主 催 千葉県

日 時 平成24年1月7日(土)~9日(月・祝)11:00~15:00 ※雨天開催

場 所 ザ・フィッシュ(千葉県富津市金谷2288)

主な内容

7日(土) がんばろう!千葉「ちば盛り上げ隊」発足式 ~キャラクター大集合~
地域のPRや盛り上げに頑張っているご当地キャラクターが大集合!
「ちば盛り上げ隊」の特別隊員に任命します。 

8日(日) 新春グルメ大会 ~ちばの恵みを食べ尽くそう~
B-1グランプリin 姫路で7位入賞の「勝浦タンタンメン」と、白いスープが特徴の
袖ヶ浦「ホワイトガウラーメン」が紅白競演。県産米を使った「もちつき大会」など。

9日(月・祝) チーバくんのお誕生日会
1月11日はチーバくんのお誕生日。関東近県のマスコットキャラクターもお祝いに
駆けつけてくれます。

広場のイベント(7日~9日)

ご当地グルメ、物産市、チーバくんグッズの販売、「ちば盛り上げ隊」の受付、観光PRブース など

●7日の「ちば盛り上げ隊」発足式に参加予定のキャラクター(昨年12月8日時点)

※★印:8日(日)も参加、☆印:9日(月・祝)も参加

きみぴょん(君津市)★☆ 
ドラム(栄町)★☆ 
ガウラ(袖ヶ浦市)★
ソーサマン(匝瑳市)★
ダッペエ(館山市)☆
なんぼーくん(安房郡市)☆ 
うなりくん(成田市)
カムロちゃん(佐倉市)
勝浦カッピー(勝浦市)
オッサくん(市原市)
なし坊&かおり(白井市)
一宮いっちゃん(一宮町) 
げんき君(白子町)
千葉県マスコットキャラクター
エビアミーゴ(御宿町) 
鳳神ヤツルギ(木更津市ご当地ヒーロー)
駅長犬(JR 東日本千葉支社)
チーバくん ★☆

●9日の「チーバくんのお誕生日会」に出席予定の関東近県マスコットキャラクター

ハッスル黄門(茨城県) 
とちまるくん(栃木県)
ぐんまちゃん(群馬県)
コバトン(埼玉県)

“人間”のサービスに ― 不要論は出ない(1/1付)

  2011年は日本国内だけでなく、世界中で激動の1年だった。12年はどのような年になるのか。もちろん期待もあるが、不安も同じくらいある。

 今年は旅行業界の雄「JTB」が創業100周年を迎える。JTBよりも一足先に、日本旅行が2005年に創業100周年を迎えた。日本を代表する2つの旅行会社も、1世紀という重い歴史と伝統を有する100年企業なのである。この長き歴史に敬意を表したい。

 JTBが創業した100年前の1912年も、まさに激動の年だった。4月にタイタニック号が沈没、7月には大阪に初代通天閣が完成。そして、明治天皇が崩御し、元号が明治から大正に変わった。日本旅行が創業した1905年は日露戦争の年だ。激動の時代からスタートしたために、その後の数知れない荒波にも耐え、自らを変革し、大企業に成長したのだろう。そして今でもそうかもしれないが、一昔前は、学生にとって旅行会社は眩しいくらいに憧れの企業であった。

 しかし、近年のIT革命によるインターネットの進展によって、大手旅行会社の苦戦が続いている。海外旅行も国内旅行も、楽天トラベルやじゃらんnetに代表されるインターネット総合旅行会社や、宿泊予約サイトに押され気味だ。大手だけでなく、中小の旅行会社も相当に厳しい状況に直面している。

 人間同士の競争であるならば、個人や企業努力によって存在感を示すことはできる。しかし、どんな業態であっても、機械やコンピューターに代わる存在となってしまえば、不要論も出てくる。一方、人間でなければ成り立たない仕事は強い。医師や看護師、学校の先生、料理人などは、100年後も存在しているはずだ。高性能ロボットのようなものも出現しているだろうが、人間でいるかぎり不完全でありながらも、どこか温もりのある人の手や感情を求めるものだ。電脳シティの象徴である秋葉原に、拙なれど、温もり十分のメイドカフェが誕生したのも偶然ではない。未来はコンピューターやロボットによって簡便かつ正確に物事を処理する能力の競争がさらに激化するだろう。その反面で人間の生のサービスを求めるという、2極化が進んでいくだろう。忘れてならないのは、観光業界こそ、人の力が必要とされているということだ。

(編集長・増田 剛)

奈良県南部の風評被害地、観光地は安心安全

金峯山寺
金峯山寺

 昨年9月、台風12号により紀伊半島地域で大きな被害が発生したが、被害の無かった観光地や温泉地も風評被害の影響で宿泊客が減少した。昨年11月24―25日に、近畿運輸局が主催した奈良県の現地視察に参加し、風評被害に翻弄された吉野町や洞川(どろがわ)温泉など訪ね、安心安全の観光地を確認した。
【有島 誠】

 最初の目的地は大阪市内からバスで1時間半の吉野町。桜と修験道で有名な吉野山は「紀伊山地の霊場と参詣道」の中核としてユネスコの世界遺産に登録され、年間約100万人の観光客が訪れる。

 山や谷を埋め尽くす桜の木は約3万本。9割が山桜で、4月10日前後の満開をはさみ20―25日間、全山がピンクに染まる。山の下から、上から歩きながら楽しめるのが吉野の桜で、期間中は約40万人の見物客でにぎわうという。

「千と千尋」の世界の洞川温泉街
「千と千尋」の世界の洞川温泉街

 周辺に旅館15軒、民宿7軒の宿泊施設があるが、吉野町の山本茂之観光参事によると「9―10月の予約が3―4割も減少した」という。ただ、現地のようすは以前とまったく変わらず、紅葉の名残が見られるだけだった。

 吉野は南北朝時代に後醍醐天皇から4代にわたり南朝方の拠点となり、後に太閤秀吉が花見を開くなど数々の歴史の舞台に登場する。国宝・金峯山寺の仁王門や蔵王堂、後醍醐天皇、秀吉ゆかりの吉水神社など見どころは多い。

 吉野町から約2時間。天川村の洞川温泉は、温泉街の風景がアニメ「千と千尋」の世界を彷彿とさせる癒しの地。古くから修験道のメッカ・大峰山への登山基地として栄えたところだ。

 山上川に面した温泉街は、提灯を下げた木造旅館20軒余りが両側に建ち並び趣ある風情。ごろごろ水という名水が知られ、各旅館の玄関前に置いた石や木の鉢には、水があふれる。

 温泉街でも10月で約2千人の予約キャンセルが発生したという。温泉街はもちろん、近くの龍泉寺、名水取水場、みたらい渓谷ハイキングコースなど直接の災害はまったくなかった。ただ、日本三大弁財天の天河大弁才天神社だけは、一時社務所付近が水に浸かったが、現在は完全に復旧し、参拝を受け付けている。

 奈良県では今年3月31日まで、南部への「泊りに行こう」キャンペーンを実施。額面1万円が8千円で購入できる宿泊旅行券も販売し応援する。

天河神社で当時のようす説明
天河神社で当時のようす説明

浅間酒造の櫻井氏ら3人、東京農大経営者大賞を受賞

表彰式で受賞者が登壇
表彰式で受賞者が登壇

 東京農業大学・東京農業大学短期大学部主催の「東京農大経営者フォーラム2011」が11月25日、世田谷キャンパス百周年記念講堂で開催された。2011年度の「東京農大経営者大賞」には川中醤油(広島県)の川中敬三社長、浅間酒造(群馬県)の櫻井芳樹社長、清水牧場(東京都)の清水陸央代表の3人が選ばれ、表彰式と受賞記念講演が行われた。

 東京農大では優れた経営やビジネスで活躍して社会に貢献している約14万人の卒業生を対象に、「東京農大経営者大賞」と「東京農大経営者賞」を贈り、その栄誉を讃える「東京農大経営者フォーラム」を2000年から開催している。今年で12回目。2009年からは経営に関する技能・技術の開発および普及において顕著な功績の認められた卒業生に贈呈する「東京農大経営者技能賞」も新設されたが、今年は該当者なしだった。これまでの受賞者数は今回の受賞者を含め93人になった。

櫻井芳樹社長が受賞記念講演
櫻井芳樹社長が受賞記念講演

 経営者大賞を受賞した浅間酒造(群馬県・長野原町)の櫻井社長は、本業の清酒醸造業経営だけにとどまらず、観光酒蔵の先駆けである浅間酒造観光センターを立ち上げるなど多角的な事業展開に成功し、低迷著しい清酒業界にあって健全な収益を実現していることが高く評価された。

 なお、浅間酒造観光センターは旅行新聞新社主催の「プロが選ぶ観光・食事、土産物施設100選」で両部門7年連続全国第1位を獲得している優良観光施設としても有名。

 受賞者3人による記念講演のあと、「東日本大震災―被災の実態と復興への経営者の役割」をテーマにしたミニシンポジウムも行われた。

 パネリストには、過去に同経営者大賞を受賞している一ノ蔵(宮城県)の淺見紀夫名誉会長、南部美人(岩手県)の久慈浩介専務、サンバレーグループ(栃木県)の新田恭一郎代表が登壇し、それぞれの被災体験や経営者として震災復興に向けてどのように行動し、社会貢献してきたかなどが発表された。