飯能で北欧ライフ、体験施設「メッツァ」開業

メッツァビレッジ宿泊(イメージ画像)
メッツァビレッジ宿泊(イメージ画像)

 フィンテックグローバル(玉井信光社長)とムーミン物語(ロバート・ハースト社長)はこのほど、埼玉県飯能市の宮沢湖を中心としたエリアに、〝北欧時間が流れる森と湖での体験を通じて、こころの豊かさの本質に気づき、日常生活へと持ち帰れる場所〟を目指した「メッツァ」を開業する。

 同施設は、北欧のライフスタイルを体験できる「メッツァビレッジ」(2018年秋開業予定)と、ムーミンの物語を主題とした「ムーミンバレーパーク」(19年春グランドオープン予定)の2つのゾーンから構成。来場者に(1)挑戦(2)創造(3)共有(4)解放(5)探究(6)想像――の6つの体験価値を提供する。また、同施設の体験は(1)答えは自分で考え、見つけるものという考えの「人それぞれの答えがある」体験(多様性・変化)(2)湖畔で味わう風の心地よさや足の裏で感じる根っこの力強さなど「五感を刺激する」体験(体験・感覚)(3)少しずつ積み重ねて、大きな成果を手に入れる喜びと感動の「積み重ねが意味を持つ」体験(継続性・蓄積)――の3つの指針に基づいて設計されている。

 メッツァビレッジでは、自然豊かな公園機能を維持し、自然を身近に感じられる施設やアクティビティを展開。地元野菜や工芸品などを購入できるマーケットや、サウナが併設された宿泊施設なども計画予定。さらにムーミンバレーパークでは、ムーミンの物語を追体験できる複数のアトラクションや、原作者トーベ・ヤンソンが物語に込めた想いを感じることのできる施設を予定している。

第42回 プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選発表

第42回 プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選発表
八幡屋、初の総合1位

 旅行新聞新社が主催する第42回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」、第37回「プロが選ぶ観光・食事、土産物施設100選」、第26回「プロが選ぶ優良観光バス30選」と選考審査委員特別賞「日本の小宿」10施設が決定した。「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」は、福島県・母畑温泉の八幡屋が初の総合1位に選ばれた。また第37回「プロが選ぶ土産物施設100選」では浅間酒造観光センター(群馬県・長野原)が21年連続で1位に輝いた。各賞入選施設を紙面にて紹介。受賞した各施設への表彰式と祝賀パーティーは、来年1月20日、東京・新宿の京王プラザホテルで開かれる。…

 

※ 詳細は本紙1653号または12月16日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

旅館軒数4万661軒、減少に歯止めかからず(16年3月末時点)

 旅館減少に歯止めかからず――。厚生労働省が11月17日に発表した2015年度「衛生行政報告」によると、15年度末現在の旅館営業軒数は前年度比3・0%減の4万661軒と1年間で1238軒減少した。14年度の減少数と比べると、226軒少ないものの、依然として旅館減少の流れに歯止めがかからない状況が続いている。

 一方、ホテル営業軒数は同0・9%増の9967軒となり、88軒増加。10月30日に訪日者数が2千万人を突破し、訪日外国人観光客が急増していることも、ホテル営業軒数が増加した要因の1つと考えられる。宿泊軒数(簡易宿泊施設、下宿含む)は前年度に比べ、379軒減少し7万8519軒だった。

 客室数でみると、旅館は前年度比8363室減の70万1656室となった。ホテルは同1万1744室増の84万6332室と大幅に増加し、ホテルと旅館の客室数の差は14万5千室近くと、依然としてその差は広がり続けている。

 山小屋やユースホステル、カプセルホテルなどの簡易宿所は2万7169軒と前年度の2万6349軒から820軒増加した。下宿は722軒で前年度の771軒から49軒減少した。

 都道府県別にみた旅館軒数は、静岡県が2769軒で最も多く、以下は(2)長野県(2363軒)(3)北海道(2285軒)(4)新潟県(1926軒)(5)三重県(1450軒)(6)福島県(1380軒)(7)栃木県(1295軒)(8)山梨県(1279軒)(9)東京都(1209軒)(10)千葉県(1177軒)。前年8位だった栃木県が、山梨県を抜き7位に浮上。東京都も順位を1つ上げ9位となった。

 一方ホテル軒数の上位は(1)東京都(682軒)(2)北海道(679軒)(3)長野県(520軒)(4)兵庫県(423軒)(5)福岡県(397軒)(6)大阪府(387軒)(7)静岡県(377軒)(8)沖縄県(372軒)(9)埼玉県(364軒)(10)神奈川県(332軒)の順となった。前年1位の北海道と2位の東京都の順位が入れ替わったほか、前年7位の大阪府が静岡県を抜き6位となった。

 政令指定都市の旅館軒数は、大阪市が371軒と昨年1位の京都市を抜き1位。以下は(2)京都市(369軒)(3)名古屋市(245軒)(4)熊本市(184軒)(5)浜松市(170軒)。

 一方ホテル軒数は、(1)大阪市(307軒)(2)札幌市(177軒)(3)福岡市(171軒)(4)京都市(163軒)(5)横浜市(136軒)の順となった。 

1653_01

2016年を振り返る ― さまざまな変化、来年大きく動き出す

 2016年の新語・流行語大賞は「神ってる」。今年の一皿は「パクチー料理」。今年の世相を表す漢字は「金」に決まった。楽天市場2016年ヒット商品番付では、東の横綱は「♯インスタ映え消費」、西の横綱は「ハイブリッド○○」となり、年末ムードが一気に押し寄せてきた。

 観光業界は3月26日には、北海道新幹線の新青森―新函館北斗間が開業し、明るい話題に包まれたが、4月に発生した熊本地震は、大きな打撃を与えた。8月の台風は北海道や岩手県・岩泉町など多くの地域が被災した。10月には鳥取中部地震も発生した。訪日外国人客は10月に史上初の2千万人を突破し、“爆買い”ブームは沈静化しつつも、「インバウンド」というワードは今年も観光業界の話題の中心にあった。

 そんななか、「違法民泊」の問題が観光業界を超えて大きな議論の的となった。旅行者の宿泊形態も多様化しており、さまざまなメニューをそろえる必要性もある。ただ、家主不在の投機を目的としたものを「民泊」と呼ぶには違和感を覚える。「民泊新法」が来年の通常国会に提出される予定だが、17年は宿泊業界も大きな枠組みの変化を迎えるだろう。

 国際的にも大きく動いた年だった。6月には英国の国民投票でEU離脱を決めた。11月の米国大統領選挙ではドナルド・トランプ氏が勝利した。韓国では朴槿恵大統領の弾劾訴追案が国会で可決され、職務停止となった。日本の安倍晋三首相は、年末に山口県長門市でロシアのプーチン大統領と会談し、その後米国・オバマ大統領とハワイ・真珠湾を訪問する。5月のオバマ大統領の広島訪問に加え、歴史的な年となる。さまざま変化が世界中、日本国内でも起こったが、本当に大きく動き出すのは17年だ。

 この数年、インバウンドが注目され続けているが、日本人の旅行動向も変化している。JTBの年末年始旅行動向によると、海外旅行が前年同期比3・3%増加する見込みだ。プラス成長は3年ぶりだ。円高傾向と、燃油サーチャージがなくなったことがその主な要因だという。しかし、来年2月には燃油サーチャージが復活する。この勢いがどこまで続くか、不安材料もある。

 長年低迷を続ける海外旅行を盛り上げるには、熟年や高齢者に頼る市場ではなく、やはり若年層への旅行喚起が必要だ。若者が旅行に行きづらい環境にあることが最大の問題ではあるが、旅行会社や旅館・ホテルもこれからの新しい層を取り込む努力をしなければ、業界ごと取り残されてしまうこともある。

 お客を受け入れる側のおもてなしやホスピタリティが取りざたされるが、むしろ最近は客の無作法が目立っている。

 老舗宿などでも「最近はこちらが教わるような、ごもっともな鋭い指摘をされるお客様はほとんどいなくなり、理不尽な言いがかりをつけるお客様が多くなりました」というような話をよく耳にする。

 本来、客と店は対等な関係であるが、今は高級店、大衆店を問わず、「自分は客なのだから」と、どんなわがままを押し通しても許されると勘違いしている客がやたら増えている。日本式の“世界に誇る”おもてなしは、無作法な客を甘えさせている、というのは言い過ぎだろうか。

(編集長・増田 剛)

要件緩和 着地型促進へ、ランドオペに罰則整備進む(新たな旅行業法制検討会WG)

 観光庁は11月25日に東京都内で、第2回「新たな旅行業法制に関する検討会」ワーキンググループを開き、中間とりまとめ(案)を提出した。地域限定旅行業などの登録要件を緩和し、着地型旅行の促進をはかる。ランドオペレーターは新たな区分の登録制を導入し、禁止行為や罰則整備を進める方向性を示した。

 地域限定旅行業と第3種旅行業の1部は業務範囲が限定されている。現行は隣接市町村までだが、旅行業法施行規則で、観光庁長官が定めた区域でも業務は可能。この規定の運用を進め、観光実態に沿った地域設定へと緩和する考え。

 旅行業務取扱管理者は試験と設置義務を見直す。地域限定旅行業者が取り扱う旅行に限った試験を新たに創設する。

 管理者試験は安全に関する知識などのため実施。一方で全国の地理などの出題は、各地域で行う着地型に必要ないと判断した。管理者は営業所に1人以上の設置義務を、一定の条件で複数営業所兼務を認める方針だ。

 旅行業者代理店業の登録要件も改める。ホテル・旅館などが着地型商品の販売拠点になるように、代理店制度を改正。複数社からの商品取扱いを解禁する予定。ただ、旅行者の安全確保なども踏まえ、1社専属制は継続していく。

 ランドオペレーターは新たな規制の枠を設けるため「交通サービスや宿泊サービス、通訳案内士の手配などを業務とする事業者」と定義した。訪日旅行と国内旅行の手配が対象になる見通し。

 消費者に直接関係しないBtoB業務であることを踏まえ、営業保証金は不要となる見込み。旅行業登録も義務ではなく、国や関係機関が旅行業登録を促す、にとどめた。

 登録をしない事業者には新たな区分の登録制度を導入することで、実態把握や指導が行える体制を整える。過度な規制ではなく、必要最低限の規制にしていく構えだ。

 具体的な資格は明示されなかったが、資格者の設置義務を課す。管理者制度をそのまま適用せずに、研修で資格が取得できるなどの方法も示された。

 旅行者の安全を担保するため、旅の手配に禁止行為を設ける。旅行地で法令違反が起こるような手配などで、必要に応じて観光庁などが処分を命じる。

 罰則は違反したランドオペレーターや無登録のランドオペレーターに対して整備する。ただ、無登録のランドオペレーターと取引した旅行業者らにも、それぞれの法律に基づき適切に処分を行う考えだ。

 着地型の措置とランドオペレーターの法案提出は、今年度中の実施が閣議決定済み。

 同庁は中間とりまとめを受け、早急に制度設計に取り込む。

【平綿 裕一】

集え!新潟初心者

 北陸新幹線開業以降、関西圏でのメディア露出が増えたこともあり、それまでより新潟県を意識する関西人が増えてきたような気がする。

 実際、大阪・梅田の地下街にオープンした新潟県のアンテナショップ「じょんのび にいがた」には、関西では、あまり見かけることのない銘柄の地酒やお菓子、さらには名物の「笹だんご」や「栃尾の油揚げ」などを買い求める人を多く見かける。

 そんな、まだまだ新潟初心者の関西人向けに、新潟県の魅力を伝える「新潟学ゼミ」が来年3月まで毎月1回開かれている。新潟県観光協会大阪観光センターが主催するもので酒や温泉など、それぞれ専門分野で新潟の魅力を語ってくれる。今後の予定は1月11日、2月1日、3月1日。新潟にちょっと興味ありという人はぜひ。

【塩野 俊誉】

利用者向け機能開発へ、国内の利用促進はかる(トリップアドバイザー)

9月に代表に就任した 牧野友衛代表
9月に代表に就任した
牧野友衛代表

 トリップアドバイザー(本社=米国マサチューセッツ州)の日本法人(牧野友衛代表、東京都渋谷区)は国内での事業を強化する。同社が運営するサイトは、11月現在で世界49カ国・地域、28言語で展開。登録施設数680万軒に対し、口コミは4億3500万件、月間利用者数は3億9千万人に上る。ただ日本への参入が遅れ、利用者は諸外国と比べ低い。今年9月に牧野氏を代表に迎え、国内の展開で巻き返しをはかる。
【平綿 裕一】

 トリップアドバイザーは11月29日に東京の本社で会見を開き、国内の取り組みや旅行動向などを報告した。国内利用者向けに機能開発を進め、今後は施設オーナーに対して管理ツールの提供を強化する方針。国内の利用促進をはかり、プロモーションも実施予定だ。

 とくに注力するのはモバイルアプリ。牧野氏は「日本で展開するならこれが柱となる」と強調した。就任数カ月で、国内向けに無料通信アプリLINE(ライン)でログイン対応とアカウントを開設。日本を含むアジア太平洋地域で開発チームを新たに設置した。国内向けの機能開発にも取り組んでいく構えだ。

 牧野氏は2003年にグーグルでビジネス開発担当として、新規プロダクトの国内展開や開発に携わった。11年にツイッタージャパン入社後は国内利用者拡大の責任者として、事業戦略の立案と実施を行った経歴を持つ。

 施設オーナーには無料の管理ツールの提供を強化する。施設ページ管理のほか、競合の総合評価や口コミなどのデータを比較できる。長所短所が一目でわかる仕組み。口コミなどを意見として取り入れることで、事業内容の改善が見込める。

 同社のサービスは世界で普及している一方、国内で使用頻度は高くない。08年に日本法人を設立したものの、国内への参入が遅れた。

 ただ11年から15年の過去4年で、国内施設数のレビューは843%増と大きく伸びている。このうち92%が日本語だが、世界28カ国に自動翻訳される。

 同社によると、世界およびアジア太平洋地域で日本の閲覧数は1位。もっとも閲覧が多い国は米国で、中国、台湾、香港と続く。

 「土台となるコンテンツは充分」(牧野氏)。来年の後半に一般利用者向けのプロモーションを行う予定。マーケティングにも力を入れて行く考えだ。

男女で異なるニーズ、求める割引や特典で

宿研が卒業旅行アンケート調査

 宿泊予約経営研究所(末吉秀典社長)はこのほど、卒業旅行にまつわる調査をまとめた。これによると、性別によって求める「割引」や「特典」の内容が異なることがわかった。

 調査は4―7月に同社が行った専門・短大・大学生向け会社説明会で292人を対象にアンケートを実施。90%の263人が卒業旅行に行く予定があると答えた。

 「誰と一緒に行くか」の問いには、大学の友達が55%で1番多かった。以下(2)大学以外の友人(27%)(3)恋人(8%)(4)家族(7%)(54)その他(3%)――と続く。「何人で行くか」では、男性は「5人以上」(34%)が最も人気が高かったが、女性は「2人」(33%)が1番多く、性別による違いが表れた。

 宿を予約する際の方法については、「宿泊予約サイト」が男性(46%)、女性(55%)と男女ともトップだった。「旅行代理店」は男性が17%に対し、女性は24%と女性の利用率が高い。一方で「宿に直接電話」は男性が16%、女性が6%。「宿の公式ホームページ」は男性が19%、女性が13%と、いずれも男性の比率が高い結果となった。宿泊費用は男女とも2万円以内が7―8割を占めた。

 また、卒業旅行の宿泊プランにあったらうれしい特典については、男女ともに「割引」が圧倒的に多かった。

 性別では、男性はレンタカーやレジャー施設、お土産割引など価格を中心とした特典を求める。一方、女性は「写真撮影サービス」「アルバム作成特典」など、そのときにしか味わえないものや体験できないものなど、「記念」や「思い出」になるものを求める傾向が強い。

 宿泊予約経営研究所では、「男女別の特典プランを用意することで、より学生のニーズに近づけるのでは」と分析している。
         

16・8%増の214万人、累計で初めて2千万人突破(10月外客数)

1653_04

 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)がこのほど発表した10月の訪日外客推計値によると、1月からの累計が前年同期比23・3%増となる2011万3千人と、初めて2千万人を突破した。10月単月では、同16・8%増の213万5900人と、2015年10月の182万9千人を超え、10月として過去最高となった。

 市場別では、カナダとドイツが単月として過去最高を記録。そのほかロシアを除く17市場が10月として過去最高となった。とくに欧米豪の市場は、軒並み20%を超える大幅な伸びを記録し、10月の訪日外客数の増加に貢献した。

 10月の重点市場の動向をみると、韓国は同21・2%増の44万9600人で、10月として過去最高を記録。また、10月までの累計は416万9千人となり、15年の年計である400万2095人を上回った。

 中国は同13・6%増の50万6200人と10月して過去最高を記録。例年、国慶節で外国旅行需要が増える時期だが、とくに今年は曜日配列がよかったことが訪日需要を押し上げた。

 台湾は同3・2%増の35万4500人で、10月として過去最高を記録。LCCを中心に座席供給量が増加するなど押し上げ要因があったものの、訪日者数の伸びは1ケタにとどまった。

 香港は同19・3%増の15万4千人で、10月として過去最高を記録した。10月は外国旅行のオフシーズンだが、重陽節にともなう3連休や、秋の魅力をPRする旅行会社との共同広告などが訪日意欲を後押しした。

 そのほか、東南アジア諸国は、タイが同14・3%増、シンガポールは同18・6%増、ベトナムは同15・5%増、インドは同18・3%増など、堅調に推移した。ベトナムは10月として過去最高を記録。10月までの累計は20万2600人となり、15年の年計である18万5395人を超えた。旅行博への出展や、訪日旅行プロモーションなどが、訪日意欲を後押しする要因となった。

 なお、出国日本人数は同3・2%増の145万8千人となった。

エコな無料バスで地域貢献、ピーアークと2社が協働

地域の足として利用されている「ピーくんバス」、 ニーズの染谷氏(左から2人目)らも
地域の足として利用されている「ピーくんバス」、
ニーズの染谷氏(左から2人目)らも

 首都圏にパチンコホールなど36店舗を展開するピーアーク(庄司正英会長)は地域への貢献をキーワードに、さまざまな取り組みを続けている。今回は、同社と東京ワーナー観光(渡辺広光代表)、ユーズ(染谷ゆみ代表)が協働で行う地域貢献プロジェクト“ピーくんバス”を取材した。

“ピーくんバス”は同社の「ピーくんガーデン」(東京都足立区)と、亀有駅・綾瀬駅をつなぐ無料巡回バス。東京ワーナー観光が運行を、ユーズが燃料の供給を担う。特徴は環境への配慮の厚さで、利用燃料はリサイクルされた天ぷら油だけという徹底ぶりだ。

加藤千晃氏
加藤千晃氏

 巡回バスに着目した理由は、「ご年配の方が多く、移動手段が少ないことが地域の特徴だから」と、ピーアーク東京の担当、加藤千晃氏は語る。

 同社では、出店する地域のニーズを確かめたうえで、最適な取り組みを選択し実行に移すよう心がけてきた。1982(昭和57)年に開業し、14年にリニューアルオープンした際、地域への「お役立ち」を模索するなかで、誕生したアイデアだという。

 バスの運営を担当する東京ワーナー観光の水越重行旅行事業部営業課長は、「巡回バスの運行は、リニューアルと同時にスタートした。ピーアーク社が協賛する“みんなの夢をかなえる会”主催の“みんなの夢AWARD6”ファイナリストに、染谷代表の率いるユーズ社の企画“TOKYO油田2017”が選ばれたことで、環境への配慮も実現できた」と、これまでの経緯を説明する。

 燃料を担当するユーズは、循環型社会の達成を目指している。ユーズの染谷代表は、「天ぷら油も、再利用すれば大切な資源。次は油を利用した発電を予定している。電力の買い上げや、電気自動車などの面でも、2社と協働していきたい」と、今後の連携にも期待を寄せた。

給油のようす
給油のようす