ギフティ、航空2社のふるさと納税と連携 「ANAの旅先納税」「JALの旅先納税」開始

2024年9月2日(月) 配信

6自治体でスタートした「ANAの旅先納税」

 電子ギフト事業などを手掛ける、ギフティ(太田睦・鈴木達哉社長、東京都品川区)は8月20日(火)、ANAあきんどが運営する「ANAのふるさと納税」と連携し、「ANAの旅先納税」を開始した。また、9月1日(日)からは、日本航空(JAL)、JALUXと連携し、「JALふるさと納税」で「JALの旅先納税」サービスの提供を開始。これにより航空2社のふるさと納税サイトで、返礼品として旅先の電子商品券を受け取れるほか、マイルも貯めることができる。

 ギフティが展開する「旅先納税®」は旅マエや旅ナカで、対象自治体にふるさと納税を行うと、返礼品としてその地域の電子商品券「e街ギフト®」を即時に受け取れるもの。商品券はその地域の飲食店や宿泊施設、土産物施設など加盟店舗で利用できる。年々、同返礼品を扱う自治体は増加しており、8月20日時点で計75自治体が導入している。

 「ANAのふるさと納税」では、これまで、ANA便と宿泊施設を組み合わせたダイナミックパッケージや宿泊で使用できる割引クーポンをANAオリジナル返礼品として展開。応援したい地域や興味がある地域へ訪れる「きっかけ作り」に取り組んできたという。実際に足を運んだ地域の魅力を「五感でより一層感じてもらいたい」ことから、今回、電子商品券の導入を決めた。「ANAの旅先納税」は北海道千歳市と倶知安町、埼玉県川越市、京都府京都市、和歌山県・白浜町、岡山県瀬戸内市の6自治体から開始。対象自治体は順次拡大していく予定だ。

 

 一方、JALグループは、「ふるさと割」や「JALふるさとプロジェクト」などを通じて、自治体や地域の発展、地域経済の活性化に取り組んでおり、その一環として20年11月から「JALふるさと納税」ポータルサイトを運営。22年11月にはJALとギフティは業務提携契約を結び、「旅先納税®」の利便性やメリットを発信するプロモーションやキャンペーンを実施し、寄附者の新規獲得や「e街ギフト®」の利用促進に取り組んでいる。

 「JALの旅先納税」開始時の対象自治体は、北海道千歳市と倶知安町、和歌山県・白浜町、島根県出雲市、鹿児島県奄美市、喜界町、龍郷町、徳之島町、伊仙町、天城町、和泊町、知名町。

 また、今回のサービス開始を記念して、「JALふるさと納税」の旅行・体験カテゴリーの返礼品に合計1万円以上寄附した人を対象に、JALダイナミックパッケージに使える旅行利用券などが当たるキャンペーンも実施する。1万円を1口に応募でき、寄附額が多いほど当選確率がアップする。CPは9月1~30日まで。

運転手・乗務員の業務体験ができる「でんしゃとバスのおしごと体験」(日本旅行×JR西×両備HD)

2024年9月2日(月) 配信

 

 日本旅行(小谷野悦光社長)はこのほど、西日本旅客鉄道(JR西日本)と両備ホールディングスと共同で、小学生向けに電車とバスの仕事を体験できる旅行プラン「でんしゃとバスのおしごと体験」を売り出す。

 両備バス岡山営業所、岡山駅、岡山電車支所などでそれぞれ運転手や乗務員の業務体験のほか、バックヤード見学などができる。

 両備バスでは、バス運転手の1日乗務体験として、出勤・車両点検・バス乗車・洗車機通過・就業点呼を実施。このほか、高速バス・貸切バスの実車見学ができる。

 岡山駅では、ホームで併結作業やバックヤード見学のほか、会議室で三好野本店のお弁当を提供する。子供には「ドクターイエロー×ぐでたま弁当」を用意する。

 電車支所では、入区便・出区便乗車・車両洗浄機通過体験・乗務員おしごと体験などが楽しめる。

 設定日は10月27日(日)と11月9日(土)。旅行代金は1人9800円。小学生1人以上と大人1人以上の申し込みが必要。定員は各日40人まで。

 申し込みは、9月6日(金)午前11時から。

旅館で学ぶキッズおもてなし体験プラン スタッフのサポート付きで、客室案内や布団セッティングを体験(有馬温泉・古泉閣)

2024年9月2日(月) 配信

 古泉閣(金井宏輔社長、兵庫県神戸市)はこのほど、旅館に泊まるだけではなく、伝統的なおもてなしの心を学べるプラン「旅館で学ぶキッズおもてなし体験『kidsArima』」を発売した。

 1日1組限定プランとして発売。このほど、秋の行楽シーズンの予約受付を開始した。対象年齢は3~15歳まで。体験人数は2人までとなる。

 体験内容は、旅館玄関でお客の出迎え、客室案内、夕食時のデザート提供、客室の布団のセッティングなど、スタッフのサポート付きで体験できる。また、体験中は仕事用の作務衣を貸し出す。

 給料として、チェックアウト時に館内の売店などで利用できる1000円のギフト券を、1人につき1枚プレゼントする特典付き。

 料金は1泊2食付き2万7950円~8万3900円。夕食は神戸牛の一品付き京風懐石。

HISが熊野市へ人材派遣 「地域活性化起業人制度」を活用で

2024年9月2日(月) 配信

(左から)河上敢二熊野市長、HIS 中西大策氏、HIS 官公庁・自治体営業部 若尾政彦統括部長

 エイチ・アイ・エス(HIS、東京都港区)はこのほど、三重県熊野市(河上敢二市長)とHISの人材を熊野市へ派遣する協定を結んだ。総務省が推進する「地域活性化起業人制度」を活用する。

 同制度は3大都市圏に所在する企業などの社員がそのノウハウや知見を生かし、一定期間地方自治体で地域の価値向上などにつながる業務に従事することで、両者が協力して地方への人の流れを創出するためのもの。

 今回、HISから熊野市へ派遣される社員は法人営業本部中部法人営業グループ第三営業チーム地方創生事業営業所プロジェクトマネージャーの中西大策氏。派遣期間は2024年9月から最長3年間となる。熊野市含め東紀州地域へ、国内旅行客や訪日外国人観光客を増やすための地域づくりや課題解決に取り組み、地域経済の活性化につなげていく。

 具体的には①体験プログラム、旅行商品の造成、並びにエージェントへの営業活動など販売促進に関する取り組み②宿泊を伴う滞在型観光の推進をはかるため、熊野市及び東紀州地域の観光関係者と連携した受け皿づくりに関する取り組み③旅行商品の販売促進に係るプロモーション、観光マネジメント及びマーケティング機能を強化するための取り組み④高付加価値旅行者向け手配体制(DMC)機能の設置及び手配の実施――を行う。

全国の着地型を表彰、大賞は熊本武士道ツーリズム協議会(第5回Attractive JAPAN Award)

2024年9月2日(月) 配信

第5回「Attractive JAPAN Award」では3賞を選出した

 地域ブランディング研究所(吉田博詞社長、東京都台東区)は9月2日(火)、全国の着地型滞在プランを提供する事業者・団体を表彰する第5回「Attractive JAPAN Award」の受賞者を発表した。アトラクティブジャパン大賞には、熊本武士道ツーリズム協議会(熊本県熊本市)が選ばれた。同協議会は、「日本最強の剣豪・宮本武蔵の悟りと美学にディープに迫る熊本2日間の旅」などを提供している。

アトラクティブジャパン大賞は熊本武士道ツーリズム協議会(熊本県熊本市)

 「Attractive JAPAN Award」は、審査の観点として、体験プランのブッキング数、地域らしさを体現しているか、関係者の熱意、持続性、話題性、地域貢献度などを評価。地域振興やサステナブルツーリズム、インバウンドに関わる専門家のほか、地域ブランディング研究所が運営する体験プラン予約プラットフォーム「Attractive JAPAN」スタッフの投票による各評価項目の総合点数で3賞を選出した。

 アトラクティブジャパン大賞は、地域の独自性や話題性、地域貢献性、ブッキング数や来訪数においても成果を上げているなど、総合的な観点で評価を集めた事業者・団体に贈られる。

 このほかの受賞者と代表プランは次の通り。

 【地域アイデンティティ賞】

 御諏訪太鼓興業有限会社(長野県岡谷市)

 「諏訪大社と佛法紹隆寺を巡り諏訪の信仰・精神性を体感する本格的な御諏訪太鼓の奉納演奏体験ツアー」

 【サステナブル賞】

 村上水軍商会(広島県福山市) 

 「ジブリやハリウッドの舞台となった海でシーカヤックツアー(半日コース)」

小豆島で自動運転バスの走行実証、エリア開発事業の第2弾

2024年9月2日(月) 配信

 香川県・土庄町やJTB、小豆島交通、scheme verge、BOLDLYは9月12日(木)から17日(火)の6日間、同町内で自動運転バスの走行実証を行う。

 小豆島の玄関口の1つである土庄港高速艇ターミナル(平和の群像前)と、人気観光スポットのエンジェルロード公園(小豆島国際ホテル)を結ぶ。午前10時台から午後5時台にかけて、1日7往復する。乗車無料。予約不要で先着順となる。

 使用車両はMinibus(TierⅣ製15人乗り電気バス)。自動運転レベルはアクセルやハンドルを自動で制御してドライバーをサポートする「レベル2」で、本実証ではオペレーターが乗車する。走行実証で課題を抽出し、将来的には特定条件下における完全自動運転「レベル4」での実装につなげるという。

 実証はJTBが推進するエリア開発事業「20年先の小豆島をつくるプロジェクト」の第2弾。8月1日(木)には第1弾としてIoTを搭載した最新式のシェアサイクル専用車両160台を導入した。今後はAIによる自律運航無人ボートの導入に向けた実証や、AI翻訳機ポケトークの導入などに取り組む計画だ。

Minibus(TierⅣ製15人乗り電気バス)

往復JAL直行便利用 ジャルパックが短期語学留学商品を販売

2024年9月2日(月) 配信

語学学校イメージ© International Language Academy of Canada (ILAC)

 ジャルパック(平井登社長、東京都品川区)はこのほど、日本航空(JAL)直行便を往復利用する1週間~4週間の短期語学留学商品を売り出した。ホノルルを含むアメリカ各都市やバンクーバー、ロンドン、シドニー、メルボルンを留学先としてラインナップした。

 現地の語学学校ではさまざまな国のクラスメートとともに英語を学び、ホームステイでは一般家庭での生活を通して、その国の文化や習慣を体験する。街の中心に位置する学校も多く、授業後は散策やショッピングなども楽しめるという。

 商品は航空券や学費、ホームステイ滞在などすべて含まれたプラン。滞在中は現地の緊急連絡先がサポートするほか、24時間電話対応可能な日本語救急医療サポート保険が付く。また、語学留学終了後の個人旅行のアレンジ手配が可能。

 同社は「経験豊かなスタッフが事前の相談に応じるので、学生の方はじめ、社会人・シニアの方々もぜひ語学留学にチャレンジしてみては」とアピールする。

 出発日は11月1日(金)から。申し込み期限は出発の60日前まで。

【愛知県・蒲郡】竹島水族館の新館など、リニューアル続々と

2024年9月2日(月) 配信

 渥美半島と知多半島に囲われた蒲郡は海辺の観光地で、三河湾国定公園に指定されている。市内には神社や仏閣も多く、海から山にかけ変化に富んだ景勝は、数多くの文人が好んで訪れた。長さ387メートルの橋で陸地と結ばれた蒲郡のシンボル「竹島」は、独自の植物体系を持ち、その特異性から島全体が国の天然記念物に指定されている。周辺は竹島園地として整備され、憩いの場として親しまれている。周辺エリアの話題を紹介する。

今秋、待望の新館が開業 竹島水族館

人気の「コツメカワウソ」(竹島水族館提供)

 深海生物の展示種類数に加え、解説のユニークさが日本一と言われる「竹島水族館」は24年4月、リニューアル第1弾として館内展示を一新。24年秋の新館完成をもってグランドオープンする。
 4月の新装では、深海生物の展示や名物解説パネルが大幅に増えたほか、「コツメカワウソ」もオスメス2匹が加わり、愛くるしい表情が人気を集めている。秋には既存施設の隣に新館を新築。敷地面積が約2倍となり、深海の大水槽がさらに充実するほか、カピバラの展示も復活する。
 同館は地元三河湾の魚をはじめ、常時約550種、約5000匹の生き物を展示している。担当飼育員お手製の生き物解説プレートが「日本一読まれる解説」として話題を集めている。館内展示の高さが低く、子供にも優しい施設だ。

フルーツ狩りを堪能 蒲郡オレンジパーク

みかん狩り(イメージ)

 観光農園「蒲郡オレンジパーク」では、1~5月にいちご狩り、6~9月にメロン・ぶどう狩り、10~12月にみかん狩りと、1年を通じて季節のさまざまなフルーツ狩りが楽しめる。蒲郡みかんを丸絞りしたという「極上みかんジュース」も、ぜひ味わいたい。
 人気のミカン狩りは、園内食べ放題で、1キロのおみやげ付き。大人(中学生以上)1430円、小学生1320円、幼児(3才以上、おみやげなし)550円。名物「あさり釜まぶし御膳」とみかん狩りがセットになったお得なプランは大人2800円。

今年は開業90周年 蒲郡クラシックホテル

三河湾を一望する高台に立地

 高台にあり、華麗な城郭風建築の外観が目を引く「蒲郡クラシックホテル」。その前身は、第1回 国際観光ホテルに指定された蒲郡ホテルで、24年3月には開業90年を迎えた。
 格調高い城郭風建築の外観に加え、内装や調度品は伝統のアール・デコ様式で統一。三河湾を一望する高台に建つ建物からは、国の天然記念物の竹島を望むことができる。地元の食材を生かした個性豊かな食事は、フレンチや料亭など3つのレストランで楽しむことができる。
 第二次世界大戦以前に建てられ、その建物を維持(改修、復原を含む)、文化財や産業遺産などの認定を受けているなどの条件を満たした国内9ホテルでつくる「日本クラシックホテルの会」にも加盟している。

露天風呂付客室が誕生 ホテル竹島

ゆったりと景色を眺めながら温泉に浸かれる

 竹島を一望する全室オーシャンフロントの「ホテル竹島」に24年2月、天然温泉が楽しめる露天風呂付客室4室がリニューアルオープンした。
 各部屋にはゆったりと景色を眺めながら温泉に浸かれる陶器の露天風呂を配したほか、シモンズ社製ベッドを採用。品質を重視したアメニティやバスローブ、本格的コーヒーマシンも備えている。琉球畳を敷きつめた和モダンな空間から眺める海の景色は、朝焼けから夕暮れまで色とりどりに移り変わり、夜は竹島橋のライトアップも楽しめる。
 食事は三河湾の旬を楽しめる和食レストランや、一流シェフが腕を振るうフランス料理中心の洋食レストランなど、好みに合わせて選ぶことができる。

客室やラウンジ、新装続々と 天の丸

ラウンジから望む夜景

 東に三河湾、西に名古屋方向を見下ろすロケーションが魅力の「天の丸」では、23年夏の客室新装や24年2月のラウンジオープンなど、新施設が続々オープンしている。
 23年7月のリニューアルでは角部屋スイートやデラックスツインの2タイプ6部屋に加え、ソニーの犬型ロボット「aibo(アイボ)」と過ごすことができるaiboルーム2部屋が誕生した。24年2月にオープンしたラウンジ「LUXURY LOUNGE STARS」は、新しくオープンした8室の宿泊客専用施設で、チェックイン後にはティータイム、夜は食後の一杯など、思い思いの時間を過ごせる。オーディオブックが聴ける専用のタブレットとヘッドフォンも用意している。

観光による稼げる地域・産業の実現へ 【対談】長﨑敏志氏(観光庁観光地域振興部長)×篠原靖氏(跡見学園女子大学観光コミュニティ学部 准教授)

2024年9月2日(月) 配信

観光庁 観光地域振興部長 長﨑敏志氏(右)と
跡見学園女子大学 観光コミュニティ学部 准教授 篠原靖氏

  今年7月1日付で、観光庁観光地域振興部長に長﨑敏志氏が就任した。長﨑氏は2014年から2年間、観光庁観光資源課の課長として、観光コンテンツの整備事業を手掛けていた。8年ぶりに観光庁に戻った長﨑氏と、内閣府地域活性化伝道師で観光コンテンツの開発や人材教育などに取り組んでいる跡見学園女子大学准教授の篠原靖氏が対談。観光による稼げる地域・産業の実現に向けた課題や、地域の観光資源の可能性を生かした経済効果を探った。              

【木下 裕斗】

 篠原:長﨑部長が約8年ぶりに観光庁へ戻ってきました。観光庁を離れたあとも、観光の関係者と深く交流し、地域を支援してこられました。
 温和な性格で観光をこよなく愛しており、長﨑ファンの観光従事者は大変多くいます。

篠原靖氏

 長﨑:着任の決定後から、観光に関わるさまざまな会議で、参加者から「お帰りなさい」と声を掛けてもらいました。本当に身の引き締まる思いです。
 私は、前職は、内閣官房国際博覧会推進本部事務局の次長として、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の円滑な準備と運営に関する施策を推進していました。
 開催まで1年を切るタイミングで職を離れることは、心残りではありましたが、新たな観光地域振興部長というポジションでも万博に貢献していきたいと思います。
 大阪・関西万博は、2290万人の来場者のうち、海外から350万人の入場を想定しています。万博と合わせて日本の各地を巡ってもらえるよう取り組みます。
 かつての観光資源課長時代を振り返ると、当時は、就任前年の13年に訪日外客数が初めて1千万人を超え、15年には約2千万人に達し、アウトバウンドとインバウンドの客数が逆転するという激変の時期でした。
 このため、観光庁においても訪日外客数を増やすため、ビジット・ジャパン・キャンペーンを中心にさまざまなCPを展開していました。
 一方、私は地域担当の課長として、観光資源の磨き上げを担当していましたが、当時の予算規模は、14年は約10億円と細々としたものでした。その後、16年には60億円と急に増えたことから、それを真の意味ある施策に役立てようと、篠原先生をはじめ、多くの関係者と一緒に悩みながら、取り組んだ記憶があります。
 今回こうして観光地域振興部長として戻ってきましたが、当時を振り返りつつも、心新たに職務へ邁進する所存です。

長﨑敏志氏

 篠原:14~16年はインバウンド市場が急速に成長した時期で、地域資源の発掘や磨き上げ、情報発信のほか、受入体制を構築していく過渡期でした。以降も訪日客数は増加し、日本の観光行政は大きく変容しました。
 現在、観光庁では23年3月に閣議決定された第4次観光立国推進基本計画をベースに施策が展開されています。
 基本的な方針として、「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」が示されました。日本経済を支える屋台骨としての観光や、地域消費を向上させ、地方を創生するための観光の位置づけが、より重要になっています。

 長﨑:政府においては、コロナ禍前までは、主に人数をベースとして、さまざま観光政策を講じてきましたが、第4次観光立国推進基本計画では、これに加えて、消費額も追求することとしました。観光立国を実現する意味をより精緻に議論し、社会的経済的意義を分かってもらえる論理を再構成した結果だと認識しています。
 3つの基本的な方針のうち、「持続可能な観光」では、産業をより稼げるよう成長を促していきます。
 かつては、旅行会社が中心となって、消費者へ需要を喚起していましたが、時代が変化するなかで、地域の視点に立った観光地域づくりの司令塔として、稼ぐ力を引き出すDMOを育成していくことも欠かせません。また、OTA(オンライン旅行会社)などの新しい業種に対し、観光庁として位置づけを持ち、産業全体を育成していく必要もあります。
 日本は、貿易立国といわれ、製品輸出によって利益を享受していた時代がありましたが、23年度の貿易収支は5・3兆円の赤字となっており、経済構造が激変しています。このため、別のカタチで稼ぐ力を養うことが必要です。
 海外から観光で人を呼び込むことは、数兆円規模のサービス収支の改善効果を見込むことができます。また、観光は移動や宿泊、アクティビティなど幅広い事業者に経済効果をもたらすことも特徴です。これが2つ目の柱である「消費額の拡大」の意義だと考えます。
 最後の柱である「地方誘客」に力を入れることは、地域経済の低迷や人口減少により、消滅可能性自治体が報道されるなかで、経済や生活が成立する社会を築き、地域の持続可能性を高める効果があると考えます。

 篠原:訪日客は日本の観光業界に欠かせない存在となっています。
 観光庁の今年度予算は、前年度比63・9%増の503億1800万円と大幅に増え、多岐にわたる訪日旅行の支援事業が大きく動き出し、新たな観光立国への幕開けとなりました。今後、日本で伸び代のあるインバウンド市場で、最も大切なことは、地域を訪日客の需要に合った食事や体験、お土産などを提供できるように育てることだと考えます。

 長﨑:おっしゃる通りです。地方誘客のためには、観光資源を発掘し、磨き上げ、高品質化を行ったうえで、正当な対価を得る収益モデルを構築することが重要であり、観光庁としてもさまざまな支援メニューを用意しています。

 篠原:同じ自治体が言葉を変えながら複数の支援事業に応募し、採択されているケースがありますが、観光庁は単品の事業評価でなく、自治体ごとにトータルで評価を行わなくてはいけません。観光は、1~3次産業すべての総力戦で地域の魅力を磨き上げ、アピールしなければ、稼ぐ仕組みをつくることは難しいです。

 長﨑:支援メニューが増えた結果、特定の地域において、複数の補助を受ける状況が生じ、有効活用がはかられているかの実態把握がしづらくなっていることは、課題として認識しています。今後は、地域ごとにトータルで成果を把握していくよう改善が必要です。

 篠原:観光庁の努力もあり、DMOは順調に数を伸ばしているが、機能不全に陥った組織もあります。

 長﨑:DMOは広域連携DMOと地域連携DMO、地域DMOに分類され、それぞれの役割を有していますが、今後は、組織数の増加を求めるのではなく、個々のDMOがその機能を最大限発揮できているかを把握する段階に入ったと思っています。
 篠原先生をはじめ、専門家からのアドバイスを聞きながら、観光庁として、できることを具体化していきます。

 篠原:観光業界では他産業との賃金格差が課題であり、賃金を上げていく仕組みが不可欠です。高単価で泊まってもらい、消費額を増やさなければ、給料は上がりません。
 観光業の平均賃金がほかの産業を下回るなか、地域の観光従事者に仕事を続けていただくのは限界があります。
 私の大学のゼミ生も卒業後、観光業界で働いており、最初はお客から褒められたり、感謝の言葉をもらうことで、やりがいを持って仕事に臨んでいます。
 しかし、5~6年ほど経過すると、ほかの産業や地域との賃金格差に気づき、気持ちだけで続けることが難しくなります。
 観光業界で、さらに稼いでいくモデルを構築できれば、人材が定着し、育成することもできます。

 長﨑:旅行商品の価格を上げるためには、付加価値を上げる必要がありますが、それにはコストや手間が掛かります。しかしながら、これに取り組まなければ、良い人材は集まらず、産業としても発展しません。
 観光庁においては、観光業者だけではなく、幅広い地域の関係者を巻き込み、さらなる高付加価値化を実現する好循環を生み出す取り組みに対し支援することとしています。短期的な成果を追い求めるのではなく、中長期的な視点から、持続可能なモデルを目指す取り組みを重点的に支援していきたいと思います。

 篠原:観光税や宿泊税など新たな観光財源を得ようとする自治体が増えました。

 長﨑:自治体が新たな税を導入するか否かについては、それぞれが自らのこととして判断すべき問題とは思いますが、オーバーツーリズム、高付加価値化など、地域全体での取り組みが必要となっている現状において、安定的な観光財源を確保することは重要な課題であり、議論の契機となることに期待を寄せています。
 また、一部地域では二重価格の設定に関する検討がなされていますが、海外では外国語の解説板やガイドなど付加価値を付けることにより、違和感なく受け入れられている事例もあります。宿泊税と同様、外国人旅行者の満足度を上げるための財源確保という観点も含めて検討していただければと思います。
 いずれにしても、日本でも提供する観光サービとそれに対する価格を検証するきっかけになることを期待します。

 篠原:観光庁の支援事業はここ数年間で、大変充実してきました。
 今まで観光とは無縁だった地域が改めて地域資源を見つめ直し、観光の視点で顧客価値を創造しながら受入体制の整備をしていこうとする自治体が増加しています。今年度、観光庁の事業で注目されている事業として、観光資源課が行っている「地域観光新発見事業」があります。私はこの事業に設計段階から関わっており、1次と2次を合わせて719件が採択され、実際に動き出しました。

 長﨑:地域観光新発見事業は、地域の観光資源を活用した観光コンテンツについて、マーケティングデータを生かした磨き上げから販路開拓および情報発信までをサポートしています。訪日客に限らず国内観光客の地方誘客に資する観光コンテンツの造成を行うことができる点が特徴です。
 観光庁としては、この支援制度を活用し、各地域が観光消費を創出するための仕掛けづくりを行い、稼げる観光を目指してほしいと考えています。
 私が観光資源課長だったころ、課の予算が増加しても、地域からの申請が少なく、苦労しました。当時は、地域にとって観光庁がパートナーとしは認知されていなかったのだと思います。
 そのことを考えると、多数の申請がなされ、倍率も向上している現在の状況は、隔世の感があります。

 篠原:地域観光新発見事業は観光資源課の豊重巨之新コンテンツ開発推進室長が告知の準備や、1日でも長い公募の期間を設けるために、尽力していました。担当者を含めた観光庁全体の情熱が大きくなってきており、より攻めの舞台に上がってきました。

 長﨑:より良い地域の取り組みを支援することは、観光庁の職員のやりがいにもつながっています。互いに情熱を持って観光振興をはかれることに、大変ありがたく感じています。

 篠原:最後に、日本をはじめとした世界の観光関係者に、地域振興施策を講じるうえでの意気込みを語ってください。

 長﨑:インバウンドについては、このまま順調に進めば、24年は、訪日外国人旅行者数は3500万人、消費額は8兆円と過去最高となることが視野に入っています。この効果を東京や大阪などの都市圏だけではなく、全国各地へ波及させることが私の使命であり、まさに今が絶好のタイミングと捉えています。
 観光庁は、各地方運輸局などの組織も最大限に動員しながら、現場に入り込み、各地域が自信と誇りを持って、観光まちづくりに向けて取り組みを進められるよう取り組んでおり、私もその先頭に立って汗をかきたいと思っています。
 現在、ライドシェアが話題となっておりますが、国土交通省においては、これを地域交通の空白問題と捉え生活交通だけでなく、観光の2次交通の確保の観点からも、課題解決をはかることとしています。観光庁としても、このような機会を生かして地域の声を聞きながら、さらなる連携強化を目指します。
 観光庁や各自治体、観光事業者の職員の皆様方がこれまで注いできた努力を成果として開花させられるよう、少しでもお役に立つこと、それが自分の役目だと肝に銘じて邁進していきます。

「台湾観光通信」~台湾の最新情報一挙公開~②

2024年9月2日(月) 配信

台湾流「中秋シーズン」の過ごし方2024年9月17日旧暦8月15日

文旦イメージ

 今年の9月17日は、1年で一番美しい満月を観賞できる日である台湾4大節句のひとつ中秋節(旧暦8月15日)にあたるため、台湾では祝日となります。

 この時期には、各店自慢の月餅や蛋黄酥など、満月にちなんだ丸いお菓子を贈り合い、家族や友人が集い月見を楽しみながらバーベキューをするなど、台湾スタイルの中秋イベントを賑やかに過ごします。

 また、中秋の必食フルーツの代表格である台湾の文旦=写真=は、レトロな街並みが残る台南市麻豆や、花蓮県瑞穂を筆頭に、中南東部各地で栽培され、一般市場に出荷されます。

 独特な甘さと、酸味の絶妙な味わいをお楽しみいただきながら、台湾流の中秋シーズンをぜひ本場でご体感ください。

「東港迎王平安祭」屏東県東港・東隆宮(2024年9月28日~10月5日)

東隆宮(台湾観光庁)

 台湾の無形文化資産(民俗)に登録されている「東港迎王平安祭」は、南部の屏東県東港の東隆宮にて8日間をかけて疫病を鎮める神様「王爺」を海へ送り出す、平和を祈る民俗行事です。

 東隆宮は東港鎮の中正路上に位置し、正門には純金で作られた巨大なゲートがあり壮観です。ここは東港の人々にとって信仰の中心となっています。

 辰年の今年は3年に一度の開催年を迎え、同祭のために紙や木材で建造した祭事用の巨大な船(画像)に「王爺」の旅路に向けたさまざまな儀式や練り歩きが行われ、祭りの最高潮を迎える最終日「送王」では、同船に火を放つ迫力満点の厄払い「焼王船」が盛大に催されます。

詳細はこちら

台湾各地の観光代表団が来日 TEJに「台湾館」9月26~27日業界日、28~29日一般日

今年のTEJ台湾観光館は過去最大規模に

 2年ぶりに東京ビッグサイトで開催する世界最大級の旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン」に、台湾観光庁(観光署)・台湾観光協会ほか、各地の自治体や旅行会社、ホテル、観光施設など総勢120人を超える観光関係者が台湾観光代表団として来日し、観光プロモーションを展開します。過去最大規模となる今年の台湾館(パビリオン)では、多彩なステージプログラムやワークショップ体験、商談コーナーなどを設けて台湾各地の個性あふれる魅力やお得な観光情報をご案内します。

 台湾観光庁では、9月26日のTEJ開幕に向けて、協賛旅行会社各社とのTEJ台湾ツアーキャンペーンをはじめ、お得なプランを台湾観光庁「いくたび、ふたたび台湾」サイトにて順次発表を予定しています。ぜひお見逃しなく。

詳細はこちら①
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台湾観光庁

東京事務所 03(3501)3591 大阪事務所 06(6316)7491

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