NAA 5月の旅客数2カ月連続で過去最少 コロナで98%減の約9万人

2020年7月2日(木) 配信

田村明比古社長

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)が6月29日(月)に発表した5月の航空発着回数は、前年同月比66%減の7545回、旅客数は同98%減の8万9640人と大幅に減少した。新型コロナウイルスの感染の影響で、旅客数は2カ月続けて過去最少となった。

 航空発着回数の内訳では、国際線が同85%減の2336回、国内線は86%減の632回と大きく落ち込んだ。

 旅客数でも、国際線が同98%減の5万3535人。このうち、外国人旅客数は同99%減の1万7732人。国内線は同94%減の3万6105人と大幅に減少した。

 田村社長は国際線の回復について「長期戦を覚悟している」との考えを示した。

 現在、同空港では航空機到着時に搭乗客を10人ずつ降ろし、全員にPCR検査を実施。結果がでるまで5~6時間待機させている。

 田村社長は今後、発着数と旅客数が増加した場合について「現状はキャパシティ不足。検査や受入体制の変更を政府と検討する必要がある」と述べた。

国内線は回復基調 移動解禁後の売上は倍

 同日には6月1(月)~20日(土)までの発着回数と旅客数も発表した。このうち、総発着回数は前年同期比84・3%減の1556回。国内線発着回数は同87・2%減の344回だった。国際線旅客数は同98・4%減の1万3500人。

 6月19日に県境をまたぐ移動が解禁されたなか、同空港の発着回数が増加した。6月19(金)―25日(木の発着回数は、6月12(金)~18日(木)までの112回と比べて、107%増の112回となった。

 田村社長は「(閉鎖中の)B滑走路については発着回数が順調に推移すれば、供用再開を検討する。LCC(格安航空会社)が夏休みに向けて増便計画を立てている。9月以降も復便傾向にある」との見通しを示した。

 ウィズコロナ時代の航空業界については「ソーシャルディスタンスを意識した航空機の座席配置は経営的に厳しい。短期的な対策で需要に応じて変化するのではないか」と持論を展開した。

 NAAは発着回数減少や構内売り上げの減少などを受けて、国に対して支援を要請していたが、「国土交通省から300億円の増資が決定した」(田村社長)という。

埼旅協、例年通りに総会開く 「顔合わせが活性化になる」

2020年7月2日(木) 配信

浅子会長は通常通りの会費徴収に理解を求めた。画像は総会のようす

 埼玉県旅行業協会(浅子和世会長、257会員)は6月25日(木)、清水園(さいたま市)で2020年度通常総会を開いた。例年通り会員を招集し、議事を審議した。

 浅子和世会長は「緊急事態宣言が解除され、6月下旬であれば状況が落ち着く。顔を合わせての意見交換が業界の活性化につながる」と開催の理由を説明した。

浅子和世会長

 さらに、同会が通常通り会費を徴収したことにも理解を求めた。

 「新型コロナウイルスの影響について先行きが不透明であり、会費がないと財産を崩すことになる。何年も続けば、協会の存続に関わる」とした。そのうえで、「Go Toキャンペーンが会員各社へ適用となったのは、自民党幹事長の二階俊博氏が全国旅行業協会(ANTA)の会長を務めているから」と力を込めた。

 来賓として、ANTAの駒井輝男副会長はGo  Toキャンペーンについて「先が見通せないなか、二階会長に中小旅行会社にも適用されるよう依頼した。(二階会長は)首を縦に振ってくれた」と報告した。

駒井輝男副会長

 今年度は、ANTAと日本旅行業協会(JATA)が作成したガイドライン「旅行業における新型コロナウイルス対応ガイドライン」の周知をはかる。このほか、航空機の空席状況で価格が変動する新運賃料金制度「IIT運賃」の情報共有を行う。

 同日には業懇セールス会も実施。埼旅協協定会員連盟と特別会員連盟が、埼旅協の会員に施設をアピールした。

 開会のあいさつで埼旅協協定特定会員連盟の森田繁会長は「(会員各社は)新型コロナウイルス対策を講じ、安心・安全を提供して、お客様には『連盟の施設は安全だ』と伝えてほしい」と話した。

森田繁会長

東北・新潟応援! 絆キャンペーン始動 旅行者に魅力伝え、全国誘客目指す

2020年7月2日(木) 配信

配信動画イメージ

 東北観光推進機構は7月1日(水)から、「東北・新潟応援! 絆キャンペーン~旅を楽しもう~」をスタートさせた。新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んだ観光需要の早期回復を目的としているが、当面は東北や、新潟在住の旅行者に域内の魅力を伝える。

 今後始まる「Go Toトラベルキャンペーン」や2021年4月に開催する東北デスティネーションキャンペーンを通じて、全国の誘客につなげていく考え。

 同CPは特設Webサイトで東北・新潟観光の情報発信を行う。域内の観光関係事業者が出演する動画を配信する。

 「学びの下北半島! ジオパークツアー!」、「漁師さんの船で行く山田湾養殖いかだ見学」、「列車が展望台!秋田内陸線田んぼアート」、「オンライン飲み会! 蔵元杜氏全員参加! おきたま五蔵会」――など、青森・岩手・秋田・山形の観光コンテンツの紹介をしている。

 域内の周遊促進として、東北域内を自動車で周遊するスタンプラリー企画と連携する。列車で周遊する鉄道各社のパスを紹介する。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、観光客に対策を呼び掛けるポスターを域内の宿泊施設、観光施設、道の駅などに掲示する。

 旅ナカでのマスク保管に便利なマスクケースを配布する。配布場所の詳細はCP特設サイトで明示される予定。

医療従事者へエール送る 横浜マリンタワー、7月7日ライトアップ

2020年7月2日(木) 配信

横浜マリンタワー

 神奈川県横浜市の横浜マリンタワーは7月7日(火)から、工事中の塔体などを活用してライトアップを行う。「平穏な日常生活を取り戻し、横浜の経済が再び元気になるようエールを送る」(同市)目的。

 同施設は塗装などの修繕工事を2022年3月末まで実施する。工事の間は休館となっているが、このほど市民への再認知のため、ライトアップで空間演出を行うことを決めた。

 第1弾は7月7日(火)に、新型コロナウイルス感染症の対応をしている医療従事者へ向け、感謝とエールを込めたライトアップをする。

 第2弾は8月以降に、ライトの色数を増やし、動きのある演出を加える予定。

 自宅からでも鑑賞できるようにWebカメラで動画を配信する。

日本旅行店舗、7月1日(木)再開へ ZoomやLINEで旅行相談も

2020年7月2日(木) 配信

アクリルボード越しに接客するようす(日本旅行リテイリング パルコヤ上野支店)

 日本旅行(堀坂明弘社長)と日本旅行リテイリング(大槻厚社長)の店舗は7月1日(木)、首都圏で本格的に営業を再開した。新型コロナウイルス感染拡大防止のために、オンライン旅行相談の導入や、LINEチャットでの相談など、非対面での接客を採用している。

 日本旅行は5月末~6月中に西日本の店舗を中心に、日本旅行リテイリングは6月19日(金)からほぼ全店舗で営業していたが、7月1日(木)をもって両社は全店舗を再開した。

 感染拡大防止対策として、社員の体調管理や、店内の定期的な除菌、清掃などを行う。そのほか、アクリルボードを設置し、スタッフは一部の店舗でフェイスシールドを着用し、サーモグラフィーによる体温検査も行う。

 利用客が来店せずに対面での相談ができるよう、オンライン旅行相談を始めた。ZoomやSkypeを利用した旅行相談は、一部店舗で導入し、その他順次導入予定。

 チャットやメールによる相談も開始した。支店ごとに開設しているLINE、メールで相談を受け付ける。

福島・安達太良山周辺の大自然満喫 岳温泉で気軽にアクティビティを 

2020年7月2日(木)配信

4歳から参加できる自然体験

 福島県二本松市の岳(だけ)温泉観光協会(二瓶明子代表理事)は7月1日(水)、テスト販売を行っていたあだたらアクティビティ事務局(mt. inn内、鈴木安太郎社長)が運営するアクティビティブランド「ADATARA activity」の本格販売を始めた。トレイルウォークなど、はじめてアクティビティを体験する人にも安心手軽な体験を企画している。

 安達太良山を中心とした大自然の中、森や川、山を十二分に楽しめるアクティビティを提案。4歳から参加できるプランも充実させる。実施にあたり、新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインも策定。「この夏は自粛疲れを開放的な自然の中で思いっきり吹っ飛ばして欲しい」(事務局)とアピールする。福島県民には身近に楽しいものがあることを知って欲しいとの思いから、今夏限りの県民割も用意した。

 現在実施している企画は「あだたらの森ネィチャートレイルウォーク」「爽快、シャワーウォーク体験」「安達太良ファットバイクツアー」など。取り組みを通じて、岳温泉が「アクティビティの聖地」となることを目指す。

東京タワー、気軽にお酒楽しめる時間を演出 グルメイベント「TOKYO TOWER 縁日テラスでハイボール」始める

2020年7月1日 (水)配信

東京タワー 縁日テラス

 東京タワーは7月1日(水)、グルメイベント「TOKYO TOWER 縁日テラスでハイボール」を始めた。

 縁日メニューが楽しめる予約不要の「屋台めしエリア」と、事前予約制の「オープンエア ジンギスカンBBQ エリア」で構成。仕事帰りなどに気軽にお酒を楽しめる時間を演出する。

 東京タワー1 階正面玄関前に設けられた「屋台めしエリア」は、縁日をイメージさせる祭り提灯を飾った入退場ゲートと、高さ約4メートルの櫓に設置した和太鼓が目印。「焼きそば」や「たこ焼き」など、定番の縁日メニューをハイボールとともに楽しめる。

 フットタウン屋上広場の「オープンエア ジンギスカンBBQ エリア」では、マザー牧場の人気メニューの「ジンギスカン」が味わえる。こちらは120 分食べ放題で、ラム肉のほか、豚や牛なども用意。アルコールとソフトドリンクの飲み放題が付いている。

ジンギスカン

HIS、1次産業を支援へ 食で地域創生はかるプロジェクト

2020年7月1日(水) 配信

これまで培ったネットワークを生かす。画像はプロジェクトのイメージ

 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)は6月29日(月)、食に関わる生産者や自治体、1次産業事業者を支え、地域創生につなげる「HIS FOOD PROJECT」をスタートした。

 旅行を基盤に作り上げた営業拠点のネットワークを生かし、「モノ」や「文化」、「事業」の往来にも携わり、企業理念である「相互理解の促進を多方面から進める事」につなげる。その第1歩として、旅との関連性が非常に高い「食」に関連した事業に取り組む。

 同社はこれまで三重県との「食の海外展開に係る戦略的連携協定」で、1次産品の海外輸出拡大事業でドバイとアゼルバイジャン、シンガポール、ベトナムでの日本食拡大のイベントなどを手掛けている。さらに、日本の食・レストランを海外への進出を支援する事業では、純北海道産原材料を使ったパンケーキで人気の「椿サロン」の台湾進出をサポートした。

 「HIS FOOD PROJECT」は販売促進とブランドづくり、課題に関わり、第1弾として「日本茶」にフォーカスする。消費者には日本国内での消費が減少傾向にあるという「日本茶」を生活の中の一部として取り入れ、楽しんでもらえるシーンづくりなどを行い、お茶の魅力や、楽しみ方を紹介する。

 7月1日(水)には、池袋パルコの「H.I.S. The ROOM of journey」営業所で、三重県産のお茶を使った煎茶と抹茶のメニューの販売を開始した。同営業所では、新茶や、高品質の抹茶を提供する。同社は煎茶と抹茶の販売をお茶の生産者や地域の発展につなげ、日本のお茶マ-ケットの課題を解決するための取り組みへ発展させたい考えだ。

 今後は農業事業や畜産・酪農事業、全世界の物産の販売事業などを展開。具体的には生産者の声や新しいライフスタイルの提案など、食を通じての相互理解に努める。さらに、旅の目的の1つである「食」に多くの消費者に興味を持ってもらい、旅をするきっかけになるようにHISの新たな事業領域として実施する。

〈観光最前線〉非日常は、特別な言葉にあらず

2020年7月1日(水) 配信

ちょっとした贅沢も非日常の1コマ

 図書館で本を選ぶ。仕事終わりに知り合いと遊ぶ。カワウソが見たいから水族館に行く。日常のありふれた一コマだけれども、ここ数ヶ月できなかったこと。

 今月に入って、こういったことができるたびに、不思議な感覚を抱いてきた。非ズ日常ニ。本来は、何か特別なことと認識していた余所行きの言葉が、本当は普段着だとしたら。

 もし、そうだと仮定したら、旅での非日常を体験するのは、思うより簡単なのかも。

 ふらりと、旅先の街角の喫茶店に入る。これも、非日常。

 最近、少しづつ取材活動も再開してきた。今回の経験は、今後、役に立つと想う。

 好奇心を抱くのも大切。これからは、そこに日常を持ち込んでみよう。それによって、視野が広がるだろうから。

【後藤 文昭】

〈旬刊旅行新聞7月1日号コラム〉2020年上半期の観光業界 コロナに翻弄され、新たな価値観も

2020年7月1日(水) 配信

2020年上期は新型コロナウイルスに翻弄された観光業界。新たな価値観の到来も

 2020年の半分が終わった。上半期を振り返ると、新型コロナウイルスに翻弄された6カ月間だった。

 
 「もし、新型コロナウイルスの感染拡大がなかったとしたら」――仮想の世界を想像すると、今ごろは東京オリンピックの開幕を控え、多くの外国人が日本を訪れ、街を行き交い、テレビをつければ五輪関連の話題にあふれていただろう。
 
 そういった意味で、このコロナ禍によって、世界中の人々の運命が大きく変わった。それも大多数が悪い方に、だ。
 
 しかし、悪い方に運命が流れたとしても、「最小限の傷で抑えたい」と誰もが願い、「いつかは後退した分を挽回しよう」と思う。
 
 私も、運命について、常々考える。
 
 今回のような世界規模の感染症の拡大や、自然災害など、人間個人の力では、どうにもならない、大きな悪い流れに直面したとき、慌てず、その得体の知れない力や、流れに逆らわないように心掛けている。
 
 大自然の強い川の流れに抵抗して逆行しようとしても、短い時間で体力も、気力も奪われ、尽き果てていく。
 
 それなら、自然体で体力を温存しながら流されるままに任せる。だが、頭は冷静に研ぎ澄まして、掴まることができる小枝が見つかることを、また、岸に近づいていくタイミングを虎視眈々と狙う。
 
 そして、その機が訪れたとき、温存していた体力を惜しみなく使い、全力で泳ぐ。おそらく、チャンスは1度しかない。それを逃したら、浮かび上がることは難しい。
 
 一方、自分のちっぽけな力を超越した、あまりに良過ぎる流れも、底知れぬ怖さを覚える。だから、そのような流れを感じたときには、例えば“快適なバスを途中下車して、自らの足で歩く”方を選ぶ。
 
 コロナ禍前の観光業界を思い出すと、東京や大阪などの大都市圏のホテルの稼働率は100%に限りなく近づき、出張の予約も至難の業だった。ホテルのオープンラッシュは続き、宿泊費は高騰を続けていた。
 
 これは、日本だけではなかった。世界的に人は国境を越え、ビジネスや観光を拡大していった。
 
 コロナ禍前夜の観光業界の大きな課題は、オーバーツーリズム(観光公害)だった。
 
 だが、新型コロナウイルスの発生と感染拡大によって、世界は180度変わった。
 
 今年5月の訪日外国人客数は前年同月比99・9%減のわずかに1700人だ。このような状況を迎えるとは、年始の時点では思いもしなかった。
 
 コロナ禍によって、我われは深い滝つぼへと垂直に落下しているのだろうか。いや、私はそのようには思わない。
 
 人は感染を恐れ、交流の制限が今も続いている。しかし、これによってビジネスや、学校、そして観光ですら、進まなかったオンラインによる効率化が、一足飛びで前進した。リモートワークも自然なかたちで定着しつつある。
 
 今後、価値の多様性がさらに進み、同時に、今は目に見えないが、もっと進んだ新たな価値観の到来の気配を感じている。
 
 激変の時代の大きなうねりに流されながら、呑み込まれないように、小さな枝を掴まなければならない。できることから始めたい。
(編集長・増田 剛)