第37回「100選」表彰式開く、パーティーは盛大に550人

総合1位に輝いた加賀屋の小田真弓女将
総合1位に輝いた加賀屋の小田真弓女将

 旅行新聞新社が主催する「第37回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」および「第32回プロが選ぶ観光・食事・土産物施設100選」「第21回プロが選ぶ優良観光バス30選」の表彰式と祝賀パーティーが1月20日、東京・新宿の京王プラザホテルで開かれ、観光関係者約550人が出席した。

 主催者あいさつで石井貞徳社長は「37回と歴史を刻み、今や、旅行業界のみならず一般の旅行者の方まで発表を待ち望んでくれているイベントに大きく育ったのは、ひとえに皆様のおかげ」と感謝を述べ、「昨年は震災があり非常に厳しい一年だったが、後ろ向きでは何も始まらない。私どもも今年は新しく、ピンクリボンのお宿ネットワークを展開するなど、紙面以外にも動いていく。有意義な情報とイベントで業界を盛り上げていきたい」と力を込めた。

なごやかな雰囲気に包まれたパーティー
なごやかな雰囲気に包まれたパーティー

 32年連続でホテル・旅館の総合1位に輝いた石川県和倉温泉加賀屋の小田真弓女将は「この37年続くすばらしい賞をいただけたのは、現場でお客様に接する従業員全員のおかげだと思っている。時代に即し、お客様一人ひとりに合わせたサービスなどを勉強し、次世代にもつなげていきたい」と喜びを語った。

 「優秀バスガイド」「もてなしの達人」の表彰式は2月24日、東京都港区の世界貿易センタービル内・浜松町東京會舘で午後1時から開く。

No.300 地方中小鉄道の観光利用 - “貴腐イノベーション”で蘇生へ

地方中小鉄道の観光利用
“貴腐イノベーション”で蘇生へ

 地方中小鉄道の大部分は厳しい経営状態にある。しかし、地域が一体となり観光要素を付加した「観光鉄道」として生まれ変わることによって、今後新たな可能性を見出すことができる――。崎本武志氏(LEC東京リーガルマインド大学総合キャリア学部総合キャリア学科専任講師)は、地元の足や都市間輸送の役割としては陳腐化した地方中小鉄道を、「観光鉄道」という"貴腐イノベーション"によって蘇生・再生することで、地域の活性化につながると語る。その真意を探る。

【増田 剛】

<観光鉄道に新たな可能性>

 ――全国の地方中小鉄道各社の現状をどのようにみていますか。

 地方中小鉄道で黒字経営している路線はわずか2割程度と、非常に厳しいものがあります。原因は数多くありますが、主なものとしてはモータリゼーションや地域の過疎化・スプロール化、少子高齢化などが挙げられます。苦しい経営を余儀なくされている地方中小鉄道ですが、地道な経営努力や地方公共団体の効果的な援助、観光要素の導入などにより健闘している事例もあります。

崎本 武志氏

※ 詳細は本紙1450号または日経テレコン21でお読みいただけます。

無個性でいいのか ― 作り手の意地を見たい(2/1付)

 「最近の若いオトコのコは街で走っているクルマを見ても車種の判別もつかないらしい」というようなテレビ番組を見たことがある。「俺たちが若いころは、日産スカイラインや、マツダRX―7には憧れたものだ」と昔を懐かしむ大人のオトコたち。「もっと、夢を見なきゃだめじゃないか。若いオトコのコは不甲斐ない」という歯がゆい思いもあるだろう。

 しかし、実際、今街を走っているクルマを見ても、どこのメーカーの何という名前のクルマだか、さっぱりわからない。そして知りたいという気持すらも起らない。丸っこくて、色もクリーム色だか、はっきりとしない色で、近づいてロゴマークを見るまで区別の仕様がない。本当にこれでいいのだろうか?

 自分たちが若いころは、上の世代が個性的な、オトコ心をくすぐるデザインのクルマを作ってくれた。しかし、自分たちがものづくりをする世代になったときに、どこのメーカーかも判別できないような、気の抜けたクルマしかつくれないで、「最近の若い世代がクルマに関心がない」もないだろう。どこかのメーカーが作って売れたものを真似てばかりいるから、次第に似たようなものになり、無個性化してくる。ものづくりは細部にこそ魂が宿るものなのに、細部があまりに粗末なデザインばかりである。

 これは、多くの産業や業種にも当てはまる。旅行会社のツアーだってそうだろう。「若者が旅行に行かない」と業界全体で頭を悩ましているが、どこかの旅行会社が当たったツアーを「一時的に売れる」という理由だけで、そのまま安易に真似したことが、やがてどこの旅行会社の主催なのかわからない類似ツアーばかりが溢れるようになった。哀しいことである。

 旅館だって同じである。どこかの宿がリニューアルしてお客が入ったからといって、似たようなデザインを宿に持ち込んでは、自分たちのDNAを薄めてしまうだけではないか。どうして「絶対に、ほかの宿と似たような宿にしない」という決意が湧き出てこないのだろうか。

 洋服だってそうである。ユニクロのような大量販売品が売れると、似たようなデザインのものが横溢する。ファッションの独自性が次第に失われつつある。売れるものばかりを追わず、“作り手の意地”を見たいものだ。

(編集長・増田 剛) 

“ご当地イズム”高まる、12年のトレンド予測

沢登次彦氏
沢登次彦氏

 リクルートは1月10日、「2012年のトレンド予測」発表会を行い、旅行・住宅・日常消費・美容・進学・就職分野の12年の傾向について発表。メディア関係者100人以上が集まった。旅行分野ではじゃらんリサーチセンターの沢登次彦センター長が登壇し、2012年のキーワードとして「ご当地イズム」の高まりをあげた。

 震災をきっかけに「日本を誇る」「リアリティを重視する」消費が活性化。各地域の個性に注目が集まり、旅行はより「地域生活」への関心が高まると予測した。背景にあるのは震災後の価値観の変化。生活のなかで力を入れたいことに対して「人に役立つ行動をする生活」「物事の本質や原点に目を向ける生活」「物事のリアリティや実体験を重視する生活」と答える人の割合が増え、本質や原点を大切にする傾向が強まった。

 「温泉や露天風呂」「宿でのんびり過ごす」などが主流だった旅行目的では「地元の美味しいものを食べる」がトップになり、ご当地を体感する旅が人気の傾向になっている。消費者は、街コンやご当地アイドル決定戦、ゆるキャラグランプリなど「ご当地イベント」に興味関心を示し、地域側は気軽な「ご当地体験」を売りにした観光商品開発の加速が予測される。

 ご当地イズムの事例には、富山県の朝日海岸にある地元民の遊び場ヒスイ海岸で天然ヒスイ石拾いと地元漁師飯の「たら汁」を食べるプランや、青森県金木町で毛布1枚で吹雪を体験するツアー、三重県鳥羽市で海女漁の話を聞きながら地元で捕れた魚介類を食べる海女小屋体験などを紹介。いずれも大盛況だったという。

世界第2位の741件、国際会議開催件数

 国際団体連合(UIA)が算出した2010年の国際会議開催件数によると、日本は741件で、アメリカの936件に次ぐ世界第2位を記録した。

 日本のこれまでの過去最高記録は世界第4位となった08年の575件だったが、10年は大幅に増加。件数飛躍の要因は(1)アジアの学会の成長に伴うアジア地域の会議需要の増加(2)APEC、COP10の関連会議開催という特需需要の発生(3)10年を「JAPAN MICE YEAR」と位置づけ、各種の誘致活動による国内会議の外国人参加者数の増加――。などが挙げられる。

 06年の観光立国推進基本計画で、日本の国際会議開催件数の目標を05年の168件(旧基準)から11年には252件(旧基準)と定めたが、10年の741件を旧基準に当てはめ再集計すると、目標値を上回る309件となり、目標を1年前倒しで達成した。

 都市別では、シンガポールが1位で725件。東京は7位で190件。

震災後、若年層に動き、12年の訪日客790万人を予想

12年の動向を予想する黒須宏志氏
12年の動向を予想する
黒須宏志氏

 2011年12月19日に開かれた財団法人日本交通公社主催の「第21回旅行動向シンポジウム」で、主任研究員の黒須宏志氏が旅行マーケットの最新動向と2012年の展望について講演を行った。12年の海外旅行者数は前年比2・7%増の1740万人、訪日外客数は同26・5%増の790万人、国内の観光性の旅行者数は同2―3%増と予測した。

 2011年は震災の影響を受けつつも、国内宿泊旅行のボリューム推移をみると、統計の取れた4―9月中、6―8月で前年を上回るなど、「旅行需要は増えている」と総括。過去1年間の宿泊旅行参加率は10年12月調査の64%に対し、11年11月調査で71%と増加。過去1年間の宿泊旅行回数では10年12月調査の2・5回から、11年11月調査の2・7回と微増した。

 海外旅行をみると、9・11やSARS、リーマンショックなどと比べると、東日本大震災の影響は少なく、「むしろプラスに推移している」とした。また、昨今進む予約のオンライン化が2011年は加速しているという。予約チャンネルの変化では近年、宿泊施設への電話などは減少し、旅行会社のホームページが加速度的に増加。旅行会社の店頭や電話、宿泊施設のWebサイトは横ばいとなっている。

 近年いわれる若年層の旅行離れについては、震災後の変化をあげ新しい動きを紹介。震災後6カ月の出国率をみると、20代と30代前半で高い伸びを示し、「若年層は、お金がないが、旅行のモチベーション自体は高い」と語った。一方、リーマンショック後のトレンドであったシニア層はマイナスで推移した。また、アンケート結果から若年層の意識の変化がみられ、「自分磨き」など旅行の意味の変化を指摘。2012年も、一過性の消費から「蓄積」になるような消費に興味が移り、旅行を「自分の経験を積み増していくような営み」として再発見しようとする動きが出てくると予想した。

 2012年の海外旅行者数は前年比2・7%増の1740万と予測。燃油サーチャー高騰の影響で近場優位の傾向、欧州ではFITシフトの継続の見通し。

 国内旅行は観光性の旅行者数は前年比2―3%増と予測。「実質重視」のマインドが強まり消費単価は下落傾向になるという。そのほか、出発2―3日以内の間際予約、出発2週間以内のオンライン予約が増加する傾向にあり、宿を選ぶ基準では「リピーターだから」という理由が増加傾向にあるという。

 訪日外客数は前年比26・5%増の790万人と予測。11年に比べ飛躍的に回復するも、震災前の水準までの回復は難しいという。

長崎―上海、2月29日、運航開始、HTBクルーズ

長崎ー上海を結ぶオーシャンローズ号
長崎ー上海を結ぶオーシャンローズ号

 長崎県佐世保市のハウステンボスのグループ会社・HTBクルーズ(山本宰司社長)は昨年12月27日、長崎―上海航路に運航する低価格旅客船の第1便を長崎発が2月29日、上海発が3月3日と発表した。出航時間は長崎が午後6時、上海午前10時。

 29日(長崎発)から3月14日(同)は週1往復、16日(上海発)以降は週2往復運航する。ただ、出発曜日、時間が固定される定型運航方式はとらない。

 片道運賃(燃油サーチャージ料金、国際港湾利用料金別)は1人9800円で、14日前の早割りは7800円。プレミアム座席利用は3千円の追加が必要。個室は窓なしのインサイドから窓ありのスイートまで5タイプあり、料金は1室1万5千円―6万4千円。

 レストランでの食事は朝、昼、夕の3食セットをエコノミー2千円、スタンダード5千円、ハイグレード1万円の3種類用意。

 なお予約は1月6日から受け付けている。

家族の時間づくりプロジェクト、観光庁が、参加市町区村を公募

  観光庁は、休暇取得・分散化促進の取り組みの一環として、2010年度から進める家族の時間づくりプロジェクトの2012年度実証事業に参加する市町区村を公募している。

 10年度は全国9地域、11年度は全国10地域で実施。地域単位で、有給休暇の取得による大人の休暇と、学校休業日の柔軟な設定による子供の休暇とのマッチングをはかり、地域ぐるみの家族時間の創出を目指す。応募資格は、学校休業日が設定可能で、それにより3日以上の連続した休日を創設可能な小中学校が1校以上あること。公募締切は1月27日。選定後、応募の市町区村に連絡するほか、同庁ホームページで公表する。

19―22歳のリフト無料、福島県のスキー場で

  福島県は県下のスキー場で今シーズン、19歳から22歳までのリフト代を無料にするキャンペーン「雪マジ!ふくしま」を実施している。冬季の緊急対策事業として、若年者へのPRに力を入れる。

 3月31日まで、県内25のスキー場のうち、猪苗代スキー場やあだたら高原スキー場など16のゲレンデで実施している。リクルートじゃらんが全国で実施している19歳のリフト代無料化キャンペーン「雪マジ!19」(福島県では20のスキー場が参加)とも効果的に連携をはかりながら、取り組む。

 現地で年齢が確認できる免許証や学生証など、身分証明書を提示するとリフト券がもらえる。詳細はHP(http://www.tif.ne.jp/19-22free/)。

原発の賠償地域拡大、千葉の16市町村も対象に

 東京電力は1月10日、福島第一原子力発電所の事故による観光業の風評被害の損害賠償対象に、千葉県の太平洋沿岸16市町村を加えることを決め、請求の受付を始めた。政府の原子力損害賠償紛争審査会が示した賠償対象4県以外への拡大は今回が初めてとなる。

 これまで東電は、観光業の風評被害の賠償対象を、昨年8月の原子力損害賠償紛争審査会の中間指針に則り、福島・栃木・茨城・群馬の4県に限定。その他の地域は訪日外国人のキャンセル分についてのみ賠償するとしていた。

 これに対し、千葉県内の観光業者は、風評被害を受けたとして損害賠償を要求。12月28日に千葉市内で開かれた県と東電、観光業者による検討会議を経て、今回の賠償対象地域拡大に至った。当初、損害賠償を求めていたのは千葉県内全54市町村の観光業者とみられるが、今回認められたのは太平洋沿岸の16市町村のみ。賠償基準は先の4県と同じになる。

 損害賠償に関する東電の問い合わせ先は以下の通り。福島原子力補償相談室 電話:0120(926)404。受付時間は午前9時―午後9時まで。

 賠償対象拡大の千葉県太平洋岸16市町村は次の通り。

 銚子市、旭市、匝瑳市、横芝光町、山武市、九十九里町、大網白里町、白子町、長生村、一宮町、いすみ市、御宿町、勝浦市、鴨川市、南房総市、館山市