No.373 レベニューマネジメント - 売上5%アップの可能性

レベニューマネジメント
売上5%アップの可能性

 適切な商品を適切な顧客に適切な価格で――。航空業界などで取り入れられている販売管理手法であるレベニューマネジメント。定常化することで売上が5%以上増収する可能性を秘めており、日々逃している収益を確保しながら、そこで得られるデータを活用して今後の施策にもつなげられるのがメリットだという。言葉の意味から考え方、活用の可能性について、三菱総合研究所の主席研究員で先進ソリューションセンター、RMソリューショングループリーダーの林義幸氏に聞いた。

【飯塚 小牧】

 
 
 
日々の売り損ない防ぐ、データは今後の施策に活用

三菱総合研究所 主席研究員 林 義幸 氏
三菱総合研究所 主席研究員
林 義幸 氏

 ――「レベニューマネジメント(RM)」とは何か、基本的なことから教えて下さい。

 RMとは、需要に応じた在庫配分と価格調整により、適切な商品を適切なタイミングで、適切な顧客に適切な販売チャネルを通して適切な価格で販売し、企業の収益と顧客の購入機会を最大化する管理手法です。

 分かりやすく解説すると、列車の座席やホテルの部屋など、施設や設備、場所のキャパシティが固定化された商品(サービス)を販売している場合、乗車日や宿泊日が過ぎると商品価値がなくなるほか、需要に応じて簡単に商品を増減することができません。そこで、稼働率を上げようと考えると、席や部屋などを「埋める」ことに気持ちが向くため、安い料金にしてでも、できるだけ空きができないように販売しようと努力されると思います。それ自体は間違ってはいないと思いますが、現実、需要には波があります。需要の波はシーズンや特定の経済状況などが絡みますが、突発的なものと予測ができるものがあります。この予測できる需要の変動を上手く活用し、できるだけ安売りを避ける方法はないかというのがRMの一つの考え方です。

 例えば、美容院は座席数が決まっていますが、…

※ 詳細は本紙1547号または6月17日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

日本がつながる ― 観光PRは世界を視野に

 舞鶴若狭自動車道の小浜IC―敦賀JCT間の約39キロが7月20日に開通する予定だ。これにより同自動車道は、吉川JCT(兵庫県三木市)から敦賀JCT(福井県敦賀市)まで約162キロが全線開通する。NEXCO中日本によると「中国自動車道、名神高速道路、北陸自動車道と一体となって、近畿・北陸・東海地方の広域ネットワークを形成するとともに、若狭地域の観光促進、産業振興にも大きな役割を果たす」としている。来年3月には北陸新幹線が開業し、東京―金沢間が最短で約2時間半で結ばれる。首都圏から「心理的に遠い」と感じられていた北陸エリアだが、多方面で鉄道や高速道路が結ばれることで、今後さまざまな広域観光ルートの設定が可能になる。

 日本国内は急速につながりつつある。今年3月には、東九州自動車道が宮崎県内で全線開通した。伊勢自動車道から接続する紀勢自動車道の勢和多気JCT―尾鷲北ICも全線開通した。北では、15年度末までに北海道新幹線(新青森―新函館間)の開業も予定され、“ミッシングリンク”と呼ばれていた地域を含め、日本全国が一本に結ばれようとしている。

 石川県の能登半島の先端にある珠洲市と新潟県の佐渡島は世界農業遺産の認定地域同士で、5月から7月まで高速船のチャーター便を就航させている。北陸新幹線開通を睨み、周遊型観光へつなげていきたい考えだ。

 陸路だけでなく、空はLCCによる新規路線が増え、海路は船による新たなネットワークが結ばれつつあるのは、「廃線」「撤退」などのニュースとは違い、観光産業においては、うれしい動きである。

 舞鶴若狭自動車道がまもなく開通することを受け、福井県では、旧北陸本線(敦賀―今庄間)隧道はかつてSLも走った11基のトンネル群が産業道路として存在しているが、これを観光利用しようと、「ガイドとめぐる近代化遺産バスツアー」なども企画している。これまであまりスポットの当たらなかった観光資源を活用したツアー造成の試みは歓迎したい。同エリアには、北前船の寄港地としての歴史があり、その後、鉄道が開通したことで北前船が廃れ、今はその旧北陸本線隧道が遺産となっているのが面白い。福井県観光振興課の吉川英児主査も「歴史的なストーリーを前面に出していきたい」と話す。

 高速道路や新幹線がつながることで、地域に産業振興や観光客増大の期待が集まる一方で、大都市や人気観光地間の単なる通過地点になってしまう恐れもある。ストロー現象として、より大きな都市に地元の若者が吸い上げられる危惧もある。

 だが、世界に目を向ければ観光客が爆発的に増え続けている。道路や新幹線がつながれば、東京や大阪を訪れた外国人旅行者が足を伸ばす可能性も高まってくる。もはや観光PRは日本国内だけを見るのではなく、世界を視野に行う時代へと変化している。2027年の開業を目指すリニア中央新幹線東京―名古屋間では、長野県飯田市や岐阜県中津川市周辺などに駅の設置が予定されており、予定地周辺では早くもリニア開通後の地域活性化や観光振興に大きな夢を馳せている。

 時代が移り変れば、交通網も変化する。時代の動きと呼応しながら、過去、現在、未来を見据えた地域づくりが大切である。

(編集長・増田 剛)

貸切バス料金変更、6月末までに新料金届出(国土交通省)

 国土交通省は4月1日、貸切バスの新運賃・料金制度を施行した。新料金制度は「時間・キロ併用制運賃」を用い、貸切バス事業者の経営・労働環境改善と安全の徹底をはかる。走行時間は出庫から帰庫までと回送時間を含み、出庫前・帰庫後の点呼点検時間としてさらに合計2時間を加える。各地方運輸局は、バス事業者や旅行会社、各自治体へ説明会を実施。バス事業者には6月30日までに新運賃を届け出るよう指導している。
【伊集院 悟】

 運賃・料金制度は、これまでの「時間制運賃」「キロ制運賃」「時間・キロ選択制運賃」「行先別運賃」から、時間コストとキロコストに分類して算定した「時間・キロ併用制運賃」に移行し、一本化。キロ制運賃(キロ当たり運賃額×走行距離)と時間制運賃(時間当たり運賃額×走行時間)を足したものが料金となる。

 現行の最低運賃3時間に加え、出庫前と帰庫後の点検などに必要な時間としてそれぞれ1時間の合計2時間を加えたものが、新運賃・料金制度での最低運賃となる。走行時間は出庫から帰庫までとなり、回送時間を含める。10キロ未満は10キロに切り上げ、30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げて計算する。

 各地方運輸局は管轄区域ごとに、キロ制運賃と時間制運賃の上限額と下限額を設定。深夜早朝運行料金は時間制運賃の2割増し、サロンカーやリフト付バスなどの特殊車両割増運賃は運賃の5割増しを限度と定めた。加えて、交替の運転者を置く場合に適用する交替運転者配置料金も上限額と下限額を設定した。バス事業者にはこれらの料金を6月30日までに届け出るよう指導。料金が上限額と下限額の範囲外か、もしくは料金の届け出がない場合には、要素別原価計算書と、乗務時間や走行距離に関する資料の提出を求めており、審査のうえ、必要に応じて料金の変更命令が出される。

 また、ガイド料や有料高速道路利用料、航送料、駐車料、乗務員宿泊料など現行制度で実費負担となっているものについては引き続き実費での精算となり、宿泊待機費などは各バス事業者で設定すればよく、地方運輸局へ届け出る義務はない。新運賃の届け出前に締結された契約については旧料金が適用されるが、旅行実施日が15年3月31日以降の契約については、新料金が適用される。

 なお、運賃料金事前届出違反の罰則が厳正化され、料金事前届出に違反したバス事業者は、初違反で20日間の車両使用停止、再違反で40日間の車両使用停止となる。また、旅行会社が違反に関与していると疑われる場合は観光庁に通知される。

海旅は女子のハレの場

 ある調査によると、今夏、海外旅行を予定する女性のうち、約半数が旅行前に「美容院に行く」という。「ネイルサロン」「脱毛」の割合も3割弱ある。また、旅行前の準備で買い物をする人の半数は3万円以上使うと答えるなど、女子にとって海外旅行は大きなハレの場なのだ。恐らく、写真をたくさん撮って、SNSにアップする……などの後行動も考えてのことだろう。

 女子旅商品は定着し、ファッション誌のようなパンフレットもあるが、やはり絶対数が少ない。一般商品でもいいのだが、効率を求める女子にはカテゴライズされている方が有効な気がする。前述の調査結果のように、一つの旅行がさまざまな消費につながっているということは、他業種と幅広いコラボが可能だ。旅行先ではなく旅行前後のエステプランなどもうけるかもしれない。気持ちよくお財布の紐を緩められる企画がほしい。

【飯塚 小牧】

“原価計算考えて”、貸切バス新運賃制度へ

加藤博和氏
加藤博和氏

 バス会社のコンサルティング事業などを展開するサポートエクスプレス(飯島勲社長、埼玉県所沢市)は、5月16日に東京都内で、貸切バス新運賃・料金制度に関するセミナー「貸切バス・高速バスはどう変わるのか」を開いた。7月1日の新制度運用開始を前に、全国のバス会社から100人以上が集まるなか、国土交通省の同制度ワーキンググループの座長を務めた名古屋大学大学院環境学研究科准教授の加藤博和氏は、原価計算の必要性を訴えた。

 加藤氏は見直しが必要になった背景として、実利価格が本来の適正価格からかけ離れていることや、それにより安全対策が不十分になり大事故を起こすリスクが増大していること、労働条件の悪化、人材不足などの課題を改めて提示。「規制緩和以前に戻せばいいという声もあるが、データを検討したところ、小さい会社の方が、リスクが高いという因果関係は統計学的に見つけられなかった。この状態だと参入規制の強化は学術的に不可能」としたうえで、「では監査の強化となるが、監査に通るにはコストがかかる。しかし、現在の市場では価格転嫁ができないので、運賃を見直す必要があった」と語った。

 そのなかで、最大の問題点は原価計算ができていないことだと強調。運輸局平均をそのまま適用すると不利になることもあるため、「国で上限、下限の基準は作ったが、それに頼らない届け出をしてほしい」と述べた。

 一方で、参加者からは旅行会社など発注者側に力があり、適切な料金を取れないという声には「言い値でできるのであれば、下限割れを申請してほしい。しかし、その運賃であれば品質もその程度だということを示す。問題なのは、これまで言い分がなかったこと。自分たちはこういうことをしているからこの値段だと言えるようにすべき」と一蹴。バスの値段が上がることを一般消費者に周知するためには、自ら業界団体に働き掛けていくことや、自社のホームページでコストをかけて行っている安全対策などをアピールする必要性も訴えた。

 このほか、セミナーでは主催者の飯島社長が、貸切バスの安全評価制度の有効な活用方法を紹介したほか、高速バスマーケティング研究所代表の成定竜一氏が高速バス事故で数々のマスコミから取材を受けた経験から、事故時の報道対応について講演を行った。

 2012年の4月の関越自動車道事故や今年5月の北陸道事故などで多くのテレビ番組に出演した成定氏は、メディアには「対応の遅れ」「トップ不在」「隠ぺい体質」が大きなリスク要素になると言及。東京海上日動リスクコンサルティングの山内利典氏の言葉を引用し、「対応を間違うと『事故』が『事件』になる」と注意を促した。

 また、万が一事故を起こしてしまったときのシミュレーションとして、「現地に向かう人」「対策本部を仕切る人」「本来のオペレーションをこなす人」の3つを考えておく必要があるとした。

 このほか、2つの事故を通して見えたものとして、一般メディアは事業者の規模や格は関係なく報道するということや、一度できた論調は止められず、SNSなどで広がり国会まで炎上してしまうことなども紹介した。

ピンクリボンのお宿

 旅行新聞が事務局を務め、乳がん経験者が気兼ねなく宿での入浴を楽しめる環境づくりを目指す「ピンクリボンのお宿ネットワーク」が、7月に設立から3年目を迎える。「大浴場の洗い場に間仕切りがある」「ピンクリボンプランがある」など参加宿の取り組みを冊子にまとめ、全国の病院で無料配布している。有り難いことに、読者の方からお手紙をいただくことも多い。

 「冊子を見て温泉に行くことを励みに、これから治療に専念します」。今は温泉旅行に行かれなくても、いつか温泉に入る日の自分を思い描くことは、日常を支えてくれる心に灯る小さな希望となる。

 その夢が叶ったとき、お宿はどのようなおもてなしができるのか。重ねた時間の重みに思いを馳せ、今一度、原点を見つめ直したい。

【森山 聡子】

申込多数で追加説明会、貸切バス新料金を説明(都旅協)

都旅協が2回目の説明会
都旅協が2回目の説明会

 東京都旅行業協会(駒井輝男会長)は国土交通省関東運輸局自動車交通部旅客第一課の成松浩二専門官を迎え、貸切バスの新運賃・料金制度についての説明会を行った。4月に行った説明会には定員の150社を超える申し込みがあり、5月23日に急遽追加説明会を実施。126社が集まり、業界の関心の高さがうかがえる。

 関東運輸局管轄区域の設定料金は、キロ制運賃(1キロ当たり)で大型車の上限額が170円、下限額が120円。中型車は上限額が150円で、下限額が100円。小型車は上限額が120円で、下限額が80円。時間制運賃(1時間当たり)は大型車の上限額が7680円で、下限額が5310円。中型車は上限額が6480円で、下限額が4490円。小型車は上限額が5560円で、下限額が3850円。交替運転手配置料金はキロ制料金が上限額40円で、下限額30円。時間制料金が上限額3080円で、下限額2130円。

 例えば2泊3日で大型車を1台チャーターして、東京都内から仙台・山形・蔵王方面をめぐり都内へ帰るツアーを想定すると、初日は午前7時に出庫し、午後6時にホテルへ到着したとすると、出庫前点検時間とホテル着後の点検時間を加え、走行時間は13時間。走行距離は425キロと想定。2日目はバスの運行はなく走行時間0時間、走行距離0キロ。3日目は午前8時にホテルを出発し、午後7時に都内車庫に戻ったとすると、走行時間は13時間で、走行距離は450キロと想定。仮に下限額で計算すると、時間制運賃が5310円×26時間で13万8060円、キロ制運賃が120円×880キロで10万5600円。合計で24万3660円(税別)となる。さらに身体障がい者の場合は3割、修学旅行等の場合は2割割り引きできるが、今回のケースは下限運賃額で計算しているため、これ以上の割り引きはできない。別途、高速道路料金や駐車料金、ガイド料などの実費、2日目の待機料金がかかる。

 説明会に参加した会員旅行会社からは「このバス料金ではツアーを組めない」「正規料金では難しいので、闇の業者が出てくるのでは」などの懸念が出たほか、「消費者に消費増税の便乗値上げと思われる」と料金制度変更でバス料金が高くなったことを、一般消費者にしっかり広報してほしいとの要望が多数あがった。

伊予鉄道次期社長に、国交省出身の清水一郎氏

清水一郎氏
清水一郎氏

 4月9日に観光庁観光戦略課長を最後に、国土交通省を退官した清水一郎氏が、6月25日付で伊予鉄道(佐伯要社長、愛媛県松山市)の代表権のある副社長に就任する人事がこのほど内定した。清水氏は来年にも想定される次期役員改選で、社長に就任するものとみられる。

 伊予鉄道は1887(明治20)年創立の愛媛県を代表する総合交通企業グループ。鉄道・軌道、バスをはじめ、百貨店、旅行業、タクシー、レジャー、松山空港ビル、石崎汽船など、グループ関連企業として陸海空にわたり幅広く事業を行っている。

 清水氏は1967年11月生まれ。86年松山南高校卒、90年3月東京大学法学部卒業後、同年4月運輸省(現国土交通省)入省。95年英国ケンブリッジ大学大学院修了。大臣官房総務課企画専門官(法規班長)、在英日本大使館参事官、航空局企画室長、四国運輸局企画観光部長、大臣官房参事官(海事局)、観光庁観光戦略課長などを歴任し、今年4月に国交省退官。46歳。愛媛県松山市出身。

「オンリーワンのまち」3、4号認定、日光「堂者引き」と料亭文化保護

ふるさとオンリーワンのまち

 NPO法人ふるさとオンリーワンのまち(津田令子理事長)は独特の風土や伝統文化、産物、無形のおもてなしなど、あまり知られていないユニークな観光資源を「オンリーワンのまち」として認定している。5月19日には世界遺産“日光の社寺”の観光ガイドを350年以上継続している「堂者引き」日光殿堂案内協同組合に第3号、28日には東京・向島や神田、浅草など全国の料亭や芸妓文化を保護・育成する「界隈を勝手に応援する協議会」連合会に第4号認定し、それぞれ認定式を行った。

「堂者引き」日光殿堂案内協同組合

「堂者引き」日光殿堂案内協同組合の春日武之理事長(右)と津田理事長
「堂者引き」日光殿堂案内協同組合の春日武之理事長(右)と
津田理事長

 「ふるさとオンリーワンのまち」の第3号として、「『堂者引き』世界遺産“日光の社寺”文化的景観の構成要素としての観光ガイド」を認定した。350年以上の歴史を有する「日光二社一寺」の公認ガイド組織である「堂者引き」。1952(昭和27)年には日光殿堂案内協同組合(春日武之理事長、栃木県日光市)となり、現在26人が所属している。

 春日理事長は「我われは単なる観光ガイドではなく、江戸時代から参拝者を引率して歩くプロの『堂者引き』として、指導的な面を持つ一方、日光の社寺を護り、悪い者を取り締まりながら現在まで350年以上の歴史を持っている」と説明。世界中にボランティアガイドはたくさんあるが、地元の防火組織としての活動や、雪かき、非常時の人員誘導も担当するなど寺社と運命共同体のような関係にある。

 春日理事長は「今回の認定を機に、日光の奥深さを多くの方に知っていただき、なお一層飛躍していきたい」と抱負を語った。

 一方、津田理事長は「世界遺産として海外にも知られる日光だが『堂者引き』という素晴らしいソフトの部分はあまり知られていない。今回初めて堂者引きの案内を受け感動した。この感動を多くの方に伝えるのが我われの使命」と話した。

「界隈を勝手に応援する協議会」連合会

「界隈を勝手に応援する協議会」連合会の西村繁会長(右)と津田理事長
「界隈を勝手に応援する協議会」連合会の西村繁会長(右)と
津田理事長

 第4号は「『料亭・芸妓・日本食類』総合文化保護・育成」に取り組む「界隈を勝手に応援する協議会」連合会(西村繁会長)を認定。

 東京・向島の料亭や芸妓文化の保護を始め、界隈を勝手に応援する協議会連合会の会長も務めている西村会長は「全国の色々な街の料亭を見てきたが、絶滅危惧状態。“おもてなし日本”といいながら、日本古来のおもてなし文化が消えつつある。なんとか、保護や育成をして日本の料亭文化という集積した総合文化を残そうと活動している」と話す。「東京では向島、神田、浅草と広がりつつあり、全国でもあちこちで応援組織ができつつある」とし、「神田も72歳の芸妓さんが1人しか残ってない絶滅状態にある。京都は観光地産業として成り立っているが、我われは絶滅危惧状態にある全国の料亭や芸妓、日本食やおもてなしの文化を総合文化として維持発展していきたい」と語る。「全国にたくさん仲間が増えているので、日本のソフトの力を世界に発信できるように頑張っていきたい」と語った。津田理事長は「おもてなしの心を持った文化の保護、育成に賛同した。微力ながら料亭文化の底上げ、ブランド力アップを支援していきたい」と話した。現在、芸妓白書などは存在しないが、全国の料亭は全国で約300軒、芸妓は約3千人と推測されている。

 今後の認定事業について津田理事長は、「地域の埋もれた財産、宝を発掘したいという思いを『ふるさとオンリーワンのまち』という認定事業にぶつけていきたい」とし、「オンリーワンのまち」の全国的な広がりを目指している。

サンルートを売却、「旅行事業に専念する」(JTB)

 JTB(田川博己社長)は5月30日、全国にホテルチェーンを展開する同社子会社のサンルートの株式を相鉄ホールディングス(林英一社長、相鉄HD)に売却することを発表した。中期経営計画の要となるグローバル中心の旅行事業に専念するために売却する。

 田川社長は「今後の事業拡大に向けて持続的な投資が不可欠で、経営計画のコアであるグローバルを中心とした旅行事業に専念したい」と述べ、「JTBグループで経営するよりも、ホテル事業をコアとする他社で成長を目指すほうが良いという判断をした」と売却理由を語った。また、今後も重要なパートナーとしてサンルートに送客することを確認した。

 JTBの交流文化事業は佐々木隆前社長(現会長)の代から、できるだけハードを持たないという考えをもっており、これまでも物流部門や印刷部門を分離してきた。田川社長は「今回が最後の売却になる。グローバル分野や地域のDMC(デスティネーションマネジメントカンパニー)を含めて、コンテンツへの投資は積極的に行っていく」とハードからソフトの開発にシフトしていくことを強調した。

 JTBグループはサンルートの株式を相鉄HDに売却するほか、サンルートプラザ新宿の不動産を共同で保持していた森トラストに売却する。譲渡額は非公表。株式の譲渡実行日は9月1日。