地域おこしに温泉活用 上天草の来訪者増加を 民間活力開発機構

2017年11月10日(金) 配信

イベントには、日本観光振興協会の久保成人理事長も参加(中央)

 スポーツや食事など、楽しみながら健康づくりを行う「現代版湯治」に、注目が集まっている。地域おこしを盛り上げる足掛かりとしての役割も大きい。民間活力開発機構(みんかつ、里敏行理事長)は、「健康づくり大学」と「健康づくりの郷」と題する湯治を中心に据えた取り組みで、地域をサポートしてきた。1987年の設立以降、長期滞在促進や移住者増加で成果を出している。4月からは、熊本県上天草市と提携。市が推進する「上天草市複合型スポーツ&ヘルスツーリズム事業」にノウハウを提供。魅力的なコンテンツ開発など、ソフト強化によって来訪者増に寄与する。

 書籍「温泉療養の手帖」の発行を通じ、温泉地(地域)や旅館、病院を結びつけてきた同機構。紹介してきた宿は600を超え、温泉地と病院も計300を上回る。日帰り温泉施設を活用した観光ツアー(新潟県三条市)や、ノルディックウォーキングイベント(神奈川県厚木市)の企画にも携わり、知見を深めてきた。いずれのイベントにも、医師ら専門家が参画。健康相談会などを開くことで、参加者が実益を得られる催しとなるよう尽力した。

 「上天草市複合型スポーツ&ヘルスツーリズム事業」の目的は、交流人口の拡大と市民の健康促進。同機構は、11月5日開催の「ガストロノミーウォーキング」(11月5日実施)をキッカケに、市の事業推進にノウハウを提供する。「上天草けーな健康フェア2017」や「上天草トレッキングフェア」など、市主催の既存事業への協力だけでなく、「人間ドック事業」や「ヘルSEAメニュー開発事業」といった新規コンテンツ・プログラムの開発も急ぐ。地域と病院などの民間事業者を結びつけ、「現代版湯治」を実現することで、地域の課題解決を促す構えだ。2018年2月には「第1回健康づくり大学」を開く予定。ユーザーにプログラムやコンテンツを体験してもらい、アンケート調査を行う。フィードバックを通じ、内容の点検・充実をはかる。

 なお、「ガストロノミーウォーキング」イベントには本紙記者も参加した。

〈この人に聞く〉芳子 ビューエルさん、株式会社アペックス 取締役社長

2017年11月10日(金) 配信

株式会社アペックス 取締役社長
芳子(よしこ) ビューエルさん
 群馬県高崎市出身。カナダ・ダグラスカレッジ在学中に現地人男性と結婚。3児の母。1989年に帰国し、アペックスを設立。

北欧の大手メーカーの日本代理店として、機能的でデザイン性に優れた数多くの商品を輸入販売するアペックス。宿泊施設であれば、デンマーク生まれの寝具ブランド「ダンフィル」の軽くて、まるで羽毛のようにふんわりと、優しく頭を支える枕「フィベールピロー」を取り扱っている会社だと言えば、ご存知の方もいらっしゃるだろう。

 同社では社員34人のうち女性が21人で、半数以上が子持ち。「とくに性別にこだわったわけではないのですが、結果としてそうなっていますね」。自身も3人の子供を育て上げた母でもあるビューエルさん。「優秀な人材には長く働いてほしい。やる気のある、できる人に、子育てを理由に仕事を諦めてほしくないのです」と笑顔で話す。

 そこで女性社員が働きやすい環境づくりに着手した。例えば、同社の規定では「有給休暇は1時間単位で取得」ができる。革新的な制度だが、これも子供の予防接種や授業参観など、1日休むまでもない用事の際にとても助かる。男性社員にとっても歯医者に行くなど私用で使うことができるため、評判は上々だ。

 時短勤務はもちろん、リモートワークも積極的に取り入れている。在宅で子育てをしながら仕事をする社員は、パソコンや携帯端末で会議に遠隔参加することもできる。

 こうした取り組みが評価され、同社は2014年に、群馬県の「従業員の子育てサポート企業」に認定されている。「できる人材を確保し、その人が能力を発揮しながら長く働ける職場を作ることは生産性の向上につながる。優しいだけではなく、経営者として至極当然の判断だと思います」。

【古沢 克昌】

アパ大阪初の全室禁煙ホテ開業、開業記念特別価格も

2017年11月10日(金) 配信 

アパホテル(元谷芙美子様、東京都港区)は11月7日(火)に、大阪市内で10棟目となるアパホテル〈御堂筋本町駅東〉(全室禁煙160室)を開業した。

アパ大阪初の全室禁煙ホテル開業

 同日に開業披露式典を実施。ホテル1階には、アパ社長カレー専門店として関西1号店となる「モーニングキッチン&アパ社長カレー」がオープンした。開業に先立ち、 10月31日(火)に抽選で60室(最大120人)を無料招待する「無料試泊会」を行った。3400件を超える応募があり、56倍ほどの高倍率となった。大阪市内のアパホテルは、建築・設計中を含め14棟4728室、大阪府下においては16棟・4949室を展開しており、大阪市・大阪府ともにホテル保有棟数・客室数で最大級となる。

 「進化するアパホテルを積極的に展開していきたい」

記者会見のようす

 開業記者発表で、アパグループの元谷外志雄代表は「2010年4月からスタートした第1次頂上戦略では東京を中心に、15年4月から始まった第2次頂上戦略では、地方中核都市を中心にホテル数を増やしてきた」とこれまでの経緯を話した。

 元谷外志雄代表は「昨今、オーバーホテル現象が懸念されているが、東京オリンピック開催後にはより大きなオーバーホテル現象が到来するだろう。しかしその時こそホテルの買収なども含めホテル拡大のチャンスである」と強調する。

 「スペースではなく満足の提供を第1に、高品質・高機能・環境対応型を基本理念とする『新都市型ホテル』は評価が高く、それを有した同ホテルも高稼働ホテルとなるだろう。19年9月にはアパホテル&リゾート〈御堂筋本町駅タワー〉(全917室)の開業も控えており、今後も顧客満足度向上に努め、進化するアパホテルを積極的に展開していきたい」と意気込みを語った。

大阪市内で10棟目となるアパホテル〈御堂筋本町駅東〉

 大阪市営地下鉄堺筋線「堺筋本町駅」徒歩5分、御堂筋線・中央線・四つ橋線「本町駅」徒歩6分、堺筋線、京阪本線「北浜駅」や御堂筋線、京阪本線「淀屋橋駅」も徒歩圏内であるなど、5路線4駅が利用可能。「大阪城」や「海遊館」に乗り換えなしで訪れることができ、ビジネスだけでなく国内レジャーやインバウンド需要にも応える立地となっている。また、現在の禁煙室需要の高まりから、大阪府下のアパホテルで初めて全室禁煙のホテルとした。

 全客室には、高品質・高機能・環境対応型を理念とする「新都市型ホテル」の標準仕様として、 50型以上の大型液晶テレビや、快眠を追求したオリジナルベッド「Cloud fit(クラウドフィット)」(シングル・ダブル全室幅1420㍉のワイドベッド)のほか、通常の浴槽より20%節水ができ、ゆったり入浴できるオリジナルユニットバス(卵型浴槽、定量止水栓、節水シャワー)、 BBCワールドニュース無料放映、Wi-Fi無料接続(全客室およびロビー)、客室の明るさにこだわりシーリングライトを採用。ベッドの枕元に、照明スイッチ類や空調リモコンを集約し、携帯・スマホの充電に便利な4つのコンセント・USBポートを設置するなど、機能性・利便性を追求した。

 開業記念価格として、2017年12月末まで、シングル1泊 客室通常料金1万5千円(税サ込)~のところ、6800円(税サ込)~に、ダブル1泊2万5千円(税サ込)~のところ、7800円(税サ込)~で、それぞれ宿泊できるようにした。 

ホテル概要ホテル名 アパホテル〈御堂筋本町駅東〉

所在地:大阪府大阪市中央区瓦町2丁目3-6

構造/規模:鉄骨造 地上13階

客室数:160室(シングル・ダブル159室、DXツイン1室) ※全室禁煙

最大収容人数:320人

館内施設:モーニングキッチン&アパ社長カレー(ホテル1階)

営業時間:

朝食:午前6:30~午前9:30※「モーニングキッチン」で朝食バイキングを提供

ランチ・ディナー:平日午前11:00~午後8:30、土曜日午前11:00~午後3:00(定休日は日曜日、祝日)※11:00~は「アパ社長カレー」を提供

朝食内容:和洋バイキング

朝食料金:前売1080円(税込)、当日1280円(税込)

アパ社長カレーメニュー:アパ社長カレー 680円(税込) 、ロースカツ社長カレー 830円(税込)他

全室標準仕様

・50型以上大型液晶テレビ ※DXツインは58型

・快眠を追求したオリジナルベッド「Cloud fit(クラウドフィット)」※シングル・ダブル全室幅1420㍉ワイドベッド

・ベッドとの相性を科学的に検証し、体圧分散に優れたオリジナル3Dメッシュまくら「Air Relax(エアーリラックス)」

・高級羽毛布団(デュベ)

・通信速度とセキュリティの面で優れたWi-Fi無料接続

・BBCワールドニュース 無料放映

・VODアパルームシアター (1泊1千円で162タイトル以上見放題)

・客室の明るさにこだわったシーリングライト

・照明スイッチ類、空調リモコンを枕元のヘッドボードに集約

・携帯、スマホの充電に便利なベッド枕元の4つのコンセント、 USBポート

・ハイグレードアメニティ(歯ブラシ、レザーなど)

・ウォッシュレット(衛生面に配慮した壁付リモコンタイプ)

フロント・ロビー

・業界初※となる全ての予約経路に対応したオリジナル仕様の「自動チェックイン機」導入 ※同社調べ

・セキュリティを重視し1階のエレベータは客室カードキーをかざすことで作動

エコへの取り組み

・ホテル館内外の全照明にLEDを採用

・通常の浴槽より約20%節水でき、ゆったり入浴できるオリジナルユニットバスを採用(自社開発した節水タイプの卵型浴槽、サーモスタット付定量止水栓、節水シャワー)

・客室窓に複層ガラスを採用することで断熱性を向上し熱負荷を低減

・完全遮光※の断熱遮熱カーテンを採用し、断熱性を向上し熱負荷を低減

・ガスコージェネレーションシステムを導入し、発電した電気を館内で利用

・ホテル全客室に省エネスイッチ(カードキーホルダー)を採用

※NIF(日本インテリアファブリックス協会)が定める99.99%以上の遮光率を有する一級遮光基準よりもさらに遮光性を高めたもの。

アパグループ

 アパホテルネットワークとして全国最大の436ホテル7万2811室(建築・設計中、海外、 FC、パートナーホテルを含む)を展開しており、年間宿泊数は約1252万人(16年11月期末実績)に上る。アパカード会員の累積会員数は、 1400万人を突破している。

 アパグループは2010年4月にスタートした「SUMMIT 5(頂上戦略)」では東京都心でトップを取る戦略をとり、東京23区内の直営ホテル数のみで67棟・1万7065室(建築・設計中を含む)を達成。首都圏を中心に全国でタワーホテル6棟・6459室を含む、 35棟・1万3218室を現在、建築・設計中だ。15年4月にスタートした「SUMMIT 5-II(第二次頂上戦略)」では、国内は東京都心から地方中核都市へと展開を広げ、2020年3月末までにパートナーホテルを含むアパホテルネットワークとして10万室を目指す。

沖縄で南国を満喫! ディナーも本格的

2017年11月10日(金) 配信

沖縄でポリネシアンダンスを楽しめる。

ルネッサンスリゾートオキナワでは、ディナーショーとして「ポリネシアンナイト」が人気を博している。本場で活躍するポリネシアンダンサーが、迫力のパフォーマンスを披露する。

 10月からは、プログラムを一新。リピーターでも楽しめる内容を心掛けた。タヒチとサモア、ハワイ、南国の島それぞれの踊りと多彩な衣装の織りなすステージが、見るものを魅了する。ビュッフェスタイルのディナーも本格的。土日、祝日には、仔豚の丸焼きや伊勢海老風味のカレーなど、特別メニューを用意する。前売り券は、Famiポートで購入できる。

 ポリネシアンダンサーに習うフラダンスも人気。宿泊者限定で、毎週木曜日に実施する。詳細は以下公式ホームページより。

百年料亭、シンポ開く 地方誘客のあり方議論

2017年11月10日(金) 配信

前列左から3番目が、発起人の大島誠氏。今年3月の設立時のようす

 100年以上の歴史を持つ全国料亭が集う「百年料亭ネットワーク」は11月29―30日に長野県・割烹松本館で、「全国百年料亭シンポジウム」を開く。同ネットワークは観光庁の2017年度「テーマ別観光による地方誘客事業」に選定。シンポでは百年料亭が抱える課題を解決する糸口や、地方誘客のあり方を議論する。

 1日目は観光庁観光振興部観光資源課地域資源活用推進室長の根来恭子氏が「テーマ別観光による地方誘客を目指して」と題し講演する。2日目は松本城や市内で名所旧跡を巡る。会場は「割烹 松本館」(松本市丸の内7―39)。主催は「百年料亭ネットワーク事務局」で、後援は松本と松江、新潟、上越、黒石、湯沢、山形、米沢市。

 問い合わせ=電話:025(526)8077、FAX 025(525)7067。

“世界の潮流”研究と発信 日本国際観光学会が全国大会

2017年11月10日(金) 配信

(左から)島川崇会長、ロイ・アリエル氏、篠塚孝哉氏

 日本国際観光学会(島川崇会長)は10月28日、東洋大学白山キャンパス(東京都文京区)で第21回全国大会を開いた。テーマは「サステナブルツーリズムの実現」。今回は、余暇ツーリズム学会(長谷川恵一会長)の全国大会も同会場で開かれ、基調講演と懇親・交流会は両学会合同で行われた。島川会長(東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授)は、「学会は世界の潮流を見ながら情報を収集し、研究を進め、広く発信していかなければならない」と役割を強調した。

 日本国際観光学会の基調講演「サステナブルツーリズムの実現にむけて~グローバルスタンダードの視点から~」では、グローバル・サステナブル・ツーリズム・カウンシルゼネラルマネージャーのロイ・アリエル氏が2016年に欧州グリーン首都賞を受賞したスロベニアの先進的な取り組みなどを紹介した。

 余暇ツーリズム学会の基調講演「新潮流と観光産業の未来」では、ロコパートナーズ社長の篠塚孝哉氏が登壇。篠塚氏は「中国や米国などのベンチャー企業への投資額は2兆円規模に対し、日本は2千万円規模」とし、「2年遅れで日本に新しいビジネスモデルが入って来る流れになっている」と、シェアリングエコノミーが世界的に進む中で日本の遅れを指摘した。

 その後、5分科会に分かれて、研究発表会が行われた。

手配金の支払いは改善 下請法問題は課題残る OTOA会員調査

2017年11月10日(金) 配信

旅行会社との取り引き OTOA調査

 日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)はこのほど、6年ぶりに実施した「OTOA会員の実情に関する調査」の結果を発表した。調査は2007年4月、11年2月に続く3回目で、旅行会社との取り引き状況や実態把握などを目的に不定期で行っているもの。旅行会社との取り引きで「手配代金の支払いは契約書通りになされている」と答えた割合は1回目81%、2回目94%、今回96%と改善してきている。一方、「取消料が発生した場合契約書通りに支払われない」という回答は35%となるなど、下請法の問題は依然として課題が残る。
【飯塚 小牧】

 来年施行される「改正旅行業法」で、訪日旅行と国内旅行を扱うランドオペレーターは「旅行サービス手配業」として登録が必要になるなど、オペレーターを取り巻く環境は変革期にある。こうしたことを受け、今年、調査を実施。3月末日時点の会員会社140社を対象に、102社から回答を得た。調査期間は3月16日―4月17日。

 会員会社の規模では、約58%の会社が10人未満で、20人未満で約80%を占める。事業形態は83%(85社)がアウトバウンド・オペレーターを主事業にあげた。12%の12社は第1種の旅行業と答えている。代理業を含め旅行業を行っているのは46%(47社)。

 また、インバウンドについては関連会社を含め42%(43社)が行っていると答え、前回調査時の117社中30社に比べ増加傾向にある。今後、新たに手掛けたい・計画している事業でも、22社がインバウンドを挙げており、近い将来、会員の約半数がインバウンドを扱うことが見込まれる。

 資金繰りについては、恒常的に金融機関から融資を受けている会社は25%、一時的に受けている会社は27%あった。このなかで、融資を受ける要因・原因として最も多かったのが「デポジットなど費用立て替えのため」で75%。前回から13%増と大幅に増加している。次いで「旅行会社の支払いが遅いことによる、海外取引先への支払い費用のため」が50%(複数回答可)。10月17日に東京都内で開いた会見で、速水邦勝顧問は「デポジットを要求するサプライヤーが増加していると見受けられる」と述べた。

 旅行会社との取り引きは、手配代金の支払いは概ね契約書通りになされており、改善されている。反面、海外取引先への手配代金支払い期日と旅行会社からの入金期日の関係は、「ほぼ同じ」が27%と前回から12%減少。「海外への支払い期日の方が早い」が48%と9%増加し、海外への支払いを立て替える会員が増えている。

 また、取消料が発生した際、契約書に基づいて「支払われる」が65%、「支払われない」が35%となった。このうち、実費を含む減額を求められるという声が29%に昇り、明らかな下請法違反が見受けられる。これは前回調査からあまり改善されていない。

 下請法に抵触するような理不尽な取り引きや条件を要求されたことがあるかとの問いでは、「ほとんどない」の42%(前回62%)を「一部の会社である」が51%(前回27%)と上回った。前回から状況は大幅に悪化している。一部旅行会社の名前として13社があがっており、ツアー終了後の値引き要求など不当な事例がある。

 さらに、「ほとんどない」と回答した42%の43社のうち、19社は具体的な下請法違反を示した項目=表=に「あり」と回答した。知らずに下請法違反をしている場合や、旅行会社側も知らずに法に抵触している恐れがあることが推測される。最も多かったのは、「受注後に他社が安い料金を提示したなどの理由で、減額要求や他社に変更された」という項目。こうした事案が発生した際は公正取引委員会や中小企業庁、かけこみ寺などに相談することが有効だが、取り引きへの影響を懸念して踏み出せない会員も少なくない。下請法への理解が望まれる。

 「安全管理・法令順守」については、現地取引先(とくに車両関係)の保険や整備状況、安全管理体制などを把握しているかの問いに「必ず書面で確認している」が89%となった。この結果に対し、速水顧問は「100%でなければならない項目」(速水顧問)と言及。安全管理の徹底をはかっていく。一方、85%の会員が契約時に旅行会社から当該資料を求められており、「オペレーター任せではなく、旅行会社が自ら調べるという意識が高まっていて、良い傾向だ」と評価した。

 OTOAは今回の調査結果を観光庁や日本旅行業協会(JATA)に開示し、オペレーターの現状やルール順守徹底を訴えていく方針。

効率的なバス運用可能に 故障時の緊急手配機能も バスくる

2017年11月10日(金) 配信

バスくるロゴ

 バスくる(浮舟崇弘社長)が運営するWebサイト「バスくる」(https://bus.co.jp/)は、バス会社と旅行会社を結ぶサービス。貸切バスの仕事のマッチングや、車両故障時の緊急自動手配機能を備えている。

 貸切バスの仕事のマッチング機能は、バス会社がバスの空車状況を入力しておくと、その情報を旅行会社が閲覧し、直接仕事の依頼が入るシステム。直前にキャンセルが出たときなど、限られた時間で効率よく営業できるツールとしてぜひ活用したい。

 このほか、片道送迎の場合、「戻りの運行」を空車として登録することも可能。バスの稼働率アップを期待できる。

 車両故障時の緊急自動手配機能は、バスが故障した場所や故障車両の種類、目的地などを入力すると、近隣の契約バス会社をリストアップするとともに、自動で代替バスの依頼メールが送信される仕組み。メールを見たバス会社から連絡をもらえたり、リストを参考に直接コンタクトを取ることもできる。近隣のバス会社が分からない遠方への運行リスクも軽減される。

 Webサイトのサービスは会員登録すると利用できる。見積り提示料や契約成立料は不要。バスの仕事がマッチングした際、成功報酬としてバス会社が15%の手数料(旅行会社10%、バスくる5%)を支払う。

 問い合わせ=電話:03(5682)1155。

【特集 No.477】日本バス協会 三澤憲一会長に聞く “ラスト ワン マイル”確保へ

2017年11月10日(金) 配信

 訪日外国人観光客が増加の一途を辿り、旅行・観光業界がめまぐるしく変化しているなか、バス業界も変革期を迎えている。2016年1月15日の軽井沢スキーバス事故以後、対策の重要な施策として、安全・安心を指導する「貸切バス適正化センター」が今夏から始まった。一方で、地方の公共交通の確保や人手不足、ドライバーの高齢化など、課題は山積する。日本バス協会では今年6月に三澤憲一氏が新会長に就任。様変わりが激しい業界の今後を見据え、展望や意気込みを聞いた。

【司会進行=本紙社長・石井 貞德、構成=平綿 裕一】

 

「安全・安心」常に先手を

 ――新会長に就任しましたが、今後の抱負についてお聞かせ下さい。

 バスは地域の身近な足として、また、観光などの団体輸送に大きな役割を果たしています。さらに東日本大震災での活躍は記憶に新しい事です。皆様の期待に応え、安全で便利な輸送サービスの提供を目指します。

 乗合バス事業は、ピーク時の1970年代から現在まで輸送人員は約6割減少しています。とくに地方部は過疎化が進んでおり、バス事業者の約8割が赤字です。

 このように地方は、非常に厳しい状況が続き、いわゆる「ラストワンマイル」、この足をいかに確保するのかという大きな問題を抱え、地方自治体もその確保に苦心しています。生活路線をどう確保するかについては、バス事業者単独での解決は難しい問題であり、国や地方自治体と連携し知恵を出し合って、解決していく必要があります。

 しかし、高齢者ドライバーの事故増加に伴い免許証返納問題なども表面化しています。日本バス協会としても補助制度の拡充など、バス事業者の意見を踏まえて、問題解決に向けて取り組んでいきます。

旅行業界とはウィンウィンの関係を

 一方で、貸切バス事業は、外国人観光客の増加など需要が拡大しているので、旅行業界とのウィンウィンの関係をいかにして構築するかが、重要になってきています。

 政府は世界有数の観光大国を目指して、20年にはインバウンドを4千万人、30年に6千万人を目標としています。この実現のためには、バス業界と旅行業界がより一層協力していかなければなりません。

 ここで大きな前提となるのは、輸送の安全・安心です。万が一にも、インバウンドの旅行者を含めた大きな事故を起こしたならば、観光大国としての日本の信用が失墜することは必定です。

 ――旅行業界との関係については。

 昨年8月末に「安全運行パートナーシップ宣言」を、日本バス協会と、日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)でとりまとめ、それぞれ会員に周知しました。軽井沢スキーバス事故を受け、旅行需要の回復・拡大を目指した取り組みですが、旅行業界とバス業界が共にとりまとめたこと自体が貴重なことです。

 この宣言は、両業界が協力して安全確保を進めることを内容としますが、貸切バス事業者安全性評価認定制度のもと、主として認定事業者の利用や、同等の安全対策を講じている事業者の利用に努めることのほか、安全コストを含んだ運賃の遵守などが盛り込まれています。

 旅行業界と貸切バス業界が互いの立場を理解し、お客様に安全・安心を提供するため、基本となる部分で共通認識を確立できました。今後も同じ方向に共に歩んでいくことが重要だと考えています。…

※詳細は本紙1692号または11月16日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

旅館は4万軒割れ 簡宿2390軒増、民泊影響か 2017年3月末時点、厚労省まとめ

2017年11月10日(金) 配信

 旅館軒数初の4万軒割れ――。厚生労働省が10月26日に発表した2016年度「衛生行政報告」によると、2016年度末現在の旅館営業軒数は前年度比2・9%減の3万9489軒。1年間で1172軒減少し、4万軒を割り込んだ。

 旅館軒数の減少に対し、前年度と比較して大幅な伸びを示したのが簡易宿所だ。同8・8%増の2万9559軒となり、昨年の2万7169軒から2390軒増加した。16年4月に簡易宿所の営業許可要件の規制緩和が行われたことが影響しているとみられる。18年6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されるが、現状では合法的に民泊サービスを行うために簡易宿所の許可を得ていることが考えられる。旅館軒数との差は9930軒にまで縮まっている。

 ホテル営業軒数は、同1・3%増の1万101軒となり、134軒増加。訪日外国人観光客の急増に伴い、外資系ホテルが矢継ぎ早に開業していることなどが、増加要因の1つとして考えられる。

 客室数でみると、旅館は前年度比9694室減の69万1962室となった。ホテルは同2万3478室増の86万9810室と大幅に増加し、ホテルと旅館の客室数の差は17万8千室近くと、その差は広がり続けている。

 都道府県別にみた旅館軒数は、静岡県が2697軒で最も多く、以下は、②長野県(2240軒)③北海道(2218軒)④新潟県(1883軒)⑤福島県(1363軒)⑥三重県(1360軒)⑦栃木県(1273軒)⑧山梨県(1260軒)⑨東京都(1246軒)⑩千葉県(1155軒)。前年6位だった福島県が、三重県を抜いて5位に浮上した。

 一方ホテル軒数の上位は①東京都(693軒)②北海道(673軒)③長野県(510軒)④兵庫県(428軒)⑤大阪府(421軒)⑥福岡県(403軒)⑦沖縄県(386軒)⑧静岡県(376軒)⑨埼玉県(373軒)⑩神奈川県(336軒)――の順になった。前年5位の福岡県と6位の大阪府の順位が入れ替わったほか、前年8位の沖縄県が静岡県を抜いて7位となった。

 政令指定都市の旅館軒数は、大阪市が376軒と1位。以下は②京都市(368軒)③名古屋市(245軒)④熊本市(179軒)⑤浜松市(153軒)。

 一方ホテル軒数は、①大阪市(342軒)②京都市(182軒)③札幌市(180軒)④福岡市(174軒)⑤横浜市(138軒)。

ホテル・旅館の営業軒数、客室数