欲しい情報を早く正確に、旅行予約サイトの新定番、フォルシア 検索システムSpook®

 フォルシア(屋代浩子社長、東京都新宿区)が独自に開発したデータベース検索システムSpook®(スプーク)は、サイト内の膨大な情報のなかから、欲しい情報を早く、正確に見つけ出すのに優れている。多くの検索対象情報を持ち、さまざまなニーズに合わせた結果を提供する必要がある旅行業界や通販業界などで、サイト開発に際し、Spook®を取り入れる企業が増えている。旅行会社の導入事例を同社広報の岩成万利子氏に聞いた。

(沖永 篤郎)

 旅行業界においては、JTBをはじめ、日本旅行、ANAセールスなど旅行業界大手サイトの60%以上で同社の検索システムが稼動。岩成氏は「リアルタイムに変化する旅行情報に対応し、膨大な量のデータから必要な情報を瞬時に提案する機能が評価されている」と話す。

 サイト利用者の8割以上の人が、検索結果のうち最初の3ページしか見ないといわれている。とくに情報量の多い旅行業界では、情報をいかにわかりやすく、探しやすく見せるかが、ネット販売成長のカギとなる。

 Spook®は、従来の旅行会社の情報データベースを再構築して、検索用に作り変える。処理速度は従来の検索システムの50―100倍。岩成氏は「従来のシステムでも忍耐強く時間をかければ検索できるが、Spook®は、同じことを超高速でできる」と語る。

 1つの画面のみで情報の絞り込みができる、ストレスのない操作性も特徴。JTBのサイトの1つ、「かんたん旅館・ホテル検索」をみると、日時や予算、人数などの基本的な検索条件以外に、「地図からの検索」のほか、温泉や露天風呂付客室、満足度85点以上、出張に便利、駅から徒歩5分以内、などの「こだわりで検索」のカテゴリーがあらかじめ用意されている。1画面上で、さまざまなニーズを組み合わせた検索ができる。「旅行会社の予約サイトとして定番化している」(岩成氏)という洗練されたレイアウトだ。

 例えば、「2月の連休に西伊豆で、満足度85%以上の旅館に泊まりたい」と検索すれば、即座に全5466軒の中から最適な5軒の宿が選び出された。

 同サイトは06年6月に稼動。稼動後、コンバージョンレート(商品購入や会員登録を行った人の割合)は、1・5倍に上がる成果を発揮した。

 日本旅行は、国内宿泊プラン以外にも航空セットプラン、国内、海外ツアーなどの検索にもSpook®を継続的に導入している。同社限定の「赤い風船フリープラン」は、宿泊プランとJRの列車がセットで選べる。同プランは、08年3月のSpook®導入後、利用は300―400%増になったという。

国内修旅で50%補償、インフルキャンセル保険(KNT)

 近畿日本ツーリスト(KNT)は、小・中学校や高等学校が実施する国内修学旅行がインフルエンザの流行によって中止になった場合、旅行取消料の一定割合を補償する「国内修学旅行インフルエンザキャンセル費用保険」を、3月1日以降に出発する修学旅行からスタートする。

 昨年、新型インフルエンザの感染拡大によって修学旅行の中止や延期が全国に広まった。しかし、これまでは国内修学旅行を実施する学校がインフルエンザに起因して修学旅行を中止、または延期した場合に取消料を担保する保険はなく、KNTは学校側からの要請を受けて、東京海上日動火災保険と商品開発を行った。

 同保険は、学校の児童、生徒がインフルエンザに感染し、拡大予防を目的に修学旅行を実施する学年が学年閉鎖、または学校閉鎖(休校)となり、保険責任期間中に修学旅行の中止、または延期を余儀なくされた場合に、損害額(取消料)の50%を保険金として支払うというもの。旅行業界では初めての試みという。

「Yokoso! Japan」に代わる新キャッチフレーズ募集

 観光庁は2003年のビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)のスタート以来使用してきた「Yokoso! Japan」に代わる新たなキャッチフレーズを募集している。応募締切りは2月15日。

 従来の「ようこそ!」はどちらかといえば国内向けのもので、海外では理解されづらい面もあった。新キャッチフレーズは、ネイティブにもわかりやすい英語表現にしたい考え。また、日本や訪日観光の魅力を簡潔・明確に表した表現であることなども条件としている。今年4月から採用し、「少なくとも1500万人を目指す『訪日3000万人プログラム第1期』の 2013年までは使用する」(溝畑宏観光庁長官)予定。

お笑いバスで皆生温泉へ、大阪―皆生温泉直行

「車内で落語など披露、冬場の雪道も楽々移動」

 鳥取県米子市観光協会と皆生温泉旅館組合は、旅行会社・アミイファクト(大阪市)と連携し、JR京都駅・新大阪駅と皆生温泉を結ぶ往復バス「お笑いバス皆生温泉号」を3月15日まで運行している。

 運行コースは京都駅を午前8時15分に出発。新大阪駅(同9時15分)を経由し、皆生温泉に午後1時30分ごろ到着する。途中、サービスエリアに停車した車内では関西若手落語家が落語や演芸を披露し、“笑いの旅”を提供する。復路は皆生温泉を午後2時30分ごろ出発し、大阪駅に7時、京都駅に8時ごろ到着する。

 往路は毎週木・金・土・日曜日に、復路は毎週金・土・日・月曜日に運行し、料金は往復5800円、片道3千円。大人・子供とも同一料金。

 運行開始日の1月23日には、新大阪駅で出発式を開き、約20人の乗車客に皆生温泉入浴剤やタオル、エコバッグ、リンゴジュースなど記念品を贈呈した。

 旅館組合の宇田川英二組合長(皆生つるや社長)は「冬場の雪道が心配なマイカー客もお笑いバスで楽々と移動できる。全国的にも珍しいバスに乗って、ぜひ皆生温泉へ」と話した。

HIS初の国内専門店、銀座めざマルシェ物産館に

 エイチ・アイ・エス(HIS)関東国内旅行営業グループは1月22日、東京・銀座5丁目に「銀座めざマルシェ国内旅行営業所」を新規オープンした。HISとして、初めての国内旅行専門取扱店舗となる。

 「銀座めざマルシェ」は、フジテレビの人気情報番組「めざましテレビ」がプロデュースを手がける全国物産館に出店。全国物産館は、47都道府県の物産品約2万点を集結。フロアごとに地域をわけて、めざましファミリーが各フロアの顔となって、出身地や思い出の場所を紹介している。

 HISは同営業所出店と合わせて、海外・国内旅行が当たる「モバイル会員登録キャンペーン」や、サンケイリビング新聞社とのタイアップ企画で、「1、2、3のつく日は女性がお得!」として、該当出発日の飛行機利用ツアーに参加した女性を対象に、1千円分のHIS旅行券をプレゼントする「女性応援キャンペーン」などを実施している。

情報の需給にギャップ、グーグルが業界のネット実態指摘(JATA)

 日本旅行業協会(JATA)は昨年12月18日、第5回マネージメントセミナーを開き、「グーグルと旅行業」をテーマに同社の講師がグーグルのITサービスの最新情報から、旅行業関連のネット検索の実態などを語った。

 第2部の「旅行関連のネット検索状況と海外のネット・マーケティング事例」で登壇したグーグル広告営業第三部の小川淳統括部長は、「検索は需要のバロメーター」と語り、2009年9月の日本における総検索数(グーグルを含む他社合計)を80・8億回(出典:コムスコア社データ)と紹介。これは、3カ月前の約1・4倍とし、「『何か知りたい』という欲求が、消費者のニーズ」と述べた。グーグルでは、1日当たり10億を超える検索が日々行われているという。

 このなかで、「旅行」関連は、商品購入の際にインターネットで調べる割合が全体の56・4%と半数以上を占め、トップだという。このうち、オンライン予約は海外旅行が約53%、海外のホテルのみは約64%、国内のホテルは約70%にのぼる(15―59歳のMacromill社パソコンモニターおよびNetAsia社携帯電話モニターによる調査)。ネットの予約数は05年から07年で約1・7倍増加し、パソコンでの検索数は07年から09年で約2・8倍に伸びている。さらに、携帯電話での検索は同約5・3倍と高い伸びを示していると紹介したうえで、「ユーザーのニーズと業界の対応にギャップがある」と指摘。「広告の視点から考えても、需要と供給のバランスが合っていない。ユーザーが10回検索しているのに対して(供給側から)1回しか情報が発信できていないという計算になる。これは各業界のなかでも少ない」と旅行業界としての情報量の少なさを訴えた。

 一方で、「夏休み旅行」は3月から消費者の検索が始まり、6月に一気に高まることや、「卒業旅行」は9月に始まり11月中旬に最初のピークがくること、またクリスマス付近に急激に伸びていることなどを紹介。「検索ピークを知っていると事前対策や仕掛けなど販売戦略に役立つ」と情報を載せるタイミングなどをアドバイスした。

 また、クラウドなど各コンテンツを上手く活用した例として、「『YOU TUBE』でCM動画など広告をしている自治体やNPOなどがある」と紹介。「広告費があまりなくても、有効に宣伝ができる。自治体は会津若松が最初に動きだしたが、観光地サイドが自ら発信するものが増えている。旅行会社の皆さんにも一度見てもらいたい」と語った。

第5回エコツーリズム大賞、大賞など10件を表彰

 環境省はエコツーリズムを実践する地域や事業者の優れた取り組みを表彰するエコツーリズム大賞を設けているが、第5回の表彰式が1月14日に埼玉県飯能市で行われた。応募のあった83件のなかから大賞を受賞したのは「海島遊民くらぶ」(三重県鳥羽市)。このほか、優秀賞3件、特別賞6件が選ばれた。

 海島遊民くらぶは、おもてなしのスキルを持ったプロガイドによる地元学・自然についてのエコツアーを実施している。講評では企業やNPОと連携してユニバーサルエコツアーを実施。学校との連携強化で次世代の育成にも注力するとともに、地域に呼びかけてエコツーリズム協議会準備会を設立するなど活動の幅や地域での広がりが見られる点が評価できるとしている。

 なお、同くらぶは第2回(06年)に特別賞、第3回(07年)に優秀賞を受賞している。  その他の受賞者は次の通り。

 【優秀賞】
富士山登山学校ごうりき(山梨県富士吉田市)▽紀南ツアーデザインセンター(三重県熊野市)▽砂浜美術館(高知県幡多郡黒潮町)

【特別賞】
知床オプショナルツアーズSОT(北海道斜里郡斜里町)▽ゆっくりずむ北海道(同札幌市)▽JTB関東(埼玉県さいたま市)▽あそんで学ぶ環境と科学倶楽部(東京都中央区)▽地域観光プロデュースセンター(滋賀県大津市)▽エコガイドカフェ(沖縄県宮古島市)

浅草にアンテナショップ(伊豆の稲取温泉)

「外国人の誘客狙う」

 静岡県東伊豆町稲取温泉の稲取温泉観光合同会社は12月10日、東京・浅草にアンテナショップ「THIS伊豆 稲取や」を開業した。海外からの観光客が多い場所に進出することで、インバウンド向け情報発信を行う。店舗は浅草寺二天門や浅草駅からも近い。稲取の外国人観光客数は年間約8千人。

 都心のアンテナショップは都道府県などの行政が多いが、温泉地の一企業として進出するのは全国的にも珍しいという。1階は物販を主力とし、雛のつるし飾りグッズ、かんてんなどの海産物加工品、ニューサマーオレンジなど稲取の地場産品や静岡県、伊豆の名産品を販売。2階には外国人客を中心とした60席のレストランを併設。稲取名物のキンメダイ定食(1680円)、肉チャーハン(840円)などのメニューを用意している。

 渡邊法子稲取温泉観光協会事務局長は「主に東アジアからのお客に向けて情報発信していく。市場のニーズに応えた事業展開をしたい。浅草は日本人も多いので立ち寄ってもらうのは大歓迎、国内のお客様にも宣伝になる」と話す。

   問い合わせ=電話03(5830)3350。

09年訪日客17%減に、法務省入国管理局調べ

 法務省入国管理局がこのほど発表した2009年の外国人入国者数は、前年比17・1%減の758万1322人と大幅に減少した。世界的な不況による外国渡航の手控えや、円高基調の継続、新型インフルエンザの発生などが主な要因となった。

 月別にみると、11月は前年同月比1・8%増、12月は20・9%増と回復基調が見受けられる。  一方、日本人出国者数は前年比3・4%減の1544万5530人と、新型インフルエンザの影響を受けた。

 8月以降は前年同月比でプラスに転じ、シルバーウイーク中の海外旅行者が増えた9月は同16%増と、2ケタの増加となった。

人気は山梨のワイナリー、北海道のビール、兵庫・灘の酒蔵も(JTBウェブアンケート)

7割が「酒蔵・ワイナリーめぐり」

 JTBはこのほど、「旅先での酒蔵・ワイナリーめぐり」についてウェブアンケートを実施。これによると、70%の人が旅先で酒蔵やワイナリーなど、お酒にちなんだ場所を訪れたことがあると答えた。調査は成人男女を対象に、2899件の回答を得た。

 普段よく飲むお酒は、(1)ビール36%(2)ワイン20%(3)焼酎15%(4)日本酒11%(5)カクテル9%の順。

 国内で訪れたことのあるお酒にちなんだ場所は、ワインの産地「山梨県」がトップ。次いで「北海道」のビール工場めぐり、「兵庫県」の灘での酒蔵見学、「長野県」のワイナリー、「京都府」の伏見の酒蔵群やウイスキー醸造所めぐりなどが人気を集めた。

 訪れたことのない人の46%が「今後訪れたい」と答えた一方、「訪れてみたくない」(54%)主な理由は、「お酒が飲めないから」「車の運転をしなければならないから」が大多数を占めた。

 海外でお酒にちなんだ場所を想起させる国は、(1)フランス(ボルドーやブルゴーニュ地方のワイナリー)(2)ドイツ(ビールやアイスワイン)(3)イタリア(全土で造られるさまざまなワイン)(4)イギリス(ウイスキー)(5)アメリカ(カリフォルニアのワイナリー)などがあがった。