7月7日、新「横浜アンパンマンこどもミュージアム」が開業

2019年5月5日(日) 配信

©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV

 ACM(大澤雅彦社長、東京都港区)が横浜市西区みなとみらいで運営する、横浜アンパンマンこどもミュージアム&モールは、7 月7 日(日)に現施設より横浜駅に近い場所に移転し、「横浜アンパンマンこどもミュージアム」としてオープンする。全天候型屋内施設として、新しく生まれ変わる。

©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV

 同施設は、現施設以上にアンパンマンの世界を細部まで再現した有料エリアのミュージアム(2 階・3 階)のほか、アンパンマンのグッズやサービス、フードが楽しめる無料エリアのショップ&フード・レストラン(1 階)、地下駐車場(B1 階)で構成する。正面エントランスには、約4㍍の大きなアンパンマンの立像を、施設のシンボルとして設置する。「いっしょにわらうと、いっぱいたのしい。」をコンセプトに、アンパンマンと仲間たちのショーやイベントなどのソフト面もより参加・体験型の内容になり、大きく進化。ショーだけではなく、ミュージアムの中ではいつでもアンパンマンや仲間たちと一緒に楽しむことができるという。1 階のひろばでは、約6㍍の吹き抜け空間を生かした、バルーンによるダイナミックなショーを初導入する。

 なお、現施設は全国5 カ所で展開する「アンパンマンこどもミュージアム」の第1 号施設として、2007 年4 月20 日に誕生。本年12 年目を迎え、5 月26 日(日)に閉館する。

ミュージアム

©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV

 有料の3階ミュージアムはアンパンマンの世界を細部まで再現。アンパンマンの生まれた「パンこうじょう」を中心に、人工芝の広がる「ひろば」では、自由に駆け回って遊べるほか、アンパンマンたちが登場するメインステージや各種イベントを毎日行う。くじらのクータンがいる海や砂浜をイメージした「わんぱくランド」では、エアー遊具やネット遊具でアクティブに遊べる。アニメに登場するアンパンマンの街を再現した「みんなのまち」では、家の中を覗いてみたり、ごっこ遊びができる。

 さらに、今回新設する「わいわいパーク」は参加・体験型のイベントやワークショップの実施を予定。屋外スペースには各ミュージアムで人気の「ボールパーク」を現施設よりも広いスペースで展開する。

ショップ&フード・レストラン

 入場無料の1階のショップ&フード・レストランは、約6㍍の吹き抜け天井のある開放的なひろばと、アンパンマンのオリジナルグッズやサービス・フードを提供する全14店舗が立ち並び、にぎわいのあるフロア。同施設限定の商品やオープン限定商品、メニューも登場する予定だ。また、トイレやオムツ替え、離乳食スペースなどを1カ所に集約した「ファミリーステーション」を施設中央に配した。

 このほか、1階ひろばでは吹き抜け天井を生かし、アンパンマンごうとばいきんまんのメカ・だだんだんが登場する、バルーンショーを開催する。

施設概要

名称:横浜アンパンマンこどもミュージアム

開業日:2019年7月7日(日)

住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい6-2

営業時間:ミュージアム 午前10時~午後5時(最終入館午後4時)、ショップ&フード・レストラン 午前10時~午後6時

入場料:2200円(税込)※1歳以上一律

敷地面積:5650平方㍍(1709坪)

建築規模:地上3階、地下1階……3階ミュージアム(有料エリア)、2階ミュージアム入口/チケット売り場、1階ショップ&フード・レストラン(店舗数14店舗)、B1階駐車場(120台収容)

建築主:日本テレビ音楽

運営:ACM

【津南・スカイランタンツアー】広域連携で相乗効果1泊2日の着地型バスツアー 森宮交通

2019年5月5日(日) 配信

2千個のスカイランタンが夜空を埋め尽くした

 森宮交通(山岸博之社長、長野県・栄村)が企画・実施した着地型旅行商品「第43回津南雪まつり公式ツアー・スカイランタンバスツアー」が、3月9、10日の1泊2日で実施された。今回取材で同行したツアーは「飯山駅発着渋温泉1泊2日バスの旅」でスカイランタンの打上げのほかに、渋温泉の旅館に宿泊。翌日に地獄谷野猿公苑でスノーモンキーを見学するというもの。広域連携で津南町だけで終わらず、周辺エリアにも観光することで相乗効果が期待できる。前回よりもさらに進化した企画内容となっていた。

【古沢 克昌】

 ツアー1日目は午前11時に飯山駅集合。大型バスで戸狩温泉「お宿本屋敷」に移動した。同宿では地元食材をふんだんに使った郷土料理の昼食をいただく。一例を挙げると、こだわり玄米の甘酒や飯山ブランド「みゆきポーク」と飯山茸たっぷり鍋、いもなますなど。

 とにかく大満足の昼食だった。食後にはスカイランタンの絵付け体験も実施。2人1組で思い思いのイラストやメッセージをランタンに描いた。

ランタン絵付け体験

 午後からは津南雪まつり大割野特設会場へ移動し、約1時間30分の自由見学。普段はほとんど人通りのない商店街にこの日だけは行列ができるほどのにぎわいがあった。会場周辺の「苗場酒造」では酒蔵祭りも開催中で、利き酒5種(無濾過生原酒飲み比べ500円)や甘酒・酒粕販売、輪投げチャレンジなどが行われていた。

 特設会場の大型かまくら前では「ゆきんこコスプレ」での記念撮影が大人気だった。来年は「ゆきんこの数を増やして、商店街をゆきんこ姿でいっぱいにしたい」と計画しているそうだ。

 夕刻になると雪まつりメイン会場の「ニュー・グリーンピア津南」に移動。スカイランタンの打上げ時間までは会場内で披露されるどんど焼きの伝統行事「どうろく神」などを見学。途中、露店市で軽食を購入したが、残念だったのは販売されていた軽食が地元とは関係のない食材ばかりだったこと。せっかくの旅先での食の楽しみが半減してしまった。県外客が多く集まる会場では、できる限り地元食材を多く採用した郷土色豊かなメニューをそろえてもらいたかった。

 午後7時を過ぎると個人客のスカイランタン引換が開始となり、会場内が熱気を帯びてくる。最初のスカイランタンは地元小学校の6年生が打ち上げる。きっと一生の思い出になることだろう。続いてメインのスカイランタン2千個が順次打ち上げられ、満天の夜空が星の数ほどもあるスカイランタンで埋め尽くされる。圧巻である。ツアー参加者はこれが観たくて遠方から足を運んできたといっても過言ではない。津南雪まつりのフィナーレは雪上花火が彩る。スカイランタンに合わせて打上げ花火が競演した。

 午後8時30分にはニュー・グリーンピア津南の駐車場を出発し、宿泊地の渋温泉へと向かった。バス車内で津南産の食材を使った「雪灯弁当」が配布された。ミシュラン2つ星、六本木の「リューズ」オーナーシェフである飯塚隆太シェフ(新潟県十日町市出身)がレシピを提供した特製弁当だ。飯塚シェフはグッドデザイン賞を受賞した、えちごトキめきリゾート雪月花の車内弁当も監修している。

津南産の食材を使った「雪灯弁当」

 雪灯弁当の中身はリューズのクロケット、エスカベッシュのほか、地元名産の妻有ポーク焼売、津南産切り干し大根煮、胡桃入り太巻、津南産きりざい入りポテトサラダ、舞茸天と山芋の短冊揚げ、雪室人参サラダ、県産かきのもとと雪国うるいの和え物などがぎっしりと詰まっている。

 また、弁当には地元の越後杉を活用した天然箸がセット。軽く持ちやすいのでさまざまな年代の人におすすめ。杉の良い香りがして、洗って繰り返し利用ができる持ち帰り必須の越後杉箸だ。

 車内での食事も済み、しばらくすると長野県・山ノ内町の渋温泉に到着。夜の温泉街の雰囲気がとても素晴らしい。この日は2軒の温泉旅館に分宿となった。

 2日目は早めに起床して外湯めぐりなどを楽しみながら、ゆっくり温泉街を散策。朝食後に地獄谷野猿公苑へ出発した。スノーモンキー人気で冬のこの時期は外国人ばかりが目立つのだが、この日はスカイランタンツアーの大型バスが何台も連なって上林温泉の駐車場に集まったので、珍しく日本人観光客の多い1日となった。上林温泉から地獄谷野猿公苑入口まで、行列になって山道を歩いたのは初めての経験だった。

 スノーモンキーを見学したあとは再び渋温泉へ戻り、宿泊した旅館で昼食をとった。帰りは飯山駅まで送迎してもらい、現地解散となった。

地獄谷野猿公苑入口

* * *

 今回のスカイランタンツアーを終えて、主催者である森宮交通の山岸社長は「スカイランタンは8年前の長野県北部地震からの復興を願い始まり、現在は県外から多くの観光客が集まるようになった。今回はとくに食の良さをアピールするため、ツアー時に食事提供する地元の旅館や飲食店関係者に集まってもらい、おもてなし意見交換会を開いた。その結果、昼食の評価が著しく向上し、ツアー参加者からも好評でした」と話す。

 「ツアーは2県にまたがるため、広域観光連携を民間主導で行った。スカイランタンだけで終わらず四季を通して新潟県と長野県の奥信越エリアを売っていきたい。地元に観光客を増やすことで将来的には移住定住にもつなげていきたい」(山岸社長)と熱く語った。

安心して訪日旅行を 情報提供体制を強固に 観光庁、JNTO 

2019年5月4日(土) 配信

Safety tipsのサービスをほかのアプリでも共有できるように

 観光庁は関係省庁・機関と手を組み、災害などの非常時でも外国人旅行者が安心して旅行できるよう対策を進めている。このほど、日本政府観光局(JNTO)のコールセンターの自動音声案内機能やチャットボット機能などを整備した。JNTOアプリとSafety tipsアプリの機能も統合。非常時なども含め、JNTOの情報提供体制を強固にした。

 自動音声案内は日・英・中・韓の4言語、チャットボット機能は英・中・韓の3言語。コールセンターは24時間365日体制で、機能の拡充と合わせ非常時の問い合わせ集中に対応する考え。

 Safety tipsは、緊急地震速報や津波警報、気象特別警報などをプッシュ型で通知できる外国人旅行者向けアプリだ。観光庁が監修している。

 今回は避難場所の取得機能などを付け、非常時のガイダンス機能の強化をはかった。災害発生時にはプッシュ通知で自動的に情報を発信する。

 なお、観光庁はアプリ制作会社の協力を得て、Safety tipsのサービスをほかのアプリでも共有できるようにした。Safety tips APIを利用すれば、事業者が持つアプリに災害時情報を5言語(英語・簡体字/繁体字・韓国語・日本語)で配信できるようになる。一から仕組みを構築する必要がないため、事業者の負担をなくしつつ、災害情報を提供できるようになる。

 昨年の災害時には情報提供が不十分だったとの指摘を受け、対策案をまとめて取り組んできた。同庁は「これらの周知に努め、引き続き提供される情報内容の充実化などをはかる」と述べた。

 今後はJNTOの認定外国人観光案内所や海外事務所を活用し、総合的な情報提供を行う見通し。

旅行者の9割満足 観光庁、音声翻訳技術を初調査

2019年5月3日(金) 配信

観光庁はさらなる導入を促す

 観光庁はこのほど、多言語コミュニケーションの課題に対する全国規模の調査を初めて行った。総務省所管の情報通信研究機構(NICT)が開発した多言語音声翻訳技術の効果を検証した。全国50地域の観光関連施設500軒と、外国人旅行者270人を対象とした。これによると、施設と旅行者の約9割が「満足度が高まる」と答えた。観光庁は同技術の周知に努めて、さらなる導入を促していく方向だ。

 同庁の受入環境アンケートで、旅行中困ったことは「施設などのスタッフとコミュニケーション」が3年連続で最多だった。この課題を踏まえ、解決に有効なツールとして、VoiceTra(ボイストラ)に代表される同技術の検証を行った。

 同技術を活用した民間のアプリには、凸版印刷の「ボイスビズ」や、フィートの「どこでも翻訳」などがある。機器には、ログバーの「illi インバウンド」、ソースネクストの「POCKETALK®W」などが販売されている。

 観光関連施設の調査結果をみると、全体の86%が「外国人旅行者への対応がしやすくなった」と答え、満足度も89%だった。

 外国人旅行者では、全体の95%が「コミュニケーションが成立する」「利用が拡大することで訪日時の満足度が向上する」と回答した。

 一方、外国人旅行者のニーズとして「専門用語の追加」「長文での翻訳対応」「認識精度向上」「カメラ読み取りでの翻訳機能」などがあった。

「休暇村安曇野Bed&Breakfast」6月1日から期間限定でプレオープン

2019年5月2日(木) 配信

休暇村安曇野Bed&Breakfast

 休暇村協会(河本利夫理事長、東京都台東区)はこのほど、長野県安曇野市にある豊田市民山の家「リゾート安曇野」を購入した。改修工事を経て「休暇村リトリート安曇野ホテル」として、2020年春の開業を目指している。開業に先駆け、2019年6月1日(土)から11月30日(土)までの期間限定で、既存の施設のまま「休暇村安曇野Bed&Breakfast」として、1泊朝食付きでプレオープンする。

安曇野「朝ごはん」

安曇野「朝ごはん」

 安曇野は清流育ちの代表格「わさび」に始まり、ニジマスやイワナ、ヤマメなど北アルプスのふもとで伏流水の恩恵を受けて育った米や黒豆、タマネギ、信州リンゴなど食材の宝庫となっている。旬の食材と地域の食文化を安曇野「朝ごはん」と銘打ってアレンジする。メニューの例としては、新鮮な安曇野野菜スムージーや土鍋を使った炊き立てごはん、野山の幸根菜サラダ、前菜、肉または魚のメイン料理、季節汁のお椀、旬の果物などがそろっている。

美肌の湯

美肌の湯

 風呂は、刺激が少なく肌に優しいアルカリ性単純温泉で、入浴すると肌がすべすべする「美肌の湯」とも言われている。広い内湯やサウナ、露天風呂には寝湯もあり、星空を楽しみながらゆったりと温泉浴が楽しめる。

安曇野「朝のお散歩会」

朝のお散歩会

 朝食までの時間は「朝のお散歩会」(所要時間30分)が楽しめる。朝、ロビーに集まりホテルを出発。アカマツとクヌギの森を抜けると背中には北アルプス、安曇平のむこう遠くまでぐるり山々に見守られているような朝焼けの景色。目の前に広がる田園風景は季節によってさまざまな表情を見せ、四季折々の景観を楽しめる。

周辺観光情報

 同施設の周辺には、「東洋のロダン」として知られる荻原碌山の「碌山美術館」、現代フランス画壇を代表するジャン・ジャンセンの「安曇野ジャンセン美術館」、絵本画家いわさきちひろや、世界の絵本画家の作品を展示する「安曇野ちひろ美術館」など多くの美術館があり、併設されたカフェなどで景色を眺めながらのんびりと過ごせる。また、古くから日本アルプスの総鎮守として広く信仰されている「穂高神社」、四季折々に花にちなんだイベントを開催する「国営アルプスあづみの公園」、日本一広大なわさび田を有する「大王わさび農場」などの観光施設がある。少し足をのばすと、現存天守として日本最古の松本城のある「松本市」、山岳景勝地として名高い「上高地」、日本最古の仏像と言われる一光三尊阿弥陀如来をご本尊とする善光寺のある「長野市」、黒部ダム・立山黒部アルペンルートの入口「大町」など、車での移動圏内にも観光施設が数多くあり、その拠点としても利用できる。

施設概要

施設名称:休暇村安曇野Bed&Breakfast

所在地:〒399-8301 長野県安曇野市穂高有明7682-4

営業期間:2019年6月1日(土)~11月30日(土)

客室数:22室(和室14室/洋室4室/和洋室4室)定員90人

施設構成:天然温泉(単純温泉・大浴場/露天風呂)、レストラン、売店など

宿泊料金:1泊朝食付1室2人利用時 大人8千円(税抜/入湯税別)小学生5千円(税抜)幼児(4歳以上)2500円(税抜)

予約受付:2019年5月1日(水)午前9:00から電話/公式ホームページにて

TEL:0263-31-0874

乗継ルートで表記揺らぎ HPに自動翻訳の誤訳も 観光庁

2019年5月2日(木) 配信

3月4日に行われた調査のようす

 観光庁は4月3日、公共交通機関の駅施設などにおける多言語表記について、初の全国一斉調査の結果を公表した。整備が進んでいる一方、異なる事業者を乗り継ぐルートで揺らぎや情報が不足している箇所もあった。併せて外国人旅行者が、交通機関の利用時にみる主なホームページについて調べた。85社のHPを調査し、自動翻訳による誤訳や構造上の課題などが複数見つかった。

 調査では外国人調査員が現地を歩き、乗り継ぎ案内などで誤訳や表記の揺らぎが無いかを探した。北海道から沖縄まで計80ルートを見て回った。一部を除き日本語の案内があれば、英語での案内もあった。とくに迷いやすいところには、英語に加え中国語や韓国語が併記されていた。

 一方、課題点には「乗換先ごとに階段が異なる」「特急列車などの乗車方法が分からない」「表記内容が見えづらい」などが挙げられた。

 課題解決に向け、先進的な取り組みもみられた。JR西日本・大阪駅では、ホーム上に路線ごとに乗換しやすい階段の案内版がある。

 近畿日本鉄道・京都駅では、券売機付近に特急や急行を利用する場合の運賃や経路、乗り場などが整理して案内されていた。このほか、ピクトグラム(絵文字)で分かりやすく表記する例が多数あった。

 HPでは全言語共通の誤訳の傾向が明らかになった。とくに自動翻訳では「小人」が、「dwarf(おとぎ話に出てくる小人などの意)」になるように、意味の通らない表現になる場合があった。

 駅名の固有名詞も翻訳され、利用が難しいものもあった。

 中国語では、簡体字ページに繁体字表記がある場合やこの逆になっていることが頻繁に見付かった。

 このほかにも、HPの構造上の課題が散見された。時刻表などが、トップ画面から3、4回ページをまたがなければ確認できないことがあった。

 ニュースリリースなど、閲覧の可能性が低いページが目立ち、乗車案内などが探しづらい場合があった。

 同庁は「翻訳の完成度を高める必要がある」としたうえで、「外国人旅行者のニーズを理解し、必要な情報をより容易に見つけられるような取り組みも重要になる」と指摘した。

日台の観光格差縮小へ新戦略を 徐 銀樹・栄誉理事長(中華民国旅館商業同業組合全国連合会)×石井 貞德・本紙社長

2019年5月1日(水) 配信

徐銀樹氏(左)と石井貞德・本紙社長

 本紙の石井貞德社長は3月14日、観光事業交流のため台湾・台北市を訪れ、中華民国旅館商業同業組合全国連合会の徐銀樹栄誉理事長と1年ぶりに再会した。両氏は、徐氏の経営する京都商務旅館で「日台観光交流のさらなる拡大と、格差縮小に向け官民挙げた新たな戦略の必要性」などについて対談した。

 :2018年の台湾人の出国者数は約1664万人で、うち観光・ビジネスで日本を訪れた人は約483万人。全出国者数の約3割を占め、実に台湾人の4・8人に1人が日本を訪れた計算になります。

 一方、日本人の出国者数は約1895万人で、このうち台湾が占める割合は約1割程度です。

 日台間の相互訪問者数の格差が年々拡大していることを、危惧しています。

 石井:確かに重視すべき問題ですね。

 多くの日本人は本当に台湾が好きなのですが、現状では、航空機の予約が取りづらいなど問題もあり、今後、改善を要する点でもあります。

 また、台湾の官民が連携して、日本の各都道府県を訪れ、観光誘致に努めることで大きなアピールになるでしょう。

 :政府の観光管轄機関が日本に対し、新しい観光客誘致戦略を打ち出すことが大事です。

 さらに、台湾のインバウンド業界も日本を見習い、定期的に日本各地で誘致活動をすべきだと思います。台湾の素晴らしさをアピールすることで、観光客増加のチャンスが出てくるのだと考えています。

 現在、日本各地に住んでいる台湾人・台湾留学生にも、台湾の観光発展の一助となるべく「台湾をアピールしてほしい」とお願いしています。

 台湾と日本は歴史的、地理的にもつながりが深く、台湾には日本人が観光に訪れたくなる観光資源がたくさんあります。とくに台湾の多くの町には日本時代の歴史的建造物や名所が、そして各地に美味しい食べ物があります。

 石井:鉄道の旅も魅力的です。電車で台東に行ったり、あるいは船で緑島に行ったりする旅もいいですね。

 私は長年、観光産業に関する人やモノを報道していますが、おっしゃるように台湾各地には風光明媚な観光地や観光ルートも多い。各県市には観光サービスセンターも設置され、観光パンフレットにはすべて日本語による説明があります。

 :治安も良く、公共交通の利便性も高いのが特徴です。衛生医療面も日本同様に充実しています。インターネット環境も整備されています。

 石井:台湾人は人情味に溢れ、日本語が話せる人も多く、物価も日本より安い。日本人が観光するのに最も適した魅力的な観光地だと思います。

 :台湾と日本は文化的類似点も多く、ともに義理人情に厚く、共存共栄の信念を持っています。より多くの日本の方々が海外旅行の第一の候補地として台湾を挙げてくださるよう、この場をお借りしてお願いいたします。

 石井:私も各地で台湾の民間観光大使になり、1人でも多くの日本人が台湾を訪れるよう働きかけています。双方の努力によって、来年再会するときは訪問者の格差が縮小していることを願っています。

  ◆プロフィール

 徐 銀樹(じょ・ぎんじゅ)氏 1981―88年まで日本に留学し、亜細亜大学、日本大学大学院を卒業。東日本大震災直後から、福島をはじめ東北地方の復興支援に赴いた親日家。

富岡製糸場ポスターが国土交通大臣賞に、第67回日本観光ポスコン

2019年4月30日(火) 配信

世界遺産 富岡製糸

 日本観光振興協会はこのほど、第67回日本観光ポスターコンクールの優秀作品を決定した。国土交通大臣賞は「世界遺産富岡製糸場」(群馬県富岡市)が受賞したほか、総務大臣賞は「『秋田犬の里』集中プロモーション『行け、行け、アキタ。』」(秋田県)が選ばれた。

「秋田犬の里」集中プロモーション『行け、行け、アキタ。』

 今回は全国から147作品の応募があり、52作品が第1次審査を通過。そのなかから、審査会で各賞を選定した。

 受賞作品は次の通り。

 【国土交通大臣賞】世界遺産 富岡製糸場(群馬県富岡市、トレードマーク)【総務大臣賞】「秋田犬の里」集中プロモーション『行け、行け、アキタ。』(秋田県、JTB秋田支店・JTBコミュニケーションデザイン)【観光庁長官賞】渥美半島田原市の四季の魅力(渥美半島観光ビューロー、エクスラージ)【日本観光振興協会会長賞】Photogenic City室蘭(室蘭観光推進連絡会議、電通・たき工房)【インバウンド賞】「GO!OGA!(英語版)」(東日本旅客鉄道秋田支社、ジェイアール東日本企画秋田支店)【審査員特別賞】愛知デスティネーションキャンペーン未来クリエイター愛知 想像を超える旅へ。(JRグループ、ジェイアール東海エージェンシー・JTBコミュニケーションデザイン)【審査員特別奨励賞】あなたの六合 こなたの六合(群馬県吾妻郡中之条町、群馬県立女子大学文学部国文学科「六合えむプロジェクト」)【入賞】JEWELRY ICE(豊頃町観光協会、プロコム北海道)▽福滋県境 鉄道遺産回廊「長浜、敦賀、南越前」(長浜市・敦賀市・南越前町観光連携協議会、ライトスタッフ)

 審査会に先立ち、2月8~3月11日まで行われたオンライン投票の結果は次の通り。投票者数は1万1101人、有効投票数は2万1911票。

【1位】絶景をハシゴする(長州路観光連絡会下関長門連携事業専門部会、five o’clock shadow)【2位】小樽ゆき物語・余市ゆき物語(小樽観光協会、北日本広告社)【3位】北海道ポスター「Good day 北海道」(北海道観光振興機構、北海道ジェイ・アール・エージェンシー)【4位】「冬に恋。函館 second season」(函館市、電通北海道)【5位】大分県由布市―おしえたくなる時間があります。(由布市まちづくり観光局、山口靖雄)【6位】上越市観光イメージポスター(新潟県上越市、エムエー・プランニング)

第67回結果発表
https://www.kankou-poster.com/67vote_result.html
日本観光ポスターコンクールの結果発表は専門的な観点から各賞を決定するものです。審査員は、評論家の山田五郎氏、写真家・映画監督の宮澤正明氏、グラフィックデザイナーの左合ひとみ氏をお迎えいたしました。

「女将のこえ221」小口 正子さん、四季彩一力(福島県磐梯熱海温泉)

2019年4月30日(火) 配信

四季彩一力 小口 正子さん

自分の居場所

 昨年100周年を迎えた四季彩一力。四季彩という冠を象徴するのは、5千坪の日本庭園・水月園だ。すべての客室は庭園に面しており、文字通り四季の彩を味わえる。 

 正子さんは佐世保の出身。夫で社長の憲太朗さんとは東京で出会った。大学入学日にサークル勧誘のチラシの山から見つけた一枚。これこそ、憲太朗さんが作ったものだった。それは、もともと正子さんの興味があったお能のサークル。謡、仕舞、囃子を各流派の宗家に師事し、お能の「型」を叩き込んだ。

 卒業後はイギリスへ。私立の全寮制の学校に教員として赴任した。英国労働許可証の期限2年間は、3年に延長された。全校生徒たちが「帰らないで」と署名活動をしたのだ。親元を遠く離れて暮らす生徒たちの心に、正子さんは人として寄り添ったのだろう。

 帰国後は佐世保で家業に入った。父から接客や経営のイロハを学び始めたころ、「福島国体で宮様が3組おいでになるから早く来てもらいたい」と、一力に嫁ぐ。異文化で戸惑いもあったろうが、居場所を探り始めた。

 17年前、憲太朗さんとブライダル部門を立ち上げる。この話になると正子さんの瞳が輝く。「一力にしかないお二人らしいブライダルを創造し、人生の節目節目に寄り添える場所になれたら。一力の歴史の中で、私たちの代から始まる生涯顧客を創りたい」。

 ブライダルの過程では、両家の関係性や空気を察し、思いやりの心得などを立場を超えてアドバイスすることもある。

 「お食事処でお客様のご挨拶を終えた後、新郎新婦から届くご相談メールを、夜遅くまでチャットのようにやりとりすることも珍しくありません」。まさにプロデューサーでありカウンセラーでもあるのだ。

 東日本大震災で福島が負ったものは計り知れない。県外の宿泊客は激減したと聞くが、一力にはほとんど風評を受けない、地元に根付くブライダルがあった。義母で女将の潔子さんからの「ブライダルをやっていてよかった。ありがとう」は、正子さんにとって忘れられない言葉になったのではなかろうか。

 「私にとって、女将は羅針盤のような存在です。『発信型の宿であれ』という女将の気概を、受け継ぎたい。旅館は日本文化を伝える場所。正しい型をわきまえることで、型破りにならない新しいことにも挑戦できる。いま学生の娘にとっても、私がそういう存在になれたらと思う。スタッフにも身近な存在でありたい」。ここが、24年かけてつくった正子さんの居場所だ。

 (ジャーナリスト 瀬戸川 礼子)

住所:福島県郡山市熱海町熱海4-161▽電話:024-984-2115▽客室数:75室(300人収容)、一人利用可▽創業:1918(大正7)年▽料金:1泊2食付18,000円~(税別)▽温泉:アルカリ性単純温泉▽ブライダル「ブラッサムガーデン」はオーダーメイドで神前式・人前式・教会式に対応。全館無料Wi‐Fi完備。

コラムニスト紹介

ジャーナリスト 瀬戸川 礼子 氏
ジャーナリスト・中小企業診断士。多様な業種の取材を通じ、「幸せのコツ」は同じと確信。働きがい、リーダーシップ、感動経営を軸に取材、講演、コンサルを行なう。著書『女将さんのこころ』、『いい会社のよきリーダーが大切にしている7つのこと」等。

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(4月号)」

2019年4月29日(月) 配信

http://zoomjapon.info

〈巻頭言〉

クロード編集長

 日本の天皇の生前退位と新天皇即位に伴う新元号決定のニュースは、フランスの各メディアでも取り上げられました。ル・フィガロ(Le Figaro)紙は「REIWA」の言葉の由来や命名のされ方を中心に解説し、ル・モンド(Le Monde)紙は、加えて日本人の新元号の受け止め方や、IT対応の懸念、そして日常の中での西暦と和暦の併用についても言及しています。けれども、「令和」という言葉を理解するだけでは、この新時代に何が期待され、何が課題なのかは見えてきません。平成最後の月となったこの4月、本誌では「さよならHeisei」と題して特集を組み、日本社会が歩んだ平成の30年間を振り返りました。文化面では静岡県袋井市の小学校で実践されている食育についてのリポート、旅ページでは、旧東海道、江戸の趣を残す箱根八里の旅を紹介しています。

(編集長 クロード・ルブラン)

特集 さよなら平成…

3月中旬にパリを訪れた湯浅誠氏

 1989年に昭和が幕を閉じ、平成という新しい時代が始まったとき、人々はより豊かな未来を期待していた。しかし現在、大多数の国民が将来に期待をしていないという。政治的には、内閣が頻繁に入れ替わり不安定な時代だった。安倍内閣が再誕生してからは、経済効果が表れた一方、原発の再稼働が始まり、軍事力の増強がうたわれ、戦争ができる国へと変化しつつある。そのなかで、過去の戦争を悔やみ、平和を願いながら退位する明仁天皇は、日本の新たな象徴となるだろう。■加速化する格差社会:湯浅誠氏に平成の幕開けと貧困問題の始まり、そして現状について聞いた。■イノベーションとガラパゴス現象:長い間、世界からすべてをコピーすると言われてきた日本人は、平成に入り独自の技術革新に成功した。燃料電池車、i-modeケイタイや無料通信アプリの開発のほか、LEDなど画期的な製品を生み出したが、電化製品に関してはアジア他国に市場を奪われた。日本国内仕様のものが多く、海外に普及しなかったことが致命的だった。■市民権を得たオタクたち:マンガ、アニメ、地下アイドルなど、サブカルチャーが活発に発信され、その影響は海外まで広がっている。

〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉サクラ咲く

フランス仕様のキリンの広告

 よくフランス人から、日本で桜を見るのにベストな旅行時期はいつなのかという質問を受けます。満開の桜並木と、ひらひらと花びらが舞う薄紅色の世界は、年齢を問わず多くの人々の憧れのようです。最近はさらにその人気に拍車がかかり、「花見」への注目度も急上昇。3月末付のル・フィガロ紙は、パリから南西に約370㌔に位置するロワール地方モレヴリエ市内の東洋庭園内が花見ピクニックを解禁した情報を伝えています。パリでは、近郊のソー公園が昔から在仏日本人たちのお花見スポット。いつからか、そこに日本好きのフランス人たちも集うようになり、2013年には太鼓や阿波おどりのイベントも開始。ついにソー市公認の「Hanami」として、コスプレーヤーたちも集まる大イベントに成長しました。この時期に市内の地下鉄駅で目につくのは、キリンビールの広告。太鼓橋がかかる川とサクラ咲く谷の風景は、まるで桜源郷のよう。飲食店に設置された同じシリーズの紙コースターのピックアップ率も高く、コンセプトの人気を裏付けています。このようなフランス国内での桜をめぐる盛り上がりは、日本へのインバウンドに確実に一役買っていそうです。

 

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