1月4日からホワイトタイガーの赤ちゃん一般公開 名前の投票も受け付け

2024年12月26日(木) 配信

(左写真)左・長男、右・次男(12月10日撮影)、展示場練習のようす(12月21日撮影)

 東武動物公園(石附栄一社長、埼玉県・宮代町)は2025年1月4日(土)から、11月7日に生まれたホワイトタイガーのオスの赤ちゃん2頭の一般公開を開始する。また、公開日から1月26日まで、現地投票用紙などで名前投票を実施する。

 同園でのホワイトタイガー誕生は2015年以来9年ぶり、3回目となる。母トラ「ソルティ」、父トラ「シュガー」ペアでの出産は初めて。誕生後、2頭の“ちびトラ”はバックスペースで飼育してきたが、体重も順調に増え、しっかり歩けるようになってきたという。12月19日から、従業員を観客役に展示練習を行っている。12月25日からは、当日の来園者を対象にWebで観客役を限定数募り、練習を重ねている。

 1月4日の一般公開は午後1~2時まで。なお、体調や天候により展示時間の変更や展示を中止する場合がある。

 名前の候補は①わさび・からし②クミン・シナモン③いちみ・しちみ④コタ・ハク⑤サンス・ベリア――の5ペア。

 さらに、ホワイトタイガーの誕生・一般公開を記念して、限定フードメニューやグッズの販売を開始する。東ゲート付近には特設ショップ「JAMBO(ジャンボ)」をオープンした。

利用者が2カ月で1万人突破 草津温泉・ホテル一井の新ビュッフェダイニング「湯雲」

2024年12月26日(木) 配信

別館最上階に「ビュッフェダイニング 湯雲」をリニューアルオープン

 群馬県・草津温泉の湯畑前に宿を構え、300余年の歴史を持つ「ホテル一井」に新たなメインダイニングとして2024年10月1日にオープンした「ビュッフェダイニング 湯雲(とううん)」が、オープンから2カ月で利用者1万人を突破した(※2024年10月1日~11月30日の2カ月間の夕食利用者数。日帰り・会食利用も含む)。

 新ビュッフェは別館棟の最上階にあった大宴会場をフルリニューアル。耐震補強工事も並行して実施し、座席数128席の広々としたスタイリッシュなビュッフェダイニングが誕生。中央には大きなライブキッチンを備え、上州牛ステーキ、上州牛ローストビーフ、天ぷら、握り寿司などの料理を目の前で調理して提供。目で・音で・香りで、五感で楽しんでもらえるビュッフェ会場にした。

 コンセプトは「ハレの日を楽しむビュッフェ」で、旅行はいつでも特別な日。日常を忘れ旅行という特別な日を楽しむ、祝う――。そんなかけがえのないひとときを楽しんでもらえるように料理、食材、食器、内装に至るまでこだわって作り上げた。

上州牛のローストビーフ、ステーキなど「ハレの日」を彩る豪華な料理

 料理は夕食が和・洋・中約100種。ライブキッチンで目の前で切り分ける「上州牛ローストビーフ」や、目の前の鉄板で1枚ずつ焼き上げる「上州牛ステーキ」をはじめ、一つひとつの食材にこだわり、「ハレの日」の食卓を彩る。個別鍋に好きな量の肉を盛り付け、各テーブルにて仕上げる「上州牛すき焼き」も用意。また、同館女将がハレの日に集まった親族に振る舞っていた「特製ミートローフ」を再現。女将のおもてなしの味が楽しめると評判だ。

 朝食は和・洋約50種。ライブキッチンで焼き上げるふわとろのオムレツや、群馬県内の複数産地で採れる味わいの違ったハチミツをかけて楽しむパンケーキやフレンチトーストなどの洋食をはじめ、選べるトッピングのお茶漬け、焼き魚などの定番の和食などを用意している。

サービス連合、25年春闘で6%賃金改善目指す 産業間の格差縮小はかる

2024年12月25日(水) 配信

 サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合、櫻田あすか会長)は12月12日(木)、中央執行委員会を開催し、2025春季生活闘争(春闘)で6.0%の賃金改善を目指す執行部案を取りまとめた。今後加盟組合で議論を行い、2025年1月17日(金)に開催する中央委員会で正式に春闘の方針を決める。

 24年春闘では、同連合の加盟組合における平均改善率が定期昇給を併せて5.28%と過去最高となった。一方、同連合は「産業間の賃金格差は縮小しておらず、人材獲得競争は激化する」とみている。このため、「誰もが働きたい、働き続けたいと思える産業の実現に向け、将来を見据えた真摯な協議が必要」との考えだ。

文化観光推進法に基づく拠点・地域計画を4件認定 文化・観光振興と地域活性化の好循環創出へ(観光庁)

2024年12月25日(水) 配信 

 観光庁はこのほど、「文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律」(文化観光推進法)に基づき、拠点計画3件と地域計画1件について、大臣認定を行った。

 この取り組みでは、文化観光推進法に基づき、文化観光拠点施設を中心に、文化についての理解を深める機会の拡大と、国内外からの観光客の来訪を促進させ、文化の振興や観光の振興、地域活性化の好循環を創出する。

 現在では新たに加わった4件を含めて、計57件(うち拠点計画39件、地域計画18件)を認定している。

 このほど認定を受けたのは、岩手県の「中尊寺、毛越寺、平泉世界遺産ガイダンスセンター、平泉文化遺産センター、骨寺村荘園交流館、一関市博物館」(岩手県一関市、奥州市、平泉町)、宮城県の「宮城県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)」(宮城県石巻市)、ムカシミライの「旧カネヰ醤油工場(醸ス場かねゐ)」(兵庫県たつの市)、沖縄県の「沖縄空手会館(展示施設)」(沖縄県豊美城市)──の4件。

日本バス協会、カスハラ防止を啓発 ポスターの第2弾を作成

2024年12月25日(水) 配信 

カスハラ啓発ポスター第2弾「~バス停ではない所で降ろすよう強要するケース~」

 日本バス協会(会長=清水一郎・伊予鉄グループ社長、東京都千代田区)はこのほど、カスタマーハラスメント(カスハラ)の防止に向けた啓発ポスターの第2弾を作成し、全国の会員事業者に配布した。同ポスターは順次、車内や案内所などに掲出される。

 同協会では、今年9月にバス事業のカスハラに対する基本方針を公表し、バス業界として毅然とした態度で対応することを表明した。その際に併せて、啓発ポスターの第1弾を公表。今回はそれに続く第2弾として、「バス停ではない所で降ろすよう強要するケース」を取り上げた。

 啓発ポスターは、全国のバス事業者から寄せられた実際にあったカスハラ事例に基づいて作成した。お客からの過度な要求によってバスの運行などに支障が生じているケースを広く周知し、カスハラの抑止をはかる。

 今後もカスハラ行為の未然防止をはかるため、異なるカスハラ事例を順次取り上げて、4コマ漫画スタイルの啓発ポスターを公表する。次回は来年3月ごろを予定。

大手旅行会社7社が2024年10月の営業概況を発表

2024年12月25日(水) 配信

 

□海外旅行が伸び全体増 JTB

 JTBグループ7社の10月の総取扱額は、前年同月比3・3%増の1304億9600万円となった。国内旅行は同2・7%減の859億6500万円、海外旅行は同23・1%増の318億1700万円、外国人旅行は同5・2%増の127億1400万円。海外旅行が大幅に伸長し、全体で増加となった。

 国内の団体合計は7・3%減となり、このうち一般は5・9%減、教育は9・2%減となった。企画商品は10・0%減、このうちエース・My STYLEは10・3%減だった。

 海外の団体合計は83・1%増と大幅増となり、このうち一般は107・9%増、教育は56・6%増。企画商品は10・3%増となり、FIT(観光性・業務性)は10・4%増となった。

□外国人旅行が大幅増へ KNT-CT

 KNT―CTホールディングスの10月の総取扱額は、前年同月比11・5%増の344億 2172万円と前年を上回った。国内旅行は同2・4%増の233億1064万円、海外旅行は同39・4%増の81億6990万円、外国人旅行は同53・7%増の20億9381万円となった。

 国内団体は、企業系コンベンションや声優のファンクラブツアーなど趣味・目的ツアーの取り扱いが増え、一般団体は同3・5%増。学生団体は研修や移動教室などの取り扱いが増えたが、修学旅行の取り扱いが減り、団体合計は同0・6%減の99億6943万円。

 海外団体は企業の視察・研修旅行の取り扱いが増加し、団体合計では同21・4%増の26億2450万円だった。

□海外増も全体は低調に 日本旅行

 日本旅行の10月の総取扱額は、前年同月比3・9%減の378億3375万円と、前年から減少した。国内旅行は同3・3%減の219億6049万円、海外旅行は同50・1%増の93億9395万円、外国人旅行は同35・9%減の50億9076万円となった。

 国内旅行は、企画商品が同10・2%減、自社商品の「赤い風船」は12・1%減、他社企画は200・0%増だった。団体旅行は13・1%減、JR券・航空券・一般宿泊などの個人旅行は14・5%増となった。

 海外旅行は、企画商品が38・1%減、「マッハ・ベストツアー」などの自社商品は0・5%増、団体旅行は102・0%増、企画商品以外の個人旅行が34・6%増と前年を上回った。

□欧州などコロナ前超え HIS

 エイチ・アイ・エス(HIS)の10月の総取扱額は前年同月比10・4%増の309億4387万円だった。

 国内旅行は同1・5%減の52億7934万円、海外旅行は同11・1%増の239億6851万円、外国人旅行は同54・4%増の16億9602万円。

 国内は航空券とホテルを組み合わせたダイナミックパッケージが同60・6%増と大幅に伸びた。

 海外は欧州と中近東、アフリカの航空券と添乗員ツアーが同42・0%増と大幅に伸長。19年同月比5・9%増と初めてコロナ禍前を超えた。

 外国人は北米とコロンビア、スペインからの団体が好調。個人は富士・箱根と広島・宮島へのバスツアーのWebでの取扱額が、前年同月比59・1%増となった。

□韓国が19年比2・7倍 阪急交通社

 阪急交通社の10月の総取扱額は、前年同月比33・6%増の323億2502万円を計上した。国内旅行は同18・2%増の189億6479万円、海外旅行は同62・3%増の123億4682万円、外国人旅行は同85・3%増の10億1341万円だった。

 海外旅行では、テレビ通販で台湾やトルコを中心に募集告知を行い、LCCを利用したアジアの旅行商品の需要喚起を行った。この結果、韓国、タイ、インドネシア、香港、トルコが伸長した。とくに韓国の予約は、19年同月比2・7倍だった。

□全部門が前年を上回る 東武トップツアーズ

 東武トップツアーズの10月の総取扱額は、前年同月比4・0%増の148億9726万円となった。国内旅行は同8・3%増の105億8237万円、海外旅行は同19・0%増の29億8039万円、外国人旅行は同5・3%増の6億3175万円。全部門が前年を上回る結果となった。

 国内旅行は団体全体が12・4%増となり、一般団体が26・8%増、教育団体が2・9%増。個人旅行は企画商品が21・6%減で、企画以外は7・5%減だった。

 海外旅行は団体全体が51・9%増となり、一般団体が32・7%増、教育団体が99・0%増。個人旅行は企画商品が88・1%減の大幅減で、企画以外は2・4%減だった。

□国内と海外が好調維持 名鉄観光サービス

 名鉄観光サービスの10月の総取扱額は、前年同月比6・7%増の96億1216万円だった。国内旅行は同6・8%増の78億862万円、海外旅行は同40・7%増の13億7131万円、外国人旅行は同14・1%減の2億4578万円となった。

 国内は、団体が組織団体や教育スポーツ関連の大会があり、修学旅行などの教育関連と一般法人が好調。個人は宿泊予約が好調に推移した。

 海外は、団体が官公庁や一般法人の視察や研修などが主力となり、個人ではヨーロッパ方面の取り扱いがやや勢いは落ちたものの好調を維持。クルーズ商品も好調だ。

 外国人は、海外の旅行会社からのツアー取扱数が春に次いで多かった。

 

【第35回北前船寄港地フォーラムin加賀・福井 ~北陸復興へ 地域の食と工芸品を世界に~】 北前船寄港地フォーラムを終え今後の方針を聞く

2024年12月25日(水) 配信

第35回北前船寄港地フォーラムin加賀のようす

 「第35回北前船寄港地フォーラムin加賀・福井」と「第6回地域連携研究所大会」が2024年11月21(木)~23日(土)に開催された。全国から国や自治体、観光事業社など約600人が出席し、震災復興や地域振興に向けて、連携や交流を深めた。 

 北前船交流拡大機構の浅見茂専務理事が11月26日(火)、大会を終えて、所感や今後の方針などについて語った。インタビュアーは内閣府地域活性化伝道師で跡見学園女子大学准教授の篠原靖氏が務めた。また当紙は同日、伝統的工芸品の世界進出に向けた具体策を欧州連合日本政府代表部の二宮悦郎参事官に聞いた。

 篠原:今回は石川県加賀市と福井県福井市での開催となりました。

篠原靖准教授

 浅見:能登半島地震の復興のために、会員組織などが集まりました。参加者はこれまでにない規模で、600人を超えました。
 初めて全52認定自治体が出席し、大変有意義な会にできたと自負しています。
 前回の開催地である北海道の有志からお菓子500個を贈呈し、SGCの土屋会長が金の大会記念オブジェ「黄金の不死鳥」も寄贈したことで、これまで以上に地域に貢献することができたと感じています。
 これをきっかけとして結束も強まり、出席者からはさらなる地域活性化に取り組む意志も伝えられました。

浅見茂専務理事

 篠原:23日には福井県内でエクスカーションも実施しました。

 浅見:福井県の副知事が県庁の会議で大変盛り上がったことを報告してくれるなど、関係者から大きな反響を得ることができました。

 篠原:地域連携研究所に参画する自治体をどこまで広げますか。

 浅見:今回は北海道根室市の紹介によって、新たな参加者として、富山県の県議会議員1人と黒部市の市議会議員6人が出席しました。
 さらに、県知事に当日のようすを伝えていただきました。
 今後、新しい自治体が加わり、口コミでさらに広がっていくと考えています。

 篠原:今後の方針を教えてください。

 浅見:今回、地元テレビ局や新聞社など多くのメディアに取り上げられ、これは新しい取り組みを発表できたことが主な要因だと捉えています。
 このため、次回については、地元が事前に新たな施策を考案し、指導を受け、発表する流れを構築したいと考えています。

 篠原:地方創生にどのように貢献していきますか。

 浅見:3年前から伝統的工芸品の世界進出を掲げて活動しています。22年のフランス・パリ大会から取り上げ、世界への発信に向けて力を入れてきました。地域活性化に向けた具体策がカタチになってきました。
 これを多くの事業者に提示することで、地域活性化に大きく寄与していきます。

 ――大会に参加する意義を教えてください。

 二宮:北前船交流拡大機構と地域連携研究所は県を超えて連携できている数少ない運動体であり、具体的な取り組みが行われています。
 日本政府が地方創生のための地域連携の必要性を強調するなか、私は対EU外交の窓口を担当する日本政府の立場として、2年前のパリ大会から参加しています。政府が推進するうえでの課題を明らかにしながら、地域活性化に向けた伝統的工芸品の世界発信の重要性を説明してきました。

二宮悦郎参事官

 ――稼げる地域の実現に必要なことは。

 二宮:現場に近い人が現地でアピールすることが有効だと考えます。備前焼の担当者が24年4月に開催されたミラノフォーリサローネで、ベルギーの美術商の経営者にアプローチすることができました。
 今後も、日本政府として、伝統的工芸品の世界発信に貢献していき、地域活性化をはかっていきます。

ミラノ出展目指す 都内で打ち合わせ行う

 北前船交流拡大機構は11月26日(火)、東京都内で2025年4月にミラノで開催されるミラノフォーリサローネへの伝統的工芸品の出展に向けて、打ち合わせを行った。

 伝統的工芸品を世界最大という家具見本市で発信することで、認知度向上をはかり、購買や訪日客の誘客による地域活性化へつなげる狙いだ。

 同展は4月8~13日に開かれる。打ち合わせでは、必要経費や日程の案、出品候補となっている複数の工芸品を確認した。

 今後、具体的な作品を決める。また、展示品の市町村を交えて、予算や会期中の詳細な行程を調整する。

【第35回北前船寄港地フォーラムin加賀・福井 ~北陸復興へ 地域の食と工芸品を世界に~】 北前船日本遺産推進協議会記念大会in加賀 支援に感謝し全員で乗り越える

2024年12月25日(水) 配信

52自治体すべての担当者と都倉俊一長官(中央)

 11月21日(木)、北前船日本遺産推進協議会記念大会in加賀が開かれた。開会のあいさつで、宮元陸会長が能登半島地震と9月に発生した豪雨を振り返り、「北陸から援助への感謝を伝えながら、皆様と復興に対する支援方法を考え、被害を乗り越えていきたい」と目的を語り、復興へ一層の協力を求めた。

 北前船日本遺産推進協議会は、日本遺産認定ストーリーである「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 北前船寄港地・船主集落」を活用し、関係自治体と団体による連携のもと、観光振興と地域活性化の推進を目的に設立された。地域が主体となって、有形や無形の文化財の整備と活用を行い、国内だけでなく、海外へも戦略的に魅力を発信している。

 北前船日本遺産推進協議会記念大会in加賀には、日本遺産「北前船寄港地・船主集落」に認定されている全52自治体が初めて、一堂に会した。

 宮元会長は北前船寄港地・船主集落の日本遺産認定に向けて、尽力した秋田県秋田市文化スポーツ部の納谷信広部長と同機構の中野秀治上席研究員に表彰状を贈った。

 歓迎のあいさつで、石川県輪島市の坂口茂市長は「震災前より豊かな地域となることを目指すなか、大会が開かれることは大変励みになる」と感謝の意を示した。

坂口茂市長

 志賀町の間嶋正剛教育長と小松市の宮橋勝栄市長も歓迎の意を表した。

 来賓として、文化庁の都倉俊一長官は「創造的復興は輪島の人の諦めない気持ちを表している。文化庁としても復興に協力したい」と考えを示した。

都倉俊一文化庁長官

 日本遺産に認定された自治体の首長による被災地へのメッセージをまとめた色紙を、岡山県岡山市の大森雅夫市長が坂口市長と間嶋教育長に贈り、秋田県男鹿市の菅原広二市長が珠洲市と能登町に用意したことを話した。

 また、福井県小浜市の杉本和範市長と秋田県にかほ市の市川雄次市長、岡山県備前市の吉村武司市長が北前船を生かした取り組みを報告した。

 最後には、広島県尾道市長の平谷祐宏北前船日本遺産推進協議会副会長が閉会のあいさつを行った。

【第35回北前船寄港地フォーラムin加賀・福井 ~北陸復興へ 地域の食と工芸品を世界に~】第6回地域連携研究所大会 地方同士の連携で地域活性へ

2024年12月25日(水) 配信

大会のようす

 地域連携研究所(理事長=濵田健一郎・元ANA総合研究所会長)は北前船交流拡大機構の実績や信用を北前船に限定せず、広く地域の連携を果たすことを目的に設立された。〝東京に頼らない地方同士のつながり〟を築き、地域の活力を生み出すことを軸に活動を続けている。11月22日(金)の大会でジェイアール東日本企画社長で赤石良治理事長代行は「伝統的工芸品の世界への発信で、能登半島地震の被災地に対する復興に貢献する」と強調した。

赤石良治理事長代行

 同研究所は2021年1月に、北前船交流拡大機構の兄弟法人として設立され、北前船寄港地フォーラムとの併催で全国大会を実施してきた。

 主催者あいさつで、衆議院議員(前秋田県大館市長)の福原淳嗣自治体会員会長は「日本各地の歴史をつなぎ合わせることで、(能登半島地震で被害を受けた地域の)未来を切り開き、活性化できる」と復興に向けて、さらなる団結を喚起した。

福原淳嗣衆議院議員

 来賓の横山信一財務副大臣は、同機構と同研究所が地域活性化のために伝統的工芸品を世界に発信していることに対し、「政府としても支援する」と語った。

横山信一財務副大臣

 観光庁参与で地域連携研究所の田端浩特別顧問も祝辞を述べた。

 第1部の「伝統的工芸品の海外展開~これまでとこれから~」では、備前市の吉村武司市長は同市の伝統的工芸品「備前焼」と大館市のまげわっぱが世界最大の家具見本市のミラノフォーリサローネで同時に展示され、「多くの観客を魅了できた」とした。

吉村武司市長

 大館市の石田健祐市長は、伝統的工芸品「まげわっぱが」が同展示会に展示され、イタリア・ミラノ市内で「秋田犬セミナー」を主催したことを報告。「ブランド価値を高め誘客の流れを構築し、稼げる大館市の実現を目指す」と強調した。

 同見本市への出展をコーディネートした渋谷区観光協会の小池ひろよ理事兼事務局長は「地域連携研究所が来年4月に実施されるミラノ・サローネに出展し、北陸の復興のためにご当地の伝統的工芸品をアートとして披露する。創造的復興につなげていきたい」方針を説明した。

 欧州連合日本政府代表部の二宮悦郎参事官は、伝統的工芸品について「内需は減少しており、海外へ進出すべき。外国では日本文化のニーズは高い」と提案。「海外の富裕層は資産の5%をアート収集に充てており、訪日誘客も見込める」との考えを示し、認知度向上へ「各地域が一丸となって取り組んでほしい」と求めた。

 観光庁の竹内大一郎観光資源課長は、さらなる訪日客の誘客のために観光庁で伝統的工芸品を活用したコンテンツの造成を支援していることを紹介。また「食文化はローカルなものに目を向けられている」として、地方の販売体制構築をサポートしていることを話した。

 内閣府地域活性化伝道師で跡見学園女子大学の篠原靖准教授が「地域連携研究所が観光庁によって支援され、自治体会員が増えれば、さらなる地域の発展が期待できる」とし、「食については地域文化を括りながら、ストーリーを明確にし、成長につなげてほしい」とまとめた。

 第2部における自治体の取組紹介では、新たに同研究所に加盟した長崎県長崎市を代表して長崎国際観光コンベンション協会の股張一男常務理事が「卓袱料理などの食文化をはじめとする豊富な地域性を磨き、地域の経済再生を目指す」と方針を示した。

 新たに加入した自治体として、秋田県大仙市の老松博行市長と仙北市の田口知明市長も、地域活性化に向けた活動を説明した。

 各種報告では、アミナコレクションの進藤さわと社長がブルガリア訪問と呼子での地域活性化の取り組みを発表した。

馳石川県知事も出席 前夜祭で国際交流

 北前船寄港地フォーラムと地域連携研究所大会に先立って、21日(木)に開かれた前夜祭には、観光関係者や国会議員、欧州各国の大使館関係者などが集まり、北前船を契機とした国際的な交流を深めた。

 開会のあいさつで、ANA総合研究所副社長で北前船交流拡大機構の森健明理事長代行は「北前船の絆が時空を超えて、被災地支援のために、関係者が集まることは先人の遺産だ。新たな北陸のカタチを考える場にしたい」と想いを述べた。

 歓迎のあいさつでは、石川県の馳浩知事が「北前船は訪日客にとって大変魅力的なものだ。大いに盛り上げましょう」と語った。

 その後、同機構と同研究所の浅見茂専務理事が参加者を壇上で紹介した。

 駐日ブルガリア共和国大使館のアラバジエヴァ・マリエタ大使は「日本とブルガリアの交流開始から24年で115年。フォーラムを通じ、交流を盛んにしたい」とした。

アラバジエヴァ・マリエタ大使

 前駐日ハンガリー大使でTDKのパラノビチ・ノルバート広報グループゼネラルマネージャーは、石川県金沢市とハンガリーによる交流を説明。「TDKとしても日本の地域に貢献していく」と宣言した。

 また浮島智子衆議院議員と観光庁の秡川長官も来賓として出席した。

 ジャーナリストの井上公造氏と菅原広二市長、地域の神様である秋田県男鹿半島のなまはげと、能登地域のあまめはぎの共演によるセレモニーも開催された。

 菅原市長は「男鹿と能登は北前船の寄港地で、(現在も)兄弟のように深い付き合いがある」と紹介した。

 井上氏は「なまはげと、あまめはぎが厄を払い、一層の復興につながるだろう」とまとめた。

 前夜祭では、日本観光振興協会の最明仁理事長やANAあきんどの原雄三社長なども登壇した。

 最後に、加賀市都市交流協議会の宮本峰幸会長による閉会のあいさつで締め括った。

 また、22日(金)にはレセプションが開催された。復興支援につなげようと、SGCの土屋豊会長は同社で制作した金の大会記念オブジェ「黄金の不死鳥」を坂口市長に寄贈した。

 次回開催地の臥雲義尚長野県松本市長が、初めて海のない都道府県で開くことを説明。「市内における物流と人の流れが活発だった。市を再び繁栄させたい」と意気込みを述べた。

【第35回北前船寄港地フォーラムin加賀・福井 ~北陸復興へ 地域の食と工芸品を世界に~】想いを能登に届ける

2024年12月25日(水)配信

会場のようす

 「第35回北前船寄港地フォーラムin加賀・福井」と「第6回地域連携研究所大会」が2024年11月21(木)~23日(土)、石川県加賀市のみやびの宿 加賀百万石と福井県福井市の福井県産業会館で開かれた。また、21日には北前船日本遺産推進協議会記念大会in加賀が同旅館で開催された。3大会のテーマは、「能登半島地震からの北陸復興」と、「北陸新幹線延伸開業を契機とした北前船文化の世界発信」。全国から国や自治体、観光事業社など約600人が出席し、震災復興や地域振興に向けて、連携や交流を深めた。 

【木下 裕斗】

 北前船は、江戸時代から明治20~30年代まで、北海道、東北、北陸、瀬戸内、関西、九州などの地域を結ぶ重要な物流ネットワークとしての機能を果たしていた。このため、当時は立派な経済圏が存在していた。

 こうして栄えてきた各寄港地を点から面に、さらに「回廊」へと発展させようとする「北前船コリドール構想」が北前船寄港地フォーラムの根底にある。

 地域間交流拡大をより強力に推し進め、地域活性化や訪日外国人客の誘客拡大を目指し、第1回は2007年に山形県酒田市で開催。地元実行委員会が主催し、北前船交流拡大機構が協力している。

 20年1月から地域連携を進めるために、同機構の兄弟法人として、地域連携研究所が設立された。22年10月に発足式を開催し、地域連携研究所大会を北前船寄港地フォーラムと併催してきた。

フォーラムin加賀 小泉進次郎氏も出席

 11月22日(金)に開催された北前船寄港地フォーラムin加賀の開会あいさつにおいて、北前船日本遺産推進協議会会長で石川県加賀市長の宮元陸加賀市実行委員会会長は「復興の想いを能登へ届けたい」と決意を述べた。

宮元陸会長

 北前船交流拡大機構の久保成人副会長は「北陸・能登の再建に向けた道筋を付けたい」と意気込んだ。

 来賓の観光庁の秡川 直也長官は「コロナが明け、皆様の力で観光が発展している。さらなるステップアップに貢献してほしい」と語った。

秡川直也長官

 第2部「石川県の復興支援に向けた取り組み」で元観光庁長官の和田浩一氏は、国が観光を成長戦略の柱とし、高付加価値化に取り組んでいることを紹介した。

 講演では、北前船交流拡大機構の上口昌徳顧問が登壇し、自身が92歳を迎えたことを報告。人生経験を踏まえ、北前船の歴史のほか、文化観光への理念と哲学を語った。

上口昌徳顧問

 復興に向けた観光の取り組みを考えるパネルディスカッションでは、観光庁の長﨑敏志観光振興部長が「被災地支援にはお祈りだけでなく、行動が欠かせない」と述べた。パネリストの日本航空の岩見麻里中部支社長と、全日本空輸の石井智二取締役、西日本旅客鉄道マーケティング本部の岡田学鉄道マーケティング部長、日本旅行の吉田圭吾常務が各社の取り組みを発表した。

 第3部の特別講演では、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が「地方創生のために楽天市場を創設した」と話し、地域振興に資するグループの取り組みを語った。

三木谷浩史会長兼社長

 小泉進次郎衆議院議員は地元である神奈川県横須賀市の地域活性化策を紹介し、「土地ならではのモノを磨くべき」と提言した。

小泉進次郎衆議院議員

 総括は日本旅行の小谷野悦光社長が行った。

福井市でも開催 「新幹線延伸生かす」

 23日(土)には北前船寄港地フォーラムin福井が開かれた。主催者あいさつで、福井県知事の杉本達治福井県実行委員会会長は「各地に色濃く残る北前船文化を強力に発信し、北陸新幹線敦賀開業を生かした交流拡大につなげる」と力を込めた。

 日本航空副会長で北前船交流拡大機構の清水新一郎理事長代行は「鉄道の魅力も生かしながら、航空と合わせた商品を展開し、送客増加に貢献する」と考えを示した。

清水新一郎理事長代行

 スペシャルトークセッション「京都へ、そして世界へ~世界の和食を支える昆布、福井の伝統工芸~」では、京都料亭「菊乃井」社長の村田吉弘氏と奥井海生堂社長の奥井隆氏、福井県副知事の中村保博氏が登壇。

パネルディスカッションのようす

 村田氏は「北前船によって福井県・敦賀に運ばれた昆布が京料理をはじめとした和食文化の発展に貢献した」と北前船文化を評した。

 奥井氏は「出汁の味は水で変わる」と語り、水と北前船で運ばれた昆布を組み合わせることで和食文化の魅力が高まり、世界へ発信してきた歴史を説明した。

 中村氏は「福井県には刃物や箸、和紙など和食に必要なものがそろっている」とアピール。これによって、「地域のさまざまな人による地域交流が盛んになり、和食文化は発展している。これを世界に発信していく」とした。

 最後に奥井社長が福井県実行委員会副会長として、閉会の言葉を述べた。