秋のハウステンボスでヨーロッパ旅行気分を 「花の街の大収穫祭」9~10月に開催

2020年8月21日(金)配信

今秋は、本場さながらヨーロッパの街並みが楽しめるハウステンボスへ

 長崎県佐世保市のハウステンボスは9月1日(火)~10月31日(土)に、国内にいながら秋のヨーロッパで行われる収穫祭を存分に楽しめる「花の街の大収穫祭」を開催する。

 オクトーバーフェストやハロウィーンなど、秋になるとヨーロッパ各地で開催される収穫祭。そんな祝祭の雰囲気を日本にいながら味わってもらおうと、園内の花やイルミネーション、グルメなどが秋一色に染まる。レンガ調の街並みを散策しながら、今秋はハウステンボスでヨーロッパ気分を楽しんでみては。

 期間中、秋の醍醐味である「食」が充実。「ワイン祭」では、国内では出会えない希少なものからスイーツに合うものまで、100種類以上のワインの飲み比べが楽しめる。ほかにも、オランダやドイツなどの世界中から集まったビール、ブルーチーズから山羊のチーズまで種類豊富なチーズなど、ヨーロッパ中の秋の味覚を堪能できる。街の中心の広場では、プロのミュージシャンが奏でる生演奏も。本格的なオランダを再現した街並みの中で、楽器の音色を聴きながらお酒とチーズを味わう体験は、まさにヨーロッパそのものだ。

 9月1日(火)~27日(日)は、オランダの宮殿を忠実に再現したパレスハウステンボスで「ダリア展~宮殿に広がる無限のダリアの世界~」を開く。ダリアはその美しさから、フランス皇帝ナポレオン1世の妻ジョゼフィーヌも愛した花といわれている。色鮮やかなダリアと柔らかな印象のパンパスが広がる「鏡の世界への入口」から始まり、赤、黄、ピンクなど色とりどりのダリアが鏡に反射して無限に広がる「ダリアと鏡の世界」では、万華鏡の中に入り込んだような世界へと来場者を誘う。

 10月24日(土)~11月23日(月・祝)は、1000品種もの香り高いバラが咲き誇る「秋バラ祭」も開催する。優雅な雰囲気が漂うパレスハウステンボスや、アートガーデンに広がるバラに囲まれて贅沢なひとときを過ごすことができる。夜になると、園内はあたたかなオレンジ色の光に包まれる。今年初めて実施する体験型イルミネーション「ハロウィーンナイトウォーク」では、カボチャのランタンが一面に灯った幻想的な世界も体験できる。

「びわ湖疏水船」 秋シーズン乗船 は8月31日(月)から予約開始

2020年8月21日(金)配信

鮮やかな紅葉とともに貴重な産業遺産を巡るクルージング

 京都市は、2020年6月に日本遺産に認定された「琵琶湖疏水」を楽しむ、「びわ湖疏水船」の乗船予約受付を2020年8月31日(月)から公式ホームページなどで開始する。

 1890年に造られた貴重な産業遺産「琵琶湖疏水」を楽しむ「びわ湖疏水船」は、2018年の春に67年ぶりに本格運航を開始した。2019年秋には、3隻目となる新船「れいわ号」を加え、疏水沿線の活性化と魅力の向上をはかっている。竣工130周年を迎え、今年6月には日本遺産として認定された「琵琶湖疏水」。多くの困難を乗り越え、京都の経済・産業・文化などの発展の礎となった偉業を、鮮やかに彩られた紅葉とともに楽しみたい。

 運航は10月1日(木)~11月30日(月)までの期間中の47日間。今秋は、アルコール消毒やマスク着用の徹底など、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策を実施し、乗客の安全確保に努める。

HIS、3密対策追求の北海道ツアー発売 星野リゾートなどと連携

2020年8月21日(金) 配信

商品イメージ。3人掛けシートを2人で利用する
 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)は8月19日(水)から、安心・安全に旅行を楽しんでもらおうと、スカイマークと星野リゾートと連携した特別ツアー「3密対策! あんしん旅 北海道」を売り出した。
 
 スカイマークは、空港と機内の消毒をはじめ、人と人との距離の確保といった基本的な感染症予防対策を実施。このほか、すべての航空機でウィルスや細菌などの粒子を99・9%以上捕集可能な高性能空気フィルターを使用。常に機外から空気を取り入れ、機内の空気の清浄性を保持する。
 
 メディコムジャパン社のサージカルマスクも利用客全員に配っている。座席は3人掛けのシートを2人で利用できるようにした。
 
 同商品で利用する星野リゾート トマムは、「最高水準のコロナ対策宣言」を掲げ、従業員の健康管理とチェックイン時の検温を実施しているほか、客室とフロントカウンターなどでは館内の衛生管理と3密回避対策を徹底している。レストランやプールなどでは、リアルタイムで混雑状況をスマートフォンで確認ができる「3密の見える化」サービスを始めた。
 
 このほか、3密回避と衛生管理を徹底した新しいビュッフェスタイルの実現や約1000㌶のエリアでのアウトドアアクティビティなどを設けた。同商品では、ご当地メニューが豊富にそろう「cafe&barつきの」でテイクアウトでも使えるクーポン券を1人に付き1000円分提供する。

 HISは、混雑回避のためレンタカー営業所内に同社専用のウンターを設置した。利用開始前にクイックチェックインシートを利用客に渡し、スムーズなチェックイン手続きができる。

 出発日は8月28日(金)~10月9日(金)まで。Go To トラベルキャンペーンを適用したうえでの支払額は、1万9500円〜 19万5000円 (大人1人/2~4人1室利用)。東京都の在住者は要問合せ。発着地は羽田空港と茨城空港となる。

 同社は3密対策を積極的に実施している宿泊施設の利用を推奨するほか、観光施設と交通機関などへの3密対策と衛生管理の徹底を要請している。今後は観光に携わる事業者と連携し、感染症対策を日本全国のニューノーマルとすることで、旅を通じた地域経済の回復に努め、安心・安全なウィズ・コロナ時代の観光スタイルを提案していく。3社が連携した新商品を展開する予定だ。

 

〈観光最前線〉半沢直樹シーズン2

2020年8月21日(金)配信

日曜劇場「半沢直樹」のロゴ ⒸTBS 日曜劇場「半沢直樹」

 2020年、TBS日曜劇場にあの「半沢直樹」の続編がようやく帰ってきた。

 平成に放送されたドラマで最終回42・2%の高視聴率を叩き出した驚異のドラマが令和の時代に再び登場した。

 新型コロナウイルスの影響で撮影がストップしたため、今春スタートの予定が大幅に遅れてしまったが満を持しての番組開始となった。

 前作以上に複雑なストーリー展開だが、あまり深く考えず気楽に、勧善懲悪の現代版「水戸黄門」だと思って観ていれば、それだけで気分爽快になる。コロナ禍では貴重なアドレナリン放出番組だ。

 世間では「役者の演技が大袈裟過ぎる」だとか「セリフ回しが完全に歌舞伎だ」などと揶揄する声も聞こえているが、これからが「半沢直樹」倍返しの本領発揮だと大いに期待したい。

【古沢 克昌】

訪れたい場所1位「温泉」 「支援したい」6割以上 新型コロナ流行下の旅行者動向調査 日本交通公社調べ

2020年8月20日(木) 配信

イメージ

 日本交通公社(末永安生会長)は、「新型コロナウイルス感染症流行下の日本人旅行者の動向(その5)」で、新型コロナ収束後に行いたい活動と旅行先、観光地への支援などに関する分析をまとめた。活動別に訪れたい場所では、1位が「温泉」(16・4%)、2位「自然の訪問」(13・1%)、3位「テーマパーク」(8・9%)――と続いた。また、コロナの影響を受けた観光地に対して、6割以上が「支援したい」と回答した。

 

調査結果

 

 調査は5月20日(水)~6月5日(金)の期間で、全国18~79歳の男女1472人を対象に実施した。日本交通公社が定期的に実施している「JTBF旅行意識調査」の調査内容を拡充して行われた。

 活動別に訪れたい場所では1位が「温泉」となり、「大分県」(18・1%)、「群馬県」(10・5%)、「静岡県」(9・9%)と、代表的な観光地を有する地域が選ばれた。「自然の訪問」では、1位が「北海道」(24・1%)、「沖縄県」(16・8%)、「静岡県」(3・6%)となった。

 政府や自治体の要請を意識する度合いに対して、「要請に従って判断する」が69・2%、「要請を気にしつつも、自分で状況を分析して判断する」が27・6%となり、合わせて9割以上が意識していることが分かった。また、年代別・男女別にみると、「自分で状況を分析して判断する」のは20代の男女が最も高い結果となった。

 新型コロナの影響があった観光地に対して、62・2%が「支援したい」と答え、性別・年代別では男性が57・9%、女性が66・6%と、女性の支援意向が高かった。支援意向が最も低かったのは20代男性(45・1%)で、同年代女性(69・2%)と比べると20%以上の差があった。

 国内旅行に「あまり行かない」層の支援意向は44・4%なのに対し、「年に3回以上」と答えた層は75・3%だったことから、観光地の支援意向は普段の旅行頻度に従って高まると分かった。

 観光地に対して支援を行いたいと回答した人に、2020年1月以降の支援実施経験を尋ねたところ、「支援したいが具体的な方法が分からない」が73・0%と最も多かった。これを受けて同公社は、「観光地支援に関する具体的な情報が提供されていないのではないか」と分析する。

 「これから支援を行う予定で具体的な方法を知っている」は19・5%、「すでに支援を行った・行っている」は6・6%となった。具体的な支援内容を知っている人・既に行った人に対してその内容を聞いたところ、支援内容は「インターネットによる商品購入」(50・0%)、「収束後、現地に旅行する」(49・2%)、「ふるさと納税で寄付する」(30・7%)――と続いた。

 新型コロナ収束後の旅行意向を普段の旅行頻度別に見ると、国内・海外旅行ともに、普段の旅行頻度が高い層ほど「行きたい」の割合が高まった。国内旅行の旅行意向は、「あまり行かない」層が44・0%、「2年に1回程度」の層で64・5%、「年に1―2回程度」の層で82・2%と、大きく差が開いた。これにより、普段の旅行頻度に比例して旅行意向が高まっているのが分かった。

HIS、小松市に職員派遣 アフターコロナの需要回復と受入体制強化へ

2020年8月20日(木) 配信

協定の調印式のようす。小松市では旅行商品の企画などを行う

 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)は8月12日(水)、石川県小松市と「地域おこし企業人交流プログラム」に関する協定を結んだ。2021年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックや23年の北陸新幹線敦賀延伸、25年の大阪・関西万博など、アフターコロナにおける国内旅行の需要回復と訪日客の受入体制を強化する。

 小松市は、日本遺産に認定された石文化をはじめ、北前船に代表される歴史と環境王国に認定された里山の原風景が保たれている自然、建設機械メーカー小松製作所などのものづくり産業、曳山子供歌舞伎、九谷焼の伝統文化などの多彩な観光素材がある。

 HISはこれまで、訪日需要を地方創生につなげるため、神奈川県と鳥取県との間で「インバウンド推進協定」を締結。このほか、大阪府と「海外ビジネス支援連携協定」、三重県と「食の海外展開に係る戦略的連携協定」を提携し、各地域の観光資源発掘やプロモーション活動と海外ローカルのマーケット情報の提供をしてきた。

 旅行事業の強みである世界70カ国に展開中の集客・送客機能を活かし、市行政の理解を深めた社員の育成をはかる。このほか、旅行会社としてのノウハウを理解した小松市の職員育成も行い、将来の基盤となる関係を構築する。

 同社の社員はにぎわい交流部観光文化課専門官として着任後、こまつ観光物産ネットワークに派遣される。具体的な業務内容は、同市の観光素材を活かした旅行商品の企画と着地型商品の造成及び販売をはじめ、インバウンド対応観光情報センターの設置と運営、観光情報センターの観光人材となる。

としまえん跡地の「ハリポタ」新施設、2023年前半の開業へ

2020年8月20日(木)配信

「スタジオツアー東京 」の入園口外観イメージ

 ワーナー ブラザース ジャパンと西武鉄道、伊藤忠商事、芙蓉総合リースは8月18日(火)、東京都練馬区の遊園地「としまえん」跡地に、映画「ハリー・ポッター」のテーマパークを開発する契約を結んだと発表した。

 8月31日(月)に閉園となる「としまえん」跡地を含む区域は、東京都が段階的に公園の整備を計画している。テーマパークは公園整備の過程に合わせて建設するもの。パートナー各社は東京都の公園整備計画と協力しつつ施設建設を進め、2023年前半の開業を目指す。

 新施設名は、「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京‐メイキング・オブ ハリー・ポッター」。英国・ロンドンに次ぐ2カ所目で、「ハリー・ポッター」シリーズで使った衣装や小道具などを室内に展示する。多数の象徴的な映画セットも探索でき、スピンオフ映画の「ファンタスティック・ビースト」シリーズを含め、映画の世界観を体験できる特別な仕掛けを整備。入場口前の広場スペースには、映画に登場する魔法動物の彫刻を置いた造園エリアを計画している。

 施設の広さは約3万平方メートルで、敷地内に設営する「サウンドステージ」と、屋外撮影用地の「バックロット」内の展示スペースに掛かる所要時間は約半日となる。

次世代型ホテルブランド「プリンス スマート イン」 1号店が今年10月8日(木)、東京・恵比寿に開業

2020年8月20日(木)配信

プリンス スマート イン 恵比寿 イメージ(建物の右側がホテル)

 プリンスホテル(小山正彦社長、東京都豊島区)は、新たなホテルブランド「プリンス スマート イン」の1号店となる「プリンス スマート イン 恵比寿」を、2020年10月8日(木)に開業する。

 「プリンス スマート イン」は同社のイノベーションを担うホテルブランドだ。ICTやAI技術を導入し、ニューノーマル社会における新たなホテルとして、安全・安心で快適な空間を提供するとともに、スマートフォンのアプリ等を活用したシームレスなサービスで、デジタル世代の「スマートな滞在ニーズ」にも応えていく。導入する機能はホテルごとに異なり、1号店となる「プリンス スマート イン 恵比寿」では、スマホキーや複合型サービスロボット、客室の機能や使用方法等の質問に答えてくれるスマートスピーカー等を設置する。今後はチェックイン時の顔認証等、常に新たな技術の導入もはかる。

 「プリンス スマート イン 恵比寿」は、JR恵比寿駅から徒歩約5分の立地。客室はシングルルームとツインルームを主に82室あり、紺と白を基調にコンパクトながらも機能性と利便性を追求したデザインに仕上げた。スマートスピーカーやスマートミラーを活用し、スマートな滞在を楽しめる。このほかレストラン(約40席)や、会議室、フィットネスジム、ランドリーも備える。

 公式アプリ「プリンス スマート イン」(9月上旬配信予定)をダウンロードすると、アプリ内での予約が可能となり、ホテルではスマートフォンをルームキーとして使える。アプリ内では1泊ごとにスタンプを貯めることができ、10個集めると1泊分の宿泊料金が無料となる。

道の駅上野 手ぶら「テラスBBQ」 川沿いデッキで猪豚も

2020年8月20日(木)配信

道の駅上野「テラスBBQ」を開始

 群馬県・上野村の「道の駅上野」の川沿いデッキ「うえのテラス」で、手ぶらで猪豚のバーベキューができる「テラスBBQ」を始めた。

 2019年にリニューアルを行い、神流川を臨むデッキ「うえのテラス」が完成した。

 うえのテラスでバーベキューが楽しめるサービス「道の駅上野 テラスBBQ」は、上野村の雄大な自然を眺めながらのバーベキューで格別だ。

 上野村特産品の猪豚肉(ロース・かた・もも計200㌘)とライス・野菜盛り合わせが付く猪豚BBQセットが、オープン記念特別価格1800円(税込)で食べられる。

 サイドメニューでは、上野村産シイタケ、ミニトマトのホイル焼きなどもあり、上野村の食を満喫できる。

 なお、飲料は道の駅内の売店で購入でき、売店で購入した商品は持ち込みも可能という。

 問い合わせ=☎0274(20)7070。

〈旬刊旅行新聞8月11・21日合併号コラム〉コロナと猛暑 今夏は読書や人のいない場所を楽しむ

2020年8月20日(木) 配信

のどかな感じがいい「矢切の渡し」

 8月に入って、暑い日が続いたので室内で読書が進んだ。

 
 睡眠前などに多種多様の本を読んだが、とりわけ面白かったのは、英国の女性小説家メアリー・シェリーが書いた不朽の名作「フランケンシュタイン」(訳・小林章夫)だ。

 
 天才科学者フランケンシュタインが造り上げた「怪物」は、愛と理解者を求めるが、その醜悪な姿であるがゆえに人間たちに拒絶され、孤独と憎しみの感情が沸き上がり、苦悶する悲しい物語である。人間に理解してもらえることを諦めた「怪物」は、自らの創造主(神)であるフランケンシュタイン博士に、自分と似たような醜悪な怪物を「もう一体」造ってほしいと懇願するシーンは、切なすぎて胸を打たれた。

 
 人間であれ、怪物であれ、この世界に「ただ1人」の理解者すらいない孤独の辛さを浮き彫りにしている。200年以上前の作品ではあるが、人間の本質を見事に描いているために、決して古びた印象はない。また翻訳された小林章夫氏の手腕も大きいのだろう。

 
 この小説「フランケンシュタイン」の舞台は、ジュネーブや、インゴルシュタット、ロンドン、エディンバラ、アイルランド、北極周辺の氷山など移り変わり、さながら旅行記を読んでいる気分にもさせてくれる。

 
 19世紀初頭の欧州の庶民が営む日常生活も垣間見えて、興味深い作品だった。

 

 
 読書だけではつまらないので、外出も楽しんだ。

 
 梅雨が明けて、8月の初旬には東京都葛飾区の柴又を訪れた。私は九州から上京して30年以上経ったが、実は映画「男はつらいよ」の舞台、柴又を訪れたことは1度もなかったのだ。

 
 20年ほど前、北九州市出身の同僚が「昨日、彼女とデートで柴又を散策してきた」という話を聞いて、感心した記憶があった。当時の私にとっては、「そのような彼女との1日の過ごし方は渋いな」と思ったのかもしれない。

 

 
 しかし、それから20年近く経つというのに、私は柴又を訪れなかった。このまま行くと、本当に柴又を訪れないままに、私は東京という街を離れてしまうかもしれないと考えたのだ。

 
 想像よりも小さな街だったが、私はすごく満足した。猛暑日で帝釈天の参道にも人影はあまりなかった。大奮発して宇治金時ミルクのかき氷を食べた。そして、少し足を伸ばして「矢切の渡し」に辿り着いた。

 
 青い空が広がる江戸川は、世界的な疫病の流行を忘れさせるほど新鮮な空気で満ちていた。

 
 草いきれのすごい船着き場で、1人の男が「今日は暑いからぐるっと回っても200円でいいです」と声が聞こえた。こちらからは、その男の姿は見えなかった。私は素朴な文字で書かれた「矢切の渡し」という木の看板がいたく気に入った。観光客がいない渡し場は、3密とは無縁の世界だった。

 

 
 別の日、私はクルマに乗って、松本市方面へ国道20号線をのんびりと走った。長野方面は中央自動車道を使った旅ばかりだったので、今回は下道のみの旅行をしたかった。緑あふれる森林の中ではエアコンを止め、窓を開けて思いっきり深呼吸をした。帰りは八ヶ岳に寄り道をして涼み、高原リゾートの底力を感じた。新型コロナウイルスと猛暑が重なるこの夏は、読書や、人のいない場所で、自分なりの楽しみを見つけていこうと思う。

(編集長・増田 剛)