メルコリゾーツ、奥志賀高原リゾート開発を発表

2019年12月2日(月) 配信

奥志賀高原リゾート完成予想イメージ

 メルコリゾーツ&エンターテインメント・リミテッド(ローレンス・ホー会長兼CEO)はこのほど、長野県・奥志賀高原の複合型スキーリゾートの開発を発表した。観光開発を通じて日本の地域経済の活性化を支援することを目的としたホスピタリティ投資ファンド「メルコ・クリエイティブ・エクスチェンジ」によるプロジェクトの1つ。

 ファンドの規模は270億円規模になるという。設立発表時には神奈川県・箱根の温泉リゾートの再開発と、山奥のスキー施設を通年で使用可能な複合型スキーリゾートに生まれ変わらせる2つのプロジェクトが発表されていた。今回、山奥のスキー施設について具体的な内容を発表したカタチだ。

 奥志賀高原リゾートは、長野市から約57㌔離れた長野県北東部の奥志賀高原にある日本最大のスキーリゾート地だ。上信越高原国立公園の中心地にもなっており、21カ所のリゾートエリアのうち19エリアが1つのリフト券で行き来可能になっている。

 同プロジェクトでは、既存の施設を再設計し、冬季利用が主軸のリゾート施設を年間通して利用できるようにリニューアルする。ほとんどの施設は維持し、古い施設をリゾート施設に置き換える。

施設概要

対象企業:株式会社 奥志賀高原リゾート

設立:2007年7月2日

オーナー:犬塚秀博

所在地:長野県下高井郡山ノ内町奥志賀高原

TEL:0269-34-2034

既存の施設:

スキーリフト:リフト5つ、ゴンドラ1つ

ホテル客室:74室(メインの建物設立は1970年)

レストラン:ホテル内2カ所、ホテル外1カ所

ヴィラエリア:240の区画を管理

シャレ―エリア:20の区画を管理

B&Bエリア:9の区画を管理

講堂:500人収容可能

ゴルフコース:6ホール

テニスコート:3コート

開発計画:

・約280の4つ星および5つ星のホテル客室

・リフト、スキーサービスセンターなどをアップグレードしたスキー施設

・そのほかの施設:ショッピングエリア、レストラン、終日営業のダイニングスペース、フードコート、バー、ラウンジ、スパ、ジム、温泉、テラス、ゴルフコース、テニススクール、多目的スポーツ施設、マウンテンバイクトラックなど

ポケトークW、「OMOTENASHI Selection 2019」を受賞

2019年12月2日(月)配信

2019年度はポケトークWを含む全103の商品・サービスが受賞した

 ソースネクスト(松田憲幸社長、東京都港区)のAI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)W」が2019年12月2日(月)、「OMOTENASHI Selection 2019」を受賞した。主催はOMOTENASHI NIPPON実行委員会。日本の優れた商品・サービスを認定し、国内外に発信する取り組み。2019年度はポケトークWを含む全103の商品・サービスが受賞した。

写真はイメージ

 OMOTENASHI Selection(おもてなしセレクション)は、受け手のことを思いやる心から生まれたこだわりの技、伝統を継承しながらも現代に向けて改良を重ねる創意工夫の活動など、日本の魅力である“おもてなし”心あふれる商品やサービスを発掘・認定し、国内外に発信するプログラム。

 日本在住の外国人選定員による評価を前提に、日本人専門家によるクオリティチェックを加味し選ばれた優れた商品・サービスを認定。日本国内をはじめ、世界各国へ向けた広報・販路支援を通して、新しい消費の拡大、日本企業全体の世界的な販売力向上につながることを目指す。

公式サイト:

「ポケトーク」とは

 AI通訳機「ポケトーク」は、Wi-Fiのないところでも世界133の国と地域でそのまま使えるモバイル通信機能を内蔵し、「契約不要、通信料なし」で2年間使い放題(19年11月7日時点/グローバル・モバイル通信付きの場合)の小型翻訳機。17年12月に初代モデルを発売以来、「ポケトーク W」を含む累計出荷台数(サンプルなど除く)は、19年7月23日時点で50万台を突破している。

 12月6日(金)には、搭載したカメラで撮った文字を翻訳できる機能や会話レッスン機能などを搭載した「ポケトークS」を売り出す。

近鉄グループ、WOVN.ioと提携 サイトなど多言語化を推進

2019年12月2日(月)配信

業務提携により、ウェブサイトなどの翻訳品質と作業効率化の向上をはかる

 ウェブサイト・アプリ多言語化サービス「WOVN.io(ウォーブンドットアイオー)」 を提供するWovn Technologies(林鷹治社長、東京都港区)は2019年11月29日(金)、近鉄グループホールディングス(吉田昌功社長、大阪市天王寺区)との提携を発表した。大阪・関西万博やIR誘致などに向けたインバウンド・在留外国人の対応強化として、同グループのウェブサイトなどの多言語化を推し進める。

 提携によって、現在のウェブサイトの情報や近鉄グループ内で使用する固有名詞などの対訳表を基に、グループオリジナルの対訳用語集を作成する。

 用語集は、WOVN.ioでウェブサイト・アプリを多言語化する際に利用できる機能で、対訳表を資産化して翻訳の統一化をはかる。

 用語集を活用することで、機械翻訳時の品質の向上、人力翻訳時の効率化を通じ、ウェブサイト・アプリの多言語化を推進する。

 運輸・流通・ホテル・不動産・レジャーなど、近鉄グループ各社のウェブサイトなどへの2022年ごろの展開を目指し、まずは年内に実際のウェブサイトでの試験運用を開始し、課題確認や運営体制の構築などを進めていく狙い。

連携の背景

 近鉄グループは、「近畿日本鉄道」をはじめとする運輸事業、「近鉄百貨店」などの流通事業、ホテルチェーン「都ホテルズ&リゾーツ」などのホテル事業、「あべのハルカス」などの不動産事業、「海遊館」「志摩スペイン村」などのレジャー事業といった、暮らし・観光に関わる多様な事業・サービスを展開。インバウンド需要の取り込みに関して、関西で大きな役割を担っている。

 Wovn Technologiesは19年5月、近鉄グループのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)である近鉄ベンチャーパートナーズの出資により、近鉄グループにおける大阪・関西万博、IR誘致による訪日外国人や外国人就労者の増加を見据えた、多言語対応力の強化を掲げてきた。

 今回の提携により、近鉄グループのハウスエージェンシーであるアド近鉄とともに、グループ各社のウェブサイト・アプリへのグループオリジナル対訳用語集を用いたWOVN.ioの展開を進め、日々更新されるイベント情報の機械や人力翻訳による多言語化や、質の高い多言語対応ウェブサイト・アプリの構築をはかる。

 あわせて、用語集やグループ展開でのノウハウを生かして、沿線自治体などへWOVN.ioを活用した多言語化支援サービスの展開についても検討する。

WOVN.io(ウォーブンドットアイオー)とは

 「世界中の人が、すべてのデータに母国語でアクセスできるようにする」をミッションに、ウェブサイト・アプリを最大40カ国語に多言語化し、海外戦略を成功に導く多言語化ソリューション。大手企業をはじめ1万5,000サイトへ導入されている。

 既存のウェブサイト・アプリに後付けができ、多言語化に必要なシステム開発・サイト運用、翻訳にかかる不要なコストと人的リソースの削減を実現する。

オークラ ニッコー ホテルマネジメント、台湾・高雄で新ホテルを運営 台湾展開は4軒目

2019年12月2日(月) 配信

ホテル・ニッコー高雄の外観

 ホテルオークラの子会社でホテル運営会社のオークラ ニッコー ホテルマネジメント(東京都港区)はこのほど、2023年に開業予定の「ホテル・ニッコー高雄」(台湾・高雄)に関する運営管理契約をホテルを建てる台湾企業と結んだ。

 同グループにおける台湾への展開は、22年に開業する「オークラ プレステージ台中」に次ぐ4軒目となる。今後、同グループでは20年までに開業予定ホテルを含め100ホテルの運営を目指し、とくにアジアを中心に新規事業展開を進めている。

 同ホテルは、客船ターミナルやライトレール水岸線、高雄展覧館などの再開発をしている「亜州新湾区」に開業する。地下鉄「三多商圏駅」からは徒歩4分ほどでアクセスできる。高雄国際空港からは6㌔ほどの場所に位置する。

 客室数は標準面積36平方㍍。総客室数は約260室を予定している。同ホテルでは日本料理とオールデイダイニング、中国料理を提供する。最上階の21階には、高雄の港を一望できるルーフトップバーを設ける。

 同市の政府観光局の統計では、19年1~6月の高雄での宿泊者数は前年同期比21%増の458万8千人だった。同社は「高雄市における宿泊需要がますます増加することを期待している」(同社)という。

 高雄市は、首都機能を有する台北まで新幹線(台湾高速鉄道)で90分ほどで行くことができる。高雄国際空港からは、日本の成田空港など7都市のほか、アジアの30都市を結ぶ直行便が就航している。 

ホテル・ニッコー高雄概要

所在地 : 高雄市前鎮区(中山二路沿い)
延床面積 : 約2万7300平方㍍
階数 : 地上21階、地下4階
客室数 : 約260室
レストラン : 日本料理、オールデイダイニング、中国料理、ロビーラウンジ、ルーフトップバー
宴会場・会議室 : 6室
付帯施設 : 屋外プール、フィットネス、大浴場など
アクセス : 地下鉄 三多商圏駅より徒歩約4分、高雄国際空港より約6km

仙巌園 世界文化遺産を紹介 オリエンテーションセンター開館

2019年12月2日(月)配信

11月1日に開館

 鹿児島県鹿児島市の島津家の別邸「仙巌園」に11月1日、「世界文化遺産オリエンテーションセンター」が開館した。

 同園や尚古集成館一帯は、2015年7月に「明治日本の産業革命遺産」の構成資産「旧集成館」として、世界文化遺産に登録された。反射炉跡など薩摩から始まった近代化の歴史を発信する施設となる。

 旧集成館は島津家28代当主斉彬が築いた日本最初の工場群として、大砲の鋳造や蒸気船の建造などに挑戦した。その技術が近代日本の大きな原点となった。

 ただ、集成館事業の中核となる反射炉跡は、韮山(静岡県)や萩(山口県)のものと違い、基礎部分が残るのみで、「何が世界遺産に登録されたのか、全容が分かりにくい」という課題があった。

 平屋建ての同センターは、反射炉跡側に面した壁を一面ガラス張りにするなど、施設内から反射炉跡を眺められるようにして、世界文化遺産と一体的に感じられるようにした。 

10分の1の反射炉模型

 館内中央には、高い煙突の反射炉10分の1模型を配置し、薩摩焼の陶工が焼いたという土台の耐火煉瓦も精巧に再現。一部断面を見せて構造を分かりやすくし、鋳造された大砲模型も展示する。

 壁面には、世界遺産の概要や薩摩藩の近代化、集成館事業などパネルで展示した。スタッフが常駐し、案内も行う。

セントレアー鹿児島線利用者限定 「トブ・クルーズ 桜島キャンペーン」に追加特典

2019年12月2日(月)配信

 中部国際空港と観光かごしま大キャンペーン推進協議会は、共同で実施している「トブ・クルーズ 桜島キャンペーン」で、レンタカーがお得に借りられる特典などを追加し、企画の魅力をさらに高めた。

 「トブ・クルーズ 桜島キャンペーン」は、セントレア(中部国際空港)-鹿児島線の利用者を対象に、桜島フェリーの「よりみちクルーズ」の乗車券をプレゼントする企画。19年10月にスタートした。12月1日(日)からは、「お得なレンタカー特典」と、抽選で特産品があたる「ハシュタグキャンペーン」を追加した。

トブ・クルーズキャンペーン概要

期間:2019年10月1日(火)-2020年3月31日(火)
主催:観光かごしま大キャンペーンン推進協議会
   中部国際空港
参加方法:
 1)セントレア→鹿児島線に搭乗
 2)鹿児島空港1階観光・総合案内所で搭乗券と居住地がわかる身分証明書(免許証、保険証など)を提示、乗船引換券を受け取る。
 3)鹿児島港桜島フェリーターミナルで、乗船引換券と乗船券を交換。鹿児島港から「よりみちクルーズ」に乗船
 ※鹿児島在住の人は対象外
その他:車長5メートル未満の車両は無料でフェリーに乗せることができる。

12月からの追加特典

お得なレンタカー特典
 トブ・クルーズの利用者は、日産レンタカー鹿児島空港店では特別料金で、トヨタレンタリース鹿児島ではワンランク上の車種を借りられる。

ハッシュタグキャンペーン


 鹿児島旅行の思い出を「#トブクルーズ」をつけて、TwitterまたはInstagramに投稿した人のなかから、毎月抽選で1人に黒豚しゃぶしゃぶ(700g)をプレゼントする。

桜島フェリー「よりみちクルーズ」とは

 鹿児島県のシンボルと言われる桜島と錦江湾の魅力を、会場から約50分間楽しめるクルーズ船。1日1便、午前11時10分に鹿児島港から桜島に向けて片道運航している。

〈観光最前線〉27人の歌仙100年ぶりの再会

2019年12月1日(日) 配信

36歌仙が揃う日は来るのだろうか

 「逢いたい」、思いが日ごとに高まり、旅の日程を延長し京都に「流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」展を観に出かけた。100年ぶりにバラバラになっていた歌仙絵27図が並ぶ空間は、想像以上に美しかった。

 「佐竹本36歌仙絵巻」は、平安時代の和歌の名人36人を描いた上下二巻の絵巻であったが、1919(大正8)年、事情により37図(歌仙36人と住吉大明神)に分割され国内に散らばった。同展覧会では展示替えを含め、31図が展示された。これは、同歌仙絵巻をテーマにした展覧会のなかで最多の作品数だ。

 国内各地にある美術館には、それぞれが美しい美術品が多数収蔵されている。日常の喧騒から離れ、そうした日本の美に出逢うためだけに旅行する。これからもそんな旅がしたい。

【後藤 文昭】

「観光革命」地球規模の構造的変化(217) G20観光大臣会合

2019年12月1日(日) 配信

招待国含め31の国・地域の観光担当大臣らが参加したG20観光大臣会合

 今年はベルリンの壁崩壊から30周年の記念すべき年だ。東西冷戦終結後に生じたグローバル化で、国家や地域を越えて地球規模でヒト・モノ・カネ・情報が自由に行き交う時代になった。その前提として80年代に英国のサッチャー首相が提唱した「新自由主義」が、米国のレーガン政権や日本の中曽根政権でも受け入れられ、さらに90年代におけるICT革命の実現に伴って全世界における外国旅行が隆盛化した。

 1970年の全世界の外国旅行者数は1億6千万人だったが、90年には4億5千万人、2010年には10億人、18年には14億人に。そして30年には18億人に増えると予測されている。

 この結果、観光産業はいまや全世界の国内総生産(GDP)の10%を占めるリーディング産業の1つに発展し、雇用創出や地方創生などで重要な役割を果たす。一方で数多くの人々が観光旅行をすることで、オーバーツーリズム(観光公害)が問題視されるようになっている。

 この状況の中で、10月末に北海道の倶知安町で20カ国・地域(G20)観光大臣会合が開催された。今回で9回目となる会合の主要テーマは「持続可能な観光の実現」で、2日間にわたって議論され、共同宣言が採択された。ポイントは、①観光は世界的に最も成長し、かつ強靱性のある経済活動②観光の成長は自然保護や混雑対策などで数々の困難を生み出す③地方創生と観光地の持続性改善のために多様な地域への誘客を促進④イノベーションを促し、持続可能な企業を創出する⑤地域の自然や文化財を保護し、責任ある観光を促進――など。

 要するに観光産業の発展と自然保護や地域社会との共生を、いかに持続可能かつ責任あるかたちで実現していくかが世界共通の課題として議論された意義は大きい。

 しかし、現実には持続可能な観光や責任ある観光の実現は容易ではない。例えば北海道では18年度の来道外国人は312万人で14年度と比べて2倍以上に増加。その結果、さまざまな観光公害現象が生じると共に、人口減少による人手不足の深刻化によって観光立国への対応に諸々の不都合が生じている。

 果して、今後の日本は「観光立国」と「観光亡国」のいずれの道を歩むことになるだろうか?

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

〈旬刊旅行新聞12月1日号コラム〉旅人に「贅沢」を与える旅館 バックヤードの「ムダ」を排除しよう

2019年11月30日(土) 配信

旅館は時間と空間の贅沢を感じられる(写真はイメージ)
 旅館で過ごす時間は、ホテルとは異なると、いつも感じる。旅館といっても、大衆向け大型旅館や、ラグジュアリー層を対象にした小規模施設など千差万別である。しかしながら、どの旅館にも時間の流れ方に共通点があると感じる。「日常から切り離された時間」と言ってもいい。
 
 「時間」と「空間」は密接に結びついている。その意味で、旅館の空間もホテルとは異なる。広大な庭園や、池のような大露天風呂、100畳の畳を敷いた大宴会場を有する宿もある。たくさんの仲居さんが働いているのも、旅館ならではの光景だ。最近は少なくなってきたが、食べきれないほどの海の幸、山の幸を提供する豪華な料理を提供する宿もある。ホテルに比べ、「ムダ」に広い客室が多いのも特徴だ。
 
 私が普段、出張で利用するビジネスホテルは、ドアを開けるとすぐ横にユニットバスがあり、奥にはシングルベッドと小型のテレビがあるだけのシンプルな部屋である。実に合理的で、潔いまでに空間にムダが一切ない。我が身の丈に合ったフィット感が心地よいのだが、たまに旅先で「空間のムダ遣い」ができるのは、旅館の醍醐味だと感じている。
 
 このように見ていくと、旅館は「旅人が時間や空間のムダ遣いを楽しむ」場所と言える。
 
 
 時速300㌔走行が可能な高級スポーツカーが一般道を40㌔で走っている姿を見かけると、「日本で300㌔を出して走れる道もないのに、ムダな性能にお金を捨てている」と批判する人がいる。しかし、そのスポーツカーの所有者は「スペックのムダ」を楽しむために、流線型の車体をゆっくりと走らせているのだ。
 
 これは、誰もが1つは持っている「ムダを楽しみたい」という欲求である。チロルチョコのチープな甘さも大好きだが、1粒数百円もするチョコレートに喜びを感じる。「価値」を共有できない人に、どんなに説明しても理解し合えない類のものだ。しかし、一見ムダに思える「贅沢さ」に「価値」を感じると、日常の必需品では考えられない大きなお金を払う。
 
 
 湯量豊富な温泉旅館では、大きな浴槽から湯が溢れ続けている。いわゆる「源泉掛け流し」の湯船に浸かって、目の前の山の紅葉などを眺めていると、まさに「時間と空間が現実世界から切り離された」気分になる。捨てられる大量の湯を眺めながら、「贅沢」を味わう。ビジネスホテルでカーテンを開くと、向かいのオフィスで働くサラリーマンが見える眺めとは180度異なる優雅な風景である。
 
 旅館では館内を歩く人も浴衣姿のせいか、「ビジネス」の空気を纏っていない。大浴場やロビーのソファでくつろいでいると、人懐っこく話し掛けてくる旅人もいる。この空気はビジネスホテルやシティホテルにはない。「日常から切り離された時間」と感じる瞬間でもある。
 
 
 宿泊客に「ムダ遣い」の楽しみを提供する旅館に感謝しつつも、実際は、経営が困難な施設も多い。客に時間と空間で「贅沢な気分」を与える旅館は、客には見えないバックヤードの「ムダ」を排除していかなくてはならない。日々自らのムダを削り続けるスポーツ選手や歌手などエンターテイナーだけが、舞台上で最上の「贅沢」を観客に見せ、感動させることができる。
 
(編集長・増田 剛)

沖縄で二次交通環境整備始まる 空港周辺の渋滞削減を

2019年11月29日(金) 配信

「島ぐる」イメージポスター

 内閣府沖縄総合事務局とオリックス自動車(上谷内祐二社長)、日産自動車(山内康裕社長)、プロトソリューション(白木享社長)の官民4者は2019年12月1日から2020年2月28日まで、沖縄県で二次交通環境整備の実証実験を行う。沖縄本島中北部地区の交通結節点やホテルなどで、高速路線バスとカーシェアリングやシェアサイクルを組み合わせる。

 具体的には、那覇空港と沖縄本島中北部を結ぶ「沖縄エアポートシャトルバス」や路線バスの停留所付近にあるホテルや観光地に、オリックス自動車と日産が運営する「カーシェア」を計12台、プロトソリューションが運営する「シェアサイクル」を約100台設置する。

 ホテルなどの目的地周辺までバスで移動し、その先は車や自転車を借りて観光するなど、公共交通機関を活用した沖縄旅行「島ぐる」の実現を目指す。

 沖縄では県民の自家用車利用率が高く、年々増加している観光客のレンタカー利用もあり、沖縄中南部エリアを中心とした慢性的な交通渋滞が問題になっている。同実験によって空港周辺や那覇市内の渋滞削減をはかる。

実験概要

実験イメージ

実験期間:2019年12月1日~2020年2月28日(実験後も継続予定)

カーシェアリング:

【オリックスカーシェア】4台

恩納村:沖縄かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパ 2台

ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート 2台

【NISSAN e-シェアモビ】8台

名護市:名護市役所 4台

ホテルゆがふいんおきなわ 1台

コンドミニアムホテル 名護リゾート リエッタ中山 1台

本部町:ホテルマハイナ ウェルネスリゾートオキナワ 1台

ホテルゆがふいんBISE 1台

【HELLO CYCLING(ハローサイクリング)】約100台

恩納村:おんなの駅、琉球村、ホテルモントレ沖縄 スパ&リゾート、恩納村ふれあい体験学習センター、恩納村役場、ナビービーチ、ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート、沖縄かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパ

名護市:ホテルゆがふいんおきなわ、ホテルトーマス名護、シャングリラマンション、名護リゾートリエッタ中山、ホテルルートイン名護、オキナワマリオットリゾート&スパ、OKINAWAフルーツランド、名護パイナップルパーク

本部町:ハナサキマルシェ、海洋博公演、ホテルオリオン モトブ リゾート&スパ、ホテルマハイナウェルネスリゾートオキナワ、ゆがふいんBISE