熊本でボランティア、330人が瓦礫撤去(JATA)

撤去作業中のようす
撤去作業中のようす

 日本旅行業協会(JATA)は5月28日に、「JATA熊本地震ボランティア活動」を実施し、九州地方をはじめ全国から会員会社の社員ら、約330人が参加した。参加者らは、個人宅庭での瓦礫撤去や、室内の清掃などに従事した。

 参加者からは「現地に足を運んでよかった。外観は無事のようだが、室内は大変な状況になっているお宅も多い。テレビを通しては知ることができない被災地の実情に触れることができた」といった声が多くあった。

 全7チームで臨んだ今回、6チームが熊本市災害ボランティアセンター東区サテライトに、1チームが御船町災害ボランティアセンターに到着。参加者らは、ボランティアセンターに寄せられた、個人の要望にもとづいて、作業にあたった。

【講演会 たびすけ代表 西谷雷佐氏】点と点を紡ぎ物語を編む、着地型商品で地域活性化

西谷雷佐氏
西谷雷佐氏

 「たびすけ」(青森県弘前市)代表の西谷雷佐氏はこのほど、「あるものを活かして地域発信!」と題した講演会を、ささや(長野県上田市)で行った。主催は、長野県旅館ホテル組合会青年部会。西谷氏は暮らしぶりを生かした着地型の商品化、物語、感動などをキーワードに講演を進め、「暮らしぶりに気づき、点と点を紡ぎ物語を編むことで、地域活性化の原動力となるコンテンツ造成は可能だ」と強調した。

 「たびすけ」は、青森県の活性化を大きな目標に、着地型観光商品の造成に取り組む旅行会社。

 話題となったツアーの1つ「弘前りんごツーリズムin winter」は、地域の暮らしぶりに着目。地元で人気なレストランで美味しい焼きリンゴを食する前に、寒いなか、客は生産者指導のもと、畑での剪定作業を体験する。客は、作業を通じて生産者と交流をはかり、リンゴが育まれるまでの物語に触れる。その後、地元のレストランに赴き甘い焼きリンゴで疲れを癒す。

 青森のリンゴを食したことのある人は多いが、それを育てた生産者の想いや地元のシェフが作る料理に触れ、味わうことは稀だろう。リンゴという大きな文脈のなか、モノ・生産者・加工者という点が結ばれることで、地元住民にとっては単なる日常であったはずの暮らしぶりが、観光客に感動を与えうる物語となる。

 物語を編むことで、地域の暮らしぶりはお金を産む商品と化す。まさに“あるものを活かして”の地域発信といえる。

 企画力が評価された同ツアー。「東北12の物語」(観光庁発行)にも選ばれ、観光地域づくりの参考とされている。

【謝 谷楓】

新会長に鶴田氏、事務局は大分県に移転(日本旅館協会九州支部総会)

通常総会のようす
通常総会のようす
鶴田浩一郎新会長
鶴田浩一郎新会長

 日本旅館協会九州支部連合会(中原国男会長)の2016年度通常総会が5月25日、福岡市内のホテルで開かれ、2015年度事業、決算報告を了承、16年度事業計画・予算案を決定した。

 役員改選では退任する中原会長の後任に鶴田浩一郎氏(ホテルニューツルタ)を選出。ほかに副会長、理事、監事9人が交代した。

 中原会長は「2005年の国観連九州支部長就任から、12年に日本旅館協会九州支部連合会会長となり計11年間務めた」と振り返り、「12年から2年間は大変だったが、14年に針谷本部会長が誕生し、さまざまな改革を断行され、下部組織として活動ができるようになった」と感謝を述べた。 

 同日は針谷了会長から本部報告も行われた。民泊問題では、フランスホテル協会が発表した、パリのホテルが11万ベッドに対し、民泊が22万8千ベッドに上り、観光客が増加してもホテル稼働率が下がった、という実態を報告。「ベルギーも7月から厳しく規制する。世界的に先進国は民泊規制の方向で、緩和に動く日本はナンセンス」と懸念を表明した。

 支部報告事項では、会員5人を満たした沖縄県支部の存続、熊本地震支援策などの本部提出議題など9項目を報告した。

 また、会長交代で事務局を鹿児島県から、大分県に移転することも決定。7月には移転先を決定する。事業計画では6月6―8日まで福岡市で開催の福岡ギフトショーへのブース参加など決定した。

 なお、総会前には全国の連合会から熊本地震に係る義援金200万円が同連合会に贈られた。また、女将、永年勤続優良従業員会長表彰も行われた。

売上高が過去最高に、北陸地区の販売額大幅増(JTB連結)

髙橋広行社長
髙橋広行社長

 JTB(髙橋広行社長)は5月27日、2015年度通期(15年4月―16年3月)連結決算を発表した。売上高は前年度比1・5%増の1兆3437億円となり過去最高を記録した。営業利益は同45・1%増の161億4700万円、経常利益は同19・6%増の223億5300万円、当期純利益は、前期にサンルート売却にともなう売却益66億円が発生しているため、同14・7%減の125億7900万円となった。

 旅行事業を取り巻く市場環境は、3月の北陸新幹線の開業や、6年ぶりとなる9月の大型連休などの影響により、国内個人旅行・法人営業が好調に推移した。その一方で、海外旅行は円安基調や国際情勢不安などの影響から、3年連続で低調となった。

 国内旅行部門の売上高は同5・0%増の6046億5100万円。個人・グループ旅行は、商品改革を進めてきた国内パッケージツアー「エースJTB」の15年度取扱額が過去最高となった。早期申し込みの促進や、着地型コンテンツを組み込んだ商品の販売が取扱額の増加に寄与したとみられる。方面別では北陸・関西・沖縄が引き続き好調に推移しており、とくに新幹線開業効果が根強い北陸地域で、下期に「日本の旬 北陸」キャンペーンなどを行った結果、北陸地区の販売額が大幅に増加した。法人営業は、企業のインセンティブツアーやMICE、職場旅行の需要拡大により好調に推移した。

 海外旅行の売上高は同9・0%減の4804億1400万円。個人・グループ旅行は、円安や国際情勢不安の影響により、引き続き低調となっている。一方でそのなかでも比較的需要が堅調なFIT市場で、フライトやホテルを自由に組み合わせることができるパッケージツアー「エアホ」の設定数を大幅に増加。その結果、FIT市場は前年並みに推移した。

 訪日旅行の売上高は同39・6%増の668億円。訪日個人旅行者向けのWeb販売の強化や、訪日個人旅行者向けと、国内向けの宿泊仕入を一元化し商品を拡大。その結果、前期を上回り好調に推移した。

 同日の記者発表に出席した髙橋社長は今年度からスタートする中期経営計画「躍進2018計画」について、「仕入を制する者が、営業を制する」とし、訪日観光客の増加などにともない仕入環境が変化しているなかで、買取やチャーターを含めリスクテイク型の仕入れを強化していくと報告。また、東北に訪日観光客を誘客するため、紅葉や雪など魅力的な観光素材のPRも行っていく。

 16年度の見通しは、売上高が同2・7%増の1兆3800億円、営業利益が同23・9%増の200億円、純利益が同14・1%減の108億円。

窪田会長が続投、会員数は50社に(長野県観光協力会)

あいさつする窪田裕一会長
あいさつする窪田裕一会長

 長野県内の宿泊や観光施設、交通機関、観光協会、総合案内所などで構成する長野県観光協力会(窪田裕一会長)は5月25日、東京・上野で2016年度定期総会を開き、前年度の事業報告、収支決算報告、会計監査報告に引き続き、役員改選、年2回以上の例会や現地視察会の開催などの事業計画案および収支予算案などを承認した。

 16年度の事業計画は(1)勉強会を含む会員例会の開催と支援(2)次年度有益な素材となり得る観光地や施設の見学研修会の開催と支援(3)会規約による年2回以上の例会と年1回の総会の開催(4)その他、会員相互に有益な情報発信・情報収集事業――が挙げられた。

 新年度の役員改選では現体制の窪田裕一会長(東北信予約センター)以下、副会長(斑尾高原ホテル、浅間企画、中央アルプス観光、松代宮坂酒造店、千曲バス)、会計監査(アルピコ交通)、参与(銀座NAGANO)、顧問(旅行新聞新社)すべての役員がそのまま継続となった。

 新規入会会員は観光施設の「富士見パノラマリゾート(富士見町)」と「旬花咲く黒姫高原(信濃町)」、交通運輸の「スターバス(長野市)」の計3社。交通運輸の「長野交通」と「飯綱観光バス」が退会したため、会員数は50社になった。

No.432 全旅連・北原会長インタビュー、震災支援・民泊・耐震 方向性問う

全旅連・北原会長インタビュー
震災支援・民泊・耐震 方向性問う

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(北原茂樹会長)の全国大会が6月8日、東京・新宿の京王プラザホテルで開かれる。4月に発生した熊本地震の被災者受け入れなどの支援や風評被害対策、新ルール策定に向け動き始めた民泊問題や、耐震問題などさまざまな課題が挙げられる。これら課題の早期解決に向け、今後全旅連としてどのように取り組んでいくのか、方向性も含め北原会長に伺った。

【聞き手=増田 剛編集長、構成=松本 彩】

 
 
震災支援
 ――熊本地震での被災者受け入れや風評被害対策。今後の需要回復に向け、全旅連としての支援の方向性を教えてください。

 熊本・大分で実際に被災された宿泊施設以外は、営業できる状況にありますので、受入体制を強化して無料宿泊というかたちで受け入れを行っていきたいと思っています。今回、国からの補助も付けていただいて「1泊3食7千円(外税)」という設定にしていただきましたので、あとは地方の自治体の補助も合わせて検討していきたいと考えています。

 ただ、実際にゴールデンウイーク中などは、まだ受入体制が整っておらず、被災者の方が他県に移動されるという状況に至っていなくて、熊本でも災害弱者の方が優先になっていたので、受入施設に被災者の方が訪れるケースは少なかったです。現在少しずつ増えては来ていますが、まだ余震が続いている状況ですので、なかなか自分の家を離れて旅館に泊まってゆっくりしようという段階に至っていないのが現状です。

 今後ある程度余震が落ち着き、いろいろなものが復旧し、仮設住宅の建設が始まるなかで、到底仮設住宅だけではまかなえない状態になります。我われは、中越地震のときに延べ22万人泊、東日本大震災のときに延べ550万人泊を受け入れましたので、今回の地震では中越地震のときを上回る数になると予測し、現在九州7県の理事長たちがしっかりと体制を整えています。

 いずれにしても、九州全県において宿泊のキャンセルが相次いでいて、すでに55万人分程度のキャンセルが発生しています。キャンセルだけではなく、新規に発生するべき予約が「九州は止めておこう」という状態になってきており、いわゆる“風評被害”が九州7県の旅館にとって、実際に被災された旅館以外にも影響を及ぼしています。…

 

※ 詳細は本紙1629号または6月7日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

旅館の稼働率37.8% ― 多様な宿泊スタイルに柔軟な対応も

 観光白書の16年度版を見ると、15年の年間外国人の延べ宿泊者数は、前年比48・1%増の6637万人泊と、日本における延べ宿泊者数全体5億545万人泊の13・1%を占めたことになる。

 また、14年から15年にかけての延べ宿泊者数の推移では、3大都市圏は2907万人泊から4118万人泊へ41・6%増加。一方、地方部は1575万人泊から2519万人泊へ59・9%増加し、3大都市圏の伸び率を大きく上回った。

 宿泊施設の客室稼働率の全国平均は60・5%。東京都や大阪府は80%を超えたが、長野県は35・7%で最も低く、50%を割ったのは12県もあり、全国的に見れば、客室はかなり余っていることがわかる。

 宿泊施設のタイプ別の客室稼働率は、シティホテルは79・9%と約8割、ビジネスホテルも75・1%と高水準。リゾートホテルは57・3%で、旅館は37・8%と厳しい。また、外国人延べ宿泊者の割合を宿泊施設タイプ別でみると、シティホテルが30・8%と最も多く、約3割を占めた。次いでリゾートホテルが13・1%、ビジネスホテルが11・0%と続き、旅館は6・8%にすぎない。

 一方で、注視すべきデータも表れている。日本百貨店協会が発表した16年4月の外国人観光客の総売上高は前年同月比9・3%減の約180億円と、39カ月ぶりに前年を下回った。それも1割近くの減少だ。3年以上続いた“爆買い”現象も、終わりを告げるときが来たのかもしれない。

 これら数値も踏まえながら、政府は規制改革の一環として、民泊を解禁する。ここに民泊というカテゴリーが加わると、シティホテルやビジネスホテル、旅館などの勢力地図に少なからず変化が生まれるだろう。「都市部で食い合い、地方部にはあまり影響を与えない」という考え方もあれば、「現状でも低い旅館の稼働率がプラスに働く要素はない」という捉え方もあるかもしれない。

 だが、民泊はもはや宿泊業界だけの問題ではない。空き部屋がある場合、定期家賃収入よりも、民泊として部屋を提供した方が収益が見込める場合、家主はどちらを選ぶだろうか。近隣とのトラブルがさらに増え、家賃の上昇などさまざまな影響も考えられる。

 ホームセキュリティのALSOK(アルソック)は、民泊を始めるオーナーや事業者に対して、民泊物件の運用に必要となる消防設備の設置や、火災の遠隔監視など防災・防犯対策、応急救護に必要なAEDの販売・管理、清掃業務などをワンストップで提供する「民泊運営サポートソリューション」サービスの提供を始めた。

 規制緩和とは、こういうことだ。新しいビジネスが瞬時に生まれ、空白地帯や隙間部分に液体が忍び込むように広まっていく。

 新しいビジネスの土壌では、旅館も革新が必要だ。シティホテルは平日のビジネス出張が見込めるのに対し、休日前しか客室が埋まらない温泉地の旅館は、雇用の面でも厳しい。

 平日も1泊2食での対応が主体では、今後も稼働率の上昇は期待できない。なぜ、旅館の稼働率が低いのかを真剣に考えなければならない。長期滞在など、多種多様な宿泊スタイルに対応できる柔軟さも必要ではないか。

(編集長・増田 剛)

年間180日以下は妥当か? 民泊サービス 提供日数の上限設定

11回検討会のようす
11回検討会のようす

 提供日数の規制は必要か――。厚生労働省と観光庁は5月13日に10回目、23日に11回目の「民泊サービス」のあり方に関する検討会を開いた。11回目の検討会では、5月19日の規制改革会議において、年間提供日数の上限が「半年未満(180日以下)」の範囲内で適切な日数を設定する方針が示されたことを受け、「提供日数制限を設けると、ビジネスとして成り立たない」、「ビジネスとして採算を取るならば、簡易宿所の営業許可を取るべき」など意見が対立した。依然として無許可民泊が後を絶たず、状況を把握できていないなかで、果たして年間提供日数の上限という〝お約束〟は守られるのだろうか。
【松本 彩】

 一定の要件における、提供日数の制限については、これまでの検討会の中でも議論が交わされており、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連、北原茂樹会長)からは、10回目の検討会の際に「民泊サービスの規制設計案に関する意見書」の中で、「30日を基本に1日当たりの宿泊人員についても条件を設けるべき」との要望が出されていた。

 同日の検討会では、北原会長から、5月9日に京都市が発表した民泊に関する実態調査の結果が報告され、市内の2702民泊施設のうち、少なくとも7割の1847施設が無許可営業を行っていることが明らかとなった。この結果を踏まえたうえで北原会長は「提供日数は何日だったら妥当なのかという議論については、事業者が提供日数を守っているかどうかを、どのように検証していくのか具体的に明記していかない限り、前には進まない」と主張した。

 規制改革会議の4日後に行われた11回検討会では、規制改革会議で示された提供日数「半年未満(180日以下)」について、構成員から「管理しきれないのではないか」、「家主居住型での180日の日数制限は妥当だが、家主不在型で日数制限となるとできなくなる」など意見が挙げられた。北原会長は、今回示された提供日数について「180日は完全にプロの領域」と述べ、改めて提供日数などを管理するうえでの、検証制度の必要性について訴えた。

 事務局からの回答では提供日数については、180日以下という方針をもとに、今後検討を進めていく予定だ。

国内宿泊旅行9.8%増、外国人宿泊者数13%に(16年度版観光白書)

 国土交通省がこのほどまとめた「2016年版観光白書」(15年度観光の状況・16年度観光施策)によると、15年の国民1人当たりの国内宿泊観光旅行回数は、前年比9・8%増の1・4回(暫定値)、宿泊数は同12・3%増の2・3泊(同)だった。今回の白書では「成長する世界の旅行市場を我が国の活力に~『世界が訪れたくなる日本』への飛躍~」をテーマに、強いインバウンド需要を日本の成長戦略や地方創生の礎にすることが重要であると捉え、諸外国の事例を参考にしながら、日本が目指すべき方向性について触れている。

 観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、国内宿泊旅行延べ人数は、同6・5%増の3億1673万人となった。増加の要因として、14年の消費税率引き上げによる落ち込みの反動増に加え、3月に開業した北陸新幹線や、9月のシルバーウイークなどによる影響が大きいとみられる。

 15年の延べ宿泊者数は同6・7%増の5億545万人泊と、初めて5億人泊を突破。そのうち日本人延べ宿泊者数は同2・4%増の4億3908万人泊、外国人延べ宿泊者数は同48・1%増の6637万人泊となり、延べ宿泊者数全体に占める外国人宿泊者数の割合が13・1%となり、初めて1割を超えた。また、15年の客室稼働率は、全国で60・5%と調査開始以来、過去最高を記録。大阪府の稼働率が85・2%と高く、現状として予約が取りにくい状態が続いている。

 観光庁の堀真之助調査室長は、日本が世界各国から訪れてもらえる観光地になるためのカギとして、「平均滞在日数を増やしていく必要がある」とコメント。また、「平均滞在日数を伸ばすためには、遠方から来てもらうことが重要」とし、今後はアメリカやヨーロッパなど遠方からの外国人旅行者の取り込みを目指す。

 なお、16年度の主な施策として、3月に取りまとめられた観光ビジョンにおいて打ち出された“3つの視点”(1)観光資源の魅力を極め、「地方創生」の礎に(2)観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹産業に(3)すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境に――を挙げ、主に20年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた環境整備や、急増するインバウンドへの対策などに取り組んでいく。

今年は“ジャンプ”の年、140カ国、1500コマ予定

田川委員長(左)と見並副委員長
田川委員長(左)と見並副委員長

ツーリズムEXPO、9月22―25日開催

 日本観光振興協会と日本旅行業協会(JATA)は5月25日、東京都内で会見を開き、9月22―25日まで東京ビッグサイトで開く「ツーリズムEXPOジャパン2016」の概要を発表した。3年目の今年は “ジャンプ”の年と位置付け、世界最大級の観光イベントとしての事業基盤の確立と次ステージへの飛躍を目指す。実行委員会の田川博己委員長(JATA会長)は今回のキャッチコピー「旅は変える。人生を。世界を。」に触れ、「ツーリズム産業が人を動かし、地域を動かし、未来を変える原動力になっていきたい」と想いを語った。

 田川委員長はオリンピックイヤーの今年、20年の東京五輪に向けて日本への注目が本格化することを踏まえ、今回の開催意義を「『観光立国日本』から『観光大国日本』への道を拓く1ページになる」と述べた。ポイントとして(1)国内、海外、訪日の三位一体型の完成型を目指す(2)アジアでの旗艦イベントとして明確なポジションを確立する(3)ツーリズムレガシーの新しい芽を出す――の3点を挙げ、これを軸にそれぞれの事業を展開していくとした。

 また、見並陽一副委員長(日本観光振興協会理事長)は、「EXPOが世界の観光に関わる人々の共通課題や目的を模索、確認する場となるよう、今回はジャンプの年として大きな柱を確立したい」と意気込んだ。

 EXPOの中心事業の1つ、国際会議は昨年までの「国際観光フォーラム」から「ツーリズムEXPOジャパンフォーラム」と名称を統一。今年は「輝き続ける日本、そして世界―インバウンド4千万人時代の交流大国を目指して」をテーマに、基調講演やシンポジウムを開く。国内観光シンポジウムは「ガストロノミーツーリズムで地域を元気に」と題し、国内観光にも世界の潮流を取り入れるため、海外からの登壇者を迎える。

 出展数1500コマを予定する展示会は、国内から47都道府県、海外は140カ国・地域以上が参加する見込み。今回は国内の震災被災地やテロで落ち込んだフランスなど、需要回復のための取り組みを展開する。一般日には趣味嗜好性からの観光促進を狙い、「スノースポーツ&スノーリゾート」「道の駅」などの企画を予定する。また、交流会「JAPAN NIGHT」は、観光大国日本を象徴するイベントとして五街道の拠点となる「日本橋」で行う。

 なお、今年の入場者数目標は18万5千人。

 一方、来年以降のEXPOについて田川委員長は2年ごとに事業設計をする方針を示し、今後、日本が観光大国を目指すうえで「EXPOはツーリズム産業だけのものではなく、他産業との連携を広げていかなくてはならない」と言及。そのなかで、商談会はよりBtoBを強化していくことが必要不可欠だとした。