「ウェルネス」テーマに愛知県・幸田町でモニターツアー 産業とロケツー軸に組み立て

2021年11月12日(金) 配信

ドラマにも登場したダーシェンカ

 愛知県・幸田町と幸田町観光協会は10月26~27日、「ウェルネス」をテーマにモニターツアーを行った。

 1日目は幸田の産業を、2日目は3年前から注力する「ロケツーリズム」を軸に行程を組み立て、同町に工場があるエアウィーヴによる快眠セミナーや特産の筆柿の収穫体験、ロケ地でのパン作り体験などで参加者を歓迎した。

 参加者からは「まちの魅力を知ることができた」、「まちの人の思いを感じられた」などさまざまな声が上がった同ツアー。今後は、商品化に向けての話し合いも進められるという。

 ツアー1日目は、幸田町の産業を学び、体験できるメニューを用意した。宿泊先のホテルでは、エアウィーヴによる快眠セミナーが開かれ、睡眠が心身のパフォーマンスに与える影響や、良質の睡眠に必要な6つのポイントなどを解説。三菱ケミカル・クリンスイではオレンジジュースのろ過実験を通じ、おいしい水を生み出す同社の技術力を体感した。

 幸田町の特産品「筆柿」については、収穫体験を通じ、理解を深めた。参加者は甘いカキと渋柿の見分け方を教わりながら収穫を体験し、その後、センサーを使い、自身が収穫した筆柿の選別を行った。甘い柿はゴマと呼ばれる黒い点々がたくさんあるため光を通さず、逆に渋柿にはゴマが少ないため光を通すので、同センサーを使い光を通すことで誰でも簡単に柿の選別が可能になる。

 今回のツアーに協力した生産者の平岩氏は「多いときには約160人いた生産者も、今では60人程度しか残っていない。多くの人が辞めていったが、筆柿はここにしかないモノ。ご先祖様から預かってきた畑が、柿を作れないからとただの山になることは忍び難い」と思いを語った。

ロケのまち 幸田

 幸田町は、2018年からロケツーリズムの取り組みを始めた。今年東海テレビが制作した連続ドラマ「最高のオバハン 中島ハルコ」では、愛知県・幸田町の「町おこし」をテーマにストーリーを展開する回が放送され、町名の使用に加え、筆柿などの特産物が多数映し出されるなど、ドラマを通じた地域PRにつながった。

幸田サーキットyrp桐山はドラマ登場時の名前の看板を設置

 2日目は、同ドラマのロケ地となった自然酵母パンの専門店「緑と風のダーシェンカ」と、「幸田サーキットyrp桐山」を訪問。ダーシェンカでは筆柿のジャムを使ったパン2種類と、ドラマにも登場した「塩ロールパン」作りを体験。幸田サーキットではゴーカート体験に加え、ロケが行われた場所を巡りながら、そのロケ当時の話を担当者が披露した。

 また1日目の昼食には、同ドラマのクランクアップの日に出演者に出され喜ばれたロケ弁を一部アレンジし提供。長命うどんが提供する同弁当は、夢やまびこ豚や幸田の野菜、筆柿を使用しており、幸田駅前で開催される「OMOTENASHIマルシェ」(今年12月末まで開催)などでは即完売してしまうほどの人気の一品。

華やかなロケ弁

 「開けた瞬間華やかでわくわくした」、「女優さんが実際に食べたと聞くと、より贅沢感が増す」、「こんなに華やかなお弁当を出してもらえたら、おもてなしをされているという思いも伝わる」など、さまざまな感想が挙がった。

 町内では、ロケ弁と並ぶ話題のグルメがもう一品ある。2日目の昼食として用意した「幸田消防カレー」は、もともと幸田町消防本部の消防士がまかないとして作っていたものを改良してイベントなどで地域の人にふるまうなかで人気となり、レトルトカレーとして4月から販売を始めた。

 当初用意していた5000食分はわずか2カ月で、その後の追加生産分もすぐに完売してしまったという同カレー。材料には夢やまびこ豚、筆柿のジャムを使用する。

 同ツアーは、観光庁の「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業(第一次)」の支援を受け、地域活性プランニング(東京都)が企画プロデュース・運営役を担った。

ツアーをふりかえって

参加者の声

 特産品の筆柿の収穫体験やパン作りなど、味覚以外の楽しみ方も体験できた。
 愛知出身なので知り合いに愛知のおすすめの場所を聞かれるのですが、これまではうまく答えることができませんでした。今回のツアーに参加して、観光スポットだけではなく、その土地の農産物や製造される商品を通しても人を呼び込むことができると実感できたので、これからは自信をもって愛知の良さを伝えていきたい。

 柿生産者の方のお話が印象に残った。このまちには、自分の力で何かをおこす人が多いと感じました。

 生産者、製造メーカー関係者の方などのお話から、「自分の行動がまちのためになる」という思いがひしひしと伝わってきました。いい経験ができた2日間でした。

関係者の声

 幸田町は岡崎市や蒲郡市の通過点になってしまっているので、両市を訪れる観光客を取り込むうえでも良いツアーになった。今後このツアーがどういったカタチになるかはわかりませんが、起爆剤にはなる。今回皆さんがお泊りになられた「銀河伝説煌めく天空の宿 天の丸」は最高の景色を見られる場所です。今後はこういった場所も活用していきたい。(幸田町役場 環境経済部 鳥居 栄一 部長)

 こうしたツアーは幸田町としても初めての取り組みでしたが、産業を前面に出すことで、新しいきっかけになると感じました。今回のツアーを検証して、商品化に向け関係者との話し合いを進めていきます。(幸田町役場 環境経済部産業振興課 辻本 隆哉 主事)

 観光地として全国に名前が浸透していない幸田町で、ロケ誘致への取り組みを生かし、地域産業の連携する新たな観光ツアーが実現できました。生産者や飲食店関係者など地域の「ひと」の思いの掛け合わせが、力強いツアーコンテンツになることも確信でき、参加者からの手応えも得られた。今後もロケツーリズムを軸に、幸田町の誘客コンテンツやブランディングを考えていきたい。(地域活性プランニング 古川 武男 ゼネラルマネージャー)

 筆柿や幸田の産業、ロケ地などを知っていただくきっかけになったと思っています。(名鉄観光サービス岡崎支店 磯谷 寿明 支店長)

使い捨てバス座席カバー「まもるん」発売  バスくるグループ

2021年11月12日(金)配信

サッと被せるだけで装着完了

 貸切バスの一括見積や仕事のマッチングができるサイト「バスくる」を運営するバスくるグループ(浮舟崇弘社長、東京都葛飾区)は2021年11月11日(木)から、被せるだけで簡単に装着できる不織布のバス座席カバー「まもるん」の受注を開始した。汚れを防ぐ通常タイプのほか、抗菌加工を施したものなど3タイプを用意した。

 バス運行では、芋ほり遠足の汚れやペットの毛の付着、突然の雨によるシートの濡れなど、従来からの問題に加えて、帰国者輸送に伴う除菌・消毒作業も課題となっている。業界初のサービスとして、バスの座席に装着できる簡易不織布シートカバーを、1枚150円(税別)からという低価格で提供する。

 「まもるん」は使い捨てで、汚れたカバーだけを交換できるので、衛生的で経済性にも優れた商品だ。シートを汚れから守る不織布タイプ、水濡れを防ぐラミネート加工タイプ、東洋紡の抗ウイルス加工不織布「ナノバリアー」を使ったものなど、用途に合わせて選ぶことができる。

 価格は1枚(1シート分)にき、通常タイプ150円、ラミネート加工タイプ286円、抗ウイルスタイプ500円(各税別)。納期は1カ月程度。初回は受注生産(11月末日締切)とし、各種3000枚を限定販売する。

HIS、VR活用オンラインツアー行う 訪日再開に向けた誘客はかる

2021年11月11日(木) 配信

ツアーのイメージ。VRゴーグルキットも付く

 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)などが参画する「愛媛・地域創生インバウンドコンソーシアム」は11月20日(土)、VR技術活用体験型オンラインツアー「愛媛クラフトビールツーリズム」を行う。国内旅行の需要を喚起するほか、訪日旅行の再開に向けた誘客をはかる。

 同ツアーは、“愛媛をクラフトビールの聖地に”をコンセプトに、クラフトビールに携わる人々のストーリーも紹介しながら、同県の歴史文化や豊かな自然をVRで見ることができる。オリジナルクラフトビール、VRゴーグルキット、厳選おつまみも付く。料金は無料。抽選で50人が招待される。

 また、観光庁が2021年度事業として実施する「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」に選定されている。

 同コンソーシアムは、愛媛県に根差した継続的な事業を支援することを目的に、HISとABCフロンティア、KIRI、ハコスコ、愛媛県観光物産協会によって設立。12月18日(土)に、VR技術を活用し、ビールを飲みながらしまなみ海道の豊かな自然を散策する商品のほか、1月15日(土)に、ALL愛媛産ビール「太陽のビール」を飲みながらドローン空撮したミカン畑の景色をVRで見るツアーも催行する。

スポーツ文化ツーリズムシンポジウム、11月30日(火)開催 4省庁連携セミナーも

2021年11月11日(木) 配信 

スポーツ庁、文化庁、観光庁らは「第5回スポーツ文化ツーリズムシンポジウム」を開く

 スポーツ庁、文化庁、観光庁の3庁は11月30日(火)、浅草橋ヒューリックホール(東京都台東区)で「第5回スポーツ文化ツーリズムシンポジウム」を開く。あわせて、「4省庁連携セミナー」(環境省主催)を開き、これまでのスポーツ文化ツーリズムアワード受賞者を招き、パネルディスカッションも行う。

 スポーツ庁ら3者は、スポーツや文化芸術資源の融合から新たに生まれる地域の魅力を発信する取り組みとして、「スポーツ文化ツーリズム」を推進している。

 第1部のシンポジウムは、スポーツ文化ツーリズムアワード2021表彰式が行われる。3庁の長官らによるトークセッションも行い、室伏広治スポーツ庁長官、都倉俊一文化庁長官、和田浩一観光庁長官が登壇する。

 基調講演では、日本スポーツツーリズム推進機構代表理事の原田宗彦氏(大阪体育大学学長)が、「アフターオリパラのスポーツ文化ツーリズムを活用した地域振興」をテーマに話す。

 第2部の4省庁連携セミナーでは、「エコツーリズムの観点からみるツーリズムの課題と展開」や、「持続可能な観光振興と環境保全の両立への課題解決方法」をテーマに、パネルディスカッションを行う。

 一般参加は事前登録が必要。来場・オンライン視聴が選べる。来場は申し込み先着順で150人まで、入場は無料。

成田空港活用協議会、11月17日に初めて北海道観光商談会開く コロナ禍で冷え込んだ観光の回復目指す

2021年11月11日(木)配信

旅行会社から16社34人と千葉の観光事業者などから23団体33人が参加する

 成田空港を利用する人流と物流の拡大による千葉県の経済活性化を目指す成田空港活用協議会(佐久間英利会長、千葉県千葉市)は11月17日(水)、ロイトン札幌(北海道札幌市)で、北海道の旅行会社や千葉県の観光事業者・自治体などを対象に初めて北海道(札幌)観光商談会を開く。北海道から千葉県へ同空港とLCC(格安航空会社) を利用した来訪を促し、コロナ禍で冷え込んだ観光業の回復をはかる。

 同商談会には、同空港から札幌(新千歳空港)に就航するジェットスター・ジャパンやスプリング・ジャパン、Peach Aviationもセラーとして出席する。参加者は旅行会社が16社23部門34人。千葉からは23団体33人。

 成田空港活用協議会は今後も、成田空港を起点とした新しいビジネスの創出に取り組む。

〈観光最前線〉阿蘇で宝探しイベント

2021年11月11日(木) 配信

 

 熊本県阿蘇郡の高森町と南小国町を舞台にしたリアル宝探しイベントが11月3日から始まった。隣接しない両町が協働した企画を行うことで、阿蘇地域の周遊を促す。過去開催では1500人を超える参加者を集めるなど人気企画だ。

 両町の観光案内所や観光施設で宝の地図を入手する(無料)。3つの謎を解き、宝箱の場所を報告すると抽選で1人に現金30万円、60人に5千円相当の特産品を贈呈する。報告者全員へのノベルティプレゼントもある。

 謎解きをしながら両町の観光地めぐりも楽しみたい。南小国町のマゼノ渓谷は普段立ち入ることはできないが、紅葉シーズンの11月23日までは一般開放している。高森町では囲炉裏で炭火を囲む郷土料理・田楽が寒い冬にぴったりだ。

【土橋 孝秀】

〈旬刊旅行新聞11月11日号コラム〉小田急線――小児運賃「一律50円」へ値下げを英断

2021年11月11日(木) 配信

 

 上京して最初に住んだのは、小田急線の生田駅だった。隣が定食屋さんで、毎日通い肉野菜炒め定食を注文した。

 
 そこの高齢の女将さんがカウンター越しに「はい、御御御付(おみおつけ)」と味噌汁を手渡してくれた。「御御御付」という面白い言葉を、そのとき初めて知った。

 
 その定食屋でアルバイトをしていた同世代の兄ちゃんが、麻雀店への配達が終わる夜10時ごろに決まって私の部屋に遊びに来た。マンションは小田急線の線路沿いにあり、警笛を頻繁に鳴らす運転手もいて、深夜に鳴らされたときは布団の上で飛び上がるほどびっくりした。

     

 
 そこから引っ越したのは隣駅の向ヶ丘遊園駅。畳4畳半で家賃1万9千円の生活が始まった。入口の扉の内側には、かなり古くなった河合奈保子の水着のポスターが貼られていた。次に引っ越すまで、そのポスターを貼り替えなかった。誰だか知らないが、前の住人と私の好みは不思議と一致していた。

 
 その狭い部屋は2階にあった。窓を開けると、今は無き、向ヶ丘遊園に向かうモノレールが私の部屋の真ん前を通過していった。笑顔いっぱいの乗客たちをただぼんやり眺めていた。

 
 その後、下北沢駅に引っ越した。襖ばかりがある部屋で、私はこの部屋を密かに「大奥」と呼んでいた。その襖をすべて取っ払うと、妖艶さは失われ、柔道場のように広い畳の部屋に様変わりした。

 
 就職してからは中央線の三鷹駅、西武池袋線の秋津駅など他の沿線に移ったこともあったが、結婚してからは再び親しみ深い小田急線に戻ってきた。

     

 
 小田急線は、バブル絶頂期のラッシュアワーには電車に乗れないほど混雑していた。新宿など都心に向かう通勤・通学利用者だけでなく、グループ子会社には箱根登山鉄道や、江ノ電も有し、観光にも力を入れているため上下線が混雑した。小田急線を代表するロマンスカーは人気が高く、見慣れていてもわくわくさせる。

 
 近年は複々線化にも取り組み、車内の混雑はかなり解消されていた。少子化の影響で沿線の大学、高校、中学校などへの通学利用者も減り、団塊の世代が退職していったことも混雑解消に大きな影響を与えた。

 
 時差通勤も推奨されていたなか、コロナ禍に突入した。最初の緊急事態宣言が発令された昨年4月は、目を疑うほどの“ガラ空き”状態となった。今もテレワークなどの継続もあり、乗客はコロナ以前の水準まで戻っていない。

     

 
 そんな小田急線が2022年春から、小学生の小児運賃を大人の半額から、「どの区間を乗っても一律50円にする」と発表した。小学生の通学定期の値下げも検討するという。いずれも小児用のICカード乗車券「PASMO」が必要となる。

 
 小田急線にとっては鉄道収入が減少するが、子育て世代を沿線周辺に集め、グループ会社の百貨店やスーパー、アミューズメント施設などへの利用を促していきたい考えだ。値上げばかりの世の中で、運賃の値下げは、英断だと思う。

 
 神奈川中央交通などグループのバス会社とも連携して、地域住民や旅行者などの移動やサービスがICTで結びつき、より便利になるMaaSの取り組みも一層加速していくだろう。これからの小田急電鉄の進化が楽しみだ。

 

(編集長・増田 剛)

【特集No.596】セルリアン・リーガロイヤル・八芳園がタッグ 顧客共有しファンづくりへ

2021年11月11日(木)配信


 ロケツーリズムへの注目が高まっている。新型コロナウイルス感染症の影響により経営面で大きな打撃を受けたホテルなどは、営業できない施設や空きの目立つ客室をロケ場所として積極的に貸し出し、大きな収益を得ている。また露出機会を増やすことで、収束後の誘客へつなげるのも狙い。

 各施設でロケ誘致に尽力するセルリアンタワー東急ホテルの長谷川達宏氏、リーガロイヤルホテル東京の金子由夢氏、八芳園の村上裕章氏が、施設連携でのロケ誘致や各施設のファンづくり、利用者数の増加に向けた取り組みを語る。

  ――8月にロケ撮影に使われるスイートルームの観覧付きプランを売り出したセルリアンタワー東急ホテルは、どういった経緯でロケ誘致を始められたのですか。

 長谷川:新型コロナウイルス感染症が流行する前は、インバウンド需要もあり高稼働で売上が推移していました。一方で、スイートルームの販売に関しては唯一苦戦していました。

 この課題を解決するために注目したのが、「ロケ撮影」です。2019年に自社ウェブサイトに撮影誘致が目的の専用ページを開設し、同時期に外部のロケ地検索サイトにも参画しました。それによってロケ撮影に前向きなことが浸透し、問い合わせが増えました。

 ――八芳園もロケ誘致の取り組みを本格化させたのは最近ですね。

 村上:八芳園がロケ誘致の体制を整え、本格的に動き出したのは、私が担当になった2年前からになります。

 ただそれ以前から前任者が庭園や宴会場での撮影を受け入れており、売上実績も積み重ねていました。

 八芳園がロケ誘致を本格化させたタイミングは、コロナの影響で宴会場の利用が止まったときとも重なるのですが、その年にまず会員と映像制作者が効果的なロケ誘致をしようと情報を交換するロケツーリズム協議会にオブザーバーとして参加しました。昨年からは、正会員として引き続き参画し、ノウハウを学びながら、制作者へのPR、ホームページを通じてのロケ実績の発信などを行っています。

 ――リーガロイヤルホテル東京は、ロケ誘致に早い段階から取り組み、成功事例を積み重ねられています。

 金子:リーガロイヤルホテル東京は1994年に開業したのですが、リーガロイヤルホテルグループが関西を中心に展開していたので、開業当時は東日本での知名度は高くありませんでした。そこで、知名度アップの方策としてロケ誘致の取り組みを始めました。

 ――企業PRなどを目的にロケ誘致に取り組む民間企業も増えていますが、この流れをどう捉えていますか。

 金子:私共のホテルが「ヨーロピアンクラシック」を基調としているように、各施設それぞれにスタイルがあり、撮影される作品ごとに、世界観に合う、合わないという判断を制作サイドがします。大切なのは、問い合わせが来たけれどイメージと違うとなったときに、他の施設を紹介できるかどうかだと思っています。新型コロナウイルス感染症の流行拡大で観光業界は大きな打撃を受けています。こうした状況下で、相互に送客し合うことも大切です。

 ――ロケの受け入れは、コロナ禍で打撃を受けたホテルの収益面にどの程度の恩恵をもたらしていますか。……

【全文は、本紙1847号または11月17日(水)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

日本修学旅行協会、20年度修旅の実態公表 中学5割、高校6割が中止

2021年11月10日(水) 配信

中学は47・2%、高等学校は34・3%が計画を変更した

 日本修学旅行協会(竹内秀一理事長)が11月8日(月)に発表した、2020年度全国修学旅行調査速報版によると、中学は約5割、高等学校は約6割が中止したことが分かった。同年度の修学旅行の計画について、中学校は47・2%が変更し、51・5%が中止した。予定通り催行した学校は1・4%。一方、高等学校は61・4%が中止し、34・3%が計画を変えた。計画通りの実施は2・1%。海外旅行の実施校数は0件だった。

 調査は、中学校の1046校と高等学校の1147校から回答を得た。

 中学校でのコロナ禍による具体的な変更内容については、出発時期が38・7%でトップ。次いで、日数が22・3%、方面が32・9%と続いた。コロナ禍収束後の海外旅行は、意向ありが40・4%、予定なしは、38・3%。未定は21・3%となった。

 実施時期では、10月が前年同月比99件増の149件で最多。次いで9月が同55件増の120件、11月が同62件増の111件だった。

 旅行先は京都(6・5%)が最も多く選ばれた。続いて奈良(5・9%)、山梨(5・8%)、北海道(5・2%)、長野(同)の順。

 構成比については、19年度と同じ順位だった京都が前年度比16・2%減、奈良は同13・9%減となり、他県との差が縮まった。

 班別の自主行動を行った学校は、同59・9%減の31・1%。

 高等学校の実施時期は、12月が前年同月比100件減の86件で最も多かった。2位は11月が同146件減の75件、3位は昨年0件だった3月が58件となった。

 旅行先は長崎(7・3%)が1位。沖縄(5・8%)、広島(5・5%)、大阪(5・1%)、北海道(4・9%)と続く。

 班別に自主行動した学校は前年度比34・2%減の50・8%。

 収束後の海外旅行については、62・2%が再開したいとし、14・7%は意向なしと回答。未定は23・1%。

下山の魅力を発信 富士山でONSEN・ガストロノミーウォーキング 

2021年11月10月(水) 配信

ウォーキングを楽しむ参加者

  静岡県・富士山で10月16日(土)、ONSEN・ガストロノミーウォーキングを行った。富士登山はハードルが高いと敬遠されていた人に、富士山5合目から眼下に広がる景色を体感してもらうとともに、年間を通して訪問者が訪れることのできる下山の魅力を発信することが狙い。イベントは観光庁の富士山再訪を見据えた新たな富士山地域周遊観光実証事業として、官公庁の助成を受け実施した。

 富士山「富士宮5合目」をスタートし、6合目の宝永火口縁を経由し、御殿場信吾合目(実質2合目)まで下山するルートを組んだ今回のイベント。国立公園内を進むコースのため通常のイベントのようにガストロノミーポイントを設けることができないため、参加者には静岡県のB級グルメやフルーツサンドを中心とした軽食を用意した。

 眼下に静岡県や海を眺め、状況によっては雲海の上を歩くような壮大な景色のなかを歩く予定だったが当日はあいにくの雨となり、ウォーキングイベントそのものは距離を大幅に短縮。ウォーキング終了後は、御殿場高原ホテル「時之栖」で「お疲れ様ディナー」も実施した。静岡県の食材にこだわったフレンチコースディナーを通じ、静岡県の食材の豊富さをあらためて認識するイベントとなった。

 ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構関係者は、「今回のイベントは観光庁の助成金を利用した企画ということもあり、参加費1000円で充実した内容のイベントをご提供でましたが、来年度以降同じ内容で実施することは難しいです。ですが、静岡県、富士山周辺での開催は食材やお酒といった観点でも地域色が出せることや、なんといっても富士山を眺めながら歩くということから、ONガスウォーキングを実施するうえでは非常に魅力的な土地なので、継続して展開したいという思いが強くなりました」と今回のイベントを振り返った。