委員会主導で事業推進、天然温泉表示制度を検討(日本温泉協会)

2014年度第1回理事会

 日本温泉協会(大山正雄会長、1404会員)は5月30日に2014年度第1回理事会を開き、このほど新設した女性部委員会など、今年度は委員会主導で事業を推進していくことを決めた=写真。また、天然温泉表示制度に代わる新たに会員証を兼ねた日本温泉協会の看板の発行についても議題に上がり、今後慎重に同制度のあり方を継続して考えていく方向だ。14年3月末現在、天然温泉表示看板は237施設、447枚となっている。当分、看板の新規と更新の申請は受けない。

 また、近年会員数の減少に歯止めがかからない状況について大山会長は「協会の存続のためには、事業内容の点検と、収入に見合った組織の立て直しが必要」と述べ、同会に加盟するメリットについても理事からさまざまな意見が出された。事務局は7月から現行の5人体制から4人体制とする。

 なお、14年度の会員総会は6月24日、群馬県・四万温泉の四万グランドホテルで開かれる。

 新設した委員会は次の通り。カッコ内は委員会の代表者(敬称略)。

 財政・経理委員会(八木眞一郎)▽行事委員会(笹本森雄)▽女性部委員会(小口潔子)▽平成26年度総会実行委員会(岡村興太郎)

今年は学生100人参加、合同インターンシップ(JATA)

 日本旅行業協会(JATA)は8月18―28日の9日間、大学生100人を迎え「JATA合同インターンシップ」を実施する。優秀な人材確保や旅行産業への就業意欲を高めるのが狙いで、昨年から実施している。

 昨年は募集が6月と間際だったことから、今年は3月末から募集を開始。対象を大学3年生に絞り、30校から100人の参加者を集めた。

 インターンシップは、旅行業界の説明やビジネスマナー研修を行う講義と現場での就業体験を実施。講義の導入教育では、観光庁観光産業課の石原大課長らの講演を予定する。就業体験は3日間ずつ業態や規模の異なる2つの職場を体験してもらうため、旅行会社だけではなく観光局やツアーオペレーター、添乗派遣会社などにも協力を仰ぐ。

 5月28日の定例会見で発表を行ったJATAの越智良典事務局長は、「ぜひ旅行業界で働きたいという意欲の高い学生の人たちが集まった」と期待を語った。

【福島県】観光学科の指導職員を募集 6月30日まで

福島県は県観光の復興を担う地域のエキスパートを育てる
福島県立テクノアカデミー観光プロデュース学科などにおいて、
学生を指導する福島県職員(職業訓練指導員[観光])を全国から募集(1人程度)している。

受験資格は、昭和53年4月2日以降に生まれたもので、
「大学(観光、経済または経営に関する課程)修了後、
観光関連業務の実務経験を5年以上有する者」など。

受験申し込みは6月30日までで、一次試験は福島県庁で7月17日に実施する。

県立テクノアカデミーは、職業能力開発促進法に基づく職業能力開発短期大学校と
職業能力開発校を併せ持つ、公共職業能力開発施設。
観光プロデュース学科では、観光学の理論に基づくフィールドワークなどを通じ、
福島県観光の復興と創造を担う人材育成を行っている。

募集の詳細は、県人事課のホームページ(http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/01125c/)へ。
電話での問い合わせは、県商工労働部商工総務課(024-521-7269)まで。

まるごと旅情報 『能登半島特集』 公開

まるごと旅情報 『能登半島特集』 を公開いたしました。

第1542号掲載(2014年4月21日発行)
『能登半島特集』の紙面をご覧いただけます。

詳細はコチラから!(弊社の『能登半島特集』ページへリンクしています)

 
☆まるごと旅情報とは☆
弊社の「旬刊旅行新聞」にて掲載した全国の観光情報に関する特集記事をご紹介しています。
過去1年間分の紙面の一部をご覧いただける旅の情報ページです。

まるごと旅情報 『山陰特集』 公開

まるごと旅情報 『山陰特集』 を公開いたしました。

第1542号掲載(2014年4月21日発行)
『山陰特集』の紙面をご覧いただけます。

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No.372 全国旅館会館が耐震補強 - 新しい「ハイパー耐震工法」採用

全国旅館会館が耐震補強
新しい「ハイパー耐震工法」採用

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(佐藤信幸会長)が活動している全国旅館会館の耐震診断、耐震補強工事を松尾建設(松尾哲吾社長)が施工した。「ハイパー耐震工法」という外観を極力損ねず、建物の強度と粘り強さを高めることを可能にした新しい工法を採用。営業しながら工事ができるため、旅館にとっても大きなメリットがある。全旅連と松尾建設の代表者が「ハイパー耐震工法」や、耐震問題の課題について議論した。

【司会=旅行新聞新社社長 石井 貞徳、構成=増田 剛】

 
 
≪全旅連全国大会記念 特別企画≫
営業しながら改修可能、外観と内部空間を損なわない

佐藤(信):昨年11月25日に「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(通称:改正耐震改修促進法)が施行されました。この法律は、1981(昭和56)年5月以前に建てられた3階建て以上、延床面積5千平方メートル以上の旅館やホテルなどの施設について、2015(平成27)年12月31日までに耐震診断の結果報告を義務づけ、その結果を公表するというものです。

 たまたま、現在我われが活動している全旅連の全国旅館会館(東京都千代田区平河町)は地上7階建て、延床面積5070平方メートルで、このたびの法律上の対象にはならなかったものの、全国旅館会館にはレストランや事務所などテナントが多数入居しており、賃貸ビルとして耐震改修工事をするか、建て替えをするか非常に悩みました。

 現在の建物を新築すれば10数億円かかりますが、そのほかに、入居している多くのテナントさんに建物ができるまで1年以上、退去していただく必要が出てきます。また、耐震改修工事をした場合でも、期間は短くとも一時的に退去していただくことになると思っていました。

 そこで、全国旅館会館の耐震問題については、全旅連の中に委員会を設置し、北原茂樹常務理事に委員長になっていただきました。

北原:1970(昭和45)年4月1日に施工した全国旅館会館が…

※ 詳細は本紙1545号または6月5日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

都市強化の「特区」 ― 旅館も滞在型へ柔軟な対応を

 滞在型の旅行に憧れながら、おそらく多くの日本人は、時間的、経済的、社会制度的な制約もあって、なかなか実現が難しいのではないかと思う。だが、世界に目を向ければ、数週間単位の滞在は決して珍しいわけではない。

 日本でも、「滞在型の観光地・温泉地づくり」については、ずっと以前から課題として上がっており、あらゆる場面で語り尽くされてきた。それにも関わらず、現状を見ると、残念ながら大きな進展は見られない。

 宿泊施設が滞在型になっていないから旅行者が長期滞在しないのか、長期滞在できる休暇制度などの基盤が整備されてなくニーズも少ないため、宿泊施設も滞在型への対応が遅れているのか。

 結局、いくら考えてみたところで、「鶏が先か、卵が先か」の議論になってしまう。

 外国人旅行者が昨年1千万人を突破し、東京オリンピックが20年に開催されることもあって今後、外国人旅行者の飛躍的な増加が見込まれる。

 このような状況のなか、都市における国際競争力アップを目的とした「国家戦略特別区域法」によって、停滞していた日本での滞在型旅行への対応に変化が表れそうである。「国家戦略特別区域法」の旅館業法の適用除外を活用して、「エイブル」が持つ賃貸管理物件の空室を旅行者向け民泊マッチングサイトで、主に長期滞在する外国人旅行者をターゲットとして貸し出すサービスを今秋にもスタートさせる動きが旅館業界でも大きな話題となっている。「特区」は東京都、千葉県、神奈川県、京都府、大阪府、兵庫県などの一部と都市部が中心だ。

 東京五輪に向けて、東京を中心としたホテルなどは、客室のキャパシティが足りなくなるなどの試算もある。とくに外国人旅行者は、都市部に集中することが予想されるので、マンションなどの空き室を長期滞在者に貸すサービスは、客室のキャパシティ不足の解消に加え、日本人の多様化する旅行スタイルに対して選択肢の拡大という点でも、大きなメリットがあるように思える。

 民間企業にとっては、規制緩和は新たなチャンスである。

 だが、どこか腑に落ちないのは、大きな需要がある大都市部に限り、「特区」として規制緩和し、競争力を高めようとする国の姿勢である。

 国土交通省や観光庁も、東京オリンピックは、東京だけでなく、地域にも足を伸ばし、日本の文化を知ってもらうことを積極的に後押しするようなことを表明しながら、一方で、大都市部に限り特例で旅行者の長期滞在を促す「特区」を設けることに、アクセルとブレーキを同時に踏み込んだような違和感を覚えるのである。明確に国は、大都市をさらに強くし、地方を切り捨て、ますます弱体化に向かわせる方に舵を切っている。

 旅館側は、主張すべき点は主張すべきである。観光立国の担い手として、弱者に甘んじる必要もなく、もっと発言力を高めていっていいと思う。

 しかし、その半面、古き良き文化を持つ旅館も、今こそ真剣に滞在型への対応に取り組んでいかなければ、例え地方に多くの旅行者が訪れたとしても、柔軟な対応ができる施設の方を旅行者は選ぶだろう。旅館も、より広い視野を持って、多様な旅行者を受け入れる改革を進めてほしい。

(編集長・増田 剛)

訪日2千万人へ提言、国が対応すべき課題を指摘(JATA)

需要の地域分散へ施策必須

 日本旅行業協会(JATA)は4月30日、旅行業界全体の問題点を整理した「訪日外国人旅行者2千万人達成に向けた提言書」を作成し、観光庁へ提出した。6月に政府が改訂版を発表する「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」への反映を目指す。

 JATAでは訪日旅行委員会のなかに「2千万人受入対応部会」を設置し、訪日2千万人達成へ向けて、業界の問題点の掘り起しと整理をしてきた。今回の提言はJATAが考察する「国が主体となり対応すべき課題」をまとめたもので、国内・訪日旅行推進部の興津泰則部長は5月14日の定例会見で「JATAが対応すべき課題は別途、継続的に議論していく」と説明した。越智良典事務局長は「バランスの取れた非常に立派な提言だと受け止めていただいた」と感触を語った。

 提言の中身は「主要な課題と対策の方向性」と、「具体的な施策検討項目」に分けて整理。「主要な課題と対策の方向性」では、(1)インフラ整備の目標設定(2)段階的目標設定による優先順位の明確化(3)旅行需要の地域への分散(4)人材投資の促進(5)バランスへの留意(6)グランドデザインの策定――にまとめた。

 「インフラ整備の目標設定」では、ピークシーズンの貸切バスやホテル、通訳案内士などの基本的インフラのキャパを検証し、需要ギャップを補う拡充施策と短期間での対応が困難な場合に代替施策の明示を挙げる。「旅行需要の地域への分散」では、訪日需要が大都市に集中すると、キャパシティを超え、2千万人達成のボトルネックになることを懸念。ある試算によると、訪日外国人2千万人のうち30%は東京を訪れるという。平均泊数は3泊で、1日1万室の不足が生まれるという。この試算は旅館を含んだもので、外国人のホテル希望率の高さを考慮すると、部屋数の逼迫はさらに増す。地域へ需要を分散させるための実効性のある施策を講じ、旅行者の多様なニーズに対応する必要がある。

 一方、「具体的な施策検討項目」では、(1)地域空港に直接イン・アウトするグループ客需要の誘発(2)FIT旅行者の地域訪問促進に向けたプロダクト開発促進(3)民間における訪日旅行受入のための人材投資(4)MICEにおけるミーティング、インセンティブの誘客強化(5)教育旅行を中心とした国際交流の促進(6)ツアーオペレーター品質認証制度の活用促進――を掲げる。

 「地域空港に直接イン・アウトするグループ客需要の誘発」では、需要の地域分散をはかるため地域空港に直接乗り入れる航空便を利用したグループ客需要の誘発が重要とし、需要の地域分散に資する商品開発への「公的助成制度」の強化や、地方空港でのCIQ(税関、出入国、検疫)の対応能力の拡充や柔軟な運用体制の確立などを提案する。

 「FIT旅行者の地域訪問促進に向けたプロダクト開発促進」では、地域へのアクセスが課題になると、スマートフォンでの多言語案内など公共交通の利用促進に向けた情報インフラの充実を提起。また、個人で参加可能な着地型商品の開発と流通促進や、国立公園の利用促進なども提案する。

 また、「MICEにおけるミーティング、インセンティブの誘客強化」のなかでは、MICEの施策がコンベンションに偏っている現状を指摘し、継続的な需要拡大へ大きな要素となるインセンティブへの注力を提案している。

独OTA日本へ参入、「出張旅行管理で世界一を」(HRS)

ロング氏(左)と三島社長
ロング氏(左)と三島社長

 ドイツに本社があるオンライン旅行会社のホテル・リザベーション・サービス(HRS、トビアス・ラゲーCEO)はこのほど日本市場に参入し、5月14日から事業を開始した。同社は、世界190カ国・地域で事業を展開するホテル予約専門の会社で、日本では法人の出張に特化する。日本法人の社長にはエクスペディア・ホールディングス代表などの経歴を持つ三島健氏が就任。本社は東京都港区。

 5月13日に開いた会見で、HRS経営委員会メンバーでグローバルソリューションズ・ヴァイスプレジデントのジェイソン・ロング氏は「我われのミッションは出張旅行管理で世界1位になること。アジアでの成功なくしてナンバーワンにはなれず、そのためには日本市場においても強い存在になることが必要だ」と日本市場参入の理由を述べた。アジアでは、12年前から参入している中国のほか、香港やシンガポールでも事業を行っている。「日本では長期にわたり事業を展開する予定で、12カ月の間に人員を拡充し、日本のホテルや旅行会社などパートナーと協業しながら日本市場の進化の手伝いをしたい」と語った。他国では個人向けにも宿泊サイトを運営しているが、「日本はオンライン市場が成熟しているので、BtoBに特化する」とした。

 一方、出張分野でも既存会社がすでに台頭しているなか、どのような展開をするかについて、三島社長は独自の販売経路とさまざまな戦略的パートナーとの連携、独立系ホテルまで含めた幅広い宿泊先などを強みとして挙げた。システムを裏からつなぐことができるため、一般企業だけではなく、大手旅行会社やインハウスの旅行会社なども顧客になる。「それぞれの顧客のニーズにあったソリューション(解決策)を使ってもらうことを目指す」。

 また、国内出張や既にグローバル企業へは対応を行っているインバウンドについては「国内の提携施設をしっかり獲得していきたい」とし、「将来的に国内のビジネス利用ができる施設の1万弱のうち、8千軒と提携したい」と語った。なお、旅館の取り扱いについては考えていないという。

時間をかけることの価値

 和歌山県田辺市は、熊野本宮大社の例大祭で行われる湯登(ゆのぼり)神事を題材にした「平成のタイムカプセル」事業を7月から始める。

 県の無形民俗文化財にも指定されている神事は、父親が稚児(3歳を迎える男の子)を肩車し約4キロを練り歩くという、かなり過酷なもの。タイムカプセル事業も神事にならい、同じ道を父と子がたどる。

 厳しさを乗り越え熊野本宮大社を参拝したあと、両親が子への思いをつづり、木箱に封印する。子が成人する17年後に再び熊野を訪れ、持参したタイムカプセル(=木箱)の封印を解くという。

 時間をかけることに価値を見出す事業として興味深い。木箱は参加者に宝物として保管してもらい、未来の訪問者も創出する。設計も上手な企画だ。

【鈴木 克範】