古民家活用のあるべきカタチを求めて (東京・小石川大正住宅の例)

2018年4月10日(火) 配信

インタビューに答えてくれた、所有者である根木隆彰・豊子夫妻。
近隣珈琲焙煎店とコラボしたドリップコーヒーも、ユーザーから好評を博す

 2013年、国内の空き家数は820万戸。総住宅数に占める割合は13%。内訳を見ると「賃貸用の住宅」が5割強を占め、世帯が長期不在などの「その他の住宅」が続く(4割弱)。話題の民泊は前者の運用に焦点を据えたもの。利活用の難しい物件が多いことも事実で、すべての空き家に活路がある状況ではない。世相やライフスタイルの変化によって居住困難になる住宅をどう活用するか? 東京都文京区、東京ドームにも近い一等地に建つ“小石川大正住宅”を例に挙げる。【謝 谷楓】

コミュニティに喜ばれる古民家として保存したい

 大正初期に建造された“小石川大正住宅”。純木造建築で、窓枠にはアルミサッシがなく、高度経済成長期の昭和感をまったく感じさせない造りが特徴だ。所有者である根木隆彰さんが生まれ、高等学校1年のとき1972(昭和47)年まで実際に住んだ家でもある。その後空き家や貸家となったが、1989(平成元)年ごろから、絵描きや能楽の稽古場として利用されるようになる。経緯について隆彰さんは次のように答えてくれた。

 「引退した父親が、趣味を楽しむための空間となりました。現役時代は銀行に勤めていたのですが、昔の銀行員は付き合いの関係もあり、さまざまな趣味を持つのが当たり前だったようです。先輩から能を習うよう勧められ、結局60年以上続けました。蓮阿弥(れんあみ)を流祖とする宝生流の先生に師事していました。稽古場といっては大げさかもしれませんが、定年退職後はここで、人に教えてもいました。私の結婚時には、修築して住むことも検討したのですが、新しいものがもてはやされるバブル期だったこともあって実現しませんでした。それが功を奏したのでしょう。大正時代の雰囲気を留めることができたのです」。

小石川大正住宅の外観(写真提供=所有者) 個展や海外ブランドの展示会スペースとしても活用されている

 1935(昭和10)年、母方の祖父ら一家で住み始めた住宅は、東京大空襲の難からも逃れることができた。B29爆撃機の落とす焼夷弾によって、火は路地一本隔てた向こう側まで及んでいたという。

 「関東大震災でも倒れませんでした。基礎がとてもしっかりしていたのです。2013年に耐震診断を行い、15年に改装したのですが、専門家からも手を加える必要はないとのお墨付きをもらいした」。

 保存時に懸念したことは、近隣コミュニティとの関係だ。古く寂れたままでは不安を与えてしまう。近隣住民にも喜ばれる保存方法を模索するなか、いくつかの建築事務所に改装を打診した。

 「父も亡くなり、私自身の定年退職が近づくなか、東日本大震災が起きました。いよいよダメかと思い来てみるとしっかり建っている。その姿を目の当たりにして、残してあげたいという思いが芽生えたのです。それなら近隣住民の方にも喜ばれるものが良い。百年先のことを考えると、地域にとって価値ある古民家であってほしいと考えたのです。縁があって、近所に事務所を構える一級建築士事務所 REIKA/NARITA Architectsにお願いすることとなりました。改装時には近所の方も気にかけてくださり、取り壊しになると考え残念がる方もいたほどです。改装後には貸事務所や催し事の利用場所にと声を掛けてくれる方も出てきました。住宅街ということもあり、興味を示す子供も多いですね」。

 “小石川大正住宅”は近隣コミュニティにとって、地域の歴史文化を象徴する存在としても認められている。

小石川大正住宅〈住所〉:〒112-0002 東京都文京区小石川1丁目11−3

人と出会い交流する場に

 “小石川大正住宅”は現在、レンタルスペースの仲介サイト、スペースマーケットを通じ時間単位で貸し出されている。改装後から利用したいという問い合わせが相次ぎ、江戸文化の関連イベント、能楽など、NPO法人や近隣住民らが主催するイベントを月1回ほど行うこととなる。一方、20―30人が集う催事は100年経つ純木造建築にとっては大きな負担に。役立つことは喜ばしいものの、保存したいという本来の目的も果たしたい。悩むなか、利用者とのマッチングをサポートする仲介サイトを知ることとなる。

 「写真撮影やポスターの背景、CDジャケット、映画・演劇ロケ地など、海外含めさまざまな分野のアーティストの作品の一部となっています。皆さん目的意識がしっかりしているので、気持ちよく貸し出すことができています。申し込み時に用途を伺ったうえで注意事項を伝えるなど、当方からのお願いごとも理解したうえで使ってもらえています」。

 貸し出す際のモットーは、無理をしないこと。運営者である自身の考えや、建物の状況とも相談しつつ、できる範囲内で要望に応えてきた。注目すべきは世相に適した運営スタイルだ。バブル期の90年代には利用が難しかったが現在ではさまざまな作品の一部分として活用されている。30年ほどの間に、古いものに対する価値観が大きく変化し、古さ=文化という考えが浸透した結果といえる。昭和感のない“小石川大正住宅”はこの世相にピッタリマッチした物件といえよう。

 「サイトに掲載してから1年ほど。写真撮影がメインのためリピーターは少ないのですが、利用者と出会う度に発見があり、セカンドライフの活力となっています」。

 所有者のライフスタイルに適した運営が実現されていることも特色の1つ。根木さんにとってここは利益を追求するための商材ではなく、人と出会いバイタリティが生まれる場なのだ。

地域の歴史や文化を発信

 民泊も含めた、物件や建物のシェアリングエコノミーは、文化と商い2つの側面を有し、いずれを主眼に据えて運営するかによって建物の持つ意味も変わってくる。例えば、農泊といった地域特有の生活を体験する場として活用する場合には、宿泊場所となる建物も文化的側面が強調されることとなる。ローカルに根付く風習を知る対象として、建物は機能するからだ。一方、遊休資産として捉え運用に徹すれば、建物は商材としての意味合いが濃くなる。

 仲介サイトを利用するユーザーは自身の需要に見合う物件を探すため、物件運営者は建物のコンセプトを明確に示す必要がある。保存を大きなテーマとする“小石川大正住宅”はまさに、文化的側面を前面に押し出すことで、創作需要を持つアーティストらの取り込みに成功した例といえる。

 残念ながら、同住宅の改装費は非公表。費用面での実例は示せないものの、地域の歴史や文化を発信する場として古民家を有効活用できる点は参考としたい。シェアリングエコノミーでは、宿泊分野への注目が高いが、時間貸しという選択があることも忘れてはいけない。地方行政や観光協会が地銀と協力して、古民家にギャラリーやイベントスペースとしての役割を持たせれば、空き家再生と文化事業を融合させることもできる。地域の特色やマーケティングといった需要把握作業は必須で手間だが、大型のハコモノを作る前に、あるものを有効活用するというシェアリングエコノミーの思想は、無視し難い世相となっている。

全国における、空き家の種類別空き家数の割合(平成25年)
※総務省統計局の資料を基に、旬刊旅行新聞編集部が作成した

〈旬刊旅行新聞4月11日号コラム〉人気観光地の異変 混雑の激しさと接客態度の低下…

2018年4月10日(火) 配信

人気観光地の混雑激化とサービス低下は日本各地にも……

 旅先での食事は大きな楽しみの1つだ。

 メインは夕食だろう。長い旅の1日を振り返りながら、美味しいお酒とともに、地元産の食材や珍味を口にすることは、旅の醍醐味の一つである。

 いつもとは違う旅先の客室で目覚め、自分が旅人であることを認識する瞬間も素晴らしい。そして、旅先の朝食も、夕食に匹敵するほど、魅力的だ。

 近ごろは、「朝ごはん」にこだわる旅館やホテルも増えてきた。野菜や果物などの新鮮さや、炊き立てのお米、焼き立てのパン、絞ったばかりのフレッシュジュース、挽きたてのコーヒー、バターやジャムなどの〟こだわり〟が、夕食以上に意識されやすいのも朝食の特徴だ。

 夕食や朝食に比べ、旅の途中の昼食は重きを置かれないことも多いけれど、旅の成否を大きく分けることが多々ある。とくに日帰り旅行では、昼食は主役級である。

 そんな旅の重要な部分を占める昼食ではあるが、団体旅行でなければ、食事処やレストランを予約しないケースが多いのではないか。その日の宿泊施設や、遊ぶ場所、観光名所に立ち寄る計画は立てても、昼食は「旅先でどこかいい店があったらそこに入ろう」「途中、美味しそうな店があれば、そこに決めよう」というパターンが多い。旅の成り行きに任せてしまう、といった扱いだ。

 しかし、旅の途中に「雰囲気が良くて、美味しい店」は、そうそう見つからないものだ。道路脇や駅周辺の飲食店は自宅の近所にもあるチェーン店がほとんど。「せっかく旅に出ているのだから、ここにしかないローカルな店を探そう」と力んでしまうと、いつのまにか山道に入っていたり、郊外に出ていたりという経験は1度や2度ではない。結局、どこにも店が見つからず、空腹のまま旅の目的地に着いてしまうこともある。

 一方、人気観光地内であれば、飲食店はひしめくほどあるので、「そぞろ歩きしながら店を選べばいい」と考えてしまう。

 最近、人気観光地の異変が少々気になっている。それは飲食店の混雑の激しさと、接客態度の低下に対してだ。もともと、「観光地の飲食店は高い」というイメージがあるし、実際そうである場合が多い。とくにメイン道路に面している店は、近年の外国人観光客の爆発的な増加によって、その混雑度は一層激しくなっている。観光客がひっきりなしに入って来るので、経営努力をあまり必要としない幸運? な店も、なかにはある。

 平気で1時間くらい待たせる店も少なくない。それだけならいい。客が店に入って来ると、自分たちが忙しくなるので、無視したり、露骨に嫌な顔をする店もある。         

 バブル期に旅行作家の野口冬人さんが、ある温泉地の旅館経営者から「お客さんを上手く断る方法を教えてほしい」などと相談され、「憤りを覚えた」とおっしゃっていたことを、ときどき思い出してしまう。客を捌く姿勢が端々に感じられると、「また行きたい」と思うはずがない。人気観光地の驕りは、旅行者にすぐに伝わる。通りにはたくさんの観光客がいても、割高な料金設定と劣悪なサービスの店が並ぶ観光地は、寒々しく映る。

 難しい問題だが、にぎわう観光地が陥りやすい落とし穴である。

(編集長・増田 剛)

〈観光最前線〉駅直結のサイクリング拠点

2018年4月10日(火) 配信

1Fパース図

 茨城県土浦市のJR土浦駅ビルに3月29日、日本最大級のサイクリング拠点「りんりんスクエア土浦」がオープンした。駅に直結したサイクリング拠点施設は全国初。

 施設はシャワーや更衣室、最大190台までの駐輪場を完備するほか、サイクルショップやレンタサイクル、カフェなどのサイクリングを楽しむための設備が充実する。館内にはコンシェルジュが常駐し、サイクリングコースや土浦の観光スポットなども案内してくれる。

 JR土浦駅は、全長180キロのサイクリングロード「つくば霞ケ浦りんりんロード」の中心地点。首都圏からの玄関口の1つであり、周辺の誘客や情報発信の拠点となって、サイクリング初心者から愛好者まで幅広い層の来場に期待が高まっている。

【長谷川 貴人】

地方の魅力やこれからを語り合う場を 「蔵前Local Lounge」を開始

2018年4月10日(火) 配信

ゲストハウス「Little Japan」 東京都台東区

Little Japan(柚木理雄社長、東京都台東区)とフラクタル(亀岡勇人社長、東京都台東区)は、地方自治体の魅力や課題について語り合う場「蔵前Local Lounge」を開始した。4~5月は、兵庫県養父市のイベントを予定する。

 同イベントは、自治体の担当者が地域の魅力や現状、課題を来場者にプレゼンテーションし、ワークショップを通して意見交換を行う。首都圏の生活者との関係構築による観光誘客や特産品販売、ふるさと納税の促進、地域の課題などを新たなアイデアによって解決に導いていくと意気込んでいる。

 単一の自治体が継続的に開催することが難しい首都圏でのPRイベントを、同社が実現。首都圏での開催により、地域で革新的な事業に取り組む地域イノベーターや、首都圏在住の地域に関心がある人、訪日外国人への地域からの直接的な情報発信などを目的とする。

 今後は全国の地方自治体を対象に展開し、地域と首都圏生活者のコミュニティの形成を目指す。

フラクタルの概要

所在地: 東京都台東区蔵前1 -7-7アイランドビル2 7F

代表 : 亀岡勇人

設立 : 2011年2月1日

事業内容: マーケティング事業、クリエーティブ制作事業、店頭プロモーションメディア製品事業、デジタルプロモーション企画・制作事業、商品開発・ブランディング事業、シティプロモーション事業

Little Japanの概要

所在地: 東京都台東区浅草橋3-10-8

代表 : 柚木理雄

設立 : 2017年2月6日

事業内容: 地域と世界をつなぐゲストハウス「Little Japan」、地域創生コンサルティング

日本旅行、「観光列車 ながまれ海峡号に乗ろう」を発売中

2018年4月10日(火) 配信

季節によっては、いさり火も車窓から眺められる

日本旅行は現在、赤い風船企画商品「観光列車 ながまれ海峡号に乗ろう」の2018年度(5月~10月)催行分を売り出している。

 「ながまれ海峡号」は、津軽海峡の美しい車窓と地元の食材を生かした料理、沿線の人々によるおもてなしを楽しめる道南いさりび鉄道(北海道函館市)の観光列車。沿線地域の人々と連携し、2016年から運行されてきた。今年は、沿線地域の魅力を楽しんでもらうというコンセプトはそのままに、提供する食事やスイーツにさらなる工夫を加え、かつよりリーズナブルな価格設定を行った。

2018年度「観光列車 ながまれ海峡号に乗ろう」 概要

設定日:

5月12日(土)・26日(土)

6月9日(土)・23日(土)

7月7日(土)・21日(土)

8月11日(土)・25日(土)

9月8日(土)・22日(土)

10月13日(土)・27日(土)

行程:

函館(午後3:51発)-木古内(午後5:40着/6:22発)-函館(午後7:47着)

商品概要

函館:

 函館スイーツの銘店「プティ・メルヴィーユ」の、お酒にも合うスイーツ(焼き菓子・予定)

木古内:

人気のイタリアンレストラン「どうなんde’s」の、名物塩パン付きパスタセット

茂辺地(北斗市);

 地元漁協・農協ご協力の、旬の海産農産品による豪快な「いさりび焼(駅ホームでのバーベキュー)」

車内サービス:

車内では木古内の銘酒「みそぎの舞」をはじめ、ワイン・ビール(北海道限定サッポロクラシック)などの酒類、ソフトドリンク、土産を販売。

旅行代金・座席:

座席は4人掛けのボックス席とロングシートがあり、ボックス席は2~4人で、ロングシートは1人から予約できる。また座席には海側席と山側席がある。

ボックス席
 4人で利用<山側席>9800円 <海側席>1万800円 
 3人で利用<山側席>1万300円<海側席>1万1300円
 2人で利用<山側席>1万800円<海側席>1万1800円

ロングシート(1~4人)
<山側席>9800円 <海側席>1万800円

※1人料金。大人・子供同額

募集人員:

1列車で最大50人(最少催行人員2人)

申込み:

全国の日本旅行・日本旅行北海道・日本旅行東北・日本旅行サービス・日本旅行OMCトラベルの各支店、日本旅行の商品を取り扱う提携販売店ならびにインターネットで販売。

〈出番です〉下町でふれあい観光を 町家の保存・再生も

2018年4月10日(火) 配信

(一社)米子観光まちづくり公社 理事長
川越博行さん

 下町風情が色濃く残る鳥取県米子市で、観光ガイドや町家の保存・再生事業などに取り組む米子観光まちづくり公社が4月1日に発足した。建築士や不動産業者、ブロガー、陶芸家など米子のまちづくりに関心が深い15人が出資し設立。市観光協会が運営してきた「米子下町観光ガイド」を公社が引き継ぎ、有料化に移行。名称も「城下町米子観光ガイド」と一新した。

 江戸時代からの町家をリノベーションした事務所も灘町にオープン。観光客用の休憩処や和文化体験スペースも設け、〝まちなか観光の拠点〟としてスタートさせた。

 理事長の川越さんは元県職員。約6年前から米子でボランティアガイドを始めた。現役時代は観光畑ではなかったが、出向先でコンベンション誘致に奔走した際、「自然や食、温泉は全国どこにでもある。ここにしかない魅力を具体的に語る重要性を痛感した」と振り返る。地域の魅力を深堀する着眼点を得たのはそのときだ。

 「例えば豪商・鹿島家はその昔、米子城小天守の解体修理に多額の資金を拠出し、御礼にしゃち鉾が贈られた。それが今でも無造作に中庭に置かれているのが米子の歴史のすごいところ」と語る。一方で、「現状はいわゆる外観見学だけのツアーになってしまうことも多い」とし、4月からの新しいガイドツアーでは、基本コースは設けるが、内容などは臨機応変に対応する。

 「案内先でお客様と地元の人がふれあう。満足度を高めるにはそれしかない」と、極力ふれあいの場面を設ける予定だ。

 公社ではガイド事業と同時に、近隣の町家の保存や活用策など相談窓口も常設する。「町家の減少に何とか歯止めをかけたい。調査の結果、約700棟の町家があることがわかった。町家が残る城下町の姿を守っていきたい」。実際、公社の事務所となった町家も取り壊される寸前だったという。

 「今後はガイド養成のほか、タクシーやバス運転手などを含めた地元全体での観光に対する意識改革も重要。外国人観光客のガイドも積極的に行っていきたい」と意気込む。

 

ANAインターコンチ万座、新ラウンジを6月にオープン

2018年4月10日(火) 配信 

大海原に沈む夕日など雄大な眺望も満喫できる広々としたラウンジに

ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート (総支配人ビヨン・クラージェ、沖縄県恩納村、客室数397室)は2018年6月17日(日)に、クラブインターコンチネンタルラウンジを新たにオープンする。

 クラブインターコンチネンタルとスイートの宿泊客専用の特別ラウンジで、沖縄最大級の広さを誇り、145席を設ける。沖縄本島随一の景勝地である万座毛を望む雄大な景色、東シナ海に沈む美しい夕日を270度のパノラマビューで楽しめる。ラウンジでは、専用のダイニングルームで用意する朝食やリフレッシュメント、アフタヌーンティー、イブニングカクテルや本格的なコーヒーを提供する。ライブラリーやアートギャラリー、テラスにはソファ席を用意し、寛ぎの空間を演出した。チェックアウト後も利用可能なシャワールームを完備し、旅の締めくくりまで快適に過ごせるようにした。

 同ホテルは09年4月に、ラグジュアリーリゾートとして大規模なリニューアルを実施した。今回のラウンジのデザインは、世界的に著名なデザイン会社、Hirsch Bedner Associatesが担当。デザイン責任者である若狭明宏氏は、「新たなラウンジは南国の花や葉が生い茂り、その隙間からさす木漏れ日の中にある秘密の入口。廊下の先には海や白い砂浜に通じる景色が広がっている。南国の風景や万座毛、深い海の青、サンゴ礁をイメージした鮮やかな配色を施した」と振り返った。

宿泊のオンライン予約: 

クラブインターコンチネンタルラウンジ概要

・サービスタイム

 朝食(午前7時~午前11時)、リフレッシュメント(午前11時~午後2時)、アフタヌーンティー(午後2時~午後4時)、リフレッシュメント(午後4時~午後5時半)、イブニングカクテル(午後5時半~午後7時半)、リフレッシュメント(午後7時半~午後9時半)

・利用時の特典

 専属コンシェルジュによる観光情報の案内や各種予約代行サービス、専用ラウンジでのチェックイン・チェックアウト、滞在中2点までの洋服の無料プレスサービス、Wi-Fi高速インターネット無料アクセス、098から始まる県内通話無料サービス

施設概要

施設名: ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート、クラブインターコンチネンタルラウンジ

階層:2階   

営業時間:午前7時~午後10時半

広さ:360平方㍍

席数:145席(2カ所のテラス席を含む)

エリア:コンシェルジュ、ダイニングルーム、リビングルーム

料金:クラブインターコンチネンタルルームとスイートの宿泊客専用ラウンジ。その他の部屋での宿泊客は追加料金が発生する。 ※料金は季節や部屋タイプにより異なる。

別館リニューアル開業 創業60周年で感謝の夕べ(ホテル葛城)

2018年4月10日(火) 配信

ラグジュアリーがテーマの客室

 今年3月に創業60周年を迎えた愛媛県松山市の道後温泉のホテル葛城(大木正治社長)は3月16日、運営する「道後の宿 葛城」別館の改装を終え、「ホテル葛城SpaResort道後」としてリニューアルオープンさせた。

 改正耐震改修促進法への対応で、現在進めている本館の建て替え工事に伴うもの。本館は来年秋を目途に、「琴の庭」として新築オープンさせる。

 別館リニューアルでは、客室や廊下など大部分について約2億円を投じて改修。地元砥部焼女性グループ「とべりて」とコラボし、各階のルームプレートに陶板を配するなど、女性に好まれる和の雰囲気に仕上げた。書籍やパソコンを備える「ライブラリラウンジ」も新設し、コーヒーとともに寛ぎの時間を演出する。

 客室フロアは各階でテーマを設け、上階の5、6階は“ラグジュアリー”。上質な家具を配し、華やかで温かみのある空間。

 また、大きな特徴として、災害時にも安心して過ごせる「フェーズフリー」の視点を取り入れ、4階の一角に、災害時用の水や食料、日常用品などを備蓄する倉庫を新設。これにより、「いつも」の心地良さと、「もしも」の安心感を提供するという。

感謝の夕べであいさつする大木正治社長

 3月20日には、リニューアル内見会と創業60周年感謝の夕べが行われ、取引業者や旅行会社、地元関係者など約160人が出席した。

 感謝の夕べ冒頭、大木社長は「160人を超える人々にお集まりいただいたことに何より感謝したい」と謝辞を述べた。そのうえで「12年間務めさせていただいた旅館組合理事長時代から絶えず道後温泉の将来のかたちを考えてきた。他館の建て替え工事など道後温泉が新しく変わろうとする息吹のなかで、我われも別館リニューアル、そして来秋の本館オープンと新しい出発となる。引き続きのご支援をお願いしたい」と述べた。

 続いて、建設会社や取引業者に感謝状が大木社長から手渡された。

 来賓の全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の多田計介会長は「大木さんは旅館の存在意義を社会に発信している。全旅連会長として私も同調して努力していくが、その支えの1人は大木さんだ」と称えた。

 

1、2月の旅行収支は3500億円の黒字 (国際収支統計・速報)

2018年4月10日(火) 配信

旅行分野の収支が好調だ。国際収支統計(速報、財務省)によると、2018年1、2月の旅行収支は3570億円。昨年同期と比べ約50%の増加で、4年連続の黒字となった。なお、爆買いが世間をにぎわした2015年同期の収支は890億円だった。爆買いの収束が叫ばれるなか、観光客による消費額は依然無視できない結果となった。

 日本政府観光局(JNTO、清野智理事長)によると、2月の東アジア(韓国・中国・台湾・香港)からの外客推計値は200万人と全体の8割を占める。近年、中国人観光客の長期滞在化が進んでおり、モノからコトへとお金を使う対象も変化しつつある。体験型への関心は欧米豪市場が顕著と言われるものの、今後は全方位に対してアピールする必要も出てくる。インバウンド2割を占める新興市場(東アジア以外)からの来訪者・消費増を狙いつつ、主要市場の需要創出にも注力したい。

 受取額についても6840億円(1、2月合計)と直近の6年間では過去最高額となった。

泊食分離は30%に 独自が6割 連携少なく(観光庁)

2018年4月10日(火) 配信

 観光庁は4月2日に、全国の温泉街宿泊施設などに対するアンケート調査の結果を発表した。近年の旅行形態の変化を受け、施設と地域の連携の実態などを調べた。調査によると、泊食分離を行っている宿泊施設の割合は32・0%。独自に実施する割合が6割ほどで、地域ぐるみの取り組みは限定的だった。

 インバウンドに「積極的に取り組んでいる」施設の場合は、泊食分離の実施率が51・9%と半数を超えた。インバウンド需要の取り込みを目指す施設は、対応が進んでいることがうかがえる。

 地域連携の観点からみると、「とくに他施設とは連携はしていないが泊食分離に取り組んでいる」が63・2%で最多となった。次に多かったのは「宿泊施設と宿泊施設外の飲食店との連携」の26・5%。

 「施設内の飲食店を一般開放するなど地域における連携」は1割程度で、泊食分離による地域連携の動きは鈍かった。

 実施したことでの効果として「人手不足が解消した」が28・2%で、「コストが削減できた」が25・1%と高かった。「顧客満足度が向上した」も21・6%あり、「一定の成果をあげている」(同庁)とみる。

 外国人旅行者の集客に対する意向も調べた。取り組んでいる宿泊施設の割合は44・1%で半数を割った。取り組む意向がある割合は14・4%だった。

 外国人を受け入れて良かった点は集客の増加による販路拡大・売上増などが挙がった。一方で、利用客のマナーの問題と、それに伴う日本人客離れなど、不安の声もあった。

 インバウンドの急増やFIT(海外個人旅行)化など、旅行市場の変化は著しい。同庁は「従来の経営ノウハウから脱却し、顧客ニーズを捉えた経営へと変わる必要も生じている」とコメントした。

共同購買と湯めぐりも調査

 共同購買を行っている割合は延べ15・1%となった。実施していないが「今後取り組みたい」は15・8%。実施した効果としては、50%以上が「コストが削減できた」と答えた。

 このほか、湯めぐりについて調査をした。湯めぐりに参加している割合は37・8%だった。

 効果として「日帰り客の利用が増えた」が28・0%で最も多かった。ただ次に多いのは「効果は無かった」で27・7%となり、取り組みの難しさも露呈した。

 回答者の属性として、平均宿泊日数は「1泊」が89・1%。旅行者1人当たりの平均宿泊単価は「1万円―1万5千円未満」が39・4%で、「1万円未満」が26・4%、「1万5千円―2万円未満」が16・6%となった。

 団体客と個人客の割合は「1対9」が29・2%、「0対10」が15・5%の順に高く、個人客の比率が高かった。

 日本人と外国人の比率は、「9対1」が41・9%、「10対0」が34・1%で、日本人の比率が大半を占めた。