東京タワー、3月3日体験型展望ツアースタート

2018年1月12日(金) 配信

3月3日、トップデッキツアーがスタート

東京タワーは現在リニューアル工事を進めている特別展望台で、2018年3月3日(土)から事前予約制のツアー形式で案内する「トップデッキツアー」を開始する。高さ250㍍に位置する特別展望台を「トップデッキ」と改称。東京や東京タワーの過去、現在、未来を感じられる体験型展望ツアーに仕上げる。

 参加者は新設される専用レーンで受付をし、まずはメインデッキ(旧称大展望台)へ。そこからツアー参加者だけが見学可能なタワーギャラリーで、タワーの建設風景や東京の名所の過去と現在をガイドの案内のもと体感。トップデッキへのエレベーターを待つプラットフォームでは、エレベ ーターを待つ間、フォトカード撮影やオリジナルデザインのコップで飲み物を提供。コップは持ち帰りができる。

タワーギャラリーの先には、シークレットライブラリーを用意。参加者を楽しませる。

 トップデッキでは、13言語対応の音声ガイドを聞きながら250㍍の高さから東京の街並みを楽しめる。内装は「東京の 未来を映し出す鏡」をテーマに鏡とLED 照明の 演出を取り入れ、2020 年に向けて変化し続ける、現在進行形の“未来”の東京を表現する。

トップデッキの内装は、鏡とLED照明で演出

 フランス・パリのエッフェル塔など、観光客が集まる外国の展望台では完全予約制を採用し、混雑を解消させているところも多い。東京タワーでは、今回のアトラクションをスタートするにあたり、同様の対策を採用。トップデッキから降りる際も、専用の呼び出し機器を提供することでエレベーターの待ち時間を解消した。

トップデッキツアー 概要

料金: 大人(高校生以上) 2800 円、子供(小中学生) 1800 円、幼児(4 歳以上) 1200 円。すべて税込。

入場時間:午前9:00~午後10:15(年中無休)

※15 分おき、最終ツアーは午後10:15 発

予約方法:

 専用web ページで、1 月 23 日(火)12:00(正午)から受付スタート。3 月 3 日(土)のグランドオー プン初日のトップデッキツアー参加者には、当日限定の記念品をプレゼントする。

※専用 web ページへは、東京タワー公式ホームページからアクセス可能。ツアー予約はクレジット決済のみ。電話予約は行っていない。 トップデッキツアーがスタートする 3 月 3 日(土)以降は、東京タワー1 階のチケットカウンターに限り、現金による予約・購入も可能。

京都府が移住フェアを東京初単独開催、新たなライフスタイル提案

2018年1月12日(金) 配信 

美山

京都府は2018年1月20日(土)に秋葉原UDXギャラリーで、東京都内近郊の人々に「京都だからできる暮らし方」を発信するため、東京初の単独開催となる移住セミナー「京都府移住・交流フェアin秋葉原」を開く。就職や就農、婚活などに関する相談会も行う。

 今回のフェアを通じ、登壇者が実際に経験したリアルな移住体験を紹介。従来の働き方の固定概念にとらわれず、近年20代~40代を中心に注目されている新しいライフスタイル「半農半X」などを取り入れた京都府での暮らし方を提案する。

 同府には観光地として人気の高い京都市のほか、日本海の海の幸が豊かな北部地域や、豊かな森林のもと懐かしい里山の風景が残る中部地域、宇治茶の生産地として有名な南部地域など、魅力的な地域が多い。

 当日は「移住セミナーコーナー」「個別相談コーナー」「東京から『京都』とつながりをつくる交流会」の3つのコンテンツを用意。

 メインの「移住セミナーコーナー」で、京都移住コンシェルジュ 千葉明日香氏と、半農半X研究所代表 塩見直紀氏、京都移住計画代表 田村篤史氏の3人が登壇。それぞれのテーマに沿った移住に関するトークイベントを行う。

 移住や仕事などの疑問に答える個別相談コーナーや、参加者、セミナーゲスト、出展団体が気兼ねなく意見交換する「東京から『京都』とつながりをつくる交流会」を予定している。

「京都府移住・交流フェアin秋葉原」概要

日時:2018年1月20日(土) 午後1時00分~午後6時00分

場所:UDXギャラリー(東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX 4F)

参加費:無料

主催:京都府(農村振興課 TEL:075-414-4907)

申込方法:ホームページの申込フォームからのお申込み

<移住セミナーコーナー>

 京都の移住のキーマンである京都移住コンシェルジュ、半農半X提唱者、京都移住計画代表の3人を招き、移住セミナーを行う

・「京都での暮らし方10通り紹介します!」

登壇者:千葉 明日香氏(京都移住コンシェルジュ)

時間:午後1時15分~午後2時00分

内容:一度は地元を離れ東京に住み、 Uターン就職をした京都移住コンシェルジュの千葉氏が「京都府で出来る田舎暮らしのカタチ」を、具体事例をもとにご紹介

・「半農半X~“100”のXを生み出す~」

登壇者:塩見 直紀氏

(半農半X研究所代表、福知山公立大学地域経営学部特任准教授、総務省地域力創造アドバイザー)

時間:午後2時30分~午後3時30分

内容:自分や家族が食べる分の食料は小さな自給農でまかない、残りの時間は自分のやりたいことに費やすという、近年注目されている新しいライフスタイル「半農半X」に関して、提唱者である塩見氏が紹介。それぞれの「X」の見つけ方を伝授する

・「京都移住計画」

登壇者:田村 篤史氏(京都移住計画代表、株式会社ツナグム代表取締役)

時間:午後4時00分~午後5時00分

内容:自分らしさを活かした仕事のつくり方や、リアルな移住体験に関して紹介

※各先着50人程度

<個別相談コーナー>

 移住や就職、就農、婚活などの相談ブースを出展。京都府、市町村、仕事、住まいの事など、さまざまな疑問に応える。

・市町村等移住相談コーナー…京都市、福知山市、舞鶴市、宮津市、亀岡市、京丹波町、伊根町(移住相談ブース)、京都府移住総合相談窓口(京都移住コンシェルジュ)

・就職・就農等相談コーナー…京都ジョブパークUIJターンコーナー(就職相談)、京都ジョブパーク農林水産業コーナー(就農相談)、丹後農業実践型学舎(大規模野菜生産の担い手を育成する現地研修支援制度の紹介)、きょうと婚活応援センター(京都府内の出会いや結婚に関する相談等)

<東京から「京都」とつながりをつくる交流会>午後500~午後6:00

 参加者・セミナーゲスト・出展団体が合同でさまざまな事について自由に話をする交流会を実施。移住以外についても気兼ねなく聞くことができる。

ゲストプロフィール

<千葉 明日香(ちばあすか)>

千葉氏

役職:京都移住コンシェルジュ

1985年京都府宇治市生まれ。 大学卒業後は(株)リクルートに入社。社会に出て初めて地元を離れ東京に住み、刺激の多さに圧倒されつつも、地方の良さを再確認。地元に帰ろうか楽しい仕事を続けるべきか葛藤していた時期を経て、鶯やトンボが身近にいる生活に戻るべく、宇治に帰郷。 2014年10月より京都移住コンシェルジュチーフ。

<塩見 直紀(しおみなおき)>

塩見氏

役職:半農半X研究所代表、福知山公立大学地域経営学部特任准教授、総務省地域力創造アドバイザー

1965年京都府綾部市生まれ。(株)フェリシモに10年在籍し、 1999年故郷の綾部へUターン。 2000年、「半農半X研究所」を設立。 21世紀の生き方、暮らし方として、「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを20年前から提唱。

<田村篤史(たむらあつし)>

田村氏

役職:京都移住計画代表、株式会社ツナグム代表取締役

1984年京都生まれ。大学卒業後は海外放浪のすえ、東京の人材系企業に就職。会社員の傍らシェアハウス運営なども行う。全国に展開する「移住計画」の先駆けとして、 2011年に「京都移住計画」を立ち上げ、 2012年4月に退職。U ターンし、現在はキャリア支援、商店街、町家などのキーワードでさまざまな組織やプロジェクトの中での働き方を実践中。 

攻めのディフェンスで期待に応える年に、JATA田川会長会見

JATA田川博己会長

2018年1月11日(木) 配信

日本旅行業協会(JATA)の田川博己会長は2018年1月10日(水)に開いた新春会見で、2019年からの大きな変革の潮流を控える今年を「備(そなえる)」と表現。「今年は攻めのディフェンスをしていく。国内、海外、訪日の三位一体で取り組めるJATAへの期待はますます大きい。その期待に応える年にしていきたい」と力を込めた。

 1982年の旅行業法改正から35年が過ぎたことに言及し、旅行業の今後35年の発展には品質を見直すべきだと主張。「インターネットで何でも見られる時代だが、自分の目や足で確かめてコンテンツを作ることが重要。2018年はこうした根幹的な部分を太くしていきたい」と述べた。

 2019年から導入予定の国際観光旅客税(仮称)の使途については、「観光に限って目的税としての使用が実現しそうで一安心している」と胸をなでおろした。2017年度の補正予算や2018年度の予算で、「旅行の安全情報等に関する情報プラットフォームの構築」が含まれたことに対し、「海外旅行の一番の障害になっている安心安全に関するもので、旅行会社が関わる事案に予算がついた画期的なできごと」と評価。「2019年度の予算では、若者の海外旅行増加策や2国間交流の活発化など我われの要望を働きかけていきたい」と意気込んだ。

 各市場や事業の取り組みについては、国内旅行は「DMOの自立が地方創生のカギ」とし、地方自治体やDMOとの連携を一層強化していく。観光資源の磨き上げや、受け入れ環境整備への参画など旅行会社ならではの価値づくりを促進する。

海外旅行は2年目を迎えるアウトバウンド促進協議会の活動をさらに促進する。すでに成果が表れているエリアもあるが、各部会ごとにテーマを設け、取り組む。今年は日本との関係が深い国々との周年の年にあたり、2国間の交流にも尽力する。

ツーリズムEXPOジャパンは①観光の裾野の広がりを見える化した観光博覧会②経済効果③名実ともに世界3大観光イベント――の3つをポイントに取り組む。2019年の地方開催を前に、現行での完成形を目指す。

会見内の質疑応答を抜粋して紹介  

――DMOについて。

 DMOの推進は避けては通れない。大きな課題だ。住民の人たちをどう巻き込むか。日本ではDMOの取り組みは始まったばかり。5年10年先を見据え、その時々何をすべきか工程を作ることが大切。それができれば日本でも定着するだろう。

――国内旅行推進は。

 足元を見直して、魅力を磨くべき。旅行会社は地域と組んで商品開発する力が鈍っている。地域もインバウンドだけに目を向けないでほしい。国内で発展したところに外国人が集まるのが筋。国内旅行に携わる人は原点に立ち返ってほしい。

――民泊法が施行されるが。

 民泊そのものを否定するつもりはない。ニーズは高まることはあっても減ることはないと思う。ただ、宿泊施設として備えるものはそろっていないといけない。地域によっても大きな違いがあるので、運用するなかで再整備されるのでは。

――ナイトタイムエコノミー(夜遊び経済)への見解は。

 まちの商店街を夜まで空けられる仕組みなど、遊ばせ方を考えなくてはいけない。夜観光やMICE、ユニークべニューなどは地方創生とセットで考えるべき。五輪までにいくつか事例が必要。ワールドカップラグビーは地方にもお客様が周り、富裕層の観光客が1カ月ほど滞在することもあるので、それぞれの地域で議論してほしい。旅行会社としてはこうした素材は商品として扱いやすいので歓迎する。

――政治との関わりは。

 政治については会員各社の立ち位置があるが、政治力を持つことは必要だと思う。何かに使うわけではないが、業界団体として持つべき機能だという認識だ。流れは今年の総会までに作っていきたい。

高速道路の乗り降り自由に 北海道観光のフリーパスを発売

2018年1月11日(木) 配信

高速道路が定額で乗り降り自由!NEXCO東日本北海道支社が、「冬の北海道観光ふりーぱす」を発売した

高速道路が乗り降り自由になる「冬の北海道ふりーぱす」が発売された。道北と道東、道南各エリアの高速道路がそれぞれ、4,800~7千円で利用できる。

 道北プランは新千歳空港~士別剣淵IC間、道南プランは小樽~大沼公園IC(函館)間、道東プランは小樽~本別IC間で利用可能だ。価格は全プラン共通で、2日間の場合、軽自動車で4,800円、普通車で6千円。3日間の場合はそれぞれ5,600円と7千円になる。

 キャンペーンに合わせ、スマートフォン端末を用いたスタンプラリーも実施する予定で、スタンプ数に応じ豪華賞品が当たる抽選に参加できる。

「冬の北海道ふりーぱす」・スタンプラリー詳細

利用期間:

2018年1月20日(土)~4月2日(月)のうち、連続する2日間もしくは3日間

道北プラン、道南プラン、道東プラン、各々の価格(各プラン共通):

2日間、4,800円(軽自動車)・6千円(普通車)

3日間、5,600円(軽自動車)・7千円(普通車)

申込方法:以下Webサイトで受付

大内副会長、観光の動きを力強く支えると宣言

2018年1月11日(木) 配信

大内政男副会長

国際観光施設協会(鈴木裕会長)は1月11日(木)、ホテルメトロポリタンエドモンド(東京都千代田区)で賀詞交歓会を開いた。

 大内政男副会長は2013年に訪日外国人旅行者数が1千万人を達成してから5年間で2・8倍の伸び率を記録したことに触れ、「これほどの伸び率を示す産業はほかにない。観光産業はこれから日本を背負っていく基幹産業になる」と語った。

 一方、観光を支える旅館やホテルなどの観光施設は量と質、ソフトとハード面で不足しているとの指摘もあるとし、「協会がよい観光の動きを力強く支えなければならない」と訴えた。また、昨年主催した講演会を振り返り「日本の観光はまだまだ未開発、未成熟な部分があり、観光をこれからより力強い流れに変えていくには、やるべきことがたくさんある」と言及。「各地の魅力を丁寧に見ていくと、新サービス、ビジネスになる。観光分野の流れをより力強い流れにし、日本の観光、会員のビジネスにつなげたい」と宣言した。

講師はジャーナリスト・田原総一朗氏 JTB旅行文化講演会

2018年1月11日(木) 配信 

講演内容

JTB西日本は2018年3月3日(土)、ジャーナリストの田原総一朗氏を講師に迎えて、滋賀県琵琶湖で「第396回JTB旅行文化講演会」を開く。

 JTB旅行文化講演会は、1983年にスタートし、JTBの文化発信活動として全国で親しまれている。関西でもこれまでに、各界のさまざまな著名人を講師に迎えて開催してきた。

 今回の演題は、「時代をよむ ~魅力ある地域の実現に向けて~」。会場である琵琶湖汽船ビアンカで、講演を聞きながら琵琶湖遊覧も楽しめる。

第396回 JTB旅行文化講演会 概要

講師:田原 総一朗(たはら そういちろう)氏

演題:「時代をよむ ~魅力ある地域の実現に向けて~」

日時:2018年3月3日(土)

 開 場/午後0:45 出 航/午後1:30 

 講 演/午後1:40 ~3:00

 帰 航/午後3:30予定

会場:琵琶湖汽船ビアンカ

乗船場所:大津観光船のりば

 ・京阪浜大津駅より徒歩5分

 ・JR大津駅よりバスで約5分(京阪バス、江若バス、近江鉄道バス)

定員:200人(20歳以上)

受講料:無料 

 ※事前に予約された人のみ入場できる。

 ※当日は手話通訳がつく。

申込み・問合せ先

JTB西日本 大津支店

※申込書に必要事項を記入のうえ、下記まで申し込む。

〒520-0043 滋賀県大津市中央3-1-8 大津第一生命ビルディング1階

tel:077-522-4103 fax:077-522-2941

営業時間 午前9:30~午後5:30(土・日・祝休み)

申込みの締め切り

定員の200人になり次第、申込受付は締め切りとなる。

ANA、トリップアドバイザーと提携で口コミ情報掲載スタート

2018年1月11日(木) 配信 

ANAサイト上で口コミがみられるように

トリップアドバイザー(牧野友衛代表、東京都渋谷区)とANAセールス(今西一之社長、東京都中央区)は提携し、1月10日からANA海外旅行予約サイト上で、ホテルの口コミ情報を表示するサービスを始めた。

 ホテル口コミ情報は、ANAホームページ内「海外旅行パッケージツアー」の検索画面、ツアー詳細画面から見られる。トリップアドバイザーのユーザーが採点した「評価」が表示され、多数の口コミを参考にホテル選びができるようになった。

 サイト上の口コミは合計件数で表示されている。口コミのボタンをクリックすることで、ユーザーの実際の口コミが閲覧可能。さらに、旅行後には「マイブッキング 予約一覧ページ」や「メール」などから口コミの投稿もできる。投稿された口コミ1件からマイルが貯まり、毎月最大1500マイルまでとなる。口コミ情報の提供は、海外航空券+宿泊「ANA旅作」や国内旅行予約サイトへも順次展開していく見通し。

※マイルに関する詳細URL:

<サービス概要>

 1. 予約サイト内、検索画面やツアー詳細画面でトリップアドバイザーから提供される評価点、口コミ件数が表示され、評価点が高いホテルから並び順を変更することも可能

 2. 旅行終了後は専用のフォームから口コミの投稿もできる

【特集 No.480】新春対談・民泊元年によせて 予算は「人」にこそ配分すべき

2018年1月11日(木) 配信

 住宅宿泊事業法(民泊法)が6月に施行される。都市部で規制が進む一方、誘客と消費額増に生かそうと、プラットフォーマーとの提携に手を上げる地方行政も出てきた。今回はその是非から一度離れ、地域に人とカネをもたらす手段として「民泊」を捉えたいと考えた。勝瀬博則氏(パソナ)と上山康博氏(百戦錬磨)はそれぞれ、大手OTA(オンライン旅行会社)を経て、イベント民泊や合法民泊、農泊の推進に携わってきた。地域は今、何をし、何をしないべきか?一歩踏み込んだ対談を届ける。
【司会進行・構成=謝 谷楓】

 

 ――いよいよ今年、住宅宿泊事業法(民泊法)が施行となります。違法民泊の問題をはじめ、昨年は宿泊する「場所」の側面に光が当たりがちでした。

上山:違法民泊の淘汰により、物件数は一時減少するはずです。宿泊提供日数の180日規制により、都心部の不在型は運営が厳しくなるからです。

 「人」の魅力に着目した観光コンテンツの創出が、地方で民泊を運営する際には、重要となっていくと見ています。

勝瀬:同感ですね。提供日数の制約がネックとなり、都心部で部屋を借りての運営は割に合いません。一方、居住する自宅が舞台の、滞在型民泊の持つ可能性は大きいと考えます。不動産の価値だけでなく、人と人のつながりにも目を向けるべきだということです。

 ――詳しく教えてください。

勝瀬:今後は地域に住む「人」とその取り組みがコンテンツをつくっていくこととなります。場所ではなく、「人」が旅の重要なコンテンツになりはじめています。アイドルグループAKB48が良い例です。秋葉原でスタートしたものの、栄や難波、博多など、場所を問わず成功を収めてきました。「人」の持つ魅力に関心を抱き、握手会やコンサートにリピーターが集まっているのです。

 地域に住む一人ひとりが主役となる、劇場型の観光がこれからの本流です。行って帰ってくるだけの、消費される場所で終わってはいけません。

上山:観光地を磨き上げるという言葉を良く耳にしますが、人間同士のコミュニケーションを通じた摩擦がなければ輝きは望めません。外国人旅行者の視点を取り入れることも重要です。地方行政の皆さんにはぜひ、地域住民個人が活躍するステージ(舞台)として民泊を捉えてほしいと思います。

勝瀬:大型の観光施設が誘客に役立つことは否定しませんが、場所の磨き上げは差別化につながりにくいのが現実です。代えのきかない「人」に焦点を据えることが必要です。地域をPRする動画の作成がムーブメントとなっていますが、地域住民を前面に押し出す工夫が求められます。この地域にはこんな人がいるのだということを広め、ユニークな取り組みを行う「人」の発信を助ける。そういう役割を、地方行政には担ってほしいですね。

 ――地方で民泊を成功させるキーワードは、「人」のようです。

勝瀬:昨年8月、徳島市の阿波踊りでイベント民泊に携わりました。ホストとゲストの多様な交流を目の当たりにして、「人」がこれからの観光の主役だということを実感した次第です。

 地元住民の知恵とネットワークを活用すれば、新しいスタイルの地域体験を提供できるはずです。オープンマインドの方が多いのも特徴でした。地域住民と交流したい外国人旅行者の取り込みも見込めます。

 「人」に焦点を据えることは、住民の取り組みに予算を配分することを意味します。観光コンテンツの企画に携わってもらい、適切な判断のもと、予算をつけるべきです。

上山:過剰投資を抑えるためにも、有効なことです。補助金や交付金など、お金をかけずにどれだけ成果を出せるか。儲ける仕組みをつくり、補助金や交付金を無駄にしない姿勢を、地方行政は一層強く求められていますから。

 民泊法や新しい通訳案内士法の施行など、ルールが変わる今をチャンスと捉え、地域のために本腰を入れてほしいですね。…

 

※詳細は本紙1699号または1月17日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

神奈川県・箱根強羅温泉「円かの杜(まどかのもり)」 進化続ける宿

2018年1月11日(木) 配信

篠山紀信氏の限定本「食」

「本のある風景」に出会う ブックディレクター・幅允孝氏が演出

 花扇グループ(飯山和男社長)が2014年12月に神奈川県・箱根強羅温泉に開業した「円かの杜」の館内を歩くと、さまざまなエリアで「本のある風景」に出会う。飛騨の高級木材などに囲まれた温もりのある空間で、上質な落ち着きを提供する円かの杜に、新たな魅力が加わった。ラウンジや蔵バーなど館内各所に置かれた本棚には、ブックディレクター・幅允孝(はば・よしたか)氏がセレクトした本が並ぶ。ハイセンスな写真集や限定本、絶版本など、希少価値のある本もそろえ、魅惑の世界が広がる。

 開業から間もない15年4月、円かの杜は雑誌との企画で、本のある特別室「ディスカバージャパンルーム」を設置した。このときに、ブックディレクションの第一人者・幅允孝氏との縁が生まれた。

 松坂美智子女将が幅氏と話し合いながら、全館に本をセットしていった。「朝、鳥のさえずりで目覚めたお客様の知的好奇心を満たせるように」と、鳥の図鑑も置いている。建築や家具の好きな宿泊客には、北欧デンマークの建築家、家具デザイナーのフィン・ユールの本も楽しめる。

松坂美智子女将
大浴場のエリアにも本棚

 本棚めぐりも小さな館内の旅だ。

 「箱根を存分に味わうための本棚」「心と体を落ち着ける本棚」「日本の食文化を知るための本棚」「男の本棚」――の4つのテーマで回遊できる。

 例えば、大浴場近くのリラクゼーションルームには「心身ともに癒されるような本を」と、波だけが被写体の写真集が置かれている。心の中まで波に洗われるような気分になる。

 ラウンジには箱根にちなんだ本が並ぶ。滞在中の宿泊客がソファに座ってくつろぎながら本を開いている風景が見られる。

ロゴマーク
心と体を落ち着ける「波」の写真集

 食事処の入り口には、篠山紀信氏の「食材」を接写した限定本など、食にまつわる本も置いている。蔵バー「こだま」には、絶版となった少年マガジンや、退廃の香りがする男性好み本も陳列し、秘めた楽しみを演出する。

 ラウンジに接する喫煙ルームには、フランスの写真集「ノースモーキング」が渋い存在感を示す。エスプリが効いている。

 「深く読み込む種類の書籍ではなく、手にとってくつろいでパラパラとページをめくれるような本をセレクトしています。ユーモアのエッセンスも取り入れています」(松坂女将)。本のタイトルやジャンルも多彩だ。

蔵バー「こだま」のオリジナルカクテルを飲みながら…
蔵バーの「男の本棚」

各部屋に本のメニュー フロントで貸し出しも

 フロントで本の貸し出しも行っている。客室で本のメニューを見て気に入った本があれば、滞在中に楽しみが広がる。「猫と女とモンパルナス」(藤田嗣治)や「女の一生」(伊藤比呂美)、「ハーブ図鑑」(ジェニー・ハーディング)など、メニューを見るだけで心が豊かな気分になる。貸し出しの本のメニューも今後増やしていく予定だ。

 「1泊2日の滞在中の少し空いた時間などに、いつでも本を手に取れるように、彩りをまとった旅館にしたいという思いはありました」と松坂女将は語る。

 森を抜けるさわやかな風のような詩集、爛熟した雰囲気を漂わせる絶版本、エスプリの効いた書籍などが、ほどよく文化薫る世界観を醸し出している。

 本棚も幅氏が使っている家具屋に特注した。本を選びやすく、並べやすいデザイン。お洒落な脚が付いている。主張しすぎず、見過ごされない、“ちょうどいい”意匠に視線が合う。本の並べ方も決まっている。

 「宿の空間も、木と畳みだけではなく、本棚も1つのインテリアとして彩りを与えられればと思っています。朝、ラウンジでコーヒー飲みながら、景色を眺めているお客様の手元に本がある。絵になる姿です」と松坂女将は話す。

 女将は熱海に近い早川の海岸から、丸い石を拾って来た。客室に置く本のブックエンドするためだ。「強羅にも石はありますが、ゴツゴツしています。円かの杜にぴったりと合う丸い石を求めて海に行きました。子供と何往復もしながら、海岸からクルマまで20個近く運んできました」と楽しそうに笑う。

グッドデザイン賞の“人類進化ベッド”も

人類進化ベッド

 日本デザイン振興会主催の「2017年グッドデザイン賞」を受賞した「人類進化ベッド」を置く客室も備えている。「チンパンジーが樹上に作るベッド」をヒントに開発されたものだ。

 松坂雄一取締役総支配人は「お客様の宿での過ごし方の選択肢の1つとして、楽しく想像しながら人類の進化ベッドも置きました。海外の旅行者も含め、さまざまな宿泊者が来られるので、さりげなく配置したなにかに、アンテナがひっかかる方もいらっしゃいます」。

 円かの杜は訪れる度に、少しずつ進化していることに気づく。

味わい深い宿へ

 日本の宿には独特の「味わい」がある。「味わい」は人によって生まれる。

 円かの杜は、この「味わいを守り続けたい」という志のある宿が集まる「日本 味の宿」のメンバーでもある。

 華美に走ったり、豪勢を誇るだけの宿ではなく、地元に根付き、味わい深い「野にあるごとく大らかな宿」へと磨きを掛けている。

円かの杜の壮観な玄関
温もりのある木と畳の客室

“個客満足が創客に” 4都市でセミナー開く おもてなし経営研究所

2018年1月11日(木) 配信

実体験を基にポイントを伝授する西川丈次氏

 おもてなし経営研究所(代表=西川丈次観光ビジネスコンサルタンツ社長、大阪市淀川区)は、観光関係者など対象の第12回「おもてなしセミナー」を昨年12月13日、福岡市内で開催した。セミナーは仙台、東京、長野、福岡の4都市で開き、福岡会場では約30人の参加者が熱心に受講した。

 講師の西川氏は、ホテやレストラン、タクシー、バス、観光地などでの体験談を基にしたホスピタリティ実践論「もてなし上手」を旬刊旅行新聞に好評連載中。セミナーでは、西川氏が実際に体験した感動サービスの事例を基に、すぐに実行できるもてなし経営行動のポイントを伝授した。

 まず、「ありがとう」を伝えるため10枚の「Thank you」カードを配布。「使い切ろうとする勇気が、おもてなし力を高める」とアドバイス。「良いサービスだと気づく力のない人に良いサービスはできない」と述べ、「感じる力」の大切さを訴えた。

 また「おもてなし行動は、自己満足では駄目。おもてなし経営ができるかどうか」と述べ、「行動を個に向ける」重要性を強調し、「顧客満足から個客満足に向かえば、創客につながる」と指摘。「販売者が売りたい時に買ってもらえるロイヤルリピーターを作ること」の重要性を訴えた。