仕事と観光、県がプランを提案 山口型ワーケーション

2021年8月4日(水) 配信

山口県テレワーク・ワーケーション総合案内サイト イメージ

 山口県(村岡嗣政知事)は8月3日(火)、「山口県テレワーク・ワーケーション総合案内サイト」と、山口宇部空港内に、やまぐちワーケーション総合案内施設「YY! GATEWAY」を開いた。

 テレワークの普及に伴い、都市部から地方移住する関心が高まっている。こうした動きから、山口県では産業や歴史、自然、地域などの資源を生かし、充実したワーケーションを実現する「山口型ワーケーション」を提案し、さまざまな取り組みを行っている。

 「山口型ワーケーション」では、非日常体験や観光などを組み合わせたプランや、県内で起業した人との交流、県内企業を視察する交流プランなど、個々の需要に合わせたプランを提供する。

 同県では、都市部に努めている人が、地方に移住しながらテレワークを活用して都会と同じように働く「転職なき移住」を実現していくことで、新たな人の流れの創出と拡大をはかる。

 このほどオープンした「YY! GATEWAY」では、コンシェルジュを配置しワーケーションに関する情報案内や、受付、相談対応などを行う。利用者ニーズに合わせたプランのコーディネートを実施する。

 また、コワーキングスペースで空港到着後や出発前のリモートワークもできる。個別ブースに作業スペースがあるため、会議やセミナーなども可能。

 週6日営業(毎週月曜休業日)。利用時間は午前9時~午後6時。利用料は無料。

送り手と受け手が連携 コロナ後に向けワーケーション推進セミナー開く(運輸総合研究所)

2021年8月4日(水) 配信

運輸総合研究所はこのほど、ワーケーションに関するオンラインセミナーを開いた

 運輸総合研究所(宿利正史会長)は7月30日(金)、「ワーケーション~働き方と地域活性化~」をテーマにオンラインセミナーを開いた。送り手側である企業でのワーケーションへの取り組みや、受け手側の地域における取り組みを紹介した。また、アフターコロナによる価値観の変容を踏まえた、これからのワークスタイル・ライフスタイルのあり方について講演を行った。

 はじめに、関西大学社会学部教授の松下慶太氏が、「アフターコロナのワークプレイス、ワークスタイル」について講演を行った。

 自発的な活動として、ワーカーがワーケーションという働き方を選択する欧米型ワーケーションとは違い、日本型ワーケーションは、企業や地域が推進するライフスタイル・ワークスタイルを行うため社員として制度を利用するカタチである。

 企業と地域との連携を密にすることで、「世界とは異なる日本型ワーケーションを作っていくことができる」と松下氏は語った。

 また、今までの観光資源は1~2日で経験できる、よく知られた名物や名所であるとして、「一次的な観光資源」と位置付けた。

 一方で、「ワーケーションを行うと、滞在期間が3~4日から長期間、複数回に渡るため、「二次的」「n次的」な観光資源が必要だと主張した。長期間かつ複数回に渡りその地域に訪れたときに活動することや経験したいものを地域で作り上げれば、新たな観光資源である「ワーケーション資源」が生まれる。

 日本航空(JAL)人財本部人財戦略部アシスタントマネジャーの東原祥匡氏は、同社のワーケーションへの取り組みについて紹介した。

 JALでは2017年に、休暇取得の実現のためのワーケーションを導入した。19年には出張時に休暇がつけられるブリジャーも導入した。

 社内や社会全体にワーケーションを浸透させるため、導入初期から浸透施策も行った。ツアーや実証実験など社員参加型企画のほか、JTBなど他の企業と一緒にワーケーションツアーの販売も行った。

 同社では、21~25年度中期経営計画に、「地方移住やワーケーションの普及促進」を盛り込んでいる。「新たな人の流れを生み出すことにより、今後の交通事業者の新たなビジネスモデルを構築する」(東原氏)ことを目標としている。

 一方、地域での取り組みとして、南紀白浜エアポート社長の岡田信一郎氏が「空港型地方創生の取り組み」について話した。

 ワーケーションの先進県でもある和歌山県の玄関口として知られる南紀白浜空港。旅行会社でもあり、ワーケーションに関して県の「総合コンシェルジュ」に登録している同社では、官民が連携して誘致を行っている。

 21年には副業支援のみらいワークス(岡本祥治社長)と提携し、都市部の人材を和歌山に呼び込み、関係人口創出と、地域企業の生産性や活性化を目指す。

 施設側の取り組みとして、軽井沢プリンスホテル執行役員兼マーケティング部長兼海外事業部長の赤松衛一氏が「参加・共創型ワーケーション」を紹介した。

 新たな市場であるワーケーションの潜在ニーズを発見するために、個人・法人・地域の3者に、実際体験してもらい、講演会に参加してもらうなど、積極的なヒアリングやアプローチを行った。

 それぞれの視点から見えてきた課題を元に、「ワーク環境の整備」や「バケーション要素の充実」をはかり、地域事業者と法人が連携したボランティアコンテンツを取り入れている。

ANAHD、第1四半期の純損失511億円 前年同期から大幅に改善

2021年8月3日(火) 配信

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 全日本空輸(ANA)などを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、片野坂真哉社長)が7月30日(金)に発表した2022年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算によると、純損失は511億円(前年同期は1088億円の損失)だった。営業損失は646億円(同1590億円の損失)、経常損失は637億円(同1565億円の損失)。売上高は前年から増加し、前年同期比63.6%増の1989億円となった。

 コロナ禍の影響が続きながらも、事業構造改革の推進によるコスト削減効果などから、純損失は前年同期と比較し500億円超の大幅な改善となった。また、ワクチン接種が先行している一部欧米諸国で需要回復の兆しがみられるとともに、国内線は旅客数と収入が前年同期を上回った。

 セグメント別の営業損益は、航空事業が676億円の損失(同1537億円の損失)、航空関連事業が51億円の利益(同8億円の利益)、旅行事業が1億円の損失(同27億円の損失)、商社事業が1億円の損失(同13億円の損失)となった。

 航空事業の旅客収入は、国際線が129億円(前年同期比36.5%増)、国内線が502億円(同123.5%増)だった。LCCの売上高は39億円(同128.5%増)。貨物収入は、国際線が四半期ベースで過去最高の660億円(同159.5%増)、国内線は59億円(64.3%増)だった。

 2022年3月期の連結業績予想は、4月30日(金)に発表した売上高1兆3800億円、営業利益280億円、経常利益50億円、当期純利益35億円を据え置いた。

大型バスの運転体験や車庫めぐりが日帰りバスツアーに 札幌観光バス

2021年8月3日(火)配信

【2021年9月22日(水)追記】8月28日(土)出発のコースは緊急事態宣言に伴う施設閉鎖により、出発日を10月16日(土)に延期して実施することになりました。現在、参加者を募集しています。なお、9月18日(土)出発のコースは企画が終了しました。

 札幌観光バス(北海道札幌市)は2021年8月28日(土)と9月18日(土)出発で、大型バスの運転体験や車庫めぐりができるバス会社ならではの日帰りバスツアーを企画した。現在、参加者を募集している。

 8月28日(土)出発のコースは「夢が叶うとき♪大型バス運転体験と札幌観光バス車庫めぐり」。事前講習と安全確認を予め行い、スカイポート美唄で長さ片道800㍍の滑走路を参加者の手で運転できる企画だ。運転体験終了後、札幌観光バス本社に戻り、車庫での写真撮影や構内見学を行う。参加費は大人1万8800円、子供1万2800円(子供は運転体験なし)。

 第2弾となる9月18日(土)出発のコースは、「バスの事をもっと知ろう! 観光バス運転体験とえこりん村ランチビュッフェ」。札幌観光バス本社での運転体験(希望者)のほか、車庫見学や撮影、バスに乗車したままでの洗車体験などを予定している。昼食はえこりん村(恵庭市)でのランチビュッフェを楽しめる。参加費は大人9980円、子供6980円(子供は運転体験無し)。

 両コースとも出発地は札幌駅北口など3カ所。運転体験に使用する車両は観光バスタイプ(全長約12㍍・車幅約2.49㍍・高さ約3.55㍍)で、日野車(JBUS)または、三菱車(FUSO)を予定している。参加特典として、運転している姿を撮影して動画データとしてプレゼントするほか記念品も用意している。

JNTO、国際PCO協会とデスティネーション・パートナーシップ締結 より積極的な国際会議誘致へ

2021年8月3日(火) 配信

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 日本政府観光局(JNTO、清野智理事長)は8月1日(日)、国際PCO協会(IAPCO、マーティン・ボイルCEO)とデスティネーション・パートナーシップを締結したと発表した。関係を強化することで、より積極的な国際会議誘致活動に取り組んでいく。 

 IAPCOは、中・大型の国際会議開催地の決定に大きな影響力を持つ、世界40カ国の会議運営専門会社(PCO)約140社で構成する国際団体。今回の締結により、PCOに対し、開催候補都市の魅力や施設、サービスなどの情報を多角的にプロモーションする機会が得られる。

 清野理事長は「日本は特色ある国際会議を全国各地で開催できる。この強みをIAPCO のメンバーに知っていただき、彼らの発信⼒を活⽤し、世界の会議主催者に対し日本の認知度を⾼めることで、国際会議の誘致・開催件数を増やしていきたい」と述べた。

 国際PCO協会のマーティン・ボイルCEOは「IAPCOとJNTOはこれまで、人材育成プログラムでの協働・連携など、協⼒関係を築き上げてきた。今回のパートナーシップの締結はさらに連携を強化し、日本のMICE業界に資することにつながると確信している」とコメントした。

 デスティネーション・パートナーシップは現在、ハンブルクとメルボルン、トロント、ドバイ、香港、ルワンダの5都市と1カ国のコンベンション推進機関が締結。これまで、1地域につき1カ所のみだったが、日本の締結によりアジアは2カ所となった。日本の締結期間は、2023年3月31日(金)まで。

  JNTOでは、「2030年にアジアナンバーワンの国際会議開催国として不動の地位を築く」を目標に掲げ、実現に向けた取り組みを行っていく。

九州・山口・沖縄の観光振興目指す 「みんなの観光ポスターコンクール」作品募集

2021年8月2日(月) 配信

「みんなの観光ポスターコンクール2021」

 トラベルテックカンパニー・エスビージャパン(中元英機社長、佐賀県・基山町)はこのほど、九州・山口・沖縄の自治体や観光協会などを対象に、観光誘客ポスターのクオリティ向上と地域の観光振興を目的とした「みんなの観光ポスターコンクール2021」を開く。

 コンクールの最優秀作品と優秀作品は、西鉄福岡(天神)駅コンコース連貼り掲出に加え、「九州旅行博覧会~トラベラーズフェス2022~」でのポスター掲出を予定している。

 募集期間は8月2日(月)~10月15日(金)、午後5時必着。募集対象は九州7県、山口県、沖縄県の自治体・観光協会・観光事業者。

 ポスターは20年3月1日(月)から募集期限までに作成されるものに限る。地域の観光宣伝に活用され、観光誘客につながることがポスターから明確に読み取れることが条件となる。ポスターの規格はA0判、A1判、B0判、B1判。

 応募点数に制限はなし。

 事前説明会は8月20日(金)、Zoomで行われる。

 同社はコンクールの開催にあたり、「新型コロナの感染拡大は観光業界に多大な影響を与え、各地で作られる観光ポスターもお披露目の機会がなくなった。今回のコンクールで日本観光の再興を後押ししたい」と期待を込める。

ワーケ施設「ワークラボもりぐらし」開設 東急リゾートタウン蓼科(東急リゾーツ&ステイ)

2021年8月2日(月) 配信

このほど「東急リゾートタウン蓼科」内にワーキング施設「ワークラボもりぐらし」を開いた

 東急リゾーツ&ステイ(田中辰明社長)が運営する「東急リゾートタウン蓼科」(長野県茅野市)は7月26日(月)、ワーキング施設「ワークラボもりぐらし」を開いた。同施設は、別荘オーナーラウンジ「せせらぎ館」をリニューアルオープンしたもの。ホテルでの宿泊や日帰りのどちらでも、リゾート施設を楽しみながらワーケーション利用ができる。

 フリースペース(室内18席)の家具はセミプライベート型のおこもりソファや、システムソファを備え、利用者がリラックスして仕事に取り組める環境を作った。会議室(1室12人定員)や個室ブース(2室各2人定員)も設け、Web会議などの利用にも対応している。

 屋外にはテラス席(5席)を用意し、川のせせらぎが聞こえる開放的な雰囲気の中で仕事ができる。

 リゾートタウンの施設内のどこでもWiーFiの利用が可能。

 営業時間は午前9時~午後5時。フリースペースは無料。会議室は1時間1000円、個室ブースは1時間500円。

 ワークラボもりぐらしのほか、ホテル客室内や、ホテルガーデンテラスでもワーケーション体験ができる。

「ワークラボもりぐらし」内装イメージ

【特集No.588】観光業の法制度 時代に即してアップデートを

2021年8月2日(月) 配信

 自民党・観光立国調査会の「観光業に係る法制度のあり方に関するワーキングチーム」は、新型コロナウイルスの感染拡大で浮き彫りになった「宿泊者の拒否」に関する旅館業法第5条の改正をメインに検討を重ねてきた。WTの有識者ヒアリングに招かれた下電ホテルグループ代表の永山久徳氏は、第5条の撤廃のほか、宿泊者名簿についての第6条、風俗営業法などについて意見を述べた。今回のインタビューでは、これらの法制度をより時代に即したカタチにする考え方について話を伺った。
【聞き手=増田 剛編集長、構成=馬場 遥】

 

矛盾取り除き、未来志向に

 5条・コロナ禍でも宿泊拒否ができない

 旅館業法第5条の規定によると、営業者は宿泊を拒んではならないことになっている。「伝染病の疾病にかかっていると明らかに認められるとき」、「違法行為など風紀を乱す恐れがあるとき」、「満室で余裕がないとき」を除き、原則宿泊者を受け入れなければならないのが現状だ。

 つまり、37・5度以上の熱があり咳をしているなど、新型コロナウイルス感染症の症状が出ているお客が訪れたとしても、「泊まりたい」と希望したら宿側はこれを断れない。

 飲食店やスーパーなどでさえ、「体調不良のお客様は来店をお控えください」と意思表示できる時代に、なぜ宿泊業は拒む権利すら与えられていないのか。これには、業法が制定された時代背景が関係している。

 旅館業法が制定されたのは1948(昭和23)年。戦後間もなかった時代では、行き倒れそうな人やお金がなくて今夜寝る場所に困っている人を、宿は門前払いするのではなく受け入れる施設であれという前提の下に作られた制度だ。

 しかし、コンビニや24時間営業している店があり、緊急時に助けを求められる施設が備えられている現代に、宿泊施設だけがセーフティネットとしての役割を求められる考えが、果たして当てはまるのか。業界でも疑問の声が上がっていた。

 また、「伝染病だと明らかに認められるとき」と規定できたのは、当時の伝染病といえば天然痘や麻疹などの、体の表面に表れるものを想定したためだ。現代では、インフルエンザや新型コロナなどの伝染病が周知の存在となり、見た目からは分からなくても、重篤な影響を及ぼす病気が世間一般に知られている。

 永山氏は「旅館業法だけが昔の時代背景を基準に義務を課せられている。宿泊施設に求められているボランティア精神が、宿泊客や従業員を危険に晒すのではないか」と警鐘を鳴らしている。

 2018年9月に発生した台風24号の影響で、JR東日本など首都圏の多くの鉄道会社が、安全確保のための大規模な計画運休を行ったことは記憶に新しい。

 永山氏は「台風が接近し、電車も止まっているような事態では、100人の予約が取れているなかで95人がキャンセルをしているような状況であるのが普通。しかし、残りの5人は旅行を強行するか、連絡が取れないかのいずれかだ」と話す。

 売上が見込めないままでの営業も問題だが、「宿泊を断れない以上、従業員は災害時に危険を冒して出勤しなければならない」。……

【全文は、本紙1839号または8/5(木)以降、日経テレコン21でお読みいただけます】

 

〈旬刊旅行新聞8月1日号コラム〉「Ovni」紙の記事から――フランスも「コロナ後の働き方」模索

2021年8月2日(月) 配信

 
 数年前、パリのとある安ホテルに8日間ほど滞在した。朝食は毎日、わずかなアレンジもなくまったく同じだった。その潔さに感服したわけだが、1階ロビー奥にある朝食会場の入口でトレイを手に持ち、歩を進めると、いつもの位置にクロワッサンと、歯ごたえのあるパンが主食として陣取る。その横でバター、ジャムなどが選べる。オレンジと、まだ青いリンゴが山ほどワゴンに積まれ、ダノンの定番ヨーグルトが1種類。あとは卵。私のトレイの中は毎朝同じ。昼食、夕食は街のレストランに入ったりもするが、肉料理やパンがメインとなるため、次第にご飯が食べたくなる。

 
 そうすると、ほぼすべての世界の主要都市に存在する中華街が助け舟になり、自然と足が向く。だが、その中華料理も美味しいのだが、和食に慣れ親しんだ身としては何日間も続くと、胃もたれを起こし始める。異国の文字が並ぶ街並みから、日本語で書かれた和食の看板を無意識のうちに探すようになる。

 

 
 パリのオペラ座近くに日本料理店が多く建ち並ぶ地区がある。足繁く通っていると、店内に「Ovni(オブニー・パリの新聞)」と書かれたタブロイド紙を目にする。注文して料理が来るまでの間、日本語にも飢えた状態で、手にして読み耽る。パリの流行など最新情報が掲載されているほか、求人やイベント、不動産などの掲示板コーナーもあり、現地に住んでいるような感覚にもなる。フリーペーパーなので気に入って1部、日本に持って帰った。

 

 
 「Ovni」紙を発行する会社は「ZOOM JAPON」誌を発行している。当時は知らなかったが、それから間もなくして、偶然も重なり、本紙「旅行新聞」と提携関係を結ぶこととなった。

 
 「ZOOM JAPON」誌の内容は本紙21日号で毎月、特集の一部や、フランスの現地のようすなどを紹介している。同誌の日本窓口となっている「さえら」(京都市)代表の樫尾岳氏を介して、さまざまな情報を提供している。

 
 日本の映画、文学、漫画、音楽などのカルチャーに加え、政治、経済などを深堀りする特集に惹きつけられる人も多い。本紙にも「どうしたら入手できるのか」との問い合わせが多く寄せられる。

 

 
 提携紙としての特権でもあるが、「Ovni」紙(毎月1日・15日発行)がフランスから旅行新聞にも送られてくる。

 
 今、手元にある7月1日号では、「原則100%テレワークから、ハイブリッド方式へ」との見出しの記事に目が留まった。

 
 同誌によると、フランスでは6月9日に、テレワークが可能な職種における原則100%のテレワーク規則が終了した。ボルヌ労働相は当面は週に3日テレワーク、2日出勤というハイブリッド方式を政府方針の指標とし、各企業で労使交渉によりテレワークの週最低日数を決めるように促しているという。

 
 「コロナ収束後もテレワークを続けたい」「通勤時間が省けるため仕事の効率がいい」「もう以前の働き方に戻りたくない」などの意見が錯綜し、フランス国中で「コロナ後の働き方」を模索しているようすが伝わってくる。

 
 フランスの方が少し先行しているが、日本もいずれ同様な議論が沸き起こることが予想される。

 

(編集長・増田 剛)

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(198)」 鎮守府120年と新たな観光まちづくり(京都府舞鶴市)

2021年8月1日(日) 配信

赤煉瓦倉庫群

 京都舞鶴と言えば、旧海軍の町を連想される方も少なくないだろう。舞鶴旧鎮守府は1901(明治34)年、日本海側唯一の守りの拠点として、国内4番目の鎮守府として開庁した。今年は開庁120年の節目を迎えた。

 鎮守府時代から大正初期にかけて建設された堂々たる赤煉瓦倉庫群12棟は、現在でもそのまま保存活用されている。所有者は5棟が舞鶴市、3棟が国、その他4棟が海上自衛隊である。市と国が管理する8棟は、「舞鶴旧鎮守府倉庫施設」の名称で国の重要文化財に指定されている。

 いわゆる1号棟と呼ばれる旧舞鶴海軍兵器廠魚形水雷庫は、93年に赤煉瓦博物館として改装された。これを皮切りに2号館が舞鶴市制記念館、そして2007年に旧舞鶴海軍兵器廠弾丸庫並小銃庫の3号館が「まいづる知恵蔵」、12年には4号館と5号館がそれぞれ「赤れんが工房」「赤れんがイベントホール」として開館した。

 こうした赤煉瓦倉庫の活用は、1990年代に設立された赤煉瓦倶楽部(のちに赤煉瓦ネットワーク)の活動の大きな成果である。私自身、この地域に深く関わるようになったのは、2007年に経済産業省が創設した「近代化産業遺産群33」の認定以来である。また16年の文化庁日本遺産「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴」の認定では、海軍鎮守府としての4つの港湾都市が持つ共通項とともに、それぞれの都市の個性を生かした「鎮守府物語」をストーリー化し、そのビジョンとともにさまざまな活用事業を展開している。

舞鶴旧鎮守府水道施設(旧北吸浄水場)

 このストーリーを踏まえ、今、舞鶴では次の大きな仕組みづくりが進んでいる。未活用の赤煉瓦倉庫を含む、赤煉瓦パーク全体を公募設置管理制度(いわゆるPark―PFI)などの手法により、民間活力を導入して抜本的な活用をはかる構想である。既に2015年度から17年度に掛けて、「赤れんが周辺等まちづくり基本構想」及び「基本計画」の策定を終え、今後は未活用の赤煉瓦倉庫や周辺の文庫山施設、海に面したウォーターフロントなどを、民間の力を借りて飲食、物販、宿泊事業などとして活用しようという構想である。

 赤煉瓦パークは、もともと年間100万人を集客する舞鶴観光の核である。しかし、その周辺には、旧鎮守府時代の鉄道跡、トンネル、浄水配水池、要塞や砲台跡、ホフマン式煉瓦窯、さらには現役の海上自衛隊地方総監部や収蔵史料館、旧海軍工廠を引き継いだ民間造船所などもある。

 これら歴史資源は、今やビッグバンのように広く散在している。赤煉瓦パークは、これら資源を体系的に編集し、地域の歴史文化を総合的に情報発信するミュージアム拠点となってほしい。地域全体のフィールドミュージアムの拠点として展開できれば、舞鶴の新たな文化観光のカタチができる。今後の計画の具体化に大いに期待したい。

(日本観光振興協会総合研究所顧問 丁野 朗)