近ツー、アバターで接客対応 オンライン旅行相談始める

2021年11月4日(木)配信

「旅のアバターコンシェルジュ」サイトイメージ

 近畿日本ツーリスト(髙浦雅彦社長、東京都新宿区)は11月1日(月)、アバターによるオンライン接客サービス「旅のアバターコンシェルジュ」の提供を始めた。店頭で提供している対面による旅行の相談や予約のサービスを、利用者が自身のパソコンやスマートフォンを通して受けられる。

 同サービスは事前予約制で、旅行先や旅行商品、旅全般に関わる専門知識を持った同社スタッフが「アバター」を介して接客案内を行うもの。同社店舗に設置されたテレビ電話窓口を通して提供している「旅のコンシェルジュ」と異なり、店舗に行かずに旅行の相談ができる。これにより、多様化するお客のニーズや相談に、より的確に対応できるようにする。

 旅に関する情報取得と行動決定がデジタルデバイスに集約化されている昨今を踏まえて実現。同社が今まで培ってきた接客スキルを生かし、ヒューマンタッチなオンライン接客による一気通貫の顧客サポートを目指す。

 今回の同サービスはその第1段階であり、2022年春には旅マエ・旅ナカ・旅アトを通した旅のサポートサービスの提供を予定している。

 今後の展開として、アバターを趣味嗜好にあったスペシャリストアバターや、KNTメンバーズクラブ会員のみが会えるアバターなど順次増やしていく予定だ。

第2回定例会議、経営強化策の勉強会開く 全旅連女性経営者の会

2021年11月4日(木) 配信

全旅連女性経営者の会・小林佳子会長

 全旅連女性経営者の会(小林佳子会長・御宿 はなわらび)は10月26日(火)、2021・22年度第2回定例会議をオンラインで開催した。また、同日に行われた勉強会では、SOMPOリスクマネジメント(桜井淳一社長)と中小企業基盤整備機構(豊永厚志理事長)が、災害や感染症のリスクに備える経営強化策と、事業継続力強化計画認定のすすめをテーマに、コロナ禍中の旅館の課題について講演した。

 冒頭あいさつで小林会長は、今年度の新規会員を4人迎えたことを報告し、「まだ会員がいない県は10県。ぜひ入会していただき、共に会を盛り上げていきたい」と述べた。

BCPを活用した経営強化策

 SOMPOリスクマネジメントの篠目貴大氏(リスクマネジメント事業本部執行役員)が行った講演では、「災害や感染症のリスクに備えるBCPとは何か? BCPを活用した経営強化策」をテーマに話した。

 BCP(ビジネス・コンティニュイティー・プラン)は、「何かあっても事業を継続させるための仕組み」のこと。とくに、①人②もの+サービス③お金④情報⑤インフラ──が重要となる。

 篠目氏は、旅館・ホテルは観光資源の恩恵を受けながらも、立地や環境は自然災害のリスクと隣り合わせだと指摘した。

 ハザードマップなどを活用して災害リスクの確認と認識を行い、「経営資源への影響を考えることが求められる」とし、近年頻発する自然災害などに備えるために、「どのようなリスクがあるかを把握してほしい」と力を込めた。

 また、初動対応や事前対策をあらかじめ決めておくことで、有事の際スムーズに対応できる。このため、「平時の推進体制を整えておくことが必要」(篠目氏)。

 こうしたBCPを活用した経営強化策は、売上貢献や教育、業務効率化などにも役立てられるマネジメントツールにもなる。

 篠目氏は、「BCPはお客様や従業員、すべての関係者を守るために欠かせない取り組み。はじめの一歩として、中小企業庁の事業継続力強化計画に取り組んでみてほしい」とまとめた。

「事業継続力経過計画」のメリットとサポート

 この講演内容を踏まえたうえで、中小企業基盤整備機構関東本部の企業支援部アドバイザー村田成巳氏は、「事業継続力強化計画認定時のメリットとサポート体制について」をテーマに講演を行った。

 BCPが包括する要素の中に、事業継続力強化計画が含まれる。特徴として、従来のBCPよりも簡単であり、防災と減災に焦点を当てていることで取り組みやすいというメリットがある。

 強化計画は「個社型」と「連携型」の2種類があり、村田氏は連携型を推奨した。

 この理由として、単独企業では対応できないリスクに対応できることや、複数の企業が集まり、災害時の相互協力体制を計画することで「共助」のカタチが成立する。

 地域の旅館などがまとまって連携することで、類似する対策を集約し実行できるので、物資や場所などの確保が簡単になる。集団になることで、外部業者や自治体・行政、業界などへの発信力と交渉力が強化される。また、同時に被災しなかった会社と契約を結んでいれば、被災していても代替生産が可能となる。

 村田氏は、これらのメリットにより、「将来的に事前対策のコストを抑えることができ、地域経済も安定させることができる」とアピールした。

 中小機構関東本部では、連携体の組成から連携計画策定の支援を行い、必要に応じて無料アドバイスを行うなど、サポート体制が充実している。

JTB、23年ラグビーW杯 大会公式観戦券付きツアー販売へ

2021年11月4日(木) 配信

写真提供:RWC2023

 JTBは11月1日(月)、2023年開催の「ラグビーワールドカップ2023フランス大会(RWC2023)」公式旅行会社である、STH Japanとサブエージェント契約を結び、大会公式観戦券付きツアーを企画・販売すると発表した。

 ラグビー日本代表のオフィシャルサポーターであるJTBが、同大会の公式観戦券付きツアーを売り出す。RWC2023の開催期間は、23年9月8日(金)~10月28日(土)。

 そのほか、RWC2023公式観戦券付きツアーを始めとした各種商品の最新情報を、JTBスポーツのメルマガで配信を予定している。

旅のUDアドバイザー開講1周年記念 「私の旅のユニバーサルデザイン」③  旅行業界に必要な資格の1つに――ブルーム・アンド・グロウ トラベルコンサルタント 髙浪 嘉奈子氏

2021年11月4日(木) 配信

ブルーム・アンド・グロウ トラベルコンサルタント  髙浪 嘉奈子氏

 私の母は、25年近く車イスユーザーです。今から14年前に海外個人旅行で、車イスの母と一緒にラスベガスに行きました。機内でもインシュリン投与が必要だったため、書類などの準備は正直大変でした。

 
 それでも、現地空港・ホテル・ショッピングモールでの移動のストレスもなく、何より旅先で障害がある人に対しても健常者と変わらずに接してくれたことに、母だけでなく、同行した当時未就学の娘を含む家族も、とても喜んでいました。

 
 学生時代に観光学を学び、某航空会社のグランドスタッフとしての勤務経験もあったので実現できたのだとは思いますが、この経験はまさに、ユニバーサルツーリズムへの対応が、事情により旅行に制約を感じている人だけでなく、同行者や家族の利便性の向上、満足感につながることを確信したものでした。

 
 現在、私が勤務する芦屋のブルーム・アンド・グロウは旅行会社ですが、受付カウンターやパンフレットがありません。メール、電話、本店サロンにて、じっくり時間をかけて“世界に1つしかないオーダーメイドの旅”を、お客様と一緒に作り上げることを大切にしている会社です。

 
 トラベルコンサルタントであるスタッフには、業務知識とコミュニケーションスキルが求められます。旅行の目的・趣味嗜好など失礼のないよう、お客様のご希望をしっかりとお聞きします。

 
 例えば一昨年、奥様が第3子を妊娠中で小さなお子様連れのご家族様のシンガポール旅行をプランニングさせていただいた際には、専用車の手配をお勧めしました。妊婦さん特有ですが、移動により普段以上にお腹が張る場合があること、子連れだとどうしても多くなる荷物を一時的に置いておけること、「お子様がぐずった時にも助かりますよ」とアドバイスしました。

 
 近い将来アフターコロナでは、今まで以上に旅行をすることへの意識の変化が生まれると言われています。安心・安全な旅行が全世界のスタンダードになり、プライバシーやソーシャルディスタンスへの意識が高まり、よりパーソナライズされたものが好まれるでしょう。

 
 旅のユニバーサルデザインにおいて、お客様によっては、趣のある純和風旅館であっても和洋室(ベッド)が利用しやすかったり、大浴場の手摺りの有無が重要だったり、個々のニーズや必要とされる配慮がそれぞれ異なるため、お客様ご自身が判断できる材料を提供することがとても大切です。

 
 それぞれのお客様に合ったご旅行を一緒に考えることができるコンサルティング型は、ユニバーサルデザインに打ってつけのスタイルだと信じています。そして、旅のユニバーサルデザインアドバイザーが、これからの旅行業界に必要な資格の1つとなることを、切に願っています。 

〈観光最前線〉西九州新幹線開業1年前をPR

2021年11月3日(水) 配信

「近いけん(県)長崎県」をアピール

 長崎県は、2022年秋を予定する西九州新幹線(武雄温泉―長崎間)の開業1年前を記念して10月30日から約1カ月間、JR大阪駅を中心とした関西・中国地域で、交通広告やラッピング電車の運行など、さまざまなプロモーションを実施している。

 期間中は、長崎県内の沿線各駅名や教会、フルーツバス停などの印象的な風景、カステラ、ちゃんぽんといった食材を描いたイラストを、関西・中国・福岡地域の主要駅のデジタルサイネージや、車内吊り広告などで展開。大阪環状線では、キャンペーンのキービジュアルやロゴを配したラッピング車両も運行する。

 11月14日には、あべのハルカスを会場に、星野リゾート代表の星野佳路氏らによる「長崎観光の未来」をテーマにしたトークショーも開く。

【塩野 俊誉】

11月20日出発 タンゴエクスプローラー乗車体験日帰りツアーを発売

2021年11月2日(火) 配信

 ローソンエンタテインメント(ローソントラベル)は2021年11月20日(土)、京都府内で日帰りツアー「タンゴエクスプローラー特別区間乗車体験と西舞鶴運転所見学+丹後あかまつ号乗車の旅」を企画した。現在、参加者を募集している。
 
 ツアーの目玉は、2011年に定期運行を終了したタンゴ・エクスプローラーへの特別乗車だ。区間は京都丹後鉄道の西舞鶴運転所から西舞鶴駅ホーム(ホームでのドア開閉なし)までの往復。所要時間は約10~15分の予定。このほか鉄道車両デザインの第一人者水戸岡鋭治氏丹後が手掛けた、走るカフェテリア「丹後あかまつ号」の乗車や西舞鶴運転所での打音検査の見学、オリジナル掛け紙付のお弁当なども楽しめる。

 タンゴ・エクスプローラーは1990年、JR宮津線を第三セクターの北近畿タンゴ鉄道(KTR、現京都丹後鉄道)が引き継いだ際に、看板車両として新造された気動車だ。先端部は流線形で、座席上には天窓も備えたユニークなハイデッカー車だ。

 最少催行人員は20人。プランは西舞鶴発着(午前10時集合、午後3時解散)など、発着場所により4プランから選べる。参加料金は普通席1万3800円(税込)、全面かぶりつき席(1列目)1万7300円(同)など。

雲仙で「第1回ナショナルパーク・サミット」 世界に誇れるまちづくりについて日本各地の代表者らが議論を交わす

2021年11月2日(火) 配信

小浜の温泉街

 長崎県雲仙市は11月15日(月)、「第1回ナショナルパーク・サミット」を市内の雲仙BASE(旧雲仙小中学校)で開く。

 雲仙温泉観光協会、ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構との共催。地域の食や温泉などの魅力向上と発信する人材の育成を行う人々が各地から集まり、世界に誇れるまちづくりについて議論を交わす。

 会場となる雲仙市は「『雲仙 ~UNZEN~』で持続可能な地域づくり」と題し、食と人による雲仙のブランディング、雲仙を食べるプロジェクト、雲仙野菜のブランド化、ふるさと納税への展開などを宿泊施設関係者や農業従事者らが語る。

 雲仙市以外には、ガストロノミーの視点からいわて三陸の魅力、豊かな食材や食文化などを発信する機会として、国内外の著名なシェフや専門家らが一堂に会する国際会議「三陸国際ガストロノミー会議」を開催している岩手県や、下呂温泉観光協会、稚内観光協会が各地の実践事例を説明する。

 同サミットは、15日、午前9時から、午後1時までの日程で実施、参加料金は無料。市では開催を前に、ホームページ上(下記リンク)で参加者を募集している。また同サミット開催に先駆け、13日に小浜温泉、14日に雲仙温泉でONSEN・ガストロノミーウォーキングも開催される。

第1回ナショナルパーク・サミット - 雲仙市  
https://www.city.unzen.nagasaki.jp/info/prev.asp?fol_id=37742
雲仙市公式サイト | 第1回ナショナルパーク・サミットに関する情報などを提供しています。

周遊チャーターとホテル滞在でハワイ旅行気分を JAL×プリンス

2020年11月2日(火) 配信

ハワイ旅行気分を満喫(イメージ)

 日本航空(JAL、赤坂祐二社長)とプリンスホテル(小山正彦社長)、ジャルパック(江利川宗光社長)は、12月4日(土)から2日間、JALが運航する周遊チャーターフライトにプリンスホテルでの宿泊を組み合わせた、第2弾ツアー「チャーター&ホテルDEハワイ旅行気分を満喫!」を実施する。11月4日(木)まで申し込みを受け付けている。

 JALとプリンスホテルは“新たな旅行スタイルの提案”をテーマに協業を行っており、その一環として6月に、第1弾の「チャーター&ホテルDEハワイ旅行気分を満喫!」を実施し、好評を博したという。

 今回の第2弾も、国際線用の機材を利用し、ハワイ線で提供している機内食メニューや機長によるハワイ線にまつわるアナウンスの案内、国際線で提供しているアメニティグッズやオリジナルの搭乗証明書を用意する。

 また、今回はプリンスホテルのフラッグシップホテル「ザ・プリンス パークタワー東京」に宿泊する。当ツアー貸し切りの会場で行うハワイアンウェルカムディナーでは、ハワイをテーマにした食事・カクテルと、ハワイアンクリスマスをテーマにしたバンドによる生演奏やフラが楽しめる。そのほか、JAL客室乗務員のトークショーやホテル宿泊券などが当たる抽選会も予定している。

 朝食もハワイアンメニューを提供し、部屋にはハワイを感じるおみやげを用意。ツアーを通して“海外旅行に行っているような感覚”を味わえるツアーに仕上げた。

 旅行日程は2021年12月4日(土)から1泊2日。チャーターの遊覧飛行時間は東京(羽田)12:00ごろ発、東京(羽田)午後3:00ごろ着(予定)。代金はビジネスクラス窓側が1人99,500円など。2人以上で申し込みを受け付ける。

クラツーのサブスク、11月に13本のオンライントークライブ開く 著名人の生出演など

2021年11月2日(火) 配信

11月のオンライントークイベントのイメージ

 クラブツーリズム(酒井博社長、東京都新宿区)がサービスを手掛けるサブスクリプションサービス「クラブツーリズムパス」は11月、主要サービスの「オンライントークライブ」で13本のオンライントークライブを開く。

 オンライントークライブは、著名人やその分野に明るいゲストが生出演する趣味のオンラインライブイベント。「歴史」「鉄道」「登山」など13種類のテーマ(趣味)で開き、クラブツーリズムパス会員ならどのテーマでも参加し放題となる。各テーマは、未経験者を想定した「初心者」の視点からもトークを展開するうえ、詳しいゲストから発信されるリアルな情報とともに、ライブ感も楽しめる。

 マラソン部が主催の「半端なくない 大迫家の食卓」は13日、元トップアスリートの大迫傑選手の妻・大迫あゆみさんをゲストに迎え、アスリートに必要な栄養素や食事の摂り方をアメリカから生中継で紹介する。開催時間は午前10:00~11:00。

 歴史部が主催の「今さら聞けない学校では教えてくれないシリーズ第2回」は24日、お笑い芸人のフルーツポンチ・村上健志さんやお城インスタグラマーKAORIさんなどをゲストに、源頼朝について掘り下げていく。開催時間は午後6:30~7:15。

 また、野球部(野球だいすきクラブ)が開く「栄光の90年代 野村克也“ID野球の真髄とは?ヤクルト黄金時代ナイト」が29日、90年代を支えた元選手の飯田哲也さんと川崎憲次郎さんをゲストに迎えるなど、好きな趣味を楽しめるコンテンツを用意している。開催時間は午後6:00~7:00。

11月のオンライントークライブ予定

 クラブツーリズムパスは、KDDIと協業で2021年10月からスタートしたサブスクリプションサービスで、「趣味」「生活」「旅行」の3ジャンルにおいて、オンラインサービスを提供している。「趣味」のジャンルでは、趣味のオンデマンド講座「学び放題」と、生配信の「オンライントークライブ」、各テーマに紐づいたリアルイベント「オフ会」の3本柱で展開していく。月額利用料550円。

「観光革命」地球規模の構造的変化(240) 岸田政権と観光立国

2021年11月2日(火) 配信

 岸田文雄首相は内閣発足から10日後の10月14日(木)に衆議院を「奇襲解散」した。解散から10月31日(土)の投開票まで17日間という戦後最短の短期決戦になる。この原稿は衆院選の真っ最中に執筆しているが、多くのメディアの報じるところによると、今回の衆院選では自公による与党体制の継続が確実視されている。そのために岸田政権の継続を前提にして観光立国の行方を探ってみたい。

 岸田首相は「分配なくして、次の成長はなし。成長と分配の好循環を実現する」と述べて、効率と競争を優先する新自由主義路線の見直しを提唱し、「新しい資本主義の実現」を経済政策の柱にしている。

 9年近く続いたアベノミクスの恩恵は大企業や富裕層に偏り、格差の拡大を助長したために実質賃金の下落が続き、消費不振と低成長が生じた。岸田首相は自民党総裁選の際に中間層への所得配分を強化する「令和版所得倍増」を目指すと訴えていた。コロナ禍で疲弊する国民生活を立て直すためには、アベノミクスで広がったとされる所得格差の是正が不可欠である。

 岸田首相は衆院選の前に首相直属の機関として「新しい資本主義実現会議」を設置し、ポストコロナ時代の経済社会ビジョンを策定し、具体的な政策の立案を行う体制を整えている。既に15人の有識者が会議メンバーとして公表されている。

 安倍政権や菅政権でブレーンとして重用され、訪日観光立国政策の旗振り役を担ってきた竹中平蔵氏やデービッド・アトキンソン氏などはメンバーに入っていない。さらに自公政権の中枢で長らく「観光立国」政策を力強く推進してきた菅義偉氏と二階俊博氏が官房長官・首相や自民党幹事長などの要職を離れたので、今後の観光立国政策は大きな変化を被る可能性が大である。

 新しい資本主義実現会議のメンバー構成を見ていると、観光立国を強力に応援する人は居ないようである。従って、これまでのようなインバウンド観光に力点を置いた「観光の量的拡大」ではなく、地域主導による地域資源の活用に力点を置いた「観光の質的向上」にシフトしていくべきだ。ポストコロナ時代における日本観光の安定的発展のためには国内旅行の充実化が不可欠であり、その前提として岸田政権による「中間層の所得倍増」の成否が注目される。

 

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。