LCC8社が同盟、乗り継ぎ予約を一括提案(バリューアライアンス)

設立発表会のようす
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 アジア太平洋地域のLCC8社は5月16日、世界初のLCCの多国籍同盟「バリューアライアンス」を設立した。世界の3分の1のエリアを網羅する加盟航空会社の路線ネットワークを生かし、最適な乗り継ぎルートや運賃などを一括提案していく。

 加盟会社はバニラエアとセブパシフィック航空、チェジュ航空、ノックエア、ノックスクート、スクート、タイガーエア・シンガポール、タイガーエア・オーストラリアの8社。8社で東南アジアと北東アジア、オーストラリア地域の160以上の就航地を有し、15年の利用者は4600万人以上という。

 バリューアライアンスはエア・ブラック・ボックス社(ABB、英国)が開発したシステムを導入。これまでは乗り継ぎで複数の航空券を購入したい場合、各社それぞれのサイトで航空券の予約、決済が必要だったが、今後はいずれかの加盟会社のサイトから出発地と最終目的地を指定するだけで、最適な便や運賃を選択し、ワンストップで予約、決済が可能になる。同サービスは数カ月以内に提供を開始する予定。

 今回の同盟についてバニラエアの五島勝也社長は、「バリューアライアンスが導入する技術で、当社が運航していないルートでもお客様は一度の予約・決済で乗り継ぎ手配を完了できるようになり、利便性が大きく向上する」と期待している。

風評被害を払拭へ、東京で元気な九州PR

九州の19自治体が「今こそ九州へ!」と観光プロモーション実施
九州の19自治体が「今こそ九州へ!」と観光プロモーション実施

 福岡県福岡市をはじめとした九州地方の19自治体は5月20日に東京都内で、「WITH THE KYUSHUプロジェクト 今こそ九州観光!」のプロモーションを行った。熊本地震の直接被害がない地域でも、観光客や宿泊客のキャンセルが相次いでいることから、元気な九州地方各地の現状を紹介すると共に、風評被害を払拭し、来訪を呼びかけた。

 各自治体を代表し、高島宗一郎福岡市長は、「自粛をすることが復興につながることは決してない。観光は命のように大事な生活のすべてなので、支援の1つとして九州に遊びに来てほしい」と述べた。

 来賓として登壇した観光庁の加藤庸之観光地域振興部長は、「観光は経済的な影響が大きいが、それに加えて人の交流も大切。国内外から九州へ行くことで、地元の人が笑顔を取り戻し、エールを送ることにもなる」と話し、「地元の人と協力し連携して、1日でも早く九州の復興に役立ちたい」と強調した。

 会場には九州に縁のあるタレントを呼び、終始和やかな雰囲気で行われ、笑い声が飛び交っていた。また、それぞれの自治体の代表らが特産品やイベント、観光名所などを紹介し、元気な姿を見せていた。

「民泊」解禁へ ― 旅館・ホテルは違いを際立たせるべき

 訪日外国人旅行者が急増し、東京や大阪、京都など一部大都市部でホテルや旅館などが不足していることを受けて、政府は住宅地でも“一定の条件”を満たせば、「民泊」を解禁する方針を固めた。規制改革実施計画に盛り込み、今月末に閣議決定されたあと「民泊新法」として、今秋以降に国会に提出する予定だ。国家戦略特区として規制緩和された大阪府や東京都大田区は1回の利用で7日以上の滞在が必要であるが、あまりに利用者が少ないため、滞在日数を大幅に減らすなど、「さらなる緩和へ」との動きも見られる。

 違法民泊による住民とのトラブルも各地で報告されており、1日も早いルールづくりが求められるなか、規制改革による“シェアリングエコノミー”を強力に推し進めたい政府と、空き部屋を有効活用し、利益を得たい不動産業界、旅館業法などの縛りがあるホテル・旅館が求める“イコールフッティング”の立場が錯綜し、もつれた糸のような状態になっていたが、ようやく新たな法律を整備する道筋が描かれた。これまでもウイークリーマンションやインターネットカフェなど新たなビジネスモデルが登場したときに、旅館業法に抵触する部分で激しい議論がなされてきたが、その都度新たな解決策が生み出されてきた。

 大手不動産会社で「ライオンズマンション」などを展開する大京は、民泊の事業化に積極的に乗り出す構えだ。一方、新規分譲マンション販売やすでに販売済みのマンションでも住民に配慮して「民泊に使用しない」と規定しているところもあるという。今までは旅行者は、旅館やホテルなど宿泊施設に滞在していたが、これからは普通のマンションにも外国人旅行者が滞在する社会となる。多くの地域は、商業エリアや文教エリア、工場エリアなどを棲み分け、住宅エリアは静寂や治安面での安全性などを第一に求める。千葉県の住宅地で保育園の建設を反対する動きによって開園を断念したという報道は記憶に新しいが、多くの住民は見知らぬ外国人観光客が滞在することに不安を感じ、ナーバスになる面があることは確かだ。日本に限らず、世界中で地元住民と旅行者との間で軋轢は生じている。

 東京・谷中で外国人旅行者を多く受け入れる澤の屋旅館は、周辺の地図を作ったり、地域全体で外国人旅行者を受け入れる環境づくりに腐心されている。このような努力や配慮を大手不動産会社が考えているか、どうも不安だ。また、価格設定はどのようにされるのだろうか。おそらく周辺のビジネスホテルなどと比較しても格安感を出すことが予想される。自社の利益最優先で、周辺住民や社会の不安を増大させるようでは、巡り巡ってマイナス面は大きくなる。

 民泊解禁によって、ホテルや旅館へどの程度影響があるのかは、現状でははかれない。しかし、民泊サービスと、ホテル・旅館はまったく異なるサービスである。民泊サービスとの違いを際立たせることが、ホテル・旅館のおもてなしの奥深さを認識してもらえるチャンスと捉えた方がいいだろう。現在、外国人旅行者の増加による稼働率上昇で、急激に宿泊料金をアップするビジネスホテルも見られるが、多くのビジネスマンも動静を見守っている。地道な努力で少しずつ支持を得ていくサービスが最終的には一番強いのだと思う。

(編集長・増田 剛)

【特集No.431】ホテルエクレール博多 女性に優しいホテルづくり

2016年5月20日(金) 配信

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その理由を探っていく人気シリーズ「いい旅館にしよう!Ⅱ」の第3回は、福岡県福岡市のホテルエクレール博多支配人の永安重喜氏が登場。「女性に優しいホテルづくり」をコンセプトに、朝食のルームサービスなど、お客様の声を基に女性スタッフからの積極的な提案を取り入れ、高い評価を受けている。

【増田 剛】

 永安:会社設立は1999年ですが、ホテルが開業したのは2000年11月です。その後、10年8月にアサヒ緑健のグループ会社となりました。

 内藤:どのような経緯でホテルがオープンしたのですか。

 永安:前のオーナーの実家が福岡市内で旅館を経営されていましたが、自分で独立して宿泊業をやりたいと考え、現在のエクレールが建つ地に新たにホテルを建てました。
 そのときのオーナーは私の実家が営む食堂によく来ていて、私が小さいころからの知り合いでした。「一緒にやらないか」とお話をいただいたのが26歳のときです。それから2年後の28歳のときにホテルが開業しました。
 このエリアは98―99年に再開発が始まり、向かいのホテルオークラ福岡は当館よりも1年早く開業しました。
 私は開業時から支配人でした。「ぶっつけ本番」で、まったくホテルでの経験はなかったのですが、実家が食堂という環境のなかで、親のお客様やスタッフに対する接し方を見ながら育ってきたので、ホテルの仕事をするからといって何か特別に意識したわけでもなく、「きちんとあいさつしよう」「お礼を言おう」「謝るべきところは謝ろう」など当たり前の、基本的なところからスタートしました。それは今でも変わりません。

 内藤:当時は宿泊特化型のビジネスホテルが一気に出始めたころですね。

 永安:そもそも広い土地ではなかったので、大きなレストランを作れるわけでもなく、できるだけ客室を多くするシンプルなスタイルしか選択肢はなかったと思います。
 オーナーはデザインにもこだわりを持っており、他にはないお洒落なデザインにしたいという思いが強く、何度も設計図を描き直していました。
 開業直後は、ホテル経験者はほとんどいなかったので、売上のお金が合わないことは日常茶飯事で、3年くらい経ってようやくかたちができ始めてきました。  

 永安:松延さんが入社したときには、加湿器の貸し出しは有料で、200円くらい取っていました。入社してすぐ違和感があったらしく、「お金取るんですか?」と聞いてきました。それからすぐに無料にしました。それでとくに女性客ですがニーズが増え、今ではレディースフロアには常備して貸出用の台数も増やしました。

 内藤:今多くの接客の現場で議論されているのが、お客の名前を「○○様」と呼ぶか、「○○さん」で呼ぶか。大部分のスタッフは「さん」で呼びたいのですが、一方で会社は「様」で呼ぶように指導し、現場のスタッフが悩むケースが多くみられます。私は「さん」で呼んだ方がいいと言っています。なぜかというと、お客の方がお互いの距離を縮めようとしているのに「○○様」と呼ばれると、壁を感じるようになります。

 永安:確かに、自分が客の立場で考えると、「永安様」と呼ばれてもピンとこない印象があります。

 内藤:飲食店で働くスタッフも「様」から、心の距離を縮めるために「さん」に切り替える努力をしています。

 永安:当社でもお客様との会話を楽しんでいるスタッフをしばしば目にします。その場合にはやはり、「様」ではなく、「さん」だろうと思うことがあります。

 内藤:松延さんは自分がお客の立場として見た場合、接客で気をつけていることはありますか。 

 松延:作業をしながら目線を合わせないで「いらっしゃいませ」と言われるのは嫌ですね。誰に向かって言っているのだろうと感じてしまいます。
 私は必ずお客様の目を見てごあいさつをしています。入口のドアが開くと音で分かるので、お客様が通り過ぎるまではお客様の方を見てごあいさつをしています。

 永安:どのように接し、あいさつをするかといったことは社内でしばしば話し合っています。あいさつと一緒に、笑顔に関しても強く意識していると思います。

 梶井:「エクレールではこのような気持ちでお客様に接してください」というように教えています。

 内藤:成文化されていないけど、習慣的なルールとして浸透しているのですね。
 私が初めてエクレールを訪れたときの印象は「女性はこのホテルが好きだろうな」と感じました。一つはエレベーターホールに行くにはフロントの前を通らなければならないことです。スタッフが笑顔で見ているという安心感があり、玄関で笑顔で迎えるということが、一方で防犯につながります。

 ――シャンプーなどアメニティにもこだわっていますね。

 梶井:現オーナーに変わったときに、アメニティをすべて見直しました。シャンプーや入浴剤なども女性スタッフが家に持って帰り実際に使ってみて、質と香りなどで選びました。シェーバーなどは男性スタッフが使用して決めました。

 永安:以前は、アメニティはリンスインシャンプー、ボディソープ、歯ブラシ、シェーバー、ヘアブラシなど最低限度必要なものを置いていました。消耗品なので、そこにお金をかけるという価値観はなかったですが、今はものすごく種類が増えました。

 ――アメニティが多様化されると選択肢が増え、お客としてはうれしいですね。

 内藤:具体的に、何を増やしたのですか。

 梶井:コスメセット、化粧水、乳液、洗顔フォーム、クレンジング、ヘアピン、ボディシャンプーは全室に備えています。女性フロアには入浴剤も加えました。ほとんどのお客様は使われています。

 内藤:シャンプーや入浴剤などは個人の好みが分かれます。

 梶井:そうですね。あらゆるニーズに対応するために、最近は「シャンプーバイキングをやろう」という話も出ていました。

 内藤:それはなぜストップしたのですか。

 梶井:最初はレディースフロアだけにという話がありましたが、「管理は誰がするのか」「お客様が元の位置に返却されなかったときはどうするの?」などの議論もあり、いったん中断しています。「やってみたらどうか」という部分と、「それはやらなくてもいいんじゃないか」という意見に分かれています。

 内藤:サービスを選択できるようにする施設が増えています。シャンプーバイキングを始める際には不安もあると思いますが、マイナス面を考えるよりも、「選びたい」というお客の心理を考えて、一度やってみたらいいのではないかと思います。

 梶井:ルームサービスを始めるときも、「誰が持っていくのか」「件数が多かったら対応できるのか」など、色々考えていたのですが、実際にやってみたらほとんど大きな問題はなかったということもあります。

 内藤:ホテルでは、スタッフがお客の客室に入り、会話を交わす機会はほとんどありません。ルームサービスはその機会をお客の方からわざわざ提供してくれるのに、なぜ「忙しくなる」という理由で、せっかくの接客の機会を拒否するのか。定食屋さんでも満席だったら「すみません」とお客を断ります。それでいいのではないかと思います。「ちょっと混んでいるので30分かかります」と誠意を込めて答えれば、きっとお客は理解してくれると思います。

 永安:断ったり、待たせたりすることに妙に憶病になっているところはあると思います。

 内藤:現状でも実際は待たせることもあるはずです。だけど、新しいサービスで待たせることがダメだと言うのは、今の問題から目をそらして新しいサービスを「やらない」理由にも聞こえます。

□   □

 内藤:エクレールでとくに感心するのは、部屋にあるお茶などの種類の多さですね。ミネラルウォーターも置いてあります。

 梶井:ミネラルウォーターを客室に置くときも、キャップに封をしたビニールをつけたままにするか、開けやすいようにビニールを剥がしておくかも迷いました。

 内藤:今はどうしているのですか。

 梶井:ビニールを剥がしています。飲み残しや、なかには開けただけで飲まれていないものもあり、清掃の担当者もしっかりそこを確認をしています。

 永安:エクレールでは清掃と、スタッフのルームチェックには、相当に時間をかけて力を入れています。

 内藤:全客室を回られるのですか。

 梶井:連泊のお客様以外は、すべてスタッフが確認します。
 前のオーナーの時は、客室をチェックする本当の意味がよく分からず、単に髪の毛が落ちていないかといった視点でチェックしていたので、1部屋に1分もかからなかったと思います。でもお客様が客室に入って残念に思われる顔を見たくないという気持ちから、納得いくまでチェックするので、1部屋にかける時間はすごく長いですね。全96室をスタッフが分担してチェックするのですが、みんな2時間は帰ってきません。

 内藤:チェックの仕方は決まっているのですか。

 梶井:毎日チェックしているので、チェックシートはスタッフの頭の中にあります。

 内藤:客室のチェックでは具体的にどういう点を注意されるのですか。

 松延:梶井マネージャーに教わってすごく印象に残っているのが、ハンガーのピンの位置がそろっているかどうかという点ですね。

 内藤:すごく細かいですね。

 松延:順番に客室の入口から見ていくと、スリッパは汚れていないか。浴室では髪の毛が残っていないかをまず確認し、シャンプーの柄の向きや、水周りの銀色のところに水垢が残っていないか。タオルで拭くと水垢が落ちることもあるので、細かくチェックします。浴槽も上から覗くだけでなく、お客様が座った視点から裏側までチェックします。アメニティがそろっているかも確認します。コンセントの上に埃がたまっていないか、冷蔵庫の中や、ティッシュは三角に折っているか、ドライヤーがきちんとまとまっているか、机の上が整理されているかもしっかりと確認します。引き出しの奥に何も残っていないか。たまにアンケート用紙やチラシなどが奥にくしゃくしゃに入っていることもあります。人によって確認の手順に違いがあると思いますが、チェックするポイントはすべて決まっています。

 梶井:シャワーカーテンも右側に寄せているのですが、実際にお客様が入るときに開き、見落としてしまった髪の毛に気づかれることもあるので、それを必ず開いた状態で確認しています。

 内藤:徹底されていますね。ベッドメーキングのシーツと掛け布団のセットはどのようにされていますか。

 梶井:今は掛け布団をマットの中に挟み込むように入れています。でも、これではお客様が布団の中に入ると、足で空間を広げていかなければならないので、見た目は綺麗なのですが、お客様の使い勝手はどうかなと悩んでいます。女性のお客様で爪が折れてしまった方もいらっしゃいました。

 内藤:私は宿泊したホテルや旅館のベッドメーキングは、必ず記録していますが、意外と違うのです。皆さんはこのベッドメーキングの方法を悩まれているのですが、多くの施設では「ウチはどうだっけ?」という経営者がほとんどで、そのくらい無関心です。
 掛け布団を中に入れてしまうと、足が入らなくてもがくのでベッドメーキングが崩れます。最近は掛け布団をただ載せているだけというホテルや、足の先の部分はマットに入れていないところもあります。すべて中に入れると、清掃部門も大変になります。
 細かい部分ですが、かたちから教えると、お客にとって利便性はどうなのかという視点が抜け落ちてしまうことが多々あります。

 ――お客から気づかされる部分などはありますか。

 梶井:以前、素泊まりで予約をされていたお客様に対して、チェックインの際に朝食が別料金で用意してあるので、いつものように「ご朝食はいかがされますか。お付けすることができますよ」とお伺いすると、そのお客様は「そもそも朝食を取る気がないので素泊まりプランを選んだのに、『朝食を付けますか』と聞くマニュアル化した接客が嫌だ」とおっしゃられました。これはすごく勉強になりました。

 内藤:今はどうされているのですか。

 梶井:朝食を付けられていないお客様には、「ご朝食が必要であればおっしゃってください。ご準備があります」という言い方に変えました。

 内藤:その表現はすごくいいですね。

 梶井:「朝食があることを知らなかった」とおっしゃるお客様もいらっしゃるので、同じように言ってもいいものかと考えます。

 内藤:予約のときには朝食が不要でも、事情が変わり、朝食を取りたいと思うお客もいるかもしれないし、難しいですね。
 朝食ルームサービスの利用は多いですか。

 梶井:比較的女性の方が多く、ルームサービス付きプランも出しています。

 ――市内でも朝食のルームサービスを取り入れるホテルもあるのではないでしょうか。

 永安:客室の内装などは当館と同じように、一部屋も同じものがないように壁紙も変えているホテルもあります。ただ、朝食ルームサービスは他ではあまりやられていないのではないかと思います。

 内藤:壁紙はモノですが、サービスは人の働きなので真似するのは難しい。だからこのサービスをお客は支持していくのです。

 ――アメニティを充実されていったことで、客室の単価も上がっていったのですか。

 永安:5年で700円くらい上がりました。今も上がっています。

 内藤:単価が上がっている要因はなんですか。

 永安:極端に週末を上げているわけではないのですが、女性客が増えていくなかで、安いプランを求められている感覚はなくて、よりサービスの充実を求められているような気がします。格安プランから売れるのではなく、ちょっとした特別なサービスが付いているプランの方が人気が高い傾向にあります。

 内藤:サービスの内容と品質を重視していたら、それを求めるお客が増えていったということですね。価格は最も大きなニーズで、同じものだったらお客は価格の安い方を選びます。同じでなければ、価格以外の部分が重要視されます。
 稼働率も上がっているのですね。

 永安:2011、12年は60%前後でしたが、13年の夏ごろから80%まで上がってきました。

 内藤:外的要因で一度は来てくれますが、品質が良くなければ続きません。

 永安:「期待していなかったけど、来たら意外と良かった」という感じではないでしょうか。評価されている部分も施設などよりも、スタッフがお客様のことを考え、少しずつ変えていったサービスの部分ではないかと受け止めています。

 内藤:平均レベルを上げることが大事で、特徴を出し過ぎるとお客に飽きられてしまいます。一部分で突き抜けるとお客の好き嫌いがでてきます。幅広いお客が利用するビジネスホテルなどは、「普通に良い」というのがいいのではないかと考えます。「意外にいいよね」というのが一番の褒め言葉なのかもしれません。今後の取り組むべき課題はどの部分ですか。

 永安:ここにいる2人のスタッフはお客様目線で向き合ってくれていますが、「もっと笑顔で接客してくれるといいのに」というお客様からのアンケートもあります。ものすごく褒められているときと、ものすごく怒られるときもあるのが現実です。接客レベルの個人差もあるので、この2人がいないときのサービスレベルを、全体的にもっと上げていくことが今後の課題です。
 対策としては、朝礼や終礼に時間をかけ、お客様の情報に関して丁寧過ぎるほどの引き継ぎをやっています。そのときに、アンケートでこういった声があったと話し合っています。クレドも1日2回、皆で唱和しています。

 内藤:このような日々の地道な努力が、エクレールの素晴らしいところだと思います。

※詳細は本紙1628号または4月30日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

本紙関西支社 移転のお知らせ

 旅行新聞新社は5月23日に、関西支社(大阪市浪速区)の事務所を移転します。なお、電話番号、ファックス番号の変更はありません。

 新住所は、〒556―0011 大阪府大阪市浪速区難波中1丁目14番14号 エミューイモトビル4階。

 電話番号は06(6647)5489、FAX06(6647)7626です。引き続き、よろしくお願いいたします。

何を“一定の要件”に、民泊の制度設計案提示、民泊のあり方検討会9回目

第9回検討会のようす
第9回検討会のようす

 合理性のある「一定の要件」の設定を――。厚生労働省と観光庁は4月22日に東京都内で9回目の「民泊サービス」のあり方に関する検討会を開いた。今回の検討会では、事務局側から「民泊サービスの制度設計について(案)」が提示され、既存の旅館やホテルとの線引きや、競争条件の確保のため「一定の要件」を設定すると報告した。営業日数や宿泊人数など、健全な民泊を行うために、何を〝一定の要件〟として盛り込むかが、今後の民泊を左右する。
【松本 彩】

 3月15日に行われた中間整理を基に事務局が作成した「民泊サービスの制度設計について(案)」では、新たな民泊サービスを「既存の住宅を活用した宿泊サービスの提供」と位置付け、そのうえで家主居住型だけではなく、家主不在型物件も空き家の有効活用として、民泊物件の対象に組み込んではどうかという提案がなされた。

 家主不在型の民泊サービスにおいては、騒音やゴミの出し方などで、近隣住民との間でトラブルに発展することが懸念されており、また家主不在のため住民からの苦情の申し入れ先が不明確といった問題点がある。

 これら問題点について今回の制度設計案では、家主不在の民泊サービスについては登録を受けた管理者に〝やってもらうべき業務〟として(1)利用者名簿の作成・備付け(2)利用者に対する注意事項の説明(3)苦情の受付(4)当該住戸についての法令・契約違反の不存在の確認――などの業務を担当させることで、適正な管理や安全面・衛生面を確保するとした。一方、仲介業者に対しては「一定の要件」に違反したり、家主がいないにも関わらず、ホームステイ型と偽装するような不適切な民泊サービスについて、広告削除命令を可能とするとともに、不適切なサービスであることを知りながら広告掲載している場合、さらに業務停止命令などの処分を可能とすることを検討していくとした。

 事務局からの提案に対し、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の北原茂樹会長は、民泊サービスに既存の住宅を活用することについて「既存の住宅を活用するのが大前提。民泊をやるつもりで新たにマンションを建てるということになると、まったく話が違う。あくまでも既存の住宅でなければならない」と意見した。

 さらに、既存の旅館・ホテルと異なる扱いをすることに対し、「一定の要件」を設けることについて、前回までの検討会で、営業日数(年間営業日数30日以内)や、宿泊人数(1日当たりの宿泊人数4人以内)についての要求や、「複数物件を認めるべきではない」という意見が出ていることについては「複数物件についてはまだまだ検討の余地がある。複数物件を1人の人が貸し出すとなるとそれは、投資物件になるので、一定の要件の規制のなかに盛り込んでほしい」と訴えた。

16年春の叙勲・褒章、中村氏、野澤氏ら受章

5月11日に行われた国交省勲章伝達式
5月11日に行われた国交省勲章伝達式

 政府は4月29日付で2016年度春の叙勲および褒章受章者を発表した。本紙関連では、旭日双光章に元全旅連常務理事の中村嘉宏氏、藍綬褒章に全旅連副会長の野澤幸司氏ら4人が受章した。

 国土交通省の叙勲伝達式は、5月11日にザ・プリンスパークタワー東京で行われた。また褒章伝達式は、17日に同省内で行われた。伝達式で石井啓一国土交通大臣は熊本の被災者への哀悼の意を表明し、続いて受章者に対しこれまでの活躍への感謝と今後の活躍を期待するとあいさつした。

 本紙関連の叙勲、受章者は次の各氏。

 【勲章】旭日双光章 中村嘉宏(南部屋海扇閣元顧問)元青森県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長、元全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会常務理事 生活衛生功労
 【褒章】藍綬褒章 野澤幸司(ホテル小柳会長)全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会副会長、新潟県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長 生活衛生功労▽黄綬褒章 中山ヤス子(中山荘会長・女将)業務精励(旅館業務)▽濱田章男(龍名館会長)日本旅館協会関東支部連合会理事 業務精励(旅館業)

20モデルルート策定、訪日客の周遊手助け(観光庁)

 観光庁はこのほど、昨年国土交通大臣認定を行った(1)アジアの宝悠久の自然美への道ひがし北・海・道(2)日本の奥の院・東北探訪ルート(3)せとうち・海の道(4)スピリチュアルな島~四国遍路~(5)昇龍道(6)美の伝説(7)温泉アイランド九州広域観光周遊ルート――の全国7つの広域観光周遊ルートにおいて、訪日外国人旅行者の各観光地での周遊を手助けできるよう、具体的な20のモデルコースを策定した。

 スピリチュアルな島~四国遍路~のモデルルート「四国スピリチュアル・コース」では、“1200年の遍路文化と古き良き日本の原風景・食・体験をゆったりと堪能するスピリチュアルな島の旅”をコンセプトに、個人旅行者向けに四国内の全鉄道(6社)が利用できるALL SHIKOKU Rail Passやタクシー・レンタカーで周遊できるコースを設定。欧州を最重点市場とし、香川県の小豆島八十八カ所霊場めぐりや、徳島県での藍染体験など、各地に遍路文化が感じられるスポットを9日間でめぐるコースだ。

 また、日本の奥の院・東北探訪ルートのモデルコース「四季が織りなす東北の宝コース」では、東北の四季が織りなす風土と、自然と共存する人々の歴史・文化・食など、東北の人々が生み育てた宝と呼べるさまざまな地域を訪れる出会いの旅と題し、日本三景の松島や白神山地など、東北の四季折々の変化を肌で感じられるモデルコースとなっている。

 20のモデルコースの名称は次のとおり。

 【アジアの宝 悠久の自然美への道 ひがし北・海・道】「Explore the Wonderland in summer」「Explore the Wonderland in winter」【日本の奥の院・東北探訪ルート】「四季が織りなす東北の宝コース」「三陸の恵みと復興コース」「日本の美と伝統コース」【昇龍道】「Dragonコース《伝承空間への誘い》」「Nostalgicコース《『日本の心・ふるさと』お伊勢参りと世界遺産を巡る旅》」「Great Natureコース《大自然の醍醐味アルペンと古代探訪の旅》」「Ukiyo-eコース《サムライ文化・伝統技術リアル体験》」【美の伝説】「KANSAI~世界遺産と絶景 伝統と自然の美の競演~」「KANSAI~日本の精神文化の聖地 美の伝承~」【せとうち・海の道】「新ゴールデンルート~新たな西日本発見の旅」「歴史と芸術に出会う美のルート」「空と島と海に溶け込むサイクリングルート」【スピリチュアルな島~四国遍路~】「四国スピリチュアル・コース」「四国鉄道クラシカル・コース」「四国大自然ドライブ・コース」【温泉アイランド九州 広域観光周遊ルート】「鉄道・バスで廻る九州の魅力満喫コース」「九州の歴史・自然をレンタカーで廻るコース」「火山の島・九州一周コース」

神秘的な大谷資料館

 今年のGWには、以前から一度行ってみたかった栃木県宇都宮市の「大谷資料館」へ足を運んでみた。

 同館は地下30メートルに広がる大谷石の地下採掘場跡を公開したもので一歩足を踏み入れると、突如として眼前に神秘的な巨大地下空間が現れる。そこはまさに異空間で、映画のロケセットではないかと錯覚してしまうぐらいだ。さながら映画「インディ・ジョーンズ」の世界観とでも表現すれば、わかりやすいだろうか。

 坑内の平均気温は8度前後で、戦争中は地下倉庫や軍事工場として、戦後は政府米の貯蔵庫として利用されていたという。

 資料館周辺には、大谷石むき出しの岩肌が連なる大谷景観公園や自然の岩壁に彫られた高さ27メートルの平和観音、洞窟に覆われた大谷寺があり散策も楽しめる。

【古沢 克昌】

ロボット王国誕生、生産性高いテーマパークへ(ハウステンボス)

澤田秀雄社長
澤田秀雄社長

 ハウステンボス(澤田秀雄社長)は4月21日、東京都内で会見を開き、7月16日に世界最先端ロボットが登場する「ロボットの王国」をオープンさせることを発表した。同施設では過去5年間で(1)花の王国(2)光の王国(3)音楽とショーの王国(4)ゲームの王国(5)健康と美の王国――の5つの王国を展開。今回6つ目となる同王国では、「変なホテル」「ロボットの館」「変なレストラン」の3つのコンテンツを柱に、同施設は世界一生産性の高いテーマパークを目指す。

 変なレストランは、日本初のロボットが運営する本格ビュッフェレストランで、変なホテルのスピンオフとして位置づけられている。料理長のロボットは鉄板焼き職人で、見事なヘラ捌きで一からお好み焼きを作り、顧客に提供することができる。

アイドルロボット
アイドルロボット

 そのほかにも、10種類以上のカクテルやビールなどを提供できるバーテンロボットや、サービス業務を担当するロボットなどを配備。各テーブルの上には卓上ロボットの「タピア」を設置し、顧客とのコミュニケーションをはかりながら、空席状況のコントロールも行っていく。同レストランはオープンキッチンスタイルになっており、ロボットたちが調理する姿をガラス越しに見ることができる。

 ロボットの館は、(1)ロボットショーゾーン(2)企業ブースゾーン(3)ロボット体験ゾーン(4)ロボットヒストリーゾーン(5)ロボットショップゾーン(6)ロボット試乗ゾーン(7)ロボットアニメタイアップゾーン――の7つのブースで構成されている。ロボット試乗ゾーンでは、西日本では初登場となる1人乗りロボット「バトルキング」が登場。実際にロボットを操縦しながら、赤外線の銃で撃ちあうゲームをすることができる。さらに、ロボットステージゾーンでは、複数のロボットが繊細でコミカルなダンスを披露する。
 
 
 

富田直美経営顧問兼CTO
富田直美経営顧問兼CTO

 同社の富田直美経営顧問兼CTOは、同施設は私有地のため、許可を得ることなくさまざまな実用実験を行えることから、「ハウステンボスは実用実験をするには最適な場所。ロボット技術がここから世界につながるよう、数々の実験を行っていく」と語った。また澤田社長は、「世界一生産性の高いテーマパークを目指す」と意気込み、将来的にはロボット産業にも進出していく意向を明らかにした。

 このほど熊本・大分県で発生した地震による同施設への影響として、実際に震災以降、変なホテルのキャンセルが200―300人程度出ていることを報告。澤田社長は「2―3カ月は震災の影響を受けるが、それ以降は『九州、頑張ろうじゃないか』という動きに変わる」と述べ、今後「がんばろう九州キャンペーン」などを展開していくと語った。

(左から)タピア、パルミー
(左から)タピア、パルミー