JNTO、訪日外客数が上向きの兆し 留学と技能実習が7割占める

2020年12月28日(月) 配信

JNTOの金子正志理事

 日本政府観光局(JNTO)は12月24日(木)、11月の訪日外客数が前月から倍増した要因について、留学と技能実習による新規入国者が増加したためと説明した。また、東京2020オリンピック・パラリンピックを契機とした海外向けプロモーションについて、来年2月中旬から開始する見通しを示した。

 11月の訪日外客数5万6700人(推計値)のうち、留学と技能実習が全体の7割を占める。同日に東京・四谷の本部で開いた会見で金子正志理事は、今年9月以降、訪日外客数は増加傾向にあり、「徐々に上向きの兆し」と述べた。

 日本では10月からビジネスなど一定の条件下での入国を可能とし、11月以降は隔離措置はあるものの11カ国・地域の入国拒否を解除。段階的な緩和を行っている。対象はビジネスから留学、家族の滞在など順次対象を拡大しているが、現時点では観光目的への拡大は見通せない状況だという。(※12月26日発表:12月28日~来年1月まで、すべての国・地域からの外国人の新規入国を停止)

東京五輪を契機としたプロモ「2月中旬から」

 プロモーションについては、来年7月23日(金)に開幕する東京2020オリンピック・パラリンピックが世界各地に放映されるのをきっかけに、日本の地方の魅力を重点的に発信していく。

 来年で東日本大震災から10年となる3月11日(木)や、聖火リレーの始まる3月25日(木)に日本への注目が高まるのを想定し、「JNTOが本腰を入れるスタート地点は2月中旬」とし、広告や番組、ウェブ、メディアを活用した取り組みを行っていく。

 さまざまな自然やアウトドアアクティビティを強力に訴求し、大会後の訪日旅行につなげていく。併せて、障害者や高齢者も安心して旅行ができる体制が整備されていることも発信していく。

 金子理事は、今年1年の成果について「国内の地域の方々と連携し、一緒にプロモーションを進めることができた」と振り返った。「発信する内容は地域の方々が作っていただき、我われと一緒に発信していくプロセスが大事。この部分により力が注げる状況になった。JNTOサイトの和文化にもつながった」と自信を見せた。

「JNTOインバウンド旅行振興フォーラム」を来年2月開催

 JNTOの海外事務所長らが海外市場の最新情報を提供する「インバウンド旅行振興フォーラム」を来年2月18日(木)・19日(金)に、東京・品川の品川プリンスホテルで開催する。ハイブリッド形式の実施とし、会場参加またはオンライン参加(講演会のみ)の選択ができる。

JNTOの取り組み

 Withコロナ時代を見据え、JNTOでは日本の魅力を海外に発信する取り組みを強化している。一例として、自治体やDMOの作成動画、記事を募り、海外事務所から発信する「Japan’s Local Treasures事業」を開始した。今年度中に動画100件、記事300件程度を発信する。

 また、コロナ禍でも日本への関心を維持させる施策として、ライブ配信「Fun Fun Home」を実施。沖縄県の居酒屋から島唄ライブや、河口湖からの紅葉祭りを紹介するなど、「日本の今」が楽しめるコンテンツを海外6事務所のフェイスブックを通じて発信している。

 一方で、MICEの日本開催にも力を入れる。2019年には日本で3621件のMICEが開催され、8年連続で過去最高を更新。参加者総数は200万人にのぼる。今年12月15日(火)・16日(水)には、神奈川県横浜市で、世界のMICEを牽引するICCA(国際会議協会)の地域部会海外をハイブリッド形式で開催され、14カ国・地域から約300人(来場約170人、オンライン約130人)が参加した。

 金子理事は「日本でMICEができる状態だと世界に発信することが大事。アピールしていきたい」と力を込めた。今後は、2022年の国際熱電交換会議(開催都市:宮城県仙台市、規模:800人)、24年の国際昆虫学会議(京都府京都市、3000人)などが既に決定している。

大学生が修旅生案内 大阪B&Sプログラム

2020年12月28日(月) 配信

北村豪執行役員(左)と溝畑宏理事長

 JTBと大阪観光局、留学生支援コンソーシアム大阪の3者は、新たに大阪の観光振興を目的とした「大阪B&S(Brothers&Sisters)プロジェクト」を発足した。大阪を訪れる国内外の教育旅行団体に対し、大阪で学ぶ大学生や留学生がガイド役となり、兄弟姉妹のように交流しながら、大阪の魅力を紹介する体験型教育旅行プログラム「大阪B&Sプログラム」を開発。同プログラムを通じて、大阪のファンを増やし、地域活性化につなげていく。

 同プログラムは、2025年の大阪・関西万博を控え、インバウンドの復活だけでなく、国内旅行の需要喚起が必要とされるなか、「未来を担う学生に、もっと大阪に来てもらい、街の魅力を知ってもらいたい」との思いから誕生した。

 大阪を訪れる中高生6―8人につき、大阪で学ぶ大学生または留学生1人がガイド役となり、兄弟姉妹のように交流しながら、公共交通機関を利用して各地を散策。大阪の魅力を紹介する。

 料金は中高生1人当たり2600円(税別)。交通費、入場料、食事代は別途必要。大阪市内の場合、8つのモデルコースから、2コースを組み合わせて実施する。所要時間は5時間以内。既に学校や旅行会社を対象に予約を受け付けており、21年5月から稼働させる。

 また、学生に代わって、吉本興業の若手芸人がガイド役を務める「大阪B&Sプログラムwithよしもと」も展開する。若手芸人が学生を案内しながら大阪の歴史や文化を面白おかしく紹介。最後は、なんばグランド花月で観劇を楽しむという“大阪ならでは”のプログラムとなる。

 昨年11月24日に、大阪観光局で開かれた記者会見で、JTB関西広域代表の北村豪執行役員は「今回のプログラムは、修学旅行生が、従来の修学旅行とは一味違った体験が味わえ、ガイド役の学生には、大阪の魅力を再発見できる良い機会となる。また、大阪にとっても、地元ファンを増やし、交流人口の拡大が期待できるなど、3者それぞれにメリットのある事業となる」と紹介。

 大阪観光局の溝畑宏理事長は「全国的にも、あまり前例のない斬新な取り組み。ぜひ成功させて、広めていきたい」と述べた。

JTB調査、年末年始の国内旅行者数は前年比73%減 Go Toトラベル一時停止で

2020年12月28日(月) 配信

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 JTB総合研究所は12月25日(金)、「Go Toトラベルキャンペーン」の全国一時停止措置を受け、年末年始(2020年12月23日~2021年1月3日)国内旅行の再推計値を発表した。

 年末年始に1泊以上の国内旅行に出掛ける人は、前年比73%減の790.2万人で、国内旅行消費額は2607.6億円(同72.2%減)となり、Go To全国一時停止による消費減少額は3187.1億円にのぼるとみる。

 同研究所は12月当初、推計値を国内旅行者数が同40%減の1755.0万人、国内旅行消費額5794.7億円としていたが、新型コロナウイルスの感染拡大とGo Toトラベルの全国一時停止を受け、見直しを行った。

HIS、西松屋と協業してタイ・シンガポールで商品販売へ 売場としてHIS店舗活用 

2020年12月28日(月) 配信

HISの現地法人の店舗とウェブサイトで商品を販売する

 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)の海外現地法人HISタイ法人とHISシンガポール法人は2021年1月8日(金)から、西松屋チェーンと協業し、現地在住者に現地のHIS店舗でベビー服や肌着、水着などを販売する。タイとシンガポールは世界の中でも在留邦人数が多いことから日本人の需要を狙う。

 西松屋は設立から60年以上、日本国内で“安全”と“便利”、“お手頃価格”をコンセプトにベビー・子供・マタニティ商品を売り出している。近年のインバウンド需要拡大もあり、海外在住者にも西松屋ブランドの商品の需要拡大から現在海外15の国・地域にも自社プライベートブランド商品を発売する。

 販売店舗はHISタイ法人のアソーク本店とシラチャ―支店、チェンマイ支店などタイ国内10店舗をはじめ、HISシンガポール法人のシンガポール支店となる。このほか、オンラインでも取り扱う。

 HISは21年1月中に、HIS中国法人でも売り出す。今後同社の201拠点のグローバルネットワークで、世界に進出する企業との協業や製品の海外進出を支援する商社ビジネスの機能と事業の拡大を目指す。

豊橋の路面電車がカフェに! 東武トップツアーズらが企画

2020年12月27日(日)配信

レトロ可愛い車内でカフェを楽しむ

 東武トップツアーズ(坂巻伸昭社長、東京都墨田区)はこのほど、愛知県豊橋市や豊橋観光コンベンション協会、豊橋鉄道らと連携し、「カフェトレ実行委員会」を結成した。2021年2月に路面電車がカフェになる「カフェトレ」を運行する。観光庁に採択された「誘客多角化事業等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」の一環。

 カフェトレでは、豊橋が生産量日本一を誇る花「エディブルフラワー」を使ったスイーツなど、東武トップツアーズ豊橋支店の社員おすすめの人気カフェメニューを提供する。車内外にも花をあしらい、レトロで可愛い空間を演出する。

 期間は2021年2月11日(木・祝)~23日(火・祝)までの火・木・土・日曜日の計8日間。1日1便、約90分で運行する。

 なお、ソーシャルディスタンス確保のため、全便予約制で申込はLINE公式アカウントから。

5感で大分を疑似旅行 土産・名産品を詰め込んだギフトBOX 販売に向けクラウドファンディング開始

2020年12月27日(日)配信

 大分の老舗菓子店「やせうま本舗 田口菓子舗」はこのほど、地元の物産品関係5社と協力し、自宅にいながら大分旅行が疑似体験できるギフトBOX「OITA TRAVEL BOX」の販売に向け、クラウドファンディングを開始した。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、観光客はもちろん、地元の人たちも帰省できない日々が続いている。街での消費は減る一方で、観光客への土産を主な販路としていたやせうま本舗も、5月の売り上げは前年比9割減に。古くから地元で愛されてきた老舗が長い歴史に幕を下ろすことを余儀なくされるなど、大分の物産品関連企業は現在も苦しい状況を抱えている。

 今回、やせうま本舗では、地元の物産品関係者とも話し合いを重ねるなか、大分の物産の魅力を結集し、「家にいながら大分の魅力をたん能してもらいたい」「大分旅行を味わってもらいたい」と考え、クラウドファンディングを立ち上げた。「OITA TRAVEL BOX」は6種類の魅力ある特産品のほか、大分1泊2日の旅行のなかで体験する景色や音を映像にし、QRコードを読み込ませることで再生できる「トラベルブック」も同封する。 

ニューグリンピア津南、ランタン打ち上げ体験実施中 記念グッズも販売

2020年12月26日(土) 配信

イベントのようす。料金は1個1500円

 津南高原開発(樋口明社長、新潟県・津南町)が運営する総合リゾート施設「ニュー・グリーンピア津南」(同)は2021年3月31日(水)まで、「ランタンの打ち上げ体験」を行っている。

 同イベントは東日本大震災や新潟・長野県境地震の復興を祈願し、2012年に開始した。ゲレンデに集まったカップルや家族連れなどが、それぞれ願いを込めたランタンを夜空へ放つ。売店では打ち上げを記念して、ランタンTシャツとランタンタオルハンカチ、手ぬぐい、ランタンクッキーなどの記念グッズを売り出す。

 空飛ぶランタンはタイや台湾などの祭りで無病息災を祈る儀式で上げる熱気球の一種。コムローイや天灯などとも呼ばれており、直径約60㌢、高さ約80㌢のランタンに火をともし熱気球のように浮かび上がる。

 スタート時間は午後5:00。料金は1個1500円。同社はランタンの打ち上げ体験がセットになった宿泊プランも用意している。なお、悪天候の場合は中止する。

ウェブ賽銭箱を設置、現地もキャッシュレス決済可能に 大本山成田山久留米分院

2020年12月26日(土) 配信

iPadレジ設置

 救世慈母大観音像をシンボルとする大本山成田山 久留米分院(福岡県久留米市)はこのほど、公式ホームページをリニューアルし、Web賽銭箱や御朱印ダウンロードなど新たな機能を追加した。現地での御守り購入や御祈願料もキャッシュレス決済を導入した。

 新型コロナウイルス感染拡大で、非接触や非対面でのサービスが推奨されるなか、現代に即した宗教の在り方を模索した。コロナ感染防止など、実際に参拝するのが難しいときでもオンラインで信仰を深めてもらいたい考え。

 HPの追加内容は、通販サイトのクレジットカード決済・銀行振り込み・コンビニ決済の導入やWeb賽銭箱、御朱印ダウンロード、公式SNS開設など。今後も新たな機能の追加を予定しているという。

Go To利用実績  約7000万人泊利用、割引支援額は3215億円 観光庁

2020年12月25日(金) 配信

観光庁

 観光庁はこのほど、7月22日(水)~11月30日(月)までのGo Toトラベル事業の利用実績を発表した。利用人泊数は約6850万人泊、割引支援額は約3215億円となり、地域共通クーポンの付与額は、約848億円(10月1日~12月21日)規模に達している。

 1人泊当たりの割引支援額は約4694円で、1人泊当たりの旅行代金は約1万3412円と推計した。

 同事業開始からの利用人泊数は、8月末時点で少なくとも1532万人泊、9月末で2990万人泊、10月末で5196万人泊、11月末で6850万人泊と、前月比1000万人泊以上増で推移している。

JATA、国際交流再開は「来年3月ごろから」 東京五輪の有観客開催見据え

2020年12月25日(金) 配信

池畑孝治理事・事務局長

 日本旅行業協会(JATA)は12月24日(木)、今年最後の定例会見を開いた。池畑孝治理事・事務局長は、国際交流再開の見通しについて「来年3月ごろから交流ができるよう進めていきたい」と述べた。JATA会員の売上の約4割を占める国際交流について、国・地域を限定したうえで双方の限定的な往来を開始し、東京2020オリンピック・パラリンピックの有観客開催につなげたい考えだ。

 「新型コロナウイルスの感染状況をみながら」としたうえで、現時点で想定するスケジュールについて説明した。東京2020オリンピック開幕前から選手や関係者が来日することを鑑み、国際交流の実証的な取り組みを3~6月ごろまで実施する。航空会社など関係事業者と連携し、観光庁とも交流再開に向けた話し合いを進めていることも明かした。

 「(7月23日の)オリンピック開幕のころには、国内旅行も十分楽しめるようになり、パラリンピック閉幕の9月初旬には観光旅行も再開できるよう取り組んでいきたい。本格的な再開の位置付けは、ツーリズムEXPOジャパン大阪にしたい」と述べた。

 実証的な取り組みは、通常の旅行ではなく、人数や行動なども制限したうえでの交流になるとみられる。会員の協力を得ながら科学的なデータ分析も行い、検証を進める。

 交流の対象エリアは、ビジネストラックの運用を開始した4カ国・地域(シンガポール・韓国・ベトナム・中国)や、感染症危険情報がレベル2になっている14カ国・地域(タイ、カンボジア、スリランカ、オーストラリア、ニュージーランドなど)などを想定。一方で「日本の感染レベルが落ち着いているこも条件となる」と述べ、相手国の判断が欠かせないとした。

 「とくにアジアは感染が落ち着いたら日本に行きたいという希望は本当に強くある。観光庁や国土交通省、航空局、厚生労働省など関係各所と連携しながら取り組みを強化していきたい」と語った。

 また、Go Toトラベル事業の一時停止について問われ、「東京都が対象に追加された10月から潮目が変わり、11月から売上が伸びてきたところでの措置だった。通常であれば、年末年始は書き入れ時。旅行会社は大変な状況だと思う」と憂慮した。

 現在、旅行代金の50%に引き上げられた事業者補償の範囲については「被害を受けた人に公平にという意図がある。旅行会社が補償を独り占めということは一切ない。国から通達が出るのを待っている状態。決められた通りに遂行するのが我われの義務だ」と述べた。

 最後に、現職就任からの半年間を振り返った。越智良典参与(前理事・事務局長)の旅行業界を守る懸命な姿勢に刺激を受け、「業界が復活できるようみんなでベクトルを合わせていかなければならない。まだこれからが大変だが、我われができることをしっかりと取り組んでいきたい」と力を込めた。また、「(コロナ禍でのツーリズムEXPOジャパン開催について)『こんな時に』と思われるかもしれないが、こういう時だからこそ感染防止対策をしっかりと講じたうえで、やらなければいけないと思っている」と語った。