ゆこゆこ、ハガキでWeb宿泊予約促す レスポンス率2.3倍に

2019年11月21日(木)配信

顧客に送付しているハガキの一例

 ゆこゆこホールディングス(吉田周平社長執行役員、東京都中央区)はこのほど、5月から実施した新たなダイレクトマーケティング施策により、顧客からのレスポンス率が2.3倍にアップするなどの効果を得られたと発表した。新施策とは、顧客一人ひとりに最適な宿泊施設を案内したハガキを送付し、Web予約の利用を促すもの。

ターゲット層にハガキの送付でWeb予約の利用を促す

 同社の温泉宿泊予約サービスの顧客はシニア層が多く、60代以上が7割を占める。現在、Webでの宿泊予約が主流になってきたが、シニア層は紙媒体の影響が根強く、Web予約の利用率が60代利用者全体の31%(同社調べ)と低い数字に留まっているという。

 そこで、紙媒体に馴染んでいるシニア層にWeb予約の利用を促す目的で、新施策を始めた。ハガキに「ゆこゆこネット」のURLとQRコードを掲載したほか、ネット予約限定で使用可能なクーポンを掲載。ハガキに印刷する宿泊施設は、大日本印刷が提供する「パーソナライズド・プリントサービス」を使い、顧客データに基づき個々の顧客ニーズに最適な印刷物を自動作成することが可能になった。

データ連携相関図

 ダイレクトマーケティングの基となる顧客データは、ブレインパッドが提供する「Rtoaster(アールトースター)」を使い、蓄積されている。「Rtoaster」は、国内トップクラスのデジタルマーケティング活動を機械学習により最適化する、ブレインパッドのレコメンドエンジン搭載プライベートDMP(データマネジメントプラットフォーム)。圧倒的な拡張性を誇り、広告配信、メール配信にも対応できる。

ユーザー一人ひとりに合わせたDMを作り、郵送が可能に

 今回のダイレクトマーケティング施策の一番のポイントは、「お客様がゆこゆこネットで見た宿」が印刷されていること。「Rtoaster」を「ゆこゆこネット」に連携したことで、顧客の閲覧情報を基に一人ひとりの興味を喚起できるようなハガキを作成することができるようになったという。

 ユーザーの宿泊施設への興味関心を喚起することができたため、約5カ月間の実施で顧客のレスポンス率は平均3.9%に上り、同社ロイヤル会員向け情報誌のレスポンス率1.7%に比べて2.3倍の効果を得ることができている。

 今後、同施策はマーケティングオートメーションなど外部ツールとも連携し、さまざまな内容・手法で展開していきたい考えだ。さらに同施策を個人の顧客だけではなく、宿泊施設向けの広告媒体への展開も今後検討していくとする。

〈旬刊旅行新聞11月21日号コラム〉安易な旅は死よりも退屈 知的好奇心くすぐる旅を自ら探そう

2019年11月21日(木) 配信

知的好奇心、冒険心をくすぐる旅を自ら探そう

 毎年秋が深まり、冬の足音が近づいてくると、東京・外苑前の銀杏並木が黄色く色づいた美しい風景を見たくなる。

 
 先日、よく晴れた休日に「銀杏並木を見に行こう」と、オートバイに乗って、国道246号線を都心方面に走らせた。

 
 新しい“旅の相棒”であるオートバイにも少しずつ慣れてきており、晩秋の風を全身に受けながら快走した。
 
 道路はそれほど混んでなく、相模原を出発してから約1時間で渋谷、青山を通り過ぎ、外苑前に辿り着いた。
 
 しかし、目当ての銀杏並木は青いままだった。だからと言ってそれほどガッカリもしなかった。ほかに行く場所もないので、青山通り沿いの近くのカフェに立ち寄って、熱いコーヒーを飲みながら、何とはなしにお洒落な東京の街並みを眺めた。
 
 私の休日とは、こんなもんだ。この程度の刺激のない旅を繰り返している。目的の場所が宮ケ瀬ダムや服部牧場、横浜のレンガ街など、その時々で変わるが、バリエーションは少ない。こんな日々に、少し飽きている。脳や心に刺激が足りないのだ。青いままの銀杏並木にまったくガッカリしなかった自分の平板な心がすべてを物語っている。
 
 最近は、酒をあまり飲まなくなった。仕事は別にして、プライベートで外に行って酒を飲むことはほとんどなくなった。どこにでもある居酒屋チェーンで薄いサワーを飲みながら、濃い味の肴を注文して、誰かと酔いながら話をするのが苦痛に感じる。これまで何十回、何百回と経験してきた惰性的な時間の過ごし方に、退屈してきているのだ。やる前から、やった後のことを想像できてしまう安易な遊び(?)に時間と労力を費やすのは、もうやめようと最近強く思い始めている。
 
 一方で美味しい料理やお酒が味わえるのなら、どこにでも行きたい気持ちだ。「少し値段が高くてもいい」と思っている。
 
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 外苑前の銀杏並木を見に行った前の週は、「温泉に行きたい」という息子たちと、クルマで箱根の日帰り温泉に行った。その帰りに小田原港に寄って、海鮮丼を食べた。何度も行くお決まりの半日コースの旅だったが、息子たちとの旅は久しぶりだったこともあり、忘れかけていた昔を思い出してしまった。
 
 息子たちが幼いころ、古いミニバンに乗せて北海道や青森の恐山、和歌山の高野山、鳥取砂丘、愛媛の道後温泉、鹿児島の桜島も駆け巡った。山奥の道なき道に入って秘湯巡りもしたし、色々な海で釣りもした。文字通り、日本中を走り回った。ちょうど「高速道路料金上限1千円」政策の恩恵を多分に受けた時期だった。旅館の大きな宴会場で宿泊費を安く済ませたこともあった。どんなに安い居酒屋でも、みんなで料理を食べ、薄い水のようなサワーを飲んでも楽しくて、楽しくて仕方なかった。どの旅もキラキラに輝いていた。
 
 しかし、そのような瑞々しい感覚は今、自分の中のどこを探してもない。時折、何かの拍子で短い映画のように思い出されるだけだ。大人を長く続けるということは、こういうことだ。
 
 結果のわかりきった安易な旅なら、しなくていい。死よりも退屈だ。知的好奇心と冒険心をくすぐり、心を湧き立たせる旅を自ら探して、実践していこうと思う。
 (編集長・増田 剛)

〈観光最前線〉田部井さんの遺志継ぎ宿再開

2019年11月21日(木) 配信

沼尻高原ロッジ全景(2019年10月)

 登山家・故田部井淳子さんがオーナーを務めていた、福島県猪苗代町の「沼尻高原ロッジ」が今月、新装オープンした。田部井さんの死後、閉館していたが、芦ノ牧温泉の大川荘が譲り受け、雰囲気はそのままに全面改装した。

 福島県・三春町の出身だった田部井さん。晩年は「東北の復興」に力を注いでいた。その遺志を受け継ぎ、愛用の登山靴やエベレスト登頂時の写真を館内で展示する。

 ロッジは磐梯朝日国立公園内にあり、安達太良山や磐梯山、猪苗代湖など、豊かな自然に囲まれている。毎分1万3400㍑も湧き出る温泉は、肌触りの良い硫黄泉だ。

 夜はラウンジにワインやウイスキーが並ぶ。来館者が自由に楽しみながら、語らえる場にする。地元会津の食材を生かした料理も楽しみだ。

【鈴木 克範】

道頓堀の“夜観光”促進 協議会設立し実証実験へ

2019年11月21日(木) 配信

11企業・団体がスクラムを組む

 訪日外国人でにぎわう大阪のなかで、最大級の観光集客拠点である道頓堀の夜の観光コンテンツを開発しようと、道頓堀商店会(上山勝也会長)やJTB(髙橋広行社長)、大阪観光局(溝畑宏理事長)など11団体・企業が11月12日、「道頓堀ナイトカルチャー創造協議会」を設立した。

 道頓堀商店会とJTBは2017年10月に「エリアマネジメント連携協定」を締結し、翌年6月にカフェ併設のインフォメーションセンターと劇場を備えた情報発信・交流拠点「道頓堀スクエア」を、中座くいだおれビル地下に開設した経緯がある。

 2025年開催の大阪・関西万博を見据え、両者のこれまでの取り組みを発展させ、大阪観光局や他の民間企業8社と新たに連携した。「夜・食・エンターテインメント」を切り口に最先端のテクノロジーを活用したにぎわい作りに取り組み、2025年の「道頓堀ナイトパーク」化構想を打ち出した。

 具体的には今年度中に①大型デジタルサイネージの設置②道頓堀らしい突起看板を生かした次世代観光コンテンツの開発――の実証実験を行う。①ではNTTドコモが提供する「おしゃべり案内板」をベースとした「TONBORI案内版」を、道頓堀スクエア内のインフォメーションセンターに設置する。飲食店の空席情報やナイトカルチャー・イベント情報の発信を行う。②はグリコやカニ、寿司などフォトスポットになっている突起看板を活用し、スマホをかざすと看板が飛び出すように見える「TONBORIアプリ」の開発を行う。

 同日、開いた記者発表会で協議会の会長に就任した上山氏は「100年後も賑わうおもろい道頓堀を作っていきたい」と意気込みを述べた。

キングジムが155言語対応のポータブル翻訳機「ワールドスピーク」発売

2019年11月20日(水) 配信

ポータブル翻訳機「ワールドスピーク」

 キングジム(宮本彰社長、東京都千代田区)は12月6日(金)から、世界155言語に対応したポータブル翻訳機「ワールドスピーク」を売り出す。機内や、アウトドアなど、電波が届かない場所でもオフラインで、英語や中国語など17言語の翻訳が可能という。

 本体の会話ボタンを押して話すと、翻訳結果が画面に表示される。音声も発信する。言語名や国名を話すだけで、瞬時に翻訳言語を選択できるのも特徴だ。初年度は8万台の販売を目指す。

 11月20日(水)、東京都内で開いた商品発表会で、同社常務開発本部長の亀田登信氏は「訪日外国人が増加するなか、とくに地方都市では、相手の言語でコミュニケーションをとれる人材の確保が難しい。翻訳機のニーズは今後もさらに高まるだろう」と話した。さらに、「今年7月に発売した据置タイプの対話型翻訳機は、インバウンド対策として、旅館やホテルでも好評を得ている」と語った。

 通信方法は、無線LANと、モバイルデータ通信から選択できる。モバイルデータ通信にはソフトバンクの国内専用SIMカードと、178カ国・地域で使用可能なグローバル対応SIMカードを用意している。

 商品開発部の高尾政利氏は、「オンラインでの翻訳は複数の翻訳エンジンから自動選択するため、高精度の翻訳が可能」と説明。「法人から個人まで幅広く活用していただければ」と語った。本体のみは、2万6千円(外税)に設定している。

カジノ含むIR、自治体の申請期間 2021年1月から7月まで 観光庁が発表

2019年11月20日(水) 配信

申請期間は約半年に

 

 観光庁は11月19日(火)、カジノなどを併設するIR(統合型リゾート)における自治体からの申請期間を、2021年1月4日から7月30日とする方針を発表した。

 IRはポスト東京五輪の観光誘客における大きな目玉となる。申請の日程案が出されたことで、整備計画の作成やIRの民間事業者選びが進む。施設上限は3カ所と決まっているなか、各自治体の動きは激しさを増しそうだ。

 IR整備の基本方針案は9月に公表されていたが、自治体の準備などを考慮する必要があるとして、申請期間は未定だった。

 同庁が9月に行った調査では、北海道と千葉市、東京都、横浜市、名古屋市、大阪府・市、和歌山県、長崎県の計8団体が、IR誘致を予定・検討していると答えた。

 同庁ではこれらの自治体に対して聞き取りを行って、準備状況などの確認をし、申請期間の案を公表した。

 なお、申請期間を盛り込んだ案を策定するため、11月19日から12月18日の1カ月間、パブリックコメントを行う。

島内店舗で80%がキャッシュレスに 受け入れ環境整え満足度向上へ

2019年11月20日(水) 配信

島内店舗で80%がキャッシュレスに

 キャッシュレス化を推進するNIPPON Platform(菱木信介社長)はこのほど、東京都新島村・式根島のキャッシュレス決済を活用する店舗が、4カ月で0・1%から80%に増えたと発表した。島内で増加する外国人旅行者らの受入体制を整え、島での滞在をより楽しんでもらう狙い。

 式根島では、同社が無償レンタルするQRコード決済も可能なタブレット端末「ニッポンタブレット」を導入。島をあげて「キャッシュレスアイランド化」に取り組んだ結果、3回以上キャッシュレス決済を行い、日常的に利用できるようになった店舗が全体の80%にまで増えた。

 雄大な自然に囲まれた式根島は、外国人観光客が増えつつあるという。透明度の高い海でのダイビングや釣りなどアクティビティのほか、温泉、グルメ、星空観察など、観光資源が豊富だ。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、外国人観光客のさらなる増加を見込んでいる。国内外の観光客の受入環境を整備して、利便性を向上し、島の経済活性化をはかるため、今後も“キャッシュレス化”の取り組みを進めいく考え。

□ニッポンタブレット申し込み

飛騨の薬草の魅力を体験できる施設「ひだ森のめぐみ」がオープン

2019年11月20日(水) 配信

ひだ森のめぐみ(外観)

 岐阜県飛騨市にこのほど、飛騨の薬草の魅力を体験できる施設「ひだ森のめぐみ」がオープンした。豊かな自然の恵みと、先人たちの知恵を大切に受け継ぎ、薬草を地域資源として生かすまちづくりに取り組むのが狙いだ。

 施設1階では、薬草茶や薬草粉末、薬草カプセル、薬草飴、ティーセレモニー茶器などを販売する。また、ティーセレモニー(マイ野草茶づくり)や、クズの花玉づくりなどの薬草ワークショップを毎日開催する。2階の展示スペースでは、薬草、生薬の標本や薬草ハーバリウムなどが展示され薬草の知識を学ぶことができる。

 飛騨市は面積の9割以上を森林が占める自然豊かな地域で、日本に約350種存在する薬草のうち245種類以上が市内に自生している。飛騨の人々にとって薬草は、薬箱のような役割を担い、野山に自生する薬草を摘み、薬効を自然と体に取り入れて暮らしてきたという。

 関係者は、「野菜に比べて野草には、非常に多くのミネラルが含まれていることがわかっています。『現代人は、ミネラルが不足している』と言われているなかで、市内にある豊富な薬草資源の知識や活用方法を皆さまにお伝えします」と施設の役割を語り、「飛騨市の薬草の魅力を存分に感じていただき、ぜひ体験を通して生活に取り入れてみてはいかがでしょうか」とPRする。

「ひだ森のめぐみ」概要

場所:飛騨市古川町弐之町6-7

営業日:毎日営業(年末年始を除く)

営業時間:午前10:00~午後4:00まで

TEL:0577-73-3400(FAX兼)

体験メニュー

ティーセレモニー(マイ野草茶づくり)

ティーセレモニー

・ショートコース:30~40分、1千円

・ロングコース:60~90分、3千円(予約受付は、施設へ電話またはFAX)

クズの花玉づくり

・15分、1千円

薬草七味づくり

・30分、500円

薬草コケ玉づくり

・15分、1千円

東京駅で働く駅係員305人が選んだ、今年の冬オススメしたい手土産 TOP10を発表

2019年11月20日(水) 配信

テラ・セゾン(グランスタ)の酪円菓

 東京ステーションシティ運営協議会はこのほど、「東京駅で働く駅係員305人が選んだ、今年の冬オススメしたい手土産 TOP10」 を発表した。

 1位にはテラ・セゾン(グランスタ)のチーズケーキ「酪円菓」が輝いた。同ケーキは、チーズクリームをスフレタイプの生地でサンドした東京駅限定の商品で、「銀の鈴」 と 「TOKYO」 の焼印が目印。駅係員からは、「銀の鈴目印が、東京みやげ感を感じる」、「ふんわりと食べやすい食感」などの推薦コメントが挙がった。

 2位には、ねんりん家(銘品館)のバームクーヘン「マウントバームしっかり芽」がランクインした。同商品は、外は香ばしく、中はしっとり 、フランスパンのような食べ心地が魅力の一品。「今までで一番美味しいバームクーヘン」、「表面の砂糖がなめらかで、生地のやわらかさのアクセントが良いです」など、評価が高い。

ねんりん家(銘品館)のマウントバームしっかり芽

 3位に選ばれたHANAGATAYA(グランスタ)の新宿カリー濃えびは、新宿中村屋が手掛ける、 ふわっと溶けるような軽い食感の生地にえびの旨みとスパイスカリーの濃厚な味わいをあわせた新感覚のカリースナック。 「手が止まらない味。まとめ買いしたい」、「カレーの風味にコクがあり絶品」などの推薦理由が駅係員から出された。

HANAGATAYA(グランスタ)の新宿カリー濃えび

 審査は9 月 24 日(火)~ら 27 日(金)、 10 月 7 日(月)~ 10 日
(木)の 8 日間行われた試食会で実施された。対象者は、東京駅で働く駅係員(改札、みどりの窓口、ホームなどで働く係員)。参加者は対象商品10品をすべて試食したうえで、最大3票を条件に投票した。

 対象商品は、グランスタ、グランスタ丸の内、エキュート 東京、エキュート京葉ストリート、銘品館の5 エリアと、今年オープンした食の総合セレクトショップ「HANAGATAYA グランスタ東京中央通路店」で販売されている土産商品(パン、おにぎり、惣菜、お弁当を除く)。その中でも、各エリアのデベロッパー担当者がオススメする手土産10商品がエントリーされた。

「東京ステーションシティ運営協議会 調べ」

【特集No.540】シャトレーゼHD 齊藤寛会長に聞く 「良いものをリーズナブルに」

2019年11月20日(木) 配信

 2019年春に、山梨県・石和温泉の老舗旅館「富士野屋夕亭」が、リゾート事業を展開する「シャトレーゼグループ」に仲間入りした。食品総合メーカー「シャトレーゼ」(本社=山梨県甲府市)の創業オーナーで、現在はシャトレーゼホールディングスの代表取締役会長でもある齊藤寛氏に、観光に対する想いやビジョン、今後の計画などについて聞いた。

【聞き手=本紙社長・石井 貞德、構成=古沢 克昌】

 ――シャトレーゼグループの創業から現在にいたる歴史を教えて下さい。

 65年前の1954年に焼き菓子店「甘太郎」を創業しました。シャトレーゼという社名は、フランス語で城の「シャトー」と、ブドウの「レザン」を合わせた造語で、「ぶどうの城」を意味します。洋菓子だけでなく、和菓子やアイスクリーム、パン、ピザ、ワインと幅広く展開しています。

 勝沼の葡萄園とワイナリーをやっている家に、7人兄弟の長男として生まれました。学校を卒業して、山梨県の果樹試験場に行って勉強してきました。果物のことはわかるけれど、お菓子のことは何もわからない。父親は農家の割に事業が好きで、当時菓子屋をやってみたのですが上手くいきませんでした。そこで今度は自分が菓子屋を起業し、やるからには「日本一のお菓子屋」を目指そうと行動に移しました。

 最初は単品でスタートし、今はアイテムで400種類ほど作っています。焼き菓子で開店した途端に、朝から夜中まで行列ができました。慌てて山梨と長野にチェーン店を10店舗ほど出したのですが、焼き菓子なので冬はいいけれど夏は売れない。そこで考えたのがアイスクリームです。当時の山梨ではアイスクリーム産業が全盛期でした。

 自宅の隣の葡萄園を潰して、そこにアイスクリーム工場を作って始めたのですが、東京オリンピックの年(1964年)で、もうすでに大手メーカーが全国に販路を押さえていました。作ることは覚えたのですが、肝心の販路がない。苦労しまして、アイスクリームは20年間赤字でした。大手メーカーと競ったのでは勝負にならない。それならば「大手メーカーにできないことをやろう」と思いました。…

 

【全文は、本紙1777号または11月27日(水)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】