世界22市場で訪日意向調査、潜在的市場規模は3.3億人(JNTO)

2022年4月28日(木) 配信 

蔵持京治理事

 日本政府観光局(JNTO、清野智理事長)は4月28日(木)に開いた会見で、往来再開を見据え、世界22市場で行った訪日旅行意向に関する調査の結果を発表した。調査によると、訪日旅行の潜在的な市場規模は推計3億3000万人だった。

 同調査は2021年3~6月、東・東南・南アジア、欧米豪、中東諸国などのビジット・ジャパン重点22市場を対象にオンラインでのアンケートを行った。

 東アジア(中国・韓国・香港・台湾)市場では、日本を旅行先として認知している層の割合が高く、東京、大阪、京都以外の地方エリアを訪問したいと回答した割合が7割以上だった。

 一方、海外旅行先として日本の認知率が低いカナダ、英国、ドイツでは、地方エリア訪問希望の割合が低かった。

 欧米豪、インド、中東市場では、米国を除き、中距離海外旅行実施者の約7割以上が訪日未経験で、日本を旅行先として認知している層の割合と地方エリアの訪問希望率が比例して低かった。

 この結果を受けてJNTOは、「無認知の割合が高い市場では日本自体や日本の観光地を知ってもらい、リピーターが見込める市場では地方エリアをPRするなど、PR内容や方法を使い分けてプロモーションを行っていく」(蔵持京治理事)考えを示した。

持続的な訪日旅行 パンフレット制作

 JNTOは会見同日、サステナブル・ツーリズムの観点から訪日旅行の魅力を伝えるデジタル・パンフレットを公開した。コンセプトは「自然と自然に根ざした文化」とし、50件のサステナブル・トラベルの観光コンテンツを英語で紹介する。

 同パンフレットは、「訪問地ならではの本物の体験を志向し、旅行先にポジティブな影響をもたらしたい旅行者」をターゲットとし、持続可能な観光の旅行先としての日本の認知度向上と、興味関心を高める狙い。

 デジタル・パンフレットはSDGsの観点からデジタル(PDFデータ)のみでの配布とし、JNTOのホームページで公開している。このほか、ニュースレターで海外メディアへ配信し、リアル商談会でも紹介する予定だ。

「EXPLORE DEEPER -Sustainable Travel Experiences in JAPAN-」

JTB、大黒屋と業務提携 中古ブランド品買取で旅行に

2022年4月28日(木)配信

不要なブランド品をJTBトラベルポイントに変換する

 JTB(山北栄二郎社長)はこのほど、大黒屋(小川浩平社長)と業務提携し、顧客の中古ブランド品を旅の思い出に変える「たんす資産かたづけ旅」サービスの概念実証を始めた。大黒屋が引き取った中古ブランド品の査定額相当分に10%を上乗せした数値を、「JTBトラベルポイント」として付与。顧客の家庭に眠る資産で新たな旅行需要の創出につなげる。

 実施期間は4月20日(水)~5月8日(日)。対象者は、JTBステージ会員に該当し、JTBトラベルメンバー登録が完了している東京、神奈川、埼玉、千葉、栃木、群馬、茨城、山梨の在住者とする。

 買い取り方法は3種類。大黒屋から専従者が出向く「訪問買取」や、買取キットに品物を梱包して送る「宅配買取」、首都圏17店舗での「店舗買取」を実施する。

JTB、地域活性化の協定 島根県隠岐のDMOなどと結ぶ

2022年4月28日(木)配信

ローソク島(隠岐の島町)

 JTB(山北栄二郎社長)はこのほど、島根県隠岐郡の地域連携DMOである隠岐ジオパーク推進機構(池田高世偉代表理事)と、構成町村の海士町、西ノ島町、知夫村、隠岐の島町と地域活性化に向けた包括連携協定を結んだ。

 今回の協定により、隠岐諸島の魅力の発掘・発信を通じて、地域の交流人口・関係人口拡大による域内経済の活性化をはかる。イノベーションの共創を通じて、地域の地方創生につながる取り組みを進めていく。具体的には、ジオパークを活用した観光の振興や他産業への波及、人材育成、地域資源の保護と活用の好循環の創出を目指す。

 連携することで、地域の観光計画に資する観光コンテンツの磨き上げを通じたコンテンツの開発や、地域のガイド育成など地域のコンセプトと合わせた受入環境を整備する。このほか、来訪者向けのワンストップサービスの構築のほか、地方創生に資する取り組みに力を入れていく方針だ。

令和トラベル、グアムツアー販売 ハワイ商品の人気受け

2022年4月28日(木) 配信

ツアーのイメージ。約80種のツアーを用意した同社は一例として6万9800円の商品を挙げた

 令和トラべル(篠塚孝哉社長、東京都渋谷区)はこのほど、同社の海外旅行予約アプリ「NEWT(ニュート)」でグアムツアーを売り出した。

 同社は、4月20日に売り出したハワイツアーが1500人を超える人にアクセスされ、最安値の7万9800円の商品が、35秒で販売終了したことから、「今年の大型連休に向けて海外旅行の需要の高まりが期待できる」と判断した。日本から片道約3時間半でアクセスでき、ハワイと同様に日本人に人気の高いビーチリゾートであるため、同ツアーを造成した。

 4月28日現在、約80種のツアーを用意。具体的には、3泊4日間航空会社とホテルおまかせで往復送迎などが付いたプランは、2人1室利用で大人1人6万9800円からとなる。 

 ワクチンを3回接種した人は同日現在、陰性証明書の提示でグアム入国時と日本帰国時に隔離を免除される。グアムは日本や韓国などアジア圏からの旅行者も増え、以前の雰囲気を取り戻しつつあるという。

亀山温泉ホテル、1日2組限定の貸切露天風呂オープン 風に当たり湖を見下ろすロケーション

2022年4月28日(木) 配信

2槽を設けた兎亀の湯。「『ととのう』時間を過ごせる」という。

 千葉県奥房総の亀山湖畔に位置する亀山温泉ホテル(鴇田英将代表)はこのほど、1日2組限定の絶景貸切露天風呂「兎亀(とき)の湯」をオープンした。

 同風呂は笹川渓谷からの涼しい風に当たりながら、亀山湖を見下ろすことができるロケーションに設置。また、41度の四角浴槽(亀)と27度の冷泉掛け流し丸浴槽(兎)で構成される。亀山温泉ホテルは「温冷交代浴で『ととのう』時間を過ごせる」とアピールする。

 炭酸イオンの含まれたお湯は、皮膚の表面を軟化させたり石鹸のように汚れを落とすほか、メタケイ酸が1リットル当たり84.6mg含み、肌の新陳代謝を促進して保湿効果も期待できるという。利用可能な時間は最大11時間とした。

 同ホテルは自然に囲まれた湯宿で周辺レジャー施設への観光拠点をはじめ、温泉での休養や養生、湯治、静養目的などで利用されている。鹿野山自然学校と連携し、ネイチャーガイドツアーや湖畔ヨガなどのアクティビティを用意した新ブランド、亀山温泉リトリートも営業している。

ホテルの外観。周辺レジャー施設への観光拠点をはじめ、温泉での休養などで利用されてきた

 アクセスは JR久留里線上総亀山駅から徒歩12分、圏央道木更津東インターチェンジから車で約30分となる。

旅客輸送の安全対策講じる 検討委員会を設置(国交省)

2022年4月28日(木) 配信

国交省は4月28日、知床遊覧船事故対策検討委員会を設置した

 国交省は4月28日(木)、北海道・知床半島沖で発生した遊覧船の海難事故を受け、小型船舶を使用する旅客輸送における安全対策を検討するため、「知床遊覧船事故対策検討委員会」を設置する。

 岸田文雄首相は同26日(火)、「法的規制のあり方も含め、安全対策について検証・検討を行う検討会を立ち上げ、徹底的な安全対策を講じる」よう国交省に対して指示をした。

 これを受けて国交省では、海事法制や船用工学、船員養成などの有識者から構成される検討委員会を設置。事業参入の際の安全確保に関するチェックの強化や、安全管理規程の実効性の確保、監査・行政処分のあり方、設備要件の強化──などの事項に関する安全対策を検討する。

 5月9日(月)の週に第1回委員会を開く。以後、数回開催を重ねて、中間とりまとめは今夏を予定。

知床遊覧船事故を受け、旅行業団体に安全確保の徹底求める(観光庁)

2022年4月28日(木) 配信 

観光庁はこのほど発生した知床沖遊覧船事故を受け、旅行業団体に安全確保の徹底を求めた

 観光庁は4月25日(月)、北海道・知床半島沖で発生した遊覧船の海難事故を受け、旅行者への安心安全な旅行を提供するため、観光施設の管理者や観光関連サービスの提供者が安全を確保するために適切な対処をするよう、周知徹底を求める文書を観光・旅行業団体に対して通達した。

 日本旅行業協会(髙橋広行会長)と全国旅行業協会(二階俊博会長)に対しては、「企画旅行の計画内容の決定や実施の可否に際して、現地の状況などを十分に踏まえた対応を行う」など、適切に対処するよう、会員に対して確実な周知の徹底を求めた。

 また、日本観光振興協会(山西健一郎会長)には、観光施設の管理者や観光関連サービスの提供者が、自らの施設や提供するサービスについて安全を確保するために適切に対処するよう、同様に会員への周知を要請した。

 同庁が2015年に取りまとめた「旅行業界のための旅行安全マネジメントのすすめ」を参考に、提供するサービスについての安全の確保を求めた。

大分県・西大分エリアと長崎県・波佐見町でON・ガスイベント

2022年4月28日 (木) 配信

 「めぐる」「たべる」「つかる」3つの視点で地域の宝探し――。大分県大分市、西大分エリアで3月20日に行われたイベントと、4月2日(土)、長崎県・波佐見町で行われたONSEN・ガストロノミーイベント。両地域でイベントの紹介する。

西大分エリア


海辺をウォーキング

 大分県大分市・西大分エリアで3月20日、初のONSEN・ガストロノミーツーリズムイベントが行われた。参加者は7グループに分かれ、地元の大学生ガイドによるコース沿いの案内を聞きながら約6㌔のウォーキングを楽しんだ。

地元グルメでおもてなし

 風光明媚なベイエリアである西大分エリア。今回は、宇佐八幡宮の別宮である柞原八幡宮や、明治時代の開港以来栄えた港の面影を残す「生石港町」といった歴史スポット、サルで有名な高崎山自然動物園、別府湾の美しい景観が楽しめる田ノ浦ビーチなどの美しい景勝地を盛り込んだコースを造成。

 最終ポイントとなった昭和初期の赤レンガ倉庫を改装したライブハウスでは、ジャズバンドによる生演奏で参加者を楽しませた。

とり天とにら豚

 ガストロノミーポイントでは、大分のご当地グルメ「とり天」と「にら豚」をキッチンカーで調理し、ランチボックスにしてお酒とともにビーチで楽しめるようにしたほか、同地域に古くから伝わる「志きし餅」、新名物の「かんたん焼き」、市内唯一の酒造蔵「倉光酒造」の日本酒をはじめとする大分の地酒などでもてなした。

 主催者は「西大分は今後も進化を続けていくエリアなので、継続して魅力を発信していきたい。市中心部に近く利便性の高いエリアであることから、ウォーキング後の宿泊や市中心部観光への誘導なども出来ればと考えている」とイベントを振り返った。そして、「ONSEN・ガストロノミーウォーキングそのもののリピーターが多く、他地域と比較した意見もいただけるので、お客様から見た当市の強みや特徴を把握する機会にもなると感じた」と成果を語った。

波佐見町

桜と食を楽しむ参加者

 今回の舞台となった波佐見町の南地区に広がる田園地帯、川棚川沿いは、全長約5㌔に及ぶ桜並木が続く「桜スポット」。今回のイベントはこの桜並木を観光資源として活用するとともに、訪れる観光客への「おもてなし」の磨き上げ、「ミナミ田園」地域の活性化をはかるために企画された。

地元グルメ

 コースは約600本の桜を見ながら、参加者個々のペースで歩けるよう、田んぼや畑に近い道沿いを選択。ガストロノミーポイントは、サプライズポイント含め全10カ所用意し、地酒や特産品であるアスパラガスの網焼き、イノシシを使用したメンチカツ、はさみ寿司、町内産の緑茶やイチゴ、地元高校の家庭科クラブが考案した「煮ごみまんじゅう」などで参加者をもてなした。

 主催者は「ONSENガストロノミーウォーキング」は、多くの人の協賛や協力をいただくことで成り立つイベントとしたうえで、「今回、前回、前々回と参加者の皆様より大変高い評価をいただいておりますが、各団体の協力者の方々や、ボランティアで参加してくださった波佐見高校の皆様など、町全体のホスピタリティをご評価いただいた結果だと感じております」とイベントへの思いを語る。また、今後の展開に関しては「イベントを継続することはもちろんですが、研究を重ね、毎年何か違う部分を生み出しながら、常に変化・前進していきたい」と力を込めた。

〈旬刊旅行新聞4月21日・5月1日合併号コラム〉時間をかけて築く―― お互いを知り尽くした良い関係

2022年4月28日(木) 配信

 子供のころ、父親に町の小さなスポーツ店で、ミズノ製の青い野球グローブを買ってもらった。真新しいグローブは革の匂いがプンプンして、何度もグローブの中に顔をうずめて、大人っぽい匂いを嗅いだ。

 

 しかし、新品のグローブの革は硬い。たとえグローブにボールが入っても上手く収まらず、ポロリと落としてチームに迷惑を掛ける。そうするとグローブを恨めし気に眺め、「今の情けないエラーは自分の技術不足ではなく、この硬くて、思うように動いてくれないグローブのせいなんだ」と仲間や、相手チームのメンバーにもアピールして見せた。

 

 ベンチに座っているときは、グリップ力が上がるようにグローブをお尻の下に敷いて声援を送った。家に帰ると左手にグローブをはめ、右手にボールを持って、何度も繰り返して取りやすい位置にボールが収まるように、一人キャッチボールをしながらテレビを観ていた。その甲斐もあって、グローブは徐々に自分の手のひらや指と連動して動くようになり、ようやく自分愛用のグローブとなった。

 

 

 革製品は自分に馴染んでいくので、長く持てばエージング(経時変化)も楽しめる。

 

 去年、沖縄の古着屋さんで購入した革ジャンパーも、最初は私の体形にフィットしていない部分も若干あったが、着続けているうちに、少しずつ自然な着心地に近づいているのを感じている。先日、この革ジャンパーのポケットに何か小さな紙切れが入っていることに気づいた。よく見ると、ドイツ語で書かれた動物園の入場券の半券だった。おそらくドイツに駐留していたNATO軍の米国兵が沖縄に赴任して、またどこかに行くときに古着として売ったのではないかと、勝手に想像して楽しんでいる。

 

 

 モータージャーナリストの徳大寺有恒氏が、長年自分とともに走ってきた、少しヤレた感じのクルマでドライブする味わい深さを書いていた。

 

 人であろうと、クルマであろうと、最初は「はじめまして」だ。しかし、ハンドルの握りやギアシフト、フットブレーキを踏むタイミングや強度などが「付き合っていく」うちに、少しずつ持ち主はクルマの個性を理解していく。気難しさや、脆さ、逆に、絶対の信頼をおける頼もしさなど理解していく。一方、クルマにも魂があるかのように、持ち主のクセや欠点なども理解しながら順応していくように感じるのはなぜだろうか。

 

 出張などでレンタカーを借りることもあるが、最初はイグニッション・キーの位置や、ブレーキの利き具合、カーナビの操作の仕方、シートの位置など勝手がわからず、ぎこちない運転が続く。

 

 これが長年ともに時間を過ごしたクルマであれば、目を瞑ってもキーの位置やスイッチの操作もできる。この親密な関係性は、他人から見ると羨ましく感じる。バイクと一体感のある乗り方をするライダーを見ると、「お互いを知り尽くした良い関係をこれまでずっと築いてきたのだな」と、いつまでも目を離せなくなる。

 

 

 人と人、あるいはペットともお互いの「心のかたち」を分かり合って、労わり合っているような場面に出会うことがある。それは、行きつけの店で常連面する驕った客の態度とは対極にあり、知性も問われる高度な関係だ。

(編集長・増田 剛)