鉄道の利用促進を、無人駅貸出しで活性化(JR北海道)

 北海道旅客鉄道(JR北海道)はこのほど、無人駅活用に向けた新たな取り組みを発表した。98カ所ある無人駅を、観光協会や商工会議所などに無料で貸出す。地場産業のPRや観光案内所などに利用してもらい、駅の活性化とまちのにぎわい創出につなげ、鉄道利用の促進をはかる。

 JR北海道が5月9日日に公開した2016年度決算によると、台風の被害などを受け当期純損失126億円を計上。島田修社長は、「来期も189億円の経常赤字を計画する厳しい見通し。北海道新幹線を活用した経営基盤の強化に取り組み、事業範囲の見直しによる抜本的な経営構造改革を進める」との談話を発表した。

 昨年には、北海道の鉄道網の半分以上の13線区、1237キロの線区を単独で維持するのは困難と訴え、「地域交通の維持」について沿線自治体らとの協議を開始している。道もこの問題に対し、「鉄道ネットワークワーキングチーム」で検討を進めており、5月25日には高橋はるみ北海道知事が、初めて名寄市内で宗谷線沿線関係者と意見交換を実施した。

 沿線自治体でも、鉄路存続へ向けた試みが始まっている。同社がバスなどの交通体系への移行を考えている札沼線の北海道医療大学―新十津川間では、月形町と新十津川村、浦臼町の首長が自ら沿線の魅力をガイドするバスツアーが行われている。これは月形町の提案で、シィービーツアーズ(北海道札幌市)が企画したもの。3年前から国道275号線を歴史街道として売り出すために始めたが、今年は浦臼―新十津川を札沼線で移動し、より多くの注目を集めている。

創立50周年記念フォーラム、「新潟創生宣言」に350人(ホテル泉慶)

飯田浩三社長

 ホテル泉慶グループは創立50周年を記念して、未来を探るフォーラム「新潟創生宣言」を5月14日、白玉の湯華鳳で開き、350人を超える人が県内外から集まった。

 基調講演は、内閣参与で経団連21世紀政策研究会顧問を務める、飯島勲氏が「政局を語る」をテーマに講演。世界の指導者が変わるなか「安倍政権の役割は大きい」と語り、「これからは日本海時代の幕開け」と強調。とくに農業、観光の重要性を説いた。最後は「住みやすい社会を中長期的に考え、後戻りしない政治を行わなければならない」と締め括った。

 また、「新潟から発信する地方創生に向けた産学への期待」と題したシンポジウムを実施。パネリストは増田寛也東京大学公共政策大学院客員教授と亀田制作日本銀行新潟支店長、高橋姿新潟大学学長、田中通泰亀田製菓代表取締役会長。コーディネーターは山崎史郎前内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官が務めた。

飯島勲氏

 亀田日本銀行新潟支店長は、新潟県の人口減少率は全国ワースト9位(16年10月現在)というなかで、新潟にとっての地方創生は「人口減少問題に立ち向かい、未来志向を持つこと。新潟ならではの良さを、強みを再発見する必要がある」と述べた。高橋新潟大学学長は、地域の中小企業との連携、地域ニーズに応える人材育成や研究の推進が必要だと訴えた。19年4月に創生学部を新設し、人材の育成と定着を目指すという。

 田中亀田製菓会長は、「保守的な発想が強く、独創的なアイデアに挑戦するという気風が弱い」という県民性を譬えた。そのなかで、危機に立たされたときに気持ちが燃え上がる新潟県人の成功から学ぶことが重要だと呼びかけた。増田東京大学公共政策大学院客員教授は地域で雇用の場を創出する必要性を説き、「子供たちの声が届く魅力ある職場づくり、環境を整える必要がある。地域の特色を出し、相手が望んでいる言葉で伝え、変える勇気をもって挑戦してほしい」と語った。

 コーディネーターの山崎氏は「若い人だけでなく、その親たちに地元の産業、企業をより知ってもらう必要がある。インターンシップがキーワード」と説いた。

パネルディスカッション

 フォーラムを前に飯田浩三ホテル泉慶社長は「お客様、地域の皆様、取引先の関係者のおかげで創立50周年を迎えることができた」と謝辞を述べ、「この50年間、インフラ整備が充実し、新潟県も発展してきた。一方、中越、中越沖地震や東日本大震災で、大変厳しい状況も経験した。よく乗り越えてきたと感慨深いものがある」と振り返った。今後については「世界のグローバル化に伴い、新たなサービス形態が求められる。旅館業という職業に誇りを持ち、お客様に、社会に対応すべく、積極的に貢献できる企業として努力していきたい」と方針を述べた。

 二階堂馨新発田市市長は「地方創生が急務と言われるなか、裾野の広い観光は切り札と言われている。月岡温泉は観光のプラットフォームとして誘客策を進めている。20年の東京オリンピックを控え、新たなマーケットを積極的に推進している。当市も市制施行70周年の節目に、新たな100年に向かって泉慶グループと共に発展していきたい」とあいさつした。

仮想通貨で決済、訪日需要拡大へ(ピーチ)

井上慎一CEO(中央左)と小田玄紀社長

 LCCのピーチ・アビエーションは12月までに、ビットコイン(仮想通貨)の取引を行うビットポイントジャパンと共同で、仮想通貨を活用した直接決済サービスを導入すると発表した。航空券の支払いなどに利用できる。また、北海道と東北、沖縄をモデル地区に選定。ホテルやレストランなど、仮想通貨利用店舗の拡大も進め、インバウンド需要を拡大させ、地方誘客・創生を実現する。

 5月22日に東京都内で開いた会見で、ピーチの井上慎一CEOは「お財布を持たずに完結する旅の実現に傾注する」と宣言した。

 ビットコインとは、インターネット上で取引される仮想通貨の1つ。中国をはじめとするアジア圏や欧米では広く普及しており、同通貨を使用可能にすることでインバウンド需要の拡大にもつながるという。ビットポイントジャパンの小田玄紀社長によると、日本でも法整備など消費者保護が進んでいることから、今後仮想通貨の使用が広がるという。

女将がおもてなし語る、神戸で「旅の日」の会開く(日本旅のペンクラブ)

「みやこ女将の会」の女将がおもてなしを語り合う

 日本旅のペンクラブ(代表会員=中尾隆之氏)は5月16日、神戸ポートピアホテル(兵庫県神戸市)で第30回「旅の日」の会を開いた。今年の旅ペンクラブ賞は、京都府の「みやこ女将の会」(会長=堀部寛子・炭屋旅館女将)が受賞。記念シンポジウムでは、会員女将らが「おもてなしの心」をテーマに語り合った=写真。

 堀部会長は「私たちは先人たちから受け継がれた『和の文化』を、おもてなしの心で次の世代につなげていかなければならない。全国各地の女将さんとも交流しながら、一層精進していきたい」と強調した。

 柊家の西村明美女将は「おもてなしは、人に見えては気を遣わせてしまう」と話し、見えないところでのおもてなしの大切さを語った。旅館については「日本人の心を映す空間であるべき」との考えを述べた。

 同ペンクラブは1988年に、松尾芭蕉が「奥の細道」に旅立った5月16日を「旅の日」と定めた。中尾代表は「『旅の日』が広く一般の方々にも浸透してきているのを感じる」と話し、「今後も旅文化の向上や、地域活性化など、幅広い活動を展開していく」計画だ。

【当選者発表】第42回プロが選ぶ100選宿泊券プレゼント

『第42回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選プレゼント当選者』が決定いたしました。

今回もたくさんのご応募ありがとうございました。
ご応募の締め切り後、厳正なる抽選の結果、各プレゼントのご当選者が決まりました。
ご当選者の皆様には当選旅館・ホテルから近日中に宿泊券をお送りいたします。
どうぞ楽しいご旅行をお楽しみください。

ご当選者のお名前は
コチラから!(弊社の『プレゼントコーナー』ページへリンクしています)

 
☆「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」とは☆
 「プロ(=旅行会社)」の投票により、100選施設に値する優れたホテル・旅館を「もてなし」「料理」「施設」「企画」という4つの区分で5段階で評価。100選はその合計点によるランキングです。

外国人に人気の観光地 ― 経済的な利益と、俗化への危惧

 ゴールデンウイークに、大分県の由布院温泉を訪れた。雄大な由布岳を眺め、温泉街のお洒落なお店をのんびり散策することを楽しみに出掛けた。

 あいにく雨と風が強く、散策を十分に楽しむことができずに残念だったが、たまたま入ったお蕎麦屋さんには大変満足できた。由布院のお蕎麦屋さんは、とても美味しいところが多い。

 温泉も人気の庭園風呂に入って、ゆったりとした時間を過ごすことができた。けれど、この長閑な雰囲気の温泉でたった一つ気になったのは、中国人の男の子が手に持ったタオルをピシャッ、ピシャッと湯船に叩きつけていたことだ。

 当然近くにいた日本人のおじさんが「湯船にタオルを浸けてはいけないよ」と注意をするのだが、男の子はまったく理解していないようすだった。そのうちに、体を洗っていた父親が男の子の横に来た。父親は少年を注意するかと思いきや、石鹸で自分の体をゴシゴシ洗っていたタオルを巻きつけたまま湯船に浸かってしまった。

 京都の伏見稲荷大社を訪れる機会を得た。朱色の鳥居が並ぶ境内は、いわゆる“インスタ映え”するためか、日本人よりも外国人観光客の方が多かった。出店も多く、お好み焼きや、みたらし団子なども世界各地から訪れた旅行者は楽しそうに食べていた。だが、そこでも驚くべき光景を目撃した。

 中南米系の少年が、拝殿の鈴緒を力の限り振り回し、鈴を鳴らし続けていた。外国の少年にとってはまったく関係がないにしても、日本人にとっては神様である。パリのノートルダム大聖堂では、アジア系の女性が少し大きな声で話しただけで、警備員に厳しく注意されていたのを思い出した。

 日本の旅番組には、温泉は付きものである。そして、多くの場合、タレントがバスタオルを巻いて撮影される。これら番組は海外でも広く放送されているため、映像を見た外国人観光客は、当たり前のようにバスタオルを体に巻いて温泉に入る。

 「『バスタオルは湯船の中に巻いて入れません』といくら説明しても、信じてもらえないのです」という、京都の老舗旅館の女将さんの話が、妙にリアルに感じられた。

 由布院温泉で見た中国人の男の子もそうだが、単に「温泉にタオルを浸けてはいけない」という日本のルールを知らないだけなのだ。温泉施設も壁に「入浴時の注意点」などを掲示しているのかもしれないが、十分に伝わっていないというのが現状である。

 客が教えるというのも一つの方法だが、日本人の客にしても外国人に入浴マナーを教えるために、はるばる高いお金を払って温泉旅館に来ているわけではない。来る客、来る客に注意していては、自分がゆっくりと温泉に浸かることができないし、客同士のトラブルに発展する不幸なケースだって考えられる。

 入浴マナーを教えるのは、旅館側の責任だと思う。従来から温泉を愛していた日本人の客を失うことを危惧する。私自身、入浴マナーの悪い温泉にわざわざ行こうとは思わない。

 外国人旅行者が増えることで経済的な利益は大きい。しかし、日本人が古くから大切にしてきた文化を、外国人に理解してもらう努力を惜しんでは、俗化してしまい、やがて荒廃してしまう。それはとても悲しいことだ。

(編集長・増田 剛)

No.461 熊本県・蒲島知事に聞く、着々と進む観光復興への道

熊本県・蒲島知事に聞く
着々と進む観光復興への道

 熊本地震で九州観光は大きな打撃を受けた。直接被災した熊本・阿蘇地区と大分の一部に加え、隣接の九州6県も宿泊キャンセルなどの影響を受けた。昨年7月からは「九州ふっこう割」が実施され、観光・宿泊客の回復など震災前に戻りつつある。ただ熊本城や主要ルートの復旧などが残る熊本県の観光の再生に向けた課題は多い。復旧・復興の先頭に立って取り組む熊本県の蒲島郁夫知事に、観光復興への意気込みと将来展望などを聞いた。

【聞き手=九州支局長・有島 誠、構成=松本 彩】

 
 

阿蘇への代替道、観光に最高

 ――まず、震災から1年の想いと、観光・宿泊への影響、交通インフラの復旧状況についてお聞かせ下さい。

 観光業は熊本県にとっては、とても大きな産業ですが、この地震によって大きなダメージを受けました。震災から1カ月で宿泊キャンセルが33万人、観光業の損失額は380億円にまで拡大しました。

 観光業復旧には、2つの動きがありました。1つは観光事業者向けに政府からグループ補助金が出され、復興へ向けて皆がやる気を出す後押しになりました。

 2つ目が熊本の観光業は熊本だけでなく、全九州へ影響を及ぼすことが今回の地震で分かったことです。国の支援を受けて、熊本、大分を中心に九州各県の宿泊施設で割引が受けられる「九州ふっこう割」という制度ができ、観光が盛り返しました。

 この2つが早い時期に打ち出されたことが、九州の観光の復活に結びつきました。政府の対策に大変感謝しています。

 一方で、阿蘇が大きく落ち込み、なかなか回復ができませんでした。阿蘇は熊本だけでなく、九州全体の観光の中心です。国道57号が寸断され、阿蘇大橋が通れなくなったことで、阿蘇に行けないという誤解があったと思います。

 ただ、私が魅力的だと思っていたミルクロードは通行が可能です。阿蘇の外輪山や大観望を抜けて、黒川温泉に向かう道路ですが、私は一番美しい道だと思っています。多少時間がかかっても、十分に楽しめます。

 南阿蘇に向かうグリーンロードも冬期を除いて利用できました。この魅力的な2つの道をもっと発信すべきだったと思います。

 グリーンロードが冬期で通行できない時期に備え、国土交通省がいち早く県道熊本高森線俵山トンネルルートの暫定開通を実現してくれました。このルートも見晴らしがとても良く魅力的な道です。

 国道57号北側復旧ルートと国道325号阿蘇大橋ルートは2020年度開通予定であり、それまでは使えませんが、阿蘇に行ける道はたくさんあるので、安心して熊本に来ていただきたいと思っています。

 旅館、観光事業者も元気に営業しており、観光客を迎える感謝の気持ちがあふれていますので、ぜひお越しいただきたいと思います。…

 

※ 詳細は本紙1670号または5月24日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

弁済制度の改正か、利用者保護の観点重視

今夏にとりまとめ 省令や通達を、てるみWG

 観光庁はてるみくらぶの経営破綻を受け4月28日に、弁済制度と企業経営のあり方を議論するワーキンググループを開いた。弁済制度は機能していたとの認識を示した一方、利用者保護の観点を重視し「制度の新設か改正・補完を行う必要性」を明らかにした。夏期までに最終とりまとめの発表を予定。省令や通達などを盛り込む。国や業界団体、企業らがそれぞれ取り組むべき方向を打ち出す見通しだ。
【平綿 裕一】

 「今回の事案は特殊。既に機能している制度を変えれば、企業活動を歪める可能性もある」。4月28日の同WGでは、慎重姿勢の意見も挙がった。これまで53件中41件の8割弱が、制度を利用して100%弁済できていた。

 ただ利用者保護の観点から、弁済額や制度の見直しの声も多い。これらを受け、同庁が提示した弁済制度に対する論点は4つ。1つは弁済業務保証金の水準について。この中に「取引額の規模と分担金」「モラルハザードの防止の観点」の項目がある。今回の事案で問題に上がった、制度の妥当性を議論する。

 現在の弁済業務保証金分担金は、第1種旅行業登録の場合、昨年度の取引額が70億円未満なら1400万円と定められている。仮に弁済保証額の水準を引き上げるならば、分担金が増す可能性が高い。

 「企業の負担が大きくなりすぎれば、実行性がなくなる」。WG後の記者会見で、観光産業課の黒須卓参事官は懸念を示した。弁済制度の実行性担保と、保護の規模感の調節が壁となっている。

WGでは、慎重姿勢の意見も

 一方で実際に海外に取り残されている人もいる。利用者からすれば対策がないと安心して旅行を楽しめない。黒須氏は「我われが機能していたと思っていた部分に、さらにWGを通じて新たな制度か制度の改正が必要」と利用者保護の観点の重要性を強調した。

 このほか、再発を防止するためには「国、関係団体、企業らがそれぞれでも取り組むべき」との見解が委員らで共有された。省令や通達、呼びかけなど、最終とりまとめに盛り込んでいく。それぞれの立場で取り組むべき対策を講じる構えだ。

 2つ目に論点に挙げられたのは企業経営のあり方。「一番のキーワードは透明性」(黒須氏)。企業の経営状況などを把握した場合、「利用者にどうのように伝えるのかがポイントだ」(同)と指摘した。

 次回は5月中に開かれる予定。計4、5回議論を重ね夏期までにとりまとめ、秋期に対策を実行する見通し。

 なお、4月23日に発足した「てるみくらぶ被害者の会」に対し、同庁は「報道でしか把握していない。連絡を待っている。今後具体的に考えや主張を把握できたら検討していきたい」との発言に留めた。

還付手続きは年内に、3万2千件 問い合わせ(JATA てるみ弁済)

 日本旅行業協会(JATA)は5月11日に定例会見を開き、越智良典理事・事務局長が経営破綻した、てるみくらぶの弁済に関する現状を報告した。JATAへの案内書面請求の問い合わせは、10日時点でてるみくらぶが約3万2千件、金額は約86億円、自由自在は約370件、約5600万円。年内中に還付手続きを行うことを目指す。

 6月中旬に認証申出の案内書面を送付、認証申出の受け付けは6月下旬になる見通し。その後、8―9月に審査を行い、10月に弁護士を交えた事前審査を実施。11月に弁済業務委員会を開き、12月中に還付手続きを行う予定だ。書面の請求は専用Webサイトを設置して対応しており、約3万件はサイトからの問い合わせ。ただ1人で複数の打ち込みをしている場合もあり、正確な件数の把握には至っていない。

 従来は不法請求防止のため、さまざまな書類が必要だが今回は簡素化をはかる。「件数が多く、通常の手続きでは年を越してしまう。一方、ルールもあるので、観光庁の了解を得ながら進めたい」とした。

 JATAは再発防止のため、風の旅行社社長の原優二氏を座長に「弁済制度勉強会」を4月中に2回開催。その後、設置された観光庁のワーキンググループとも連携して中長期的な対策を検討していく。弁済業務保証金制度の見直しは、例えば今回の弁済をすべてまかなうには営業保証金を100倍にしなければ対応できず現実的ではないため、不審な会社の通報制度など複数のものを組み合わせて再発防止に努める。

 他方、トラベル懇話会(福田叙久会長)の協力で、4月8日にてるみくらぶ内定者を対象にした就職面接会を実施。正確な数字は公表されていないが、約50人と推定される内定者のうち、35人が集まった。このなかで5月10日までに28人の入社が決定したという。旅行会社はさまざまな特色を持つ40社が参加。参加学生に対し「旅行業で働きたいという強い気持ちを感じた」「不幸な目に遭ったが前向きな姿勢がみられた」など好感触だったという。

JCLA協議会設立へ、貸切バスら攻めに転じる

周遊バス事業で日本全国を巡る商品も

 全国の貸切バス事業者が連携し、横断的縦断的な協働営業をはかる。南薩観光(菊永正三社長)らがJapan Coast Line Alliance(JCLA)協議会を設立した。今回9社が参画し、今後は15社ほどになる見通し。FIT向けの全国周遊型商品も作り始めている。これまで貸切バス事業者の営業活動は受け身だった。JCLAを呼び水に攻めに転じたい考えだ。

 「旅行ニーズも変化してきた。既存のチャンネルを維持しつつも、一歩先に進む活動も行うべき」。発起人の菊永氏は4月19日の設立会で、設立への想いを語った。さらに「国内外に営業をかけていく。これから貸切バスが生き残るために必要な方針だ」と積極的な姿勢を鮮明にした。

 SIC(周遊バス)事業で、欧米豪のFIT・富裕層などをターゲットに、30日間ほどで日本全国を巡る商品を計画している。

 商品販売は旅行会社向けのBtoBと、FIT向けのBtoCの両輪を回し、「直売の強み」を保持していく狙いだ。代金決済のシステムも構築済み。

JCLAで協働始まる

 団体客はASEAN・欧米諸国を中心に商品の造成・販売を展開。販促パンフレットやWebサイトでのプロモーションも実施していく。このほか、貸切バス相互の協働販売を行う。7月から九州・四国間で商品を展開する見通し。

 一方コンプライアンスも徹底し、セーフティマークの取得も努める。安全安心のため適正運賃を守る。経営基盤を整えることで、営業への力を生み出すことにも注力していく。

 なお、国土交通省自動車局と定期的に意見交換の場も作る。地方の貸切バス事業者の実情や現状を伝えたい考えだ。