ブックカフェ誕生、本とコーヒーの“大人空間”(二十四の瞳 映画村)

大人の雰囲気漂う書肆海風堂
大人の雰囲気漂う書肆海風堂

 香川県・小豆島の「二十四の瞳映画村」内に4月21日、映画関連の書籍などを集めたブックカフェ「書肆海風堂(しょしうみかぜどう)」がオープンした。

 村内にある「ギャラリー松竹座映画館」の2階(約120平方メートル)を改装。土壁や梁が剥き出しのレトロでありながらスタイリッシュな空間に、不朽の名作「二十四の瞳」関連はもちろん、映画や旅、小豆島、瀬戸内関連の書籍約2千冊を並べる。絶版本などは閲覧のみだが、多くの書籍は販売する。

 1954年公開の映画「二十四の瞳」で大石先生役を演じた昭和の大女優、高峰秀子さんの作家としての一面を紹介する「高峰秀子ギャラリー」も備え、写真パネルのほか直筆生原稿や愛用のバッグ、文具、カップソーサー、一輪挿しを展示。

 「劇団☆新感線」とのコラボによる、DVD&戯曲本コーナーも設置し、演劇を映像化した「ゲキ×シネ」のシリーズ作品のDVDなどを販売する。壁面には「ゲキ×シネ」のPR映像を流す大型テレビのほか、同劇団を主宰するいのうえひでのり氏、看板俳優の古田新太氏、同劇団の舞台に数多く出演する女優、天海祐希氏のサインが飾られる。「ゲキ×シネ」DVDの常設販売は国内唯一という。

 「うみかぜ珈琲」では、塩キャラメルラテやしょうが紅茶、オリーブコラーゲン入りフルーツジュース、イタリアの炭酸清涼飲料「マカリオ」など、こだわりの飲み物を提供。ソファとカウンターの計10席を備え、カウンターの窓越しには瀬戸内海の絶景が広がる。

 インテリアとしても印象的な波動スピーカーからは心地良いジャズが流れるなど優雅な大人の空間で、映画村の有本裕幸専務理事は「瀬戸内海の海を見ながら、本とコーヒーをゆっくり楽しんでください」と話している。

民泊の健全発展へ、“ヤミ民泊”の取締り強化、「民泊サービス」のあり方検討会

検討会のようす
検討会のようす

 民泊市場の健全な発展のためヤミ民泊の取り締まりを――。厚生労働省と観光庁は4月12日に東京都内で8回目の「民泊サービス」のあり方に関する検討会を開いた。今回の検討会では、前回の検討会で取りまとめられた中間整理(案)への対応として、Airbnbなどの民泊仲介サイト運営事業者に対して、「いわゆる『民泊サービス』の取扱いについて(要請)」と題した要請書を通知し、民泊市場の健全な発展のため、同運営事業者に旅館業法の許可を得ていない〝ヤミ民泊〟などを取り扱わないよう要請していくことを明らかにした。
【松本 彩】

 今回の検討会では、中間整理に対する関係者からのヒアリングとして、特区民泊の許認可取得者などを正会員とする民泊協会(高橋延明代表理事)と、特区民泊や農家民泊の実績がある、とまれる(三口聡之介社長)がプレゼンテーションを行った。民泊協会の高橋代表理事は中間整理への問題提起として、「近隣住民に対する配慮は早急に行うべき課題だ」と述べ、民泊サービス事業者はトラブル対応などを含め、民泊サービスに関するガイドラインを作成する必要があると訴えた。

 とまれるの三口社長は、簡易宿所の緩和により報道などで「民泊解禁」と報じられたことについて、「簡易宿所の緩和だけでは民泊市場拡大には限界がある」と主張。そのうえで改善余地のある規制として用途規制の改善を挙げ、「管理者、プラットフォームの責務と同様に、適切な規制を検討すべきである」と述べた。

 また、民泊市場の健全な発展のために、旅館業法の許可制度などの規制を無視している“ヤミ民泊”の早急な取り締まりが必要だとし、「ヤミ民泊を適性に取り締まり、公認民泊の規制をある程度緩和することができれば、民泊市場は発展していくと思う」と語った。

 なお、「いわゆる『民泊サービス』の取扱いについて(要請)」の要請書には、(1)民泊サービスを有償で行う場合、旅館業法の許可が必要であることの周知(2)民泊サービス提供者に対する許可取得の呼びかけ(3)民泊サービスが禁止されている物件が登録されないよう登録サイトなどへの注意喚起(4)警察からの登録者に関する情報提供が求められた場合の対応――の4つが記されている。

 厚生労働省と観光庁は、英語訳版と中国語版を作成し、欧米や中国などの民泊仲介業者などを対象に通知を行っていく。

No.429 ベッセルホテル、内製化で柔軟な対応が可能に

ベッセルホテル
“内製化で柔軟な対応が可能に

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その理由を探っていく人気シリーズ「いい旅館にしよう!Ⅱ」の第2回は、ビジネスホテルを全国展開するベッセルホテル開発専務取締役事業本部長の瀬尾吉郎氏が登場。全体のプロセスをシームレスにつなげる「内製化」によって、柔軟な対応を可能にし、サービスの品質を上げた現場の取り組みなどを語った。

【増田 剛】

 
 

〈「いい旅館にしよう!」プロジェクト2シリーズ(2)〉
ベッセルホテル

 ■瀬尾:当社は福山通運の創業者でもある澁谷昇が1924(大正13)年に土建業として創業しました。その後、運送業や印刷、ビルメンテナンスなど幅広く事業を展開し、ホテル業としては1974年に福山キャッスルホテルを福山駅前に開業しました。

 ■内藤:なぜ創業者はホテル業をやろうとされたのでしょうか。

 ■瀬尾:運送業で成功したあと、「地元・福山に還元したい」と地域貢献の想いから婚礼や宴会ができる受け皿として迎賓館のようなものを作ろうとしたそうです。

 ■内藤:旅館業はしばしば伝統産業だと言われますが、昭和30―40年代に鉄道網の整備で出張や観光が増え、多くの観光民宿や駅前旅館などができ、意外に新興産業なのです。  
 そのようななか、御社がビジネスホテルの展開を始めたのはいつからですか。

 ■瀬尾:2000年からです。その前に、2代目の社長である父が米国にホテルを視察する機会があり、そこで感銘を受けた米国の郊外型のビジネスホテルチェーンと提携を結んで多店舗展開していきました。国内では岡山以西の開発権を得て、倉敷、熊本、都城、北九州空港が開港した苅田などに郊外型ビジネスホテルとして展開していきました。
 郊外型だったので半導体工場などの出張利用が主な顧客ターゲットだったのですが、08年のリーマン・ショック以降、一気に厳しくなりました。開発地域の制約が枷となっている部分もあり、10年1月末にその契約を解消し、現在のベッセルに名前を変えました。

 ■内藤:「郊外型で、客室が広め」というコンセプトですね。…

 

※ 詳細は本紙1626号または4月27日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

熊本地震 ― 観光産業として被災地を訪れる支援

 4月14日から熊本県を中心に大きな地震が相次ぎ、40人以上が亡くなった。安否不明者や負傷者、そして避難者の数も日に日に増えている。

 被災された多くの方々に、心よりお見舞い申し上げます。

 捜索・救出活動も全力で続けられているが、余震は今も続き、天候が悪化すれば大規模な土砂災害なども予想される。不安と恐怖から緊張状態が続き、心身の疲労も心配である。たび重なる大きな揺れへの恐怖から、避難所の体育館や自宅にも入ることができずに、屋外にテントを張って一晩を過ごされたり、車の中で夜を過ごされる家族も多いという。

 震災後すぐに全国から胸が熱くなるお見舞いのメッセージや、具体的な支援活動が始まった。とくに、東日本大震災や、新潟中越地震、阪神・淡路大震災などを経験した地域の方々は、「震災後被災者が一番困ること」や、「現時点では何が必要なのか」といったことを、身を持って経験していることもあり、例えば、支援物資には飲料水や食料だけでなく、赤ちゃんのオムツや粉ミルク、離乳食、生理用品などが不足しがちなことをアドバイスしたり、物資を送ったり、行動を起こされている。

 今はとにかく飲料水の不足が叫ばれている。全国から救援物資が送られてきているが、どうしても行き届かないエリアが生じたり、情報格差により、配布される時間や場所を知らない人もいる。

 観光庁は宿泊業界などに災害弱者を優先して避難者の受入れを要請。1泊3食5千円程度で受入れる準備を進めている。15日には、民泊サービス「Airbnb」も、無料で泊まれる緊急宿泊場所の提供を始めた。この災害緊急支援は、12年10月に発生したハリケーン・サンディの被災者に、ニューヨークのホストが家を開放したことから始まったという。世界的にこれらの動きは広まり、今後日本国内でも同様の支援活動が定着していくだろう。

 観光業界としては、九州方面のツアーなどに多くのキャンセルが出ているようだ。

 熊本県だけではなく、大分県にも被害は広がっており、九州全域が被災し旅行どころではないという印象が強くなっていくことを危惧している。

 九州各地の震源に近い自動車部品や液晶、半導体などの工場は生産を中止し、再開の目途が立っていないところもある。今後さまざまな経済的な悪影響も予想される。

 スーパーなどでは熊本産の野菜コーナーなどを設けており、購入することが支援につながる。被災地を訪れることを自粛したり、それほど被害の大きくなかった地域への観光を避けることは、さらなる「災害」となる。イベントの中止や、宿泊旅行の取りやめがいかに観光産業を苦しめるかは、観光産業にいる我われが一番理解している。

 災害の1日も早い終息を祈りながら、復旧・復興への動きへと変えていくことが大事である。交通インフラも少しずつ回復している。

 被災者が必要とする支援は時間とともに変化していく。本紙は被災地支援に向けて、自粛ムードによって観光旅行やイベントを中止するのではなく、被災地やその周辺を訪れることこそが支援につながるという、ムーブメントを作り出していきたい。

(編集長・増田 剛)

急がれるFIT対策、バス業界向けメニュー開発(高速バスマーケティング研究所)

参加企業の集合写真(中央が成定氏)
参加企業の集合写真(中央が成定氏)

 高速バスマーケティング研究所(成定竜一代表、神奈川県横浜市)は4月5日、東京都内で会見を開き、バス事業者に特化した訪日市場のFIT対策メニューを開発したと発表した。

 冒頭、成定代表は増加する訪日外国人の個人旅行者数と、旅先の拡大に対し、「専門用語」、「外国人観光客から多い質問」などを専門業者とやり取りする手間とコストの問題からバス業界のFIT対策が遅れている現状を示した。一方今後は、FIT市場の取り込みが業界の成長に不可欠であることから「大きな転換が求められている」と語った。

 そこで、現場オペレーションやバス業者のニーズを把握する同社が新サービスにおいてバス業界ならではの用語や使用場面に関わる監修を担当。外国人向けウェブサイトの構築や企業向け英会話研修、通訳サービスなどの分野で実績のある6つの企業がサービスを提供する。これにより各業者のコスト軽減や、業界全体の情報共有、サービスレベル向上の仕組み作りを実現。

 例えば、オーエイチが提供する「訪日外国人向け公式WEBサイトパッケージ」は、日本語版ホームページの必要な情報のみ翻訳。利用頻度の高い高速バスの情報は厚く、利用頻度の少ない地域バスの情報は絞るなど、情報過多にならないよう配慮。情報を取り出す頻度の高いスマートフォンにも対応させた。また質問サイトを別に用意し、外国語を話せる職員不在の企業にも配慮。初期費用は1からサイトを立ち上げる費用の5分の1程度の21万6千円で導入可能(使用料別)。

 またブリックスが提供する「予約センター電話通訳サービス」は、予約担当者と顧客、ブリックスの通訳担当による3者間通話を行うことで、会社窓口に専門スタッフを雇う必要を回避。3者間通話ができるのは専用回線プランだけ。また、数社共用回線を利用すれば2万円という低価格で回線開通が行え、使用料も12時間2万円と通訳スタッフを雇う人件費よりも安く設定している。同社は、万が一のときの保険として利用してほしいと売り込んだ。

 このほかにも、スマートフォンで簡単に設定、管理が行える「多言語運行情報告知システム(WillSmart提供)や、実践重視の「接客英語トレーニング」(ENGLISHOK提供)、スマホ・タブレットをテレビ電話として利用する「窓口・案内所向け通訳サービス」(国際興業提供)、GPSを活用した「自動ガイドシステム」(アドホック提供)が今回のバス業界向け「FIT対策メニュー」を構成。利用者が個々に必要なものを選択できるようにした。 

鉄っちゃんでなくとも

 ゴールデンウイーク目前ということで、おでかけ情報を。GW初日となる4月29日、JR京都駅から西に徒歩約20分の場所にある梅小路公園に「京都鉄道博物館」がオープンする。かつての「梅小路蒸気機関車館」の施設に、同じく大阪市にあった「交通科学博物館」の展示物や資料などを加えた、まさに“鉄道”をあらゆる角度から捉えた博物館となる。

 蒸気機関車C62型や、日本の高度経済成長を象徴する0系新幹線など、延べ53両の車両を展示するほか、関西の私鉄も走る巨大な「鉄道ジオラマ」や運転シュミレータなども備わる。以前から人気の扇型車庫も健在だ。鉄道にそれほど興味はないよ、という人も食わず嫌いせずに、まずは一口。普段の通勤電車が違って見えてくるかも。

【塩野 俊誉】

翻訳版「100選」冊子を発行、台湾400旅行社に配布(旅行新聞新社)

中国語(繁体字)に翻訳
中国語(繁体字)に翻訳

 旅行新聞新社は、昨年12月に発表した第41回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選(以下、旅館100選)」の入選施設の情報やランキング一覧を中国語(繁体字)に翻訳した冊子を発行しました。台湾の訪日旅行を取り扱う旅行会社に無償配布します。

 翻訳版旅館100選冊子の発行は今回で5回目となります。誌面は昨年に引き続き、本紙と提携する台湾の旅行業界専門誌「旅奇」で作成。4月中旬に台湾内の訪日旅行の取扱資格を持った旅行会社本社、営業所など400カ所に無償配布します。

 4月21―24日には「旅館100選台湾プロモーション」も実施します。事業には16旅館19人が参加し、台湾の旅行会社42社67人を招いての説明・商談会(22日)やギフト・文具の見本市「ギフショナリー台北」でのPR(23日)を行います。

 本紙購読の皆様には、翻訳版冊子を見本としてお届けしましたのでご覧ください。 

DMOと人材育成強化、日観振が新組織設立

 日本観光振興協会は4月1日から、観光地域づくり・人材育成部門に新たに「DMO推進室」と「日本観光振興アカデミー」を設立した。関心が高まる日本版DMOの形成支援と、体系的な人材育成プログラムの整備が目的。日本版DMOの推進に必要な専門人材育成については、両者で取り組みを強化する。

 DMO推進室は、DMOの形成や導入に向けて地域の自治体や観光協会、観光業界からの各種照会、要望などにワンストップで対応する。具体的な事業は日本版DMO普及啓発活動として、シンポジウムやセミナーなどを開催するほか、研修メニューの提示などを行う。人材育成については、必要な研修カリキュラムを策定し、集合教育を実施していく。

 日本観光振興アカデミーは、地域の多様なニーズと課題に対応する人材育成メニューを「観光地域づくり研修なび」を通じて提示し、公募で選定した地域で実施する。また、各分野の中核人材育成に向けて、テーマごとに必要な研修カリキュラムを策定し、集合教育を行う。このほか、観光ボランティアガイドの人材育成研修や産学連携事業として大学での寄附講座、ツーリズムセミナーの開催などを展開する。

開業の不安を解消、農家民宿の手引き作成(農協観光)

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 農協観光はこのほど、農林水産省の2015年度「都市農村共生・対流総合対策交付金」を活用し、「グリーン・ツーリズム農林漁家民宿の開業・運営の手引き」を作成した=写真。農家民宿の開業に興味がある人たちに向け、具体的な手続きやもてなし、安全管理、訪日外国人対応まで幅広く掲載することで不安を解消し、開業に挑戦してもらうのが狙い。

 手引きは(1)農家民宿開業に向けた準備について(2)農家民宿の開業手続きについて(3)宿泊者との関わり方について(4)安全管理について(5)関係者との連携について(6)外国人旅行者の受け入れについて――の6章で構成。開業者の声やイラストなどを交え、分かりやすく解説している。

 外国人旅行者の受け入れも推奨しており、言語ができなくても積極的に受け入れている施設が多いことも紹介している。なお、農水省では外国人旅行者の受け入れに積極的な農家民宿経営者に「Japan. Farm Stay」のシンボルマークを付与しており、チラシや名刺、Webサイトなどに利用できる。

 手引きのダウンロードは(http://ntour.jp/green2015/)から。

ホテル天坊の厨房視察見学会、4、5、7月に追加開催(見える化プロジェクト)

 旅行新聞新社は今年2月17日に開催した、群馬県・伊香保温泉「ホテル天坊」での「第1回見える化プロジェクト」旅館経営研究セミナー・厨房運営の視察見学会が好評に終わり、このほど「参加したかったけど予定が合わなかった」という声に応えるため、同セミナーの追加開催を決定した。会場は前回同様、ホテル天坊での開催となる。

 今回は、より多くの旅館・ホテルが参加できるよう、4、5、7月の計3回実施する。全日程1泊2日の行程で、1日目の午後2時より厨房視察や旅館経営と革新的調理運営の講演・パネルディスカッション、2日目は午前10時から旅館経営と見える化プロジェクトの講演・パネルディスカッションなどを予定している。

 開催日程は、4月25―26日、5月16―17日、7月11―12日の計3回。参加費はセミナー参加費と宿泊代を含め1人2万5千円(税別)。1室3―4人の料金で、2人1室、1人1室希望の場合、別途1人当たり2人1室プラス4千円、1人1室プラス8千円が必要となる。

 なお、宿泊料金には消費税・入湯税150円は含まれていない。

 申込み・問い合わせ=旅行新聞新社 電話:03(3834)2718。