祝、北海道新幹線開業

 3月26日、北海道新幹線が開業した。東京―新函館北斗間の所要時間は最速4時間2分。飛行機より新幹線を選ぶ目安と言われる「4時間の壁」は破れなかったが、2年後を目途に、貨物列車を走らせない時間帯を設けることで、1往復だけ3時間40分台で運行する計画もある。

 航空会社側も、割引料金の拡充を迫れられた昨年の北陸新幹線開業時とはずいぶんようすが違う。まずは静観、ツアーなどではJR(新幹線)との提携も見られる。

 飛行機と違い、途中下車できるのは新幹線ならでは。津軽半島や松前、江差を楽しめる企画乗車券の発売も望みたい。青函圏にはたくさんの魅力があるが、主観で1つ選ぶなら松前の「のりだんだん」推しで。柔らかくて香りのいい白神産・寒海苔を使ったのり弁当です。

【鈴木 克範】

秋に試行試験実施を、インバウンドスタッフ検定(TCSA)

山田隆英会長(右)と三橋滋子専務理事
山田隆英会長(右)と三橋滋子専務理事

 日本添乗サービス協会(TCSA、山田隆英会長、47会員)は3月17日、東京都内で2016年度の通常総会を開いた。今年度はインバウンドスタッフの検定制度の構築を行い、秋ごろに試行試験の実施を目指す。

 総会後に開いた会見で山田会長は昨年度の事業について、国が基準を満たした派遣事業者を「優良事業者」として認定する「優良派遣事業者認定制度」の審査認定機関としてTCSAが審査業務を開始したことを報告。また、従来からの「旅程管理研修」は受講者が減少傾向にあったが、インバウンドを扱う旅行会社の受講者などが増え、前年を上回ったという。一方、外国人観光客数が増加するなかで「添乗業界には恩恵が行き渡っていない」と述べ、今年度から開始する検定制度などで訪日事業を強化していく方針を語った。

 同検定制度は厚生労働省から「業界検定スタートアップ支援事業」を受託し、昨年度から2年かけてインバウンドスタッフの育成と能力評価を行う仕組みの構築を目指すもの。昨年度は事業を進めるうえで専門委員会を立ち上げ、観光庁参与の本保芳明氏が委員長を務めている。同検定で育成する人材は通訳ガイドとは異なるもので、空港からホテルやタクシーまでの送迎などを行う業務を想定する。訪日外国人に対する観光おもてなしスキルをはかる唯一の検定制度となるため、宿泊機関や交通機関など広く活用してもらうことを目指す。検定は1―3級で、「語学能力」「旅程管理能力」「おもてなしスキル」を柱に据える。

 三橋滋子専務理事は海外旅行の減少やFIT化などで、年間を通して安定した添乗の依頼が難しいことから「インバウンド事業を開始する会員が増えてきている」と紹介。新事業で協会が組織的に人材を育成し、最終的に「検定を国家資格まで高めたい」と意気込んだ。

 このほか今年度は、派遣法改正で派遣労働者に対してキャリアパスに応じた研修を実施することが義務化されたことから、スキルアップのためのE―ラーニング研修メニューを提供する。会員会社の添乗員が自ら選んで8時間相当の研修を受講できるよう整えていく。

移動と食が融合へ、レストランバスを開発 (ウィラー×umari)

古田社長(左)と村瀬社長
古田社長(左)と村瀬社長

 ウィラーグループの地域商社、ウィラーコーポレーション(村瀬茂高社長)はこのほど、コンサルティングや地域活性化事業などを手掛けるumari(古田秘馬社長、東京都港区)と協働で、景色を楽しみながら地方の旬の食材を味わう、移動と食が融合した「レストランバス」を開発した。4月30日から新潟で運行を開始する。

 同バスのコンセプトは「オープントップバスならではの絶景を楽しみながら、その土地の生産者や料理人と交流をして旬な食材を楽しむ」。生産者や地域の人々、初めて見る食材、料理との出会いを創造し、旅行者に新たな感動を提供するのが狙い。農園で新鮮な食材を採取するなど体験も盛り込む。食材や調理法、食の歴史や文化など、「食」に関わるものはumariが担当し、移動はウィラーが担う。

レストランバス
レストランバス

 内装は1階がキッチン、2階は25人が乗車できる座席とテーブルを配している。屋根は開閉式のポリカーボネートで日差しが強いときはロールスクリーンで遮ることができる。また、1階のキッチン部分は窓を大きく取り、外からも調理風景が見られるような演出を施した。

 また、ウィラートラベルとumariはウィラートラベルサイト内に、食と移動を融合させた新たな食の体験コンテンツを集めた「NIPPON Travel Restaurant」(NTR)を開設。地方の隠れた魅力を伝えることで、地方創生に貢献する。当初はレストランバスと京都丹後鉄道の食堂列車「丹後くろまつ号」を掲載し、今後、コンテンツを拡充していく。

 さらに、ウィラーコーポレーションと投資事業を展開するumari capitalは、日本初の鉄道ファンのアイディアを実現する投資型鉄道ファンド「丹鉄ファンド」を設立。全国からアイディアを募り、採用された案件に投資することで、ウィラートレインズが運行する京都丹後鉄道を核とした駅ナカや車内、沿線の価値向上を目指す。また、沿線の地方創生を進めるには人材の育成と確保が不可欠なことから、「鉄道ビジネススクール」を開講し、ここでもいいアイディアが挙がれば投資していく考えだ。ビジネススクールは5月下旬から沿線や首都圏で開講予定で、費用は3万円。

 3月15日に東京都内で開いた会見で村瀬社長は、旅行の目的は日本人も外国人観光客も「食」が大きな要素を持っていることから、食を楽しみながら観光地をめぐるレストランバスは需要が大きいことをアピール。NRTについても「地域の体験や食のコンテンツを増やし、各地方に行ったときに観光と食、ショッピングを楽しみながら同時に移動も便利になるようにしていきたい」と意気込みを語った。

 一方、古田社長はこれまでさまざまな地域活性化事業を手掛けている観点から「現在の日本における地方創生の必要性」を語った。そのなかで、重要なのは「これまでは過去を見せる観光だったが、今後の観光は未来の可能性に関わってもらうこと」と主張。地域ブランドは地域の取り組みや人々そのもので、長期的、継続的に顧客との関係を結ぶため双方向のストーリーを作り、顧客を巻き込んだ「関係地づくり」を促すことが大切だと強調した。

長崎館がオープン、日本橋にアンテナショップ(長崎県)

テープカットのようす(右から4人目が中村知事)
テープカットのようす(右から4人目が中村知事)

 長崎県(中村法道知事)は3月7日、東京・日本橋にアンテナショップ「日本橋 長崎館」をオープンした。長崎県のアンテナショップは首都圏で初めてで、東京への出店は全国で39番目。

 長崎館は、東京メトロ「日本橋駅」側の永代通り沿いに新築されたビルの1階(約330平方メートル)に開設。水産加工品や菓子、酒類、工芸品などの販売のほか、観光を中心とした県の魅力ある情報を発信していく。

 店内は観光案内、物販、イベント、軽飲食の4つのゾーンで構成されている。観光案内ゾーンでは、「旅の案内人」が定番の観光スポットからまだ知られていない隠れた観光スポットを案内する。また、イベントゾーンでは市町や生産団体、企業による観光PRや実演販売などを行うほか、物販や軽飲食ゾーンと連動したイベントなども開催する。

 オープン当日は正午からオープニングセレモニーを開催。冒頭であいさつに立った中村知事は「長崎館で把握した首都圏の皆さんからの情報を長崎の生産者や地域の皆さんに伝えることで、新しい商品の開発につなげていきたい」と述べた。その後、店頭でテープカットセレモニーを実施し、テープカットが行われた。

 営業時間は午前10時―午後8時。定休日は年中無休(ビル施設点検日など除く)。

三陸の観光振興強化、プロデューサーを公募(岩手県)

 岩手県は公益財団法人さんりく基金と連携して、三陸地域の観光などの産業振興や三陸ブランドの強化などを推進するため、観光プロデューサーを公募する。

 業務内容は、観光などに関する各種調査・分析とマーケティングによる地域戦略の立案、観光商品や特産品などの開発支援、営業、広報、プロモーション活動の企画実施。

 勤務地は盛岡市内の岩手県政策地域部三陸総合振興準備室。雇用期間は2016年7月1日―17年3月31日(県の翌年度当初予算の成立を条件として1年ごとに更新する可能性がある)。給与は月給制で年間600―800万円(諸手当含む)程度。雇用保険、健康保険、厚生年金、労災保険あり。

 応募資格は(1)三陸地域の観光資源などに関する知識を有する(2)旅行業の勤務経験などを有する(3)旅行業務取扱管理者の資格を有する(4)マーケティングや地域ブランド戦略の知識・経験を有する(5)組織的な業務遂行に必要な協調性、調整能力がある(6)業務遂行に必要な計画・管理能力がある――。なお、日本国籍を有しない人、地方公務員法第16条各号のいずれかに該当する人は応募できない。

 応募方法は、直筆の履歴書と卒業(修了)証明書または見込証明書、論文を提出する(郵送可)。論文の題名は「三陸地域の観光などの産業振興や地域ブランドの強化などに必要なこと」。A4判縦長用紙にワープロソフトで横書き(1行40字、1ページ30行、明朝体12ポイント文字)で3ページ以内。応募期限は5月20日(金曜日)の午後5時まで。5月下旬の書類審査、6月上旬の面接審査を経て、6月中旬に採用結果を通知する。

 応募書類の提出及び問い合わせ先は岩手県政策地域部三陸総合振興準備室(〒020―0045岩手県盛岡市盛岡駅西通2―9―1、マリオス3階。電話:019―601―5726)。

春浪漫フェスを開催、色とりどりの花がお出迎え(グラバー園)

幻想的なライトアップも
幻想的なライトアップも

 長崎市のグラバー園は4月16日から5月31日まで、恒例の「春浪漫フェスティバル」を開催する。春から初夏にかけては、バラをはじめ、ツツジやブーゲンビリア、アジサイなど、同園自慢の花々が、最も色鮮やかに咲き誇るシーズン。歴史的建造物とそれらを彩る美しい花々が織りなす風景を楽しもうと、例年、大勢の観光客でにぎわう。

 4月23日から5月5日までは、午後9時30分まで開園時間を延長する夜間開園も実施(入園は同9時10分まで)。昨年7月に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として世界文化遺産に登録された「旧グラバー住宅」など、園内各所を幻想的にライトアップする。海側を望めば、長崎港の美しい夜景も満喫できる。

 また、園内イベントも充実。4月16、23、30日および5月14、21日にはバクパイプ演奏。4月16、23、30日には長崎龍踊りを披露する。

 フェス期間中は、同園がある南山手グラバー通りでお得に買い物や飲食などが楽しめる特典クーポンを配布。参画施設で提示すれば、割引やプレゼントなどの各種特典が受けられる。

東急ステイ銀座開業、シリーズの旗艦店に

自動チェックイン機
自動チェックイン機

 東急ステイサービス(髙谷昌吾社長、東京都渋谷区)は3月7日、東京・銀座に同社の滞在型ホテル、東急ステイシリーズの旗艦店として「東急ステイ銀座」をオープンした。

 同ホテルはとくにターゲットを絞らず、観光やビジネス、外国人客など幅広く対応する。新たなサービスとして、アメニティが約30種類から選べる「アメニティブッフェ」と、チェックイン時に予約客が自ら部屋の階数や位置を選べる自動チェックイン機の導入、2泊以上の場合に清掃形態を選べるシステムなどを提供する。また、外国人宿泊客とのスムーズなコミュニケーションツールとして多言語通訳サービス「おもてなしコール」を用意。365日、5言語に対応する。

 部屋タイプは「モデレート」「スーペリアダブル」「レジデンシャルダブル」「エグゼクティブダブル」「スーペリアツイン」の5種類で、最も広いエグゼクティブダブルの1部屋料金は税込で1―6泊が1泊当たり4万7500円。7泊以上で1泊4万5100円。レジャー客の利用を想定したスーペリアツイン以外は部屋に洗濯乾燥機が付くほか、レジデンシャルダブルのみミニキッチンが完備されている。部屋の総数は191室。

 同社の「東急ステイ」は東京都心に16店舗を展開している。「都市型コンドミニアム」がテーマで、ウィークリーマンションとシティホテルの中間のような施設。全体では2015年のデータで1泊の利用率が36・5%と最も高いが、2泊の18・1%に次いで多いのが4―6泊の15・8%。この宿泊率は年々増加しているという。また、稼働率も15年度は92・0%と高い数字を見込んでいるほか、外国人利用率は29・8%を想定している。

スーペリアダブル
スーペリアダブル

「良心」のある店 ― “絶妙な加減”の追求こそ、難しい

 カツカレーが好きである。だからこの欄でもカツカレーについて、何度か書いてきた。

 カツカレーは好きだが、だからといってすべてのカツカレーが好きなわけでもない。例えばトンカツ屋さんと、カレー専門店の出すカツカレーは、似て非なるものであるし、店によっては、ごはんとカレーとカツを完全に分離して出すところもあれば、カツに半分カレーをかける店や、カツ全体にカレーをかける店もある。千差万別だ。

 カツカレーの主役は何か?と問えば、多くの人はカツと答えるだろう。しかし、私はそうは思わない。

 というのは、ごはんとカレーの両者で、すでに極めて高い水準のハーモニーを奏でている。このまったき、完璧世界に、カツが天から降ってきた“異物”してトッピングされる存在であることに、演出者(料理人)が気づいていればいいのだが、時としてカツが突出してスタンドプレーをしてしまう、いや、むしろそれを助長するケースがあるのが残念でならない。

 ごはんとカレーが築く世界は完成されているがゆえに、退屈さを感じないわけではない。だから、差し色的に、福神漬けやらっきょなどでアクセントをつける。よりアバンギャルドな世界を求めるなら、チキンや牛カツ、ハンバーグなどをトッピングできるし、グリーンカレーなどの変化球もたまにお目見えする。カツは目立つが、トッピングの一つに過ぎない存在でもあるのだ。

 主張控えめなごはんと、スパイスの効いたカレーに、油を含むカツを加えるのは、ひとことで言えば、賭けである。実際、多くの店で、バランスを崩している。私の好みのカツカレーは、3分の2ほどカレーがかかって控えめにカツが顔を出すタイプだ。食後カツカレーを食べた満足感に包まれているのに、カツを食べた記憶が残らないのが理想である。

 以前ラーメン屋でチャーシューに埋めつくされたチャーシュー麺が出てきて、気持ち悪くなった苦い経験があったが、カツカレーを注文したときは、美しいハーモニーを奏でるカツカレーが食べたいのだ。

 一時期、ご当地ハンバーガーが全国で一世風靡したことがあった。地元の食材を挟んで、B級グルメとしてPRしたいというのがその意図だが、なかには1500円もするハンバーガーもあった。また、こだわりのラーメン屋で、一杯1500円以上するラーメンもある。だけど、2千円近いお金を払うとしたら、ちょっとしたランチコースも食べられる。高級食材を惜しまずに盛り込むことで、値段が高くなってしまうということもあるだろう。しかし、何かを突出させることはわりと容易い。難しいのは、絶妙な加減の追求である。1泊5万円、10万円のホテルが素晴らしいのは周知の通りだが、1泊1万円―1万5千円で宿泊客に満足感を与えられる宿の真の努力は、あまり評価されていない。

 私は食べたことはないが、高級なホテルや洋食店で3千円もするカツカレーも存在するだろう。手間をかけ、きっと美味しいに違いない。でも私は1千円以下で食べられる美味しいカツカレー屋さんを探す。食べ物屋さんも旅館も「良心」のある店が好きだ。良心のある店とは、絶妙にバランスの取れたカツカレーを廉価で出す店を思い浮かべる。

(編集長・増田 剛)

No.426 JATA経営フォーラム2016、交流大国への挑戦

JATA経営フォーラム2016
交流大国への挑戦

 日本旅行業協会(JATA、田川博己会長)は2月26日、東京都内のホテルで「経営フォーラム2016」を開き、旅行会社のトップら約400人が集まった。「交流大国への挑戦―担い手としての旅行業の役割―」を総合テーマに、今後の旅行業のあり方などを模索。全体プログラムでは、基調講演と特別講演を実施し、そのほか4つのテーマで分科会を設定した。全体プログラムや国内旅行関連の分科会を中心に紹介する。

【飯塚 小牧】

 
 
 
 田川会長は昨年を振り返り、海外旅行は前年比4・1%減の1621万人と厳しい状況にあることを示し、「とくに11月のパリ同時多発テロはヨーロッパへの影響が大きく、JATAはパリへ緊急ミッションを派遣し、ヨーロッパ旅行の復活に向けたプロモーションを積極的に進めている。今後も海外旅行を取り巻く環境は厳しいが、総力をあげて迅速に対応していきたい」と語った。

 国内旅行市場は北陸新幹線の開業や世界遺産登録、テーマパークなど観光素材が豊富で「活況を呈した」と評価。今年も北海道新幹線開通や伊勢志摩サミットなど話題が多いほか、訪日外国人旅行者の急増で「日本人自身も日本の魅力を再発見する国内旅行への参加意欲の高まりが見られる。堅調に推移するだろう」と予測した。一方、年始の長野県でのスキーバス事故に触れ「再発防止の検討委員会にJATAも参加し、旅行会社として取り組む課題については積極的に発言をし、関係機関への要望も述べている。安心・安全は旅の基本。シートベルト着用運動はすぐに着手するなど、決められた対策は速やかに実施をし、バスツアーへの信頼を回復させていきたい」と述べた。…

 

※ 詳細は本紙1622号または3月25日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

ホームステイ型は“届け出”検討、議論は新たなステップへ、「民泊」中間整理

第8回検討会のようす
第8回検討会のようす

 一定の要件を満たすホームステイ型の民泊などは許可制ではなく、たとえば届け出制にするのはどうか――。民泊問題への検討は新たなステップに進んでいる。厚生労働省と観光庁は3月15日に東京都内で8回目の「民泊サービス」のあり方に関する検討会を開き、これまで開催してきた検討会の中間整理と今後議論を深める課題についての検討を行った。中間整理ではこれまで議論を重ねてきた検討の方向性についての大きな変更はなかった。
【丁田 徹也】

 これまで検討会は「旅館・ホテルとの競争条件」「地域ごとの宿泊需給状況」「規制内容や方法に対応した自治体の体制」などに留意し、民泊サービスの必要性や位置付け、法令との関係、民泊仲介業者のあり方を主な論点に据えてきた。

 検討を進めるなかで、現行法で対応できる事項については「早急に取り組むべき課題と対応策」に、現行法の枠組みを超えるため、検討を重ねる必要のある事項は「中期的な検討課題」に、それぞれカテゴリー分けした。

 「早急に取り組むべき課題と対応策」で現在進んでいる検討内容は「簡易宿所の枠組みを活用した民泊サービスの提供」で、旅館業法の許可取得を促進すべきとしている。簡易宿所の枠組みを利用するにあたり、旅館業法の現行の客室面積基準「33平方メートル以上」では民泊規模の客室が対応できないことが想定されるため、「1人当たり面積を3・3平方メートル」と変更する方針も定めた。旅館業法の関係法令だけでなく、賃貸借契約や共同住宅の管理規約に反していないことの確認も求める必要があるとした。

 「中期的検討課題」については、旅館業法上で求められてきた許可取得をはじめとする義務の内容を一律にすべきか、仲介業者や管理事業者などに義務を課すべきかなど、現行制度の枠組みでは扱えない事項について検討を進めている。

 今回の検討では、家主在住で自宅の一部を貸し出すホームステイ型などの「一定の要件を満たす」民泊サービスにおいて、規制を課すことを前提に現行の許可制よりも緩やかな規制に変えていく必要があるとの見解を示した。緩和例として届け出制を挙げた。「一定の要件」については検討委員の指摘や海外の民泊サービス事例を参考に、今後議論を深める予定。このほか、検討委員からは「地域ごとに定めている民泊に関するさまざまな条例に今後どのように対応していくのか」「民泊には旅館やホテルなどのフルサービスの宿泊施設ではないことを明示させる必要があるのではないか」など、今後の検討課題についての意見もあった。