「提言!これからの日本観光」「世界観光倫理憲章」と「産業観光」

2017年11月11日(土) 配信

産業観光の取組みが各地で進む

 2005年、日本で万国博(愛・地球博)が開催されたのを機に日本の得意技であり、また万国博のテーマのひとつである産業技術“ものづくりのわざ”を観光資源とした「産業観光」が各地で進み始めた。

 自治体観光団体や経済団体などが、その主導者を務め、筆者も微力ながらそのお手伝いをすることになった。しかし、取り組んでみて思い知らされたのは観光に対して無関心な人々があまりにも多いこと、また観光について偏見誤解を持っている人も少なくないことであった。いわば観光の社会的地位が低いことを痛感させられた。「ものづくりに集中しているから観光などやっていられない」という財界人さえ少なくなかった。ある経済団体の幹部からは、「この団体は観光に協力できる構造にはなっていない…」とまで極言されたほどである。要するに観光は「ただの遊び」にすぎず、生産の対極にある単なる「消費行動」だと誤解する人があまりにも多く、失望した思い出がある。しかし、国がそのころから「観光立国」を国策の一つに掲げ、積極的な取り組みを呼び掛け始めた。そしてそれを受けて地方自治体などの公的機関が観光ビジョンを作り、そのなかで「産業観光」を取り上げるところも出てきた。「産業観光」も何とかニューツーリズムのひとつの分野として立ち上がることができ、地域、温度差はあるものの、地域の観光の中核として定着するところもみられるようになった。

 ところで、先日開催された「ツーリズムEXPOジャパン」の席上、この「産業観光」が「ジャパンツーリズムアワード」の「UNWTO部門賞」を受賞した。日本観光振興協会(山口範雄会長)の全国産業観光推進協議会による「産業観光」の推進が表彰を受けたのである。この賞は「国連世界観光機関」(UNWTO)が発出した世界の観光開発及び発展の規範ともいうべき「世界観光倫理憲章」の趣旨に沿った観光を進めている団体にEXPO組織委員会から贈られる賞である。「倫理憲章」は「観光は地域社会に密着した行動であるとともにその利益が国民経済のなかで共有され持続可能な世界観光の秩序の実現をはかるべき」とその理念を前文に掲げている。

 今回の「産業観光」の受賞は「産業観光」が地域密着型(着地型)の観光として出発したこと、地域社会にその効果を広く還元しつつ持続的活動としての展開など評価されたものと言えよう。「産業観光」が観光の国際規範である「世界倫理憲章」の趣旨に沿う観光であることが評価され、いわば国際的に認知されたことは関係者にとって感慨深い。一方、持続的観光として続けられてきたことへの評価も受賞理由の一つであったことは関係者にとって今後の期待が示されたとして、重く受け止めなければならない。「産業観光」への評価を喜びつつもこのような重い期待に応えるべく関係者はその決意を、受賞を機に新たにしなければならないと考えている。

コラムニスト紹介

須田 寛
日本商工会議所観光委員会共同委員長
須田 寬 氏
 
 
 
 
 

 

都心で阿波踊り 美馬市、藍染や和傘など魅力ぎっしりPR

2017年11月10日(金)配信

踊り方をレクチャー。参加者全員で青踊りを楽しんだ

藍染、和傘、豊かな農産物・・・。徳島県美馬市は11月9日(木)、パソナトラベルハブミックス(東京都千代田区)で同市の魅力を凝縮したイベントを開催。阿波踊り体験やそば米汁などの試食、伝統工芸品の紹介などを通じ、参加者を魅了した。

 美馬市は今年度からパソナと協力し、観光客の滞在時間を延ばす取り組みを地方創生事業としてスタート。「美馬市の生活を体験してもらう」をコンセプトに、伝統工芸や農林業と観光の結びつけに取り組んでいる。会場では和傘職人や竹笛職人による解説や実演を通じ、伝統工芸の魅力を紹介。市内の工房では実際に藍染の染付体験や和傘製作を楽しむこともでき、藍染体験には、外国人旅行者も訪れている。農林分野では、穴吹町を市一押しエリアとして紹介。収穫体験や農家レストラン、農家民宿を利用し、採れたて新鮮な農産物を味わう体験をPR。会場では、特産の柚子やブルーベリー、そばなどの味覚を参加者に振る舞った。

笛師真鍋政利氏が演奏を披露

東京都とニューヨーク市が相互観光PRパートナーシップ締結、両都市で交通広告CPなど展開

2017年11月10日(金) 配信

東京都とニューヨーク市の間で、観光分野では初のパートナーシップ締結に

東京都と米国・ニューヨーク市は2017年11月10日(金)、双方向の旅行需要の促進を目的とした、「東京都&ニューヨーク市 相互観光PRパートナーシップ」を締結した。世界有数の観光都市である両都市が、観光分野でパートナーシップを締結するのは初となる。今後、両都市が双方の交通広告媒体を相互利用し、一般消費者向けに広告キャンペーンを展開していく。

 同日行われたメディア発表会には、小池百合子東京都知事とフレッド・ディクソンニューヨーク市観光局プレジデント兼CEOが登壇。それぞれの都市の観光の魅力についてプレゼンテーションを行った。

小池都知事が語る!東京都の観光の魅力、「古いモノと新しいモノが融合する、それが東京の魅力」

小池百合子都知事

 東京都の観光の魅力をPRするため登壇した小池都知事は「今回の取り組みは、より多くの旅行者を東京に誘致するためには大変有意義なもの」と、両国間の誘客促進に向けた想いを語った。

 東京都を訪れる国内外の旅行者は年々増加しており、この10年間で訪都旅行者は2・7倍に増加した。2020年までに、訪都旅行者数を2500万人にする目標を掲げており、都では今年度から、伝統と革新が融合する東京の魅力を表すアイコン「Tokyo Tokyo Old meets New」を活用し、海外に向けて旅行地としての魅力を発信している。

東京の新たな価値を創造する

 東京は歌舞伎などの伝統文化から、マンガやアニメなど多様な文化が溢れていることから、同アイコンのコンセプトを、「Old meets New」に設定。「東京を訪れる観光客の方々には、東京で多用な体験を楽しんでもらうとともに、日本の美やホスピタリティを感じてほしい」(小池都知事)とPRした。

 今回の相互PRの実施に伴い、2017年11月20日(月)~12月17日(日)の期間中、ニューヨーク市内の街頭ビジョンや映画館などで、同アイコンをPRする動画を放映するほか、また、市内62か所のバス停や公共無料Wi-Fiステーションで交通広告を実施する。

ニューヨーク市への日本人旅行者数33万1千人に

フレッド・ディクソン プレジデント兼CEO

 昨年ニューヨーク市を訪れた日本人旅行者数は32万5千人。今年は、過去最高となる33万1千人となることが見込まれている。また、同市では来年6月に世界で最も高い観覧車となる「ニューヨーク大観覧車」がオープンするほか、新規ホテルの開業など観光分野における革新が続いている。

 フレッド・ディクソン局長は「東京はニューヨーク市と同じ『Old meets New』を体現した街。両都市の魅力と文化をかけ合せることで、観光分野でより成果を挙げられる」と期待を込めた。

 同提携におけるニューヨーク市の取り組みとして、2017年11月11日(土)~2018年3月15日(木)までHISと連携し、同パートナーショップ締結を記念したオリジナルツアーパッケージ5種を販売。ニューヨークの特色を取り入れたツアー内容になっている。

 また、両都市のランドマークである「東京タワー」と「エンパイア・ステート・ビルディング」では2017年11月10日(金)の日没後から、東京タワーはニューヨーク市旗、エンパイア・ステート・ビルディングは東京都の新アイコン「Tokyo Tokyo Old meets New 」をイメージしたブルーにライトアップされる。

 両代表によるプレゼンテーションの後、協定書締結式が行われ、東京都産業労働局の藤田裕司局長とフレッド・ディクソン局長が協定書に署名し、パートナーシップを締結した。また、協定書締結式終了後には、東京ブランド推進会議座長・池尾恭一氏らによるパネルディスカッションも行われた。

 

〈観光最前線〉日本一!ようかん祭り

2017年11月10日(金) 配信

「日本一!ようかん祭り」は羊羹王国小城がプロデュースする全国でも珍しい羊羹の祭典

 鎖国体制だった江戸期、砂糖の流通路であった長崎街道(別名・シュガーロード)沿いの各地で多くの菓子文化が花開いた。佐賀県の中央部に位置する小城市もそのひとつで、名物「小城羊羹」の銘柄は25軒にもおよぶ。

 そんな「羊羹王国・小城」で11月19日に「日本一!ようかん祭り」が開かれる。会場となる「ゆめぷらっと小城」には25店舗が一堂に会し、試食販売するほか、切り羊羹の実演や、うれしの茶の振る舞いなども行う。当日は、このイベントに合わせて開発した羊羹に合うオリジナルブレンドコーヒーも販売するとか。

 小城市では、前日の18日から26日まで、観光名所のひとつ「清水

の滝」一帯を幻想的にライトアップする人気イベント「清水竹灯り」も開催する。甘党も、そうでもない方も、ぜひ。

【塩野 俊誉】

SNSの利害 「誰ともつながらない」心地よさも

2017年11月10日(金) 配信

SNSでつながる社会から逃れたい願望も

 SNS(交流サイト)は情報の流れを変え、社会構造を大きく変えた。メディア業界の端くれにいると、情報伝達のスピード感や、拡散による広がりなど、SNSの持つ力の大きさを感じる。

 多くのメディアはSNSを最大限に活用して情報発信を強化している。本紙「旬刊旅行新聞」もツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどを駆使して、日々の取材で得た情報をより速く、より多くの人に伝えている。

 今、SNSをテーマにした1本の映画が話題になっている。

 ジェームズ・ポンソルト監督・脚本の映画「ザ・サークル」は、主演の女性を演じるエマ・ワトソンが24時間自らの私生活(プライバシー)をSNSに公開することで引き起こすさまざまな現象をスリリングに描く、サスペンス・エンターテインメント作品として、11月10日に公開された。

 SNSは知人だけではなく、見ず知らず人とも“つながる”ことができる文明の利器である。だが、その陰に潜む“不気味さ”も存在する。

 神奈川県座間市内のアパートで、9遺体が見つかった猟奇的な連続殺人事件に世の中が驚愕した。この事件は、自殺願望を仄めかす女性と、犯行に及んだ容疑者がSNSでつながった。特定の趣味や“想い”など、見ず知らず者同士であっても、波長が合えば、世界中の誰とでも“友達”になれるし、それ以上の“関係”にもなれる。使い方が善ければ、無限の可能性があるが、物事には正と負の両面があることを改めて実感した。

 SNSに自分の気持ちや、お洒落な写真を投稿したり、友人や知り合いの近況を確認することに嫌悪感を抱いたり、疲れてしまう“SNS疲れ”という症状があると言われている。

 私も個人のSNSを始めたときは一時夢中になったが、熱しやすく、すぐに飽きてしまう性質が災いし、最近はほとんど投稿することはなくなってしまった。日々、記者という仕事上、さまざまなメディアやSNSから膨大な情報を収集し、記事を発信している身としては、“SNS疲れ”を時々感じることがある。私の知り合いには、若い世代でもまったくSNSをやらない人が何人かいる。私は、その徹底した生き方の潔さに感服する。

 だが、SNSはすでに生活に深く浸透している。やる人とやらない人との間に“情報格差”も生んでいる。手のひらに収まる情報の海に入り込み、溺れてしまわないように自分を律しなければならない。中毒症にも似て、これがわりと難しい。

 山奥の温泉旅館に宿泊すると、スマートフォンの電波が届かない宿がある。「何か急な連絡があったらマズいな」と心配になる反面、少しうれしい気持ちにもなる。

 電波が届かなければ、スマホは旅行バッグに入れっ放し。あとは、「リアル」な自然の美しさや、温泉の気持ちよさに集中すればいいだけである。電波が届かないことは、現在社会においては大きな不便であるし、旅館であれば宿泊客からクレームが発生する恐れもある。

 だが、その環境を逆手にとって、SNSにもつながりが切れる空間として特徴づければ、「誰ともつながらない心地よさ」を体感できる宿として、思いのほか、人気が出るかもしれない。

(編集長・増田 剛)

11月27日 呉暁波氏が「訪日」語る 東京でフォーラム開く

2017年11月10日(金) 配信

中国経済と中国人の海外旅行がテーマ

 北京吹米科技有限公司と日中コミュニケーションは11月27日、東京大学伊藤国際学術研究センター伊藤謝恩ホール(東京都文京区)で、フォーラム「呉暁波が語る『中国経済と訪日旅行』」を開く。日本政府観光局(JNTO)と日本旅行業協会(JATA)が後援する。

 中国を代表する経済作家・呉暁波氏を招き、中国経済と中国人の海外旅行の動向をメインテーマに、基調講演やパネルディスカッションを行う。対象は、日本の中国関連企業や観光関係者。同時通訳付きで、参加費は5千円(税込)。

 呉暁波氏は1968年生まれ。ビジネス経済作家、企業家。改革開放後の中国企業関連の著作多数。中国のビジネスマンの圧倒的な支持を得ている。企業家としても、中国初のビジネス経済分野専門の出版社を設立。また、ネットメディアにおいて自身のトーク番組とEC事業を開始し、300万人以上のユーザーを獲得するなど、中国のビジネス界では知名度が高い。

 同フォーラムの問い合わせは(http://banmi.com/event20171127)まで。

“地域創生”実践モデルがずらり 「田舎の力が未来をつくる!」 金丸弘美〈著〉

2017年11月10日(金) 配信

「田舎の力が未来をつくる!」表紙

 食総合プロデューサー、食環境ジャーナリストの金丸弘美氏はこのほど、書籍「田舎の力が未来をつくる!―ヒト・カネ・コトが持続するローカルからの変革」(合同出版社)を発刊。金丸氏が各地の新しい農業・観光ビジネスの実践者に深く取材し、国が主導するずっと以前から自発的に「地方創生」に取り組む実践モデルを紹介している。

 取り上げたテーマをみると、農村観光や農家宿泊、グリーンツーリズム、インバウンド、ゲストハウスに加え、地域連携マーケティングや産官学協業の人材育成事業、食と6次産業、離島振興、再生可能エネルギーなど未来につながる事例が並ぶ。地域創生に向けて参考になる、実践地域の発想やノウハウがぎっしりと詰まっている。

 第1章の「イタリアのアグリツーリズモという産業」では、エミリア=ロマーニャ州を中心に同国の農村宿泊観光の先進事例を紹介。

 第2章は「若者を惹きつけるために必要な発想の転換」。早くから国際交流を行ってきた長野県・川上村などを取り上げている。

 第3章は「山間地の小さな村を外国人観光客につなげる方法」、第4章は「成功する外国人観光客向けマーケティング」、第5章は「地域の元気を国内外に発信する生産者たち」。それぞれのテーマから新たな動きを紹介している。

 第6章の「エンドユーザーを見据えた集約型の米づくり」では、茨城県龍ヶ崎市の横田農場や、石川県白山市で米づくりから惣菜、弁当、大福、レストラン運営まで行う「六星」に注目した。

 第7章の「地域の環境、文化を活かして新たな価値を創造する」では、米国カリフォルニア州のナパ・バレーのスタイルを目指す静岡県掛川市の丸山製茶というお茶メーカーの最前線の取り組みにスポットを当てた。

 第8章は「自治体ぐるみで新しい地域ビジネスを創出する」。地元で活躍できる若い人たちを育てている和歌山県田辺市の「たなべ未来創造塾」の取り組みなどを紹介している。

 四六判232ページ。本体1600円(外税)。

 問い合わせ=電話:03(3294)3506。

記念トークショー&サイン会も予定

 「田舎の力が未来をつくる!」の発売を記念して、「金丸弘美トークショー&サイン会」が12月8日に開かれる。会場は東京都千代田区神田神保町の書泉グランデ7階。時間は午後7時から。トークショーのゲストには、中央大学法学部教授の工藤裕子氏が出席。定員は50人で、参加無料。

地域おこしに温泉活用 上天草の来訪者増加を 民間活力開発機構

2017年11月10日(金) 配信

イベントには、日本観光振興協会の久保成人理事長も参加(中央)

 スポーツや食事など、楽しみながら健康づくりを行う「現代版湯治」に、注目が集まっている。地域おこしを盛り上げる足掛かりとしての役割も大きい。民間活力開発機構(みんかつ、里敏行理事長)は、「健康づくり大学」と「健康づくりの郷」と題する湯治を中心に据えた取り組みで、地域をサポートしてきた。1987年の設立以降、長期滞在促進や移住者増加で成果を出している。4月からは、熊本県上天草市と提携。市が推進する「上天草市複合型スポーツ&ヘルスツーリズム事業」にノウハウを提供。魅力的なコンテンツ開発など、ソフト強化によって来訪者増に寄与する。

 書籍「温泉療養の手帖」の発行を通じ、温泉地(地域)や旅館、病院を結びつけてきた同機構。紹介してきた宿は600を超え、温泉地と病院も計300を上回る。日帰り温泉施設を活用した観光ツアー(新潟県三条市)や、ノルディックウォーキングイベント(神奈川県厚木市)の企画にも携わり、知見を深めてきた。いずれのイベントにも、医師ら専門家が参画。健康相談会などを開くことで、参加者が実益を得られる催しとなるよう尽力した。

 「上天草市複合型スポーツ&ヘルスツーリズム事業」の目的は、交流人口の拡大と市民の健康促進。同機構は、11月5日開催の「ガストロノミーウォーキング」(11月5日実施)をキッカケに、市の事業推進にノウハウを提供する。「上天草けーな健康フェア2017」や「上天草トレッキングフェア」など、市主催の既存事業への協力だけでなく、「人間ドック事業」や「ヘルSEAメニュー開発事業」といった新規コンテンツ・プログラムの開発も急ぐ。地域と病院などの民間事業者を結びつけ、「現代版湯治」を実現することで、地域の課題解決を促す構えだ。2018年2月には「第1回健康づくり大学」を開く予定。ユーザーにプログラムやコンテンツを体験してもらい、アンケート調査を行う。フィードバックを通じ、内容の点検・充実をはかる。

 なお、「ガストロノミーウォーキング」イベントには本紙記者も参加した。

〈この人に聞く〉芳子 ビューエルさん、株式会社アペックス 取締役社長

2017年11月10日(金) 配信

株式会社アペックス 取締役社長
芳子(よしこ) ビューエルさん
 群馬県高崎市出身。カナダ・ダグラスカレッジ在学中に現地人男性と結婚。3児の母。1989年に帰国し、アペックスを設立。

北欧の大手メーカーの日本代理店として、機能的でデザイン性に優れた数多くの商品を輸入販売するアペックス。宿泊施設であれば、デンマーク生まれの寝具ブランド「ダンフィル」の軽くて、まるで羽毛のようにふんわりと、優しく頭を支える枕「フィベールピロー」を取り扱っている会社だと言えば、ご存知の方もいらっしゃるだろう。

 同社では社員34人のうち女性が21人で、半数以上が子持ち。「とくに性別にこだわったわけではないのですが、結果としてそうなっていますね」。自身も3人の子供を育て上げた母でもあるビューエルさん。「優秀な人材には長く働いてほしい。やる気のある、できる人に、子育てを理由に仕事を諦めてほしくないのです」と笑顔で話す。

 そこで女性社員が働きやすい環境づくりに着手した。例えば、同社の規定では「有給休暇は1時間単位で取得」ができる。革新的な制度だが、これも子供の予防接種や授業参観など、1日休むまでもない用事の際にとても助かる。男性社員にとっても歯医者に行くなど私用で使うことができるため、評判は上々だ。

 時短勤務はもちろん、リモートワークも積極的に取り入れている。在宅で子育てをしながら仕事をする社員は、パソコンや携帯端末で会議に遠隔参加することもできる。

 こうした取り組みが評価され、同社は2014年に、群馬県の「従業員の子育てサポート企業」に認定されている。「できる人材を確保し、その人が能力を発揮しながら長く働ける職場を作ることは生産性の向上につながる。優しいだけではなく、経営者として至極当然の判断だと思います」。

【古沢 克昌】

アパ大阪初の全室禁煙ホテ開業、開業記念特別価格も

2017年11月10日(金) 配信 

アパホテル(元谷芙美子様、東京都港区)は11月7日(火)に、大阪市内で10棟目となるアパホテル〈御堂筋本町駅東〉(全室禁煙160室)を開業した。

アパ大阪初の全室禁煙ホテル開業

 同日に開業披露式典を実施。ホテル1階には、アパ社長カレー専門店として関西1号店となる「モーニングキッチン&アパ社長カレー」がオープンした。開業に先立ち、 10月31日(火)に抽選で60室(最大120人)を無料招待する「無料試泊会」を行った。3400件を超える応募があり、56倍ほどの高倍率となった。大阪市内のアパホテルは、建築・設計中を含め14棟4728室、大阪府下においては16棟・4949室を展開しており、大阪市・大阪府ともにホテル保有棟数・客室数で最大級となる。

 「進化するアパホテルを積極的に展開していきたい」

記者会見のようす

 開業記者発表で、アパグループの元谷外志雄代表は「2010年4月からスタートした第1次頂上戦略では東京を中心に、15年4月から始まった第2次頂上戦略では、地方中核都市を中心にホテル数を増やしてきた」とこれまでの経緯を話した。

 元谷外志雄代表は「昨今、オーバーホテル現象が懸念されているが、東京オリンピック開催後にはより大きなオーバーホテル現象が到来するだろう。しかしその時こそホテルの買収なども含めホテル拡大のチャンスである」と強調する。

 「スペースではなく満足の提供を第1に、高品質・高機能・環境対応型を基本理念とする『新都市型ホテル』は評価が高く、それを有した同ホテルも高稼働ホテルとなるだろう。19年9月にはアパホテル&リゾート〈御堂筋本町駅タワー〉(全917室)の開業も控えており、今後も顧客満足度向上に努め、進化するアパホテルを積極的に展開していきたい」と意気込みを語った。

大阪市内で10棟目となるアパホテル〈御堂筋本町駅東〉

 大阪市営地下鉄堺筋線「堺筋本町駅」徒歩5分、御堂筋線・中央線・四つ橋線「本町駅」徒歩6分、堺筋線、京阪本線「北浜駅」や御堂筋線、京阪本線「淀屋橋駅」も徒歩圏内であるなど、5路線4駅が利用可能。「大阪城」や「海遊館」に乗り換えなしで訪れることができ、ビジネスだけでなく国内レジャーやインバウンド需要にも応える立地となっている。また、現在の禁煙室需要の高まりから、大阪府下のアパホテルで初めて全室禁煙のホテルとした。

 全客室には、高品質・高機能・環境対応型を理念とする「新都市型ホテル」の標準仕様として、 50型以上の大型液晶テレビや、快眠を追求したオリジナルベッド「Cloud fit(クラウドフィット)」(シングル・ダブル全室幅1420㍉のワイドベッド)のほか、通常の浴槽より20%節水ができ、ゆったり入浴できるオリジナルユニットバス(卵型浴槽、定量止水栓、節水シャワー)、 BBCワールドニュース無料放映、Wi-Fi無料接続(全客室およびロビー)、客室の明るさにこだわりシーリングライトを採用。ベッドの枕元に、照明スイッチ類や空調リモコンを集約し、携帯・スマホの充電に便利な4つのコンセント・USBポートを設置するなど、機能性・利便性を追求した。

 開業記念価格として、2017年12月末まで、シングル1泊 客室通常料金1万5千円(税サ込)~のところ、6800円(税サ込)~に、ダブル1泊2万5千円(税サ込)~のところ、7800円(税サ込)~で、それぞれ宿泊できるようにした。 

ホテル概要ホテル名 アパホテル〈御堂筋本町駅東〉

所在地:大阪府大阪市中央区瓦町2丁目3-6

構造/規模:鉄骨造 地上13階

客室数:160室(シングル・ダブル159室、DXツイン1室) ※全室禁煙

最大収容人数:320人

館内施設:モーニングキッチン&アパ社長カレー(ホテル1階)

営業時間:

朝食:午前6:30~午前9:30※「モーニングキッチン」で朝食バイキングを提供

ランチ・ディナー:平日午前11:00~午後8:30、土曜日午前11:00~午後3:00(定休日は日曜日、祝日)※11:00~は「アパ社長カレー」を提供

朝食内容:和洋バイキング

朝食料金:前売1080円(税込)、当日1280円(税込)

アパ社長カレーメニュー:アパ社長カレー 680円(税込) 、ロースカツ社長カレー 830円(税込)他

全室標準仕様

・50型以上大型液晶テレビ ※DXツインは58型

・快眠を追求したオリジナルベッド「Cloud fit(クラウドフィット)」※シングル・ダブル全室幅1420㍉ワイドベッド

・ベッドとの相性を科学的に検証し、体圧分散に優れたオリジナル3Dメッシュまくら「Air Relax(エアーリラックス)」

・高級羽毛布団(デュベ)

・通信速度とセキュリティの面で優れたWi-Fi無料接続

・BBCワールドニュース 無料放映

・VODアパルームシアター (1泊1千円で162タイトル以上見放題)

・客室の明るさにこだわったシーリングライト

・照明スイッチ類、空調リモコンを枕元のヘッドボードに集約

・携帯、スマホの充電に便利なベッド枕元の4つのコンセント、 USBポート

・ハイグレードアメニティ(歯ブラシ、レザーなど)

・ウォッシュレット(衛生面に配慮した壁付リモコンタイプ)

フロント・ロビー

・業界初※となる全ての予約経路に対応したオリジナル仕様の「自動チェックイン機」導入 ※同社調べ

・セキュリティを重視し1階のエレベータは客室カードキーをかざすことで作動

エコへの取り組み

・ホテル館内外の全照明にLEDを採用

・通常の浴槽より約20%節水でき、ゆったり入浴できるオリジナルユニットバスを採用(自社開発した節水タイプの卵型浴槽、サーモスタット付定量止水栓、節水シャワー)

・客室窓に複層ガラスを採用することで断熱性を向上し熱負荷を低減

・完全遮光※の断熱遮熱カーテンを採用し、断熱性を向上し熱負荷を低減

・ガスコージェネレーションシステムを導入し、発電した電気を館内で利用

・ホテル全客室に省エネスイッチ(カードキーホルダー)を採用

※NIF(日本インテリアファブリックス協会)が定める99.99%以上の遮光率を有する一級遮光基準よりもさらに遮光性を高めたもの。

アパグループ

 アパホテルネットワークとして全国最大の436ホテル7万2811室(建築・設計中、海外、 FC、パートナーホテルを含む)を展開しており、年間宿泊数は約1252万人(16年11月期末実績)に上る。アパカード会員の累積会員数は、 1400万人を突破している。

 アパグループは2010年4月にスタートした「SUMMIT 5(頂上戦略)」では東京都心でトップを取る戦略をとり、東京23区内の直営ホテル数のみで67棟・1万7065室(建築・設計中を含む)を達成。首都圏を中心に全国でタワーホテル6棟・6459室を含む、 35棟・1万3218室を現在、建築・設計中だ。15年4月にスタートした「SUMMIT 5-II(第二次頂上戦略)」では、国内は東京都心から地方中核都市へと展開を広げ、2020年3月末までにパートナーホテルを含むアパホテルネットワークとして10万室を目指す。