耐震、無許可宿泊営業など、青年部員らが陳情活動(全旅連)

青年部臨時総会で桑田雅之部長があいさつ
青年部臨時総会で桑田雅之部長があいさつ

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の青年部(桑田雅之部長)の各都道府県部長らは9月16日、衆・参両院議員会館を訪れ、自民党議員らに耐震問題に加え、無許可宿泊営業などの規制緩和に対して、「公平性を欠き、安全性の面からも断固反対」との立場から、「新規参入事業者にも旅館業法の遵守を強く求める」積極的な陳情活動を行った。

 耐震問題は、改修工事に対する補助率引き上げ措置の延長や、自己負担部分の金融支援の充実などを要望。また、耐震工事が終わっていない施設の公表を16年3月を予定しているが、3年間の延期も口頭で求めた。要望書は全旅連の北原茂樹会長と、桑田青年部長の連名となっている。

 前日の15日には、青年部の臨時総会が開かれ、桑田部長は「先日、北原全旅連会長とともにAirbnb(エアビーアンドビー)の社長とお会いした。宿泊業の資格を持っていない民間の人たちがAirbnbを介してお客様を受け入れている。継続的に宿泊の対価をいただくということは、『グレー(ゾーン)』ではなく、違法の『ブラック』であり、我われと同じ土俵で戦っていない部分を明日からの陳情活動で、強く訴えていきたい」と語った。

 北原全旅連会長は「青年部が陳情活動をしていただけることは、宿泊業の政治団体である全国旅館政治連盟の会長としても大変うれしく思う」と謝意を示し、「改正耐震改修促進法に関する要望では全国の都道府県のなかで耐震診断、改修工事を含めた補助金の制度が整備されていないところが14県ほどある。このうち、来年2月以降に補助制度を作ると態度表示をしているところを除くと、群馬県と石川県の2県だけが予定が立っていない。明日の陳情では、我われ旅館は国の法律に沿って安全のために耐震問題に取り組むので、補助制度を早急に立ち上げていただくようにお願いしていただきたい」と訴えた。

 また、特区の問題については、「昨年戦略特区というものが閣議決定された。我われは“特区13条”と呼んでいるが、『その地域においては旅館業法の適用を除外する』としている。国は各自治体に、民間の方が外国人滞在用の営業施設を作る場合に『特段の緩和をしてほしい』として、そのような旅館業法施行条例を作るよう求めている。この内容にともなって同時進行しているのが、戦略特区でなくてもAirbnbに代表されるインターネットなどを通じて民間の方がホストに登録すれば、旅館営業ができるということ。このような状態が全国に広がっている。新規参入される方は旅館業法の適用を除外され、一方、既存業者である我われはその適用を今まで通り受ける。これは同じ競争者としてイコールフッティングではない。一部の参入業者にだけ適用除外するのは不公平」とし、「特定の地域に新規参入者のための新しいルールを作るにしても、まったく既存の業者のいない地域でならわかるが、多くの既存の我われ同業者がいるなかで、突然入ってきた者だけに特権を与えるという法律は許されない。このようなことを閣議決定されたのなら、『我われを規制している旅館業法そのものを全面廃止してください。営業許可制度を廃止して、届出制度にしてください』と訴えてほしい」と強調した。さらに、「新規参入者は少なくとも一番規制の緩い簡易宿所の営業許可を取るべきであり、我われは目に見えない部分で安全にお金を投資している。新規参入者も事故を起こせば責任を問われる。安全に対する自覚と責任を持つべきである」との考えを示した。

 要望書の内容は次の通り。

【要望書】

 改正耐震改修促進法による耐震改修工事を行う事業者に対して、その費用負担が極めて大きいことから、事業継続が可能となるよう、改修工事に対する補助率引き上げ措置の延長、自己負担部分に対する金融支援の充実など、国としての特段のご援助を願いたい。

 【理由】地域経済を支え雇用の場を提供している旅館・ホテルの灯が消えることは、観光立国を推進するうえで大きな損失であります。地方創生の芽を摘まないためには宿泊産業の存続が必要であると考えます。

 小規模宿泊業のための規制緩和に関する要望書

 (1)昨今、旅館業法の認可を受けずにマンションや空き家の転貸を反復継続して行う無許可宿泊営業が急増しており、取り締まりも行き届いていないことから設備や管理の不備による事故や近隣トラブルが頻発しております。

 (2)2020年の東京オリンピックを前に東京をはじめ大都市のホテルの供給不足が声高に叫ばれ、空き家の所有者やシェアリングエコノミー事業者を対象とする規制緩和の検討がなされていると聞き及びますが、調査によると想定される不足客室数4500室に対し既に1万室に及ぶ新規供給が予定されており、安全基準を満たしていない空き家を無条件で開放しなければならないという論拠にはなり得ません。

 (3)仮に旅館業法を緩和もしくは適用除外にしたとしても、旅館営業に関連して遵守すべき建築基準法、都市計画法、食品衛生法、消防法、暴対法、売春防止法など多岐にわたる関係諸法をすべて適用除外とし、かつ他産業との整合性を取ることはまず不可能であり、現在業界が協力している宿泊税や入湯税の徴収、伝染病の予防や処置、テロ対策なども難しくなることから、運用時には各省庁や地方行政においてさらなる混乱を引き起こすことは必至であります。

 (4)旅館業法が新規参入の一部の事業者には適用されず、既存事業者のみが対象とされ続けることになるのは著しく公平性を欠くものであると同時に、利用者の安全を一律に担保できず消費者の混乱を招きます。新規事業者に対しても求められる安全性は不変であるとの考えから規制緩和には断固反対し、シェアリングエコノミーの健全な発展のためにも新規参入事業者に対しても旅館業法(簡易宿所許可を含む)の遵守を強く求めます。

 (5)我われとしては、旅館業法が必要と考えていますが、万一、新規事業者に対して旅館業法の適用除外、もしくは安全性を著しく欠いた新基準が定められるのであれば、旅館業法は国民の安全のために必要ではないことになるので、その場合は旅館業法の全面廃止がなされるべきものと考えます。

14年は3300億円の損失、クレジット使用制限で(Visa)

龍武史部長
龍武史部長

 ビザ・ワールドワイド・ジャパンは9月16日、東京都内で報道関係者らを集めてインバウンド消費の現状や拡大に向けた課題などを説明した。このなかで、クレジットカードの使用制限により、2014年度の訪日外国人による売上機会として3300億円を失っていると発表した。

 同社クロスボーダーマーケティング&ビジネスの龍武史部長は「“決済インフラ”の課題とVisaの取り組み」と題し、プレゼンテーションを行った。決済インフラの整備については、14年12月26日に内閣官房と金融庁、消費者庁、経済産業省、国土交通省、観光庁がキャッシュレス化に向けた方策を示し、国としても訪日外国人観光客の利便性向上に取り組んでいるところ。現状、海外のガイドブックには「日本ではカードに頼るのは得策ではない」と掲載されるなど、現金決済が依然として主流だと説明されている。

 一方、東京と京都、那覇の飲食店750店舗を対象に行った調査で、カード利用が可能なのは65%と約3分の2にのぼることが分かった。ただ、このなかで全加盟店に配布され、カード利用ができることを示す「アクセプタンスマーク」を貼っているのは27%、さらにこのなかで店頭に貼っている店舗は44%となり、全体では8%しかカード利用ができる店舗として認識されていないことも明らかになった。

 対して訪日客に行った調査では、83%がカードで支払うか否かに関わらず、「アクセプタンスマークのあるお店を好む」と回答。買物に与える影響でも、買物時にマークを探す頻度は「毎回」が14%、「頻繁」が40%となった。カードが使えない場合、利用金額は慎重になると答えた人は64%にのぼり、マーク表示が買物時の不安を解消し、誘客につながることがうかがえる。また、ビザ加盟店への調査でカードの平均単価は現金の平均単価より38%高いことが判明。龍部長は「高額だからカードを使ったのかもしれず、単にカード利用で単価が高くなるとは言えないが、相関関係としてカード利用者の方が単価は高く、マークがあればカードで高額なものを購入する意欲につながる傾向はある」とし、マーク表示の重要さを強調した。

 これらのことから、マーク非表示やガイドブックなどの情報で「カードが使用できないだろう」という思い込みを持たれている場合や、ランチタイム時の利用不可などカード利用時の条件があることで「使用を試みたが使用できなかった」という場合に売上の機会を逸していると分析。「14年の訪日客数1340万人で考えると経済損失は3300億円に相当し、2千万人では6千億円超になると考えている。これは今、環境を整えるだけで取り込める額」と述べ、旅行者1人当たり17%の売上増加が見込まれると試算した。

 また、ビザでは地域と提携し、キャンペーンなどを行っており、プレゼンでは北海道の例が示された。今後は京都市とも連携し、取り組みを行う予定。説明会に登壇した京都文化交流コンベンションビューロー国際観光コンベンション部の赤星周平部長によると、京都のインバウンドの課題は買物への満足度が低いことだという。現在実施している施策は、免税店を拡大するための説明会や専用ホームページを設置していること、免税店スタッフ向けの英語トレーニング、多言語コールセンターの開設、免税店情報の発信強化など。今後は、増加する外国人観光客の具体的な買物需要や傾向調査を行っていくことが必要だとし、「多方面の施策を同時に推進し、さまざまな民間企業と連携していきたい」と語った。

平成の薩長土肥連合、4県知事が観光連携を宣言

(左から)鹿児島県・伊藤知事、山口県・村岡知事、高知県・尾﨑知事、佐賀県・山口知事
(左から)鹿児島県・伊藤知事、山口県・村岡知事、高知県・尾﨑知事、佐賀県・山口知事

 2018年の明治維新150年に向け「薩長土肥」、現在の鹿児島県(薩摩)、山口県(長州)、高知県(土佐)、佐賀県(肥前)の4県が連携する新たなプロジェクトがスタートした。4県の知事(鹿児島県・伊藤祐一郎知事、山口県・村岡嗣政知事、高知県・尾﨑正直知事、佐賀県・山口祥義知事)は8月31日、東京の明治記念館で広域連携開始を宣言する「平成の薩長土肥連合」の盟約締結式を行った。

 共同事業の展開で、幕末・維新をテーマとする新たな広域観光周遊ルートの形成や各県観光の知名度の向上を進め、明治維新150年に向けた観光需要の拡大をはかる。また、全国的にも珍しい遠隔地での連携という特徴を生かし、相互送客の体制構築などを目指す。

 4県への誘客に向けた旅行商品の造成促進については、観光素材集の作成、旅行会社のヒアリングによるテーマ・ルート構築、合同説明会の開催、クルーズ誘致などを展開する。

 4県それぞれが座長を務めるプロジェクトチームを設け、各県役割分担のもと、鹿児島県は広域観光ルート形成、山口県は観光プロモーション推進、高知県は共同イベント開催、佐賀県は旅行商品造成の各プロジェクトを推進するという。

1日13往復に決定、来年3月26日開業へ(北海道新幹線)

紫の帯が特徴の北海道新幹線
紫の帯が特徴の北海道新幹線

 JR北海道とJR東日本はこのほど、北海道新幹線の新青森―新函館北斗間約149キロが来年3月26日に開業し、1日13往復すると発表した。ダイヤの詳細は後日発表されるが、東京―新函館北斗間が最速約4時間で結ばれる。

 13往復の内訳は、東京―新函館北斗間が10往復、仙台、盛岡、新青森と新函館北斗間を結ぶ列車がそれぞれ1往復する。列車は10両編成で乗車定員は731人。座席は新幹線のファーストクラス「グランクラス」をはじめ、「グリーン車」「普通車」の3クラス制。

 新函館北斗から函館駅には新幹線アクセス用電車「はこだてライナー」(基本3両編成)を16往復運転し、すべての新幹線との接続をはかる。札幌方面へは、函館―札幌間を1日12往復する特急「スーパー北斗」「北斗」を函館北斗駅に停車させ、利便性を高める。

 新幹線開業にともない、特急「スーパー白鳥」「白鳥」(新青森―函館間)、急行「はまなす」(青森―札幌間)、寝台特急「カシオペア」(上野―札幌間)は廃止する。

全国の病院などで配布、16年版「ピンクリボンのお宿」冊子

全国100宿泊施設のお風呂情報を紹介
全国100宿泊施設のお風呂情報を紹介

 「ピンクリボンのお宿ネットワーク」(会長=畠ひで子「匠のこころ吉川屋」女将、事務局=旅行新聞新社)は、10月1日、参画する宿泊施設の情報をまとめた「2016年版ピンクリボンのお宿」冊子を発行した。

 旅先で気兼ねなく入浴を楽しんでもらうことを目的に、誌面では「入浴着をレンタルできる」「大浴場の洗い場に間仕切りがある」「貸切風呂がある」「タオルを多めに用意している」など、全国100の宿泊施設のお風呂情報を紹介。プランや送迎、食事への配慮、禁煙ルームの有無などの情報も記載する。活動に賛同する女将会などの団体や企業の紹介、HOPEプロジェクト理事長の桜井なおみさんによるコラム、巻末には宿泊者に向けた特典クーポンも掲載する。

 冊子は毎年ピンクリボン月間である10月に発行し、今回が4冊目となる。全国の乳腺科のある病院などを通じ、乳がん経験者やその家族などに旅のガイドブックとして手に取ってもらえるよう、フリーペーパーとして配布する。仕様はA5版フルカラー80㌻で、発行部数は10万部。「ピンクリボンのお宿ネットワーク」ホームページ上から1部取り寄せもできる。

 問い合わせ=ピンクリボンのお宿ネットワーク事務局(旅行新聞新社内) 電話:03(3834)2718。

下呂温泉のアンテナショップ、東京・吉祥寺にオープン(下呂温泉観光協会)

店内写真
ショップオープンで賑わう店内

 岐阜県の下呂温泉観光協会は9月30日、東京・吉祥寺に同温泉のアンテナショップ「いでゆ千年のかおり―白鷺伝説―」をオープンさせた。飛騨の地酒や飛騨牛、郷土料理の「鶏ちゃん」、温泉水配合の石鹸など、下呂をはじめ岐阜県内の特産をそろえ、首都圏でのPRを強化していく考えだ。

手湯
下呂温泉の手湯を設置

 10月2日までの3日間は、オープン記念として2千円(税別)以上買い物をすると、先着200人に「飛騨牛しぐれ(80グラム、1200円相当)」をプレゼントする。さらに4日までは、「美人の湯」である下呂温泉を体験できる「手湯」を設置。今後は、イベントにあわせて温泉体験ができるように展開する予定だ。

 場所は、JR吉祥寺駅そばのダイヤ街東急チェリナード・アーケード街。営業時間は午前10時―午後7時まで(年末年始は定休日)。

 問い合わせ=TEL:0422(22)5667。

 
 
 

【参加者募集中】福島・白河で宿坊体験の旅(10/29、11/5出発1泊2日)

shirakawa
 福島県白河市では、写経や座禅を身近に感じてもらおうと「宿坊体験と歴史散策の旅」を企画しています。JR東北本線・白河駅発着、参加費は1泊2日3食付で大人8000円。

 今春から3重櫓の公開を再開した小峰城や県の重要文化財にも指定されているハリストス正教会など歴史が息づく街並みも散策するプランです。出発日や旅行内容は下の通りです。現在、参加者を募集中。秋のご旅行にぜひお出かけください。

開催日 : 第1回目/平成27年10月29日(木)~10月30日(金) 長寿院編
    : 第2回目/平成27年11月 5日(木)~11月 6日(金) 関川寺編

料 金 : 1名様:8,000円
食 事 : 一泊3食付
宿 泊 : きつねうち温泉(地元の食材を使った精進料理をお楽しみください)
主な観光場所 : 小峰城、脇本陣・柳家の蔵座敷、ハリストス正教会
         寺院では写経、法話、座禅を体験します。

申込み : 桜プロジェクト 080-2820-9066
詳細は白河観光物産協会のホームページ(http://shirakawa315.com/news/post_711.html)で

【10月7日】ピンクリボン家族の日、岩松旅舘が貸し切り営業(宮城県作並温泉)

四季折々の渓流美を眺めながら温泉を楽しみたい
四季折々の渓流美を眺めながら温泉を楽しみたい

 ピンクリボンのお宿ネットワーク(事務局=旅行新聞新社)に加盟する「鷹泉閣岩松旅舘」(宮城県・作並温泉)は10月7日、「ピンクリボン家族の日」を開き、乳がん経験者や治療中の人、家族など男女問わず術後の配慮ができる人に向けて、全館貸し切り営業をする。

 当日は、心ゆくまで温泉を楽しめるよう、通常より1時間ずつ長い午後2時チェックイン、午前11時チェックアウトに設定。バスタオルやフェイスタオルを必要な枚数用意するほか、通常より照明を落とした脱衣所には間仕切りを設置するなど、着替え時に周りの目が気にならないよう工夫を施す。また料理にもこだわり、養生に配慮した特別メニューを準備する。

 岩松旅舘が乳がん経験者等に向けて全館貸し切り営業するのは今回が5回目で、過去4回の参加者はそれぞれ15名前後。定員308名、91の客室を有する大型旅館としては営業的に厳しい部分もあるが、担当者は「温泉をあきらめていた方に一人でも多くお湯に浸かっていただき、当館で心身を癒してもらえれば」と話し、今後も年1回、10月のピンクリボン月間に合わせた開催を予定する。

 料金は1泊2食付きお一人様1万800円から。

 問い合わせ=鷹泉閣岩松旅舘 電話:022(395)2211。

地域によって異なる未婚男女のバランス ― 地方行政も「出会いの場」をサポート

 「出会いがない」なら出会いの場をつくろうと、地域創生の一環として地方自治体や旅行会社も熱く動き始めた。

 2010年時点の生涯未婚率は男性が20・1%、女性が10・6%だったが、30年には男性が27・6%、女性が18・8%と飛躍的に増加すると、国立社会保障・人口問題研究所が予想している。未婚率が大幅に上昇する原因は結婚しづらい社会構造もあるだろうが、でもそれだけではないような気がする。

 地域によって未婚男女のバランスが異なる結果も出た。総務省統計局によると、20―39歳で未婚男性よりも未婚女性の方が多いのは鹿児島県、福岡県、奈良県、長崎県、兵庫県、熊本県、宮崎県、大阪府、佐賀県、京都府など西日本に偏り、一方、未婚女性より未婚男性が多いのが栃木県、茨城県、愛知県、静岡県、富山県、群馬県、福島県、山形県、長野県、神奈川県など東日本に偏っている。このため、地域を超えた出会いの場の必要性が言われている。

 リクルートマーケティングパートナーズが運営する「ゼクシィ縁結び」が今年7月にまとめた、東名阪の都市部在住者の地方での暮らしへの関心についての調査では、「地域の暮らしに興味のある20―30代男女」の割合は、既婚者は34・6%、そして未婚者は48・1%と意外に高く、約2人に1人は、都市部ではなく、地方での生活に関心を持っていることがわかる。

 しかし、いくら関心があっても、実際に行ってみなければ、そもそも現実的な気分になれないし、その前に何らかの「取っ掛かり」が必要である。

 地方創生が国の政策の柱となっているが、その根幹となるのは人の交流であり、もっと言えば、定住人口の増加、さらに望めば、若年層がたくさん地元で生活してくれることである。

 佐賀県は、首都圏でさまざまな企業やメディアとコラボレーションしながら情報発信を強めていくプロジェクト「サガプライズ!」に取り組んでいる。その一環として、ゼクシィ縁結びと協力して、佐賀県の農業や漁業などに携わる生産者や、酒蔵の職人など独身男子と、未婚の東京女子を結び付ける多様な「縁結び」イベントを仕掛けていく予定だ。9月4、5日に東京都内で首都圏在住の男女約290人と佐賀県の職人・生産者約70人が交流できるフェスティバルを実施すると、気軽な気持ちで参加した人も、佐賀県の食の魅力などを初めて知る機会となり、イベントは大盛況だったという。10月末から11月の初めにかけ、首都圏の未婚女性約30人が2泊3日で佐賀県を訪れ、交流を行う「佐賀 ご当地結び旅」も計画されている。LCCの「Spring Japan(春秋航空日本)」や日本旅行も、このツアーに参画している。

 「出会いがない」と多くの若者が感じているという。だが、身近に理想的な異性がいるなんて幸運は滅多にない。そうであるなら自ら動くしかない。つまり、異性を求める旅だ。野生動物だってあらゆる手段を講じて、そうやっている。自ら動けない植物に至っては、ミツバチなんぞを利用する。強かである。それに比べ人間は移動や通信手段は万全なのに……。もっと動いて、旅して、日本中、世界中の人と出会う機会をつくるべきだと思う。地域や旅行会社は、ときには“ミツバチ”となって出会いをサポートするのもいい。

(編集長・増田 剛)

新長官に田村明比古氏、前航空局長、鉄道局次長など(観光庁)

田村明比古長官
田村明比古長官

 国土交通省は9月11日付で、5代目となる新観光庁長官に前航空局長の田村明比古氏を任命した。なお、久保成人長官は退任した。
 【次号で田村新長官の会見を掲載】

 田村 明比古氏(たむら・あきひこ)。東京都出身の60歳。1980年東京大学法学部卒業後、運輸省入省。83年に同省大臣官房人事課(アメリカ・コーネル大学留学)、87年に同省国際運輸・観光局外航課付(休職・海事産業研究所)。90年に富山県企画県民部博覧会推進局主幹、93年運輸省大臣官房人事課専門官などを経て、97年には外務省在アメリカ合衆国日本国大使館参事官に就く。2000年運輸省運輸政策局観光部旅行振興課長、01年国土交通省総合政策局観光部旅行振興課長、02年に福岡県企画振興部理事。04年に国土交通省海事局港運課長、05年同省港湾局港湾経済課長、06年同省航空局監理部総務課長。08年、同省大臣官房審議官(国際、国土計画局担当)、10年同省大臣官房審議官(鉄道局担当)、11年同省鉄道局次長、12年同省航空局長を経て、15年9月観光庁長官就任。