貸切バス連絡会、コロナの指標作成 バス・旅行会社の対応明確

2020年6月23日(火) 配信

旅行会社とバス会社の役割を明確にした。画像はイメージ

 日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会(ANTA)、日本バス協会で構成する貸切バス連絡会は6月19日(金)、貸切バスにおける新型コロナウイルス対応ガイドラインをまとめた。同ガイドラインでは貸切バスの利用客への新型コロナウイルスの感染防止策の協力依頼について、バス会社と旅行会社が行う対応を明確化した。

 具体的には、マスクの着用や消毒液の常備、手指の消毒依頼はバス会社が行う。旅行会社は出発前に利用者の体温と体調チェック、手指の消毒を要請する。体調不良の利用客に対してはツアー参加の見合わせるように促す。感染者発生時に備え、ツアーの参加者や、申し込みをした人すべての連絡先を2週間保存する。

 今後は同連絡会が加盟各社にガイドラインの使用を促す。また、バス内の空気が5~7分ほどで入れ替わることを周知することで、利用者の安全・安心につなげ、需要を創出していく考えだ。

入場制限付きで営業開始 大磯ロングビーチ、今年は7月23日から

2020年6月23日(火) 配信

大磯ロングビーチ

 大磯ロングビーチ(神奈川県・大磯町)は7月23日(木)~9月13日(日)の期間、営業内容を変更し2020年シーズンの営業を開始する。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のために、プールの利用者を、大磯プリンスホテル、鎌倉プリンスホテル、箱根仙石原プリンスホテルの宿泊者限定とする。

 入場制限を設けるに当たり、対象となる各ホテルで入場券付きの宿泊プランを販売する予定。

 また、SEIBU PRINSE CLABプラチナ・ゴールド会員を対象に、営業期間中何回でも入場できる「2020シーズンパスポート」を6月30日(火)から300枚限定で販売する。1枚10万円。1枚で4人まで利用できる。

 ビーチでの安全対策として、従業員の衛生管理の強化、検温、手洗いうがい、消毒の徹底をする。救助などの緊急時を除いてマスクやフェイスシールドを着用する。利用者にも検温や、手指の消毒、エリア入場前のシャワー、プール入水時以外でのマスク着用を義務付ける。

 プリンスホテルは新しい衛生・消毒基準「プリンスセーフティコミットメント」を独自に策定し、「お客様に安心して施設を利用していただけるよう、これを遵守していく」考えだ。

「大江戸温泉物語 汐美荘」、7月10日リニューアルオープン 記念して「肉と利き酒祭り」を開催

2020年6月23日(火) 配信

「大江戸温泉物語 汐美荘」外観

 大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ(森田満昌社長、東京都中央区)が運営する「大江戸温泉物語 汐美荘」(新潟県・瀬波温泉)は7月10日(金)、リニューアルオープンする。 7月22日(水)までは、オープニング特別記念「肉と利き酒祭り」を開催する。通常メニューに加えて「国産牛の炙りタタキ」や「ビーフカツレツ」などの肉料理を用意。新潟の銘柄酒と共に楽しめる。

 リニューアルしたレストランでは、新潟県産の豊かな食材を使ったメニューをバイキング形式で味わえる。ライブキッチンではステーキや海鮮焼きのほか、大江戸温泉物語で人気の「海鮮のっけ丼」も提供する。

 大江戸温泉物語は、「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン」に従い3密回避と除菌を徹底し、バイキング料理については感染症専門医が監修のもと提供するなど、新型コロナウイルス感染症対策を実施する。

施設概要

名称:大江戸温泉物語 汐美荘

所在地:新潟県村上市瀬波温泉2-9-36

施設規模:SRC造

南館6階建2,800平方㍍

中央館6階建2,404平方㍍

本館10階建7,875平方㍍

客室数:106室

定員数:435人

宿泊料金:4人1室利用時8,980円(税別)~ 1泊2食付バイキングプラン

TEL:0570-03226(ナビダイヤル・有料、受付時間 午前9:00~午後7:00)

開業日:2020年7月10日(金)

人気旅行ガイド「おいしい道の駅」シリーズ、全7点同時発売 昭文社

2020年6月23日(火)配信

 昭文社は、人気ガイドブックシリーズ「まっぷる おいしい道の駅ドライブ」の新刊「北海道」「東北」「中国・四国」3点と、「首都圏発」「名古屋・東海」「京阪神発」「九州 山口」』の全面改訂版4点の計7点を、本日2020年6月22日(月)から発売した。「新しい生活様式」の下で、旅行スタイルの主流と予想されるドライブ旅に役立つ1冊となりそうだ。

 「まっぷる おいしい道の駅ドライブ」は、年々増加し1173駅ある「道の駅」(2020年3月現在)の魅力をギュッと凝縮した人気の旅行ガイドブックシリーズだ。その土地ならではの地産地消ランチにスイーツ、そこでしか買えない特産品などが満載の道の駅は、いまや立ち寄りスポットにとどまらず、わざわざでかける「目的地」にもなっている。今回の発売で、全国7エリアのラインアップがすべて揃った。道の駅だけでなく周辺の見どころ、食で人気の高速道路SA・PA、産直スポットも併せて紹介している。

新型コロナ対策用ピクトグラム配布 全旅連青年部オリジナル

2020年6月23日(火) 配信 

全旅連青年部オリジナルピクトグラム

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(鈴木治彦部長)はこのほど、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、青年部オリジナルの「新型コロナ感染症対策用アイコン」を作成した。ホームページから誰でも自由にダウンロードし、利用できるのが特徴だ。

 施設のコンセプトに合わせ使用できるように4パターン(各12種)をそろえる。

 ピクトグラムは、使いやすいスタンダードバージョンと、将来のインバウンドの宿泊客を見据えた歌舞伎風バージョンを提供する。

 共通のアイコンを使ってわかりやすく「見える化」することにより、「お客様にも安全安心な旅行を楽しんでいただきたい」(青年部)としている。

「トラベルスクエア」肉筆の力

2020年6月23日(火) 配信  

 テレビをつければ、今日のコロナ感染者数とか、お客が戻ってこない飲食店主の冴えない姿ばかり見せられるので、いい加減テレビ視聴鬱になってしまいそうだ。だからあまり見ないようにしているのだが、1つだけ、気持ちが安らぐニュースがあった。

 JR東神奈川駅で、昔あった伝言板が復活したというものだ。

 
 携帯電話のない時代、駅での待ち合わせには、どきどきするものがあった。相方が遅刻しないか。別の場所に移動したいが、どう伝えればいいのか。

 
 そこで「30分待った。今日は帰る」とか「駅前の喫茶○○で待つことにする」といった内容を、黒板にチョークで記す。昭和なつかしの風景だ。
 
 それを再び改札口前に持ち出したのが東神奈川駅のスタッフ。駅員さんの中には伝言板そのものの存在を知らない人もいるみたいだが、発案者はみんなコロナの自粛でコミュニケーションに飢えているときに、たとえ片道通行でも、利用客に思いのたけを綴ってもらうのもいいのじゃないか、と考えたとのこと。
 
 書いて6時間経ったら消すルールだが、足を止めて病院関係者への感謝の念を書いたりする人も多いという。テレビで取材されていた女の子は独り身で2カ月自粛に耐え、久しぶりに駅に来て、黒板に「駅員さんありがとう」と書いて、泣き出していた。孤独が彼女を追い詰めていたことか。
 
 肉筆はいいなあ、と思う。乱雑な筆跡だって、そこには生身の人間がいたんだ、ということの証になる。
 
 そろそろ観光地旅館営業再開のニュースが各地から届き始めていて、喜ばしい。しばらく鳴りを潜めていた経営者の皆さんも、顧客リストを洗い出して、ネットなりDMを使って、メッセージを出し始めていることだろう。
 
 ここでアナログな提案だが、あなたの館にとって、とても大切なAランクの顧客には、肉筆で手紙を出そう!
 
 ネットを使うな、とは言わない。これほど未曽有の休業という苦しみを訴えるなら、やはり、肉筆だ。東神奈川駅の伝言板と同じだ。
 
 いやあ、2000通もあるよ、とても面倒でやれないよ、などと横着なことは言いなされるな。
 
 館や風景を刷り込んだ旅館の絵ハガキで良い。宛名書きが上半分の下のスペースにごくごく短い言葉を書けばいいだけだ。従業員が20人いるなら1人100枚。な~に、1人が1日10枚程度集中して書けば、10日間で完了だ。こんな忙しさをみんなが共有するところから、再建は始まると思う。
 
 コロナ以降は会議やコミュニケーションのIT化は革命的に進むが、宿のような人間臭いビジネスは、アナログ復活を合言葉に!
 

 

コラムニスト紹介

松坂健氏

オフィス アト・ランダム 代表 松坂 健 氏
1949年東京・浅草生まれ。1971年、74年にそれぞれ慶應義塾大学の法学部・文学部を卒業。柴田書店入社、月刊食堂副編集長を経て、84年から93年まで月刊ホテル旅館編集長。01年~03年長崎国際大学、03年~15年西武文理大学教授。16年~19年3月まで跡見学園女子大学教授。著書に『ホスピタリティ進化論』など。ミステリ評論も継続中。

 

 

〈観光最前線〉生活者カレンダーの更新を

2020年6月22日(月)配信

コロナ後の世界をカレンダーで可視化

 新しいサービスや企画を考える時、それを利用する人の暮らしを想像しなさい――社会人になりたてのころ、そう教わった。イメージを可視化するため、真っ白な年間カレンダーに、個人や家族の予定を書き込み「生活者カレンダー」を作った。その過程で、運動会や修学旅行は、自分が経験したころと実施時期が変わっていたことを知った。

 テレワークや休校など、コロナ禍では多くの人が、かつてない生活様式を急に求められた。まずはその変化を書き出してみる。次に今後を想像する。元に戻るや変わったまま、歪みを調整して進化などに分かれそうだ。区分けの要因は、心理と環境どちらの側で影響が大きいだろうか。コロナ後の世界をカレンダーに上書きすることで、企画のヒントが見えてくるように思う。

【鈴木 克範】

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(185)」甦る縄文の森(島根県大田市)

2020年6月22日(月) 配信

三瓶小豆原埋没林

 4000年前の巨大な火山噴火で発生した、おびただしい土石流。その土砂に飲み込まれた樹齢600年を超えるスギの巨木が、幹を残してそのまま地底に閉じ込められた。その林立する森の一部が発掘され、そのままの姿で現れた。まさに想像を絶する景観である。

 ここは島根県大田市の「三瓶山小豆原(さんべさんあずきはら)埋没林」である。長い時を超えて現代に甦った縄文の森は、まさに原始の日本列島の壮大な自然景観を伝えるタイムカプセルを見るようである=写真上

 三瓶山(標高1126㍍)は、溶岩の峰「三瓶山溶岩円頂丘群」からなる複数の山々でなっている。山裾はなだらかな草原が広がる丘陵地帯で、牛が佇む牧歌的な景観が広がる。火山性土壌のため水を引きにくい土地だが、江戸時代から牛馬の飼育とともに、屋根葺材の茅場としても使われてきた。

 近代になると旧日本陸軍の演習場としても使用された時代があったが、三瓶山自然林のブナの森は、自然体験の好適地で、登山客も多く訪れる。山腹から湧き出る三瓶温泉は、国民保養温泉地にも指定され、ヘルスツーリズムの取り組みも盛んである。地底に眠る巨大な縄文杉とこれらの丘陵は、観光という面でも高いポテンシャルを持っている。

 しかし大田市といえば、何よりも世界遺産石見銀山が有名である。この世界的な銀山は、三瓶山から少し離れた標高537㍍の仙ノ山の火山活動によって形成された。150万年前の噴火マグマで熱せられた金・銀・銅を含む地下水が地表近くで冷やされ、中に含まれた金属が固まることで銀の鉱床・鉱脈ができた。

 これら鉱石の採掘は、地表面に露出した鉱石の露天掘り、鉱脈に沿って掘り進む「ひ押し」、鉱脈に対して垂直に掘る「横相」がある。石見銀山のシンボルでもある龍源寺間歩や大久保間歩は、この横相による坑道跡である=写真下

石見銀山大久保間歩(大田市公式HPより引用)

 他方、大田市の日本海に面する海岸線には、波根西の珪化木、仁摩の硅化木と呼ばれる特徴的な化石群がある。これらはグリーンタフに埋もれて化石となったもので、1500万年前の火山活動の産物である。

 世界遺産石見銀山の物語は、既に多くの人々が知るところであるが、地理的にも年代的にも離れた三瓶山の小豆原埋没林や化石群などに共通するのは、年代を超えた地域の火山活動の産物である。

 大田市は、広域地域を面的に活用しようと、共通項である火山の物語として編集した。そして「石見の火山が伝える悠久の歴史」というタイトルで、2020年度の日本遺産に申請した。本紙が出るころは、ちょうど認定の可否が発表されるころである。

 日本遺産物語とともに策定した地域活性化計画や地域DMOの推進体制づくりが、世界遺産石見銀山を核とする広域地域の新たな魅力づくりにつながることを期待したい。

(東洋大学大学院国際観光学部 客員教授 丁野 朗)

 

訂正:上記の連載コラムの中で、所在地について誤りがありました。正しくは「島根県大田市」です。訂正してお詫びいたします。

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(6月号)」

2020年6月21日(日)配信

http://zoomjapon.info

〈巻頭言〉

クロード編集長

 6月に入り、フランスでは新型コロナ感染拡大予防策として3月半ばに発令された外出制限が解除されました。この間、正当な理由なき外出に対する高額の罰金、禁固刑も科すという政府による厳しい規制があった一方、病院ではマスクや予防具の不足が深刻に。とくにマスクの手配の落ち度を隠す、嘘に嘘を重ねた政府に対する国民の不信感は増幅し、現在も厳しい目が向けられています。フランスに比べてコロナ感染による死亡率が圧倒的に低い日本でも、国の政策への評価は低く、安倍政権が苦境に立たされているのはなぜでしょうか。本誌では、そんなコロナ禍の日本を特集しました。文化面では、静かな街をゆくチンドン屋、グルメページではアマビエに注目。旅ページのテーマは、旅行者が避けがちな雨季。梅雨の風物詩や、この季節ならではの観光スポットを紹介しています。

(編集長 クロード・ルブラン)

特集 コロナ禍の日本

観光客がいなくなった奈良の東大寺

 観光立国を目指す日本。かつてはその旅費の高さがネックだったが、近年の努力により今では世界中から観光客を迎える屈指の人気旅行先となった。ところが、新型コロナの影響により今年3月の訪日外国人数は、昨年に比べて9割減、1989年来の最低数を記録。観光を明日の日本を支える経済として定め、今年は4000万人、2030年には6000万人の訪日外国人数を見込んでいた安倍内閣にとって、コロナショックはあまりにも大きな痛手となった。■テンプル大学教授ジェフリー・キングストン氏にインタビュー。海外に比べ感染者数や死亡者数が少ない日本。それでも政府が批判される理由は、オリンピック開催へのこだわりによる対策の遅れか。■NPO自立生活サポートセンター・もやい理事長・大西連氏に、コロナ禍で生活困窮者の暮らしを支える活動について話を聞いた。■プリンストン大学教授シェルドン・ガロン氏が語る日本の危機管理。隣国に比べ感染防止対策が遅れた日本社会では、過去の災害での学びが生かされなかったのか。■コロナは日本人の生活にどんな影響を与えたのか、共に社会学者であるデビット H. スレイター氏と山田昌弘氏に取材した。

〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉コロナ感染対策規制緩和

arigatoresto.com

 約2カ月半続いたフランスのロックダウンが6月2日から徐々に解除され始めました。当編集部は当面公共機関を使わずに出社できるスタッフのみ出勤。この機会に今後もテレワークが定着していきそうです。今月半ば過ぎには、さらなる規制緩和が見込まれていますが、すでに外食産業の部分的営業再開で、人々は水を得た魚のよう。首都圏では、しばらくテラスでの営業のみ可。テラスを設けられない店の多くは一時的にテイクアウトサービスで対応しているものの、長期化する営業制限による経済的打撃は計り知れません。そこで3月以降、愛顧の店に「前払い」し、再オープン後にその金額分を利用できるというサービスを提供する民間の支援サイトがいくつか登場しました。本誌の姉妹紙であるパリ発信の日本語新聞が関係企業数社の協賛を得て立ち上げた、日本・韓国料理店を支援する仏語サイトにも、多くの日本食ファンたちが応えました。店が倒産しても返金はなしという条件での投資は、利用者にとっては好きな店への応援の意思表示。各登録店にとって、連客とのつながりを改めて感じられる企画であったことを願います。日本旅行など、国外へのツーリズムはまだしばらく難しそうです。

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

〈旬刊旅行新聞6月21日号コラム〉コロナ禍の生活  生きる営みのしぶとさが美しくもある

2020年6月20日(土) 配信 

生きている限り、人は生活を続ける

 朝目が覚めて、顔を洗い、簡単な食事をする。Yシャツに着替え、マスクを胸のポケットに入れて、駅までの道を歩く。

 
 住宅街の小さな裏道を選んでいるために、あまり人とすれ違わない。だから、マスクは外している。
 
 そうすると、色々な木々や季節の花の匂いがして、自分が生きていることを実感できる。10分も歩くと駅の構内に入る。私はマスクを取り出して、鼻と口を覆う。
 
 朝の通勤電車は少しずつ混み始めているが、新型コロナウイルスの感染が拡大し始める前に比べると、圧倒的に少ない。リモートワークなどをされている人が増えているのだろう。
 
 電車の中は皆、無口のため車内は静かだ。リモートワークが難しい職種や、環境が整備されていない人たちが都心に向かっていく。
 
 会社に着くと、入口で両手をアルコール消毒する。一番早く出社した者が、窓やドアをすべて開け、換気を良くする。
 
 それから、いつものようにパソコンの電源を入れて、メールのチェックや、FAXで届くさまざまな情報を確認する。新聞社には、毎日驚くほどの記者会見や発表会の案内が届く。だが、緊急事態宣言が出されてからは、記者会見の案内は皆無になった。そして、緊急事態宣言が解除された今も、まだほとんどない状態だ。
 
 6月の中旬になって、ようやく会社に来客が増えてきた。
 
 訪れる人は、みんなマスクをしている。数カ月ぶりに会うので、「お元気でしたか?」と声を掛け合う。ひと通り世間話をして、人の移動と交流が制限されている観光業界の今と、未来を予想し合い、「早くコロナが終息してほしい」という“願い”に着地する。
 
 昼食は会社に近い、いつものコンビニエンスストアで弁当を温めてもらい、自分の机で食べる。金銭の受け渡しは手ではなく、一度トレイに置く。どのくらいの効果があるのか、よくわからない。
 
 夕方まで集中して仕事をし、早めに帰宅するようにする。
 
 家に帰ると、お風呂に入って、軽く缶のレモン酎ハイを飲みながら、夕食をとる。お酒の量は随分減ったと思う。安価で美味しいつまみが年々好きになる。高価な食材には、あまり興味はない。それから眠くなれば寝る。
 
 翌朝目が覚めると、前日と同じようなことを繰り返す。 
 
 こうしてコロナ禍の1日を文字にしていくと、つまらない生活のように感じるが、本人はわりと満足している。
 
 新型コロナウイルスの感染が拡大してからも、私の生活自体は激変していない。以前と異なるのは、外出中の大半はマスクをしていること、手洗いをしっかりとするようになったこと、アルコール消毒を小まめにしていることくらいだ。
 
 そしてもう一つ、「旅が思うようにできない」と感じることが大きな違いだ。しかし、それも少しずつ解消されていくだろう。なぜか。旅も仕事と同様に、生活の一部だからだ。
 
 人はどんなに大きなダメージを受けても生きている限り、生活を続ける生き物だ。生活とは良くも悪くも生命維持への繰り返しだ。生きる営みの個々は見苦しくもあるが、そのしぶとさが、美しくもある。旅も立派な生活であるため、再び活動を始める。
(編集長・増田 剛)