宿泊販売拡大目指す、松島で50周年総会開く

根津文博会長
根津文博会長

 日本旅行協定旅館ホテル連盟(根津文博会長、2243会員)は2月16日、宮城県・松島のホテル大観荘で第50回通常総会を開いた。東北復興も兼ねた総会には全国から300人以上が参加。また、50周年という節目のため、全国の12支部連合会から次世代を担う24人の若手も特別に出席した。

 根津会長は「50年を振り返ると、さまざまなことがあったが、昨年の東日本大震災は一人ひとりの人生観も変えてしまうような大きな出来事だった。家族との絆の強まりや社会貢献への意志といったマインドの変化が、今後我われの産業に対しても変化を与えるだろう」と語った。さらに、「観光景気図は今年も西高東低が続くが何としても宿泊拡大へ、東京スカイツリー開業や東北観光博、LCC就航、デスティネーションキャンペーンなどをバネにしていきたい」と述べた。

 今年度も宿泊販売の拡大を事業の柱とし、地域での誘客事業の取り組み強化に加え、赤い風船Web商品などの販売拡大に向けた「インターネット宿泊増売キャンペーン」、新観光素材団体活用キャンペーンなどを展開する。

 さらに、中国エージェント招聘事業や、第4回日旅連塾の開催、JATA主催の「もう一泊、もう一度キャンペーン」への協力など、国内活性化事業にも積極的に取り組んでいく。

 そのほか、火災、地震、風水害の災害に対して、2日以上休業の場合1万円、半焼・半壊の場合3万円、全焼・全壊の場合5万円とする災害見舞金内規を追加した。

 なお、記念講演では、フリーアナウンサーの生島ヒロシ氏を招き、「経営者のための『さすが!と言われるスピーチ術』」をテーマに講演した。

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日旅・丸尾社長
日旅・丸尾社長

<進むべき道見えた、ビジネスモデルを転換―丸尾社長>

 日旅連の総会で、日本旅行の丸尾和明社長は「3・11以降の予約がまったく入らない状況が続き、その対応として東から西への社員の異動や6月には全社員の賃金カットも行った。秋口からようやく需要が回復し何とか乗り切れた」とし、「大変な1年だったが、我われ日本旅行がこれまでやってきたこと、そしてこれから進むべき道が見えてきた年だった」と語った。

 このようななかで、日本旅行はビジネスモデルの転換を最重要課題として取り組んだ。教育旅行、MICE、BTM、インバウンド、個人旅行のインターネット販売を中核事業にすべく、組織的、計画的に経営資源をシフトさせていった。

 国内旅行の販売額は前年比で1割程度落ち込んだが、教育(3%増)、MICE(6%増)、BTM(40%増)、インバウンドは残念ながら激減したが、インターネット販売(25%増)と大変厳しい状況の中で数字を残せた。「このことは、我われがやってきた道は間違いではなく、むしろさらに加速化、具体化、深度化していくことが必要」と強調した。

 リアル店舗については、TiS大阪をリニューアルし、コンサルティング力、コミュニケーション力、CS力を持つ人材を集めた。1日2千万円弱を売上げ、前年比35%増という結果は、「きっちりとお店づくりをしていけば伸びていくという証拠」と説明した。「今年は国内旅行の販売を拡大する再スタート、再チャレンジの年にしたい」と語った。

3年越しの1100億円達成へ、原点回帰 地元客獲得から

西野目信雄会長
西野目信雄会長

 近畿日本ツーリスト協定旅館ホテル連盟(西野目信雄会長、2698会員)は2月14日、東京都内のホテルで第54回通常総会を開いた。昨年の宿泊券販売は、東日本大震災などの影響により目標1100億円の 86%、950億円と2年連続の未達に終わった。12年度は「KNTと連携を強化して宿泊券増売をはかるとともに、KNTの方針に沿いながら地域の特性を活かした事業を展開する」を基本方針に掲げ、宿泊券目標は3年連続の1100億円 に定めた。本部会長改選では、西野目会長の3期目の続投が全会一致で了承された。

 西野目会長は「震災後、早急に正副会長会を開き、『このままであれば旅連の事業は成り立たない。3割は減るだろう』と予測した。しかし、お客様はゴールデンウイークから復調し、夏休み商戦、秋の旅行へ、徐々に動き始めた。目標未達に終わったが、宿泊券販売950億円は各地のKNTサイドが最後の最後まで粘った数字。本当に感謝を申しあげたい。3年越しとなるが、今年こそ宿泊券1100億円達成に向け一致協力していきたい」と語った。また、原点回帰を強調。「旅館ホテルの商売は地元のお客様から始まった。そこを取り込まずに県外、海外はないと自分に言い聞かせている。地域ごとに文化は違い、やり方は違うが、地域のお客様を取り込むことから、もう1回始まるべきで、旅連も一部事業はそうした形で進めて行いきたい」と語った。

 旅連事業は、「情報連絡全国ブロック会議」や「Web委員会」「インバウンド委員会」など従来の活動を継続。新たな事業計画では、各連合会から1、2人の次代を担う経営者、KNTから幹部社員をメンバーとする「未来創造委員会」を設置し、旅連の将来像、中期的な計画方針を協議する。

 そのほか、KNTと協力して宿泊アンケートを活用した評価指標を作成し、13年度から共有を始める。「旅行形態がこれだけ個人化するなかで、お客様の評価は大きなウエートを占める。KNTならではのものを立ち上げたい」(西野目会長)。

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KNT・吉川社長
KNT・吉川社長

<宿泊券の目標必達、営業力強化へ組織再編―吉川社長>

 KNT旅連の総会でKNTの吉川勝久社長は「宿泊券目標1100億円に対し、950億円という結果に終わった。震災はあったが、未達は未達」と陳謝した。3年連続で定めた宿泊券販売目標1100億円については、「発地と着地のニーズを融合させ、目標は必達する。そして将来の夢を語り合いましょう」と決意表明した。また、「2年連続の黒字決算の見込みであるが、費用削減によるところが大きく、本来の営業力を強化しなければならない。そのため事業構造改革を1月から一段進めている」と報告した。

 事業構造改革で同社は1月から東名阪(東京・名古屋・大阪)地区の旅行事業に集中する。そのほかの地区(北海道・東北・中国四国・九州)については、それぞれの地域旅行会社における地域密着営業を推進。また、商事事業についても商事専門会社を新たに設立し、営業展開する。

 同社内の組織は、5事業本部体制から団体旅行部門と個人旅行部門の2部門体制に再編。営業力強化とともに効率化も推進する。吉川社長は「団体旅行事業は、今までの関東、首都圏、中部、関西の4営業本部にECC部門、国際旅行部門を加え、法人、団体への提案型旅行や、教育旅行周辺事業の拡大、スポーツによる地域振興を切り口とした新しい需要開発を目指す。個人旅行事業は、提携販売部門を加え、KNTツーリストを含めて、商品造成と販売、リアル販売とウェブ販売の一体運営をはかっていく」と説明した。

 海外展開については、新たな拠点の設置によるネットワークの拡充をはかる。5月には台湾にKNT台湾を新設する。

訪日外客数2016年1800万人に

「コンセンサス得た」―溝畑長官

 観光庁の溝畑宏長官は2月17日の会見で、先日の第5回交通政策審議会観光分科会で審議された観光立国推進基本計画の見直し案について「コンセンサスを得られた」との感触を示した。

 審議した基本計画では2016年の数値目標として(1)国内における旅行消費額を30兆円(2)訪日外国人旅行者数を1800万人(3)国際会議の開催件数の50%以上の増加(4)日本人の海外旅行者数を2千万人(5)国内宿泊観光旅行の年間平均宿泊数を2・5泊――などが盛り込まれている。

 前回の分科会では、素案として訪日外国人旅行者数1500万人、2千万人の2案、国内宿泊観光旅行の年間平均宿泊数では2・12泊、2・42泊、3・14泊の3案が出されていた。

 溝畑長官は目標値修正について「震災の影響を加味して16年2千万人は現実的ではないと判断した」と説明。ただ、2019年に2500万人の目標は修正しないようで「『2019年に2500万人』は変えていないので、目標を下げたわけではない。2011年も1―2月の推移をみると、震災がなければ目標の1千万人を突破できたとみているので、2019年に2500万人も充分可能」と力を込めた。今後は、3月26日の第6回交通政策審議会観光分科会で改定基本計画案の了承を得て、閣議決定、国会報告を目指す。

 また、訪日外国人増加に関係する入国ビザの要件緩和について触れ、「昨年11―12月の中国人観光客数の急速な回復、増加は、7月の中国人向け沖縄マルチビザ開始や、9月の発給要件緩和の影響が大きい」と分析。「ビザ発給に関しては外務省の管轄」と前置きしながらも、「観光庁の方でも国の拡大や、マルチビザの対象地域拡大を働きかけていきたい」と話した。 

東電値上げ反対を、消費税の外税化求める

全旅連・佐藤信幸会長があいさつ
全旅連・佐藤信幸会長があいさつ

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(佐藤信幸会長)は2月20日、東京都内で2011年度第2回理事会を開き、東京電力の電気料金の値上げ反対や、消費税の外税化、NHK受信料、原子力損害賠償問題などの課題について話し合ったほか、12年度事業計画について承認した。

 佐藤会長は冒頭、「民主党観光振興議員連盟の川内博史会長の力添えもあって、『ホテル・旅館に係る固定資産評価の見直し』については15年度の評価替えからの実施が決まった」と報告。東電の損害賠償は、「不満のある県も多く、今後もしつこく訴えていく」と述べた。一方で、東電が発表した17%の電気料金の値上げについて、「東電の値上げを認めると、各電力会社も追随して値上げする可能性が高い。各県の理事長とともに反対を表明していきたい」と語った。

 消費税は現状の総額表示によって、例えば「宿泊料金1万円+外税、入湯税」が、どうしても「込み込み」の内税になってしまうことを強調し、「消費税が増税されるならば、外税として表示するように主張していかなくてはならない。総額表示では、我われ旅館業のように弱いところが全部負担せざるを得ない。外税化を訴えていく」と述べた。

 そのほか、農家や町家などへの民泊の規制緩和の動きについて、全旅連は反対していくことを確認した。

 NHKの受信料問題は、各都道府県にNHKから契約参加率によって受信料を値下げするという話がきている状況を確認。今後も観議連とも話し合いながら最善策を検討していく考えだ。

 12年度の通常総会は6月13日、岡山県倉敷市の鷲羽ハイランドホテルで開き、全国大会は翌14日に岡山市のおかやまコンベンションセンターで開催する。

 なお、13年度全国大会は関東甲信越ブロックの山梨県の開催を予定している。

No.303 地方分権、地域主権 - 元気で個性溢れる地域へ

地方分権、地域主権
元気で個性溢れる地域へ

 現在の中央集権的な日本の行政システムが、時代に合わなくなっているのに変えられない――というジレンマを、多くの国民が感じているのではないか。過疎化が進み、疲弊する地方の現状を見れば、「個性あふれる地域活性化」とは逆走しているかのような印象を抱く。若き政界のリーダー・小川淳也氏は民主党の衆議院議員で、旧自治省出身。「元気で個性溢れる地域」には、地方分権、地域主権の必要性を訴え続けている。小川氏は「観光業が重要な日本経済の基軸」と語る。

【増田 剛】

<観光業は国内雇用に貢献、地域ブロックで競う環境を>

 ――日本の観光産業の現状と今後について。

 日本の人口が減少していくことに対して、私はものすごく強い問題意識を持っています。このままの状態で推移すると、日本の人口は2050年ごろに1億人を割って、100年後には明治時代と同水準の3千万―4千万人になる可能性があります。

 そして、人口が減るだけでなく、人口構成も若い世代が多かった時代から高年齢層が増えるという逆ピラミッド型へと変化している激変化の最中にあります。

衆議院議員 小川 淳也氏

 このような状況にあって、観光業は、今後の日本の国家経済を支える最も重要な基軸の一つであると考えています。

 

 

※ 詳細は本紙1453号または日経テレコン21でお読みいただけます。

わざわざ店に行く意味 ― 働く姿をもっと見せて(3/1付)

 人が働く姿というのは、見ていると楽しいものだ。いつまで見ていても飽きない。このように書くと、ものすごく閑な人のように思われるかもしれない。

 田舎の町で生まれたこともあるが、まだ子供のころ、駅の改札口でベテランの駅員さんが次々と差し出す乗客の切符に鋏を入れる姿は、食い入るように見ていた。足でリズムを取りながら、カチカチと待ち時間も鋏を鳴らす手だれた仕草は、子供の目にも味があるように映ったのだろう。銀行や病院での待ち時間は、雑誌に目を落とすよりも、窓口で接客している銀行員や看護師さんなどの表情や働きぶりを眺めている。そうすると、あまり退屈を感じない。公園でぼんやりしているときは、数十人の園児を引率している幼稚園の先生などを眺めるのはすごく楽しい。泣いている子を慰めたり、いじめた子に言い聞かせたり、大変そうだけど、見ていて飽きることはない。

 この前、休日に大型スーパーのレジの列に並んでいたら、向かいの小さなドーナツショップで、店員の若い女の子が楽しそうに接客していた。3人ほど若い店員がいたのだが、彼女だけが本当に楽しそうに接客しているのだ。その店のドーナツを食べていないから、味が美味しいのか、どうかはわからないが、ひっきりなしにお客が吸い寄せられていた。ドーナツを食べる幸せだけでなく、彼女と接することで幸せな気分になれそうな空気を纏っているのが印象的だった。コーヒーショップでも、居酒屋でも、働いている人に自然と目が行く。そして楽しそうに働いている人のいる場所に、多くの人が集まる気がする。

 コーヒーを飲む場合も、飲み屋でビールを呑む場合も、どうして人はわざわざ店に行くのだろう。自動販売機やスーパーで買って、落ち着く自分の家で飲んだ方がずっと安上がりであるのに、割高であっても、雑然としたお店に吸い込まれていく。それは、きっと「働いている姿が見たいからだ」ということが、ようやくわかってきた。

 お客のため、そして自分のために働いている姿を眺めながら、酒を呑み、ツマミを食べるから美味しいのだ。座った席から厨房が見えずに、出来上がった定食がヒョイと出て来てもあまり感動がないのは、そのせいだ。世の中、もっと、もっとお客さんに働く姿を見せたほうがいい。

(編集長・増田 剛)

ハワイアンズ全面再開、フラガール本来の舞台へ

たくさんの笑顔であふれた「ウォーターパーク」
たくさんの笑顔であふれた「ウォーターパーク」

 昨年10月から部分営業していた福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズは2月8日、メイン施設の屋内プール「ウォーターパーク」が復旧し、約11カ月ぶりに全館で営業を再開した。震災前から建設を進めていた120室、500人収容の新ホテル「モノリス・タワー」も同日開業した。

 午前10時の開場とともに、グランドオープンを待ち望んだファンが一斉に入場し、斎藤一彦社長やフラガールをはじめ社員総出で出迎えた。地元小学校の児童約1800人が招待を受け、早速プールに歓声があふれた。

 舞台開きでは、大河原薫福島県観光交流局長、渡辺敬夫いわき市長らを迎え、児童の代表もステージに登壇し、来場者とともに「アローハ」のかけ声でテープをカット。新たなスタートを祝った。続いて、フラガールらメンバー全員による新ステージ初のポリネシアンショーを披露。昨年10月以降、仮設ステージでパフォーマンスしていたが本来の舞台「ビーチシアター」に戻り、ファイヤーナイフダンスも、ようやく復活した。

復興への初舞台をメンバー全員で披露
復興への初舞台をメンバー全員で披露

 「ウォーターパーク」は同館の前身、常磐ハワイアンセンター開業時(1966年)から施設のシンボルとなっている全天候型の大ドーム。メインの温泉大プールや流れるプール、ウォータースライダーをはじめ、フラガールが毎日ショーを行うビーチシアターを備えている。復旧に際し、メインプールの水面高をフロア面と同じ高さにし、プールの利便性を高めたほか、ビーチシアターは観やすさを向上させるため、広さを約1・5倍に拡張した。

 施設を運営する常磐興産は、3年後の2014年に震災前の年間来館者(日帰り145万人、宿泊40万)に戻す計画を掲げる。斎藤社長は「子供たちの笑顔が風評被害払しょくの一番の力になると思う。一日も早く福島に人の流れをつくりたい」と復興に向けて邁進する決意を語った。

九州新幹線関連ワード増加、グーグル 2011年の旅行業界検索キーワード

 グーグルはこのほど、2011年の旅行業界検索キーワード動向を発表した。旅行情報をオンラインで検索する率が年々高まるなか、旅行業界関連の検索キーワード(旅行系ワード)が、どのように検索されたかを通じて、11年の旅行業界を振り返るという試み。

 これによると、前年(10年)と比較して検索ボリュームが急上昇したワードは、「福岡観光スポット」「九州新幹線」「小笠原諸島ツアー」「平泉観光」「ボランティアツアー」「ANA787」などで、九州新幹線開通による九州各地の観光情報や、ユネスコ世界遺産登録による小笠原や平泉への関心の高まり、さらには震災後のツアーを利用したボランティア参加など、社会的な動向と観光が強く結びついていることがわかる。

 旅行形態では、「女 一人旅」が前年比74%増、「妊婦旅行」が同34%増など、女性旅行者の増加が伺える。また、「団体旅行」が同8%減に対し、「子連れ旅行」は同98%増、「家族旅行」も同38%増となった。さらに「カップル旅行」が前年に比べ約3倍、「新婚旅行」も同20%程度増加していることから、これらデータをもとに今後の旅行動向を推測することも可能だ。

 方面別では、海外は韓国・台湾などアジア圏や、ハワイ・グアムなどが多く検索され、国内では西日本や九州、沖縄などが多かったという。 

11年度合格者は894人、通訳案内士試験

 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)はこのほど、2011年度通訳案内士試験の最終合格者を発表。総受験者数5485人のうち合格者は894人、合格率は16・3%となった。また、合格者のうち、外国籍の人は120人(構成比13・4%)。

 言語別の内訳は、英語が467人(合格率14・6%)、中国語が163人(同14・8%)、韓国語が100人(同18・0%)、フランス語が61人(同27・7%)、スペイン語が43人(同30・3%)、イタリア語が20人(同32・8%)、ドイツ語が18人(同25・7%)、ロシア語が15人(同18・3%)、ポルトガル語が5人(同11・9%)、タイ語が2人(同15・4%)。

 年齢別にみると、40代が255人(構成比28・5%)と最も多く、30代が247人(同27・6%)、50代が185人(同20・7%)、20代が114人(同12・8%)、60代が80人(同8・9%)、70代が10人(同1・1%)、10代が3人(同0・3%)と続く。

 なお、通訳案内士試験は通訳案内士法に基づき、JNTOが国の試験事務代行機関として毎年1回実施。試験は外国語(10言語)および日本地理、日本歴史、一般常識に関する筆記試験(1次試験)と、外国語による口述試験(2次試験)により行われる。 

土地問題解決の手段にも、「星のや 竹富島」6月1日開業

左から星野社長、上勢頭公民館長、星のや竹富島の澤田裕一支配人
左から星野社長、上勢頭公民館長、
星のや竹富島の澤田裕一支配人

 星野リゾート(星野佳路社長)は6月1日、沖縄県・八重山諸島の竹富島に「星のや 竹富島」を開業する。1月19日、都内で行われたプレス説明会で星野社長は、開業に至るまでの経緯を語った。星のや竹富島予定地(7ヘクタール)を含む、島全体の6分の1に相当する83ヘクタールの土地は、外国資本などが入り、所有者が変転する問題を抱えている。1970年、沖縄返還の動きに合わせ、本土企業が買収。一旦、島内企業の南西観光が買い戻したが、現在は抵当権が外資系ファンドに移転し、転売の可能性が出てきていた。星のや竹富島の計画は、南西観光から星野リゾートに土地問題について相談があったことから始まる。当初は星野リゾート進出に対する島民の反発もあったが、8回にわたる現地説明会を実施するなどして、理解を得ていった。プレス説明会に出席した島の自治組織「公民館」の上勢頭保館長も、途中から反対派の住民を説得する側に回ったという。星野社長は「この事業で土地を買い戻し、借金を返済し終わると、島に土地のコントロール権を渡していくスキームを提案した。収益をあげ、借金を返していくことが大事。どこまで観光が地域に貢献できるか。大きな視点で頑張りたい」と語った。

建物は島の風景に溶け込むように配慮した
建物は島の風景に溶け込むように配慮した

 星のや竹富島のテーマは「離島の集落」。重要伝統的建造物保存地区に選定されている竹富島の風景に溶け込むように配慮した。庭を有する平屋建ての48棟からなり、客室はグックと呼ばれる石垣に囲まれ、赤瓦の屋根には一つひとつ表情の異なるシーサーが鎮座する。すべての客室は南(南西)向きに建ち、南側のリビング(風の間)は全面開放し、庇で強い日差しを遮りながら、心地よい風や、外の気配を感じられる空間にした。敷地の中央には、大きくくぼんだ楕円のプールを設置。井戸を囲むように暮らしてきた島の生活文化にヒントを得た。

 料理は石垣島の漁港に揚がる新鮮な魚介類や、八重山諸島特有の食材を用いた「琉球ヌーヴェル」を提供する。島の西桟橋からの朝陽、夕陽の眺めは有名で、この案内は毎日行うほか、水牛車での朝の散歩、島民と歩く島巡りなど、さまざまな島の過ごし方を提案する。泊食分離方式で、宿泊料金は2万7千円―5万4千円(2人利用時1人料金)。アクセスは石垣島離島ターミナルから高速フェリーで10分。