【青森県】八戸に春を呼ぶ「八戸えんぶり」2月17日開幕

2020年2月12日(水)配信

「八戸えんぶり」ポスター

 青森県八戸市で2月17日(月)~20日(木)、八戸地方に春を呼ぶ豊年祈願の郷土芸能「八戸えんぶり」が開かれる。えんぶりの名は、田をならす農具「えぶり」や、「いぶり」(ゆすぶり)に由来すると言われ、冬の間眠っている田の神をゆさぶり起こし、田に魂をこめる儀式とされている。

えんぶりの起源

 八戸えんぶりは、八戸地方を代表する郷土芸能で、1979(昭和54)年に国の重要無形民俗文化財に指定されている。その起源は伝説も含め諸説あるが、鎌倉時代の始め、南部氏の祖・南部光行が奥州の地にやってきたころに始まったと伝えられている。

 奥州で迎える初めての正月、酒の勢いで抜刀乱舞となった家来たちの騒ぎを、機転を利かせた農民・藤九郎(とうくろう)がにぎやかに田植歌を歌い、農具を手に持って踊ることで治めた。この出来事が、えんぶりの起源だと言われている。文書としては、1715年の八戸藩の日記に「田植」が参上したとの記録がある。

 えんぶりを舞うことを「摺る(する)」と言う。これは「えぶり」と呼ばれる農具を使って田んぼの土を平らにならすことを摺ると言うことから、農具を持って舞うえんぶりのことも「摺る」と言うようになった。

見どころ

 一番の見どころは、太夫(たゆう)と呼ばれる舞手が、馬の頭をかたどった華やかな烏帽子(えぼし)を被り、頭を大きく振る独特の舞。稲作の一連の動作である、種まきや田植えなどの動作を表現したものだ。太夫の舞の合間には、子供らによる可愛らしい祝福芸が披露され、見る者を楽しませてくれる。

えんぶりの種類

ながえんぶり

 唄や仕草がゆっくりしていて、優雅な舞が特徴。えんぶりの中でも古い型と言われている。主役を務める太夫・藤九郎の烏帽子には真っ赤な牡丹の花や白いウツギの花などがついていて、藤九郎は鳴子(なりご)、他の太夫は鍬台(かんだい)を手にしている。藤九郎と他の太夫の舞の動きが違うのも特徴だ。

どうさいえんぶり

 唄も仕草もテンポが速く、勇壮華麗なえんぶりだ。ジャンギという棒の先に金具がついたものを持ち、烏帽子に前髪という五色の房がついているのが特徴。藤九郎と他の太夫の舞が異なるながえんぶりに対し、どうさいえんぶりは太夫全員が同じ舞という違いがある。

八戸えんぶり行事日程

奉納摺り(長者山新羅神社/観覧無料)

 えんぶり組が長者山新羅神社に集まり、本殿の前でえんぶりの舞を奉納する。冬の早朝の冷たく澄み切った空気の中、神前で行われるえんぶりは厳かな雰囲気に包まれる。

日時:2月17日(月)午前7:00~(午前8:00~撮影会)

えんぶり行列・一斉摺り(長者まつりんぐ広場~八戸市中心街/観覧無料)

 長者山新羅神社での奉納を終えた各えんぶり組は長者まつりんぐ広場に移動し、「えんぶり行列」の出発を待つ間、思い思いにえんぶりを披露。その後、八戸市中心街まで練り歩く。そして、えんぶり組が中心街に到着すると行われるのが「一斉摺り」。中心街に集結した30数組のえんぶり組による一斉の舞は圧巻で、数あるえんぶり行事の中でも最大の見どころだ。

日時:2月17日(月)

 午前10:00~ えんぶり行列

 午前10:40~11:20 一斉摺り

一斉摺り

御前えんぶり(八戸市庁前広場/観覧無料)

 もともとは殿様の御前で舞ったえんぶりの名残として、八戸市長はじめ関係者の前でえんぶりの舞を披露する。一般の人も鑑賞可。

日時:2月17日(月)午後0:15~

えんぶり公演(八戸市公会堂文化ホール(八戸市公民館)/有料)

 八戸市公会堂文化ホールステージで行われるえんぶり公演。迫力の摺りや愛らしい祝福芸など、えんぶりの魅力を余すことなくじっくり鑑賞できる。

日時:2月17日(月)、18日(火)午後1:00~4:00

料金:前売券1,000円、当日券1,100円

かがり火えんぶり(八戸市庁前広場/観覧無料)

 八戸市庁前広場にかがり火がたかれ、その明かりの中でえんぶりが行われる。かがり火に照らされ、烏帽子がきらめく太夫の舞や、夜空に響きわたるお囃子は情緒があり、昼とは異なる魅力にあふれている。

日時:2月17日(月)~20日(木)

 (1)午後6:00~ (2)午後7:00~ (3)午後8:00~

えんぶり一般公開(八戸市庁前広場/観覧無料)

日時:2月19日(水)、20日(木)

 (1)午後1:00~(2)午後2:00~

史跡根城えんぶり撮影会(史跡根城の広場/要入場料)

 日本100名城にも選ばれている史跡根城(ねじょう)の本丸主殿前で行われる撮影会。

日時:2月18日(火)、19日(水)午前11:00~正午

料金:250円(史跡根城の広場入場料)

お庭えんぶり(更上閣(八戸市本徒士町5-4)/要予約・有料)

お庭えんぶり

 夜の庭園で披露されるえんぶりは、昼とはひと味違う幻想的な雰囲気。甘酒と八戸せんべい汁を味わいながら、お屋敷のだんな様気分でえんぶりを鑑賞する贅沢なひとときを過ごすことができる。

日時:

 2月17日(月)、18日(火) (1)午後4:00~(2)午後6:00~(3)午後8:00~

 2月19日(水)、20日(木) (1)午後5:00~(2)午後7:00~

座種・金額:

 1列目(座布団)3,000円(税込)

 2列目(座布団)2,800円(税込)

 3列目以降(座布団)2,500円(税込)

 最後列(椅子席)2,500円(税込)

購入方法:ローソンチケットで購入可。(Lコード:22424)

「津田令子のにっぽん風土記(58)」ふるさとに思いを馳せて~ ふるさと編 ~

2020年2月12日(水) 配信 

目白台にある肥後細川庭園松聲閣
ふるさとの旅を考える会       幹事長 原口 護久さん

 「ふるさと」の意味を三省堂の辞書で調べてみると「生まれ育った土地。故郷」。(比喩的に)精神的なよりどころと記されている。さらに「かつて住んだり、訪れたりしたことのある土地。古くからなじんでいる里」とも書いてある。昨年「ふるさとの旅を考える会」を結成した原口さんに「ふるさと」や「まち」への思いをうかがった。

 
 熊本生まれの原口さんは、国鉄に勤める父親の仕事の関係でこれまでに7回ほど居を変えてこられた。
 
 「どのまちも好きですよ。寅さんではないけれど、オヤジの関係で物心ついてから金沢を皮切りに日本全国を転々としてきました。どのまちで暮らしてもその土地に馴染み、寄り添い、まちの生き様を体感できたことはラッキーでした」と語る。
 
 10年前にリタイアをしてからは、全国どのまちにもある名所を、いつもとは違う視点で歩いてみたいとの思いから「まち歩き」と「まちの観察」をライフワークに加えたという。16年前に麻布の地を終の棲家と決め、引っ越してこられた原口さんは、とくに江戸時代の面影をたどる東京の坂道や庭園を訪ねるのが好きだという。「あえて下を向いて歩けば普段見ることのできない地面(土地)の広がりがわかってきます」。地面の広がりとは、その土地の特徴や、取巻く環境、歴史背景のことなのだと話す。
 
 「ちょっと遠出をして山間のまちや海沿いの神社仏閣を訪ねれば忘れかけていた日本の原風景に出会えます。皆さんも、まずは近くのまちや海、山をのんびり歩くことから始めたらどうでしょうか。歩き旅ならではの楽しさを実感できます」。
 
 
 ふるさと(熊本)まではなかなか行けないけれど熊本に思いを馳せることのできる場所が東京にある」と原口さん。それは目白にある肥後細川庭園と国宝を含む細川家伝来の美術品を展示している永青文庫だという。
 
 先日、雪吊りなど冬支度でにぎわう庭園を案内いただいた。目白台の台地の自然景観を生かした見事な池泉回遊式庭園だ。「この公園周辺は、江戸中期以降は旗本の邸地になり、江戸末期には清水家や一橋家の下屋敷となり幕末には熊本54万石の細川侯の下屋敷に、1882(明治15)年には細川家の本邸となりました」。そうそう、原口さんの名前は細川家14代当主・細川護久侯の教えを貴ぶお父様が名づけたという。
 
 「会員同士がふるさとに思いを馳せ、これからの旅への提案など、いずれ本にまとめたい」と力強く語った。
 
 

コラムニスト紹介

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

〈観光最前線〉親しまれる案内の考察

2020年2月11日(火) 配信

弥次さん・喜多さんと日本橋を巡る

 3月、「日本橋シアトリカルツアー」がスタートする。「物語から現れた登場人物たちと一緒に舞台となる街や建物を巡り、まるで1本の映画・演劇の中に入り込んでしまったかのような体験を味わえる新感覚の没入型街歩きツアー」で、まち歩きをしながら演劇も楽しめるという。

 文化財や観光地で「説明しますよ」と声を掛けてくるガイドが、ゆっくり隅々まで堪能したい自分は苦手だった。

 しかし、今回の取材で、「その場所にいた人になりきって、演劇のようにガイドをしてくれたら面白いかも」、そんな考えに至った。「説明をする」から、「興味をもってもらう」へ、発想が転換したら、地方の宝物が生きるかもしれない。

 そんなヒントが抱けたツアー、本番を体験するのが楽しみだ。

【後藤 文昭】

日本旅行、創業115周年記念でPR映像公開 「かけがえのない思い出をつくってほしい」と願い込める

2020年2月10日(月) 配信 

映像のイメージ。都会で暮らす女性の旅をドラマ仕立てに創った

 日本旅行(堀坂明弘社長)はこのほど、2020年11月に創業115周年を迎えるにあたって、企業PR映像を公開した。旅行業界が変化するなか、“かけがえのない思い出をつくっていただきたい”という日本旅行の「変わらない思い」をロードムービー調のPR映像で伝える。制作は、2017年に業務提携を結んだポニーキャニオン。

 同社は、グループ会社合わせて日本全国に約200店舗をはじめ、海外にはロサンゼルスやホノルルや上海、パリなど32カ所に展開する。従来からの国内旅行や海外旅行、修学旅行などの教育旅行などを企画・提供してきた。

 最近では、新たな旅行として「宇宙体感ツアー・sola旅クラブ」も提案している。このほか、地域活性への取り組みとMICEの誘致・促進を行うなど、事業の幅を広げている。

 映像はアレンジを加えたショパンの名曲「別れの曲」を背景に、都会で暮らす女性の旅をドラマ仕立てに創った。主演は女優の高橋春織。映像監督は、CMディレクターの栗原康氏となっている。

創業115周年記念の企業PR映像

大阪国際空港、国内空港初となる「愛犬専用トイレ」を設置

2020年2月10日(月)配信

「愛犬専用トイレ」

 関西エアポートは2月13日(木)、大阪国際空港(伊丹空港)内に、国内空港では初となる「愛犬専用トイレ」を設置する。愛犬を伴う空港利用者の利便性向上を目的とする。

 愛犬専用トイレは、愛犬を伴って空港を利用される人も、より便利で快適な環境を提供できるよう、大阪国際空港の送迎スペースに設置する。搭乗に先立ち、愛犬が飼い主と共にトイレを済ませることで、ストレス軽減につながればという考え。

 また、補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)については、ターミナルビル内の多目的トイレに加えて、2019年12月に完成した愛犬専用トイレに隣接する多目的トイレを利用できる。後者の多目的トイレには、補助犬のピクトグラムや呼び出しインターホンなどを設置している。なお、多目的トイレは、補助犬専用トイレではないため、使用時にはペットシーツなどの準備が必要。

愛犬専用トイレ概要

設置場所:大阪国際空港 送迎スペース

利用可能時間:午前5:30~午後10:00

設備内容:

 水洗機能付きおしっこポール、汚物流し、シャワー、水飲み場、ベンチ ほか

施工会社:ANAスカイビルサービス株式会社

世界初のIPC公式パラリンピックミュージアム 8月コレド室町テラスにオープン

2019年2月10日(月) 配信

ロゴマーク

 東京2020パラリンピック競技大会を記念して、国際パラリンピック委員会(IPC、アンドリュー・パーソンズ会長)は8月25日(火)から9月下旬まで、世界初のIPC公式パラリンピックミュージアム「PARALYMPIC MUSEUM in TOKYO 2020(パラリンピックミュージアム東京2020)」を開業する。

 三井不動産が協力。東京・日本橋の「コレド室町テラス」で、1948年のストーク・マンデビル大会から現在に至る歩みを紹介する。

 会場内には歴代のメダルやトーチ、ポスター、広告などを展示。併せて、パラアスリートの躍動感や驚異的なパフォーマンスを体感できるシアターなども設ける。

 アンドリュー・パーソンズ会長は、「パラリンピックの参加者や、その規模が拡大し続けているなか、パラリンピック・ムーブメントが比較的短い時間でどの程度進化したかの歴史を記録することが重要だと考える。このミュージ アムは、パラリンピックとパラリンピック・ ムーブメントへの情熱と興奮、そして熱狂を生みだすものと今から確信している」とコメントを発表した。

スカイスキャナー、「価格予測」機能を提供 お得なタイミングで航空券の購入を 

2020年2月10日(月) 配信

アプリ画面の表示例

 国内外の航空券やホテルなどの比較検索サービスを提供する「スカイスキャナージャパン」はこのほど、航空券の値動きを予測する「価格予測」機能をiOS版アプリで新たに始めた。今後の価格を予測することで、旅行者は購入時期の目安が立てられるようになる。

 予測は、同社に蓄積された過去の価格データに基づいて示される。希望の出発地と目的地、日程を指定して検索すると、「値下がり」「値上がり」「値動きなし」といった見込みと予測価格が表示される。

 結果を確認後、すぐに購入する場合は「フライトを表示」のボタンをタップすると検索結果画面に移行し、検索・購入手続きを行うことができる。一方、購入を検討をする場合は、「プライスアラートを設定」ボタンをタップすることで、航空券の値動きが生じるたびにメールなどで確認できる。

 現在、「価格予測」機能の提供はiOS版アプリのバージョン7.7.1以上のみだが、まもなくAndroid版でも利用可能になる見込み。

 なお、アプリのダウンロードはhttps://www.skyscanner.jp/mobileから可能となっている。

観光商業施設「etto」4月オープン 広島・宮島口の旅客ターミナルに隣接

2020年2月10日(月) 配信

「etto」内観イメージ

 広島電鉄と広電宮島ガーデンは4月2日(木)、広島県が推進する「厳島港宮島口地区港湾整備事業」に伴い、宮島口地区に新設される広島県の旅客ターミナルの隣接地で新たな観光商業施設「etto(エット)」を開業する。

 同施設は、「DISCOVER MIYAJIMAGUCHI」をコンセプトに、広島県に本社を置く企業を中心に広島・瀬戸内のローカルグルメやスイーツの飲食、土産や雑貨などのショッピングが楽しめる。総店舗数16店舗のうち、直営店として初となるのが3店舗、新しく立ち上げたブランドが4店舗、広島初出店1店舗となる。

「etto」ロゴ

 「えっと」は広島の方言で「たくさん」を意味する。宮島観光のプロローグとエピローグにふさわしいたくさんの魅力に出会える場所になるようにとの思いを込めた。

施設概要

施設名:etto(エット)

営業時間:1階 午前9:00~午後7:00(予定)

     2階 午前11:00~午後8:00(予定)

所在地:広島県廿日市市宮島口一丁目11番8号

敷地面積:約1,000平方㍍

延床面積:約1,600平方㍍

店舗面積:約840平方㍍

施設内容:総店舗数16店舗

     1階 食物販・土産雑貨 12店舗

     2階 飲食 4店舗

アクセス:

■公共交通機関

・広島電鉄(路面電車)「広電宮島口駅」下車 徒歩約1分

・JR「宮島口駅」下車 徒歩約5分

■車

・関西方面から 広島岩国道路廿日市市ICを出て、国道2号線で岩国方面へ約10分

・九州方面から 広島岩国道路大野ICを出て、国道2号線で広島方面へ約10分

「リピーター」や「新規顧客」の獲得を 西川丈次氏が観光案内所のスタッフにアドバイス

2020年2月10日(月) 配信

西川丈次氏

 日本政府観光局(JNTO、清野智理事長)は2月7日(金)、東京都内で観光案内所に勤める人を対象に「JNTO認定外国人観光案内所全国研修会接遇研修」を行った。インターネットが普及し、情報の取得が容易になるなか、観光案内所が果たす役割を認識してもらう狙い。講師には観光ビジネスコンサルタンツ社長の西川丈次氏が登壇した。

 西川氏は案内所の役割について「リピーターと、クチコミによる新規顧客を獲得すること」と話した。また、「ファンを増やすためには『日本に来てよかった』という感動が必要不可欠」と強調した。

 西川氏は利用客を感動させたさまざまなエピソードを紹介。「(JR九州以外の)JR各社にあるみどりの窓口の係員は始めから最後まで、座って接客する。一方、JR九州にあるみどりの窓口の係員は立って一人ひとり利用客を出迎え、見送っている。この姿勢の奥にある“想い”に、私は感動しました」と話した。

 リピーターとクチコミによる新規顧客の獲得については、「お客様の『食べたい料理』などの要望や、細かな情報を、案内した施設に伝えてほしい。お客様は施設に到着したとき、要望を伝えてくれた気遣いに感激します。この気遣いがリピーターを生む『創客』につながるのです」とアドバイスした。

【特集No.545】 オストメイトが温泉に自信 旅を楽しむきっかけづくりに

2020年2月10日(月) 配信

 近畿日本ツーリスト首都圏(田ヶ原聡社長)とストーマ装具を製作するアルケア(鈴木輝重社長、東京都墨田区)は昨年12月5日(木)、人工肛門を装着する「オストメイト」向けに温泉入浴ツアーを実施した。ツアーに参加することで、旅行に対する不安を取り除き、自信を付けてもらう狙い。目的地は「龍宮城スパホテル三日月」(千葉県木更津市)。

 ツアーに同行取材し、参加者や企画担当者、受入施設などに話を聞いた。温泉に入りたくても、躊躇している状況などが浮かび上がった。

【木下 裕斗】

 さまざまな病気や障害によって、ストーマ(腹壁に作られた便や尿の排泄口のこと)をつくった人をオストメイトという。

 現在、日本のオストメイト人口は約21万人で、その数は増加傾向にある(アルケア調べ)。医療の発達で生存率が上昇した結果、高齢者が増え、ストーマをつくる人も増加している。

 このような状況のなか、「オストメイトが自信を持って温泉に入れるようになってほしい」と、医療・福祉・健康分野の材料、機器を開発・製造・販売する「アルケア」は、近畿日本ツーリスト首都圏と連携し、「ストーマ装具工場見学と龍宮城スパホテル三日月温泉入浴体験会」を、昨年12月5日(木)に実施した。

温泉入浴に躊躇 装具を気にする

 オストメイトは排泄のタイミングを自分の意志でコントロールできないので、体の外部にある便や尿を溜める袋(ストーマ装具)を装着しなければならない。このため温泉に入浴する際、「人目を気にして諦めている」ケースが多い。

 課題はそれだけではない。

 旅館やホテルなどの宿泊施設の受け入れも進んでいないのが現状だ。「オストメイトも不安なく旅ができるようにした」と語る、温泉入浴体験ツアーを企画・添乗した近畿日本ツーリスト首都圏の伴流高志氏は、「企画から実施まで約2年かかりました。関東近郊で受け入れをしてくれる温泉施設を探し、さまざまな施設に交渉しましたが、受け入れを最初に表明していただけたのは、龍宮城スパホテル三日月(千葉県木更津市)さんでした」と話す。

 「高齢化が進むと、障害がある人も増える。とくにオストメイトの方たちは、バスや飛行機での移動や温泉入浴に不安を覚え、旅行の参加に迷いが生じる。この課題を解決するのが、我われ旅行会社の役割だと思います」と伴流氏は語る。……

【全文は、本紙1786号または2月17日(月)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】