反日の影響に言及(JATA)

中・韓ツアー日程の変更も

 日本旅行業協会(JATA、菊間潤吾会長)の長谷川和芳事務局長は、9月26日の定例会見で、反日気運で揺れる中国・韓国へのアウトバウンド状況について、「ツアー日程の変更を余儀なくされるところも出ている」と触れた。

 長谷川事務局長は、「具体的な数字は把握していない」としたうえで、修学旅行・交流事業・公式行事の取消、キャンセルが出ていることを報告した。

 パッケージツアーの予約に関しては「長期化すれば先の旅行の手控えや、訪問国の変更など影響が大きくなる」と懸念を示し、「非常に残念。1日も早く通常通りに戻ってほしい」と話した。

 また、「各社、現地オペレーターと連絡を密にツアーを続けているが、日程に支障出ているところもあると聞いている」と報告した。なお、大きな災害や世界情勢の変化などの際は、観光庁で数字発表などを一元化することになっており、JATAでは今後もキャンセル数の把握・発表の予定はないという。

グランプリは宮崎朗子さん(ツアー・コンダクター・オブ・ザ・イヤー2012)

受賞者と選考委員会
受賞者と選考委員会

事故に迅速な対応

 日本添乗サービス協会(TCSA)は9月21日、JATA旅博2012(東京ビッグサイト)で、「〝ツアー・コンダクターオブ・ザ・イヤー〟2012」を開き、グランプリの国土交通大臣賞にTEI所属の宮崎朗子さんが選ばれた。

 宮崎さんは、12年1月に起こったイタリア中部トスカーナ沖の大型クルーズ座礁事故の際、乗船客約4200人のうち28人を当人が添乗していた。事故当時、日本へ緊急連絡を入れると同時に避難経路を確保しながらお客様の安否を確認。帰国の手続きやさまざまなケアを行いながら4日後にお客様全員と無事帰国した。ツアー参加のお客様や企画旅行会社役員、伊日本大使館からの感謝状や礼状も届いている。

 早稲田大学名誉教授の吉村作治選考委員長は講評で「今回は皆さん優秀で選ぶのが大変だった。お客様はツアーコンダクターに命を託しているが、信頼と安全性を保っていることに深く感動した」と話した。

 グランプリ以外の受賞者は次の各氏。

 【準グランプリ(観光庁長官賞)】天倉昌絵(ツーリストエキスパーツ所属)【委員長賞】山田浩子(JTBサポート中部所属)【会長賞】中塚淳さん(ジャッツ所属)【会長特別賞】篠原恵理子さん(フォーラムジャパン所属)【優秀賞】勝澤正人(ツーリストエキスパーツ所属)▽安井浩和(フォーラムジャパン所属)▽品川志保(ジャッツ所属)▽齋木勝久(JTBワールドバケーションズ所属)【奨励賞】樫村衣子(ANAセールス所属)▽村岡拓郎(ツーリストエキスパーツ所属)▽新井里江子(同)▽堀田美樹(JTBサポートプラザ所属)▽西口晴雄(JTBサポートプラザ所属)▽久連松圭子(阪急トラベルサポート所属)▽齋藤恵(旅行綜研所属)本多利衣(トップ・スタッフ所属)▽松下朋子(同)▽伊藤かおり(エスティーエス所属)▽森廣隆志(TEI所属)

観光庁長官表彰、レディー・カガも受賞

第4回観光庁長官表彰の受賞者
第4回観光庁長官表彰の受賞者

「大阪あそ歩」など6件

 観光庁は10月1日、第4回観光庁長官表彰を国土交通省内で行い、大阪コミュニティ・ツーリズム推進連絡協議会や石川県加賀温泉郷のレディー・カガなどが、井手憲文長官から表彰を受けた。4回目となる今回は、50件の選考対象のなかから、国内外6件の個人・団体が選ばれた。

 大阪コミュニティ・ツーリズム推進連絡協議会は、市民が観光客を案内する大阪観光の新しいスタイルとして、市民全体のまち歩きイベント「大阪あそ歩」を定着させるなど、観光振興と地域の活性化に貢献したことが高く評価された。

 この日代表して表彰を受けた同協議会幹事で大阪あそ歩委員会代表理事の茶谷幸治氏は、「まち歩きの取り組みは今までの観光の仕組みや取り組みとは違う、非常にベーシックなもの。派手さのない地道な取り組みが国に評価されてうれしい。今回の大阪の受賞はまち歩きを行う全国の取り組みを代表しての受賞だと思う。大阪は全国の取り組みのモデルの1つになったのではないか」と喜びを語った。

 「レディー・カガ」は、石川県加賀温泉郷で働く女性たちが、温泉郷の情報発信とおもてなしの向上を目指し、発想力豊かなアイデアで結束した観光PRプロジェクトチーム。現在220人の女性が登録され、会員番号を持っている。山代・山中・片山津・栗津の4温泉地が連携し、一体となった取り組みで地域の観光振興に貢献したことが高く評価された。

 会員番号1番の代表、甘池英子さん(山代温泉 瑠璃光・女将代理)は「北陸新幹線が通る金沢だけでなく、加賀もあることをアピールするために始まった」と経緯を話し、「加賀の最大の魅力はおもてなし。北陸のおもてなしはきめ細かい。付かず離れず、かゆいところに手が届くおもてなしにぜひ触れてほしい」とPRした。また、会員番号8番の岸田沙織さん(ゆの宿 白山菖蒲亭・若女将)は4温泉地での連携に関して、「車で10、15分と近い距離なのに、今まで一緒に活動することがほとんどなかった。今回『加賀』として連携し、一緒に活動することで横のつながりができたこともうれしい」と語った。

 そのほかの受賞者(個人・団体)は次の通り。
【国内観光振興】東北六魂祭実行委員会
【国際観光振興】高山市▽シン・チャンヨン▽チャルン・ワンアナノン

当事者は知識と力を(第3回県温泉協会連絡会議)

第3回県温泉協会連絡会議のようす
第3回県温泉協会連絡会議のようす

 日本温泉協会(廣川允彦会長)は10月2日、環境省の担当官や各県温泉協会の代表者が意見交換する「第3回県温泉協会連絡会議」を開き、地熱問題や温泉排水規制の課題などについて議論した。

 地熱対策特別委員長の佐藤好億氏は、今年3月に環境省がまとめた「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」には、500メートルを超える深い部分での〝曲がり掘り〟に関する記載がないこと、さらに曲がり掘りによって地元といっても境界を確定できない点を指摘。そのうえで、「今後、国立・国定公園内など国の所有地の中で地熱開発が行われることが増えてくるのではないか。所有権のない我われがどこまで発言できるのか」と危機感を示した。また、開発前の試験井でのモニタリングを開発事業者に任せないことなどを強調した。

 出席した各県温泉協会からは、発電後の熱水を還元井から地層の割れ目などに戻すため、地震が多発している事例などを紹介し、「地熱開発の問題点や危険性などを、一般の温泉利用者、世論にもっと訴えるべき」との意見も出された。

 日本温泉協会副会長の森行成氏は「協会としては、地熱発電の必要性は認めつつ、『無秩序な開発はやめてほしい』というほんのささやかな願い。この声に、国や開発業者が聞く耳を持たない態度ならば、態度を硬化せざるを得ない」とした一方で、「当事者である我われが知識と力を持たない限り戦えない。(国や開発業者から)温泉関係者の分断というやり方で付け込まれてしまう恐れもある」と語った。

 温泉排水規制については、環境省がこれまでの経緯と今後の予定を説明した。旅館業は、温泉を利用する施設に限り、ほう素、ふっ素について暫定排水基準が設定され、2004年、07年、10年と3年ごとの見直し後も、ほう素は1リットル当たり500ミリグラム、ふっ素は同15ミリグラムとする暫定排水基準が設定されているが、今年11月を目途に、排水中のほう素・ふっ素濃度が高い温泉旅館を対象に、排水処理施設の実証実験を実施する予定だ。実証試験を行う施設は民間から公募し、処理能力やコストの評価を行い、温泉旅館における導入の可能性を検証する。

 さらに、11月から来年3月にかけて検討会を設置し、さまざまな情報収集を行いながら新たな暫定排水基準について検討する。来年6月には新基準の制定を予定している。

新たに5地域認定、日本ジオパーク25地域に

 日本ジオパーク委員会は9月24日に開いた第15回委員会で、新たに5地域を日本ジオパークに認定した。今回の認定で、日本ジオパークは25地域となった。

 新たに認定されたのは、「八峰白神」(秋田県)、「ゆざわ」(同)、「銚子」(千葉県)、「箱根」(神奈川県)、「伊豆半島」(静岡県)の5地域。4月の公募から書類審査やプレゼンテーション、現地審査などを経て応募のあった5地域すべてを認定した。

 なお、世界ジオパークネットワーク加盟申請を出していた「阿蘇ジオパーク」(熊本県)については、今年度の推薦を保留した。

 新ジオパークの特徴は次の通り。

 【八峰白神】世界遺産白神山地の地質を海岸で見られる場所。白神山地を作った火山活動と、今でも地面が盛り上がり続ける動きが実感できる【ゆざわ】岩の割れ目から熱湯が噴き出す子安峡大噴湯や、熱水が作った景観の川原毛地獄など地球の熱を感じる見どころが特徴。院内銀山の史跡では鉱山の歴史を見ることができる【銚子】国指定天然記念物の犬吠埼の白亜紀層や、関東盆地の地下にある地層が海岸で観察できる屏風ヶ浦など海岸に沿って美しい見どころがある【箱根】箱根カルデラの風光明媚な景観や大涌谷、カルデラ内外の温泉群など地球科学的な見どころに加え、江戸城の石垣の石を出した真鶴半島の採石場跡など、歴史・文化の名所も多い。11月23日まで認定キャンペーンとして、各種イベントなどを開催中【伊豆半島】南の海から北上して日本列島に合体した、伊豆半島の2千万年の歴史を実感できる多くの美しい崖が海岸線沿いにあり、生物分布にも特異性がある。大室山など最近の火山活動が作った地形も見どころ。 

横山体制の集大成の場に

現体制と次期予定者が壇上に
現体制と次期予定者が壇上に

沖縄で全国大会、新潟県が褒賞グランプリ(全旅連青年部)

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の青年部(横山公大部長)は9月27日、沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで「利他精神~夢を語り背中を魅せる」をテーマに「第21回全旅連青年部全国大会in美ら島沖縄」を開いた。全国から800人を超える部員が一堂に集い、第20代青年部長・横山体制の集大成の場として、各委員会が1年半の活動報告などを行った。

グランプリを受賞した新潟県青年部
グランプリを受賞した新潟県青年部

 第21回全国大会アワード(褒賞)では、総額240万円をかけて、各ブロック、都道府県の青年部による53事業が応募した。審査の結果、「グランプリ」には新潟県青年部の「【にいがた朝ごはん】プロジェクト~私たちは地域の食文化を継承します~」が選ばれた。

 全国大会の冒頭、横山部長は「初めて参加した神戸の全国大会で先輩たちの輝く姿に心を打たれ、ときめきを感じた。今回はぜひ初めて参加した青年部員にも同じようなときめきを持ち帰ってほしい」とあいさつ。また、「旅館業界は夢が少なくなってきているのではないか。目の前にあるすべてのものは、誰かが夢に描き実現したもの。もう一度我われも大きな夢を語り合い、旅館業界を盛り上げていきたい」と語った。

横山部長(右)が「部長バッジ」を山口次期部長に
横山部長(右)が「部長バッジ」を山口次期部長に

 そして今回初めて、横山部長から山口敦史次期部長に「青年部長バッジ」を渡すセレモニーを行った。

 山口次期部長は「来年4月から第21代青年部長として青年部の発展、業界の発展のために精一杯頑張っていく」とあいさつし、次期活動の3つの方針として(1)組織力の強化(2)魅力ある事業の創出(3)災害支援ネットワークの構築――について説明した。

 今大会のブロック別参加登録者数は、北海道ブロックは7人、東北ブロックは90人、北関東信越ブロックは147人、首都圏ブロックは57人、東海ブロックは76人、北陸ブロックは27人、近畿ブロックは75人、中国ブロックは56人、四国ブロックは64人、九州・沖縄ブロックは219人の計818人。来賓や協定商社関係者などを合わせると約1100人が参加した。

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旅行新聞新社賞は 群馬県草津支部に
旅行新聞新社賞は 群馬県草津支部に

 褒賞の受賞組織・事業は次の通り。
【全旅連青年部長賞・グランプリ】 新潟県青年部「『にいがた朝ごはん』プロジェクト~私たちは地域の食文化を継承します~」
【全旅連青年部長賞・準グランプリ】 石川県加賀支部「レディー・カガによる加賀温泉郷のおもてなし全国発信~地域連携とソーシャル・メディアの活用によるPR作戦」
【特別功労賞】 岩手県青年部「お客様と被災者を繋げるいわて被災地復興支援企画『絆!いわて福幸玉(ふっこうだま)プレゼント』」▽福島県青年部「希望のひまわり大作戦」▽山形県小野川・白布支部「旅館組合から米沢八湯へ! 地域を絆で結ぶ温泉・異業種連携」
【旅行新聞新社賞】 群馬県草津支部「湯畑キャンドルイベント『夢の灯り』」
【観光経済新聞社賞】 鳥取県皆生温泉旅館組合「皆生温泉から元気を送る!東北の酒蔵を応援キャンペーン」
【トラベルニュース社賞】 新潟県湯沢貝掛・松之山支部「『地域の食文化を食産業に』雪国フードアライアンス構築事業」
【柴田書店賞】 佐賀県古湯温泉支部「大胆『素敵』に、古湯フォンデュが創造する地域づくり、まちづくり」
【オータパブリケイションズ賞】 高知県高知市旅館ホテル協同組合「土佐の幸を食いつくせ!!市場de朝ごは~ん♪」
【全旅連青年部OB賞】 長野県青年部「飛び出せNAGANO!飛び出せJAPAN!~長野県青年部インバウンド事業」

No.323 「いい旅館にしよう!」座談会 - 旅館の生産性向上へ経営改革

「いい旅館にしよう!」座談会
旅館の生産性向上へ経営改革

 「いい旅館にしよう!」プロジェクトが本紙の紙面でも対談シリーズとしてスタートしているなか、7月26日、神奈川県箱根町・塔ノ沢の「一の湯本館」(小川晴也社長)で、「いい旅館にしよう!」プロジェクトにかかわるメンバーと座談会を開いた。それぞれの立場から旅館業界の現状をどのように見ているか、また、課題や問題点はどこにあるのかを語り合った。座談会終了後には一の湯グループの厨房などバックヤードを小川社長とともに視察した。

【増田 剛】

「集客」の前に「品質向上」を

 「いい旅館にしよう!」プロジェクトの発端となった「旅館の経営改革」の必要性について。

内藤:旅館は地方の雇用の受け皿として、地域経済活性化に大きな貢献をしています。裾野がとても広く、食材などを地元から購入しお金を落としているほか、日本の文化、国民に余暇も提供しています。旅館業は単純にサービス産業、余暇産業というだけでなく、日本の経済のなかで、確固とした産業として認知を受けていくことが大事だろうと思います。

 観光庁から見た旅館業界はどのように映っていますか。

寺田:旅館に対する期待はとても大きなものです。

中島:中小企業が多い旅館は過去の多大な投資が重くのしかかり、そのことが旅館の経営者が前に進んでいくことを妨げているという印象を受けています。

 

※ 詳細は本紙1479号または10月17日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

東京駅舎復原でにぎわう東京 ― 金閣寺炎上と江戸城再建

 東京駅の赤レンガ駅舎が10月1日、1914(大正3)年創建当時の姿に復原され、グランドオープンした。今、東京駅周辺では観光客などがカメラを構えて壮麗な駅舎を撮影してにぎわっている。今年5月に、東京スカイツリーが開業し、10月に東京駅舎の復原、そして来春には新しい歌舞伎座が開業する。東京の観光名所が次々に出そろう印象を受ける。

 都市観光の面白いところは、未来的な思想やデザインの輝かしさと、過去の文化の記憶が織り混ざるところだろう。最先端の金融・ビジネス都市の色合いの強いフランクフルトもゲーテの生家が彩りを加えている。

 東京駅舎は、しばらく眺めていても見飽きない。これは「本物」である所以だ。威厳を備え、瀟洒な気品も感じる。

 江戸城の再建も、「江戸城再建を目指す会」を中心に、にわかに盛り上がりつつある。以前、本紙でも取り上げたことがあるが、約350年前の大火で焼失した江戸城を再建する意味を考えたい。日本は天災や戦火などによって、過去の記憶を現代につなげる象徴的な建築物が消滅するケースが多い。○○城址など石垣のみが荒涼とした風景で残されている。戦火や災害、人災による「負の遺産」の保存という視点は、基本に置くべきだ。加えて、失われたものを新たに再建することにどれほどの意味や価値があるのか――という意見も重い。「再建」というのは、難しい問題だ。

 金閣寺は放火によって焼失した。しかし、仮に金閣寺が跡地のみだったら、人々は今ほど「金閣寺跡」を訪れないだろう。京都で平安時代の姿を想像することも難しい。この意味では、火災で焼失した江戸城の再建は賛成である。そして、やるなら忠実に再建してほしいと思う。実際、「木造建築で再建」という構想らしい。東京五輪という花火のような祭典の招致もいいが、永続的な観光という視点からは江戸城再建のほうが、ずっといい。しかし、再建に失敗する例もたくさん見てきた。温泉地でも歴史的な木造建築で、味のある外湯を建て替え、ガラス張りや、鉄筋コンクリート製、○○ランド的なものに生まれ変わって、台無しにした例も多い。高名で自意識過剰な建築家などにデザインを頼まず、本当に愛する者たちが熟考を重ね、、歴史に耐え得る本物をつくるべきだ。

(編集長・増田 剛) 

【10月末まで】旅館100選投票受付中 発表は来年1月に

来年1月の発表で38回目を迎える「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の投票が10月1日から始まりました。10月31日までの1カ月間、全国の旅行会社の皆様から投票をいただき、「ホテル・旅館100選」、「観光・食事、土産物施設100選」、「優良観光バス30選」をそれぞれ選出します。

発表は来年1月11日(予定)、旬刊「旅行新聞」紙面やこのホームページを通じて行います。

全国の旅行会社の皆様におかれましては、今年も投票協力のほどよろしくお願いします。

100歳以上の長寿企業 、企業平均年齢は35.6歳

旅館・ホテルは535社で5位(帝国データ)

 帝国データバンクはこのほど、長引く不況や震災を機に、長寿企業への注目が高まるなか、企業平均年齢と長寿企業の実態調査を行った。

 2012年の企業平均年齢は35・6歳で、前年を0・5歳上回った。年代別は、最も多かったのが「20―30歳未満」の17・2%だった。

 また、1912年末までに創業された100歳以上の長寿企業は2万4792社で、全体の1・7%を占めた。

 長寿企業の業種細分類別では、旅館・ホテルは535社で5位だった。1位は清酒製造の691社で、以下貸事務所業の581社、酒小売の577社、呉服・服地小売の558社となった。

 主な長寿企業は、創業年(西暦)順に(1)金剛組(寺社建築工事)578年(2)池坊華道会(生花教授)587年(3)西山温泉慶雲舘(旅館経営)705年(4)古まん(旅館経営)717年(5)善吾楼(旅館経営)718年(6)田中伊雅(仏具製造)885年(7)中村社寺(寺社建築工事)970年(8)一文字屋和輔(和菓子製造販売)1000年(9)夏油温泉(旅館経営)1134(10)須藤本家(清酒製造)1141年――で、10社中4社が旅館経営だった。

 業種別は、「製造業」の45・4歳が最も高く、続いて「小売業」の41・4歳、「卸売業」の39・6歳だった。サービス業は、最も低かったが、IT関連をはじめ、比較的先行投資が少なくて済む業態が多く、近年創業されたケースが目立った。

 都道府県別は、山形県が41・7歳と最も高く、次いで京都府の40・7歳、新潟県の40・6歳と続いた。最も若かったのは沖縄県の25・9歳、次に東京都の31・6歳、千葉県の32・1歳だった。