09年訪日客17%減に、法務省入国管理局調べ

 法務省入国管理局がこのほど発表した2009年の外国人入国者数は、前年比17・1%減の758万1322人と大幅に減少した。世界的な不況による外国渡航の手控えや、円高基調の継続、新型インフルエンザの発生などが主な要因となった。

 月別にみると、11月は前年同月比1・8%増、12月は20・9%増と回復基調が見受けられる。  一方、日本人出国者数は前年比3・4%減の1544万5530人と、新型インフルエンザの影響を受けた。

 8月以降は前年同月比でプラスに転じ、シルバーウイーク中の海外旅行者が増えた9月は同16%増と、2ケタの増加となった。

人気は山梨のワイナリー、北海道のビール、兵庫・灘の酒蔵も(JTBウェブアンケート)

7割が「酒蔵・ワイナリーめぐり」

 JTBはこのほど、「旅先での酒蔵・ワイナリーめぐり」についてウェブアンケートを実施。これによると、70%の人が旅先で酒蔵やワイナリーなど、お酒にちなんだ場所を訪れたことがあると答えた。調査は成人男女を対象に、2899件の回答を得た。

 普段よく飲むお酒は、(1)ビール36%(2)ワイン20%(3)焼酎15%(4)日本酒11%(5)カクテル9%の順。

 国内で訪れたことのあるお酒にちなんだ場所は、ワインの産地「山梨県」がトップ。次いで「北海道」のビール工場めぐり、「兵庫県」の灘での酒蔵見学、「長野県」のワイナリー、「京都府」の伏見の酒蔵群やウイスキー醸造所めぐりなどが人気を集めた。

 訪れたことのない人の46%が「今後訪れたい」と答えた一方、「訪れてみたくない」(54%)主な理由は、「お酒が飲めないから」「車の運転をしなければならないから」が大多数を占めた。

 海外でお酒にちなんだ場所を想起させる国は、(1)フランス(ボルドーやブルゴーニュ地方のワイナリー)(2)ドイツ(ビールやアイスワイン)(3)イタリア(全土で造られるさまざまなワイン)(4)イギリス(ウイスキー)(5)アメリカ(カリフォルニアのワイナリー)などがあがった。

東京・錦糸町にホテル、ロッテ 4月、国内で初めて

 ロッテは4月6日、東京・錦糸町に宿泊特化型の高級ホテル「ロッテシティホテル 錦糸町」をオープンする。日本国内で初めてのホテル事業になる。

 ホテルは2006年6月に閉館した自社の商業施設「ロッテプラザ」跡地に建てた、複合商号施設「ロッテシティ」(地上19階・地下2階)内に入居する。客室数は全213室。内訳はシングル3タイプ、ツイン5タイプ(ユニバーサル含む)のほかダブルの9タイプを用意する。客室は全室禁煙。シングルの料金は1万3750円からの設定。JR錦糸町駅から徒歩約1分。観光客やビジネス利用を見込む。

 付帯施設として会議室やレストラン、英国風パブ、ゲストラウンジ、コインランドリー、コンビニエンスストア、喫煙コーナーなどを設ける。

 レストランは4階に韓国の俳優ペ・ヨンジュン氏がプロデュースする韓国伝統料理店〝高矢禮〟(ゴシレ)が展開する「コリアンダイニング高矢禮」などがオープンする。また、1階にはロッテ初出店になるチョコレートカフェ「シャルロッテチョコレートファクトリー」ができる。チョコレートができるまでを展示したミュージアムスペースも併設する。営業時間は午前7時から午後10時まで。

地域づくり総務大臣賞、旭川市が大賞に決定、25団体、3人が選ばれる

 総務省は1月5日、豊かで活力ある地域社会の構築に寄与した団体や個人を表彰する2009年度「地域づくり総務大臣賞」の大賞に旭川市(北海道)、団体表彰にB級グルメの聖地久留米実行委員会(福岡県)や山鹿温泉観光協会(熊本県)、個人表彰に渋谷秀逸氏(長野県)など合計25団体、3人を選んだ。

 同賞は地域の個性豊かな発想を生かし、魅力溢れる地域づくりを積極的に推進している市町村や地域づくり団体、個人に贈られる。大賞、団体表彰、地方自治体表彰、個人表彰がある。

 旭川市は「旭山動物園」の行動展示による独自性および動物を通じて自然や人間、命を認識する施設づくりを支えた、官民協働のまちづくりへの取り組みを評価した。住民の熱い思いや市職員の努力は多くの自治体の手本になるとするとともに、「命を伝える出張事業は、子供たちに命の大切さを教えることに役立っている」とコメントしている。

 B級グルメの聖地久留米実行委員会は食による街中のにぎわい創出、中心市街地活性化への取り組みにより、グルメタウンとしての知名度を上げ、地域活性化に寄与するなど貢献度が高いとしている。

 山鹿温泉観光協会は米米惣門ツアーや「山鹿灯籠浪漫・百華百彩」など、工夫を凝らした企画や学生の起業支援などの多彩な活動を評価された。とくに百華百彩は、事業費の半分以上を自主財源で賄っていることが高い評価になった。

 また、渋谷氏は今では年間約20万人もの観光客を呼び込む観光の目玉の一つとなった「花桃」の植樹を、私財を投入して1991年から約20年間にわたり続け、村の知名度アップだけでなく、地域の活性化にも寄与している。コメントでは「1人の地道な取り組みが共鳴を生み出し、行政をも巻き込み地域活動へと発展した功績は大きい」としている。

 そのほかの受賞者は次の通り。

 【団体表彰】
アルテピアッツァびばい(北海道美唄市)▽青倉地区自治会(岩手県宮古市)▽鳴子の米プロジェクト(宮城県大崎市)▽潟船保存会(秋田県潟上市)▽心といのちを考える会(秋田県藤里町)▽きらりよしじまネットワーク(山形県川西町)▽足利市くらしの会(栃木県足利市)▽まちの駅ネットワーク本庄(埼玉県本庄市)▽常盤平団地自治会(千葉県松戸市)▽小平市グリーンロード推進協議会(東京都小平市)▽初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会(神奈川県横浜市)▽学生との連携によるうるしの里活性化実行委員会(福井県鯖江市)▽種蔵を守り育む会(岐阜県飛騨市)▽あかばね塾(愛知県田原市)▽こうべUD広場・こうべユニバーサルデザイン推進会議(兵庫県神戸市)▽とさはちきんねっと(高知県高知市)▽子ども夜市実行委員会(福岡県飯塚市)▽大隅の國やっちく松山藩(鹿児島県志布志市)

 【地方自治体表彰】
東京都江戸川区▽福井県小浜市▽兵庫県▽愛媛県東温市

 【個人表彰】
村上龍男(山形県鶴岡市)▽梶誠(愛知県豊田市)

新入湯料の導入検討、有馬温泉旅館協同組合が新年会

 有馬温泉旅館協同組合(増田晴信理事長)は有馬グランドホテルで1月12日、新年互礼会を開いた。

 増田理事長は「昨年は新型インフルエンザの風評被害もありイメージアップに尽力した1年だった」と振り返り、「今年の目標は次世代への継承と、堅実な組合運営の推進。そのためには行政に頼らない自主財源の確保が必要であり、新たな入湯料の導入を検討している」と語った。

 さらに入湯料について「神戸市に納めている入湯税はなかなか有馬に還元してもらえないのが現状。10円から15円の入湯料を導入し、その財源を有馬温泉の環境整備などにあてたい」として理解と協力を求めた。

 来賓の玉井茂治兵庫県神戸県民局副局長は「今年の秋にあいたい兵庫キャンペーンを予定し、県民局も有馬温泉と一緒に『一度は来たい』『もう一度来たい』有馬温泉を全国発信したい」とあいさつ。

 大森伸一神戸市国際文化観光局長は「観光は都市の魅力の源泉。日本最古の名湯と六甲山の自然、1千万ドルの夜景などを組み合わせた新たな神戸観光の魅力づくりを官民一体で進めたい」と述べた。

 続いて華やかな芸妓踊りの披露や、増田理事長と當谷正幸有馬温泉観光協会長らによる鏡開きが行われ盛会のうちに幕を閉じた。

旅行産業経営塾を再開、期間は3年、第1期生募集

 旅行産業経営塾OB会(原優二会長)は1月13日、2004年から休塾していた「旅行産業経営塾」(山田學塾長)を再開するとし、新1期生の募集を開始した。3年の期間限定で開き、将来の旅行産業を担う人材の育成を目指す。

 原会長は、旅行業が大きな変革期を迎えている今の状況を「旅行会社の本来の役割はどこにあるのか。社会に求められる役割を見極め、経営資本を集中させなければ将来は手詰まりの状態」と説明。「旅行業は人があってはじめて成り立つ産業。将来を担う人材育成が必要だ。同塾はものの考え方や見方を身につけるのが目的。会社に関係ない個人参加なので、本音で語り合え、違う立場の考え方に触れられる。一緒に新しい旅行業はどうあるべきか真剣に考えていきたい」とし、「卒塾生にはさらに次世代を教育してもらいたい」と再開の主旨を語った。

 同塾は1999年に現トラベルジャーナル学園が設立。5期にわたって開き、約200人の卒塾生を輩出した。今回はそのOB会が主催するもので、他業界や弁護士、大学教授など多方面から講師を招き、「志の旗を掲げよう」「交渉相手に負けない意思決定術」「ランドオペレーターの戦略」などをテーマに講義する。

 1期の修業期間は5月22日―2011年3月26日まで。授業は全14回(内1回は合宿予定)で、授業料は10万円。募集対象者は、「原則旅行業従事者で経験5年以上」など。定員は36人。申し込みはホームページ( http://www.bsti.jp )から。

 問い合わせ=旅行産業経営塾募集事務局 電話03(5774)6481。

〝職場力〟など研修、11月に島根で全国大会(全旅連青年部)

 全国旅館生活衛生同業組合連合会の青年部(井上善博部長)は1月14日、東京都内で2009年度第3回県部長サミットを開き、宿の地位向上委員会や広報委員会が主催したセミナーを行った。

 冒頭、井上部長は「大河ドラマ『龍馬伝』がスタートし、幕末の時代は混迷しているなかで、気概と志を持った青年が大きな仕事を成し遂げた。私も昨年の所信として『誇り・絆・友情』をスローガンに掲げたが、改めて、我われ旅館・ホテル業の誇り、仲間との絆と友情を大切にし、この1年をしっかりと頑張っていきたい」と新年のあいさつをした。

 「今年11月25日には青年部の第20回全国大会が島根県で開催される。ぜひ『縁結び』の地・島根にお越しいただきたい」と力強く呼びかけた。  宿の地位向上委員会(鈴木治彦委員長)のセミナー第1部は、「旅館業界『職場力』の実態」をテーマに講演会を開いた。

 事前に職場意識調査のアンケートを実施したオブリージュ(村橋克則社長)のエグゼクティブプランナー・末永栄一氏は「変化の激しい時代には、社長の力量や指導力だけでは上手くいかない。社長と従業員が作り出す強い職場力が必要」と述べた。

 さらに、職場力を決める3つの要素として、(1)安心感(2)達成感(3)連帯感――をあげ、「これらを作り出すのは経営者のリーダーシップ」と強調した。

 第2部の講演「学生の就職活動に関連したキャリア開発」では、富士常葉大学総合経営学部准教授の大久保あかね氏が「観光産業と地元の大学の連携のススメ」について語り、「2週間程度の企業研修を行うインターンシップの参加率は大学生全体の7%程度。旅館もぜひ多くのインターンシップ生を受け入れてほしい」と語った。

 第3部の「大学生・若旦那コラボ!~旅館の魅力を見つけよう~『泊まる』『働く』を考える」では、富士常葉大学観光ビジネスコースの学生らが、同委員会メンバーと連携して、昨年12月に長野県鹿教湯温泉で行った合同合宿の報告を行った。

 合宿を通じて、学生と若旦那らが共同でつくった宿泊プランなどの発表も行った。

エコの観点からコスト削減、ホテレスショーに「エコ達人村」(国際観光施設協会)

 国際観光施設協会(中山庚一郎会長)は2月23―26日、東京ビッグサイトで開かれる国際ホテルレストランショーに、「エコ達人村の相談・展示コーナー」を設ける。旅館やホテルの経営を圧迫する水高熱費の高騰の問題を、エコの観点から考えコスト削減につなげてもらう考え。相談は無料。最終日には、「エコの考え方で水光熱費をガッチリ減らす」のテーマでセミナーも開く。日本能率協会、日本ホテル協会、国際観光旅館連盟、日本観光旅館連盟、国際観光日本レストラン協会、全日本シティホテル連盟、日本温泉協会の7団体も協力する。

 同協会が関係団体に「エコ・省エネに対策に関する取り組み上の障害」に聞いた事前アンケート結果によると、「投資や資金計画が心配」が46%、「技術的な情報やコストが判らない」が37%を占めた。エコ達人村では、この2点について集中的に相談に乗る。

 技術面については、エコ達人(同協会に所属する技術企業のトップエンジニア20人)が対応。基本は事前予約制で、3年間の月別の光熱費のデータ、簡単な平面図、システムの説明などの資料を持ってきてもらう。

 投資面については、経済産業省資源エネルギー庁と日本政策金融公庫の担当者が協力。それぞれ2日ずつ専用のブースで、融資や補助制度について相談を受け付ける。手続きも含め、どうすれば受けられるのかまで指導してもらえるという。

 中山会長は、「技術の正しい使い方、それぞれの土地の力を生かして水光熱費を下げる方法を知ってもらいたい。客1人あたり1200円かかっていた水光熱費をうまくやれば800円台まで下げられる。これはものすごく大きいこと。ちゃんとやればおもてなしを損なわずにできる」と話す。

 同協会は同様の企画を今後5年間、継続していく考え。

 問い合わせ=電話03(3263)4844。

JTB・田川社長×HIS・平林社長 対論、トラベル懇話会「新春講演会」

 トラベル懇話会(会長=糟谷愼作・西武トラベル社長)は1月7日、東京都千代田区の有楽町朝日ホールで開いた第32回新春講演会で、JTB社長の田川博己氏と、エイチ・アイ・エス(HIS)社長の平林朗氏の対論を行った。日本を代表する旅行会社のトップが顔を合わせ、2010年の海外旅行市場の行方のほか、リアル店舗やウェブ戦略、価格戦略、グローバル戦略などについて、考え方や今後の方針を語り合った。

 新春講演会に先立って、糟谷会長は新年のあいさつで登壇し「2010年を迎えたが、旅行産業はいまだに20世紀の実績を超えられない。今回のJTBとHISのトップ対論は、旅行産業が21世紀型に変わっていく方向性を示してくれるものと期待している。今年も『明るく元気に』をスローガンに進んでいこう」と呼びかけた。

 対論の司会は、ダイヤモンド・ビッグ社「地球の歩き方」会長の西川敏晴氏が務めた。  まず現状認識について、JTB社長の田川氏は「地域密着で営業しないとこれからの旅行業は成り立たないとの認識から、06年4月に15社に分社化した。新しい旅行業のかたちや事業領域を求めて、現在は構造改革と成長戦略を同時に行っている」と述べた。構造改革では店舗ネットワークが最大の問題とし、成長戦略は(1)ウェブ(2)グローバル(3)地域交流――の3つをあげた。

 HIS社長の平林氏は2年前に社長に就任した理由を、「激変する環境には、より若い世代で対応していき、新しいビジネスモデルを作っていくことを任された」と話した。「HISは創業30周年を迎えたが、これまでのビジネスモデルをこの1―2年で大きく変えつつある状況」とし、「日々起こる変化にいかに対応するかを最も重視し、変化に先回りして対応することを心掛けている」と語った。昨年、マニラに100拠点目を展開しており、現地発のアウトバウンドを拡大していくことに力を入れていると説明した。

 ――リアル店舗、ウェブ戦略について

 JTBの田川社長は「昨年の高速道路1千円化によって、急激にインターネット利用が高まり、とくに国内宿泊においては相当に増えた。これがリアル店舗のあり方を考えるきっかけとなった」と話し、JTBグループで200店舗閉鎖と報道された経緯を話した。田川社長は「インターネットは商品の価値を高めることよりも、価格を下げるベクトルに動くようだ。価値を上げ、価格を上げるようには動いていない」と厳しい口調。そのうえで、「店舗ではインターネットを道具として扱うやり方の道筋を考えていく必要がある」と語った。

 HISの平林社長は「96年にホームページを立ち上げて以来、店舗とEビジネスはほぼ均等に力を入れてきた。店舗は統廃合はあるが、基本的には拡大策をとっている」と述べた。さらに、「5―6年前、eビジネスの可能性についての見通しは、総取扱額の1―2割で頭打ちだと予想した。我われは海外旅行が主なので、説明商品という性質柄そこまでeビジネスの比率が高まることはないだろうと見ていたが、今同じ質問をされると、『50%を超える可能性は十分にある』と答えるだろう。この2―3年は店舗が苦戦するなか、携帯(モバイル)による取扱いも急激に増えており、今後どこまで比率が上がるか予想しづらい状況」とした。一方で「ウェブで申し込まれるお客様は海外旅行に慣れたリピーターが中心。店舗を出店していかないと新規顧客の獲得は難しい。また、利益率の高い付加価値をつけた商品を売っていくには、店舗での販売が重要だと考えている」との見解を示した。

「単純な安売りは避けるべき―田川氏」

「「新規顧客」の獲得は店舗で―平林氏」

 ――2010年の海外旅行市場について

 田川氏は「これだけイベントが目白押しの年に、もし需要が伸びなければ、旅行会社を辞めてしまえといわれるような年」とし、平林氏は「数字は伸びると思うが、景況感は09年以上に厳しい年と認識している。成田、羽田空港の発着枠が拡大し、新規エアラインも多数乗入れるなか、ここで需要が拡大しなければ未来はないなと感じる」と語った。

 JTBとHISが共同でチャーター機を飛ばす可能性については、平林氏は「チャーターは旅行会社が負うリスクが高いので、オフラインの新規デスティネーションなどで需要喚起する場合にはぜひ共同でやらせていただきたい」。田川氏は「1社でやるには非常にリスクが高い。あらゆる旅行会社が共同でやるのがいいと思う」と語った。

 お互いをライバルと思っているかについては、両社長とも「そう思っている」と答えた。

 平林氏は「経営する以上は目標がいる。『JTBを追い抜きたい』というのは我われの大きな目標」と語った。一方、田川氏は「HISさんをターゲットにしているのは、FITの分野。いかにFITのお客様を取り込んでいくかという部分で、正直言って(JTBは)負けていると思う。これはJTBグループとして大きな課題。JTBとHISのオペレーションの仕方が違うが、HISさんのほうがスピーディー」と述べた。

 ――価格戦略について

 平林氏は「デフレによって消費者の価格志向が強まっている。しかし、価格を下げることで総需要が広がるとは思っていない。パイを取り合っている印象」と語った。新春格安キャンペーンの「初夢フェア」については「決して主力として出しているわけではない。(あの価格では)会社の経営も成り立たないし、付加価値の高い商品を店舗で販売していきたい」とした。

 田川氏は「価格の設定はそれぞれの会社でポリシーがあると思うが、質的な部分と絡めて常にセットで議論してもらいたい。質的な議論がなければ、価格が単に下がるだけ。業界として質を議論する体質に変わる必要性があると思う。『安い商品』と『安売り』は違う。単純な安売りは避けなくてはならないと思っている」と語った。

「目標は〝JTBを追い抜く〟――平林氏」

「FITの取り込みが課題に――田川氏」

 ――グローバル戦略について

 田川氏は「海外旅行とインバウンドは国内施策。JTBは世界80数カ国にランドオペレーターとしての機能を持っており『世界最大のランドオペレーター』というのが強み。現地で送客事業を行い、日本をはじめ世界にその国からお客様を送り出す機能をしっかりやることがグローバル戦略だと考えている」とした。そのなかで、「とくにアジアなどではその国の商習慣にあわせた進出の仕方が重要になる。たとえば合弁会社や協業などで進出しないとグローバル戦略は上手くいかない。韓国ではロッテと組んでいる。国内の人口が減るなかで、国際交流人口は爆発的に拡大している。インドやブラジルなどの新興国など、マーケットのあるところで商売をするというのは商いの基本」と語った。

 平林氏は「次の30年の成長戦略を考えると、世界に出て行かざるを得ない。アジア圏では現在、ものすごい数の旅行会社が設立されている。何10万社あるのかなという感じを持っている。日本のように産業が成熟していないので、旅行業法や約款もほとんど整備されていない状況。この中でグローバル化するには、我われのスローガンである『Think local, Act global』で思考をローカル化しないと難しい。 我われはメーカーと違って、販売する商品が確たる『製品』ではないので、各国に伝えられていくノウハウは、目に見えないオペレーションのノウハウや、商品造成の考え方などしかない。だから、ベンチャースピリッツをいかに委嘱できるかにかかっているので、並大抵ではないなと感じている。だが、そこに出ていくしか15年後、30年後の成長戦略は描けないと思っている」と語った。「一方でアジアの国々の旅行会社が日本に進出して、日本でビジネスすることも十分考えられる」と危機感も示した。

 田川氏は、「日本にはインバウンドについての法律はない。05年に作ろうとしたが、残念ながらできなかった。私はインバウンド向けの法律もしっかりと作るべきだと考える。今後インバウンド市場で2千万人―3千万人を求めようとするならば確立すべき」と強調した。

 ――旅行会社の価値について

 田川氏は「21世紀に旅行会社が残るなら、海外でも国内でもデスティネーション開発や地域開発をやる姿勢が必要。単に売っているだけでは旅行販売業であり、旅行事業ではない。JTBは旅行事業をやりたい。そのために総合旅行業の名を捨て、交流文化産業という名をつけた。将来的にはライフスタイル産業になりたい」と話した。

 平林氏は「現在情報が過多になり、いい情報を選択することが難しくなっている。旅行会社として、いかに主体的に楽しい旅行をお薦めできるかにかかっている」とし、「参加したお客様が想像していた以上に、感動や楽しみを感じていただけることができる存在でありたいと思う」と語った。

今秋ハワイに新施設、リゾ婚断念層を開拓(ワタベウェディング)

 ワタベウェディングは今秋、ハワイのコオリナ第2ラグーンにハワイ最大規模のハイクラスのウェディングリゾート施設「ホヌカイラニ コオリナ・プレイス・オブ・ウェリナ」をオープンする。12月24日から販売を始めた。施設は同ラグーン内で3番目。

 12月9日の会見で同社の渡部秀敏社長は「考えられる限りのハワイらしさを取り入れている。ここに行かないと実現できないクオリティーを実現する」と意気込みを語った。「国内に流れていた客を取り返しにいく」と、リゾート婚断念層の取り込みを狙う。リゾート婚希望層は約5万組がいるといわれ、そのうち約7割が国内のホテル、ゲストハウスに流れているという。

 施設の特徴は一方通行の自然な導線設定。チャペルの入口から、庭、パーティー会場まで同じ導線を2度通らない。他の挙式者を気にしないで、挙式からパーティーまでゲストハウス同様のプライベートなセレモニーを実現できる。チャペルのデザインは、ハワイアンに大切にされてきた「HONU(ウミガメ)」。海に浮かんでいるような臨場感と、270度の大パノラマが売り。

 サービスコンセプトは「7つのウェリナ」。ウェリナとはハワイ語で「愛を込めて」の意。全米レストラン・ランキングでトップ10、ハワイ・リージョナル・キュイジーヌのマスターシェフ、アラン・ウォン氏監修による料理のほか、パーティーマスターによるパーティーの準備から進行、演出までの手伝い、プロ集団によるウェディング・フォトなど、ハイレベルのサービスコンビネーションを用意する。

 ウェディングプランは原則すべてパーティー付パッケージ。オリジナルプランと新婦のヘア&メイク、ローズマリー衣装プラン、6人分パーティーがセットのスマートプランの料金は52万9千円。

 販売目標組数は2010年下期1千組、11年通期で2千組を目指す。