JAL、丸紅と設立したビジネスジェット会社のサービス開始

2019年9月24日(火)配信

写真はイメージ(C)Gulfstream Aerospace Corporation

 日本航空(JAL、赤坂祐二社長)は2019年9月24日(火)、1月に丸紅(柿木真澄社長)と共同で設立したビジネスジェット運航会社の「JALビジネスアビエーション」(紺戸隆介社長、東京都大田区)がこのほど旅行業登録を完了し、チャーターフライトの手配や運航支援などのサービスを本格的にスタートしたと発表した。

JALビジネスアビエーションが提供するサービス

 JALビジネスアビエーションは、次の3つのサービスを本格的に開始した。

チャーターフライト手配

◇顧客の要望に基づき、安全で快適なビジネスジェット運航会社を選定し、チャーターフライトを提供する。

◇①定期便からの乗り継ぎ、海外都市間の移動②日本発着の国際区間③日本国内区間のフライト手配——を行う。(※JAL国際線に加えて、JAL便以外の定期便からの乗り継ぎも可能)。

◇JAL便を利用して海外で乗り継ぎを行う際、主要空港でエスコートサービスを提供する。

◇チャーターフライトに搭乗した顧客へ、区間に応じたマイル積算のサービスを実施する。(※JALマイレージバンク会員が対象、フライトマイル・JMB提携航空会社としての積算ではない)

運航支援・グランドハンドリング

◇国内各空港でのビジネスジェットの運航支援・グランドハンドリング、そのほか発着に関わるサービスを手配する。

オーナー所有機マネジメント

◇世界大手のビジネスジェット運航会社Jet Aviation社と協力し、スケジューリング、乗員・格納庫・整備の手配をする。

「JALビジネスアビエーション」とは

 JALビジネスアビエーションは、チャーターによる利用者の移動手段の手配のみならず、日本の利用客が保有するビジネスジェットの運航支援と整備の手配などのすべての業務に携わることで、さらに高い品質・利便性を提供し、常に最高のサービスを届けるよう努めている。

 世界の406都市(2019年6月28日現在)に就航しているJALと、ビジネスジェットに関する知見・ノウハウを有する丸紅は、今後も必要なインフラ改善に努め、あらゆるシーンでビジネスジェットをもっと身近に利用してもらえるよう手伝いをし、安全で快適、そして時間価値を最大化した渡航を提供することで、日本の経済活性化、社会の進歩発展に貢献していく考え。

「宿にITを活用できる人材が必要」 産学官の視点で議論

2019年9月24日(火) 配信

パネルディスカッションのようす

 日本工学院と東京工科大学を経営する片柳学園はこのほど、「今後のホテル・旅館業界の求める人材像」をテーマにパネルディスカッションを開いた。産学官の視点から、宿の抱える人手不足や生産性向上について議論し、ITを活用できる人材の必要性などを確認した。

 登壇者は、観光庁観光産業課参事官の小熊弘明氏、帝国ホテル情報システム部長の花井伸二氏、ホテル銀水荘執行役員経営企画室室長の関太郎氏、タップ会長の林悦男氏の4氏。進行役は立教大学観光研究所特任研究員の玉井和博氏が務めた。 

 討論の冒頭、立教大学の玉井氏は人手不足について言及。「産業界側は優秀な人材を希望しながら、具体的な人材像には触れてこなかった」と指摘した。一方、学校側も「投資や金融をマネジメントできる人材を育成する『オペレーション教育』が必要」だが、難しい現状を紹介した。

 そのうえで、観光立国を目指す観光庁の小熊氏に、行政の立場から観光業界の人材育成について意見を求めた。

立教大学観光研究所特任研究員の玉井和博氏

観光庁

 小熊氏は、宿泊業の人手不足について「従業員の高齢化」も一つの特徴として提示した。60~80代の割合が3割を占め(総務省「2017年の就業構造基本調査」)、「全産業と比較しても多く、離職率も高い」と指摘した。

 労働生産性の低さも課題だ。ITを活用して「効率化、生産性の向上に成功した事例」などを共有していく取り組みも説明。さらに、観光業界の経営トップ育成へ、旅館・ホテルのマネージャーらを対象にした中核人材向けの講座や、現場の実務人材向けのインターンシップを実施しているとも紹介した。

観光庁観光産業課参事官の小熊弘明氏

帝国ホテル

 日本を代表する帝国ホテル(東京都千代田区)でも、「接客にかける時間は3割、裏方の仕事が7割を占める」と、限られた滞在時間の中で「スタッフがいかにお客様との接客時間を増加させられるかを課題としている」(花井氏)。「裏方仕事のIT化を加速させる」ことが急務で、「ハイテクに支えられたローテクなサービスの実現」を目指している。

 帝国ホテルの年間延べ宿泊者数は約43万人。室稼働率は82%。外国人宿泊者数は日本人と同じ割合まで比率を上げており、「今後も伸び続ける」と予想する。

 同ホテルでは、タブレット約280台とパソコン約1300台を使用している。Wi―Fiサービスは1日当たり約6200台の利用があるが、「サイバー攻撃は月45万件に達する。ITサービスの安心・安全を提供することも大事なサービス」と、ITセキュリティーに関わる専門人材の必要性を強調した。 

 さらに、「宿泊前後のデータを取得しているが十分に活用できていない」と点を指摘。「航空会社や、空港からの移動手段などの顧客データを積極的に活用し、満足度の向上をはかりたい」(花井氏)と述べた。

帝国ホテル情報システム部長の花井伸二氏

ホテル銀水荘

 一方、「おもてなし」に定評のある静岡県・稲取温泉のホテル銀水荘も人手不足に悩む。

 同ホテルの関氏は「接客スキルだけでなく、情報活用もできる人材の確保と、若い世代の活躍できる環境整備が必要」と課題を整理した。「人によるホスピタリティと、ITを活用できる人材がこれからの旅館に求められると思う」。

 同ホテルの客層は団体の宴会利用が中心だったが、今は個人旅行客が主流となっている。宿の選定も、大規模な宣伝によるブランド構築から、SNS(交流サイト)やOTA(オンライン旅行会社)のクチコミが、決め手となっている。

 ホテル銀水荘では、ビッグデータの活用や、定性的な分析にも着目し、OTAのクチコミから、ニーズを分析できるシステムを導入している。より詳細にクチコミを分析するため、システムを運用できるIT技術者を確保したい考えだ。

ホテル銀水荘執行役員経営企画室室長の関太郎氏

タップ

 ホテルのIT化を進めるタップの林氏は、ホスピタリティ工学の視点から、「これからのホテルは、自分の泊まるホテルは自分でオペレーションするようになる」と語った。スマートフォンで予約とチェックイン、レストランの予約、チェックアウトまで済ませる。

 米国のホテルではテクニカルロボットがルームサービスしたり、熱海ではチェックインしたら、前回宿泊した際に客が設定した温度で客室の温泉が自動に出るシステムなどを紹介し、「技術がサービスという形に変化する」と述べた。

 これらを実現するために、林氏は「ホスピタリティ精神を持ち、システムを運用できるIT人材が必要」と強調した。

タップ会長の林悦男氏

日本旅行、10月5日出発限定「いすみの秋 お楽しみ列車」売り出す

2019年9月24日(火) 配信

いすみ鉄道キハ28型気動車

 日本旅行(堀坂明弘社長)はこのほど、台風15号により被災した千葉県を観光で支援しようと、10月5日(土)出発限定のいすみ鉄道を利用した「いすみの秋 お楽しみ列車」を売り出した。

 千葉県内を走るいすみ鉄道も一時運転を見合わせたが、9月14日(土)に再開し、現在は平常通り運行している。「台風被害の影響で、旅行を見合わせたお客様も多く、改めて房総を訪ねていただくきっかけになれば」(日本旅行)とツアーを企画した。

 いすみ鉄道では、JRで活躍していた気動車が「懐かしい昭和の観光急行列車」として走っている。同ツアーでは、この急行列車の旅を楽しんでもらおうと、キハ28型気動車を大原―上総中野―大多喜間で貸切列車とする。車内では、伊勢エビ(1人半身)など、いすみ鉄道沿いの地元産品をふんだんに使用した行楽弁当を提供する。

 さらに、往路の大原―大多喜間を、「跡見学園女子大学いすみ市活性化プロジェクトチーム」の学生がアテンダントとして案内する予定だ。

 同大学といすみ市は連携協定を結んでおり、学生らは観光客と地元住民とのつなぎ役となって、いすみ鉄道の活性化を支援していく。

 ツアーは午後0時36分に急行1号の貸切車両で大原駅を出発。行楽弁当などを楽しみながら、午後1時46分に上総中野駅に到着。折り返し急行4号の貸切車両で午後2時出発。大多喜駅に午後2時22分に到着し、解散。

 旅行代金は大人1人9800円。募集人員は30人(最少催行人員10人)に設定している。

 申込みURL(https://va.apollon.nta.co.jp/isumi191005/)まで。

新潟のオープントップバス、10月DCに合わせて2コース運行

2019年9月24日(火)配信

チラシ表紙

 ケー・オー・ケー・ケー(ハミングツアー)は、2019年10月1日(火)から始まる「新潟県・庄内エリアデスティネーションキャンペーン(DC)」に合わせて、新潟市内の名所をめぐるオープントップバス「宙(そら)バス」の新コースの運行を10月5日(土)に始める。みなとまち新潟の歴史や食文化を知ることのできる、午前と午後に分けた2コースを提供する。

 午前コースは、「新潟一の眺望『朱鷺メッセ展望室』と豪商の館『旧齋藤家別邸』を訪ねる、みなとまち探索コース」。下車観光では、Befcoばかうけ展望室や旧齋藤家別邸、ピアBandaiをめぐる。

 午後コースは、「豪農の館『北方文化博物館』と湊町の歴史が残るゾーン『みなとぴあ』を訪ねる、歴史文化探究コース」。下車観光では、北方文化博物館や峰村醸造、みなとぴあ、メディアシップそらの広場をめぐる。

 運行期間は2019年10月5日(土)~12月22日(日)の土日祝日。除外日は10月12日(土)、10月13日(日)とする。両コースとも所要時間は約4時間、料金は見学料込みで大人2000円、子供1000円。

 そのほか、コース詳細や申込方法は下記から。

問い合わせ先

◆オープントップバスに関すること

 株式会社ケー・オー・ケー・ケー(ハミングツアー)

 TEL:0570-037154

◆新潟開港150周年記念事業に関すること

 新潟開港150周年記念事業実行委員会事務局

 (新潟市2019年開港150周年推進課内)

 TEL:025—226-2162(直通)

近畿日本ツーリスト首都圏、第2弾「東京2020オリンピック公式観戦ツアー」を発表 10月1日(火)から受付開始

2019年9月24日(火) 配信

 近畿日本ツーリスト首都圏(田ヶ原聡社長)は10月1日(火)から、「東京2020オリンピック公式観戦ツアー」の抽選販売の受け付けを始めると発表した。2競技の観戦チケットと宿泊を組み合わせた「東京2020オリンピック競技観戦 コンボシリーズ」の第2弾となる。

 今回売り出すのは、日本のメダルが期待される陸上競技(トラック&フィールド)・テニス・バレーボール・卓球の中から1競技と、東京ベイゾーン開催の1競技の計2競技を観戦する2泊3日のツアー。東京ベイゾーンの観戦競技は、出発日によって異なる。

 同社では第3弾以降の抽選販売も行う予定で、詳細はメールマガジンと東京2020応援サイトで随時公開していく。

KNT-CTホールディングス 東京2020応援サイト
https://www.knt.co.jp/tokyo2020/
KNT-CTホールディングスは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のオフィシャル旅行サービスパートナーとして、社員一体となって大会を応援してまいります。

コースの一例

 

※料金はいずれも2人1室利用時の1人料金。ほかにも、卓球、テニスの観戦コースがある。

【コンボシリーズの行程】

1日目 自宅・・ホテル(泊)、2日目 ホテル・・競技観戦(メダルが期待される競技)・・ホテル(泊)、3日目 ホテル・・競技観戦(東京ベイゾーン開催競技)・・自宅 ※移動は各自負担、朝食2回付き

 コンボシリーズは、特典「5つのWonderポイント」の対象となる。①注目のオリンピック競技観戦を確約②VRフェンシングなど先端技術を用いた“誰でも競技体験”③競技ルールや注目ポイントなど“見どころ解説セミナー”④東京2020期間中を楽しむ、便利な“オリジナルグッズ”⑤チェックイン前、チェックアウト後も荷物の預かり、“好立地ホテルに連泊”--。

HIS、学生旅行をより安価で身近に 早期成約割引や支払いを遅らせる「出世払い」サービスも

2019年9月24日(火) 配信

サービスイメージ

 エイチ・アイ・エス(HIS)は9月20日から、早期成約での割り引きや友人らにシェアできるクーポンなどを組み込んだ学生専用の旅行商品を売り出した。就職活動の前倒しで内定の早期化が進み、大学生の春休みである2~3月の学生旅行の予約が秋ごろから本格化すると予想。市場の新たな動きに対応する。

 若年層の海外旅行者は近年好調だ。日本人出国者数を世代別でみると、20~24歳の市場は2016年以降2ケタ増。性別・年齢階層別構成比率では20代女性の出国率が24・9%(出典:法務省)でもっとも高く、海外旅行市場をけん引する存在となっている。19年の学生旅行市場も「今年の学生旅行市場も盛況化が進む」(同社)とみる。

 一方、学生が「学生旅行」を考えるとき、第一の不安は金銭面。今回は35日前までの成約で最大5000円を割り引くほか、1人当たり500円引きとなるグループ割り、友人からシェアされた人が使えるクーポンなどを用意。旅行代金の支払いを最大7カ月後まで遅らせることができるサービスも展開し、より安価で身近な「学生旅行」となるよう、学生に寄り添った施策をそろえた。

 「スマートフォンの普及でさまざま情報が飛び交う今こそ、 画面の中ではない、 本物を現地で見て感じてほしい」(同社)。学生旅行専用ツアーパンフレットは関東地区のHIS店舗に置き、店舗と専用WEBサイトで販売していく。

パパっと決めたらお得になる「早め割」

 9月20日から売り出した学生専用ツアーパンフレット掲載商品とドッカンプライス商品は、35日前までの成約で最大5000円引きとなる。添乗員同行の旅impressoの商品では成約日に応じ最大1万円引き。

一緒に行くともだちを増やすと安くなる「ともだちの増割」

 同一行程・同一内容で新規に申し込んだグループを対象に、3人以上のグループで1人当たり500円引き、 それ以降は1人増えるごとに500円ずつ割り引く。最大8人グループで1人当たり3000円引きとなる。一方、添乗員同行の旅impressoの商品では8人グループ以上も対象。12人以上のグループであれば5000円引きとなるよう設定している。

 LINEで拡散 「ともだちの輪割」

 学生専用商品を予約した客がHIS限定の1000円クーポンをLINEでシェアし、シェアされた人が「ともだちの輪割」のクーポンを使ってHISで予約すると、予約した人の人数×1000円引きとなる。上限15人までで、最大1万5000円の割り引きとなる。

HIS資料より

 上記の「3大割り引き」については下記から。

旅行代金の「出世払い」

 18年に6000人以上が使った人気の旅行代金「出世払い」を7年連続で行う。HISのクレジットカード「スカイウォーカーカード」で決済することで国内・海外旅行問わず最大7カ月後まで支払いが延ばせる。支払い月までの手数料はHISが負担する学生限定のサービスだ。

「おねだりメーカー」 

 学生による広告研究会のコンテスト“Adfes2018”にてプロモーションコンテストで優勝した、神戸大学生が考えた「おねだりメーカー」を今年も展開する。「おねだりメーカー」は、旅行資金を工面したい学生が、親におねだりするのを後押しするプレゼン資料を簡単に作成できるもの。

LINEで気軽に“現地”に相談「海外コンシェル」サービスで旅ナカを安心サポート

 学生旅行で初めて海外旅行をする人も多いため、現地でのサポート体制も充実させた。HISが展開する海外現地法人の「世界70カ国で安心の24時間サポート」と、 23の国と地域で「LINEで気軽に“現地”に相談 海外コンシェル」のサービスを提供する。

旅行中にHIS現地スタッフとLINEを使って客の疑問・相談に回答するもので、「我われ独自の旅先の不安を解消するサービスとして好評いただいている」という。

学生による学生の為のコラボレーションツアー

 学生旅行専用パンフレット(アメリカ編)の巻頭特集は、日本大学芸術学部の学生が実際に訪れ、取材し、学生の目線で企画したツアーをHISがコーディネートしたもの。「北カリフォルニア」・「南カリフォルニア」の2コースあり、南北それぞれの魅力を詰め込んだハイライトツアーとなっている。

 例えば、ヨセミテ国立公園やレッドウッド国立州立公園、 サンタモニカやジョシュアツリー国立公園など、1人では回りづらい広大なカリフォルニアの観光地を日本語ドライバーガイドと一気に巡ることができる。

<ツアー概要>

ツアー名:行っちゃえ!カリフォルニア学生旅行5日間

旅行代金:19万9800~29万9800円(燃油サーチャージ込み)

利用航空会社:ANA、 ユナイテッド航空のいずれか

添乗員:なし。 現地係員

最少催行人員:10人/減延泊不可

食事:なし(機内食除く)

発着地:成田空港

 南カリフォルニアコース(10人催行)は下記から。

https://tour.his-j.com/trip/ciao/voyage/02A_10/TC-ASO0003-ST20
https://tour.his-j.com/trip/ciao/voyage/02A_10/TC-ASO0003-ST20

 北カリフォルニアコース(10人催行)は下記から。

https://tour.his-j.com/trip/ciao/voyage/02A_10/TC-ALX0003-ST20
https://tour.his-j.com/trip/ciao/voyage/02A_10/TC-ALX0003-ST20

「トラベルスクエア」特典与えるなら「太っ腹」で

2019年9月23日(月) 配信

外国人観光客の特典はどうせやるなら「太っ腹」に(写真はイメージ)

 今年の夏もドイツ・フランクフルトに在住の実姉のところに25日間、ホームステイしてきた。まさに旅行というより、暮らしに行く感じだが、それだけに姉夫婦のドイツでの日常の過ごし方が分かって興味津々だ。
 
 そして、海外にいるからこそ分かる、日本のある種のサービス哲学の欠如が見えたりもする。
 
 ある日、姉がフランクフルトの日本領事館に用事があるから、一緒に行かないか、と誘いがあった。10月中旬に、今度は逆に姉たちが日本に帰省して我が家を拠点に日本を回ったりするので、そのためのジャパンレイルパスの発行願いに行く、というのである。
 
 「そんなこと書面往復でできないの?」と聞くと、事前の手続きは郵便でやれても、最後は直接領事館まで行って、書類の直接手渡しなどだそうである。ただ、渡すだけ。待ち時間がなければ1分で済むことだ。
 
 しかも、それから1週間後パス発行の許可証が出るのだが、それも直接受け取りだ。2回も足を運ばなければならない。
 
 姉の場合はフランクフルトに住んでいるから、片道30分のドライブでいいが、これが近隣の諸都市、ドルトムントやケルンだったら、そのためだけに片道数時間かけなければならない。結構な仕事なわけだ。
 
 定額でJR乗り放題のこのパスはインバウンド客必携のものだが、こういう「サービス」を受けるために、どれだけ手続きの不便を強いられることか。JRさんが悪いのか、日本の外務省がいけないのか、よくわからないが、こういう外国人にお得なサービスは、もっと手続きを簡略化し、もっともっとユーザーフレンドリーにならないものか、と思う。誰もが入手しやすくして、どんどんJRを使ってもらう。その方が最終的には企業側もお得に思うのだ。
 
 勘ぐりに近いかもしれないが、日本のサービス業には特典を与えるけれど、そのために面倒な処理時効のハードルが高くて、面倒くさいや、と思えることが幾つもある。
 
 昔、都市ホテルでスムーズチェックアウトサービスというのがあった。朝の混雑時チェックアウトの行列に並ばないで済みますよ、というものだったが、それをするためにはチェックイン時に煩瑣な登録手続きをしなければならず、かえって面倒を感じたものだ。早いチェックアウトのためにチェックイン時に、待たされる。これって何なの?と思ったものだ。
 
 それにジャパンレイルパスは新幹線での、のぞみの乗車が不可。これの評判がすごく悪い。
 
 割引客を増やしたくない気持ちは分かるが、どうも煮え切れない。一旦、ユーザーに特典を与えようというのなら「太っ腹」で使ってもらうほど嬉しいという態度でいられないものだろうか?

 

コラムニスト紹介

松坂健氏

オフィス アト・ランダム 代表 松坂 健 氏
1949年東京・浅草生まれ。1971年、74年にそれぞれ慶應義塾大学の法学部・文学部を卒業。柴田書店入社、月刊食堂副編集長を経て、84年から93年まで月刊ホテル旅館編集長。01年~03年長崎国際大学、03年~15年西武文理大学教授。16年~19年3月まで跡見学園女子大学教授。著書に『ホスピタリティ進化論』など。ミステリ評論も継続中。

 

 

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(9月号)」

2019年9月22日(日) 配信

http://zoomjapon.info

〈巻頭言〉

クロード編集長

 フランスも年々休暇の分散化が進んでいます。8月に休みを取るのは、とくに子供のいる家庭を中心に全体の約40%。次に多いのが、9月。約700万人のフランス人が、ハイシーズンを避けて、安価で人混みの少ない9月をバカンス時期に選びます。主な旅行先は、ギリシャやスペインなど近隣諸国が多いものの、日本人気も記録的な高まりを見せ、日本を訪れるフランス人旅行者数は、年間15万人だった10年前に比べると、現在は倍以上に増加。リピーターも多く、彼らはより観光客の少ない地域を目指して旅立ちます。そこで、本誌9月号ではまだまだ外国人観光客がまばらな東京の下町、昭和の情緒が残る葛飾区の魅力に着目しました。文化面では、春日部の庄和排水機場、別名「地下神殿」の圧巻の見学コースを紹介。 旅ページでは尾瀬国立公園を訪れています。

(編集長 クロード・ルブラン)

特集 「東京・葛飾へようこそ」

アニメの聖地でもある葛飾に立つ「こち亀」像

 過去70年来、東京都は、都市開発に伴い、過去を消すように古い建物を崩してきた。その結果、画一的なビルが建ち、各地域はその個性や魅力を失い始めている。葛飾区はそれらの開発の手を逃れた貴重な地区だ。戦後の香りが漂う、この東京に残された最後の労働者のまちを探索した。■日本映画でおなじみの寅さんが生まれた柴又。帝釈天や参道、寅さんミュージアムを訪れて、古き良き時代にタイムスリップしたい。■「こちら葛飾区亀有公園前派出所」や「キャプテン翼」など、人気漫画の舞台となった葛飾での「聖地巡礼」が人気。両さんや翼の像を探そう。■玩具のまちとしての歴史も持つ葛飾区。大正期に建てられたセルロイド工場に始まり、その後、リカちゃんを生んだタカラ(現タカラトミー)、キューピー人形の生産で知られるオビツ製作所などが日本製おもちゃの発展を支え続けている。■月間雑誌「ガロ」でも知られる漫画家・つげ忠男氏に聞く、幼少期を過ごした葛飾区立石と、その暮らしが作品に及ぼした影響。■立石を歩く。仲見世通り、中川沿い、住宅地と町工場跡、呑んべい横丁など、都市開発でいつか姿を消してしまうかもしれない下町の日常を巡る。

〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉モチブーム真っ只中

パリで販売されている餅アイス

 日本食ブームに乗って、寿司や天ぷら以外にも、パリではたこ焼きやお好み焼きなどいわゆるB級グルメを提供する店もどんどん増えてきました。また、柚子や抹茶フレーバーは、日本食店に限らず、幅広いシーンで重宝されています。これらに加えて、昨今急激に需要を増やしているのが、「餅アイス」。アイスクリームをモチモチの皮で包んだ、いわゆるロッテの「雪見だいふく」みたいなアイス、というのが日本人には一番伝わりやすいかと思います。仏語では「モチグラッセ」と呼ばれ、数年前から多少話題になってきましたが、本格的に人気に火がついたのは今年。有名スーパーマーケットのチェーン店でも取り扱い始め、それまではアメリカやイギリス産が主でしたが、生産・販売のために起業するフランス人も登場。値段は店頭で1つ200円程度、レストランでは300―400円。チョコレート、ストロベリーなどスタンダードな味に加え、マンゴーやココナツ、そして抹茶、黒ごま、桜など日本風味も人気。餅ブームは、アイスばかりでなく、餡子がたっぷり入った大福にも及んで、豆大福やいちご大福、草餅など、なんでも「モチ」と呼びながら美味しそうに食べる姿が印象的です。

 

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

〈観光最前線〉コールドロンって何ですか

2019年9月21日(土) 配信

兵庫県赤穂市はカルデラの中にできた町らしい

 普通列車に乗ったときは、駅や周辺の建物に各地のキャッチコピーを探し、見つけるたびにメモしている。

 「南吉が青春を過ごしたまち」(愛知県安城市)に学校で学んだ記憶を手繰り寄せ、「月の引力が見える町」(佐賀県・多良町)では、どんな絵なのかと思案して。過ぎ行く景色を眺め、知らない地に思いを馳せるのが楽しい。

 そんなのんびりモードの旅を一変させたのも、奇遇かキャッチコピーだった。9月の午後、JR西日本赤穂線の備前福河駅に突如現れた「赤穂コールドロンの見える駅」――えっ何ですかそれとばかり、慌ててスマホのカメラをかざした。WEBで調べたら、火山構造性陥没地の総称、すなわちカルデラのことらしい。決着した後、ふと気づく。「うまく名所を刷り込まれたな」と。

【鈴木 克範】

〈旬刊旅行新聞9月21日号コラム〉観光教育 子供たちの前に大人が深く理解を

2019年9月21日(土) 配信

観光教育は子供たちの前に大人が深く理解を(写真はイメージ)

 観光庁は2020年度予算の概算要求で、「観光産業における人材確保・育成事業」に2億4700万円を求めた。「観光産業に携わる人材が質・量両面において不足している」(同庁)認識のもと、観光教育の充実に取り組んでいく考えだ。

 
 観光系大学では、経営や課題解決スキルなど専門能力の習得を目的とした「モデルカリキュラム策定」を支援する。また、「中核人材」の育成も重視している。旅館やホテル、旅行会社などで勤務する観光産業従事者には「社会人向け教育プログラム」を複数の大学で実施する。

 
 そして、近年は小学生や中学生の時期から、観光教育を導入すべきだと議論する機会が増えてきた。
 
 本紙9月1日号では、「観光教育~早期導入で業界へ優秀人材を~」をテーマとした特集記事を企画した。玉川大学教育学部教授の寺本潔氏と、立教大学名誉教授の村上和夫氏に、それぞれの立場から観光教育のメリットや課題などを語っていただいた。
 
 そのなかで、両氏が指摘したことは、「教員が観光教育の大切さを学ぶ必要がある」ということだ。
 
 寺本氏は「未だに『観光=遊び』と捉えて、『学校で扱うに相応しくない』と考える先生もいます。そのため、観光教育のメリットを発信する必要があります」と語っている。
 
 観光産業には旅館や旅行会社だけでなく、病院や警察、水道、ゴミ処理業者、地元の農水産業など、ありとあらゆる人たちが関わっている。これを、「まずは先生方に勉強してもらわなければならない」(寺本氏)というのが現状である。
 
 村上氏は、中学校と高校の教員のほとんどは、教育学部、理学部、文学部出身と指摘する。そのうえで「教育免許の更新時に、先生方に観光について教える機会を設けて、観光教育の拡大をはかることが望ましいと感じています」と提案している。
 
 教育現場を知る両氏の言葉は重い。子供たちへの観光教育を語る前に、大人が観光を深く理解する必要があることを思い知らされた。
 
 観光は間口が広く、誰でも学ぶことができる。特別な知識や高度な技術なども必要ない。小学生でも、100歳を超えても学ぶことが可能である。だが、間口の広さと敷居の低さゆえに、異業種からの参入もたやすい。観光を学んでいない人が「一時的なお金儲け」のために参入し、観光地の調和を壊したり、陳腐化を加速化させたりする例を嫌というほど見てきた。
 
 民間事業者だけではない。自治体の観光課に在籍する担当職員が観光をしっかりと理解していないために、「隣の自治体もやっているから」というだけの理由で、全国各地が横並びになる例も、嫌というほど見てきた。B級グルメブームで、似たような〇〇バーガーがあちこちでつくられる。「ゆるキャラ」をアピールすることに熱心な周回遅れの自治体……。やはり観光教育は大事だと思う。
 
 必要なことは、「観光」の視点を備えること。これさえ得られれば、「長期的な視野で物事を考える訓練」になるし、「真似や偽物ではダメだ」という本質を探究する目を養える。歴史や地理、語学、政治、経済、科学技術、芸術、文学、環境への関心など、あらゆる学問につながる「観光教育の大切さ」を広めたい。
 (編集長・増田 剛)